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特開2023-107757コンピュータシステムの動作状態を制御する方法及び対応するコンピュータシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107757
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】コンピュータシステムの動作状態を制御する方法及び対応するコンピュータシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3206 20190101AFI20230727BHJP
【FI】
G06F1/3206
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023008265
(22)【出願日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】10 2022 101 557.2
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・クラウス
(72)【発明者】
【氏名】アポストロス・バルトス
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA02
5B011EA03
5B011EA04
5B011GG01
5B011GG02
5B011LL11
(57)【要約】
【課題】コンピュータシステムの動作状態を制御する方法等を提供する。
【解決手段】本発明の方法において、コマンドがトリガされ、メイン動作状態からスタンバイ状態へのコンピュータシステムのトランジションを命令する。スタンバイ状態は、メイン動作状態と比較して最も低い電力消費によるコンピュータシステムの動作を定義する。更に、コンピュータシステムの電力消費が測定される。測定された電力消費が閾値を超えている限り、コンピュータシステムの電源ユニット(2)の主電源モードは維持される。更に、測定された電力消費が閾値を下回ると直ぐに、メイン動作状態から省電力状態(12)へのコンピュータシステムのトランジションが開始される。省電力状態は、メイン動作状態と比較して電力消費が低いシステム状態に対応し、電源ユニットは、省電力モードにおいて、主電源モードと比較して電力出力が低い補助電源モードへ切り替えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムの動作状態を制御する方法であって、
メイン動作状態からスタンバイ状態への前記コンピュータシステムのトランジションを命令するコマンドをトリガするステップであり、前記スタンバイ状態は、前記メイン動作状態と比較して最も低い電力消費による前記コンピュータシステムの動作を定義する、前記コマンドをトリガするステップと、
前記コンピュータシステムの電力消費を測定するステップと、
前記コンピュータシステムの前記測定された電力消費が閾値を超えている限り、前記コンピュータシステムの電源ユニットの主電源モードを維持するステップと、
前記コンピュータシステムの前記測定された電力消費が前記閾値を下回ると直ぐに、前記メイン動作状態から省電力状態への前記コンピュータシステムのトランジションを開始するステップであり、前記省電力状態は、前記メイン動作状態と比較して電力消費が低いシステム状態に対応し、前記コンピュータシステムの前記電源ユニットは、前記省電力状態において、前記主電源モードと比較して電力出力が低い補助電源モードへ切り替えられる、前記トランジションを開始するステップと
を有する方法。
【請求項2】
前記コンピュータシステムが前記最も低い電力消費で前記省電力状態において動作することができる場合に、前記省電力状態は前記スタンバイ状態に対応する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンピュータシステムの電力消費は、前記コンピュータシステムの前記測定された電力消費が前記閾値を超えている限り、複数の測定動作において繰り返し測定され、
各測定動作後にタイマが起動され、新しい測定動作は、前記タイマが終了すると直ぐに実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
測定動作が特定の回数に達し、前記コンピュータシステムの前記測定された電力消費が依然として前記閾値を超えている場合に、エラー信号が生成される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記省電力状態において前記コンピュータシステムの電力消費を測定するステップと、
前記省電力状態における前記コンピュータシステムの前記測定された電力消費が前記閾値を超えると直ぐに、前記コンピュータシステムの電力消費を更に低減しようと試みるステップと
を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記省電力状態における前記コンピュータシステムの前記測定された電力消費が、決定された期間後に、引き続き前記閾値を超えている場合に、前記省電力状態から前記メイン動作状態へ戻る前記コンピュータシステムのトランジションを開始するステップであり、前記コンピュータシステムの前記電源ユニットは前記主電源モードへ戻される、ステップ
