(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107732
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】ハイブリッドパワートレインの運転方法
(51)【国際特許分類】
B60W 20/15 20160101AFI20230727BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20230727BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20230727BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20230727BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20230727BHJP
F02D 41/02 20060101ALI20230727BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20230727BHJP
B60L 50/61 20190101ALI20230727BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20230727BHJP
【FI】
B60W20/15
B60K6/46 ZHV
B60W10/06 900
B60W10/26 900
B60W10/08 900
F02D41/02
F02D45/00 369
B60L50/61
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186045
(22)【出願日】2022-11-21
(31)【優先権主張番号】10 2022 000 227.2
(32)【優先日】2022-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】592007771
【氏名又は名称】ドイツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル ヒルマー
(72)【発明者】
【氏名】タギ アキバリアン
【テーマコード(参考)】
3D202
3G301
3G384
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202BB02
3D202BB11
3D202BB19
3D202DD21
3D202DD24
3D202DD26
3D202DD27
3D202DD28
3D202DD44
3D202DD45
3D202DD47
3D202DD48
3G301JA21
3G301MA11
3G301PA01Z
3G301PB03Z
3G301PD15Z
3G301PG01Z
3G384AA13
3G384AA28
3G384BA11
3G384BA52
3G384DA14
3G384EA26
3G384EA27
3G384FA01Z
3G384FA14Z
3G384FA66Z
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BC11
5H125BD17
5H125EE27
5H125EE31
(57)【要約】 (修正有)
【課題】汚染物質の排出を抑制することができるダイナミックな運転が可能なハイブリッドドライブトレインの運転方法を提供する。
【解決手段】ハイブリッドドライブトレインの内燃機関の実際の状態ベクトルを決定し(V10)、内燃機関の目標出力を決定し(V20)、内燃機関の目標出力を関数として内燃機関の目標燃料質量流量を決定し(V30)、排気限界値、目標燃料質量流量および内燃機関の実際の状態ベクトルを関数として内燃機関の限界燃料質量流量を決定し(V40)、目標燃料質量流量および限界燃料質量流量を関数として最小値を形成し目標燃料質量流量を決定し(V50)、内燃機関に目標燃料質量流量を設計する(V60)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを有するハイブリッドパワートレインの運転方法:
ハイブリッドドライブトレイン(1)の内燃機関(2)の実際の状態ベクトルを決定するステップ(V10)、
内燃機関(2)の目標出力を決定するステップ(V20)、
