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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107937
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/18 20180101AFI20230727BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20230727BHJP
【FI】
H04W76/18
H04W84/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097712
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2023509846の分割
【原出願日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2021070664
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】513067244
【氏名又は名称】株式会社YUWA
(71)【出願人】
【識別番号】521122094
【氏名又は名称】株式会社バイタルDX
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】朴 元浩
(57)【要約】
【課題】BLEのペアリング数の制限にとらわれることなく、リストバンド10-1乃至10-nからIoTゲートウェイ1にデータが得られるようにすることを課題とする。
【解決手段】IoTゲートウェイ1のペアリング処理実行部30は、ペアリングリスト60の登録順にリストバンド10-1から順に第1ペアリング処理を試みる。保留リスト書込部32は、第1ペアリング処理が試みられた8台のリストバンド10-1乃至10-8のうち、当該試みに失敗したリストバンドのBDアドレスを順次保留リスト61に書き込む。その後ペアリングリスト60の全てのペアリング処理の試みの終了後、ペアリング処理実行部34は、保留リスト61のBDアドレスの順にリストバンド10-5乃至10-7に対して第2ペアリング処理を試みる。これにより上記課題を解決する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信規格により無線通信を行う1以上の無線機器との間でペアリング処理を実行する情報処理装置において、
ペアリング対象として予め設定されたN(Nは複数の整数値)の前記無線機器の識別情報の夫々が登録された第1リストに基づいて、前記複数の無線機器を所定の規則の順番でペアリング対象に順次設定して、当該処理対象に対して第1ペアリング処理を試みる第1ペアリング処理実行手段と、
前記第1ペアリング処理でペアリングの試みが行われたM(MはN以下の整数値)の前記無線機器のうち、当該試みに失敗した前記無線機器の識別情報を順次第2リストに書き込む第2リスト書込手段と、
前記第1リストにおける所定順番の前記無線機器の第1ペアリング処理の試みの終了後、前記第2リストに書き込まれた識別情報の順に、当該識別情報により示される前記無線機器をペアリング対象に順次設定して、当該処理対象に対して第2ペアリング処理を試みる第2ペアリング処理実行手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記Nは、前記所定の通信規格の制限によりペアリング可能数として設定されている閾値を超える値である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記Mは、前記閾値である、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
所定の通信規格により無線通信を行う1以上の無線機器との間でペアリング処理を実行する情報処理装置における情報処理方法において、
ペアリング対象として予め設定されたN(Nは複数の整数値)の前記無線機器の識別情報の夫々が登録された第1リストに基づいて、前記複数の無線機器を所定の規則の順番でペアリング対象に順次設定して、当該処理対象に対して第1ペアリング処理を試みる第1ペアリング処理実行ステップと、
前記第1ペアリング処理でペアリングの試みが行われたM(MはN以下の整数値)の前記無線機器のうち、当該試みに失敗した前記無線機器の識別情報を順次第2リストに書き込む第2リスト書込ステップと、
前記第1リストにおける所定順番の前記無線機器の第1ペアリング処理の試みの終了後、前記第2リストに書き込まれた識別情報の順に、当該識別情報により示される前記無線機器をペアリング対象に順次設定して、当該処理対象に対して第2ペアリング処理を試みる第2ペアリング処理実行ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
