(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107745
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】コネクタおよびコネクタ位置保証装置を備えるコネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
H01R13/64
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023006267
(22)【出願日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】2200577
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】518105024
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクス フランス エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】グザヴィエ ルイヤール
(72)【発明者】
【氏名】ナウファル ヤディーネ
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA08
5E021FC36
5E021FC38
5E021JA05
5E021KA06
5E021KA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】嵌合位置へのCPA装置の不慮の押し込みに対する保護が改善されたコネクタアセンブリを提供する。
【解決手段】CPA装置(1)は、出荷時位置と、CPA装置がコネクタと第2のコネクタとの間の嵌合を確実にするように構成される最終位置との間で移動可能に配置され、本体(3)と、少なくとも部分的に嵌合方向(x)で本体から延び、嵌合方向に垂直な力方向(y)でラッチアーム(5)に印加される力(F1)に対する所定の弾性を有するラッチアームを備える、コネクタアセンブリに関する。コネクタアセンブリは、本体に対するラッチアームの遠位端部の面(9)が、少なくとも部分的に力方向に向く少なくとも1つの面取り面部分(19)を備え、少なくとも部分的に出荷時位置で面取り面部分と嵌合する少なくとも1つの傾斜面部分を備えるコネクタの止め要素の止め面に当接するように構成されている
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ(100)と、
前記コネクタ(100)と第2のコネクタとの間の嵌合方向(x)における嵌合を確実にするためのコネクタ位置保証(CPA)装置(1)と
を備えるコネクタアセンブリであって、
前記CPA装置(1)は、前記コネクタ(100)において、出荷時位置と、前記CPA装置(1)が前記コネクタ(100)と前記第2のコネクタとの間の嵌合を確実にするように構成される最終位置との間で移動可能に配置され、前記CPA装置(1)は、
本体(3)と、
少なくとも部分的に前記嵌合方向(x)において前記本体(3)から延びるラッチアーム(5)であって、前記嵌合方向(x)に垂直な力方向(y)において前記ラッチアーム(5)に印加される力(F1)に対する所定の弾性を有する、ラッチアーム(5)と
を備える、コネクタアセンブリにおいて、
前記本体(3)に対する前記ラッチアーム(5)の遠位端部の面(9)が、
少なくとも部分的に前記力方向(y)に向く少なくとも1つの面取り面部分(19)を備え、
少なくとも部分的に前記出荷時位置において前記面取り面部分(19)と嵌合する少なくとも1つの傾斜面部分(117a、117b)を備える前記コネクタ(100)の止め要素(111)の止め面(119)に当接するように構成されている
ことを特徴とする、
コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記ラッチアーム(5)の前記遠位端部は、前記嵌合方向(x)に対して前記ラッチアーム(5)から側方に延びる少なくとも1つの側方翼部(17a、17b)を備え、
前記面取り面部分(19)は、少なくとも部分的に、特に完全に、前記少なくとも1つの側方翼部(17a、17b)により形成されている(21a、21b)、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項3】
前記コネクタ(100)は、ラッチアーム(5)移動範囲制限面(121a、121b)を備え、前記移動範囲制限面(121a、121b)は、前記ラッチアーム(5)の移動範囲が前記移動範囲制限面(121a、121b)と前記少なくとも1つの側方翼部の面(31a、31b)との間の形状嵌合配置により前記移動範囲の端部において制限されるように構成されている、
請求項2に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの側方翼部(17a、17b)は、少なくとも部分的に前記嵌合方向(x)とは反対の方向を向く面取り面(33a、33b)、
特に、前記コネクタ(100)の嵌合面取り解放面(129a)に当接するように構成されている面取り面(33a、33b)
を備える、
請求項2または3に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項5】
前記ラッチアーム(7)は、前記嵌合方向(x)に対して0°よりも大きい所定の鋭角(α)で、特に1°~60°の間、好ましくは2°~30°の間、さらに好ましくは5°~15°の間の角度で前記本体(3)から延びる、
請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項6】
前記面取り面部分(19)と前記嵌合方向(x)に垂直な前記力方向(y)との間の鋭角(β)が、0°よりも大きい、特に5°~30°の間、好ましくは10°~20°の間に含まれる、
請求項1から5のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項7】
