(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107723
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 201G
H01G4/30 512
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113141
(22)【出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0010154
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】朴 彩民
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AC10
5E001AD03
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ02
5E001AJ03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE26
5E082FG26
5E082FG54
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
5E082LL02
5E082MM24
(57)【要約】
【課題】耐湿信頼性を向上させた積層型電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品は、複数の誘電体層及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、上記本体の外側に配置され、且つ上記内部電極と連結される外部電極と、上記本体の外表面に配置されるシーリング部と、を含み、上記外部電極及びシーリング部はガラス(glass)を含み、上記シーリング部は、上記本体と上記外部電極との間に配置される第1シーリング部及び上記第1シーリング部から上記第2方向に延長され、且つ上記外部電極と接しない第2シーリング部を含み、上記第2シーリング部の平均長さL1は20μm以上であってもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、且つ第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面と連結され、且つ第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体の外側に配置され、且つ前記内部電極と連結される外部電極と、
前記本体の外表面に配置されるシーリング部と、
を含み、
前記外部電極及び前記シーリング部はガラス(glass)を含み、
前記シーリング部は、前記本体と前記外部電極との間に配置される第1シーリング部及び前記第1シーリング部から前記第2方向に延長され、且つ前記外部電極と接しない第2シーリング部を含み、
前記第2シーリング部の平均長さL1は20μm以上である、積層型電子部品。
【請求項2】
前記外部電極の端における前記第2シーリング部の平均厚さT1は1μm以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第2シーリング部の平均厚さは、前記第1シーリング部から前記第2方向に離れるほど小さくなる、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1シーリング部の平均厚さは1μm以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記シーリング部は、前記内部電極と前記外部電極とが連結される部分を除いて配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記シーリング部は、前記本体の外表面全体に配置され、且つ前記内部電極と前記外部電極とが連結される部分を除いて配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記本体は前記シーリング部と接し、前記本体の内表面に配置される拡散部を含み、
前記拡散部は、前記第1シーリング部と接する第1拡散部及び前記第2シーリング部と接する第2拡散部を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記拡散部はガラス(glass)を含む、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記外部電極の端における第2拡散部の平均厚さT2は5μm以上である、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第2拡散部の平均厚さは、前記第1拡散部から前記第2方向に離れるほど小さくなる、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第2拡散部の平均長さL2は、│L1-L2│≦1μmを満たす、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1拡散部の平均厚さは5μm以上である、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記拡散部は、前記内部電極と前記外部電極とが連結される部分を除いて配置される、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記拡散部は前記本体の内表面全体に配置され、且つ前記内部電極と前記外部電極とが連結される部分を除いて配置される、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記拡散部のガラス(glass)は誘電体の結晶粒界に配置される、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
複数の誘電体層及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含んで容量を形成する活性部を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び第2面と連結され、且つ第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面と連結され、且つ第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記本体の外側に配置され、且つ前記内部電極と連結される外部電極と、
前記活性部の前記第3方向の両端面に配置されるマージン部と、
前記本体の外表面に配置されるシーリング部と、
