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特開2023-107953ツールの姿勢を維持するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107953
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】ツールの姿勢を維持するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20230727BHJP
   B25J 9/10 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
A61B34/30
B25J9/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023097962
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2021167946の分割
【原出願日】2015-03-17
(31)【優先権主張番号】61/954,261
(32)【優先日】2014-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/024,887
(32)【優先日】2014-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】イトコウィッツ,ブランドン ディー
(72)【発明者】
【氏名】スワラップ,ニティシュ
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス,ポール ジー
(72)【発明者】
【氏名】リンチ,ゴーラン
(57)【要約】
【課題】ツールの近位にある多関節ジョイントにおける外乱の存在下でそのツールの姿勢を維持すること。
【解決手段】
1又は複数の第1ジョイント及び1又は複数の第2ジョイントを含む多関節アームと、第1ジョイント及び第2ジョイントの遠位にあるツールと、第1ジョイント及び第2ジョイントに結合された制御ユニットとを備えたコンピュータ支援医療装置のためのツールの姿勢を維持するシステム及び方法。制御ユニットは、ツールの基準座標フレームを決定し、第1ジョイントの動きに先だって基準座標フレームにおけるツールの基準変換を決定し、第1ジョイントが動かされている間に基準座標フレームにおけるツールの実際の変換を決定し、基準変換と実際の変換との間の差を決定し、且つ、その差に基づいて第2ジョイントを駆動することでツールの姿勢を維持することによって、第1ジョイントの動作の際に、第2ジョイントを用いてツールの姿勢を維持する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援装置であって、当該コンピュータ支援装置は、
多関節構造であって、該多関節構造の近位端と前記多関節構造の遠位端との間に複数のジョイントを含み、器具を支持するように構成される多関節構造と、
該多関節構造に結合された制御ユニットと、を含んでおり、
該制御ユニットは、
前記複数のジョイントのうちの第1ジョイントの動きによる、前記器具の位置及び向きの変化を決定すること、
前記複数のジョイントのうちの第2ジョイントが可動域の制限にあるとの判定に応答して、又は前記第2ジョイントが前記可動域の制限に到達しようとしているとの判定に応答して、
前記複数のジョイントのうちの1つ又は複数のジョイントを駆動して、前記器具の前記位置又は前記向きの前記変化を部分的に補償することであるが、前記第1ジョイントの前記動きによる前記器具の前記位置及び前記向きの前記変化の全てが排除されているわけではない、こと、及び
前記器具の前記位置及び前記向きの前記変化の全てが排除されているわけではないというフィードバックを提供する、ように構成される、
コンピュータ支援装置。
【請求項2】
前記フィードバックは、
前記第2ジョイントにブレーキを部分的にかけること、及び
前記第2ジョイントに関連付けられたアクチュエータに運動抵抗信号を印加すること、から構成されるグループから選択されるフィードバックタイプを含む、請求項1に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記複数のジョイントのうちの非作動の第3ジョイントのロックを解除して、該ロック解除した第3ジョイントの移動が可能となるようにさらに構成され、前記ロック解除した第3ジョイントの動きによって、前記第2ジョイントを駆動させる必要がある量を減らして、前記器具の前記位置及び前記向きの変化を最小限に抑える、請求項1又は2に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記複数のジョイントのうちの第3ジョイントをロックして、前記1つ又は複数のジョイントを駆動している間の前記第3ジョイントの相対移動を防止するようにさらに構成される、請求項1又は2に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項5】
前記器具の前記位置及び前記向きの前記変化を決定するために、前記制御ユニットは、
前記器具の基準座標フレームを決定し、
前記第1ジョイントの前記動きに先立って、前記基準座標フレームにおける前記器具の基準変換を決定し、
前記第1ジョイントを動かしている間に、前記基準座標フレームにおける前記器具の実際の変換を決定し、
前記器具の前記実際の変換と前記器具の前記基準変換との間の差に基づいて、前記器具の前記位置及び前記向きの前記変化を決定する、ように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記第1ジョイントの前記動きの原因に基づいて、前記器具の前記基準座標フレームを決定する、請求項5に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項7】
前記第1ジョイントの前記動きが前記多関節構造に結合された患者の動きによるものである場合に、前記基準座標フレームは、前記多関節構造の遠隔中心に関連付けられる、請求項6に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項8】
前記多関節構造の手動による再位置決めによるもの、衝突によって引き起こされる動きによるもの、又は前記第1ジョイントのブレーキ又はロックの解除によるものである、前記第1ジョイントの前記動きが、前記多関節構造の制御された動きによるものである場合に、前記基準座標フレームは、当該コンピュータ支援装置に関連付けられた世界座標フレームに対して固定される、請求項6に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項9】
前記制御ユニットは、前記複数のジョイントのうちのジョイントの位置と、当該コンピュータ支援装置の1つ又は複数の運動学モデルとに基づいて、前記基準変換及び前記実際の変換を決定する、請求項5乃至8のいずれか一項に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項10】
前記実際の変換と前記基準変換との間の前記差を決定するために、前記制御ユニットは、前記実際の変換を使用して前記基準変換の逆変換を構成するように設定される、請求項5乃至9のいずれか一項に記載のコンピュータ支援装置。
【請求項11】
複数の機械可読命令を含む非一時的な機械可読媒体であって、前記機械可読命令がコンピュータ支援装置に関連付けられた1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、該1つ又は複数のプロセッサに、
前記コンピュータ支援装置の多関節構造によって支持される器具の位置及び向きの変化を決定することであって、該変化は、前記多関節構造の複数のジョイントのうちの第1ジョイントの動きによるものである、こと、
前記複数のジョイントのうちの第2ジョイントが可動域の制限にあるとの判定に応答して、又は前記複数のジョイントのうちの第2ジョイントが前記可動域の制限に到達しようとしているとの判定に応答して、
1つ又は複数のアクチュエータを使用して、前記複数のジョイントのうちの1つ又は複数のジョイントを駆動して、前記器具の前記位置又は前記向きの前記変化を部分的に補償することであるが、前記第1ジョイントの前記動きによる前記器具の前記位置及び前記向きの前記変化の全てが排除されているわけでない、こと、及び
前記器具の前記位置及び前記向きの前記変化の全てが排除されているわけではないというフィードバックを提供すること、を含む段階を実行させるように適合される、
非一時的な機械可読媒体。
【請求項12】
前記フィードバックは、
前記第2ジョイントにブレーキを部分的にかけること、及び
前記第2ジョイントに関連付けられたアクチュエータに運動抵抗信号を印加すること、から構成されるグループから選択される少なくとも1つのフィードバックタイプを含む、請求項11に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項13】
前記段階は、前記複数のジョイントのうちの第3ジョイントのロックを解除して、該ロック解除した第3ジョイントの移動が可能となるようにすることをさらに含み、前記ロック解除した第3ジョイントの動きによって、前記第2ジョイントを駆動させる必要がある量を減らして、前記器具の前記位置及び前記向きの前記変化を最小限に抑える、請求項11又は12に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項14】