前記本体(3)は、前記CPA装置(1)を前記最終位置にロックするために前記コネクタ(100)における嵌合貫通孔(115a)と形状嵌合接続を形成するように構成されている、前記嵌合方向(x)に対する第1の側方突出部(25a)を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項8】
前記本体(3)は、前記CPA装置(1)を前記出荷時位置から前記最終位置へとおよび前記最終位置から前記出荷時位置へと案内するように構成されている前記コネクタ(100)における細長凹部または細長貫通孔(115b)へと延びる、前記嵌合方向(x)に対する第2の側方突出部(25b)を備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項9】
前記第1の側方突出部(25a)および/または前記第2の側方突出部(25b)は、前記第1の突出部(25a)および/または前記第2の突出部(25b)が前記嵌合方向(x)に対して側方に変位可能であるように、前記本体(3)の可撓性部分(27)に形成されている、
請求項7または8に記載のコネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよびコネクタ位置保証装置を備えるコネクタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
多様な設備、機械、または装置において、コネクタシステムの2つの同種コネクタ、特に電気コネクタの間のロックを確実にするように機能するコネクタ位置保証(CPA)装置が、従来技術において知られている。CPA装置は、嵌合位置またはロック位置とも称される最終位置においてコネクタシステムに設置されると、コネクタシステムの2つのコネクタ間の嵌合のためのさらなるロック手段を提供する機能、および、それらのコネクタが適切に嵌合していることをユーザに示す機能を果たすことができる。したがって、CPA装置を備えるコネクタシステムは、CPA装置を有しない従来の同種コネクタよりも耐久性および信頼性の高い、2つのコネクタ間の嵌合を提供することができる。
【0003】
通常、2つのコネクタの嵌合の前に、CPA装置が、初期位置、第1の位置、事前設置位置または事前設定位置とも称される出荷時位置において一方のコネクタに予め設置される。ここで、CPA装置は、出荷時位置と最終位置との間で移動可能に配置される。最終位置において、CPA装置は、一方のコネクタと第2のコネクタとの間の嵌合を確実にするように構成される。
【0004】
従来のCPA装置は通常、本体、および、少なくとも部分的にコネクタと第2のコネクタとの嵌合方向において本体から延びるラッチアームを含む。通常、CPA装置が最終位置へと移動することが阻止されるように、止め要素がCPA装置のラッチアームの動きを阻止する。第2のコネクタによってラッチアームに印加される力により、ラッチアームが止め要素をすり抜けることを可能とすることができ、それにより、ユーザがCPA装置を最終位置へと移動させることが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、出荷時位置において、不慮の動きによってラッチアームの不所望な変位が生じることにより、ラッチアームと止め要素との間の阻止係合が損なわれる可能性がある。特に、嵌合方向においてCPA装置に、または嵌合方向に垂直な方向においてラッチアームに働く不意の圧力により、阻止係合が解放される場合があり、2つのコネクタの嵌合が不完全である、不適切であるまたは嵌合していない場合であっても、CPA装置が最終位置へと移動する場合がある。
【0006】
そのような不意の押し込みにより、CPA装置が止め要素をすり抜ける場合があり、それによりコネクタの不確実な(false positive)嵌合が生じる。これは、例えば輸送およびパッケージングの間に衝撃が生じる場合に、または、コネクタに対するCPA装置の操作および設置の間における不意の強い押し込みにより起こる場合があり、それにより、相手側の第2のコネクタが適切に配置されていない場合であっても、ラッチアームが止め要素を越えて押し出される。
【0007】
これは、電気的な動作不良、さらには接続されている装置または回路における電気事故を引き起こす、不安定な電気的接続またはコネクタの不所望な結合解除などの好ましくない結果をもたらす場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みて、本発明は、改善されたコネクタアセンブリ、特に、嵌合位置へのCPA装置の不慮の押し込みに対する保護が改善されたコネクタアセンブリを提供することを目的とする。特に、コネクタアセンブリの誤ったまたは不慮の操作に対するさらなる耐性とともに、CPA装置への押し込みまたは衝撃に対するさらなる耐性を提供するコネクタアセンブリを提供することを目的とする。
【0009】
この目的は、コネクタと、コネクタと第2のコネクタとの間の嵌合方向における嵌合を確実にするためのコネクタ位置保証装置とを備えるコネクタアセンブリにより実現される。CPA装置は、コネクタにおいて、出荷時位置と、CPA装置がコネクタと第2のコネクタとの間の嵌合を確実にするように構成される最終位置との間で移動可能に配置される。コネクタアセンブリは、本体と、少なくとも部分的に嵌合方向において本体から延び、嵌合方向に垂直な力方向においてラッチアームに印加される力に対する所定の弾性を有するラッチアームとを備える。
【0010】
コネクタアセンブリは、本体に対するラッチアームの遠位端部の面が、少なくとも部分的に力方向を向く少なくとも1つの面取り面部分を備え、少なくとも部分的に出荷時位置において面取り面部分と嵌合する少なくとも1つの傾斜面部分を備えるコネクタの止め要素の止め面に当接するように構成されていることを特徴とする。第1に、本発明のCPA装置は、CPA装置のラッチアームとコネクタとの間の係合の表面積を増大させることで摩擦力をより大きくすることにより、不慮の変位が生じるリスクを低減する。第2に、CPA装置とコネクタとの間の傾斜した係合面を有することにより、ラッチアームの不所望な屈曲が生じるリスクをさらに低減することができる。