を含み、
前記本体は、前記活性部の前記第1方向の両端面に配置されるカバー部及び前記シーリング部と接し、且つ前記本体の内表面に配置される拡散部を含み、
前記シーリング部は、前記本体と前記外部電極との間に配置される第1シーリング部及び前記第1シーリング部から前記第2方向に延長され、且つ前記外部電極と接しない第2シーリング部を含み、
前記拡散部は、前記第1シーリング部と接する第1拡散部及び前記第2シーリング部と接する第2拡散部を含み、
前記外部電極、シーリング部及び拡散部はガラス(glass)を含む、積層型電子部品。
【請求項17】
前記カバー部の前記第1方向の平均サイズは20μm以下である、請求項16に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記マージン部の前記第3方向の平均サイズは20μm以下である、請求項16に記載の積層型電子部品。
【請求項19】
前記外部電極は、
第1導電性金属及びガラスを含む第1電極層と、
前記第1電極層上に配置され、且つ第2導電性金属及び樹脂を含む第2電極層と、
を含み、
前記第1導電性金属及び前記第2導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項20】
前記外部電極は、前記外部電極上に形成されためっき層をさらに含み、
前記めっき層は、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。また、コンデンサの適用範囲が益々広がるにつれて、小型化、高容量化及び高信頼性に対する要求が次第に拡大している。
【0003】
一方、チップのクラック(crack)発生と水分浸透による故障及び劣化は致命的な欠陥と見なされ、これを解決するためにチップ部品の隙間をシーリング(sealing)したり、表面を撥水コーティングするなどの工法が適用されているが、目標とする高信頼性レベルを達成するまでには未だ不十分なのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許公報第10-1376828号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、水分やめっき液の浸透を遮断することにより、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることである。
【0006】
ただし、本発明は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、複数の誘電体層及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と連結され、且つ第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面、上記第2面、上記第3面、及び上記第4面と連結され、且つ第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体の外側に配置され、且つ上記内部電極と連結される外部電極と、上記本体の外表面に配置されるシーリング部と、を含み、上記外部電極及び上記シーリング部はガラス(glass)を含み、上記シーリング部は、上記本体と上記外部電極との間に配置される第1シーリング部及び上記第1シーリング部から上記第2方向に延長され、且つ上記外部電極と接しない第2シーリング部を含み、上記第2シーリング部の平均長さL1は20μm以上であってもよい。
【0008】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品は、複数の誘電体層及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含んで容量を形成する活性部を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と連結され、且つ第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面、上記第2面、上記第3面、及び上記第4面と連結され、且つ第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記本体の外側に配置され、且つ上記内部電極と連結される外部電極と、上記活性部の上記第3方向の両端面に配置されるマージン部と、上記本体の外表面に配置されるシーリング部と、を含み、上記本体は、上記活性部の上記第1方向の両端面に配置されるカバー部及び上記シーリング部と接し、且つ上記本体の内表面に配置される拡散部を含み、上記シーリング部は、上記本体と上記外部電極との間に配置される第1シーリング部及び上記第1シーリング部から上記第2方向に延長され、且つ上記外部電極と接しない第2シーリング部を含み、上記拡散部は、上記第1シーリング部と接する第1拡散部及び上記第2シーリング部と接する第2拡散部を含み、上記外部電極、シーリング部及び拡散部はガラス(glass)を含むことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の様々な効果の一つは、シーリング部又は拡散部が配置されることにより、水分の浸透を遮断して積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0010】
ただし、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施例を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態である、積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものである。
【
図4】本発明の一実施形態である、本体の表面にシーリング部及び拡散部が配置された積層型電子部品の第1及び第2方向(L-T)の断面図である。
【
図5a】本発明の一実施形態である、シーリング部及び拡散部を含む積層型電子部品のSEM画像である。
【
図5b】
図5aの一部領域を拡大した積層型電子部品のSEM画像である。
【
