(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107764
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】ウイルス感染症の後遺症の改善および/または症状の悪化を抑制するのための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 33/00 20060101AFI20230727BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230727BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230727BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230727BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20230727BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20230727BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20230727BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230727BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20230727BHJP
A61P 11/14 20060101ALI20230727BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230727BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230727BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
A61K33/00
A61P11/00
A61P3/02 101
A61P9/00
A61P21/00
A61P29/00
A61P25/00
A61P1/02
A61P25/28
A61P1/14
A61P1/00
A61P17/14
A61P27/16
A61P25/20
A61P1/08
A61P11/14
A61P17/00
A61P19/02
A61P25/04
A61P3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023032284
(22)【出願日】2023-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】394021270
【氏名又は名称】MiZ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文武
(72)【発明者】
【氏名】武藤 佳恭
(72)【発明者】
【氏名】山村 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文平
(72)【発明者】
【氏名】平野 伸一
(72)【発明者】
【氏名】市川 祐介
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA01
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA57
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA07
4C086ZA08
4C086ZA15
4C086ZA36
4C086ZA43
4C086ZA59
4C086ZA62
4C086ZA66
4C086ZA71
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZC21
4C086ZC22
(57)【要約】
【課題】副作用のないかつ簡便に製造し得る新規のウイルス感染症の後遺症の症状改善のための組成物を提供する。
【解決手段】
水素ガス含有気体を有効成分として含む、ウイルス感染症の後遺症の患者において、肺の繊維化、疲労感、倦怠感、息切れ、呼吸困難、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下などのウイルス感染症の後遺症の症状を改善するための組成物、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下などの症状を改善する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガス含有気体を有効成分として含む、ウイルス感染症の後遺症の患者において、ウイルス感染症の後遺症の症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物。