例えば、そのような傾斜した係合面を有しない場合、嵌合方向への過大な押し込み力により、下方への移動、すなわち力方向への移動、またはラッチアームもしくは止め要素の破損が生じる場合があるが、傾斜した係合面が存在することで、嵌合方向に沿った強い押し込み力により、ラッチアームを上方に、すなわち力方向の逆方向にずらすことができる。CPA装置の誤操作のリスクを低減することにより、2つのコネクタの位置保証を向上させることができ、接続の耐久性および信頼性を高めることもできる。
【0011】
一実施形態によれば、ラッチアームの遠位端部は、嵌合方向に対してラッチアームから側方に延びる少なくとも1つの側方翼部を備えてよく、面取り面部分は、少なくとも部分的に、特に完全に、少なくとも1つの側方翼部により形成されてよい。
【0012】
本実施形態においては、ラッチアームと止め要素との係合面積を増大させることができる。それにより、嵌合方向、および嵌合方向に垂直な方向におけるラッチアームの変位に対するさらなる耐性を提供することができる。一実施形態によれば、コネクタは、ラッチアーム移動範囲制限面を備えてよく、この移動範囲制限面は、ラッチアームの移動範囲が移動範囲制限面と少なくとも1つの側方翼部の面との間の形状嵌合配置(form fit arrangement)により移動範囲の端部において制限されるように構成されている。
【0013】
そのように制限面の移動範囲を遮断することにより、CPA装置に損傷を及ぼす可能性がある、嵌合方向における押し込み力によるラッチアームの過度な摺動を回避することができる。
【0014】
一実施形態によれば、CPA装置のラッチアームの少なくとも1つの側方翼部は、少なくとも部分的に嵌合方向とは反対の方向を向く面取り面、特に、コネクタの嵌合面取り解放面に当接するように構成されている面取り面を備えてよい。
【0015】
この面取り面により、ユーザがCPA装置を最終位置から再び出荷時位置へと移動させるときに、CPA装置のロック解除を容易にすることができる。面取り面は、ラッチアームの側方翼部の縁部をなだらかにすることができ、それにより、特にコネクタ側に面取り解放面が存在する場合に、嵌合方向に垂直な方向におけるラッチアームの屈曲が容易になる。
【0016】
一実施形態によれば、ラッチアームは、嵌合方向に対して0°よりも大きい所定の鋭角で、特に1°~60°の間、好ましくは2°~30°の間、さらに好ましくは5°~15°の間の角度で本体から延びていてよい。
【0017】
この特定の所定の角度の範囲内において、ラッチアームは、静置位置から押し出されたときに効果的な復元力を提供することができ、したがって、止め要素の一方側から他方側へと通過するときの安全な配置が確実になる。
【0018】
一実施形態によれば、面取り面部分と嵌合方向に垂直な力方向との間の鋭角が、0°よりも大きい、特に5°~30°の間、好ましくは10°~20°の間に含まれる。
【0019】
傾斜面部分の傾斜により、嵌合方向、および嵌合方向に垂直な方向の逆方向における移動に対する抵抗力の分布が決定し得る。よって、これらの特定の傾斜値の範囲内において、一方では、嵌合方向に押されたときにラッチアームを変位させるのに必要な力を著しく増大させるが、他方では、突合せ方向に垂直な方向にラッチアームを変位させるのに必要な力をわずかにしか増大させないという2つの目的を実現する、均衡のとれた力分布の値を実現することができる。したがって、不慮の接触によってではなく、嵌合中に第2のコネクタにより、ラッチアームを突合せ方向に垂直な方向に変位させることができる。
【0020】
一実施形態によれば、本体は、CPA装置を最終位置にロックするためにコネクタにおける嵌合貫通孔と形状嵌合接続(form fit connection)を形成するように構成されている、嵌合方向に対する第1の側方突出部を備えてよい。
【0021】
よって、形状嵌合接続を介して、CPA装置を最終位置にロックすることができる。貫通孔により、外部からの視覚的制御および第1の突出部への手動接触を可能とすることができる。よって、CPA装置のロック状態を視覚的に確認することができる。加えて、ロック状態を解除することができるように、第1の突出部への手動接触が可能となる。
【0022】
一実施形態によれば、本体は、CPA装置を出荷時位置から最終位置へとおよび最終位置から出荷時位置へと案内するように構成されているコネクタにおける細長凹部または細長貫通孔へと延びる、嵌合方向に対する第2の側方突出部を備えてよい。
【0023】
そのような、細長凹部または細長貫通孔における第2の側方突出部により、出荷時位置から最終位置へのおよび最終位置から出荷時位置へのCPA装置の案内を可能とすることができる。
【0024】
一実施形態によれば、第1の側方突出部および/または第2の側方突出部は、第1の突出部および/または第2の突出部が嵌合方向に対して側方に変位可能であるように、本体の可撓性部分に形成されてよい。
【0025】
側方突出部をCPA装置の可撓性部分に形成することにより、側方突出部によってコネクタにロックされているCPA装置のロックを解除することができる。例えば、側方突出部がロック機能を提供する位置から変位するように、可撓性部分に圧力を及ぼすことにより、ロック解除を行うことができる。
【0026】
本発明のこれらおよびその他の目的および利点が、本発明の現在好適な例示的実施形態についての以下のより詳細な説明を添付の図面と併せて入念に検討することにより、より完全に理解および認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るCPA装置を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る、出荷時位置においてコネクタに挿入されているCPA装置のコネクタアセンブリを示す図である。
【
図3A】
図2に係るコネクタアセンブリの断面図である。
【
図3B】
図2のコネクタアセンブリの別の断面図である。
【
図4】アセンブリを第2のコネクタと組み付ける連続的段階における、
図2のコネクタアセンブリのCPA装置およびコネクタの一連の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のコネクタ位置保証(CPA)装置1の第1の実施形態について、