図6】本発明の一実施形態である、シーリング部及び拡散部を含む積層型電子部品のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張することができ、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0013】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一思想の範囲内での機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を含むと言うとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0014】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0015】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態である、積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、
図2は、
図1のI-I’線に沿った断面図であり、
図3は、
図2のA領域を拡大した図であり、
図4は、本発明の一実施形態である、本体の表面にシーリング部及び拡散部が配置された積層型電子部品の第1及び第2方向(L-T)の断面図である。
【0016】
以下、
図1~
図4を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、複数の誘電体層及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、上記本体の外側に配置され、且つ上記内部電極と連結される外部電極及び上記本体の外表面に配置されるシーリング部を含み、上記外部電極及びシーリング部はガラス(glass)を含み、上記シーリング部は、上記本体と上記外部電極との間に配置される第1シーリング部及び上記第1シーリング部から上記第2方向に延長され、且つ上記外部電極と接しない第2シーリング部を含み、上記第2シーリング部の平均長さL1は20μm以上であってもよい。
【0018】
本体110は、複数の誘電体層111及び上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される内部電極121、122を含むことができる。本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0019】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1~第4面と連結され、第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を含むことができる。
【0020】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0021】
誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0022】
一方、誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。ただし、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために誘電体層111の厚さは0.4μm以下であってもよい。ここで、誘電体層111の厚さは誘電体層111の平均厚さを意味することができる。
【0023】
誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1及び第2方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において一つの誘電体層111を第2方向(長さ方向)に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズ(厚さ)を測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の点は、活性部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すれば、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0024】
一方、内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する活性部を含むことができる。すなわち、本体110は、第1内部電極121が印刷された誘電体層111と第2内部電極122が印刷された誘電体層111とを第1方向に交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0025】
第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。また、第1内部電極121は、第3、第5及び第6面3、5、6を介して露出することができる。このとき、第1及び第2内部電極121、122は、間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されてもよい。
【0026】
上記のような構成により、第1及び第2外部電極131、132に所定の電圧を印加すると、第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積される。このとき、積層型電子部品100の静電容量は、上記活性部において第1方向に沿って互いに重なる第1及び第2内部電極121、122の重なり面積と比例するようになる。
【0027】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができ、導電性ペーストを使用して内部電極121、122を形成することができる。
【0028】
内部電極121、122の厚さは特に限定する必要はない。ただし、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さは0.4μm以下であってもよい。ここで、内部電極121、122の厚さは、内部電極121、122の平均厚さを意味することができる。
【0029】
内部電極121、122の平均厚さは、本体110の第1及び第2方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、一つの内部電極121、122を第2方向(長さ方向)に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズ(厚さ)を測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は活性部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すれば、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0030】