【請求項2】
前記ウイルス感染症のウイルスが、コロナウイルス、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、サイトメガロウイルス、黄熱ウイルス、ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、ハンタウイルス、および、これらのウイルスの変異株からなる群から選択される1以上のウイルスであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ウイルス感染症の後遺症の症状が、少なくとも肺の繊維化、疲労感、倦怠感、息切れ、呼吸困難、動悸、筋力低下、微熱、筋肉痛、感覚低下、関節痛、胸の違和感、胸の痛み、咽頭痛、頭痛、頭重感、身体の痛み、全身の痛み、脱力、認知機能障害、記憶障害、言語検索困難、胃腸障害、腹痛、集中力低下、起立時のめまい、虚弱、不規則な体温、悪寒、脱毛、冷たい手足、温熱および/または寒冷に対する不耐症、発汗、顔面潮紅、リンパ節圧痛、著しい体重の変動、耳鳴り、錯乱、睡眠障害、立ちくらみ、めまい、食欲不振、脱力感、徐脈、血圧低下、吐き気、長引く咳、ブレインフォグ、発疹、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水素ガス含有気体の水素濃度が、ゼロ(0)より大きく18.5体積%以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、吸入によって前記患者に投与される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物を作製する方法であって、前記組成物が水素ガス生成装置を用いて作製されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染症の後遺症の症状、例えば、疲労、頭痛、身体の疼痛、思考力の低下、集中力の低下、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下などの症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物に関する。
本発明はまた、ウイルス感染症の後遺症を改善および/または症状の悪化を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などのウイルス感染症の後遺症は、激しい全身倦怠感に襲われ、長期にわたり疲労感、労作後に憎悪する極度の倦怠感、微熱、頭痛、筋肉痛、脱力、認知機能障害、回復感を伴わない睡眠、立ちくらみなどの多彩な症状が現れる。
インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス感染症の後遺症は、原因不明の全身の疼痛を主症状とする。疼痛は腱付着部炎や筋肉、関節などにおよび、体幹や四肢から身体全体に激しい疼痛が広がる症状を示す。
インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス感染症の後遺症は、いずれの症状も筆舌に尽くしがたいものであるため、ウイルスによる感染から回復したとしても、時に健全な社会活動を送れなくなるという特徴を備える。しかしながら、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス感染症の後遺症の病理学的なメカニズムが不明であり治療法もない。
一方、本発明の有効成分である水素は、活性酸素種に起因する酸化ストレスを抑制する抗酸化反応性を有し、マウスを用いた研究で慢性気管支炎や閉塞性肺気管支炎を改善した前例がある(特許文献1)。しかしながら、水素によるウイルス感染症の後遺症の改善効果が確認された前例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、副作用のないかつ簡便に製造し得る新しいウイルス感染症の後遺症の症状の症状改善および/または症状の悪化を抑制するのための組成物を提供することである。
近年、水素分子が細胞のミトコンドリア内部で発生するヒドロキシルラジカルを消去することにより肺炎を抑制し、肺炎に対し効果を奏する可能性があることを提唱されている(特許文献1)。しかしながら、ウイルス感染症の後遺症の症状が水素ガス含有気体を吸入、吸引、飲用等した場合に、ウイルス感染症の後遺症の症状が改善および/または症状の悪化を抑制されるかについては報告されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究の結果、意外にも、水素ガス含有気体が、ウイルス感染症の後遺症の特定の症状を改善および/または症状の悪化を抑制することを見出した。