前記段階は、前記複数のジョイントのうちの第3のジョイントをロックして、前記1つ又は複数のジョイントを駆動している間の前記第3のジョイントの相対移動を防止することをさらに含む、請求項11又は12に記載の非一時的な機械可読媒体。
【請求項15】
前記器具の前記位置及び前記向きの前記変化を決定することは、
前記器具の基準座標フレームを決定し、
前記第1ジョイントの前記動きに先立って、前記基準座標フレームにおける前記器具の基準変換を決定し、
前記第1ジョイントを動かしている間に、前記基準座標フレームにおける前記器具の実際の変換を決定し、
前記器具の前記実際の変換と前記器具の前記基準変換との間の差に基づいて、前記器具の前記位置及び前記向きの前記変化を決定する、ことを含む、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の非一時的な機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2014年7月15日に出願された“System and Method for Aligning with a Reference Target”というタイトルの米国仮出願第62/024887号と、2014年3月17日に出願された“System and Method for Aligning with a Reference Target”というタイトルの米国仮出願第61/954261号の優先権を主張し、参照によりそれらの全てが本書に援用される。また、本開示は、同時に出願された“System and Method for Integrated Surgical Table”というタイトルの代理人整理番号ISRG06930PROV2/US/70228.498US01を有する米国仮出願、同時に出願された“System and Method for Reducing Tool Disturbances”というタイトルの代理人整理番号ISRG07010PROV/US/70228.490US01を有する米国仮出願、及び、同時に出願された“System and Method for Aligning with a Reference Target”というタイトルの代理人整理番号ISRG06230PCT/70228.422WO01を有するPCT出願に関連し、参照によりそれらの全てが本書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、多関節アームを備えた装置の作動に関し、より具体的には、ツールの姿勢を維持することに関する。
【背景技術】
【0003】
ますます多くの装置が自律的及び半自律的な電子装置で置き換えられてきている。これは、手術室、介入室、集中治療病室、救急処置室等で見出される多くの自律的及び半自律的な電子装置がある今日の病院に特に当てはまる。例えば、ガラスと水銀でできた温度計は電子温度計で置き換えられ、静脈内点滴線は今では電子モニタ及び流量レギュレータを含み、また、従来のハンドヘルドの手術器具はコンピュータ支援医療装置で置き換えられている。
【0004】
これらの電子装置は、それらを操作する者に利点と課題の双方をもたらす。これらの電子装置の多くは、1又は複数の多関節アーム及び/又はエンドエフェクタの自律的な或いは半自律的な動作を可能にし得る。これらの1又は複数の多関節アーム及び/又はエンドエフェクタのそれぞれは、それら多関節アーム及び/又はエンドエフェクタの運動を支援するリンクと多関節ジョイントの組み合わせを含む。多くの場合、それらの多関節ジョイントは、対応する多関節アーム及び/又はエンドエフェクタにおけるリンク及び多関節ジョイントの遠位端に配置された対応するツールの所望の位置(position)及び/又は方向(orientation)(集合的に、所望の姿勢(pose))を獲得するために操縦される。そのツールの近位にある多関節ジョイントのそれぞれは、対応する多関節アーム及び/又はエンドエフェクタに、対応するツールの位置及び/又は方向を操縦するのに使用され得る少なくとも1つの自由度をもたらす。多くの場合、対応する多関節アーム及び/又はエンドエフェクタは、対応するツールのロール、ピッチ、及びヨー方向ばかりでなく、対応するツールのx、y、及びz位置を制御できるようにする少なくとも6つの自由度を含み得る。対応するツールの姿勢の制御におけるより大きな柔軟性をもたらすために、対応する多関節アーム及び/又はエンドエフェクタはしばしば冗長自由度を含むように設計される。冗長自由度が存在する場合、対応するツールの同じ姿勢を獲得するために、多関節ジョイントにおける位置及び/又は方向の複数の異なる組み合わせが用いられることが可能である。これは、多関節ジョイントが動いている場合であっても、対応するツールの姿勢が動かないゼロ空間(null space)を創出する。
【0005】
多関節アーム及び/又はエンドエフェクタのそれぞれが操作されているとき、多関節アーム及び/又はエンドエフェクタは、多関節ジョイントの1又は複数における動きをもたらし得る、計画的な運動及び計画外の運動の双方の対象となる可能性がある。この運動はその1又は複数の多関節ジョイントの位置及び/又は方向を変化させるので、その変化は、多関節アームによって操縦されているツールの姿勢に望ましくない変化をもたらす場合がある。この姿勢の変化は、患者の怪我、多関節アーム及び/若しくはエンドエフェクタの近くにいる人の怪我、多関節アーム及び/若しくはエンドエフェクタの損傷、多関節アーム及び/若しくはエンドエフェクタの近くにある他の装置の損傷、無菌領域の破壊、並びに/又は、他の望ましくない結果をもたらすおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮出願第61/954261号明細書
【特許文献2】米国仮出願第62/024887号明細書
【特許文献3】米国仮出願第61/954120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、ツールの近位にある多関節ジョイントにおける外乱の存在下でそのツールの姿勢を維持することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施例と一致して、コンピュータ支援医療装置は、1又は複数の第1ジョイント及び1又は複数の第2ジョイントを含む多関節アームと、1又は複数の第1ジョイント及び1又は複数の第2ジョイントの遠位にあるツールと、第1ジョイント及び第2ジョイントに結合された制御ユニットとを含む。制御ユニットは、ツールに関する基準座標フレームを決定し、1又は複数の第1ジョイントの動作に先だって基準座標フレームにおけるツールの基準変換を決定し、1又は複数の第1ジョイントが動かされている間に基準座標フレームにおけるツールの実際の変換を決定し、基準変換と実際の変換との間の差を決定し、且つ、その差に基づいて第2ジョイントを駆動することでツールの姿勢を維持することによって、1又は複数の第2ジョイントを用いて、1又は複数の第1ジョイントの動作の際に、ツールの姿勢を維持する。
【0009】
いくつかの実施例と一致して、コンピュータ支援医療装置の多関節アームの動きを相殺する方法は、その医療装置のツールの姿勢を決定すること、及び、ツールの近位にある多関節アームにおける1又は複数の第1ジョイントの動作の際に、ツールの近位にある1又は複数の第2ジョイントを用いて、ツールの姿勢を維持することを含む。その姿勢は、ツールに関する基準座標フレームを決定し、1又は複数の第1ジョイントの動作に先だって基準座標フレームにおけるツールの基準変換を決定し、1又は複数の第1ジョイントが動かされている間に基準座標フレームにおけるツールの実際の変換を決定し、基準変換と実際の変換と間の差を決定し、且つ、その差に基づいて第2ジョイントを駆動することでツールの姿勢を維持することによって維持される。姿勢は位置及び方向を含む。
【0010】
いくつかの実施例と一致して、非一時的な機械可読媒体は複数の機械可読命令を含む。複数の機械可読命令は、医療装置に関連付けられている1又は複数のプロセッサによって実行されると、1又は複数のプロセッサに、ある方法を実行させるように構成されている。その方法は、医療装置のツールの姿勢を決定すること、及び、ツールの近位にある多関節アームにおける1又は複数の第1ジョイントの動作の際に、ツールの近位にある1又は複数の第2ジョイントを用いて、ツールの姿勢を維持することを含む。その姿勢は、ツールに関する基準座標フレームを決定し、1又は複数の第1ジョイントの動作に先だって基準座標フレームにおけるツールの基準変換を決定し、1又は複数の第1ジョイントが動かされている間に基準座標フレームにおけるツールの実際の変換を決定し、基準変換と実際の変換と間の差を決定し、且つ、その差に基づいて第2ジョイントを駆動することでツールの姿勢を維持することによって維持される。姿勢は位置及び方向を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】いくつかの実施例にしたがったコンピュータ支援システムの簡略図である。
図2】いくつかの実施例にしたがったコンピュータ支援システムを示す簡略図である。
図3】いくつかの実施例にしたがったコンピュータ支援医療システムの運動学モデルの簡略図である。