外部電極131、132は、本体110の外部に配置され、内部電極121、122と連結され、本体110の第3及び第4面3、4に配置されることができる。外部電極131、132は、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。より具体的に、外部電極は、本体110の第3面3に配置される第1外部電極131及び本体110の第4面4に配置される第2外部電極132を含むことができる。このとき、第2外部電極132は、第1外部電極131と異なる電位に連結されてもよい。
【0031】
本明細書では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0032】
より具体的に、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132aを含むことができる。上記電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよく、導電性金属及びベース樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。また、電極層131a、132aは、本体110上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってもよい。また、電極層131a、132aは、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよく、又は焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0033】
電極層131a、132aに含まれる導電性金属として電気伝導性に優れた材料を使用することができ、例えば、導電性金属はニッケル(Ni)、スズ(Sn)、銅(Cu)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上であってもよいが、特にこれに限定されない。
【0034】
本発明の一実施形態において、上記外部電極は、第1導電性金属及びガラスを含む第1電極層及び上記第1電極層上に配置され、第2導電性金属及び樹脂を含む第2電極層を含み、上記第1及び第2導電性物質は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0035】
外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有する物質であれば、如何なるものを使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに、多層構造を有してもよい。
【0036】
一方、上記ガラスは、外部電極131、132の接合性及び耐湿性を向上させる役割を果たすことができる。すなわち、ガラス成分によって外部電極の電極層131a、132aと本体110の誘電体層111間の接着が維持されることができる。上記ガラスは酸化物が混合された組成であってもよく、特に限定されるものではないが、ケイ素酸化物、ホウ素酸化物、アルミニウム酸化物、遷移金属酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群から選択された一つ以上であってもよい。
【0037】
めっき層131b、132bは実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0038】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bは、Niめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0039】
一方、本体110の外表面にはシーリング部141が配置されてもよい。
図1~
図4を参照すると、シーリング部141は、本体110の外表面の一部又は全体に配置されてもよく、必要又は製造方法に応じて形状が異なるように配置されてもよく、本体と外部電極との間に一定の厚さを有する層(layer)の形態で配置されてもよい。
【0040】
より具体的に、上記シーリング部141は、外部電極131、132に含まれたガラス成分が、電極の焼成熱処理条件及び本体の表面状態等に応じて、本体110の外表面に沿って配置されることができる。すなわち、シーリング部141はガラス成分を含むことができる。また、シーリング部141は、本体110と外部電極131、132との界面に配置される第1シーリング部141aと外部電極131、132と接しない第2シーリング部141bとを含むことができる。すなわち、第1シーリング部141aは、本体110の第3、第4面3、4及び第1、第2、第5、第6面1、2、5、6の一部に配置されることができ、第2シーリング部141bは、外部電極131、132が配置されていない第1、第2、第5、第6面1、2、5、6の一部に配置されることができる。このとき、第3及び第4面3、4に配置されたシーリング部141は、内部電極121、122と外部電極131、132とが連結される部分には配置されなくてもよい。これは、導電性物質を含む外部電極131、132が内部電極121、122と電気的に連結させるためである。
【0041】
シーリング部141は、本体の表面に存在するクラック(crack)、気孔(pore)などの部位を密閉又は封止し、外部の水分やめっき液などが本体110の内部に浸透することを遮断することにより、積層型電子部品100の耐湿信頼性等を向上させることができる。
【0042】
従来は、耐湿信頼性を向上させるために、外部電極の厚さと長さを増加させて水分の透湿経路やめっき液の浸透を遮断する方法を適用していたが、積層型電子部品の小型化及び高容量化に伴い、耐湿信頼性を向上させることに困難があり、物質の制御が難しいという問題点があった。また、本体の外表面と外部電極の端部の隙間にシーリング部を配置して耐湿信頼性を向上させる方法も試みたが、シーリング部の面積が小さかったり、シーリング部を別途に外表面にコーティングする方式であったため、目標とする耐湿信頼性の向上には至らない状況であった。
【0043】
本発明の一実施形態は、上記シーリング部141を外部電極131、132と本体110との間に第1シーリング部141aのみを配置するものではなく、さらに延長されるように配置させて外部電極131、132と接しない本体110の外表面の一部まで第2シーリング部141bを配置して水分の浸透等を防ぐことで、積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることができる。
【0044】
上記第1シーリング部141aは、上記外部電極131、132と本体110との界面に配置されることができ、このとき、第1シーリング部141aの平均厚さは1μm以上であってもよい。ただし、特にこれに限定されるものではなく、外部電極に含まれるガラス成分の含量、製造方法等によって異なってもよく、より具体的には、上記外部電極131、132の第1方向のサイズ(厚さ)以下に形成されてもよい。