従って、本発明は、以下の特徴を包含する。
(1)水素ガス含有気体を有効成分として含む、ウイルス感染症の後遺症の患者において、ウイルス感染症の後遺症の症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物。
(2)前記ウイルス感染症のウイルスが、コロナウイルス、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、サイトメガロウイルス、黄熱ウイルス、ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、ハンタウイルス、および、これらのウイルスの変異株からなる群から選択される1以上のウイルスであることを特徴とする(1)に記載の組成物である。
(3)前記ウイルス感染症の後遺症の症状が、少なくとも肺の繊維化、疲労感、倦怠感、息切れ、呼吸困難、動悸、筋力低下、微熱、筋肉痛、感覚低下、関節痛、胸の違和感、胸の痛み、咽頭痛、頭痛、頭重感、身体の痛み、全身の痛み、脱力、認知機能障害、記憶障害、言語検索困難、胃腸障害、腹痛、集中力低下、起立時のめまい、虚弱、不規則な体温、悪寒、脱毛、冷たい手足、温熱および/または寒冷に対する不耐症、発汗、顔面潮紅、リンパ節圧痛、著しい体重の変動、耳鳴り、錯乱、睡眠障害、立ちくらみ、めまい、食欲不振、脱力感、徐脈、血圧低下、吐き気、長引く咳、ブレインフォグ、発疹、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む(1)または(2)に記載の組成物である。
(4)前記水素ガス含有気体の水素濃度が、ゼロ(0)より大きく18.5体積%以下である、(1)から(3)のいずれか一項に記載の組成物である。
(5)前記組成物が、吸入によって前記患者に投与される、(1)から(4)のいずれか一つに記載の組成物である。
(6)前記(1)から(5)のいずれか1つに記載の組成物を作製する方法であって、前記組成物が水素ガス生成装置を用いて作製されることを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、水素ガスの吸入、吸引等によってウイルス感染症の後遺症を原因とする少なくとも肺の繊維化、疲労感、倦怠感、息切れ、呼吸困難、動悸、筋力低下、微熱、筋肉痛、感覚低下、関節痛、胸の違和感、胸の痛み、咽頭痛、頭痛、頭重感、身体の痛み、全身の痛み、脱力、認知機能障害、記憶障害、言語検索困難、胃腸障害、腹痛、集中力低下、起立時のめまい、虚弱、不規則な体温、悪寒、脱毛、冷たい手足、温熱および/または寒冷に対する不耐症、発汗、顔面潮紅、リンパ節圧痛、著しい体重の変動、耳鳴り、錯乱、睡眠障害、立ちくらみ、めまい、食欲不振、脱力感、徐脈、血圧低下、吐き気、長引く咳、ブレインフォグ、発疹、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を顕著に改善および/または症状の悪化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明をさらに詳細に説明する。
1.ウイルス感染症の後遺症およびその症状
本発明におけるウイルス感染症の患者とは、COVID-19の原因となった新型コロナウイルスを含むコロナウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、サイトメガロウイルス、黄熱ウイルス、ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、ハンタウイルス、等の病原性ウイルスに感染した患者のことをいう。また、ウイルス感染症の後遺症とは、これらのウイルスに感染してウイルス感染症を発症し、それが治癒した後にも残る症状のことをいう。本発明におけるウイルス感染症の後遺症は、ウイルスに感染している際に発症する症状とは明確に区別されるものである。したがって、本発明におけるウイルス感染症の後遺症の患者とは、PCRなどによるウイルスの検査でウイルスの感染が確認されたものの、その後にウイルスが身体から概ね除去された患者のことをいう。
ただし、免疫不全ウイルス、パピローマウイルスのようなレトロウイルスの場合、ウイルスの発現によりウイルス感染症の症状が発症した後にウイルスの発現が抑制されたことによりウイルス感染症の症状が治まったものの、レトロウイルスの遺伝子が宿主の染色体等の核酸に組み込まれているような状態でのウイルス感染症の後遺症を含む。また、ヘルペスウイルスのように完全にウイルスが完全に除去されずウイルス感染症が発症し治癒した後にウイルスが体内に潜伏しているような状態における後遺症についても本発明のウイルス感染症の後遺症に含む。