内燃機関(2)の目標出力を関数にして内燃機関(2)の目標燃料質量流量を決定するステップ(V30)、
エミッション限界値、目標燃料質量流量および内燃機関(2)の実際の状態ベクトルを関数として内燃機関(2)の限界燃料質量流量を決定するステップ(V40)、
目標燃料質量流量および限界燃料質量流量を関数として最小値形成によって目標燃料質量流量を決定するステップ(V50)、
その目標燃料質量流量を内燃機関(2)に設定するステップ(V60)。
【請求項2】
内燃エンジン(2)の実際の状態ベクトルが速度の少なくとも1つの実際値、噴射システムレールの圧力、燃料質量流量、作業サイクルにおける燃料噴射の時間、作業サイクルにおける新鮮な空気の質量と空気の質量の流れの注入のための再循環排気ガスとの割合、外気質量に対する再循環排気ガスの割合および空気質量流量を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
内燃機関(2)の目標出力がハイブリッドドライブトレイン(1)の出力装置(8)の出力要件と、ハイブリッドドライブトレイン(1)の電気エネルギー貯蔵装置(6)の所望充電出力を関数にして決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
出力装置(8)の電力要件が出力装置(8)の複数の出力ユニット(7、7')の電力要件を関数として決定されることを特徴とする請求項3に記載の方法
【請求項5】
エネルギー貯蔵装置(6)の所望充電電力がエネルギー貯蔵装置(6)の充電状態に応じて決定されることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
内燃機関(2)の限界燃料質量流量が予測排出値の関数として追加的に決定されることを特徴とする請求項1?5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
内燃機関(2)の限界燃料質量流量がデータモデルによって決定され、このデータモデルの入力燃料質量流量はデータモデルの予測排出値が排出限界以下になるまで反復的に減少されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
最初にデータ モデルの入力燃料質量流量が以前に決定された目標燃料質量流量と同一とすることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
内燃機関(2)の限界燃料質量流量を人工ニューラルネットワークによって決定することを特徴とする請求項1?8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
人工ニューラルネットワークが、入力層のニューロンとして、少なくとも内燃機関(2)の実際の状態ベクトル、目標燃料質量流量および排出限界値を有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
人工ニューラルネットワークが出力層のニューロンとして限界燃料質量流量および/または第1の放出ベクトルを有することを特徴とする請求項9または10に記載の方法、
【請求項12】
目標燃料質量流量と目標燃料質量流量との間の差を関数として電気エネルギー貯蔵装置(6)の目標放電値を決定するステップ(V70)と、ハイブリッドドライブトレイン(1)の出力装置(8)を駆動する電気エネルギー貯蔵装置(6)の目標放電値を設定するステップ(V80)をさらに有することを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドドライブトレイン(Hybrid Antriebsstrangs)の運転方法に関するものである。本発明は特に、水素駆動(wasserstoffbetriebenen)内燃エンジンを備えたハイブリッドドライブトレインを作動させる方法に関するものである。本発明は特に、シリアルハイブリッドドライブトレインまたは少なくとも一時的にシリアルハイブリッドドライブトレインとして動作可能なハイブリッドドライブトレインの運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド パワートレインは一般に車両の車輪や油圧ポンプなどの機械的負荷を駆動するための2つの異なるエネルギー変換器を備えている。 基本的には第1のエネルギー変換器は燃焼機関として設計され、第2のエネルギー変換器は電気機械として設計されている。内燃機関の代わりに燃料電池を使用することもできる。
