(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107753
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】時計用の制御装置
(51)【国際特許分類】
G04B 27/02 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
G04B27/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023007978
(22)【出願日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】00067/22
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(71)【出願人】
【識別番号】515188350
【氏名又は名称】ブルガリ オロジェリー ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロシャ, ジャン-ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ベーラ, ジュリアン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型で、シンプルで、使用が容易な制御装置を提供する。
【解決手段】ユーザの行動により第一方向または第二方向に回転されることを意図される、入力2と、第一時計機能を提供する第一機構5に対して入力2を機械的に連結することを意図される、第一単方向性コネクタ3と、第二時計機能を提供する第二機構6に対して入力2を機械的に連結することを意図される、第二単方向性コネクタ4と、を含む、時計200用の制御装置1であって、第一単方向性コネクタ3は、入力2が第一方向に操作された際に、排他的に第一機構5を駆動するよう配置及びまたは構成され、第二単方向性コネクタ4は、入力2が第二方向に操作された際に、排他的に第二機構6を駆動するよう配置及びまたは構成され、第一単方向性コネクタ3は不可逆に相互作用する第一歯部321、331を含む、及びまたは第二単方向性コネクタ4は不可逆に相互作用する第二歯部421、431を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動により第一方向または第二方向に回転されることを意図される、入力(2)と、
第一時計機能を提供する第一機構(5)に対して前記入力(2)を機械的に連結することを意図される、第一単方向性コネクタ(3)と、
第二時計機能を提供する第二機構(6)に対して前記入力(2)を機械的に連結することを意図される、第二単方向性コネクタ(4)と、
を含む、時計(200)用の制御装置(1)であって、
前記第一単方向性コネクタ(3)は、前記入力が前記第一方向に操作された際に、排他的に前記第一機構(5)を駆動するよう配置及びまたは構成され、
前記第二単方向性コネクタ(4)は、前記入力が前記第二方向に操作された際に、排他的に前記第二機構(6)を駆動するよう配置及びまたは構成され、
前記第一単方向性コネクタ(3)は不可逆に相互作用する第一歯部(321、331)を含む、及びまたは前記第二単方向性コネクタ(4)は不可逆に相互作用する第二歯部(421、431)を含む、
時計(200)用の制御装置(1)。
【請求項2】
前記第一単方向性コネクタ(3)は、
第一遊星歯車キャリヤ(31)と、
前記第一遊星歯車キャリヤ(31)上で旋回される第一遊星歯車(32)と、
前記第一遊星歯車(32)と噛み合う第一太陽歯車(33)と、
を含み、
前記第一歯部は、前記第一遊星歯車と前記第一太陽歯車との境界面において、互いに不可逆に噛み合う、
請求項1に記載の制御装置(1)。
【請求項3】
前記第一遊星歯車キャリヤは前記入力を形成しまたは前記入力に取り付けられ、及び前記第一太陽歯車は前記第一機構に取り付けられるよう意図され、または前記第一遊星歯車キャリヤ(31)は前記第一機構(5)に取り付けられるよう意図され、及び前記第一太陽歯車(33)は前記入力を形成しまたは前記入力(2)に取り付けられる、
請求項1または2に記載の制御装置(1)。
【請求項4】
前記第二単方向性コネクタ(4)は、
第二遊星歯車キャリヤ(41)と、
前記第二遊星歯車キャリヤ(41)上で旋回される第二遊星歯車(42)と、
前記第二遊星歯車(42)と噛み合う第二太陽歯車(43)と、
を含み、
前記第二歯部は、前記第二遊星歯車と前記第二太陽歯車との境界面において、互いに不可逆に噛み合う、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置(1)。