【0011】
ウイルス感染症の後遺症は、種々の病原性ウイルスに感染した後に現れる症状であり、その症状として、肺の繊維化、疲労感、倦怠感、息切れ、呼吸困難、動悸、筋力低下、微熱、筋肉痛、感覚低下、関節痛、胸の違和感、胸の痛み、咽頭痛、頭痛、頭重感、身体の痛み、全身の痛み、脱力、認知機能障害、記憶障害、言語検索困難、胃腸障害、腹痛、集中力低下、起立時のめまい、虚弱、不規則な体温、悪寒、脱毛、冷たい手足、温熱および/または寒冷に対する不耐症、発汗、顔面潮紅、リンパ節圧痛、著しい体重の変動、耳鳴り、錯乱、睡眠障害、立ちくらみ、めまい、食欲不振、脱力感、徐脈、血圧低下、吐き気、長引く咳、ブレインフォグ、発疹、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下などが挙げられる。
【0010】
本発明におけるウイルス感染症の後遺症に関連するウイルスは、例えば、COVID-19の原因となった新型コロナウイルスを含むコロナウイルス、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、サイトメガロウイルス、黄熱ウイルス、ヘルペスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、水痘ウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、アデノウイルス、パピローマウイルス、免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、ハンタウイルス、等の病原性ウイルスである。
【0012】
ウイルス感染症の後遺症は、しばしば当事者が身体的症状を訴えても検査で異常が確認されないことがあり、時に、筆舌に尽くしがたい痛み、過労とは質的に異なる疲労、思考力の低下、異常な感覚過敏といった症状が出ることもある。
【0013】
2.ウイルス感染症の後遺症を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物
本発明は、第1の態様により、水素ガス含有気体を有効成分として含む、ウイルス感染症の後遺症の患者においてウイルス感染症の後遺症を原因とする少なくとも肺の繊維化、疲労感、倦怠感、息切れ、呼吸困難、動悸、筋力低下、微熱、筋肉痛、感覚低下、関節痛、胸の違和感、胸の痛み、咽頭痛、頭痛、頭重感、身体の痛み、全身の痛み、脱力、認知機能障害、記憶障害、言語検索困難、胃腸障害、腹痛、集中力低下、起立時のめまい、虚弱、不規則な体温、悪寒、脱毛、冷たい手足、温熱および/または寒冷に対する不耐症、発汗、顔面潮紅、リンパ節圧痛、著しい体重の変動、耳鳴り、錯乱、睡眠障害、立ちくらみ、めまい、食欲不振、脱力感、徐脈、血圧低下、吐き気、長引く咳、ブレインフォグ、発疹、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む症状を改善および/または症状の悪化を抑制するための組成物を提供する。
【0014】
本明細書中、本発明の組成物の有効成分である「水素」は分子状水素(すなわち、気体状水素)であり、特に断らない限り、単に「水素」又は「水素ガス」と称する。また、本明細書中で使用する用語「水素」は、分子式でH2、D2(重水素)、HD(重水素化水素)、又はそれらの混合ガスを指す。D2は、高価であるが、H2よりスーパーオキシド消去作用が強いことが知られている。本発明で使用可能な水素は、H2、D2(重水素)、HD(重水素化水素)、又はそれらの混合ガスであり、好ましくはH2であり、或いはH2に代えて、又はH2と混合して、D2及び/又はHDを使用してもよい。
【0015】
水素ガス含有気体は、好ましくは、水素ガスを含む空気又は、水素ガスと酸素ガスを含む混合ガスである。水素ガス含有気体の水素ガスの濃度は、ゼロ(0)より大きく、かつ18.5体積%以下で、好ましくは10体積%以下、例えば、0.1~18.5体積%であり、好ましくは1~18.5体積%、例えば2~18.5体積%、3~18.5体積%、3~18.5体積%、4~18.5体積%、5~18.5体積%、6~18.5体積%、7~18.5体積%、9~18.5体積%などである。本発明では、爆発限界(18.5体積%以下、好ましくは、10体積%以下)以下で水素ガス濃度が高いほどウイルス感染症の後遺症の症状の改善効果および/または症状の悪化を抑制する効果が大きい傾向がある。
【0016】
水素は、可燃性かつ爆発性ガスであるため、ウイルス感染症の後遺症の症状の改善および/または症状の悪化の抑制においては、安全な条件で本発明の組成物に含有させてウイルス感染症の後遺症の患者に投与することが好ましい。例えば、水素ガス以外の気体が空気であるときには、空気の濃度は、例えば81.5~99.5体積%の範囲である。
【0017】