【0045】
一方、上記第1シーリング部の平均厚さは、第1及び第2方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、第1シーリング部の厚さを第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズ(厚さ)を測定して平均値を計算することができる。上記等間隔の30個の地点は、LT断面の画像を第1及び第2方向を軸として区分される第1~第4象眼の画像のうち、第2方向に配置された外部電極と本体と接する4つの第1シーリング部のうち一つで測定することができる。また、このような平均値を上記4つの第1シーリング部に拡張して平均値を計算すれば、第1シーリング部の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0046】
第2シーリング部141bは、上記外部電極131、132の端から第2方向に配置されることができ、本体の第1、2、5、6面1、2、5、6の一部に配置されることができる。このとき、上記第2シーリング部の外部電極131、132の端における平均厚さT1は1μm以上であってもよく、上記第2シーリング部の平均長さL1は20μm以上であってもよい。
【0047】
上記第2シーリング部の平均厚さT1が1μm未満の場合、外部電極131、132と本体110の外表面との間に水分等が浸透して積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることに困難が生じる可能性がある。平均厚さT1の上限は特に限定されず、積層型電子部品100のサイズに応じて異なるように形成されてもよく、外部電極131、132の焼成熱処理条件や成分等に応じて異なってもよく、より具体的には上記外部電極131、132の第1方向のサイズ(厚さ)以下に形成されてもよい。
【0048】
一方、上記第2シーリング部の外部電極の端における平均厚さT1は、第1及び第2方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、LT断面をスキャンした画像において、第3方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズ(厚さ)を測定して平均値を計算することができる。また、このような平均値をLT断面において本体の上部及び下部に位置した外部電極の端における第2シーリング部の厚さに拡張して平均値を計算すれば、第2シーリング部の平均厚さT1をさらに一般化することができる。
【0049】
また、第2シーリング部の平均長さL1が20μm未満の場合、外部電極と本体の表面との間に水分等が浸透して積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることに困難が生じる可能性がある。平均長さL1の上限は特に限定されず、積層型電子部品のサイズに応じて異なるように形成されてもよく、外部電極131、132が配置されていない本体100の外表面全体を覆う形状に配置されてもよい。
【0050】
一方、上記第2シーリング部の平均長さL1は、第1及び第2方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、第1及び第2方向を軸として第1~第4象眼に分割したとき、第2シーリング部が第1~第4象眼に存在することができ、上記4つの第2シーリング部の最大長さを測定して平均値を測定することができる。また、第2及び第3方向(L-W)の断面をSEM画像上で測定して第2シーリング部の平均長さL1を測定することができ、測定方法はLT断面の際に上述した通りである。LT及びLW断面上で測定した第2シーリング部の長さを測定することにより、第2シーリング部の平均長さL1をさらに一般化することができる。
【0051】
一方、SEM(Scanning Electron Microscope)分析法だけでは、本体の内部に拡散したガラス(glass)層である拡散部の厚さ区分が難しい場合があり、拡散部の場合には、本体のLT断面又はカバー部のLW断面をポリシングによって加工した後、光学顕微鏡上で観察することができ、必要に応じて光学顕微鏡のdark-field画像モードで測定することができる。本明細書で説明しているシーリング部及び拡散部の長さ又は厚さに関する測定方法も、上述の測定方法によって観察することができる。
【0052】
本発明の一実施形態は、上記第2シーリング部の平均厚さが上記第1シーリング部から第2方向に離れるほど小さくなることができる。すなわち、上記外部電極131、132の端から第2方向に離れる方向に向かうほど、上記第2シーリング部141bの平均厚さが減少することができる。これは、外部電極131、132のガラス成分が本体110の外表面に配置され、上記ガラス成分が外部電極131、132から抜け出て遠くなるにつれて厚さが減少する製造方法上の差であるが、特に第2シーリング部の厚さが減少する形状に限定されるものではない。第2シーリング部の平均厚さの測定方法は、上述した外部電極の端における第2シーリング部の平均厚さの測定方法と同様であるため省略する。
【0053】
一方、本体110は、上記シーリング部141と接する上記本体110の内表面に配置される拡散部142を含むことができる。
図2~
図4を参照すると、拡散部142は、本体110の内表面の一部又は内表面の全体に配置されてもよく、必要又は製造方法に応じて形状を異なるようにして配置されてもよく、外部電極131、132と当接する本体110の表面に一定の大きさを有する層(layer)の形態で配置されてもよい。このとき、第3及び第4面3、4に配置される拡散部142は、内部電極121、122と外部電極131、132とが連結される部分には配置されなくてもよい。これは、導電性物質を含む外部電極131、132が内部電極121、122と電気的に連結させるためであることができる。
【0054】
より具体的に、上記拡散部142は、外部電極131、132に含まれたガラス成分が、電極の焼成熱処理条件及び本体の表面状態等に応じて本体の内表面に沿って配置されることができる。すなわち、拡散部はガラス成分を含むことができる。
【0055】
このとき、上記拡散部142のガラス(glass)は誘電体の結晶粒界に配置されることができる。上記ガラス(glass)が誘電体の結晶粒界に配置されることにより、気孔(pore)などの欠陥(defect)を満たして本体の内部から外部まで連結されたチャンネル(open channel)が形成されることを遮断することができる。
【0056】