図1を参照して説明する。CPA装置1は、
図2に示すように、コネクタ100において用いられる。コネクタ100およびCPA装置1は、本発明に係るコネクタアセンブリ150を形成する。使用中において、コネクタ100は、相手側の第2のコネクタと組み付けられてよく、CPA装置1は、アセンブリを固定するために用いられる。
【0029】
CPA装置1は、本体3、および、実質的に嵌合方向xにおいて本体3から延びるラッチアーム5を備える。ラッチアーム5の遠位端部には、ラッチヘッド7が形成される。ラッチアーム5は、実質的に正方形の断面を有し、少なくとも部分的に嵌合方向xにおいて延びるラッチアーム5の遠位端部の面9、および少なくとも部分的に突合せ方向xに垂直な方向yに向く底面11a、ならびに底面11aとは反対側の頂面11bを備える。ラッチアーム5はさらに、y方向で互いに反対向きの2つの側面13a、および底面11に垂直なy方向を向く側面13bを備える。変形例によれば、正方形の断面に代えて、長方形または円形のような他の形状がラッチアーム5に用いられてもよい。
【0030】
本実施形態において、ラッチアーム5は、嵌合方向xに対して、0°よりも大きい、特に1°~60°の範囲、好ましくは2°~30°の間、より好ましくは5°~15°の間の鋭角αで本体3から延びる。ラッチアーム5のラッチヘッド7は、頂面11bから突出する先端面15aを有する先端部15を有する。
【0031】
ラッチアーム5は、嵌合方向xに垂直な力方向yにおいてアーム5のラッチヘッド7に印加される力F1に対する所定の弾性を有する。この所定の弾性は、鋭角αおよびCPA装置1の材料の材料特性、特にヤング率および降伏応力に基づいて決定される。
【0032】
ラッチアーム5の遠位端部に形成されるラッチヘッド7において、側方翼部17aが、横断方向zとは反対の方向において第1の側面13aから側方に延びる。同様に、第2の側方翼部17bが、横断方向zにおいて第2の側面13bから側方に延びる。
【0033】
ラッチアーム5の遠位端部の面9は、本発明に係る面取り面部分19を備える。面取り面部分19は、ラッチアーム5の遠位端部の面9と底面11aとを接続する縁部における面取り部を構成する。面9の非傾斜部分は、嵌合平面とも称されるy-z平面において延び、一方で面取り面部分19は、y-z平面と角度βをなす。鋭角βは、0°よりも大きく、好ましくは5°~30°の間、より詳細には10°~20°の間である。
【0034】
本構成において、面取り面部分19は、少なくとも部分的に力方向yに向く。換言すると、力方向yへの面取り面部分19の法線ベクトルnの射影n_yは、正の値を有する。側方翼部17a、17bは、それぞれの遠位端面21a、21bが、単一の連続する平面において面取り面部分19の一部をなすように配される。このように、面取り面部分19は、部分的に側方翼部17a、17bにより形成される。
【0035】
CPA装置1のラッチアーム5の側方翼部17a、17bはまた、嵌合方向xに垂直な力方向yとは反対の方向を向くコンタクト面31a、31bをそれぞれ備える。
【0036】
側方翼部17a、17bは、嵌合方向xに向く面21a、21bとは実質的に反対側の領域においてそれぞれの面取り面33a、33b(33bは
図1では視認不可能)をさらに備える。そのため、面取り面33a、33bは、少なくとも部分的に嵌合方向xとは反対の方向を向く。
【0037】
CPA装置1の本体3は、嵌合方向xにおいてラッチアーム5とは反対側の作動面23を備える。作動面23は、後述するように、ユーザによりCPA装置1を作動させる、例えば出荷時位置から最終位置へと移動させるために用いられる。
【0038】
側方突出部25aおよび25bが、本体3から延びる。
図1に示す実施形態において、2つの突出部25a、25bは、本体3の可撓性部分27から横断方向zとは反対の方向において側方に延びる。
【0039】
突出部25aおよび25bは、本体3に対して方向zに可撓性を有する可撓性部分27に配置される。この可撓性は、可撓性部分27と本体3との間で嵌合方向に延びる細長空洞部29により実現される。
【0040】
対応する突出部、部分および空洞部が、嵌合方向xに関して対称にCPA装置1の本体3の反対側に設けられる。
【0041】
本体3はさらに、ラッチアーム5の両側における2つの案内壁35aおよび35bを備える。案内壁35a、35bは、一方ではCPA装置をコネクタ100の空間内に案内し、また、CPA装置1が最終位置にあるときに、接続されている第2のコネクタ200からコネクタ100が外れることを阻止するという二重の機能を提供する。これについては、
図4を参照して説明する。
【0042】
最後に、本体3は、2つのくさび部分36a、36b(くさび要素36aは視認不可能)を備える。くさび部分36a、36bは、ラッチアーム5の両側において本体3から嵌合方向xに突出するが、ラッチアーム5の長さよりも著しく短く、特に20%未満である。くさび部分36a、36bの機能については、
図4を参照して説明する。
【0043】
本発明の本実施形態において、CPA装置1は、一体品であり、例えば射出成形により形成される。これにより、迅速かつコスト効率の高い生産が可能となるとともに、装置の全体にわたって既知の一貫した材料特性とすることが可能となる。
【0044】
図2は、コネクタ100に装着されているCPA装置1を示す。それにより、コネクタアセンブリ150が形成される。コネクタ100は、例えば電気コンタクト、導電体および/またはその他のコネクタの電気的サブコンポーネント(不図示)をコネクタハウジング101の内側に備える電気コネクタであってよい。第2のコネクタの電気コンタクトが、コネクタハウジング開口部125を介してコネクタのコネクタハウジング101に入ることができる。
【0045】