【0003】
2つのエネルギー変換器の相互作用はドライブトレイントポロジー(Antriebs strangtopologie)とよばれる。シリアル(直列)ハイブリッドドライブトレインでは第1のエネルギー変換器または内燃エンジンが発電機を駆動し、車載電源システムに電力を供給する。第2のエネルギー変換器または電気機械は車載エネルギー供給システムの電力を機械的負荷の駆動に使用するための機械的エネルギーに変換する。シリアルトポロジーの他にハイブリッドドライブトレインの並列トポロジおよびハイブリッドドライブトレインの電力分割トポロジも知られている。第1のエネルギー変換器はガソリン、ディーゼル、水素などの異なる燃料で作動するできる。使用する燃料に応じて、第1のエネルギー変換器は運転状態に適した種々の排出特性を示す。特に、負荷が動的に変化する場合、高い排出値が短時間に生じる可能性があるという問題がある。
【0004】
[特許文献1](米国特許出願公開第US2008/236916A1号明細書)には内燃機関を備えた自動車用シリアルハイブリッドドライブトレインを作動させる方法が開示されている。この方法ではドライブトレインが第1の電気機械に回転不能に接続された出力シャフトと、車両の駆動輪に機械的に接続された第2の電気機械と、第1の電気機械から生成される電気エネルギーを第2の電気機械に電力として供給する電気エネルギー貯蔵装置と、第1および第2の電気機械に電気エネルギーを供給し、電気エネルギー貯蔵装置と第2の電気機械との間で電力を分配することができる制御ユニットとを含む。この方法は第1の電気機械の速度および内燃機関の動力出力を制御するステップを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第US2008/236916A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、汚染物質の排出を抑制することができるダイナミックな運転が可能なハイブリッドドライブトレインの運転方法を提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の根本的な問題を解決するために下記のステップを含むハイブリッド ドライブ トレインの運転方法が提供する:
1)ハイブリッドドライブトレインの内燃機関の実際の状態ベクトルを決定し、
2)内燃機関の目標出力を決定し、
3)内燃機関の目標出力を関数として内燃機関の目標燃料質量流量を決定し、
4)排出限界値、目標燃料質量流量および内燃機関の第1の状態ベクトルを関数として内燃機関の限界燃料質量流量を決定し、
?)目標燃料質量流量および限界燃料質量流量を関数として最小値を形成することにより設定燃料質量流量を決定し、
6)目標燃料質量流量を内燃機関に設定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】直列トポロジを有するハイブリッドドライブトレインの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明方法は、目標質量流量の決定および設定を非常に迅速に行うことができ、その結果、常に排出制限値に準拠した極めてダイナミックな運転が保証されるという利点を有する。これは、例えば、SCRシステムによる排気後処理を省略することができるということを意味し、法的規制で許可される場合には、通常使用される窒素酸化物センサーも省略できるということを意味する。
【0010】
オプションのステップとして、目標燃料質量流量との差を関数としての電気エネルギー貯蔵の目標放電値を決定し、ハイブリッドドライブトレインから駆動装置を駆動するための電気エネルギー貯蔵装置の目標放電値を設定することができる。この電気エネルギー貯蔵庫の目標放電値を決定するため、最初に目標燃料質量流量と限界燃料質量流量との差から電気エネルギー貯蔵装置によって提供されるべき電力差を決定することができる。内燃機関の目標出力を決定するために予め決定されたハイブリッドドライブトレインの電気エネルギー貯蔵装置の所望充電出力を電力差から差し引くことで目標放電値を決定することができる。
【0011】
ハイブリッド ドライブ トレインとは内燃エンジンと電気機械という2つの異なるエネルギー変換器を備えたドライブ トレインを意味し、特に少なくとも 1つのエネルギー貯蔵庫すなわち内燃エンジン用の燃料タンクを備えている。特に、ハイブリッド ドライブ トレインは少なくとも2つのエネルギー貯蔵庫すなわち内燃エンジン用の燃料タンクとバッテリーとを備えることができる。