所定の通信規格により無線通信を行う1以上の無線機器との間でペアリング処理を実行する情報処理装置を制御するコンピュータに、
ペアリング対象として予め設定されたN(Nは複数の整数値)の前記無線機器の識別情報の夫々が登録された第1リストに基づいて、前記複数の無線機器を所定の規則の順番でペアリング対象に順次設定して、当該処理対象に対して第1ペアリング処理を試みる第1ペアリング処理実行ステップと、
前記第1ペアリング処理でペアリングの試みが行われたM(MはN以下の整数値)の前記無線機器のうち、当該試みに失敗した前記無線機器の識別情報を順次第2リストに書き込む第2リスト書込ステップと、
前記第1リストにおける所定順番の前記無線機器の第1ペアリング処理の試みの終了後、前記第2リストに書き込まれた識別情報の順に、当該識別情報により示される前記無線機器をペアリング対象に順次設定して、当該処理対象に対して第2ペアリング処理を試みる第2ペアリング処理実行ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば携帯音楽プレーヤ等の親機と、ワイヤレスイヤホン等の子機とで構成される通信機器間を無線接続する通信方式として、例えばBluetooth(登録商標)が用いられている(例えば特許文献1参照)。
近年では、それをさらに省力化したBLE(Bluetooth Low Energy)等を用いるIoT機器が実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-218785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、BLEには、子機を親機にペアリングする数に制限(例えば8台等)がある。例えば介護施設等で、介護対象者に子機を身に付けてもらい、介護対象者のバイタルサイン等のデータを子機が測定し親機に収集及び管理する等の使い方をする場合、ペアリング数の制限のため、子機が介護対象者全員に行き渡らず、人手の測定が必要になることがある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、無線通信規格のペアリング数の制限にとらわれることなく、1以上の無線機器から情報処理装置にデータが得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態である情報処理装置は、
所定の通信規格により無線通信を行う1以上の無線機器との間でペアリング処理を実行する情報処理装置において、
ペアリング対象として予め設定されたN(Nは複数の整数値)の前記無線機器の識別情報の夫々が登録された第1リストに基づいて、前記複数の無線機器を所定の規則の順番でペアリング対象に順次設定して、当該処理対象に対して第1ペアリング処理を試みる第1ペアリング処理実行手段と、
前記第1ペアリング処理でペアリングの試みが行われたM(MはN以下の整数値)の前記無線機器のうち、当該試みに失敗した前記無線機器の識別情報を順次第2リストに書き込む第2リスト書込手段と、
前記第1リストにおける所定順番の前記無線機器の第1ペアリング処理の試みの終了後、前記第2リストに書き込まれた識別情報の順に、当該識別情報により示される前記無線機器をペアリング対象に順次設定して、当該処理対象に対して第2ペアリング処理を試みる第2ペアリング処理実行手段と、
を備える。
このように接続先の無線機器の識別情報を第1リストに登録しておき、ペアリングを順次試み、ペアリングに失敗した無線機器の識別情報を第2リストに書き込み、第1ペアリング処理の試みの終了後、第2リストに書き込まれた識別情報の順にペアリング対象の無線機器に第2ペアリング処理を試みるので、接続先の無線機器が所定台数を超える場合でも、ペアリングを可能にすると共に、ペアリングされた接続先の無線機器との通信を可能とすることができる。
この結果、無線通信規格のペアリング数の制限にとらわれることなく、1以上の無線機器から情報処理装置にデータが得られるようにする。
なお、本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無線通信規格のペアリング数の制限にとらわれることなく、1以上の子機から親機にデータが得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の情報処理システムの全体構成を示している。
図2図1の情報処システムのうちIoTゲートウェイのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3図1図2の情報処理システムにおけるIoTゲートウェイの機能的構成を示す機能ブロック図である。
図4】ペアリングリストと保留リストの一例を示す図である。
図5】IoTゲートウェイの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の情報処理システムの全体構成を示している。