【請求項5】
前記第二遊星歯車キャリヤは前記入力を形成しまたは前記入力に取り付けられ、及び前記第二太陽歯車は前記第二機構に取り付けられるよう意図され、または前記第二遊星歯車キャリヤ(41)は前記第二機構に取り付けられるよう意図され、及び前記第二太陽歯車(43)は前記入力を形成しまたは前記入力(2)に取り付けられる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置(1)。
【請求項6】
前記第一歯部はブレゲ歯部であり、及びまたは前記第二歯部はブレゲ歯部である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置(1)。
【請求項7】
前記第一単方向性コネクタは第一軸(A3)に中心を有し、前記第二単方向性コネクタは第二軸(A4)に中心を有し、前記第一及び第二軸は平行かつ別個である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置(1)。
【請求項8】
前記第一単方向性コネクタは第一軸(A3)に中心を有し、第二単方向性コネクタは第二軸(A4)に中心を有し、前記第一及び第二軸は単一かつ同一である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置(1)。
【請求項9】
前記第一及び第二遊星歯車キャリヤは単一かつ同一の部品を形成しまたはモノブロック組立体であり、または第一及び第二太陽歯車は単一かつ同一の部品を形成しまたはモノブロック組立体である、
請求項1から8のいずれか一項に記載の、及び請求項2、4及び8に記載の制御装置(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置(1)を含む、時計ムーブメント(100)。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置(1)、及びまたは
請求項10に記載の時計ムーブメント(100)
を含む、時計(200)、とりわけ腕時計(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用の制御装置に関する。本発明はまた、当該制御装置を含む、時計ムーブメントに関する。最後に本発明は、当該制御装置または当該時計ムーブメントを含む時計に関する。
【背景技術】
【0002】
時計は、その時計の機構、例えば香箱を巻き戻す機構、または時間を調整するまたはカレンダー表示や月相といったその他の時計機能を調整する機構、を作動させる役割を果たす、制御装置を具備する。慣習的に、制御装置は、ロッドに連結されユーザによって操作可能な、りゅうずを含む。ロッド-りゅうず組立品の様々な軸位置により、様々な時計機能の選択を規定することが可能となり、またそれらの各位置でのりゅうずの回転により、時計機能に働きかけることが可能となる。例えば、
-第一の軸位置にあるりゅうずの回転により、香箱を巻き戻すことが可能となる、
-第二の軸位置にあるりゅうずの回転により、日付の表示を修正することが可能となる、及び
-第三の軸位置にあるりゅうずの回転により、時間の表示を修正するまたは時間を設定することが可能となる。
【0003】
特定時計構造において、上述したような解決策は実施不可能であり、またその場合、上述した解決策を実施することは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述した欠点を改善した制御装置を提供し、従来から既知の制御装置を改善することにある。特に、本発明は、小型で、シンプルで、使用するのが容易な制御装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による制御装置は請求項1に定義される。
【0006】
制御装置の実施形態は請求項2から9に定義される。
【0007】
本発明による時計ムーブメントは請求項10に定義される。
【0008】
本発明による時計は請求項11に定義される。
【0009】
本発明の目的、特徴及び有利点は、非制限的な例示であって、添付の図面を引用する、一つの実施形態を説明する下記の詳細な説明に詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係る時計の一実施形態の模式図であり、遊星歯車およびこれらの遊星歯車と噛み合う太陽歯車の歯を可視化するために、円形部分断面が示される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