コネクタハウジング101は、嵌合方向xに沿って配置されるラッチ構造体107を備える。コネクタ100のラッチ構造体107は、2つのCPA支持構造体103a、103bの間に含まれる空間105に部分的に入るように延び、コネクタハウジング101と共にラッチ構造体空洞部109を形成する。ラッチ構造体は、嵌合方向xにおいて一端部107aのみで支持され、それにより、嵌合方向xとは反対の方向におけるラッチ構造体107の端部に配置される他端部107bにおいて方向yへと下方に弾性的に屈曲することができる。CPA装置1は、ラッチ構造体107がCPA装置1のラッチアーム5をラッチ構造体空洞部109に収容するように、空間105に受け入れられる。CPA装置1の案内壁35a、35bは、コネクタ100の支持構造体103a、103bおよびラッチ構造体107に沿ってCPA装置を案内するように構成される。
【0046】
図2は、コネクタ100がまだ第2のコネクタと組み付けられていない、いわゆる出荷時位置におけるコネクタアセンブリ150を示す。
【0047】
ラッチ構造体107は、止め要素111を備える。止め要素111は、嵌合方向xに垂直な横断方向zにおいてラッチ構造体空洞部109にまたがる。横断方向zにおける止め要素111の配置により、ラッチ構造体107が2つの部分113a、113bに分かれる。出荷時位置において、CPA装置1のラッチアーム5は、部分113aに残っており、嵌合方向xに沿ってそれ以上移動することが防止されるように、止め要素111の止め面119に当接している。
【0048】
CPA装置1は、コネクタと第2のコネクタとの間の適切な結合を確実にするために、出荷時位置から最終位置へと移動され得る。この移動は、例えば力F1をラッチヘッドの先端面15aに印加することにより、止め要素111により形成されるブリッジよりも下方へとラッチヘッド7を力方向yに移動させることによって止め面119との当接が解除されたときに生じ得る。このとき、ユーザがCPA装置1を方向xに沿って止め要素111を越えるまで押し込むことができ、それにより、ラッチアーム5が第2の部分113bに受け入れられる。
【0049】
コネクタハウジング101のCPA支持構造体103bは、貫通孔115aおよび細長貫通孔115bを備える。対応する貫通孔が、支持構造体103aに設けられる。
図2に示す実施形態において、貫通孔115a、115bは、嵌合方向xに垂直な横断方向zにおいて支持構造体103bを横断する。
【0050】
貫通孔115aは、CPA装置1が出荷時位置から最終位置へと移動したときに、CPA装置1の側方突出部25aを収容するように構成される。それにより、最終位置から出荷時位置への、嵌合方向xとは反対の方向における後方への不意の移動を防止することができる。ユーザによる必要な動作、すなわち突出部25aを嵌合貫通孔115aから押し出すことによってのみ、CPA装置1を再び解放することができ、出荷時位置に戻るように移動させることができる。
【0051】
側方突出部25bは、CPA装置1のための案内路として機能し、x方向において移動進路を制限する細長貫通孔115bに収容される。実際、嵌合方向における最終位置に向かっての移動が、細長貫通孔115bの左端部115b_1により制限され、他方の方向における出荷時位置に向かっての移動が、細長貫通孔115bの右端部115b_2により制限される。変形例によれば、細長貫通孔115bに代えて、CPA支持構造体103bの壁を貫通しない凹部が設けられてもよい。
【0052】
図2はまた、さらに下記でより詳細に説明する面取り解放面129aを示す。
【0053】
図3Aは、
図2に示すように出荷時位置において組み付けられているCPA装置1およびコネクタ100の切断図を示す。
図3Bは、最終位置においてCPA装置と組み付けられているコネクタ100の切断図を示す。
図3Aは、
図3Bのx-y平面における軸Aに沿った切断図に相当し、
図3Bは、
図3Aのy-z平面における軸Cに沿った切断図に相当する。
図1および
図2の説明におけるものと同じ参照符号を用いる。
【0054】
図3Aは、CPA装置1がコネクタ100との出荷時位置にある場合における、CPA装置1およびコネクタ100の上側部分のx-y平面に沿った断面図を示す。
図3Aはまた、CPA装置1が止め要素111に当接する領域の拡大図を示す。
【0055】
図3Aにおいて、ラッチアーム5と嵌合方向xとの間の角度αが示されている。嵌合方向xは、以下で説明するようにCPA装置1が移動可能な方向に相当する。
【0056】
見ることができるように、CPA装置1のラッチアーム5の遠位端部の面9は、y-z嵌合平面においてコネクタ100の止め要素111における止め面119に当接する。
【0057】
加えて、面9の面取り面部分19も、止め面119の嵌合傾斜面部分117aに当接する。特に、面取り面部分19のうち、側方翼部17aの遠位端面21aである部分が、嵌合傾斜面部分117bに当接する。同様に(
図3Aでは視認不可能であるが)、面取り面部分19のうち、側方翼部17bの遠位端面21bである部分が、嵌合傾斜面部分117bに当接する。本実施形態においては、止め要素111の対応する断面形状に起因して、面取り面部分19全体でなく、面取り面部分19の遠位端面21a、21bのみが止め要素111に当接する。
【0058】
拡大図は、先端部15がコネクタ100のラッチ構造体107における空洞部分113aの面127aを越えて突出するように、ラッチヘッド7が止め要素111に当接していることを示す。先端面15aは、力方向yとは反対の方向を向く。
【0059】
図3Aにおける拡大図はさらに、y-z平面に対する面取り面部分19の鋭角βを示し、止め要素111の傾斜面部分117a、117bが実質的に同じ角度βを有することを示す。
【0060】
拡大図はまた、ラッチヘッド7が、y-z平面に対して鋭角δで傾斜するラッチヘッド背面7aをさらに備えることを示す。
【0061】
図3Aはまた、力方向yに向くラッチ構造体の面である移動範囲制限面121aを示す。面121aは、
図3Bおよび
図4を参照してさらに説明するように、上方向におけるラッチヘッド7の移動範囲を制限する。
【0062】
本発明によれば、CPA装置1の面取り面部分19は、コネクタ100の嵌合傾斜面部分117a、117bと共に、例えば誤操作または輸送中の衝撃による意図しない軽い力F1および/または不所望な力F2が嵌合方向xにおいて作動面23に印加されたときに、ラッチアーム5の不慮の変位が生じるリスクを低減する。
【0063】