図1に示す情報処理システムは、IoTゲートウェイ1と、クラウドサーバ2(以下「クラウド2」と称す)と、スマートフォン3乃至5と、コンピュータ6、7とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に通信可能に接続されることによって構成されている。
【0010】
IoTゲートウェイ1は、Bluetooth通信機能と、ネットワークNを通じたデータ通信機能と、を有している。詳細機能については、図3の説明の際に詳述する。
IoTゲートウェイ1は、Bluetooth通信機能によりn台(nは1以上の任意の整数値)のリストバンド10-1乃至10-nと無線通信可能である。
IoTゲートウェイ1は、n台のリストバンド10-1乃至10-nと夫々1台ずつ無線通信して、夫々のリストバンド10-1乃至10-nからバイタルデータを取得し、クラウド2へアップロードする。
【0011】
クラウド2は、IoTゲートウェイ1からアップロードされたバイタルデータを記憶する情報処理装置である。
スマートフォン3は、在宅の要介護者KMが操作する情報処理装置である。
スマートフォン4は、要介護者KA乃至KNが入所する施設の従事者KOが操作する情報処理装置である。
スマートフォン5は、病院に入院又は通う患者KPが操作する情報処理装置である。
これらスマートフォン3乃至5は、Bluetooth通信機能等の無線通信機能と、キャリアの基地局を通じた無線通話機能と、スマートフォン本体のメモリにインストールされたアプリケーションプログラムを実行するアプリ実行機能とを有している。
スマートフォン3乃至5は、夫々のユーザに装着されたリストバンド10-21乃至10-23とBluetooth通信機能で無線通信を行う。
スマートフォン3乃至5は、リストバンド対応のバイタルデータ処理用のアプリケーションプログラム(以下「バイタルアプリ」と称す)をインストールすることで、ペアリンク済みのリストバンド10-21乃至10-23により計測されたバイタルデータを取得しアプリの画面に表示する。
【0012】
コンピュータ6は、従事者KOが操作する情報処理装置である。コンピュータ7は、医療従事者KQが操作する情報処理装置である。これらコンピュータ6、7をPC6、7と称す。
PC6、7は、リストバンド10-1乃至10-nにより収集されクラウド2にアップロードされた夫々のユーザのバイタルデータを、PC本体にインストールされたアプリケーションプログラムによりPCの画面に表示して編集することができる。
なお、以下、リストバンド10-1乃至10-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「リストバンド10」と呼ぶ。
リストバンド10を装着する要介護者KA乃至KN、KM、従事者KO、患者KP等をまとめてユーザと称す。
リストバンド10は、夫々のユーザに装着される無線機器であり、ユーザのバイタルデータを計測し、計測したバイタルデータをIoTゲートウェイ1等の上位装置にアップロードする機能(バイタルデータを計測するセンサと、Bluetooth通信機能、データアップロード機能等)を有する。
【0013】
具体的には、本実施形態では、IoTゲートウェイ1は、次のようにして、リストバンド10の各動作を管理する。
即ち、IoTゲートウェイ1は、一台で多数のリストバンド10を無線接続してバイタルサインを収集できる機能を有しており、リストバンド10の装着者のバイタルサインを効率的に吸い上げる。ここでのペアリングの対象と想定されるリストバンドの台数は数十台としている。
【0014】
このようにすることで、例えば介護施設等にIoTゲートウェイ1を配置し、入所者、介護施設のスタッフ一人一人にリストバンド10を装着させることで、介護施設の関係者全員の健康状態を可視化することができる。
【0015】
また、介護施設においては、施設内の集会所やレストランにIoTゲートウェイ1を配置し、例えば1日1回、リストバンド10を付けた施設利用者、スタッフがその集会場や介護施設を利用するタイミングで、リストバンド10からバイタルサインを収集する。
【0016】
即ち、この実施形態の情報処理システムでは、1台のIoTゲートウェイ1が複数のリストバンド10と無線接続して、夫々のリストバンド10により計測されたバイタルデータをIoTゲートウェイ1が自動的に収集し、それらのデータをクラウド2に蓄積し、必要に応じてクラウド2のデータをPC6、7に読み出して閲覧及び編集することができる。
【0017】
図2は、図1の情報処理システムのうちIoTゲートウェイのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0018】
IoTゲートウェイ1は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、バス104と、入出力インターフェース105と、出力部106と、入力部107と、記憶部108と、通信部109と、ドライブ110と、を備えている。