【0012】
内燃機関は水素内燃機関として設計できる。 次に、内燃機関は空気と水素の混合気で運転できる。内燃機関はアンモニア内燃機関として設計することもできる。この内燃機関は空気とアンモニアの混合気で運転できる。ハイブリッドドライブトレインの出力装置は、特に電気モータの形の1つまたは複数の出力ユニットを含むことができる。ハイブリッドドライブトレインは、内燃機関に機械的に結合され、車載電源システムの中間電気回路を介してハイブリッドドライブトレインの駆動装置および電気エネルギー貯蔵装置に電気的に接続された発電機を有することができる。発電機と車載電源システムの中間電気回路との間に電流変換器を設けることができ、この電流変換器は発電機によって放出された交流を直流に変換することができ、特に双方向電流変換器として設計できる。電気エネルギー貯蔵装置はバッテリーDC電圧を中間電気回路の所望DC電圧レベルに変換できるDC/DCコンバータを含むことができる。車載電源システムの中間電気回路と出力装置との間に中間電気回路の直流電流を交流電流に変換できる電流コンバータ装置を設けて出力アセンブリを駆動することができる。ハイブリッドドライブトレインの出力装置が多数の出力ユニットを有する場合には、各出力ユニットに中間電気回路に接続され、中間電気回路の直流電流を交流電流に変換できる別個の電流コンバータを割り当てることができる。変流器装置または別個の変流器を特に双方向変流器として設計することもできる。
【0013】
内燃エンジンの実際の状態ベクトルは1つまたは複数のベクトル座標を使用して時間Tでの内燃エンジンの状態を表す。実際の状態ベクトルは座標として少なくとも一つの実際の値、内燃機関の速度、噴射システムのレール内の圧力、燃料質量流量、作業サイクルでの燃料噴射のタイミング、新鮮な空気質量と空気質量流量に対する再循環排気ガスの割合を使用できる。
【0014】
内燃機関の目標出力(Ziel-Leistung)は時間Tの後の時間T+1に内燃機関によって理想的に適用されるべき出力である。内燃機関の目標出力はハイブリッド駆動系の出力装置の出力要件とハイブリッド駆動系の電気エネルギー貯蔵装置の所望充電出力を関数として決定できる。出力装置の電力要件は出力装置の複数の出力ユニットの電力要件を関数として決定できる。エネルギー貯蔵器の所望充電容量はエネルギー貯蔵器の充電状態および/または出力装置の電力要件を関数として決定することができる。
【0015】
目標燃料質量流量(Ziel-Kraftstoffmassenfluss)は時間Tに続く時間T+1で内燃機関で機械エネルギーに変換される燃料質量流量であり、それによって内燃エンジンが時間T+1で目標出力を適用できるようになる。目標燃料質量流量は内燃機関の実際の状態ベクトルを関数として決定することもできる。特に、目標燃料質量流量は内燃機関の実際の状態ベクトルの座標の少なくとも一部分の数を関数として決定することもできる。
【0016】
排出限界値(Emissionsgrenzwert)は複数の排出タイプの限界値の限界排出ベクトルにすることができる。限界排出量ベクトルはそれぞれが排出タイプの限界値を定義する1つまたは複数の座標を含むことができる。考えられる排出のタイプには窒素酸化物NOx、二酸化炭素CO2または粒子状物質が含まれる。排出限界値または限界排出ベクトルの座標は内燃機関の実際の状態ベクトル、内燃機関の目標出力および内燃機関の目標燃料質量流量のうちの少なくとも1つに依存することができる。この目的のために例えば特性曲線および/または特性図を読むことができる。
【0017】
限界燃料質量流量(Grenz-Kraftstoffmassenfluss)は時間T後の時間T+1で内燃機関の機械エネルギーに変換できる最大燃料質量流量であるので、内燃機関の作動中に、例えば、限界排出ベクトルの排出限界値または排出限界値の少なくとも一部などの定義された境界条件が順守される。内燃機関の限界燃料質量流量は、特にデータモデルによってモデル化された予測排出値を関数として決定することもできる。予測放出値は時点T+1でモデル化される。
【0018】
内燃機関の限界燃料質量流量はデータモデルによって決定することができる。このデータモデルの入力燃料質量流量は時間T+1のデータモデルによってモデル化された予測排出値が排出限界値以下になるまで反復される。このデータモデルは排出量予測とも呼ばれる。