CPA装置1の面取り面部分19とコネクタ100の傾斜面部分117a、117bとの傾斜係合により、方向yにおける下方へのラッチアーム5の不所望な変位または屈曲が防止されるように、力F2がそれる。実際、力F2を受けると、ラッチアーム5は、y方向とは逆の上方に移動しやすくなっている。よって、相手側の第2のコネクタが存在しない場合、または第2の相手側コネクタが適切に配置されていない場合に、嵌合面19および117a、117bの傾斜係合が、不確実な接続を防止する助けとなり得る。
【0064】
さらに、一般論として、ラッチアーム5が止め要素111に当接するときの全体的な相互作用面が大きくなり、それにより、不確実な接続のリスクが低減する。
【0065】
同時に、ラッチアーム5の弾性に応じた所定の力F1を及ぼす、適切に配置された相手側の第2のコネクタが存在する場合にも、そのようなタイプのコネクタの通常の力範囲における力で、ラッチアーム5をy方向において下方へと押し込むことが可能である。
【0066】
図3Bは、CPA装置1が最終位置にある状態でCPA装置1に向かう方向に見た、
図3Aの軸Cにおける断面の立体図を示す。本図は、CPA装置1のラッチヘッド7の断面が、実質的に反転したT字の形状を有することを示す。
【0067】
ラッチアーム5の遠位端部の面9は、実質的に正方形の非傾斜部分37および面取り面部分19を備える。側方翼部17a、17bの遠位端面21a、21bは、単一の連続する平面において面取り面部分19の一部をなす。面9および面取り面部分19は、共にT字形状の係合領域を形成する。
【0068】
図3Aはまた、少なくとも部分的に嵌合方向xとは反対の方向を向く側方翼部17bの面取り面33b(翼部17aの面取り面33aは視認不可能)を示す。
図3Aはまた、コネクタ100が面取り解放面129aを備えることを示す。面取り解放面129aは、
図2において別の視点から見ることができる。嵌合方向xに関してCPA装置1の反対側にある対応する面取り解放面129bは、
図3Aでは視認不可能である。
【0069】
以下で説明するように、例えばコネクタ100を第2のコネクタ200から取り外す際、ユーザがCPA装置1を最終位置から再び出荷時位置へと移動させるときに、面取り面33bによりCPA装置1のロック解除が容易になる。最終位置において、ラッチヘッド7は、嵌合方向xにおいて止め要素111の背後で、ラッチ空洞部分113bから突出する。面取り面33bは、側方翼部17bの縁部をなだらかにし、それにより、ラッチアーム5がコネクタ100の面取り解放面129bにおいて摺動可能であることで、力方向yにおける下方へのラッチアーム5の屈曲が容易になる。他方側において、面取り面33aは、面取り解放面129aにおいて摺動可能である。同様に、ラッチヘッド背面7aの傾斜により、ラッチヘッド背面7aの摺動を促進することが可能となることで、CPA装置1のロック解除を容易にすることができる。
【0070】
図3Aにおいて見ることができるように、面取り解放面129bとy-z平面との間の角度と同じ角度である、側方翼部17bの面取り面33bとy-z平面との間の鋭角γは、角度βよりも大きい。ユーザがCPA装置1を嵌合方向xとは反対の方向に引き抜いて最終位置から出荷時位置へと移動させようとするときに、ラッチアームを力方向yにおいて下方に屈曲させるのに必要な力を小さくするように、より大きい角度γが選択される。ラッチヘッド背面7aとy-z平面との間の鋭角δもまた、角度βよりも大きく、特に角度γと同じであってよい。
【0071】
図3Bは、コネクタアセンブリ150が最終位置にある場合における、嵌合方向xとは反対の方向に見た、
図3Aの軸Cに沿ったコネクタアセンブリ150の断面を示す。
図4を参照して説明するように、ラッチアーム5を下方に屈曲させることによりCPA装置1が最終位置に移動し、それにより、CPA装置1を押すことでラッチヘッド7が止め要素111の下を通過することができる。ラッチヘッド7が止め要素111を通過すると、それぞれCPA装置1のラッチアーム5の側方翼部17a、17bのコンタクト面31a、31bが、力方向yとは反対の方向を向く。
図3Bに示す最終位置において、コンタクト面31a、31bは、上方向、したがって力方向yとは反対の方向におけるラッチアーム5の移動範囲を制限するように用いられる。
実際、それらの移動は、コネクタ100の対応する移動範囲制限面121a、121bにより制限される。CPA装置1が
図3Aに示すように出荷時位置にあるとき、同じ移動範囲制限機能が、側方翼部17a、17bのコンタクト面31a、31bにより果たされる。
【0072】
よって、出荷時位置において、面31a、31bが面121a、121bに当接しているとき、方向yとは反対の方向における上方へのラッチアーム5の移動が制限される。これにより、
図3Bに示すように、嵌合方向xにおける過大な不所望な力F2を受けて、ラッチアーム5が許容範囲を越えて上方に屈曲することが防止される。それにより、ラッチアーム5の過屈曲に起因する破損が防止される。
【0073】
図4は、
図3Aと同様に、
図3Bの軸Aに沿ったCPA装置1およびコネクタ100の4つの断面図を示す。4つの断面図は、本発明のコネクタアセンブリ150を相手側の第2のコネクタ200と組み付ける際の連続的段階を示す。前述の図面の説明において既に用いたものと同じ参照符号を再び用いる。
【0074】
段階Aにおいて、CPA装置1は、
図3Aに示すように、コネクタ100の空間105の内側において出荷時位置にある。よって、CPA装置1のラッチアーム5の遠位端部の面9がコネクタ100の止め要素111の止め面119と係合しており、面取り面部分19が嵌合傾斜面部分117a、および117b(視認不可能)と係合している。
【0075】
第2のコネクタ200は、コネクタアセンブリ150がコネクタ200と嵌合するように嵌合方向xに移動されることに伴い、ラッチ構造体107に沿って摺動するように構成される端子端部201を備える。段階Aに示す状況においては、第2のコネクタ200はまだ接続されていない。
【0076】
段階Bにおいて、CPA装置1を備えるコネクタアセンブリ150が嵌合方向xに沿って第2のコネクタ200に向かって移動されており、それにより、第2のコネクタ200の端子端部201がラッチ構造体107の上方で摺動し、止め要素111を通過している。