【0019】
CPU101は、ROM102に記録されているプログラム、又は、記憶部108からRAM103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM103には、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0020】
CPU101、ROM102及びRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インターフェース105も接続されている。入出力インターフェース105には、出力部106、入力部107、記憶部108、通信部109及びドライブ110が接続されている。
【0021】
出力部106は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部107は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0022】
記憶部108は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部109は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(図1の例ではリストバンド10-1乃至10-n等)との間で通信を行う。
【0023】
ドライブ110には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア120が適宜装着される。ドライブ110によってリムーバブルメディア120から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
また、リムーバブルメディア120は、記憶部108に記憶されている各種データも、記憶部108と同様に記憶することができる。
【0024】
図3は、図1の情報処理システムにおけるIoTゲートウェイの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0025】
IoTゲートウェイ1の記憶部108(図2)の一領域には、図3に示すように、記憶領域41が設けられている。
記憶領域41には、1以上のリストバンド10から取得されるリストバンド装着者のバイタルデータが夫々のリストバンド10の識別情報に対応して記憶される。
識別情報は、例えば機器名やBDアドレス等である。
バイタルデータは、リストバンド10により測定されるリストバンド装着者のバイタルサインを、時系列で追って記録したデータ(指標の種別、時刻、数値を含むデータ)である。
バイタルサインは、人間の生命活動における重要な指標であり、例えば人の脈拍、血圧、呼吸、体温、意識レベル、尿量等の指標があり、そのうち少なくとも1つを指す。人体に装着する機器の機種(機能)により計測される指標が異なる。
夫々の指標には、正常値のおおよその範囲(基準値)が設けられており、平常時の正常値の数値は、個人毎に異なる。
【0026】
また、記憶領域41には、設定ファイル、例えば図4に示す初期登録済みのペアリングリスト60が記憶されている。
ペアリングリスト60には、ペアリングが可能なリストバンド10のBDアドレスが予め登録されている。
本ゲートウェイとリストバンド10とのペアリングに失敗すると、ペアリングに失敗したリストバンド10のBDアドレスがペアリングリスト60から転記、つまりペアリングリスト60からBDアドレスが読み出されて順に書き込まれた保留リスト61が追加される。
この他、記憶領域41には、リストバンド10の機種名等の呼称(表示名)やリストバンド10の装着者を識別するための情報等がBDアドレスに対応して記憶されることもある。
【0027】
IoTゲートウェイ1のCPU101(図2)においては、処理を実行する際に、図3に示すように、ペアリング処理実行部30と、アドレス収集部31と、保留リスト書込部32と、データ収集部33と、ペアリング処理実行部34とが機能する。
【0028】
本情報処理システムでは、ペアリング対象となり得るリストバンド10-1乃至10-nが有している固有の識別情報、例えば機種名(今回の接続対象のリストバンドならばPXX_PYY等)の一部をファームウェアに記憶しておく。
ペアリング処理実行部30は、ペアリング対象のリストバンド10とIoTゲートウェイ1の双方がペアリングモードになっている場合、ファームウェアに記憶された機種名の一部が一致すれば、ペアリング対象のリストバンド10のBDアドレスが設定ファイルに事前に書き込まれていない場合でもペアリング処理を実行し、ペアリングすることができる。
また、ペアリング処理実行部30は、ペアリング対象として予め設定されたN(Nは複数の整数値)のリストバンド10-1乃至10-nのBDアドレスの夫々が登録されたペアリングリスト60に基づいて、複数のリストバンド10-1乃至10-nをペアリングリスト60の登録順番で今回のペアリング対象のリストバンド(例えばリストバンド10-1等)に順次設定して、当該処理対象のリストバンド10-1に対して第1ペアリング処理を試みる。