水素ガス以外の気体が酸素ガスを含む気体であるときには、酸素ガスの濃度は、例えば21~99.5体積%の範囲である。
その他の主気体として窒素ガスを含有させることができる。空気中に含有する気体である二酸化炭素などのガスを、空気中の存在量程度の量で含有させてもよい。
本発明では、必要に応じて、水素ガス含有気体の投与と併用して水素溶存液体をウイルス感染症の後遺症の患者に投与する、もしくは摂取させることができる。
【0018】
水素溶存液体と併用投与する場合には、本発明の組成物は、水素溶存液体の投与の前に、水素溶存液体の投与と同時に、又は水素溶存液体の投与の後に投与されうる。
水素溶存液体は、具体的には、水素ガスを溶存させた水性液体であり、ここで、水性液体は、非限定的に、例えば水(例えば滅菌水、精製水)、生理食塩水、緩衝液(例えばpH4~7.4の緩衝液)、エタノール含有水(例えばエタノール含有量0.1~2体積%)、点滴液、輸液、注射溶液、飲料などである。水素溶存液体の水素濃度は、例えば1~10ppm、例えば2~8体積%、3~7体積%、3~6体積%、4~6体積%、4~5体積%、5~10体積%、5~8体積%、6~8体積%、6~7体積%など、より好ましくは5~8体積%、例えば6~8体積%、6~7体積%などである。本発明では、爆発限界以下で水素ガス濃度が高いほどウイルス感染症の後遺症の症状の改善および/または症状の悪化を抑制する効果が大きい傾向がある。
【0019】
水素溶存液体には、ウイルス感染症の後遺症を治療するための医薬品を添加してもよい。或いは、当該医薬品は、水素溶存液体又は水素ガス含有気体の投与と別に投与してもよい。
水素ガス含有気体又は水素溶存液体は、所定の水素ガス濃度になるように配合されたのち、例えば耐圧性の容器(例えば、ステンレスボンベ、アルミ缶、好ましくは内側をアルミフィルムでラミネーションした、耐圧性プラスチックボトル(例えば耐圧性ペットボトル)及びプラスチックバッグ、アルミバッグ、等)に充填される。アルミは水素分子を透過させ難いという性質を有している。或いは、水素ガス含有気体又は水素溶存液体は、投与時に、水素ガス生成装置、水素水生成装置、又は水素ガス添加装置、例えば、公知のもしくは市販の水素ガス供給装置(水素ガス含有気体の生成用装置)、水素添加器具(水素水生成用装置)、非破壊的水素含有器(例えば点滴液などの生体適用液バッグ内部へ非破壊的に水素ガスを添加するための装置)などの装置を用いてその場で作製されてもよい。
水素ガス供給装置は、水素発生剤(例えば金属アルミニウム、水素化マグネシウム、等)と水の反応により発生する水素ガスを、希釈用ガス(例えば空気、酸素、等)と所定の比率で混合することを可能にする(日本国特許第5228142号公報、等)。あるいは、水の電気分解を利用して発生した水素ガスを、酸素、空気などの希釈用ガスと混合する(日本国特許第5502973号公報、日本国特許第5900688号公報、等)。これによって0.5~18.5体積%の範囲内の水素濃度の水素ガス含有気体を調製することができる。
【0020】
水素添加器具は、水素発生剤とpH調整剤を用いて水素を発生し、水などの生体適用液に溶存させる装置である(日本国特許第4756102号公報、日本国特許第4652479号公報、日本国特許第4950352号公報、日本国特許第6159462号公報、日本国特許第6170605号公報、特開2017-104842号公報、日本国特許第6159462号公報、等)。水素発生剤とpH調整剤の組み合わせは、例えば、金属マグネシウムと強酸性イオン交換樹脂もしくは有機酸(例えばリンゴ酸、クエン酸、等)、金属アルミニウム末と水酸化カルシウム粉末、などである。これによって1~10ppm程度の溶存水素濃度の水素溶存液体を調製できる(例えば、商品名「セブンウォーター」(クオシア)、等)。
【0021】
非破壊的水素含有器は、点滴液などの市販の生体適用液(例えば、ポリエチレン製バッグなどの水素透過性プラスチックバッグに封入されている。)に水素分子をパッケージの外側から添加する装置又は器具であり、例えばMiZ(株)から市販されている(http://www.e-miz.co.jp/technology.html)。この装置は、生体適用液を含むバッグを飽和水素水に浸漬することによってバッグ内に水素を透過し濃度平衡に達するまで無菌的に水素を生体適用液に溶解させることができる。当該装置は、例えば電解槽と水槽から構成され、水槽内の水が電解槽と水槽を循環し電解により水素を生成することができる。或いは、簡易型の使い捨て器具は同様の目的で使用することができる(特開2016-112562号公報、等)。この器具は、アルミバッグの中に生体適用液含有プラスチックバッグ(水素透過性バッグ、例えばポリエチレン製バッグ)と水素発生剤(例えば、金属カルシウム、金属マグネシウム/陽イオン交換樹脂、等)を内蔵しており、水素発生剤は例えば不織布(例えば水蒸気透過性不織布)に包まれている。不織布に包まれた水素発生剤を水蒸気などの少量の水で濡らすことによって発生した水素がプラスチックバッグを透過し生体適用液に非破壊的かつ無菌的に溶解される。