図4】いくつかの実施例にしたがったツールの近位にある1又は複数のジョイントの動作中にそのツールの姿勢を維持する方法の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面では、同一の記号表示を有する要素は同一の或いは同等の機能を有する。以下の説明では、本開示にしたがったいくつかの実施例を記述する具体的な詳細が説明される。しかしながら、これらの具体的な詳細のいくつか或いは全てが無い状態で、いくつかの実施例が実施され得ることは当業者によって明らかであろう。本書で開示される具体的な実施例は例示を意図し限定を意図しない。当業者は、本書では具体的に説明されていないが本開示の範囲及び精神に含まれる他の要素を実現し得る。また、不要な繰り返しを避けるために、1つの実施例に関連して図示され且つ説明された1又は複数の特徴は、別に具体的に記載されていない限り、或いは、その1又は複数の特徴が実施例を非機能的にしない限り、他の実施例に組み込まれ得る。
【0013】
図1は、いくつかの実施例にしたがったコンピュータ支援システム100の簡略図である。図1に示すように、コンピュータ支援システム100は、1又は複数の可動の或いは多関節のアーム120を有する装置110を含む。1又は複数の多関節アーム120のそれぞれは、1又は複数のエンドエフェクタを支持し得る。いくつかの例では、装置110は、コンピュータ支援手術装置と一致していてもよい。1又は複数の多関節アーム120はそれぞれ、1又は複数のツール、手術器具、撮像装置、及び/又は、少なくとも1つの多関節アーム120の遠位端に取り付けられるそれらと同様のもののための支持部を提供し得る。装置110は更に、オペレータワークステーション(図示せず。)に結合されてもよい。オペレータワークステーションは、装置110、1又は複数の多関節アーム120、及び/又はエンドエフェクタを操作するための1又は複数のマスタコントロールを含んでいてもよい。いくつかの実施例では、装置110及びオペレータワークステーションは、カリフォルニア州のサニーベールにあるIntuitive Surgical社によって市販されているda Vinci(登録商標) Surgical Systemに対応するものであってもよい。いくつかの実施例では、他の構成、より少ない或いはより多くの多関節アーム、及び/又は、それらと同様のものを有するコンピュータ支援手術装置が、コンピュータ支援システム100と共に用いられてもよい。
【0014】
装置110は、インタフェースを介して制御ユニット130に結合される。インタフェースは、1又は複数の無線リンク、ケーブル、コネクタ、及び/又はバスを含んでいてもよく、1又は複数のネットワーク切り替え装置及び/又はルーティング装置を備えた1又は複数のネットワークを更に含んでいてもよい。制御ユニット130は、メモリ150に結合されたプロセッサ140を含む。制御ユニット130の動作は、プロセッサ140によって制御される。制御ユニット130はただ1つのプロセッサ140と共に示されているが、プロセッサ140は、制御ユニット130における、1又は複数の中央処理ユニット、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又はそれらと同様のものの代表であってもよいことが理解されるべきである。制御ユニット130は、計算装置に追加されるスタンドアロンのサブシステム及び/若しくはボードとして、或いは、仮想マシンとして実現されてもよい。いくつかの実施例では、制御ユニットは、オペレータワークステーションの一部として含まれていてもよく、且つ/或いは、オペレータワークステーションと協調はするがオペレータワークステーションとは別に操作されてもよい。
【0015】
メモリ150は、制御ユニット130によって実行されるソフトウェア、及び/又は、制御ユニット130の動作中に使用される1又は複数のデータ構造を保存するために用いられてもよい。メモリ150は、1又は複数のタイプの機械可読媒体を含み得る。機械可読媒体のいくつかの一般的な形態は、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD-ROM、他の任意の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する他の任意の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び/又は、プロセッサ若しくはコンピュータが読み取れるように構成された他の任意の媒体を含み得る。
【0016】
図示されるように、メモリ150は、装置110の自律的及び/又は半自律的制御をサポートするために使用され得る運動制御アプリケーション160を含む。運動制御アプリケーション160は、装置110から位置、運動、及び/若しくは他のセンサ情報を受信し、手術用テーブル及び/若しくは撮像装置のような他の装置に関する他の制御ユニットと位置、運動、及び/若しくは衝突防止情報を交換し、且つ/或いは、装置110、多関節アーム120、及び/若しくはその装置110のエンドエフェクタに関する動きを計画し且つ/或いは計画を支援するための1又は複数のアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)を含み得る。また、運動制御アプリケーション160は、ソフトウェアアプリケーションとして表されているが、運動制御アプリケーション160は、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを用いて実現されてもよい。
【0017】
いくつかの実施例では、コンピュータ支援システム100は、手術室及び/又は介入室(interventional suite)で見出され得る。また、コンピュータ支援システム100は2つの多関節アーム120を有するただ1つの装置110を含んでいるが、コンピュータ支援システム100が、装置110と同様の且つ/或いは装置110とは異なる設計の多関節アーム及び/又はエンドエフェクタを有する任意の数の装置を含んでいてもよいことを当業者は理解するであろう。いくつかの例では、装置のそれぞれは、より少ない或いはより多くの多関節アーム及び/又はエンドエフェクタを含み得る。
【0018】
コンピュータ支援システム100は、手術用テーブル170を更に含む。1又は複数の多関節アーム120のように、手術用テーブル170は、手術用テーブル170のベース(基部)に関するテーブルトップ(テーブル頂部)180の多関節動作を支持し得る。いくつかの例では、テーブルトップ180の多関節動作は、テーブルトップ180の高さ、傾き、スライド、トレンデレンブルグ・オリエンテーション、及び/又はそれらと同様のものを変えるための支持を含んでいてもよい。図示されていないが、手術用テーブル170は、テーブルトップ180の位置及び/又は方向を制御するための制御ペンダントのような1又は複数の制御入力を含んでいてもよい。いくつかの実施例では、手術用テーブル170は、ドイツのTrumpf Medical Systems GmbHによって市販されている1又は複数の制御用テーブルに対応し得る。
【0019】
また、手術用テーブル170は、対応するインタフェースを介して制御ユニット130に結合されていてもよい。そのインタフェースは、1又は複数の無線リンク、ケーブル、コネクタ、及び/又はバスを含んでいてもよく、1又は複数のネットワーク切り替え装置及び/又はルーティング装置を備えた1又は複数のネットワークを更に含んでいてもよい。いくつかの実施例では、手術用テーブル170は、制御ユニット130とは異なる制御ユニットに結合されていてもよい。いくつかの例では、運動制御アプリケーション160は、手術用テーブル170及び/又はテーブルトップ180に関連付けられた位置、運動、及び/又は他のセンサ情報を受信するための1又は複数のアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)を含み得る。いくつかの例では、運動制御アプリケーション160は、手術用テーブル170及び/又はテーブルトップ180の動きを計画し且つ/或いは計画を支援してもよい。いくつかの例では、運動制御アプリケーション160は、制御ペンダントの使用を通じて手術用テーブル170及び/又はテーブルトップ180の動きを防止する等によって、手術用テーブル170及び/又はテーブルトップ180の運動を防止してもよい。いくつかの例では、運動制御アプリケーション160は、装置110と手術用テーブル170との間の幾何学的関係が分かるように、装置110を手術用テーブル170と共に登録するのを支援してもよい。いくつかの例では、その幾何学的関係は、装置110に関して維持される座標フレームと手術用テーブル170に関して維持される座標フレームとの間の並進及び/又は1若しくは複数の回転を含み得る。
【0020】
図2は、いくつかの実施例にしたがったコンピュータ支援システム200を示す簡略図である。例えば、コンピュータ支援システム200は、コンピュータ支援システム100と一致していてもよい。図2に示すように、コンピュータ支援システム200は、1又は複数の多関節アームを備えたコンピュータ支援装置210と手術用テーブル280とを含む。図2には示されていないが、コンピュータ支援装置210及び手術用テーブル280は、1又は複数のインタフェースと1又は複数の制御ユニットを用いて一緒に結合されてもよい。少なくとも手術用テーブル280に関する運動学的情報が、コンピュータ支援装置210の多関節アームの運動を実行するために用いられている運動制御アプリケーションに知らされるようにするためである。