【0029】
アドレス収集部31は、ペアリング対象のリストバンド10のBDアドレスが設定ファイルに事前に書き込まれていない場合にペアリングされたリストバンド10のBDアドレスを収集し、記憶領域41の設定ファイルであるペアリングリスト60に書き込む。
【0030】
保留リスト書込部32は、第1ペアリング処理でペアリングの試みが行われたM(MはN以下の整数値)のリストバンド10-1乃至10-nのうち、当該試みに失敗したリストバンド(例えば図4の例ではリストバンド10-5乃至10-7のBDアドレスを順次保留リスト61に書き込む。
【0031】
データ収集部33は、ペアリングの試みによりペアリング処理が正常に終了しペアリングされた1つのリストバンド(例えば最初であればリストの1番にBDアドレスが記載されているリストバンド10-1等)と通信部109によりリンクが確立された後、リストバンド10-1からバイタルデータを収集する。
【0032】
ペアリング処理実行部34は、ペアリングリスト60における所定順番のリストバンド(例えばリストバンド10-1等)の第1ペアリング処理の試みの終了後、保留リスト61に書き込まれたBDアドレスの順に、当該BDアドレスにより示されるリストバンド10-6、10-7を処理対象に順次設定して、当該処理対象に対して第2ペアリング処理を試みる。
ここで、BLEの無線通信規格によりペアリングの制限台数(例えば8台等)を超える機器のペアリング・接続について説明する。
【0033】
この情報処理システムでは、接続先のリストバンド10のBDアドレスをペアリングリスト60としてIoTゲートウェイ1に記録しておくことで、接続先のリストバンド10が8台を超える場合でも、ペアリングを可能にして、またそれら接続先端末との通信を可能にする。
【0034】
具体的には、まず、接続順番でBDアドレスが登録されているペアリングリスト60の最初の8台目までに書き込まれているBDアドレスを持つリストバンド(例えばリストバンド10-1乃至10-8)と順次ペアリングを試みて測定値収集を行う。
ここで、もしペアリング先のリストバンドが一定時間内に検出されずにペアリングが失敗した場合、IoTゲートウェイ1は、その未検出のBDアドレスを保留リスト61(図4参照)に書き込む。
【0035】
そして、IoTゲートウェイ1は、ペアリングリスト60の9台目から順次ペアリングを試みて、ペアリングされたリストバンドからバイタルデータ(測定値)を収集する。
9台目以降のペアリング処理で、ペアリング先のリストバンドが一定時間内に検出されない場合は、上記同様に対象のBDアドレスを保留リスト61に書き込む。
【0036】
このようにしてペアリングリスト60の登録順に最後までペアリングと通信を行い、もし接続先が検出されない場合は、保留リスト61に書き込む。
ペアリングリスト60の最後の順番のBDアドスレまでペアリングの試みを終了したら、次に上記の処理の際に作成された保留リスト61に書き込まれている8台目までのBDアドレスについて、ペアリング及びバイタルデータ(測定値)の収集を実行し、9台目以降の保留リスト61の最後までのプロセスは、ペアリングリスト60のときのそれに準じる。
【0037】
もしプロセスの途中で、再度、ペアリング及び測定値の収集を試みても接続先のリストバンド10が検出されない場合は、保留リスト61の次の保留リスト62(図4参照)を同様の手法で作成しつつ保留リスト61に書かれたBDアドレスを持つリストバンド10に対して最後までペアリング及び測定値の収集等の処理を実行する。
【0038】
そして、保留リスト61の最後のBDアドレスまでペアリングの試みを実行した後、次の保留リスト62を用いてそのリストに書き込まれているBDアドレスを持つリストバンド10についてペアリング及び測定値の収集等の処理を実行する。
【0039】
なお、上述した初期のペアリングリスト60に基づくペアリングの試みの開始から、未検出、保留リスト作成、ペアリング、最後のアドレスまで終了、次の保留リスト61のペアリング~といったプロセスは、設定ファイルに、一定時間毎のイベントとして発生させるか、又は定期的にイベントとして発生させるのか、あるいは両方実行するのかを選択できるようにし、その一定時間、定期となる時刻も設定できるものとする。
【0040】
続いて、図5を参照してこの情報処理システムにおけるIoTゲートウェイの具体的な動作を説明する。図5は、IoTゲートウェイの動作を示すフローチャートである。
【0041】
具体的には、図5のステップS11において、ペアリング処理実行部30は、ペアリング対象として予め設定されたN(Nは複数の整数値)のリストバンド10-1乃至10-nのBDアドレスの夫々が登録された既定のペアリングリスト60に基づいてペアリング処理を実行する。
【0042】