【0019】
排出限界値を限界排出ベクトルとして設計すると内燃機関の限界燃料質量流量はデータモデルを使用して決定できる。ここではデータモデルによってモデル化されたデータモデルの予測排出ベクトルの座標が限界排出ベクトルの関連する排出限界値以下になるまで、データモデルの入力燃料質量流量が反復的に減少される。予測放出ベクトルには時間T+1でのデータモデルによってモデル化された放出値が座標として含まれる。
【0020】
データモデルの入力燃料質量流量は、個々の排出限界値の場合および限界排出ベクトルの場合の両方で、以前に決定された目標燃料質量流量と最初に等しくすることができる。データモデルはデータモデルによってモデル化された時間Tでの排出値を座標として含む実際の排出ベクトルをモデル化するためにも使用できる。
【0021】
内燃機関の限界燃料質量流量は人工ニューラル ネットワークを含むデータ モデルを使用して代替的または組み合わせて決定することができる。人工ニューラル ネットワークは、入力層のニューロンとして少なくとも内燃機関の実際の状態ベクトルまたは第 1 状態ベクトル、目標燃料質量流量、および/または排出限界値または排出限界ベクトルの座標の一部を有することができる。
【0022】
人工ニューラルネットワークは時点Tより前の時点TOにおいて内燃エンジンのシミュレーションから得られたデータまたは内燃エンジンのテストランからの測定データに基づいて教育することができる。さらに、ニューラルネットワークはシミュレーションから得られた内燃エンジンデータと内燃エンジンのテストランからの測定データとの組み合わせに基いてトレーニングすることができる。この方法のステップは人工ニューラルネットワークのベース キャリブレーションとも呼ばれる。
【0023】
目標燃料質量流量は時間Tに続く時間T+1での内燃機関で実際に機械エネルギーに変換される燃料質量流量である。従って、内燃機関の目標燃料質量流量は時間Tに続く時間T+1に設定される。
【0024】
目標燃料質量流量は目標燃料質量流量および限界燃料質量流量を関数として最小値を形成することによって決定される。換言すれば、目標燃料質量流量は最小値を形成することによって決定され、最小値の形成は目標燃料質量流量と限界燃料質量流量の関数である。
【0025】
目標燃料質量流量および限界燃料質量流量の最小値は、目標燃料質量流量および限界燃料質量流量を関数として最小値を形成することによって、目標燃料質量流量を決定するための目標燃料質量流量として設定できる。あるいは、目標燃料質量流量および限界燃料質量流量の関数として最小値を形成することによって目標燃料質量流量を決定するために、まず目標燃料質量流量を目標トルクに変換し、限界燃料質量流量を制限トルクに換算し、目標トルクと限界トルクから最小値を形成することができる。得られた最小値を燃料質量流量に変換することができ、それを目標燃料質量流量として設定する。
【0026】
基本的に、当業者は燃料質量流量が内燃機関のトルクにほぼ比例すると認識している。従って、目標燃料質量流量、制限燃料質量流量または目標燃料質量流量のいずれかが対応するトルクに変換され、さらなるステップに提供できる。逆もまた同様である。
【0027】
上記の代替として、またはそれと組み合わせて、目標燃料質量流量を電気エネルギー貯蔵装置の利用可能な放電容量の関数として決定することもできる。この目的のためには、特に電気エネルギー貯蔵装置の充電状態の関数として電気エネルギー貯蔵装置の利用可能な放電電力を決定することができる。
【0028】
以下、図面を参照して発明方法の例示的な実施形態を説明する。
[
図1]は、本発明方法を使用して作動させることができる直列トポロジーを有するハイブリッドドライブトレイン1を示している。このハイブリッドドライブトレイン1は内燃機関2を含み、この内燃機関2はモータシャフト3を介して発電機4に接続され、発電機4を回転駆動することができる。この場合、内燃機関2は水素内燃機関(WasserstoffVerbrennungsmotor)として運転される。発電機4は、車載電源システムの中間電気回路(elektrische Zwischenkreis)5を介して、電気エネルギー貯蔵装置6および出力装置8に電気的に接続されている。中間電気回路5は、例えばケーブルハーネスまたはパワーレール(Stromschiene)として設計できる。中間電気回路5はスイッチ16を介して外部電圧源15、例えば一般的な低電圧電力網に切り替え可能に接続される。従って、発電機4および電圧源15は、任意に、または、組み合わせて、中間電気回路5に電圧を印加し、出力装置8を動作させ、および/または、エネルギー貯蔵器6を充電することができる。