【0021】
コンピュータ支援装置210は、種々のリンク及びジョイントを含む。図2の実施例では、コンピュータ支援装置は、通常、リンクとジョイントの3つの異なるセットに分けられる。近位端のところで可動カートすなわち患者側カート215で始まるのはセットアップ構造220である。そのセットアップ構造の遠位端に結合されるのは、一連のセットアップジョイント240である。また、セットアップジョイント240の遠位端に結合されるのは、ユニバーサルの手術マニピュレータのようなマニピュレータ260である。いくつかの例では、一連のセットアップジョイント240及びマニピュレータ260は、多関節アーム120の1つに対応し得る。また、コンピュータ支援装置は、ただ1つの一連のセットアップジョイント240とそれに対応するマニピュレータ260と共に示されているが、コンピュータ支援装置が複数の多関節アームを備えることができるように、コンピュータ支援装置が、2つ以上の一連のセットアップジョイント240とそれに対応するマニピュレータ260を含んでいてもよいことを当業者は理解するであろう。
【0022】
図示されるように、コンピュータ支援装置210は、可動カート215に搭載される。可動カート215は、手術用テーブル180の近くのより良い位置にコンピュータ支援装置210を位置付けるために、例えば手術室間で或いは手術室内でといったように、ある位置から別の位置にコンピュータ支援装置200が移動させられるようにする。セットアップ構造220は、可動カート215に搭載される。図2に示すように、セットアップ構造220は、支柱リンク221、222を含む2部品の支柱を含む。支柱リンク222の上端すなわち遠位端に結合されるのは、肩ジョイント223である。肩ジョイント223に結合されるのは、ブームリンク224、225を含む2部品のブームである。ブームリンク225の遠位端にはリスト(手首)ジョイント226があり、リストジョイント226に結合されるのは、オリエンテーション・プラットフォーム(orientation platform)227である。
【0023】
セットアップ構造220のリンク及びジョイントは、オリエンテーション・プラットフォーム227の位置及び向き(すなわち姿勢)を変えるための複数の自由度を含む。例えば、2部品の支柱は、軸232に沿って肩ジョイント223を上下に動かすことでオリエンテーション・プラットフォーム227の高さを調整するために使用され得る。オリエンテーション・プラットフォーム227は、追加的に、肩ジョイント223を用い、可動カート215、2部品の支柱、及び軸232の回りを回転させられ得る。また、オリエンテーション・プラットフォーム227の水平位置も、2部品のブームを用い、軸234に沿って調整され得る。また、オリエンテーション・プラットフォーム227の向きは、リストジョイント226を用いた軸236の回りの回転によっても調整され得る。このように、セットアップ構造220におけるリンク及びジョイントの運動限界(motion limit)に依存し、オリエンテーション・プラットフォーム227の位置は、2部品の支柱を用い、可動カート215の上で鉛直方向に調整され得る。また、オリエンテーション・プラットフォーム227の位置は、2部品のブーム及び肩ジョイント223のそれぞれを用い、可動カート215の回りで半径方向に且つ角度的に調整され得る。また、オリエンテーション・プラットフォーム227の角度方向は、リストジョイント226を用いることでも変更され得る。
【0024】
オリエンテーション・プラットフォーム227は、1又は複数の多関節アームのための取り付け点として使用され得る。可動カート215に関してオリエンテーション・プラットフォーム227の高さ、水平位置、及び方向を調整する能力は、可動カート215の近くに位置付けられる患者等の作業空間の周りで1又は複数の多関節アームを位置付け且つ方向付けるためのフレキシブルなセットアップ構造をもたらす。図2は、第1セットアップジョイントすなわち第1フレックスジョイント242を用いてオリエンテーション・プラットフォームに結合された単一の多関節アームを示す。また、ただ1つの多関節アームが示されているが、追加的な第1セットアップジョイントを用いて複数の多関節アームがオリエンテーション・プラットフォーム227に結合され得ることを当業者は理解するであろう。
【0025】
第1セットアップジョイント242は、多関節アームの一部であるセットアップジョイント240の最も近位の部分を形成する。セットアップジョイント240は、一連のジョイント及びリンクを更に含んでいてもよい。図2に示すように、セットアップジョイント240は、少なくとも、(明示されていない)1又は複数のジョイントを介して結合されたリンク244、246を含む。セットアップジョイント240のジョイント及びリンクは、第1セットアップジョイント242を用いて軸252の回りでオリエンテーション・プラットフォーム227に関してセットアップジョイント240を回転させる能力、第1セットアップジョイント242とリンク246の間の半径方向距離又は水平距離を調整する能力、軸254に沿ってオリエンテーション・プラットフォームに関するリンク246の遠位端にあるマニピュレータマウント262の高さを調整する能力、及び、軸254の回りでマニピュレータマウント262を回転させる能力を含む。いくつかの実施例では、セットアップジョイント240は、オリエンテーション・プラットフォーム227に関してマニピュレータマウント262の姿勢を変えるための追加的な自由度をもたらす追加的なジョイント、リンク、及び軸を更に含んでいてもよい。
【0026】
マニピュレータ260は、マニピュレータマウント262を介してセットアップジョイント240の遠位端に結合される。マニピュレータ260は、マニピュレータ260の遠位端に搭載された器具キャリッジ268と共に、追加のジョイント264及びリンク266を含む。器具すなわちマニピュレータツール270は、器具キャリッジ268に搭載される。ツール270は、挿入軸に沿うように調整されたシャフト272を含む。シャフト272は、通常、マニピュレータ260に関連付けられた遠隔中心274を通過するように調整される。遠隔中心274の位置は、通常、マニピュレータマウント262に関して固定並進運動の関係で維持される。マニピュレータ260におけるジョイント264の操作が遠隔中心274回りのシャフト272の回転をもたらすようにするためである。実施例によっては、マニピュレータマウント262に関する遠隔中心274の固定並進運動の関係は、マニピュレータ260におけるジョイント264及びリンク266の物理的制約条件、ジョイント264に関して許容された動きに課せられたソフトウェア制約条件、及び/又は、双方の組み合わせを用いることによって維持される。いくつかの例では、遠隔中心274は、マニピュレータ260が患者278にドッキング(結合)された後の患者278における手術用ポート又は切開部位の場所に対応し得る。遠隔中心274が手術用ポートに対応するため、ツール270が用いられるとき、遠隔中心274は、遠隔中心274での患者278の生体構造への圧力(stress)を制限するため、患者278に関して静止したままである。いくつかの例では、シャフト272は、手術用ポートのところにあるカニューレ(図示せず)を通過させられてもよい。
【0027】
シャフト272の遠位端のところにはツール若しくはツールチップ276がある。ジョイント264及びリンク266によるマニピュレータ260における自由度は、マニピュレータマウント262に関するシャフト272及び/又はツールチップ276のロール、ピッチ、及びヨーの制御を少なくとも可能にし得る。いくつかの例では、マニピュレータ260における自由度は、器具キャリッジ268を用いてシャフト272を前進させ且つ/或いは後退させる能力を更に含んでいてもよい。ツールチップ276が挿入軸に沿って且つ遠隔中心274に関して前進させられ且つ/或いは後退させられるようにするためである。いくつかの例では、マニピュレータ260は、カリフォルニア州のサニーベールにあるIntuitive Surgical社によって市販されているda Vinci(登録商標) Surgical Systemと共に使用されるユニバーサルの手術マニピュレータと一致していてもよい。いくつかの例では、ツール270は、内視鏡のような撮像装置、グリッパー、焼灼器(cautery)又は外科用メス(scalpel)のような手術用ツール、及び/又は、それらと同様のものであってもよい。いくつかの例では、ツールチップ276は、シャフト272に関するツールチップ276の位置の追加的な局部的操縦を可能にする、ロール、ピッチ、ヨー、グリップ、及び/又はそれらと同様のもののような、追加的な自由度を含んでいてもよい。
【0028】
手術或いは他の医療処置の際、患者278は、通常、手術用テーブル280の上に位置付けられる。手術用テーブル280は、テーブルベース282及びテーブルトップ284を含む。器具270及び/又はツールチップ276が、患者278にドッキングされている間、コンピュータ支援装置210によって操縦されるよう、テーブルベース282は、可動カート215の近くに置かれている。テーブルベース282に関するテーブルトップ284ひいては患者278の相対位置が制御されるよう、手術用テーブル280は、テーブルベース282とテーブルトップ284との間に1又は複数のジョイント又はリンクを含む多関節構造290を更に含む。いくつかの例では、テーブルトップ284の上にある点に位置付けられ得る仮想的に定められた治療中心(iso center)286に関してテーブルトップ284が制御されるように多関節構造290が構成されてもよい。いくつかの例では、治療中心286は、患者278の体内に位置付けられてもよい。いくつかの例では、治療中心286は、遠隔中心274に対応するポート部位のような、複数のポート部位のうちの1つのところにある或いはその近くにある患者の体壁に配置されてもよい。