この際、ペアリングリスト60のBDアドレスの登録順番に従い、例えば図4のペアリングリスト60の1番目のBDアドレス「aa:bb:cc:dd:ee:01」を今回のペアリング対象に設定して、当該処理対象のBDアドレスを持つリストバンド10-1に対して1巡目のペアリング処理を試みる。
【0043】
ステップS11において、ペアリング処理を試みた結果、ペアリング処理が失敗した場合(ステップS12のYes)、保留リスト書込部32は、ステップS13において、ペアリング処理の試みに失敗したリストバンド(例えば図4のペアリングリスト60のNo.5等)のBDアドレス「aa:bb:cc:dd:ee:05」を保留リスト61に書き込む。
【0044】
一方、ペアリング処理を試みた結果、ペアリング処理が成功した場合(ステップS12のNo)、ステップS11の処理に戻り、ペアリングリスト60の次の登録順番のBDアドレスをペアリング対象に設定して、ペアリング処理を試行する。
【0045】
そして、BLEの制限数である登録順番の8番目までBDアドレスのペアリング処理を実行するまで、ステップS11乃至S14の第1ペアリング処理の試行を繰り返す。
【0046】
ペアリングリスト60の登録順番の8番目までのBDアドレスのペアリング処理を実行すると、次に、データ収集部33は、ペアリング済みのリストバンド10-1乃至10-4、10-8とのリングを順に確立した後、ステップS15において、リストバンド10-1から順にバイタルデータを収集する。
【0047】
ペアリング済みのリストバンド10-1乃至10-4、10-8のデータを収集した後(ステップS16のYes)、ステップS17において、ペアリング処理実行部30は、ペアリングリスト60の残りの順番(9番目以降)のBDアドレスを設定してペアリング処理及びデータ収集等の処理を実行する。
【0048】
そして、ペアリングリスト60に登録された全てのBDアドレス「aa:bb:cc:dd:ee:11」までのペアリング処理を実行すると、次に、ステップS18において、ペアリング処理実行部34は、BDアドレスが書き込まれた次のリストがあるか否かをチェックする。
【0049】
BDアドレスが書き込まれた次のリスト、ここでは保留リスト61が存在する場合(ステップS18のYes)、ステップS19において、その保留リスト61をペアリングに参照するリストに設定して、ステップS11の処理に戻り、保留リスト61からBDアドレスを読み出して、2巡目のペアリング処理を試みる。
【0050】
なお、ステップS18の判定の結果、次のリストが存在しない場合(ステップS18のNo)、初期(規定)のペアリングリスト60をペアリングの際に参照するリストに設定し、ステップS11に戻り、1巡目のペアリング処理を試みる。
【0051】
このように、既定のペアリングリスト60による1巡目のペアリング処理でペアリングの試みが行われたリストバンド10-1乃至10-11のうち、制限数のリストバンド10-8までのペアリング処理が終わったときに、ペアリングの試みに失敗したリストバンド(例えば図4のペアリングリスト60のNo.5「aa:bb:cc:dd:ee:05」乃至No.7「aa:bb:cc:dd:ee:07」等)のBDアドレスを保留リスト61に順次書き込み、その後のペアリングリスト60における最後の順番No.11「aa:bb:cc:dd:ee:11」のペアリング処理の試みが終了した後、次に、保留リスト61に書き込まれたBDアドレスの順に、そのBDアドレスにより示されるリストバンド(例えばリストバンド10-5乃至10-7等)をペアリング対象に順次設定して、当該リストバンド10-5乃至10-7に対して2巡目のペアリング処理を試みるので、BLEの制限数(8台)を超えて11台のリストバンド10-1乃至10-11とペアリングを行うことができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0053】
例えば、図2に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0054】
また、図3に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような構成の機能ブロック及び記憶領域を用いるのかは、特に図3の例に限定されない。
【0055】
また、機能ブロック及び記憶領域の存在場所も、図3に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロック及び記憶領域は、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0056】
各機能ブロック及び記憶領域の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0057】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0058】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0059】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0060】