を更に有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
電源ユニットと、該電源ユニットにより電力を供給されるコンポーネントとを有するコンピュータシステムであって、
メイン動作状態からスタンバイ状態への当該コンピュータシステムのトランジションを命令するコマンドをトリガし、前記スタンバイ状態は、前記メイン動作状態と比較して最も低い電力消費による当該コンピュータシステムの動作を定義し、
当該コンピュータシステムの電力消費を測定し、当該コンピュータシステムの前記測定された電力消費が閾値を超えている限り、当該コンピュータシステムの前記電源ユニットの主電源モードを維持し、
当該コンピュータシステムの前記測定された電力消費が前記閾値を下回ると直ぐに、前記メイン動作状態から省電力状態への当該コンピュータシステムのトランジションを開始し、前記省電力状態は、前記メイン動作状態と比較して電力消費が低いシステム状態に対応し、当該コンピュータシステムの前記電源ユニットは、前記省電力状態において、前記主電源モードと比較して電力出力が低い補助電源モードへ切り替えられる、
よう構成されるコンピュータシステム。
【請求項8】
測定回路が、当該コンピュータシステムの電力消費を測定するよう構成され、当該コンピュータシステムの前記測定された電力消費が前記閾値を超えているか否かを示す制御信号を生成する、
請求項7に記載のコンピュータシステム。
【請求項9】
前記測定回路によって生成された前記制御信号をコントローラへ転送し、該コントローラによって、前記メイン動作状態と前記省電力状態との間の当該コンピュータシステムのトランジションを制御するよう更に構成される、請求項8に記載のコンピュータシステム。
【請求項10】
当該コンピュータシステムは、請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の方法を実行するよう構成される、
請求項7に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステムの動作状態を制御する方法に関する。更に、本発明は、対応するコンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブックPCやデスクトップPCなどのコンピュータシステムの電力消費を改善するというコンピュータ業界の傾向に後押しされて、より高度なスタンバイ状態が、いわゆるAdvanced Configuration and Power Interface(アドバンスド・コンフィグレーション・アンド・パワー・インターフェイス,ACPI)に従うS0(動作中)状態やS3(スタンバイ)状態などの従来のコンピュータシステム状態を置換又は拡張するよう実装されている。特に、プロセッサ及びオペレーティングシステムの製造業者は、“モダンスタンバイ”(Modern Standby)と呼ばれる新しいシステム状態の実装を推し進め始めている。このシステム状態は、モバイルコンピューティング(スマートフォン、タブレット、など)から知られているスタンバイ状態を従来のx86システムに移行することを目的としている。
【0003】
従来のS3スタンバイ状態との“モダンスタンバイ”システム状態の主な違いは、永続的なネットワークコネクティビティ、バックグラウンドタスクを実行する能力(必要とされる場合)、高速なシステム“起動”(wake-up)、及び改善されたセキュリティ実装である。電力消費を従来のS3スタンバイ状態で達成されるものと同等か又はそれよりも低いレベルまで下げるために、コンピュータシステム内のメインボード並びに全ての接続されているコンポーネント及びデバイス(CPUを含む)は省電力モードに切り替わる。更には、デスクトップPCの電源ユニット(PSU)は軽負荷モードに切り替えられる。ただし、ここでの欠点は、全ての電源ラインが改善された軽負荷効率で動作できるわけではないということである。
【0004】
“モダンスタンバイ”システム状態が確実に採用されて実行されるために、コンピュータシステム内の全ての接続されているコンポーネント及びデバイス(CPUを含む)はこのシステム状態をサポートしなければならない。例えば、PCIeデバイス(PCIe=Peripheral Component Interconnect express)は低電力モードをサポートしなければならず、その結果、主電源の切断が発生する可能性がある。更に、オペレーティングシステムドライバのサポートが必要である。個々のデバイス又はコンポーネントが“モダンスタンバイ”システム状態の全ての要件を満足せず、あるいは、さもなければ省電力モードへのトランジションを妨げる場合に、コンピュータシステムは、エネルギー的にS0状態(動作中)にとどまり、それにより、電源はスタンバイ状態又は軽負荷動作に移ることができない。
【0005】
もう1つの問題は、コンピュータシステムのデバイス又はコンポーネントがネットワークからの恒常的なアップデート又はバックグラウンドタスクを必要とする場合に、電源ユニットのメイン動作及びスタンバイモードの間の頻繁なトランジション及び変化が起こる可能性があることである。電源ユニットの実装に応じて、これは、電源ユニットの寿命の短縮や可聴なスイッチングノイズを生じさせる可能性がある。