【0029】
この場合、電気エネルギー貯蔵器6はリチウムイオン蓄電器の形のバッテリーとして設計される。あるいは、その他の蓄電装置(Akkumulatoren)またはコンデンサを使用することもできる。出力装置8は第1の出力ユニット7および第2の出力ユニット7≡を含み、それぞれが電気モーターとして設計されている。第1の出力ユニット7および第2の出力ユニット7≡はそれぞれ出力シャフト9、9≡を有し、これらの出力シャフトは図示されていない機械的負荷に接続されている。この機械的負荷は油圧ポンプであるが、これに限定されない。出力装置8は任意の数の出力ユニットを含むことができ、その各々が同じまたは異なる設計にすることができることは言うまでもない。
【0030】
発電機4は状態監視を含む発電機制御ユニット10を含み、それによって例えば発電機速度および/または発電機4によって中間電気回路5に入る電流I_Gen、および/または、中間電気回路5に印加される電圧U_Schieneを監視することができる。発電機制御ユニット10は双方向AC/DC電流変換器の形のパワーエレクトロニクスを含む。AC/DC電流変換器は発電機4によって供給されるAC電圧をDC電圧に変換でき、DC電圧が中間電気回路5に印加される。また、発電機制御ユニット10のパワーエレクトロニクスは発電機4によって中間電気回路5に供給される電力を調整する。
【0031】
第1および第2の出力ユニット7、7'はそれぞれステータスモニタ(Zustandsuberwachung)を有する出力制御ユニット11、11'を備え、それによって例えば回転速度、出力シャフト9、9'の出力トルクおよび/または出力電力および/または中間電気回路5に印加される電圧U_Schieneを監視することができる。出力制御ユニット11、11≡は出力シャフト9、9≡に加えられる出力トルクを制御するための双方向AC/DC電流変換器の形のパワーエレクトロニクスをそれぞれ含む。このAC/DC電流変換器は中間電気回路5によって提供されるDC電圧を出力ユニット7、7'に印加されるAC電圧に変換できる。AC/DC電流変換器を介して交流電流の周波数を調整することもできる。
【0032】
電気エネルギー貯蔵装置6はそれぞれステータスモニタ(Zustandsuberwachung)を有するエネルギー貯蔵制御ユニット12を含み、それによって例えばエネルギー貯蔵器6の充電状態および充電または放電電流I_Batを監視することができる。エネルギー貯蔵器6が充電されている場合、I_Batは負の符号を持ち、エネルギー貯蔵器6が放電されている場合、I_Batは正の符号を持つ。出力装置8に流れる電流I_Anは発電機4から中間電気回路5に伝導される電流I_Genと、充電または放電電流I_Batとの和から生じる。
【0033】
内燃機関2は、内燃機関2の実際の状態ベクトルを決定することができる状態モニタ(Zustandsuberwachung)を有するエンジン制御ユニット14を含む。内燃機関2の実際の状態ベクトル(Ist-Zustandsvektor)はベクトル座標を使用して定義された時点Tにおける内燃機関2の状態を表す。この場合、実際の状態ベクトルには内燃エンジンの速度、噴射システムの分配パイプ内の圧力、燃料質量流量、運転サイクルでの燃料噴射時間、新鮮な空気の質量および空気の質量流量に対する再循環排気ガスの比率の実際の値が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、エンジン制御ユニット14は内燃機関2の必要なパラメータの動作も制御する。
【0034】
制御ユニット(ubergeordnete Steuereinheit)13は、発電機制御ユニット10、出力制御ユニット11、11’、エネルギー貯蔵制御ユニット12およびエンジン制御ユニット14と通信し、スイッチ16を制御するように設計されている。この制御ユニット13は[
図2]に示す方法に従ってハイブリッドドライブトレイン1を操作するように設計されている。
【0035】
制御ユニット13は、本発明方法のステップV10において、ハイブリッドドライブトレイン1の内燃機関2の時点Tにおける実際の状態ベクトルを決定する。この目的のために実際の状態ベクトルがエンジン制御ユニット14から制御ユニット13に伝送される。