時計200の一実施形態について、
図1を参照しつつ以下に説明する。時計200は、例えば小型時計であり、特に腕時計である。時計200は、外部環境から自身を保護するために時計ケーシングまたはケースに搭載されることを意図される時計ムーブメント100を含む。時計ムーブメント100は機械式ムーブメント、とりわけ自動ムーブメント、またはハイブリッドムーブメントであってよい。
【0012】
ムーブメントは、
-第一時計機能を提供する第一機構5と、
-第二時計機能を提供する第二機構6と、
-ユーザが第一機構5に働きかける及び第二機構6に働きかけることを可能とする、制御装置1と、
を含む。
【0013】
この行動は、有利には、制御装置に機械的に連結された、特に制御装置の入力2に連結された、りゅうずまたはナーリングローラまたはキーを介してユーザによって実施される。
【0014】
示された実施形態において、第一機構5は時間を設定するための機構である。この第一機構は、例えば、駆動列、とりわけ時間の表示を修正するための歯車の列を含む。この第一機構は、例えば、分歯車列及びまたは分板の車5を含む。
【0015】
示された実施形態において、第二機構6は巻き戻し機構である。つまり、当該第一機構は、香箱6と、場合により駆動列、とりわけ香箱6に、とりわけ香箱のつめ車61に働きかける歯車の列、を含む。機構6は、つめ車61が反時計回り方向に回転することを防止する爪62を含んでもよい。
【0016】
別の実施形態において、第一機構5は別の機能、とりわけ
-別の修正機能、例えばカレンダー表示(曜日、日付、月、年など)を修正する機能または他の表示(例えば月相)を修正する機能、または
-別の香箱を巻き戻す機能、及び
第二機構6は別の機能を提供可能である、とりわけ
-別の修正機能、例えばカレンダー表示(曜日、日付、月、年など)を修正する機能または他の表示(例えば月相)を修正する機能、
を提供可能である。
【0017】
制御装置1は、
-ユーザの行動により第一方向または第二方向に回転されることを意図される、入力2と、
-第一時計機能を提供する第一機構5に対して入力2を機械的に連結することを意図される、第一単方向性コネクタ3と、
-第二時計機能を提供する第二機構6に対して入力2を機械的に連結することを意図される、第二単方向性コネクタ4と、
を含む。
【0018】
第一単方向性コネクタ3は、入力が第一方向に操作された際に、排他的に第一機構5を駆動するよう配置及びまたは構成され、第二単方向性コネクタ4は、入力が第二方向に操作された際に、排他的に第二機構6を駆動するよう配置及びまたは構成される。特に、
図1に示された実施形態において、以下に詳細に説明されるとおり、入力が軸A2回りに時計回り方向に回転されると、入力動作は排他的に第二機構6に伝達され、入力が軸A2回りに反時計回り方向に回転されると、入力動作は排他的に第一機構5に伝達される。
【0019】
当該機能を提供するため、第一単方向性コネクタ3は、不可逆に相互作用する第一歯部321、331を含み、及びまたは第二単方向性コネクタ4は、不可逆に相互作用する第二歯部421、431を含む。
【0020】
好ましくは、入力は、時計ムーブメントのフレーム99上で軸A2の回りを旋回するディスクである。入力2はシャフト、ロッド、ピニオンまたは歯車であってよい。入力は、りゅうずまたはナーリングローラまたはキーを介してユーザから受けるムーブメントを伝達する歯部21を有する。
【0021】
示された実施形態において、第一単方向性コネクタ3は、
-第一遊星歯車キャリヤ31と、
-第一遊星歯車キャリヤ31上で旋回される第一遊星歯車32と、
-第一遊星歯車32と噛み合い、入力2に対して保持、とりわけ回転可能に固定される、第一太陽歯車33と、
を含む。
【0022】
第一遊星歯車キャリヤ31はフレーム99上で軸A3回りに旋回される。第一遊星歯車キャリヤ31は第一コネクタを第一機構5に対して固定する歯部311を含む。第一遊星歯車32は、遊星歯車キャリヤ31のプレート上で、軸A3に平行な軸A32回りを旋回される。第一衛星32は、第一歯部のうちの一つの歯部321を含む。第一太陽歯車33はまた、フレーム99上で軸A3回りに旋回される。当該第一太陽歯車は、
-入力2の歯部21と噛み合う歯部332、及び
-第一歯部321と噛み合うことにより相互作用するもう一つの第一歯部331、
を含む。
【0023】
太陽歯車33は、例えば、歯部331を支持するピニオンからなり、このピニオンは、歯部332を支持する歯車に対して固定され、とりわけリベット留めされる。
【0024】
第一歯部321、331が不可逆的に噛み合うのと同様に、第一歯部321、331は不可逆に相互作用する。
【0025】