【0006】
“モダンスタンバイ”システム状態を使用するコンピュータシステムのこれまでの実施は、主電源モードとスタンバイモードとの間を切り替える必要がある内部電源ユニット(例えば、ATX電源ユニット)を使用しない、ノートブックなどのバッテリ駆動デバイスに主に制限されている。デスクトップPCという状況の中で、これまでのところ、複数の電源ラインを備えたATX電源ユニットを使用し、それらを主電源モードとスタンバイモードとの間で絶えず、例えば、毎秒ごとに切り替えるリファレンスデザインしか提案されていない。1つしか電源ラインがない電源の場合に、例えば、2秒の遮断時間ウィンドウが電源ユニットに実装され、それにより、電源ユニットは、たとえ、アクティブ化信号により、主電源モードとスタンバイモードとの間の切り替えを阻止することを指定されるとしても、2秒間はオンしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、x86システムに対する省電力状態のための既存の解決策を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、請求項1に係る方法による第1の態様に従って解決される。補足的な又は改善された実施は、従属請求項で与えられる。
【0009】
方法は、コンピュータシステムの動作状態を制御するために実装され、次の、
メイン動作状態からスタンバイ状態へのコンピュータシステムのトランジションを命令するコマンドをトリガするステップであり、スタンバイ状態は、メイン動作状態と比較して最も低い電力消費によるコンピュータシステムの動作を定義する、ステップと、
コンピュータシステムの電力消費を測定するステップと、
コンピュータシステムの測定された電力消費が閾値を超えている限り、コンピュータシステムの電源ユニットの主電源モードを維持するステップと、
コンピュータシステムの測定された電力消費が閾値を下回ると直ぐに、メイン動作状態から省電力状態へのコンピュータシステムのトランジションを開始するステップであり、省電力状態は、メイン動作状態と比較して電力消費が低いシステム状態に対応し、コンピュータシステムの電源ユニットは、省電力状態において、主電源モードと比較して電力出力が低い補助電源モードへ切り替えられる、ステップと
を有する。
【0010】
そのような方法は、電力(消費)に依存した(負荷に依存した)省電力状態を実装することによって、x86システムに対するスタンバイ状態のための既存の解決法を改善する。この省電力状態で、コンピュータシステムの個々のコンポーネントは、それらの電力消費を抑制されるか、あるいは、それらの電力消費に応じて完全にシャットダウンされる。省電力状態は、コンピュータシステムの電力消費に従って、メイン動作状態とコマンドのトリガによって要求されるスタンバイ状態との間にエネルギー的に当てはまる電力依存状態である。従って、省電力状態は、スタンバイ状態によって定義される最も低い電力消費の前でさえ、エネルギー的に有効である。省電力状態において、電源ユニットは、電気エネルギーを節約するために補助電源モードへ切り替えられる。電源ユニットの補助電源モードは、例えば、スタンバイモード又は軽負荷モードである。
【0011】
これにより、コンピュータシステム、特にデスクトップPCの電力消費の低減は改善され得る。方法は、コンピュータシステムの測定された電力消費が閾値を下回り、スタンバイ状態に入るコマンドがトリガされると直ぐに、メイン動作状態から省電力状態へのトランジションを制御する。
【0012】
よって、方法には、コンピュータシステム内の個々のコンポーネント及びデバイス(CPUを含む)が要求されているスタンバイ状態をサポートしないか、又は何らかの他の方法で妨げる場合でさえ省電力状態に入ることができるという、従来の解決法に対する効果及び利点がある。このように、電力消費は依然として低減することができ、コンピュータシステムは、エネルギー的にメイン動作状態にとどまることはない。
【0013】
スタンバイ状態は、コンピュータシステムが依然として動作中である、つまり、オフされていないコンピュータシステムの動作状態である。スタンバイ状態は、例えば、電力消費が最も低いスリープ状態(スリープ)に対応する。スタンバイ状態は、例えば、コンピュータシステムの動作システムで設定される。例えば、スタンバイ状態は“モダンスタンバイ”システム状態である。このシステム状態で、コンピュータシステムは最低電力消費状態にある。このシステム状態は、例えば、コンピュータシステムの個々の又はいくつかのコンポーネント及びデバイスがACPI標準規格に従うS0動作と同じように動作スタンバイの条件下で動くが、エネルギー的に最低消費状態にある、ように定義される。これにより、電力消費を非常に低いレベルまで低減することができ、一方、コンピュータシステムは依然として、非常に迅速に再アクティブ化して、メイン動作状態へ戻ることができる。
【0014】
コンピュータシステムの電力消費を測定する効果及び利点は、コンピュータシステムの測定された電力消費が閾値を超えている限りはコンピュータシステムの電源の主電源モードが維持されることである。これは、コンピュータシステムが安定して動作し、電源が、如何なる場合にも、コンピュータシステムの電力要件を満たすことができない補助電源モードへ切り替わらないことを確かにする。
【0015】