【0029】
図2に示すように、テーブルトップ284がテーブルベース282に関して上昇させられ且つ/或いは下降させられるように、多関節構造290は高さ調節ジョイント292を含む。多関節構造290は、治療中心286に関するテーブルトップ284のチルト294及びトレンデレンブルグ296の双方の幾何学的配置(orientation)を変更するためのジョイント及びリンクを更に含む。患者278の右側又は左側の一方が患者278の他方の側に関して上方に(すなわち、テーブルトップ284の長手軸すなわち頭のてっぺんからつま先までの軸の回りで)回転させられるように、チルト294は、テーブルトップ284が左右に傾斜するのを可能にする。患者278の足が上がり(トレンデレンブルグ)或いは患者278の頭が上がる(逆トレンデレンブルグ)ように、トレンデレンブルグ296は、テーブルトップ284が回転するのを可能にする。いくつかの例では、チルト294及び/又はトレンデレンブルグ296の回転は、治療中心286回りの回転を発生させるように調節され得る。多関節構造290は、図2に描かれるように大まかな左及び/又は右への運動でテーブルベース282に関してテーブルトップ284を行ったり来たりスライドさせるための追加的なリンク及びジョイント298を更に含む。
【0030】
図3は、いくつかの実施例に従ったコンピュータ支援医療システムの運動学モデル300の簡略図である。図3に示すように、運動学モデル300は、多くのソース及び/又は装置に関連付けられた運動学的情報を含み得る。運動学的情報は、コンピュータ支援医療装置及び手術用テーブルにおけるリンク及びジョイントに関する既知の運動学モデルに基づいていてもよい。運動学的情報は更に、コンピュータ支援医療装置及び手術用テーブルにおけるジョイントの位置及び/又は方向に関連付けられた情報に基づいていてもよい。いくつかの例では、そのジョイントの位置及び/又は方向に関連付けられた情報は、プリズムジョイント(prismatic joint)の線形位置及び回転ジョイント(revolute joint)の回転位置を測定するエンコーダ等の1又は複数のセンサから導き出されてもよい。
【0031】
運動学モデル300は、複数の座標フレーム若しくは座標系、並びに、複数の座標フレームのうちの1つから複数の座標フレームのうちの別の1つへ位置及び/若しくは方向を変換するための同次変換(homogeneous transform)等の変換(transformation)を含む。いくつかの例では、運動学モデル300は、図3に含まれる変換結合(transform linkages)によって示される正方向及び/又は逆(反対)方向の変換を合成することによって、複数の座標フレームの1つにおける位置及び/又は方向の、他の任意の座標フレームにおける正方向及び/又は逆方向のマッピングを可能にするために使用され得る。いくつかの例では、その変換が行列形式の同次変換としてモデル化される場合、その合成(composition)は、行列の乗算を用いて実現され得る。いくつかの実施例では、運動学モデル300は、図2のコンピュータ支援装置210と手術用テーブル280の運動学的関係をモデル化するために使用され得る。
【0032】
運動学モデル300は、手術用テーブル170及び/又は手術用テーブル280といった手術用テーブルの位置及び/又は方向をモデル化するために使用され得るテーブルベース座標フレーム305を含む。いくつかの例では、テーブルベース座標フレーム305は、手術用テーブルに関連付けられた基準点及び/又は基準方向に関する手術用テーブル上の他の点をモデル化するために使用され得る。いくつかの例では、基準点及び/又は基準方向は、テーブルベース282のような手術用テーブルのテーブルベースに関連付けられてもよい。いくつかの例では、テーブルベース座標フレーム305は、コンピュータ支援システムに関する世界座標フレームとしての使用に適したものであってもよい。
【0033】
運動学モデル300は、テーブルトップ284のような手術用テーブルのテーブルトップを表す座標フレームにおける位置及び/又は方向をモデル化するために使用され得るテーブルトップ座標フレーム310を更に含む。いくつかの例では、テーブルトップ座標フレーム310は、治療中心286のような、テーブルトップの回転中心又は治療中心の辺りに中心があってもよい。いくつかの例では、テーブルトップ座標フレーム310のz軸は、手術用テーブルが置かれる床若しくは表面に関して垂直に方向付けられ、且つ/或いは、テーブルトップの表面に直角に方向付けられ得る。いくつかの例では、テーブルトップ座標フレーム310のx軸及びy軸は、テーブルトップの(頭のてっぺんからつま先までの)縦方向及び(一側から他側までの)横方向の主軸を占めるように方向付けられてもよい。いくつかの例では、テーブルベース/テーブルトップ座標変換315は、テーブルトップ座標フレーム310とテーブルベース座標フレーム305との間で位置及び/又は方向をマッピングするために使用され得る。いくつかの例では、多関節構造290のような手術用テーブルにおける多関節構造の1又は複数の運動学モデルは、過去及び/又は現在のジョイントセンサの測定値と一緒に、テーブルベース/テーブルトップ座標変換315を決定するために使用され得る。図2の実施例と一致しているいくつかの例では、テーブルベース/テーブルトップ座標変換315は、手術用テーブルに関連付けられた高さ、トレンデレンブルグ、及び/又はスライドの設定の複合効果をモデル化し得る。
【0034】
運動学モデル300は、コンピュータ支援装置110及び/又はコンピュータ支援装置210のようなコンピュータ支援装置の位置及び/又は方向をモデル化するために使用され得る装置ベース座標フレームを更に含む。いくつかの例では、装置ベース座標フレーム320は、コンピュータ支援装置に関連付けられた基準点及び/又は基準方向に関するコンピュータ支援装置上の他の点をモデル化するために使用され得る。いくつかの例では、基準点及び/又は基準方向は、可動カート215のようなコンピュータ支援装置の装置ベースに関連付けられ得る。いくつかの例では、装置ベース座標フレーム320は、コンピュータ支援システムに関する世界座標フレームとしての使用に適したものであってもよい。
【0035】
手術用テーブルとコンピュータ支援装置との間の位置関係及び/又は方向関係を追跡するため、手術用テーブルとコンピュータ支援装置との間の位置合わせ(registration)を行うことが望ましいこととなり得る。図3に示すように、その位置合わせは、テーブルトップ座標フレーム310と装置ベース座標フレーム320との間の位置合わせ変換325を決定するために使用され得る。いくつかの実施例では、位置合わせ変換325は、テーブルトップ座標フレーム310と装置ベース座標フレーム320との間の部分的な変換であってもよく、完全な変換であってもよい。いくつかの例では、テーブルベース及び装置ベースは、通常、同じ高さの床面に置かれるため、位置合わせ変換325は、テーブルベース座標フレーム305のz軸の回りにおける、テーブルベースに対する装置ベースの回転関係(例えばθz位置合わせ)のみをモデル化してもよい。いくつかの例では、位置合わせ変換325は、テーブルベース座標フレーム305と装置ベース座標フレーム320との間の水平オフセット(例えばXY位置合わせ)をモデル化してもよい。これは、コンピュータ支援装置及び手術用テーブルの双方が同じ水平基面(床)上に置かれ且つ直立姿勢で作動させられるため、可能である。この作動関係において、テーブルベース/テーブルトップ変換315における高さ調節は、装置ベース座標フレーム320における垂直方向の調節と似ている。テーブルベース座標フレーム305の垂直軸と装置ベース座標フレーム320の垂直軸は、テーブルベース座標フレーム305と装置ベース座標フレーム320との間の高さの違いが互いの合理的な公差の範囲内となるように、同じかほぼ同じのためである。いくつかの例では、テーブルベース/テーブルトップ変換315におけるチルト及びトレンデレンブルグの調節は、テーブルトップ(又はその治療中心)の高さとθz及び/又はXY位置合わせとを知ることで、装置ベース座標フレーム320にマッピングされ得る。いくつかの例では、位置合わせ変換325及びテーブルベース/テーブルトップ変換315は、あたかもコンピュータ支援手術装置がテーブルトップに取り付けられているかのようにコンピュータ支援手術装置をモデル化するために使用され得る。
【0036】