すなわち、拡散部142は、上記シーリング部141と同様に、外部の水分やめっき液などが本体の内部に浸透することを遮断することにより、積層型電子部品100の耐湿信頼性などを向上させることができる。
【0057】
また、拡散部142は、本体110の内表面において、第1シーリング部141aと接する第1拡散部142a、上記第1拡散部142aから第2方向に延長され、且つ上記第2シーリング部141bと接する第2拡散部142bを含むことができる。すなわち、第1拡散部142aは、本体の第3、第4面3、4及び第1、第2、第5、第6面1、2、5、6に配置されることができる。第2拡散部142bは、本体110の外表面に外部電極131、132が配置されていない第2シーリング部141bと当接する本体110の第1、第2、第5、第6面1、2、5、6に配置されることができる。
【0058】
上記第1拡散部142aの平均厚さは5μm以上であってもよい。ただし、特にこれに限定されるものではなく、外部電極に含まれるガラス成分の含量、製造方法等に応じて異なってもよい。
【0059】
一方、上記第1拡散部の平均厚さは、第1及び第2方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、第1拡散部の厚さを第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズ(厚さ)を測定して平均値を計算することができる。上記等間隔の30個の地点は、LT断面の画像を第1及び第2方向を軸として区分される第1~第4象眼の画像のうち、第1シーリング部と接する4つの第1拡散部のうち一つで測定することができる。また、このような平均値を上記4つの第1拡散部に拡張して平均値を計算すれば、 第1拡散部の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0060】
上記第2拡散部142bは、上記第2シーリング部141bと当接する本体110の内表面に配置されてもよく、このとき、第2拡散部142bの外部電極の端における平均厚さT2は5μm以上であってもよい。
【0061】
上記第2拡散部の外部電極の端における平均厚さT2が5μm未満の場合、外部電極131、132と本体110の外表面との間に水分等が浸透して積層型電子部品100の耐湿信頼性を向上させることに困難が生じる可能性がある。平均厚さT2の上限は特に限定されず、積層型電子部品100のサイズに応じて異なるように形成されてもよく、外部電極の焼成熱処理条件や成分等に応じて異なってもよい。
【0062】
一方、上記第2拡散部の外部電極の端における平均厚さT2の測定方法は、上述の上記第2シーリング部の外部電極の端における平均厚さT1の測定方法と同様であるため省略する。
【0063】
なお、第2拡散部の平均長さL2は、第2シーリング部の平均長さL1に応じて異なるように配置されてもよく、│L1-L2│≦1μmを満たす長さを有するが、特にこれに限定されるものではなく、外部電極の焼成熱処理条件及び製造方法に応じて異なってもよい。
【0064】
本発明の一実施形態は、上記第2拡散部142bの平均厚さが上記第1拡散部142aから第2方向に離れるほど小さくなることができる。すなわち、上記外部電極131、132の端部から第2方向に離れる方向に向かうほど、上記第2拡散部142bの平均厚さが減少することができる。
【0065】
一方、第2拡散部の平均厚さの測定方法は、上述した外部電極の端における第2シーリング部の平均厚さの測定方法と同様であるため省略する。
【0066】
図5aは、本発明の一実施形態である、シーリング部及び拡散部を含む積層型電子部品のSEM画像であり、
図5bは、
図5aの一部領域を拡大した積層型電子部品のSEM画像であり、
図6は、本発明の一実施形態である、シーリング部及び拡散部を含む積層型電子部品のSEM画像である。
【0067】
まず、
図5a及び
図5bを参照すると、第1及び第2拡散部142a、142bが本体100の内表面に配置されたことを確認することができ、上記第1及び第2拡散部142a、142bの厚さはそれぞれ1μm以上であり、第2シーリング部及び第2拡散部141b、142bの第2方向のサイズ(長さ)は20μm以上であることを確認することができる。
図6を参照すると、本体の滑らかでない表面及び気孔(pore)にガラス(glass)成分が配置され、内部から続く外部までチャンネル(open channel)が形成されることを防止している。
【0068】
本発明の一実施形態において、上記本体110は、上記誘電体層111と上記第1方向に交互に配置される内部電極121、122を含んで容量を形成する活性部及び上記活性部の第1方向の両端面1、2に配置されるカバー部を含み、上記活性部の第3方向の両端面5、6に配置されるマージン部をさらに含むことができる。
【0069】
より具体的に、本体110はその内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される活性部と、上記活性部の第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部とを含むことができる。上記活性部は、積層型電子部品100の容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を反復的に積層して形成されることができる。
【0070】
上記上部カバー部及び下部カバー部は、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を活性部の上下面5、6にそれぞれ第1方向(厚さ)に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0071】
上記上部カバー部及び下部カバー部は内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上記上部カバー部及び下部カバー部はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0072】
一方、カバー部の厚さは特に限定する必要はない。ただし、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部の第1方向の平均サイズは20μm以下であってもよい。ここで、上記カバー部の第2方向の平均サイズはカバー部の平均厚さを意味することができる。
【0073】
カバー部の平均厚さは、本体110の第1及び第2方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、カバー部を第2方向(長さ方向)に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズ(厚さ)を測定して平均値を測定することができる。また、このような平均値の測定を上部及び下部カバー部に拡張して平均値を測定すれば、カバー部の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0074】