コンピュータシステムの電力消費を測定する他の効果及び利点は、省電力状態が負荷に応じて設定できることである。これは、省電力状態が、必要な残り電力に応じて、多かれ少なかれ適度に設定され得ることを意味する。例えば、バックグラウンドタスク又はネットワークからの更新を完了する必要があるために、コンピュータシステムがまだかなりの残り電力を必要とする場合に、省電力状態は、ほんの少しのプロセス又はコンポーネントしか実行する必要がない場合よりも控えめに設定される。
【0016】
方法の様々な実施において、コンピュータシステムが最も低い電力消費で省電力状態において動作することができる場合に、省電力状態はスタンバイ状態に対応する。例えば、そのような場合に、省電力状態は“モダンスタンバイ”システム状態に対応する。
【0017】
方法の様々な実施において、コンピュータシステムの電力消費は、コンピュータシステムの測定された電力消費が閾値を超えている限り、複数の測定プロセスにおいて繰り返し測定される。各測定プロセス後にタイマが起動される。新しい測定動作は、タイマが終了すると直ぐに実行される。これには、電力消費に影響を与える実行タスク又はプロセスが、コンピュータシステムの電力消費が再び測定される前に最初に終了され得る、という効果及び利点がある。方法の補足的な実施において、タイマは、各測定プロセス後にインクリメントされる。これには、完了期間が異なる異なった実行タスク又はプロセスが適応され得る、という利点がある。
【0018】
方法の様々な実施において、測定動作が特定の回数に達し、コンピュータシステムの測定された電力消費が依然として閾値を超えている場合に、エラー信号が生成される。これには、(要求されているコマンドにかかわらず)省電力状態になり得ないことをコンピュータシステムの内部コントローラ又はユーザに通知することができる、という利点がある。これは、コンピュータシステムのシステム安全性を向上させる。
【0019】
様々な実施において、プロシージャは、
省電力状態においてコンピュータシステムの電力消費を測定するステップと、
省電力状態におけるコンピュータシステムの測定された電力消費が閾値を超えると直ぐに、コンピュータシステムの電力消費を更に低減しようと試みるステップと
を更に有する。
【0020】
これらのステップには、コンピュータシステム内のコントローラが電力消費の変化に応答することを可能にする、という効果及び利点がある。閾値を上回る電力消費の増大にかかわらずコンピュータシステムを省電力状態に保つために、コンピュータシステムの電力消費の更なる低減が目標とされる。例えば、CPUが(更に)スロットリングされるか、あるいは、必要とされない他のコンポーネント又はデバイスがオフされる。
【0021】
様々な実施において、プロセスは、
省電力状態におけるコンピュータシステムの測定された電力消費が、(予め)決定された期間後に、引き続き閾値を超えている場合に、省電力状態からメイン動作状態へ戻るコンピュータシステムのトランジションを開始し、コンピュータシステムの電源ユニットを主電源モードへ戻すステップ
を更に有する。
【0022】
この手段には、省電力状態において過負荷によるコンピュータシステムの意図しないシャットダウンを防ぐ、という効果及び利点がある。
【0023】
第2の態様に従って、上記の課題は、請求項7に記載のコンピュータシステムによって解決される。補足的な又は改善された実施は、従属請求項で与えられる。
【0024】
コンピュータシステムは、電源ユニットと、電源ユニットにより電力を供給されるコンポーネントとを有する。コンピュータシステムは、
コンピュータシステムをメイン動作状態からスタンバイ状態へ移行させるコマンドをトリガし、スタンバイ状態は、メイン動作状態と比較して最も低い電力消費によるコンピュータシステムの動作を定義し、
コンピュータシステムの電力消費を測定し、コンピュータシステムの測定された電力消費が閾値を超えている限り、コンピュータシステムの電源ユニットの主電源モードを維持し、
コンピュータシステムの測定された電力消費が閾値を下回ると直ぐに、メイン動作状態から省電力状態へのコンピュータシステムのトランジションを開始し、省電力状態は、負荷に応じて調整可能であり、メイン動作状態と比較して電力消費が低いシステム状態に対応し、コンピュータシステムの電源ユニットは、省電力状態において、主電源モードと比較して電力出力が低い補助電源モードへ切り替えられる。
【0025】
このようなコンピュータシステムも、第1の態様に係る方法に関連して先に説明された効果及び利点を達成する。
【0026】
コンピュータシステムの様々な実施形態において、測定回路が、コンピュータシステムの電力消費を測定して制御信号を生成するよう構成される。この制御信号は、コンピュータシステムの測定された電力消費が閾値を超えているか否かを示す。これには、コンピュータシステムの電力消費を簡単に決定することができる、という効果及び利点がある。測定回路は、例えば、シャント及び測定アンプを備えたアナログ回路として構成され、それにより、コンピュータシステム内の電流消費の時間変化の検出が行われる。これは、例えば、電流の一次導関数di/dtであることができる。例えば、電流信号は、特定の期間にわたって平均化され、制御信号は、平均化された電流信号が閾値を超える場合に生成される。
【0027】