【0036】
本発明方法の次のステップV20において、制御ユニット13は内燃機関2の目標出力を決定する。内燃機関2の目標出力の決定は、出力装置8の出力要求および電気エネルギー貯蔵装置6の所望充電出力の関数として行われる。この目的のために、出力制御ユニット11、11’は駆動ユニット7、7'の出力シャフト9、9’の速度及び出力トルクを制御ユニット13に伝達する。制御ユニット13は各駆動ユニット7、7'についてそれぞれの速度およびそれぞれの出力トルクから出力を計算する。あるいは、出力制御ユニット11、11’で出力電力を決定し、制御ユニット13に直接伝達することもできる。出力装置8の電力要件(Leistungsanforderung)は駆動ユニット7、7'の出力電力の合計から生じる。
【0037】
電気エネルギー貯蔵器6の所望充電容量は、エネルギー貯蔵器6の充電状態および/または出力装置8の電力要件に応じて、エネルギー貯蔵器制御ユニット12または制御ユニット13によって決定できる。
【0038】
本発明方法のステップV30において、制御ユニット13は、内燃機関2の目標出力の関数として、および、内燃機関2の実際の状態ベクトルの関数として、内燃機関2の目標燃料質量流量を決定する。内燃機関2の目標燃料質量流量はデータモデル(Datenmodelle)または特性図(Kennfelder)を使用して決定できる。
【0039】
本発明方法のステップV40では、内燃機関2の限界燃料質量流量(Grenz-Kraftstoffmassenfluss)が制御ユニット13によって決定される。この場合、これは限界放出ベクトルに応じて発生します。この場合、これはデータモデルを使用して、限界排出ベクトル、以前に決定された目標燃料質量流量および以前に決定された内燃機関2の実際の状態ベクトルの関数として行われる。この場合、入力層のニューロンとして限界排出ベクトル、目標燃料質量流量および内燃機関2の実際の状態ベクトルを有する人工ニューラルネットワークがデータモデルとして使用される。人工ニューラル ネットワークの出力層には境界燃料質量流量(Grenz-Kraftstoffmassenfluss)と第1放出ベクトル(1st-Emissionsvektor)がニューロンとして含まれる。人工ニューラルネットワークの出力層は、さらなるニューロンとして予測放出ベクトルを追加的にまたは任意に含むことができる。
【0040】
本発明方法の次のステップV50において、制御ユニット13によって目標燃料質量流量が決定される。この場合、目標燃料質量流量は目標燃料質量流量と限界燃料質量流量の低い方の値に等しい。
【0041】
本発明方法の次のV60において、内燃機関2における時点T+1での目標燃料質量流量が設定される。この目的のために制御ユニット13は設定燃料質量流量をエンジン制御ユニット14に伝達する。エンジン制御ユニット14は、目標燃料質量流量に従って燃料噴射装置によって提供される燃料質量流量を制御する。
【0042】
あるいは、内燃機関2の目標燃料質量流量、限界燃料質量流量および目標燃料質量流量をエンジン制御ユニット14で決定し、これらの値をエンジン制御ユニット14から制御ユニット13に通信することもできる。
【0043】
別のオプションである本発明方法のステップV70では、本発明方法のステップV50の後に、特に、本発明方法のステップV60と並行して、制御ユニット13が電気エネルギー貯蔵ユニット6の目標放電値を決定することができる。この場合、これは目標燃料質量流量と設定燃料質量流量との間の差の関数として行われる。あるいは、または、それと組み合わせて、電気エネルギー貯蔵装置6の目標放電値を電気エネルギー貯蔵装置6の充電状態の関数として決定することもできる。
【0044】
それに続けて、やはりオプションである本発明方法のステップV80において、ハイブリッド駆動装置の出力装置8を駆動するために、制御ユニット13が電気エネルギー貯蔵器6の目標放電値を開始する。
【符号の説明】
【0045】
1 ハイブリッド パワートレイン
2 内燃機関
3 モーターシャフト
4 発電機
5 中間電気回路
6 電気エネルギー貯蔵機
7 T出力ユニット
8 出力装置
9、9≡ 出力軸
10 発電機制御ユニット
11、11≡ 出力制御ユニット
12 蓄電制御ユニット
13 制御装置
14 エンジンコントロールユニット
15 外部電圧源
16 スイッチ
【外国語明細書】