運動学モデル300は、コンピュータ支援装置における多関節アーム上の最も近位の点に関連付けられた共用座標フレームの適切なモデルとして使用され得るアームガントリ座標フレーム330を更に含む。いくつかの実施例では、アームガントリ座標フレーム330は、オリエンテーション・プラットフォーム227のようなアームガントリ上の都合の良い点に関連付けられ且つその点に関して方向付けられてもよい。いくつかの例では、アームガントリ座標フレーム330の中心点は、軸236上に位置付けられ、そのz軸は軸236に合わせられてもよい。いくつかの例では、装置ベース/アームガントリ座標変換335は、装置ベース座標フレーム320とアームガントリ座標フレーム330との間で位置及び/又は方向をマッピングするために使用され得る。いくつかの例では、装置ベースとセットアップ構造220のようなアームガントリとの間のコンピュータ支援装置におけるリンク及びジョイントの1又は複数の運動学モデルは、過去及び/又は現在のジョイントセンサの測定値と一緒に、装置ベース/アームガントリ座標変換335を決定するために使用され得る。図2の実施例と一致しているいくつかの例では、装置ベース/アームガントリ座標変換335は、コンピュータ支援装置における2部品の支柱、肩ジョイント、2部品のブーム、及びリストジョイントの複合効果をモデル化し得る。
【0037】
運動学モデル300は、コンピュータ支援装置における多関節アームのそれぞれに関連付けられた一連の座標フレーム及び変換を更に含む。図3に示すように、運動学モデル300は、3つの多関節アームに関する座標フレーム及び変換を含むが、当業者は別のコンピュータ支援装置がより少ない且つ/或いはより多くの多関節アームを含み得ることを理解するであろう。図2のコンピュータ支援装置210におけるリンク及びジョイントの構成と一致して、多関節アームのそれぞれは、その多関節アームの遠位端に搭載されている器具のタイプに応じて、マニピュレータマウント座標フレーム、遠隔中心座標フレーム、ツール/カメラ座標フレームを用いてモデル化されてもよい。
【0038】
運動学モデル300では、多関節アームの第1のものの運動学的関係は、マニピュレータマウント座標フレーム341、遠隔中心座標フレーム342、ツール座標フレーム343、ガントリ/マウント変換344、マウント/遠隔中心変換345、及び遠隔中心/ツール変換346を用いて獲得される。マニピュレータマウント座標フレーム341は、マニピュレータ260のようなマニピュレータに関連付けられた位置及び/又は方向を表すのに適したモデルを表す。マニピュレータマウント座標フレーム341は、通常、対応する多関節アームのマニピュレータマウント262のようなマニピュレータマウントに関連付けられている。そして、ガントリ/マウント変換344は、対応するセットアップジョイント240におけるジョイントセンサの過去及び/又は現在の測定値に加え、対応するセットアップジョイント240のような対応するマニピュレータマウントとアームガントリとの間のコンピュータ支援装置におけるリンク及びジョイントの1又は複数の運動学モデルに基づく。
【0039】
遠隔中心座標フレーム342は、通常、対応するマニピュレータ260の対応する遠隔中心274のような、多関節アームに取り付けられたマニピュレータの遠隔中心に関連付けられている。そして、マウント/遠隔中心変換345は、対応するジョイント264におけるジョイントセンサの過去及び/又は現在の測定値に加え、対応するマニピュレータ260における対応するジョイント264、対応するリンク266、及び、対応するキャリッジ268のような、対応する遠隔中心と、対応するマニピュレータマウントとの間のコンピュータ支援装置におけるリンク及びジョイントの1又は複数の運動学モデルに基づく。対応する遠隔中心が、図2の実施例におけるように、対応するマニピュレータマウントに関して固定位置関係で維持されている場合、マウント/遠隔中心変換345は、原則的に静止している並進成分と動的な回転成分とを含み得る。
【0040】
ツール座標フレーム343は、通常、対応するツール270及び/又はツールチップ276のような、多関節アームに取り付けられた器具におけるツール及び/ツールチップに関連付けられている。そして、遠隔中心/ツール変換346は、ジョイントセンサの過去及び/又は現在の測定値に加え、対応するツール及び対応する遠隔中心を動かし且つ/或いは方向付けるコンピュータ支援装置におけるリンク及びジョイントの1又は複数の運動学モデルに基づく。いくつかの例では、遠隔中心/ツール変換346は、対応するシャフト272のようなシャフトが遠隔中心を通過するときの方向と、遠隔中心に関してシャフトが前進させられ且つ/或いは後退させられるときの距離とを説明する。いくつかの例では、遠隔中心/ツール変換346は、ツールのシャフトの挿入軸が遠隔中心を通過することを反映するように拘束され、且つ、そのシャフトによって定められる軸の回りのシャフト及びツールチップの回転を説明し得る。
【0041】
運動学モデル300では、多関節アームの第2のものの運動学的関係は、マニピュレータマウント座標フレーム351、遠隔中心座標フレーム352、ツール座標フレーム353、ガントリ/マウント変換354、マウント/遠隔中心変換355、及び、遠隔中心/ツール変換356を用いて獲得される。マニピュレータマウント座標フレーム351は、マニピュレータ260のようなマニピュレータに関連付けられた位置及び/又は方向を表すのに適したモデルを表す。マニピュレータマウント座標フレーム351は、通常、対応する多関節アームのマニピュレータマウント262のようなマニピュレータマウントに関連付けられている。そして、ガントリ/マウント変換354は、対応するセットアップジョイント240におけるジョイントセンサの過去及び/又は現在の測定値に加え、対応するセットアップジョイント240のような対応するマニピュレータマウントとアームガントリとの間のコンピュータ支援装置におけるリンク及びジョイントの1又は複数の運動学モデルに基づく。
【0042】
遠隔中心座標フレーム352は、通常、対応するマニピュレータ260の対応する遠隔中心274のような、多関節アームに取り付けられたマニピュレータの遠隔中心に関連付けられている。そして、マウント/遠隔中心変換355は、対応するジョイント264におけるジョイントセンサの過去及び/又は現在の測定値に加え、対応するマニピュレータ260における対応するジョイント264、対応するリンク266、及び、対応するキャリッジ268のような、対応する遠隔中心と、対応するマニピュレータマウントとの間のコンピュータ支援装置におけるリンク及びジョイントの1又は複数の運動学モデルに基づく。対応する遠隔中心が、図2の実施例におけるように、対応するマニピュレータマウントに関して固定位置関係で維持されている場合、マウント/遠隔中心変換355は、原則的に静止している並進成分と動的な回転成分とを含み得る。
【0043】
ツール座標フレーム353は、通常、対応するツール270及び/又はツールチップ276のような、多関節アームに取り付けられた器具におけるツール及び/又はツールチップに関連付けられている。そして、遠隔中心/ツール変換356は、ジョイントセンサの過去及び/又は現在の測定値に加え、対応するツール及び対応する遠隔中心を動かし且つ/或いは方向付けるコンピュータ支援装置におけるリンク及びジョイントの1又は複数の運動学モデルに基づく。いくつかの例では、遠隔中心/ツール変換356は、対応するシャフト272のようなシャフトが遠隔中心を通過するときの方向と、遠隔中心に関してシャフトが前進させられ且つ/或いは後退させられるときの距離とを説明する。いくつかの例では、遠隔中心/ツール変換356は、ツールのシャフトの挿入軸が遠隔中心を通過することを反映するように拘束され、且つ、そのシャフトによって定められる挿入軸の回りのシャフト及びツールチップの回転を説明し得る。
【0044】
運動学モデル300では、多関節アームの第3のものの運動学的関係は、マニピュレータマウント座標フレーム361、遠隔中心座標フレーム362、カメラ座標フレーム363、ガントリ/マウント変換364、マウント/遠隔中心変換365、及び、遠隔中心/カメラ変換366を用いて獲得される。マニピュレータマウント座標フレーム361は、マニピュレータ260のようなマニピュレータに関連付けられた位置及び/又は方向を表すのに適したモデルを表す。マニピュレータマウント座標フレーム361は、通常、対応する多関節アームのマニピュレータマウント262のようなマニピュレータマウントに関連付けられている。そして、ガントリ/マウント変換364は、対応するセットアップジョイント240におけるジョイントセンサの過去及び/又は現在の測定値に加え、対応するセットアップジョイント240のような対応するマニピュレータマウントとアームガントリとの間のコンピュータ支援装置におけるリンク及びジョイントの1又は複数の運動学モデルに基づく。
【0045】
遠隔中心座標フレーム362は、通常、対応するマニピュレータ260の対応する遠隔中心274のような、多関節アームに取り付けられたマニピュレータの遠隔中心に関連付けられている。そして、マウント/遠隔中心変換365は、対応するジョイント264におけるジョイントセンサの過去及び/又は現在の測定値に加え、対応するマニピュレータ260における対応するジョイント264、対応するリンク266、及び、対応するキャリッジ268のような、対応する遠隔中心と、対応するマニピュレータマウントとの間のコンピュータ支援装置におけるリンク及びジョイントの1又は複数の運動学モデルに基づく。対応する遠隔中心が、図2の実施例におけるように、対応するマニピュレータマウントに関して固定位置関係で維持されている場合、マウント/遠隔中心変換365は、原則的に静止している並進成分と動的な回転成分とを含み得る。
【0046】