様々な実施において、コンピュータシステムは、測定回路によって生成された制御信号をコントローラへ供給し、コントローラによって、メイン動作状態と省電力状態との間のコンピュータシステムのトランジションを制御するよう更に構成される。これには、様々な状態が自動的にかつ確かに制御され得る、という効果及び利点がある。コントローラは、例えば、コンピュータシステムのメインボード上の組み込みコントローラである。
【0028】
様々な実施形態において、コンピュータシステムは、先に説明されたタイプのプロシージャを実行するよう構成される。
【0029】
本発明は、いくつかの図面を用いて例示的な実施形態により以下で更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】コンピュータシステムの動作状態を制御する方法の実施の略フロー図を示す。
図2】例示的な実施形態に係るコンピュータシステムのコンポーネントの模式図を示す。
図3】例示的な実施形態に係る測定回路の回路配置を示す。
図4】省電力状態がある場合とない場合のスタンバイ状態の実施の比較の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、コンピュータシステムの動作状態を制御する方法の実施の略フローチャートを示す。ここで、破線分離線の左側(「システム状態」という見出しの下)には、コンピュータシステムのシステム状態に関連した様々な方法ステップS1~S7が示されている。破線分離線の右側(「PSU状態」という見出しの下)には、コンピュータシステムの電源ユニットの代表的な状態が示されている。
【0032】
プロシージャはステップS1から始まり、ステップS1で、コンピュータシステムはメイン動作状態にある。この状態で、コンピュータシステムは電源を入れられており、コンピュータシステムの全てのデバイス及びコンポーネントがアクティブである。コンピュータシステムの電源ユニットは、このシステム状態でオン(ON状態)であり、電力をコンピュータシステムに供給するよう主電源モードにある。例えば、コンピュータシステムのメイン動作状態は、ACPI標準規格に従うS0状態に対応する。ステップS1で、メイン動作状態からスタンバイ状態へのコンピュータシステムのトランジションを命令するためにコマンドがトリガされる。このコマンドは、例えば、コンピュータシステムのオペレーティングシステムによって、トリガされる。これは、例えば、コンピュータシステムのユーザがコンピュータシステムの電源ボタン又はコンピュータシステムのオペレーティングシステムのソフトウェアボタンを押すことによって、行われる。
【0033】
次いで、ステップS2で、コンピュータシステムの電力消費が測定される。このために、例えば、コンピュータシステムの電源ユニットからのコンピュータシステムのコンポーネントの電流消費が、指定された供給電圧で測定され、予め定義された閾値と比較される。このための測定方法及び測定回路は、以下で更に詳細に説明される。ステップS2で、コンピュータシステムの電源ユニットは、依然として、主電源モード(ON状態)にある。
【0034】
タイマがステップS3で起動される。タイマが終了した後、ステップS2に従って電力消費が再び測定される。測定された電力消費が上限を依然として上回っている場合に、システムは再びステップS3へ切り替わり、新しいタイマが起動される。ステップS2とステップS3との間のそのような繰り返しごとに、タイマの時間は、電力消費が閾値を上回る限り延長される。例えば、図1に従う実施例では、500msから10sまでのタイマの遅延の逐次増加が行われる。例えば、異なるタイマが値500ms、1s、5s、及び10sにより設定される。このようなアプローチにより、コンピュータシステムの電力消費に影響を与える実行タスク又はプロセスを、コンピュータシステムの電力消費が再び測定される前に最初に終了させることができる。ステップS2とステップS3との間の切り替えが頻繁になればなるほど、それに応じてタイマは、より長い実行タスク又はバックグラウンドタスク及びそれらの終了を可能にするよう設定される。
【0035】
ステップS2及びステップS3は、例えば、所定回数の繰り返し(例えば、5回の繰り返し)が完了するか、又はコンピュータシステムの電力消費が閾値を下回るまで、繰り返される。所定の回数の繰り返しが終了した後、コンピュータシステムの電力消費が依然として閾値を上回る場合に、エラー信号が生成される。これは、省電力状態に入るのに失敗したことを示す。これは、例えば、アラーム信号又はメッセージによりコンピュータシステムのユーザへ、例えば、オペレーティングシステムにより、通知される。
【0036】
しかし、繰り返しが最大数に達する前に電力消費が閾値を下回った場合に、プロシージャはステップS2からステップS4へ移る。ステップS4で、省電力状態の任意の事前設定又はこの省電力状態へのエントリが行われる。事前設定は、例えば、コンピュータシステムのデバイス、コンポーネント、又はソフトウェア(例えば、オペレーティングシステム)の設定を指定する。これは、例えば、省電力状態へのデバイス及びコンポーネントの制御されたトランジションのための特定のコマンド又はコマンドセットを含む。例えば、事前設定は、省電力状態に最初に入るときに一度行われる。事前設定がステップS4で行われ、これが完了する場合に、コンピュータシステムは省電力状態に入る。代替的に、事前設定は、ステップS4とは別に、例えば、本明細書で説明されているプロシージャより前に、行われてもよい。