示された実施形態において、第二単方向性コネクタ4は、
-第二遊星歯車キャリヤ41と、
-第二遊星歯車キャリヤ41上で旋回される第二遊星歯車42と、
-第二遊星歯車42と噛み合い、入力2に対して保持され、とりわけ回転可能に固定される、第二太陽歯車43と、
を含む。
【0026】
第二遊星歯車キャリヤ41は、フレーム99上で軸A4回りに旋回される。第二遊星歯車キャリヤ41は、第二コネクタを第二機構に対して取り付ける歯部411を含む。第二遊星歯車42は、遊星歯車キャリヤ41のプレート上で、軸A4に平行な軸A42回りを旋回される。第二衛星42は、第二歯部のうちの一つの歯部421を含む。第二太陽歯車43はまた、フレーム99上で軸A4回りに旋回される。当該第二太陽歯車は、
-入力2の歯部21と噛み合う歯部432と、
-第二歯部421と噛み合うことにより相互作用するもう一つの第二歯部431と、
を含む。
【0027】
太陽歯車43は、例えば、歯部431を支持するピニオンからなり、このピニオンは、歯部432を支持する歯車に対して固定され、とりわけリベット留めされる。
【0028】
第二歯部421、431が不可逆的に噛み合うのと同様に、第二歯部421、431は不可逆に相互作用する。
【0029】
入力2が軸A2回りに反時計回り方向に回転されると、歯部21及び332の相互作用により、太陽歯車33が軸A3回りに時計回り方向に回転される。第一歯部321、331が係止され、遊星歯車32もまた軸A3回りに回転されると、その結果として遊星歯車キャリヤ31が軸A3回りを時計回り方向に駆動される。そのことによって、歯部311と51の相互作用を介して、遊星歯車キャリヤ31が第一機構5の歯車を反時計回り方向に駆動する。
【0030】
入力2が軸A2回りに反時計回り方向に回転されると、歯部21及び432の相互作用により、太陽歯車43が軸A4回りに時計回り方向に回転される。遊星歯車42は軸A42回りに時計回り方向に回転され、第二歯部421、431は自由に噛み合う。結果として、遊星歯車キャリヤ41は軸A4回りに回転しない。そのことによって、遊星歯車キャリヤ41は第二機構6の歯車61を駆動しない。
【0031】
入力2が軸A2回りに時計回り方向に回転されると、歯部21及び432の相互作用により、太陽歯車43が軸A4回りに反時計回り方向に回転される。第二歯部421、431は係止され、遊星歯車42は同様に軸A4回りに回転され、その結果、遊星歯車キャリヤ41は軸A4回りに反時計回り方向に回転される。そのことによって、歯部411及び611の相互作用を介して、遊星歯車キャリヤ41は第二機構6の歯車61(とりわけつめ車61)を時計回り方向に駆動する。
【0032】
入力2が軸A2回りに時計回り方向に回転されると、歯部21及び332の相互作用により、太陽歯車33が軸A3回りに反時計回り方向に回転される。遊星歯車32は軸A32回りに反時計回り方向に回転され、第二歯部321、331は自由に噛み合う。結果として、遊星歯車キャリヤ31は軸A3回りに回転しない。そのことによって、遊星歯車キャリヤ31は第一機構5の歯車51を駆動しない。
【0033】
第一及び第二歯部は、太陽歯車33が軸A3に関して時計回り方向に回転される際に係止され、太陽歯車43が軸A4のみに関して反時計回りに回転される際に係止されるよう、配置及びまたは係止される。遊星歯車が他の方向に駆動される際、歯部は係止されない。さらに、歯部は、遊星歯車キャリヤ31、41が駆動を一つの方向または二つの方向に与える場合、または遊星歯車キャリヤ33、43が駆動を与えている際に歯部が係止されないことが可能である場合、係止されてもよい。しかしながら、この構成は、被駆動機構5、6の性質によって、必須であってもなくてもよく、好ましくあってもなくてもよい。例えば、被駆動機構6が香箱である場合、歯部が係止されるか否かは問題とならない。例えば、被駆動機構5がモーションワークまたは分板である場合、入力2に対する行動がない場合、被駆動要素の数を制限し、かつエネルギー損失を制限するため、歯部が係止されないことが好ましい。
【0034】
歯部の係止によってこれらの不可逆な性質を実現するため、第一及び第二歯部のうち一方は非対称な外形を有する歯を含んでもよく、及びまたは第一及び第二歯部のうち他方は非対称な外形を有する歯を含んでもよい。「非対称」な外形とは、各歯が第一側面と第二側面を有し、第一及び第二側面は、歯の頂点を通過する歯車の半径に対して対称でないことを意味する。
【0035】
示された解決策によって、りゅうずを一方向に回すことによって時間を調節し、りゅうずを反対方向に回すことによって時計を巻き戻すことが可能となる。これは実用的である。さらに、この解決策は、