図2を参照して説明したように、ラッチ構造体107は、一端部107aのみにおいてコネクタ100により支持されており、したがって力方向yにおける力F3により下方へと局所的に屈曲可能である。よって、端子端部201がラッチ構造体107に沿って摺動することに伴い、止め要素111を力方向yにおいて下方へと一時的に屈曲させることにより、端子端部201が止め要素111を通過する。
【0077】
第2のコネクタ200の端子端部201は、止め要素111を通過した後、力方向yにおける下方への力F1を、嵌合方向xに実質的に垂直な方向yにおいてラッチヘッド7に働かせる。この力は、面取り面部分19と嵌合傾斜面部分117a、117bとの係合により提供される抵抗力に打ち勝つのに十分である。結果として、止め面9、119と傾斜面19、117a、117bとの係合が解除されることに伴い、ラッチアーム5が力方向yに変位する。そのように方向yに変位したラッチアーム5は、このとき、止め要素111により阻止されなくなっている。
【0078】
図4に示す段階Cにおいて、CPA装置1は次いで、力F2を印加することにより嵌合方向xに押され、止め要素111に阻止されなくなったラッチヘッド7は、止め要素111の下で嵌合方向xに沿って移動することができる。
【0079】
段階Dは、最終位置におけるCPA装置1の配置を示す。ラッチヘッド7は、嵌合方向xにおいて止め要素111を通過し、ラッチアーム5の所定の弾性の復元力により、ラッチヘッド背面7aが面取り解放面129cと係合するまで止め要素111の背後で方向yの逆の上方へと再び移動している。この位置において、面取り面33a、33bも、面取り解放面129a、129b(視認不可能)と係合している。
図3Bに示すように、コンタクト面31a(視認不可能)が範囲制限面121aと係合しており、コンタクト面31bが範囲制限面121b(視認不可能)と係合している。範囲制限面121a、121bは、力方向yとは反対の方向における上方へのラッチヘッド7の移動を阻止する。
【0080】
この位置において、CPA装置1は、案内壁35a、35b(
図4では視認不可能)が側方においてラッチ構造体107と係合するのに十分な距離まで空間105に挿入される。加えて、くさび部分36a、36bは、ラッチ構造体107の他端部107bとコネクタハウジング101との間に配置されるように、ラッチ構造体107と係合している。この位置において、くさび部分36a、36bは、ラッチ構造体107の下方への何らかの弾性移動、例えば他端部107bに対する操作、押し込みまたは衝撃によるラッチ構造体107の下方への屈曲を阻止する。
【0081】
例えば2つのコネクタ100および200を嵌合方向xに沿って反対方向に引っ張ることにより、2つのコネクタ100および200の取り外しを試みる場合、コネクタ200の端子端部201が止め要素111により阻止される。他端部107bの下方への屈曲がくさび部分36a、36bにより阻止されるため、ラッチ構造体107に形成される止め要素111は、下方に移動することができない。よって、端子部分201は、止め要素111の背後においてラッチ空洞部分113aの内側にロックされ、後方(嵌合方向x)に摺動することができなくなっている。
【0082】
さらに、この最終位置において、
図2に関して上記で説明したように、本体3における突出部25aも、コネクタの対応する貫通孔115aにロックされている。よって、CPA装置1は、コネクタ100と第2のコネクタ200との間の嵌合を確実にし、CPA装置1は、コネクタ100に堅固にロックされる。
【0083】
2つのコネクタ100および200を互いから取り外すためには、まず、CPA装置1を再び最終位置から出荷時位置へと移動させる必要がある。これを行うには、突出部25aを移動させて貫通孔115aから出すために、第1の突出部25aが形成されている可撓性部分27が横断方向zに移動するように、力を第1の突出部25aに印加する必要がある。
【0084】
同時に、ユーザは、嵌合方向xとは反対の方向にCPA装置1を引っ張り、側方翼部17a、17bの面取り面33a、33bおよびラッチヘッド背面7aが係合している面取り解放面129a、129b、129cの上で摺動可能になるように力を印加し、ラッチアーム5の頂面11bが止め要素111から係合解除されるようにラッチヘッド7を方向yに変位させる必要がある。このとき、CPA装置1は、
図4の段階Bに示すように、止め要素111の下で再び出荷時位置へと移動することができる。この位置において、第2のコネクタ200を第1のコネクタ100から再び取り外すことができる。
【0085】
CPA装置1がコネクタ100における出荷時位置に再び移動してからでないと、ラッチ構造体107の端部107bを動かす、すなわち下方に屈曲させることができない。例えば他端部107bを押すことによって、ラッチ構造体107を下方に移動させることにより、止め要素111が嵌合方向xにおける端子部分201の進路を阻止しなくなる。よって、例えばコネクタ100、200を取り外すために第2のコネクタ200を嵌合方向xに引っ張ることにより、第2のコネクタ200の端子端部201が止め要素111の上で後方に摺動することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 CPA装置
3 CPA装置の本体
5 CPA装置のラッチアーム
7 CPA装置のラッチヘッド
7a ラッチヘッド背面
9 ラッチアームの遠位端部の面
11a、11b ラッチアームの底面および頂面
13a、13b ラッチアームの側面
15 ラッチヘッド先端部
15a 先端面
17a、17b ラッチアームの側方翼部
19 面取り面部分
21a、21b 側方翼部の遠位端面
23 CPA装置の作動面
25a、25b CPA装置の側方突出部
27 CPA装置の可撓性部分
29 CPA装置の細長空洞部
31a、31b 移動範囲を制限するように構成される側方翼部の面
33a、33b 側方翼部の面取り面
35a、35b 案内壁
36a、36b 本体のくさび部分
37 面の非傾斜面部分
100 コネクタ
101 コネクタハウジング