上記の装置又は器具を用いて調製された、水素ガス含有気体や水素飽和生体適用液(例えば滅菌水、生理食塩水、点滴液、等)は、ウイルス感染症の後遺症の患者に経口的に又は非経口的に投与されうる。
本発明の組成物の別の形態には、ウイルス感染症の後遺症の患者に経口投与(もしくは摂取)するように調製された、消化管内で水素の発生を可能にする水素発生剤を含有する剤型(例えば、錠剤、カプセル剤、等)が含まれる。水素発生剤は、例えば食品もしくは食品添加物として承認されている成分によって構成されることが好ましい。
【0022】
3.ウイルス感染症の後遺症の症状の改善および/または症状の悪化の抑制
本発明は、第2の態様により、ウイルス感染症の後遺症の患者に、本発明の組成物を投与することを含む、該患者においてウイルス感染症の後遺症の患者を原因とする少なくとも肺の繊維化、疲労感、倦怠感、息切れ、呼吸困難、動悸、筋力低下、微熱、筋肉痛、感覚低下、関節痛、胸の違和感、胸の痛み、咽頭痛、頭痛、頭重感、身体の痛み、全身の痛み、脱力、認知機能障害、記憶障害、言語検索困難、胃腸障害、腹痛、集中力低下、起立時のめまい、虚弱、不規則な体温、悪寒、脱毛、冷たい手足、温熱および/または寒冷に対する不耐症、発汗、顔面潮紅、リンパ節圧痛、著しい体重の変動、耳鳴り、錯乱、睡眠障害、立ちくらみ、めまい、食欲不振、脱力感、徐脈、血圧低下、吐き気、長引く咳、ブレインフォグ、発疹、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下を含む症状を改善および/または症状の悪化を抑制する方法を提供する。
【0023】
本発明の組成物は、患者のQOL(生活の質)の改善を可能にする。
本発明の組成物をウイルス感染症の後遺症の患者に投与する方法としては、水素ガスを有効成分とするとき、例えば吸入、吸引等による経肺投与が好ましい。ガスを吸入するときには、鼻カニューラや、口と鼻を覆うマスク型の器具を介して口又は鼻からガスを吸入して肺に送り、血液を介して全身に送達することができる。
【0024】
また、水素溶存液体を患者に投与とするときには、経口投与又は静脈内投与もしくは動脈内投与(点滴を含む)が好ましい。経口投与する水素溶存液体については、好ましくは低温下に保存し、冷却した液体、又は常温で保存した液体をウイルス感染症の後遺症の患者に投与してもよい。水素は常温常圧下で約1.6ppm(1.6mg/L)の濃度で水に溶解し、温度による溶解度差が比較的小さいことが知られている。或いは、水素溶存液体は、例えば上記の非破壊的水素含有器を用いて調製された水素ガスを含有させた点滴液又は注射液の形態であるときには、静脈内投与、動脈内投与などの非経口投与経路によってウイルス感染症の後遺症の患者に投与してもよい。
上記水素濃度の水素ガス含有気体又は上記溶存水素濃度の水素溶存液体を1日あたり1回又は複数回(例えば2~3回)、1週間~3か月又はそれ以上の期間、例えば1週間~6か月又はそれ以上にわたりウイルス感染症の後遺症の患者体に投与することができる。水素ガス含有気体が投与されるときには、1回あたり例えば10分~2時間もしくはそれ以上、好ましくは20分~40分もしくはそれ以上、さらに好ましくは30分~2時間かけて投与することができる。また、水素ガス含有気体を吸入、吸引等によって経肺投与するときには、大気圧環境下で、或いは、例えば標準大気圧(約1.013気圧をいう。)を超える且つ7.0気圧以下の範囲内の高気圧、例えば1.02~7.0気圧、好ましくは1.02~5.0気圧、より好ましくは1.02~4.0気圧、さらに好ましくは1.02~1.35気圧の範囲内の高気圧環境下でウイルス感染症の後遺症の患者に当該気体を投与することができる。高気圧環境下での投与によってウイルス感染症の後遺症の患者での水素の体内吸収が促進されうる。
上記高気圧環境は、内部に、例えば上記水素ガス含有気体(例えば、水素含有酸素又は空気)を圧入して標準大気圧を超える且つ7.0気圧以下の高気圧を内部に形成することが可能である、十分な強度をもつように設計された高気圧筐体(例えば、カプセル状筐体)の使用によって作ることができる。高気圧筐体の形状は、耐圧性であるため、全体的に角がない丸みを帯びていることが好ましい。また高気圧筐体の材質は、軽量、高強度であることが好ましく、例えば強化プラスチック、炭素繊維複合材、チタン合金、アルミ合金などを挙げることができる。ウイルス感染症の後遺症の患者は、上記高気圧筐体内で酸素ガスもしくは空気とともに水素ガスを含む、ウイルス感染症の後遺症の症状を改善および/または症状の悪化を抑制するのための組成物の投与を受けることができる。