【0037】
省電力状態は、メイン動作状態と比べて電力消費が低いシステム状態である。特に、省電力状態は、メイン動作状態とステップS1でコマンドにより命令されたスタンバイ状態との間のコンピュータシステムの中間エネルギー状態である。例えば、スタンバイ状態は、メイン動作状態と比較して最も低い電力消費によるコンピュータシステムの動作を定義する。例えば、スタンバイ状態は“モダンスタンバイ”システム状態である。
【0038】
ステップS4による省電力状態では、電力消費に応じて、コンピュータシステムの個々の電力消費は低減されるか、あるいは、それらは完全にオフされる。例えば、コンピュータシステムのファンは減速されるか又は完全にオフされ、プロセッサ(CPU)はそのクロック速度をスロットリングされる。コンピュータシステムの電源は、次いで、補助電源モードへ切り替えられ得る。電源ユニットの補助電源モードは、例えば、スタンバイモード又は軽負荷モードである。コンピュータシステムは、次いで、スタンバイ状態と比較して以下で更に詳細に説明される省電力状態にある。
【0039】
省電力状態において、コンピュータシステムの電力消費はステップS5で引き続き測定される。電力消費が省電力状態において上記の閾値を超える場合に、電源警告又はシステム割り込みが発生し、プロシージャはステップS6へ移る。このステップS6では、コンピュータシステムの更なる電力低減が開始される。このために、例えば、CPUを更にスロットリングすることによって、システム電力を更に低減しようとする試みがなされる。例えば、CPUは、この場合に、その最低クロック速度にスロットリングされる。また、コンピュータシステム内の他のデバイス及びコンポーネントの電力低減がこの段階で行われてもよい。
【0040】
ステップS6での動作の結果として、電力消費が指定された期間内に再び閾値を下回る場合に、プロシージャはステップS5に戻り、コンピュータシステムは省電力状態のままである。例示的な実施において、指定された期間は5msである。他方で、ステップS6での動作が5msの期間内に閾値を下回る電力消費の低減を生じさせない場合には、プロシージャはステップS7に移る。それによって、省電力状態が解除され、必要に応じて、過負荷イベントがログに記録され、電力は増大する。ステップS7の動作は、よって、コンピュータシステムを省電力状態からメイン動作状態へ戻す。この場合に、コンピュータシステムの電源はメイン動作状態(ON状態)に戻される。図1の実施例に従って、プロシージャはこのようにして再びステップS1になる。
【0041】
図2は、実施形態に係るコンピュータシステム1のコンポーネントの模式図を示す。図1に関して先に説明された方法は、例えば、図2によるコンピュータシステム1で、使用される。図2によるコンピュータシステム1は、コンピュータシステム1のコンポーネント4a、4b(又は図示されていない他のコンポーネント)に給電する電源ユニット2を有する。電源ユニット2は、例えば、いわゆる単線電源ユニットである。これは、電源ユニットがただ1つの供給電圧しか出力しないことを意味する。電源ユニットは、例えば、補助電源モードにおいて、主電源モードと同じであるが、主電源モードでよりも低い出力電力で、供給電圧を出力するよう構成される。これには、供給電圧が補助電源モードでも利用可能であり、重要なコンポーネント4a、4bに給電するために使用される、という利点がある。図2に示される例示的な実施形態で、電源ユニット2は、12V供給電圧が印加される出力部を備える。この供給電圧は、例えば、コンピュータシステム1のメインボード上のPCIエクスプレス(PCIe)コンポーネント4aに給電するために、使用される。様々な他のボード電圧は、いくつかの電圧レギュレータ3a~3dにより生成され得る。例えば、電圧レギュレータ3aは、CPU(コンポーネント4b)に給電するために使用され得る、コンピュータシステム1のCPUコア用の供給電圧を供給するために設けられている。更に、電圧レギュレータ3b~3dは、図2に例として示されるように、5V、3.3V、及び1.8Vの更なるボード電圧を生成する。
【0042】
更に、コンピュータシステム1は、電源ユニット2の出力部と電圧レギュレータ3a~dとの間に接続された測定回路5を有する。図2による例示的な実施形態で、測定回路5は、時間にわたる電流の変化(di/dt)の検出のための回路へ接続されているシャントを備えている。検出のための回路は、電源ユニットから引き込まれた電流の時間変化を検出する。シャントは、例えば、電流を測定する測定抵抗を有する。図2による例示的な実施形態で、測定回路5による電力消費の測定は、コンポーネント4aを考慮せずに、コンピュータシステム1のコンポーネント4bへの供給パスのみを含む。しかし、代替の実施形態では、コンポーネント4aも電力消費の測定に含まれてよい。
【0043】