103a、103b CPA支持構造体
105 CPA装置を収容するように構成される空間
107 ラッチ構造体
107a、107b ラッチ構造体の端部
109 ラッチ構造体空洞部
111 止め要素
113a、113b ラッチ空洞部の2つの部分
115a、115b コネクタの貫通孔
117 コネクタの嵌合傾斜面部分
119 コネクタの止め面
121a、121b コネクタの範囲制限面
125 コネクタハウジング開口部
127a ラッチ空洞部の部分の面
129a、129b、129c 面取り解放面
150 コネクタアセンブリ
200 第2のコネクタ
201 端子端部
α ラッチアームが本体から延びる鋭角
β 傾斜面部分と嵌合方向(x)に垂直な平面(y-z)との間の鋭角
γ 側方翼部の面取り面と平面(y-z)との間の鋭角
δ ラッチヘッド背面と平面(y-z)との間の鋭角
F1 力方向yにおけるCPA装置に対する力
F2 嵌合方向xにおけるCPA装置に対する力
F3 力方向yにおけるラッチ構造体に対する力
n 面取り面部分の法線ベクトル
n_y 力方向yにおけるnの射影
【手続補正書】
【提出日】2023-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ(100)と、
前記コネクタ(100)と第2のコネクタとの間の嵌合方向(x)における嵌合を確実にするためのコネクタ位置保証(CPA)装置(1)と
を備えるコネクタアセンブリであって、
前記CPA装置(1)は、前記コネクタ(100)において、出荷時位置と、前記CPA装置(1)が前記コネクタ(100)と前記第2のコネクタとの間の嵌合を確実にするように構成される最終位置との間で移動可能に配置され、前記CPA装置(1)は、
本体(3)と、
少なくとも部分的に前記嵌合方向(x)において前記本体(3)から延びるラッチアーム(5)であって、前記嵌合方向(x)に垂直な力方向(y)において前記ラッチアーム(5)に印加される力(F1)に対する所定の弾性を有する、ラッチアーム(5)と
を備える、コネクタアセンブリにおいて、
前記本体(3)に対する前記ラッチアーム(5)の遠位端部の面(9)が、
少なくとも部分的に前記力方向(y)に向く少なくとも1つの面取り面部分(19)を備え、
少なくとも部分的に前記出荷時位置において前記面取り面部分(19)と嵌合する少なくとも1つの傾斜面部分(117a、117b)を備える前記コネクタ(100)の止め要素(111)の止め面(119)に当接するように構成されている
ことを特徴とする、
コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記ラッチアーム(5)の前記遠位端部は、前記嵌合方向(x)に対して前記ラッチアーム(5)から側方に延びる少なくとも1つの側方翼部(17a、17b)を備え、
前記面取り面部分(19)は、少なくとも部分的に、特に完全に、前記少なくとも1つの側方翼部(17a、17b)により形成されている(21a、21b)、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項3】
前記コネクタ(100)は、ラッチアーム(5)移動範囲制限面(121a、121b)を備え、前記移動範囲制限面(121a、121b)は、前記ラッチアーム(5)の移動範囲が前記移動範囲制限面(121a、121b)と前記少なくとも1つの側方翼部の面(31a、31b)との間の形状嵌合配置により前記移動範囲の端部において制限されるように構成されている、
請求項2に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの側方翼部(17a、17b)は、少なくとも部分的に前記嵌合方向(x)とは反対の方向を向く面取り面(33a、33b)、
特に、前記コネクタ(100)の嵌合面取り解放面(129a)に当接するように構成されている面取り面(33a、33b)
を備える、
請求項2または3に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項5】
前記ラッチアーム(5)は、前記嵌合方向(x)に対して0°よりも大きい所定の鋭角(α)で、特に1°~60°の間、好ましくは2°~30°の間、さらに好ましくは5°~15°の間の角度で前記本体(3)から延びる、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項6】
前記面取り面部分(19)と前記嵌合方向(x)に垂直な前記力方向(y)との間の鋭角(β)が、0°よりも大きい、特に5°~30°の間、好ましくは10°~20°の間に含まれる、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項7】
前記本体(3)は、前記CPA装置(1)を前記最終位置にロックするために前記コネクタ(100)における嵌合貫通孔(115a)と形状嵌合接続を形成するように構成されている、前記嵌合方向(x)に対する第1の側方突出部(25a)を備える、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項8】
前記本体(3)は、前記CPA装置(1)を前記出荷時位置から前記最終位置へとおよび前記最終位置から前記出荷時位置へと案内するように構成されている前記コネクタ(100)における細長凹部または細長貫通孔(115b)へと延びる、前記嵌合方向(x)に対する第2の側方突出部(25b)を備える、
請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項9】
前記第1の側方突出部(25a)は、前記第1の突出部(25a)が前記嵌合方向(x)に対して側方に変位可能であるように、前記本体(3)の可撓性部分(27)に形成されている、
請求項7に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項10】
前記第2の側方突出部(25b)は、前記第2の突出部(25b)が前記嵌合方向(x)に対して側方に変位可能であるように、前記本体(3)の可撓性部分(27)に形成されている、
請求項8に記載のコネクタアセンブリ。
【外国語明細書】