【0025】
本発明の組成物によるウイルス感染症の後遺症の処置の際には、十分な治療効果と安全性が確認された水素ガス生成装置、水素水生成装置、又は水素ガス添加装置(例えば、上記の水素ガス供給装置(もしくは気体状水素吸入装置)、水素添加器具(もしくは水素水生成装置)、非破壊的水素含有器(水素透過性バッグに封入された点滴液などの生体適用液に非破壊的に水素ガスを溶解する装置)などの装置)を使用することが望ましい。
【実施例0026】
以下の実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
水素ガス吸入によるウイルス感染症の後遺症の改善および/または症状の悪化の抑制
【0027】
<症例1>
(1)患者の病状
患者は日本人男性、2021年時点で58歳。2021年にコロナウイルスデルタ株に感染した。自宅における療養の後に治癒したものの当該患者は、活動レベルが健常人よりも低く、疲労、疼痛、思考力の低下が極度に進行し、健常人の日常生活レベルよりも低なり病院での診察を受けた。医師の診断基準に基づく診断は以下のとおりであった。
▲1▼疲労-持続性、活動レベルが著しく損なわれるほど際立った疲労:重症度3(重い)
▲2▼労作後の疲労感-肉体的及び精神的持久力の喪失、身体的労作によって悪化する疲労:重症度3(重い)
▲3▼労作からの回復に長時間要する-労作前の活動レベルにまで回復するのに24時間以上かかる:重症度2(中等度)
▲4▼疼痛-筋肉痛、関節痛、頭痛:重症度2(中等度)
▲5▼睡眠障害-非回復的睡眠、不眠症、過眠症:重症度2(中等度)
▲6▼錯乱及び集中力低下:重症度2(中等度)
▲7▼記憶障害-短期記憶が損なわれる:重症度1(軽い)
▲8▼労作に伴う息切れ:重症度2(中等度)
▲9▼胃腸障害-下痢、過敏性腸症候群:重症度1(軽い)
▲10▼繰り返す咽頭痛:重症度1(軽い)
▲11▼起立時におけるめまい又は虚弱:重症度1(軽い)
▲12▼温熱/寒冷に対する不耐症:重症度1(軽い)
▲13▼体温の変化、不規則な体温、冷たい手足:重症度1(軽い)
【0028】
(2)吸入開始から2週間後における水素ガス吸入効果
2020年7月7日よりMiZ株式会社(鎌倉市大船)の水素ガス吸入機(Jobs-α、水素濃度約4%~5%、100%水素発生量は200ml/min)を用いて水素ガス吸入を開始した。水素吸入開始3日後の数日間は風邪をひき吸入時間が3時間以下になることもあったけれども、おおよそ1日3時間を目安に吸入を行った。
水素を吸入する以前は、頭がぼやっとしていたが、吸入した後は頭が晴れたようにすっきりとした状態が現われた。このように脳の霧が晴れるような感覚は数年ぶりである。頭痛や全身の疼痛の頻度も減少してきたように感じられ、鎮痛薬の服用回数が減少した。
吸入前は、交感神経が高ぶっていたけれども、水素を吸入するとリラックスした感覚があり、眠気が出てくるようになった。
【0029】
(3)吸入開始から4週間後における水素ガス吸入効果
(i)医師による診断に基づき顕著な回復をみることができた症状を箇条書きにすると以下のとおりである
・労作後の疲労感-肉体的及び精神的持久力の喪失、身体的労作によって悪化する疲労:吸入前(重症度3:重い)→吸入後(重症度2:中程度)
・労作からの回復に長時間要する-労作前の活動レベルにまで回復するのに24時間以上かかる:吸入前(重症度2:中程度)→吸入後(重症度1:軽い)
・疲労-持続性、活動レベルが著しく損なわれるほど際立った疲労:吸入前(重症度3:重い)→吸入後(重症度1:軽い、又は、重症度2:中程度)
・疼痛、頭痛:吸入前(重症度2:中程度)→吸入後(重症度1:軽い)
・集中力低下:吸入前(重症度2:中程度)→吸入後(重症度1:軽い)
・繰り返す咽頭痛:吸入前(重症度2:中程度)→吸入後(重症度1:軽い)
その他の症状については悪化することがなかったことから水素により悪化が抑制されたものと考えられる。
【0030】
(ii)慢性的な重度の疲労感についての患者の所感
水素ガスの吸入により寝たきり状態になるような慢性的な強烈な疲労感が大幅に緩和している。現在も労作後に突然発生する強度の疲労感は起こることがあるが、水素を90分くらい吸入すると、労作後に1~2時間後に寝込んでしまう状態が回避できる。
全般的に疲労感の度合は日によって違いがあり、週に2日か3日は、未だに寝込むことはあるものの、週の半数日以上は健常人と同様に調子が良くなるまでに改善した。
【0031】
(iii)身体の疼痛についての患者の所感