マージン部は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部と、第5面5に配置された第2サイドマージン部とを含むことができる。すなわち、マージン部は、本体110の第3方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。マージン部は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。マージン部は、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極121、122が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を活性部の第3方向の両端面(end surfaces)に第3方向に積層して形成することができる。
【0075】
上記マージン部は内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、第1マージン部及び第2マージン部はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0076】
一方、マージン部の厚さは特に限定する必要はない。ただし、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部の第3方向の平均サイズは20μm以下であってもよい。ここで、上記マージン部の第3方向の平均サイズはマージン部の平均幅を意味することができる。
【0077】
マージン部の平均厚さは、本体110の第1及び第3方向(W-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、マージン部を第1方向に等間隔である30個の地点で第3方向のサイズ(幅)を測定して平均値を測定することができる。また、このような平均値の測定を第1及び第2マージン部に拡張して平均値を測定すれば、マージン部の平均幅をさらに一般化することができる。
【0078】
本明細書で説明する積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。ただし、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層111及び内部電極121、122の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、0402(長さ×幅、0.4mm×0.2mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100であるとき、本発明による信頼性の向上効果がより顕著になることができる。
【0079】
以下では、実験例に通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これは、発明の具体的な理解を助けるためのものであって、本発明の範囲が実験例によって限定されるものではない。
【0080】
(実験例)
第2シーリング部の長さは、本体のLT断面又はカバー部のLW断面で測定し、本体の外表面において、銅(Cu)を含む外部電極の端部から第2方向に形成された上記ガラス(glass)成分のみからなる部分を測定したものである。このとき、第2シーリング部の長さ測定方法は、断面分析法の一種であるFIB(Focused Ion Beam)ion-millingによって測定した。
【0081】
比較例の場合、外部電極用ペースト(paste)にガラス(glass)が含まれていないため、サンプルチップにおいてシーリング部及び拡散部が形成されなかった。
【0082】
実施例の場合、外部電極用ペースト(paste)にガラス(glass)が含まれてシーリング部及び拡散部が形成された本発明の一実施例であり、熱処理温度条件はt1<t2<t3である。
【0083】
下記表1は、ペースト(paste)組成及び熱処理温度によって第2シーリング部の長さが異なるように形成されたことを記載したデータである。各実施例又は比較例別に20個のサンプルチップを作製した後、10個のサンプルチップについては本体のLT断面における第2シーリング部の長さをそれぞれ測定し、他の10個のサンプルチップについてはカバー部のLW断面における第2シーリング部の長さをそれぞれ測定した。
【0084】
【0085】
上記表1を参照すると、ガラス(glass)が含まれた実施例1~3の場合には、熱処理条件t1~t3で第2シーリング部の平均長さが20μm以上形成されたことが確認できる。これに対し、ガラス(glass)が含まれていない比較例1の場合には第2シーリング部が形成されていないことが確認できる。
【0086】
下記表2は、上記表1の実施例1~3及び比較例1の耐湿信頼性評価を記載したデータであり、各750個のサンプルについて耐湿信頼性評価(8585テスト)を行った。ここで、耐湿信頼性評価は、温度85℃、相対湿度85%において電圧を1.5Vrで100時間印加した。Lowは、絶縁抵抗が初期絶縁抵抗に対して1.00E+01以上低下したサンプルの個数を記載したものであり、Overloadは絶縁抵抗が初期絶縁抵抗に対して1.00E+03以上低下したサンプルの個数を記載したものである。
【0087】
【0088】
上記表2を参照すると、比較例1においてOverloadは5/750個、Lowは5/750個が発生し、耐湿信頼性の故障頻度が高く、信頼性に問題があることがわかる。これに対し、実施例1~3は、第2シーリング部の長さが本発明の数値範囲を満たす場合であって、耐湿信頼性に優れた積層型電子部品を実現できることが分かる。したがって、耐湿信頼性の向上効果は、本発明の数値範囲内に形成された第2シーリング部による影響から判断することができる。
【0089】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で当該技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0090】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
121、122:内部電極
131、132:外部電極
131a、132a:電極層
131b、132b:めっき層
141:シーリング部
141a、141b:第1、2シーリング部
142:拡散部
142a、142b:第1、2拡散部