図1の面に垂直な方向に対して非常に小さな場所しかとらない。
【0036】
示された実施例において、第一太陽歯車33は入力2に対して取り付けられ、とりわけ回転可能に固定され、第一遊星歯車キャリヤ31は第一機構5に対して取り付けられ、とりわけ回転可能に固定されるよう意図され、第二太陽歯車43は入力2に対して取り付けられ、とりわけ回転可能に固定され、第二遊星歯車キャリヤは第二機構6に対して取り付けられ、とりわけ回転可能に固定されるよう意図される。変形例において、第一太陽歯車33が入力2を形成してもよく、それによりシャフト2は省かれてよく、太陽歯車33と43は互いに噛み合ってよい。別の変形例において、第二太陽歯車43が入力2を形成してもよく、それによりシャフト2は省かれてよく、太陽歯車33と43は互いに噛み合ってよい。入力シャフトが省かれて太陽歯車が互いに直接噛み合うと、太陽歯車は互いに反対方向に回転され、それ以外の装置はその構造に適応される必要がある。
【0037】
別の実施形態において、
-第一太陽歯車は、第一機構5に対して取り付けられ、とりわけ回転可能に固定されるよう意図されてよく、第一遊星歯車キャリヤは入力を形成してよく、または入力2に対して取り付けられ、とりわけ回転可能に固定されてよく、及び
-第二太陽歯車は、第二機構6に対して取り付けられ、とりわけ回転可能に固定されるよう意図されてよく、第二遊星歯車キャリヤは入力を形成してよく、または入力2に対して取り付けられ、とりわけ回転可能に固定されてよい。
【0038】
別の実施形態において、
-第一単方向性コネクタは、互いに同軸に設置された二つの歯車を含み、歯車はばねによって互いに戻り、それぞれが入力及び第一機構と噛み合い、それぞれがプレートにブレゲ歯部を有し、及び
-第二単方向性コネクタは、互いに同軸に設置された二つの歯車を含み、歯車はばねによって互いに戻り、それぞれが入力及び第二機構と噛み合い、それぞれがプレートにブレゲ歯部を有する。
【0039】
このことにより、入力が第一方向に回されると、第一単方向性コネクタの二つの歯車は回転され、第一機構も同様である。これに対して、第二単方向性コネクタの歯車のうち一つのみが回転され、もう一つの歯車及び第二機構のどちらも駆動されない。同様に、入力が第二方向に回されると、第二単方向性コネクタの二つの歯車は回転され、第二機構も同様である。これに対して、第一単方向性コネクタの歯車のうち一つのみが回転され、もう一つの歯車及び第一機構のどちらも駆動されない。
【0040】
別の実施形態において、
-単方向性コネクタのうちの一方は、太陽歯車、遊星歯車キャリヤ及び遊星歯車を有するタイプのものであり、及び
-単方向性コネクタの他方は、上述した通り、ブレゲ歯部を有するタイプのものである。
【0041】
これらすべての実施形態において、示された実施形態に関して説明された通り、入力シャフトを省くことができる。
【0042】
示された実施形態及び変形例に関わらず、第一単方向性コネクタは第一軸A3に中心を有し、第二単方向性コネクタは第二軸A4に中心を有し、第一及び第二軸は有利には平行かつ別である。しかしながら、示された実施形態及び変形例に関わらず、第一及び第二軸は有利には一致してよい。このような構成により、
図1の面において装置が占める空間を最小にすることが可能となる。
【0043】
第一及び第二軸A3、A4が一致する場合、遊星歯車キャリヤは単一かつ同一の部品を形成し、またはモノブロック組立体であってよく、または第一及び第二太陽歯車は単一かつ同一の部品を形成し、またはモノブロック組立体であってよい。ブレゲ歯部を有する実施形態において、単一かつ同一の歯車は二つの単方向性コネクタに共通であってよく、そのプレートの二つの面で、二つの別の歯車のブレゲ歯部と相互作用する二つのブレゲ歯部を支えてよい。
【0044】
説明された遊星歯車キャリヤはそれぞれ一つの遊星歯車を支える。有利には、各遊星歯車キャリヤは二つまたはそれ以上の遊星歯車を支えてよく、例えば三つの遊星歯車または四つの遊星歯車を支えてよい。
【0045】
当該明細書を通して、「二つの取り付けられた部品」とは、一方の部品のあらゆる動きが他方の部品の動きを伴うことであると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
1 制御装置
2 入力
3 第一単方向性コネクタ
4 第二単方向性コネクタ
5 第一機構
6 第二機構
31 第一遊星歯車キャリヤ
32 第一遊星歯車
33 第一太陽歯車
41 第二遊星歯車キャリヤ
42 第二遊星歯車
43 第二太陽歯車
100 時計ムーブメント
200 時計
321、331 第一歯部
421、431 第二歯部
【外国語明細書】