カメラ座標フレーム363は、通常、多関節アームに取り付けられた内視鏡のような撮像装置に関連付けられている。そして、遠隔中心/カメラ変換366は、ジョイントセンサの過去及び/又は現在の測定値に加え、撮像装置及び対応する遠隔中心を動かし且つ/或いは方向付けるコンピュータ支援装置におけるリンク及びジョイントの1又は複数の運動学モデルに基づく。いくつかの例では、遠隔中心/カメラ変換366は、対応するシャフト272のようなシャフトが遠隔中心を通過するときの方向と、遠隔中心に関してシャフトが前進させられ且つ/或いは後退させられるときの距離とを説明する。いくつかの例では、遠隔中心/カメラ変換366は、撮像装置のシャフトの挿入軸が遠隔中心を通過することを反映するように拘束され、且つ、そのシャフトによって定められる軸の回りの撮像装置の回転を説明し得る。
【0047】
上述され且つここで更に強調されるように、図3はほんの一例に過ぎず、請求項の範囲を不当に制限することはない。当業者は、多くの変形例、代替例、及び改良例を認識するであろう。いくつかの実施例によると、手術用テーブルとコンピュータ支援装置との間の位置合わせは、別の位置合わせ変換を用いてテーブルトップ座標フレーム310と装置ベース座標フレーム320との間で決定されてもよい。別の位置合わせ変換が用いられた場合、位置合わせ変換325は、テーブルベース/テーブルトップ変換315の逆/反対のものでその別の位置合わせ変換を合成することで決定されてもよい。いくつかの実施例によると、コンピュータ支援装置をモデル化するために用いられる座標フレーム及び/又は変換は、コンピュータ支援装置、その多関節アーム、そのエンドエフェクタ、そのマニピュレータ、及び/又はその器具におけるリンク及びジョイントの固有の構成によって異なるように用意され得る。いくつかの実施例によると、運動学モデル300の座標フレーム及び変換は、1又は複数の仮想ツール及び/又は仮想カメラに関連付けられた座標フレーム及び変換をモデル化するために使用され得る。いくつかの例では、仮想ツール及び/又は仮想カメラは、事前に記憶された且つ/或いは事前にラッチされたツール位置、運動によるツール及び/若しくはカメラの投影、医者及び/若しくは他の関係者によって定められた基準点、並びに/又は、それらと同様のものに関連付けられてもよい。
【0048】
前述のように、コンピュータ支援システム110及び/又は210のようなコンピュータ支援システムが作動させられているときには、手術用テーブル170及び/又は280のような手術用テーブルの動きが許容されている間、ツール及び/又はツールチップの継続的な制御を許容することが望ましいであろう。いくつかの例では、患者からマニピュレータを解き放つ必要なく手術用テーブルの動作が行われ得るため、このことは、より時間がかからない処置を可能にし得る。いくつかの例では、このことは、手術用テーブルのより適切な姿勢を得るために手術用テーブルの動作が行われている間、医者及び/又は他の医療関係者が臓器の動きを監視できるようにし得る。いくつかの例では、このことは、手術用テーブルの動作の際の外科的処置の積極的な継続をも可能にし得る。
【0049】
コンピュータ支援システム110及び/又は200のようなコンピュータ支援システムが作動させられているとき、目標の1つは、ツール及び/又はツールチップのそれぞれの適切な姿勢を維持することである。コンピュータ支援システムの一動作態様では、手術用テーブルのジョイント、及び、マニピュレータのそれぞれの近位にあるジョイントは、ジョイントの動きが制限され且つ/或いは完全に禁止されるよう、サーボコントロール及び/又はブレーキの使用を通じて適切な位置にロックされ且つ/或いは保持される。これは、マニピュレータにおけるジョイントが、他のジョイントの運動からの干渉なく、所望の処置を遂行するために、ツールの姿勢を制御できるようにする。いくつかの例では、マニピュレータは、その処置の際に患者にドッキングさせられてもよい。いくつかの例では、ツール及び/又はツールチップの姿勢は、オペレータコンソールのところにいる医者による遠隔操作を介して制御され得る。しかしながら、ツールが患者にドッキングされたままの間、多関節アームにおける運動を可能にするコンピュータ支援システムの別の動作態様をサポートすることが望ましいこととなり得る。これらの別の動作態様は、ツールが患者にドッキングされていないときの動作態様では存在しないリスクを導入し得る。いくつかの例では、これらのリスクは、ツール及び/若しくはツールチップが患者に関して動くことを許可されている場合の患者の怪我、無菌領域の破壊、多関節アーム間の衝突、並びに/又は、それらと同様のものを含み得る。
【0050】
一般的なケースでは、これらの別の動作態様は、ツールの近位にある1又は複数のジョイントが、その1又は複数のジョイントの位置及び/又は方向の変化(すなわち運動)をもたらす外乱にさらされる場合に、ドッキングされたマニピュレータに取り付けられたツールの患者に関する姿勢を維持するという目標によって特徴付けられてもよい。ツールの近位にある1又は複数の第1ジョイントすなわち外乱の影響を受ける外乱ジョイント(disturbed joint)における外乱がツール及びそのツールチップの姿勢の変化をもたらすため、その外乱ジョイントの動きによって引き起こされるツールの姿勢の変化を相殺する1又は複数の第2ジョイントすなわち補償ジョイントの動きを導入することが望ましいこととなり得る。外乱の程度、及び、補償の量の決定は、その外乱が手術用テーブル又は患者の動きに関連付けられているか、或いは、ツールを操縦するために使用される多関節アームにその外乱が限定されているかといったその外乱のタイプ及び特質に依存する。
【0051】
ツールの姿勢を維持するそれらの別の動作態様に関連付けられた外乱は、2つの大まかなカテゴリに分類され得る。第1カテゴリでは、マニピュレータがドッキングされる患者は、ツール及び/又はツールチップの姿勢が任意の適切な世界座標フレームで監視され且つ維持されるように、動いていない。第1カテゴリは、多関節アームの制御された動きに関連付けられた外乱を含み得る。いくつかの例では、多関節アームのその制御された動きは、処置を行う前に多関節アーム及び/又はマニピュレータをセットアップするために使用される1又は複数のジョイントの動きを含み得る。これの1例は、処置の際にマニピュレータ260の良好な可動域をもたらすべくセットアップジョイント240が動かされるのを可能にするためにオリエンテーション・プラットフォーム227が並進させられ且つ調整されるところの図2の実施例に一致するコンピュータ支援装置のセットアップ構造における1又は複数のジョイントの動きを含む。このタイプの動きの例は、参照により本書に援用された、2014年7月15日に出願された“System and Method for Aligning with a Reference Target”というタイトルの米国仮出願第62/024887号、及び、2014年3月17日に出願された“System and Method for Aligning with a Reference Target”というタイトルの米国仮出願第61/954261号により詳細に記載されている。これの別の例は、別の多関節アーム及び/又はその多関節アームの近くにある既知の障害物との衝突防止をもたらすための1又は複数のジョイントの動きを含む。第1カテゴリは、他の動きを開始させる前のブレーキ及び/又は他のジョイントのロックの解除に関連付けられた外乱を更に含んでいてもよい。いくつかの例では、例えば患者の体壁によってマニピュレータの遠隔中心に適用される力及びトルクによるような、ツールのシャフトにかかる外力及び/又はトルクは、ブレーキ及び/又はロックが解除され且つ力及び/又はトルクがその解放されたジョイントによって吸収されるときに、ツール及び/又はツールチップの望ましくない動きをもたらし得る。第1カテゴリは、オペレータによる多関節アームの手動再配置の際に、且つ/或いは、多関節アームと障害物との間の衝突により発生するかもしれないような、クラッチ状態又は浮遊状態にある多関節アームの作動によって引き起こされる外乱を更に含んでいてもよい。このタイプの動きの例は、参照により本書に援用される2014年3月17日に出願された“System and Method for Breakaway Clutching in an Articulated Arm”というタイトルの米国仮出願第61/954120号により詳細に記載されている。
【0052】
第2カテゴリでは、マニピュレータがドッキングされる患者は動いており、ツール及び/又はツールチップの姿勢が局部座標フレームで監視されるようにしている。第2カテゴリは、手術用テーブルにおける多関節構造の動き(すなわちテーブル動作)、又は、その手術用テーブルに関する患者の動作を許容することによって引き起こされる外乱を含み得る。第2カテゴリでは、患者に関するツールの姿勢が変化しないように、多関節アーム及びツールを患者と共に移動させることが一般的に望まれている。いくつかの例では、これは、多関節アームにおける1又は複数のジョイントを解放し且つ/或いはそのロックを解除し、且つ、患者が動くときにポートのところで患者の体壁が遠隔中心及びツールを引っ張ることができるようにすることを含み得るポート引き摺りを利用することで達成され得る。いくつかの例では、遠隔中心が動くときに遠隔中心に関するツールの方向が変化し始め、患者に関するツールの姿勢との間で変化をもたらす。
【0053】