上記実施形態では、ペアリングリスト60の1番目のBDアドレスから順にペアリング処理を実行したが、1番目からとは限らずランダムな順や1つおき等の順でペアリング処理を実行してもよく、複数の無線機器を所定の規則の順番でペアリング対象に設定して行えばよい。
上記実施形態では、1台ずつペアリング及びデータ収集する説明をしたが、一定数(8台)をまとめてペアリング及びデータ収集してもよい。
上記実施形態では、情報処理装置の一例として、IoTゲートウェイ1を例にあげて説明したが、これ以外に、例えば家庭の無線ルータやスマートフォン等に上述したIoTゲートウェイ1の機能を設けてもよく、所定の通信規格により無線通信を行う1以上の無線機器との間でペアリング処理を実行する情報処理装置であれば足りる。
上記実施形態では、介護施設の利用者、その家族、そのスタッフ等が利用者となることを想定して例示したが、本発明は、工事現場やヘルスケアツーリズム等の利用者にも適用可能であり、無線機器のユーザであれば足りる。
【0061】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば図3のIoTゲートウェイ1等)は、
所定の通信規格(BLE等)により無線通信を行う1以上の無線機器(例えば図3のリストバンド10-1乃至10-n等)との間でペアリング処理を実行する情報処理装置(例えば図3のIoTゲートウェイ1等)において、
ペアリング対象として予め設定されたN(Nは複数の整数値)の前記無線機器(例えば図3のリストバンド10-1乃至10-n等)の識別情報(BDアドレス)の夫々が登録された第1リスト(例えば図4のペアリングリスト60等)に基づいて、前記複数の無線機器を所定の規則の順番(ペアリングリスト60の登録順番)でペアリング対象(今回のペアリング対象のリストバンド)に順次設定して、当該ペアリング対象に対して第1ペアリング処理を試みる第1ペアリング処理実行手段(例えば図3のペアリング処理実行部30等)と、
前記第1ペアリング処理でペアリングの試みが行われたM(MはN以下の整数値)の前記無線機器(例えば図3のリストバンド10-1乃至10-n等)のうち、当該試みに失敗した前記無線機器(例えば図4のペアリングリスト60のNo.5乃至No.7等)の識別情報(BDアドレス)を第2リスト(例えば図4の保留リスト61等)に順次書き込む第2リスト書込手段(例えば図3の保留リスト書込部32等)と、
前記第1リスト(ペアリングリスト60)における所定順番の前記無線機器の第1ペアリング処理の試みの終了後、前記第2リスト(例えば図4の保留リスト61)に書き込まれた識別情報(BDアドレス)の順に、当該識別情報により示される前記無線機器(図4の保留リスト61のNo.1乃至No.3等)をペアリング対象に順次設定して、当該処理対象に対して第2ペアリング処理を試みる第2ペアリング処理実行手段(例えば図3のペアリング処理実行部34等)と、
を備える。
このような構成を備えることにより、無線通信規格のペアリング数に制限があった場合でも、その制限数を超える数の無線機器と順次ペアリングすることができる。
この結果、所定の通信規格(BLE等)のペアリング数の制限にとらわれることなく、多数の無線機器(例えば図3のリストバンド10-1乃至10-n等)から情報処理装置(例えば図3のIoTゲートウェイ1等)にデータが得られるようになる。
前記Nは、前記所定の通信規格の制限によりペアリング可能数として設定されている閾値(例えば8等)を超える値である。
これにより、所定の通信規格(BLE等)のペアリング可能数を超えるN台の無線機器を情報処理装置にペアリングすることができる。
前記Mは、前記閾値である。
これにより、所定の通信規格(BLE等)の閾値Mを超えるN台の無線機器を情報処理装置にペアリングすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1・・・IoTゲートウェイ、2・・・クラウドサーバ(クラウド)、3、4・・・スマートフォン、5、6・・・PC、10-1乃至10-n・・・リストバンド、101・・・CPU、102・・・ROM、103・・・RAM、104・・・バス、105・・・入出力インターフェース、106・・・出力部、107・・・入力部、108・・・記憶部、109・・・通信部、110・・・ドライブ、120・・・リムーバブルメディア、30・・・ペアリング処理実行部、31・・・アドレス収集部、32・・・保留リスト書込部、33・・・データ収集部、34・・・ペアリング処理実行部、41・・・記憶領域、KA乃至KO・・・リストバンドの装着者(ユーザ)、N・・・ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5