頭痛は水素を吸入する前は週に1、2回起きていたが、水素吸入を開始してからは大幅に頭痛の頻度が減少し、ほとんど頭痛が起こらなくなった。鎮痛薬の服用回数は、水素吸入後は水素吸入前の1/4に減少した。水素ガス吸入開始前の昨年から、体力と筋力回復のため、調子の良い日にリハビリを兼ねた筋トレや有酸素運動のトレーニングを行っているが、水素ガス吸入以前はトレーニング後の筋肉痛や関節痛が酷く、鎮痛薬を服用が必要であった。水素吸入を開始してから2週間経過後からそれらの痛みが大幅に緩和されるようになった。トレーニングにより痛みが出た時でも、毎日90分程度の水素吸入で翌日には痛みがほぼ解消されるようになった。身体の痛みについては、驚くほどの効果を感じている。
【0032】
(iv)ブレインフォグについての患者の所感
病状において認知力、記憶力、集中力の低下が主訴ですが、脳に霧がかかったようなモヤモヤ感は水素ガスの吸入により軽減されている。水素ガス吸入前は、何をするにも、とても辛く、いつも我慢して無理をしながら行っていたが、水素吸入を開始した後の現在は、頭がスッキリしている。認知力についても、文章を書いたり、資料をまとめたりする力が少し元に戻った感がある。
たまに1時間~2時間程度デスクワークを行うと突然強い疲労感が現れて言葉が出なくなったり、文章が理解できなくなったりする症状が現れることがある。水素吸入開始以前は、このような症状はなかなか改善されることはなかった。しかし、水素の吸入により、このような疲労は、体の痛みと同様に、水素吸入以前に比べると短時間(2~3時間)で解消されるようになった。
【0033】
(v)症状のまとめ
慢性的な疲労感・疼痛・ブレインフォグは、明らかに水素による効果が出ている。
労作後の疲労や睡眠障害は現在も強い症状があるものの、労作後の疲労は、水素吸入によって2~3時間で解消する度合も多くなっている。これらの改善は、数年間不調が継続していたことを考えると驚異的な結果である。睡眠障害は以前と変わらず強い症状があるものの、水素吸入後、眠気が出るようになったことは、今までになかった。
水素によってすぐに炎症が緩和できる症状については、比較的早期に改善および/または症状の悪化を抑制につながっているのではと考えられるように思える。
【0034】
<症例2>
2021年にPCR検査でコロナウイルスのオミクロン株に感染した43歳の女性は、コロナウイルスによる肺炎からは回復し、PCR検査で陰性が確認されたものの、コロナウイルス肺炎の後遺症が残った。水素ガス吸入前の彼女は上肢および下肢機能の著しい障害や体幹機能の障害のため、起立、立位、座位姿勢の保持が出来ず、日中はベッド上で過ごし、室内移動は車椅子を使用していた。また、全身の痛み、肺の繊維化による呼吸困難、脱力感、倦怠感、労作後の疲労感、睡眠障害、微熱、徐脈、血圧低下などの症状を示した。
2021年12月中旬より水素ガスを1日当たり6時間吸入した(水素ガス吸入機:MiZ株式会社(鎌倉市大船)、Jobs-α、水素濃度約4%~5%、100%水素発生量200ml/min)。その結果、吸入後3日頃から睡眠障害が改善され、日常的にある頭痛と日に数回起こる片頭痛が緩和された。3週間経過した時点でも水素ガス吸入によって、全身の痛み、呼吸困難、脱力感、倦怠感、労作後の疲労感、睡眠障害、微熱、徐脈、血圧低下など、水素ガス吸入前に症状の緩和効果は継続しており、肺の繊維化の状態も改善しつつある。
【0035】
<症例3>
2020年12月にインフルエンザウイルスA型に感染した20歳の女性はインフルエンザは治ったものの、息切れ、めまい、倦怠感、思考力や意欲の低下、頭痛などの後遺症を示し、一日の大半を寝て過ごしていた。
2021年1月初旬より水素ガスを1日当たり5時間吸入した(水素ガス吸入機:MiZ株式会社(鎌倉市大船)、Jobs-α、水素濃度約4%~5%、100%水素発生量200ml/min)。
その結果、吸入後3週頃から身体が少し軽くなったように感じ、便通と意欲低下の改善を示した。また、昼寝の時間が減った。8週間経過した時点でも昼寝をしない日が多くなり、倦怠感はあるが、身体を動かす活動時間が増えた。また、自分自身が良い方向に向かっていると感じるとの回答を示した。その後、息切れ、めまい、倦怠感、思考力や意欲の低下、頭痛など、水素ガス吸入前に症状の緩和効果を確認している。
本発明は、ウイルス感染症の後遺症の患者に対し水素を投与するだけでウイルス感染症の後遺症の症状、例えば肺の繊維化、疲労感、倦怠感、息切れ、呼吸困難、動悸、筋力低下、微熱、筋肉痛、感覚低下、関節痛、胸の違和感、胸の痛み、咽頭痛、頭痛、頭重感、身体の痛み、全身の痛み、脱力、認知機能障害、記憶障害、言語検索困難、胃腸障害、腹痛、集中力低下、起立時のめまい、虚弱、不規則な体温、悪寒、脱毛、冷たい手足、温熱および/または寒冷に対する不耐症、発汗、顔面潮紅、リンパ節圧痛、著しい体重の変動、耳鳴り、錯乱、睡眠障害、立ちくらみ、めまい、食欲不振、脱力感、徐脈、血圧低下、吐き気、長引く咳、ブレインフォグ、発疹、および/または、これらの症状に伴う活動レベルの低下などの症状を改善および/または症状の悪化を抑制することを可能にする。水素自体に、副作用が知られていないため、患者のQOLを高めることができる。