測定回路5は、このようにして、図1のプロシージャ内のステップS2及びS5で説明されているような、コンピュータシステム1の電力消費を測定するタスクを引き継ぐ。コンピュータシステム1の電力消費が閾値を超える場合に、測定回路5は、制御信号8を生成し、これを電源警告又はシステム割り込みとしてコンピュータシステム1のコントローラ6へ転送する。図2による例示的な実施形態で、コントローラ6は組み込みコントローラである。コントローラ6は、制御信号8に応じてコンピュータシステム1の動作状態を制御する。例えば、制御信号8がコンピュータシステム1の電力消費の閾値の連続的な超過を(制御信号8の定義された第1信号レベルにより)示す場合に、及び、測定動作の繰り返しが定義された回数を超える場合に、先にステップS2及びS3について図1で説明されたように、コントローラ6はエラー信号13を生成する。これは、コンピュータシステム1が省電力状態に入ることに失敗したことを示す。エラー信号13はチップセット7へ送られ、チップセット7は、それを然るべく処理し、適切な動作を行い、必要に応じて、コンピュータシステム1のユーザへ信号を発する。チップセット7は、例えば、いわゆるシステム・オン・チップ(SoC)である。
【0044】
他方で、反復的な測定プロセスの間に電力消費が閾値を下回ることを制御信号8が(制御信号8の定義された第2信号レベルにより)示す場合には、コントローラ6はトリガ信号14を生成し、その結果、電源ユニット2は補助電源モードへ切り替えられる。結果として、コンピュータシステム1は省電力状態になり、これによって、コンポーネント4a及び4bは夫々、それらの電力消費が抑制又は制限される。図1によるステップS5の上記の説明も参照されたい。図2に示されるコントローラ6はまた、省電力状態に入ってからもコンピュータシステム1の電力消費を引き続きモニタするために測定回路5を使用し、必要に応じて、図1に関連して先にステップS6及びS7で説明された動作を開始する。
【0045】
コントローラ6と電源ユニット2又はチップセット7との間のシグナリングは、例えば、いわゆる汎用入力/出力標準(GPIO)に従うピンシグナリングにより、実行される。
【0046】
測定回路5における、時間にわたる電流の変化di/dtの検出は、例えば、電流が所定の短い期間、例えば、8msにわたって平均化され、この期間後に、電力消費が予め定義された閾値を超えているかどうかを検出する電流測定アンプを有する。測定回路5は、例えば、制御信号8をデジタル出力信号としてコントローラ6へ送信するよう構成される。
【0047】
測定回路5の代替の又は補足的な実施形態が図3に示される。測定回路5は、コンピュータシステムの電流を検出するシャントとして機能する測定抵抗R20を有する。左側では、測定抵抗R20は、電流測定アンプ9の信号入力部1(IN(+))に接続されている。右側では、測定抵抗R20は、電流測定アンプ9の信号入力部10(IN(-))に接続されている。よって、電源側での供給信号は、電流測定アンプ9の入力部1に存在し、一方、(コンピュータシステム1に向かう)負荷側での供給信号は、電流測定アンプ9の入力部10に存在する。更に、コンデンサC4が、測定抵抗R20と並列に接続され、フィルタコンデンサとして機能する。
【0048】
電流測定アンプ9は、入力信号1及び10からの差分信号を決定し、これを電流測定アンプ9の入力部7(CMPREF)での基準電圧と比較する。基準信号は、電源ユニットのスタンバイ電源(P3V3P_STBY)から分圧器R26、R28により形成される。基準信号は、電流測定アンプ9の入力部2での電圧供給(VS+)としても機能する。電流測定アンプ9の出力部3での出力信号(ALERT#)は、電流測定アンプ9の入力部7での基準信号に対する電流測定アンプ9の入力部1及び10の差分信号の挙動を通知するために使用される。通常動作(差分信号が基準信号を下回る)で、出力信号(ALERT#)は、信号レベルがHIGHである。その結果、やはりスタンバイ電源(P3V3P_STBY)により電流を供給されているトランジスタQ5は、導通する。コンデンサC6は放電される。この段階で、更なるトランジスタQ1は遮断し、やはりスタンバイ電源(P3V3P_STBY)から給電されて、そのコレクタ端子3で信号レベルHIGHを生成し、これが制御信号8となる。
【0049】
電流測定アンプ9の入力部1及び10の差分信号が電流測定アンプ9の入力部7での基準信号を超える場合に、電流測定アンプ9は、その出力部3で出力信号(ALERT#)の信号レベルLOWを生成する。これにより、トランジスタQ5がオフする。これにより、コンデンサC6は、スタンバイ電源(P3V3P_STBY)から抵抗R23及びR25を介して充電される。
【0050】
コンデンサC6は遅延素子として動作する。コンデンサC6が特定の充電状態に達する(また、C6の両端での電圧降下が特定値を超える)と直ぐに、更なるトランジスタQ1は、ダイオードD3を介して導通状態へ切り替えられ、そのコレクタ端子3での信号レベルを信号レベルLOWに引き下げ、これが制御信号8となる。コンデンサC6は、例えば、8msの時間遅延を持った充電定数が設定されるように調整される。
【0051】
このようにして、測定回路5は、図3に従って、コンピュータシステムの電流消費を決定し、これが、時間にわたる電流の変化di/dtとして認識され、8msの期間にわたって平均化される。8ms後の電流消費が依然として基準レベル(電流測定アンプ9の入力部7)を上回る場合に、制御信号8の信号レベルは測定回路5によってLOWに設定される。制御信号8は、このようにして、コンピュータシステムの電力消費が指定された上限を上回っていることを示す。他方で、コンピュータシステムの電力消費が8ms内に再び低下する場合に、トランジスタQ1はオフ状態(ダイオードD3の非導通状態)のままであり、これにより、制御信号8は信号レベルHIGHに保たれる。この場合に、制御信号8は、電流消費が臨界制限を超えていないことを示す。
【0052】
例示的な実施形態で、図3による測定回路5が図2による実施で使用される場合に、図3による制御信号8は、例えば、上述されたような、コントローラ6への対応するシグナリングのために、図2による測定回路5の出力信号となる。コンピュータシステムは、省電力状態へのトランジション又は省電力状態での動作が要求されない場合に信号出力8が無視されるように、構成されてもよい。
【0053】
図4は、上記の省電力状態がある場合とない場合の上記のタイプのコンピュータシステムのスタンバイ状態の実施の比較の模式図を示す。図4の上部分には、省電力状態がない場合について、上記のタイプのコンピュータシステムのスタンバイ状態が示されている。ここで、コンピュータシステムは、メイン動作状態10とスタンバイ状態11との間で切り替わることができる。スタンバイ状態11は、ここでは、例えば、“モダンスタンバイ”システム状態に対応する。図4による上の場合に、コンピュータシステムは、少なくとも何らかのシステムアクティビティが存在する限り、メイン動作状態10にある。メイン動作状態10は、システムが完全にオンされ、全てのデバイスがアクティブである場合に想定される(システム状態10aを参照)。しかし、メイン動作状態10は、システムがスタンバイ状態にあり、システムアクティビティがほとんどないか又は制限されている場合にもアクティブである(システム状態10bを参照)。この場合に、コンピュータシステムは、システムがスタンバイ状態にあり、システムアクティビティが記録されない場合にのみ、スタンバイ状態11に入る。このような低電力消費の場合にのみ、電源はスタンバイ(補助電源モード)に切り替えられる。他の全ての場合において、電源ユニットは主電源モードでアクティブであり、コンピュータシステムに電気エネルギーを供給する。
【0054】
よって、図4による上の場合は、説明されている省電力状態によらず、スタンバイ状態11が想定できる場合にのみコンピュータシステムの電源ユニット2での電力消費が低減され得る、ことを示す。しかし、コンピュータシステムのコンポーネント又はデバイスの一部又は全部がスタンバイ状態11へのトランジションを妨げるか、あるいは、システムアクティビティが低い状態にある場合に、コンピュータシステムはメイン動作状態10にとどまる。
【0055】
対照的に、図4の下の場合は、説明されている省電力状態がある場合のスタンバイ状態を表す。この場合に、コンピュータシステムは、システムが完全にオンされ、全てのデバイスがアクティブである場合にのみ、メイン動作状態10にある。このような、より高い電力消費の場合に、電源はアクティブであり、メイン動作状態にある(図1のステップS1を参照)。しかし、図4による下の場合では、コンピュータシステムは省電力状態12になる。省電力状態12は、電力消費に応じて想定できる。これは、システムがオンされているが、一部のデバイスがスタンバイ状態にある場合に、既に省電力状態12が想定されていることを意味する(システム状態12a)。既に、その場合に、電源ユニットはスタンバイ(補助電源モード)へ切り替えられ、その結果、消費電力は低くなる。記録されるシステムアクティビティが少ないほど、コンピュータシステムはスタンバイ状態に深く入り込む(システム状態12b)。このようにして、省電力状態12は電力消費を更に制限することができる。コンピュータシステムが完全にスタンバイ状態にあり、システムアクティビティが記録されなくなると直ぐに、図4の下の場合における省電力状態12はスタンバイ状態11に対応する。図4の下の場合に対応する省電力状態12で、コンピュータシステムの全てのコンポーネント及びデバイスは、例えば、ACPI標準規格による状態S0と同じように、アドレッシングされ得る。これには、更なるソフトウェア実装、又はデバイス若しくはドライバサポートが不要である、という利点がある。
【0056】
図4による概要は、コンピュータシステムが依然としてアクティブであるが、一部のデバイスが既にスタンバイ状態に切り替わっている場合に(システム状態12a以降)、説明されている省電力状態(特に図1の説明を参照)で、コンピュータシステムの制御により、削減された消費量が既に設定できることを表す。故に、図4の下のシナリオに従って、コンピュータシステムの個々のコンポーネント又はデバイスがスタンバイ状態11を許容しない場合でさえ、コンピュータシステムの電力消費は、本発明に従って依然として低減することができる。
【0057】
全ての設計及び実施は、例として選択されているに過ぎない。
【符号の説明】
【0058】
1 コンピュータシステム
2 電源ユニット
3a~3d 電圧レギュレータ
4a,4b コンポーネント
5 測定回路
6 コントローラ
7 チップセット
8 制御信号
9 電流測定アンプ
10 メイン動作状態
10a,10b メイン動作状態内のシステム状態
11 スタンバイ状態
12 省電力状態
12a,12b 省電力モード内のシステム状態
13 エラー信号
14 トリガ信号
R20 測定抵抗(シャント)
S1~S7 方法ステップ
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】