図4は、いくつかの実施例にしたがってツールの近位にある1又は複数のジョイントの動作の際にツールの姿勢を維持する方法400の簡略図である。方法400における1又は複数のプロセス410-460は、少なくとも部分的には、1又は複数のプロセッサ(例えば制御ユニット130におけるプロセッサ140)によって実行されたときに、それら1又は複数のプロセッサに1又は複数のプロセス410-460を行わせ得る、非一時的な具体的な機械可読媒体に記憶された実行可能なコードの形で実現され得る。いくつかの実施例では、方法400は、1又は複数の補償ジョイントにおける補償動作を導入することによって、1又は複数の外乱ジョイントにおける動きによるツールの姿勢の変化を相殺するために使用され得る。いくつかの例では、方法400は、外乱ジョイントにおける動きが、制御された動き、クラッチ動作、ブレーキ若しくはロックの解除、患者の動き、及び/又はそれらと同様のものによる場合に、使用され得る。図2の実施例に一致するいくつかの例では、1若しくは複数の外乱ジョイント、及び/又は、1若しくは複数の補償ジョイントは、セットアップ構造220におけるジョイントの任意のもの、セットアップジョイント240、及び/又は、ツールの近位にあるマニピュレータ260における任意のジョイントを含み得る。いくつかの実施例では、方法400の使用は、多関節アーム、エンドエフェクタ、及び/又はマニピュレータに関する遠隔中心が定められるように、器具、カニューレ、及び/又はそれらと同様のものが、対応する多関節アーム、エンドエフェクタ、及び/又はマニピュレータの遠位端に結合されているときの動作に限定されてもよい。いくつかの実施例では、方法400は、患者ポートからの抵抗を用いて且つ/或いはコンピュータ支援装置のオペレータによって、少なくとも部分的にツールの姿勢が維持されるようにすることを含んでいてもよい。
【0054】
いくつかの実施例によると、方法400は、1又は複数の外乱ジョイントの動作の際にツールの姿勢を維持しない方法に比べ、1又は複数の有用な改善を支援し得る。いくつかの例では、方法400は、ツール及び/又はそのツールが搭載される多関節アームにおける他のリンク及びジョイントと、位置及び方向がコンピュータ支援装置に知られている他の多関節アーム、エンドエフェクタ、及び/又は、ツールとの間の衝突の可能性を低減させ得る。いくつかの例では、方法400は、ツールが搭載されている多関節アームに取り付けられた1又は複数の無菌ドレープの動きを低減させ得る。オペレータの1又は複数の露出領域(例えばオペレータの顔)のような1又は複数の非無菌障害物と接触するように1又は複数の無菌ドレープを押しやり且つ/或いは動かしてしまい、その結果としてもたらされる無菌領域の破壊をより好適に防止するためである。いくつかの例では、方法400は、ツール及び/又はツールチップによる患者の怪我の可能性を低減させるために、患者の体内でツール及び/又はツールチップを動かし且つ/或いは押しやる可能性を低減させ得る。
【0055】
プロセス410では、ツールに関する基準座標フレームが決定される。ツールに関する基準座標フレームの決定は動作モードに依存する。いくつかの例では、基準フレームの決定は更に、ツールが搭載される多関節アーム、及び/又は、外乱の結果として動き得る1又は複数のジョイント(すなわち外乱ジョイント)に関して予想される外乱のタイプに依存し得る。患者が動いておらず、且つ、多関節アームに取り付けられたマニピュレータに関する遠隔中心が並進運動に左右されないところでの、多関節アームの制御された動作、多関節アームの手動再配置、多関節アームの衝突によって引き起こされる動作、及び/又は、それらと同様のものに外乱のソースが関連付けられる場合、世界座標フレームに関して固定されている任意の座標フレームが使用され得る。図2及び図3の実施例に一致して、装置ベース座標フレーム320、アームガントリ座標フレーム330、並びに/又は、遠隔中心座標フレーム342、352、及び362の何れかが基準座標フレームとして使用されてもよい。遠隔中心が動くようにする1又は複数の外乱ジョイントのブレーキ及び/又はロックの解除に外乱のソースが関連付けられている場合、世界座標フレームに関して固定されている任意の座標フレームが使用され得る。図2及び図3の実施例と一致して、遠隔中心座標フレーム342、352、及び362の何れかではなく、装置ベース座標フレーム320及び/又はアームガントリ座標フレーム330の何れかが基準座標フレームとして使用されてもよい。外乱のソースが患者の動き、及び/又は、手術用テーブルの動きに関連付けられている場合、患者と共に動く局部座標フレームが使用され得る。図2及び図3の実施例と一致して、多関節アームに関連付けられた遠隔中心座標フレーム342、352、若しくは362、及び/又は、テーブルトップ座標フレーム310は、基準座標フレームとして使用されてもよい。
【0056】
プロセス420では、基準座標フレームにおけるツールの基準変換が決定される。1又は複数の外乱ジョイントの動きの開始に先だって、コンピュータ支援装置の1又は複数の運動学モデルは、プロセス410の際に決定された基準座標フレームにおけるツールに関する基準変換を決定するために使用される。いくつかの例では、その1又は複数の運動学モデルは、多関節アーム、マニピュレータ、ツール、セットアップ構造、及び/又はそれらと同様のものにおけるリンク及びジョイントに関する1又は複数の運動学モデルを含み得る。図2及び図3の実施例を例として用いると、基準座標フレームが遠隔中心座標フレーム342、352、又は362である場合、外乱が始まる前にラッチされ或いは記録された遠隔中心/ツール変換346、356、又は遠隔中心/カメラ変換366のそれぞれは、ツールの基準変換となる。基準座標フレームがアームガントリ座標フレーム330である場合、外乱が始まる前にラッチされ或いは記録された、対応するガントリ/マウント変換344、354、又は364と、対応するマウント/遠隔中心変換345、355、又は365と、対応する遠隔中心/ツール変換346、356、又は対応する遠隔中心/カメラ変換366との合成は、ツールの基準変換となる。いくつかの例では、ツールが多関節アーム、エンドエフェクタ、及び/又はマニピュレータに搭載されていない場合、カニューレの挿入方向、及び/又は、器具の仮想シャフトに基づいて基準変換を決定するために、カニューレ及び/又は仮想ツールが使用され得る。
【0057】
プロセス430では、基準座標フレームにおけるツールの実際の変換が決定される。外乱によって1又は複数の外乱ジョイントが動き始めると、ツールは1又は複数の外乱ジョイントの遠位にあるため、ツールの姿勢は変化し始める。1又は複数の外乱ジョイントの動きは監視され、且つ、プロセス420の際に使用されたのと同じ1又は複数の運動学モデルは、基準座標フレームにおけるツールの実際の変換を決定するために、現在のジョイントの位置及び/又は方向を用いて再び適用される。実際の変換は、1又は複数の外乱ジョイントの動きがどのようにしてそのツールをその維持されるべき姿勢から遠ざける傾向にあるのかを表す。
【0058】
プロセス440では、実際の変換と基準変換との差が決定される。実際の変換と基準変換との間の差は、外乱によってツールの姿勢に導入されている誤差を表す。多関節アームにおける1又は複数の補償ジョイントを用いた動きによってツールの姿勢における誤差が相殺されなければ、ツールの姿勢は不必要に変化してしまう。いくつかの例では、その差は、実際の変換と基準変換の対応する行列及び/又はベクトル表現の減算によって決定されてもよい。いくつかの例では、その差は、基準変換の逆/反対(inverse/reverse)変換と実際の変換とを合成することで決定される誤差変換として表現されてもよい。
【0059】
プロセス450では、その差に基づいて補償ジョイント変化が決定される。プロセス440の際に決定された、実際の変換と基準変換との間の差を用いることで、1又は複数の補償ジョイントにおける変化が決定される。実際の変換と基準変換との間の差は、実際の変換及び基準変換の基準座標系から、補償ジョイントのそれぞれに関連付けられている1又は複数の局部座標系にマッピングされる。実際には、これは、基準座標系からのツールの姿勢の誤差を、補償ジョイントに関する姿勢の誤差に変換する。いくつかの例では、その差を局部座標系に変換するために1又は複数の運動学モデルが使用され得る。いくつかの例では、補償ジョイントは、外乱ジョイントの1つではない、多関節アーム及び/又はマニピュレータにおけるジョイントの何れかを含んでいてもよい。姿勢における相対誤差が決定されると、それらは、補償ジョイントのそれぞれに関する動きを決定するために使用され得る。いくつかの例では、その相対誤差を補償ジョイントの補償動作にマッピングするために逆ヤコビアンが使用され得る。いくつかの例では、補償ジョイントにおける動きは、補償ジョイントに適用されるジョイント速度として適用されてもよい。
【0060】
プロセス460では、補償ジョイントが駆動される。プロセス450の際に決定された補償ジョイントの動きに基づいて1又は複数の命令が補償ジョイントにおける1又は複数のアクチュエータに送信される。補償ジョイントに向けて送信されたそれらの命令は、1又は複数の外乱ジョイントの動きによってもたらされたツールの姿勢における誤差を補正する。基準座標系におけるツールの姿勢が最小限の誤差で維持されるようにするためである。1又は複数の補償ジョイントがツールの姿勢に対する修正変更を実行し続ける限り、プロセス430-460は、ツールの姿勢に導入された任意の誤差を相殺するために繰り返される。
【0061】
いくつかの実施例によると、プロセス460は、実際的制限の対象となり得る。いくつかの例では、ツールの姿勢の誤差を相殺するための1又は複数の補償ジョイントの能力は、1又は複数の補償ジョイントの可動域(Range of Motion (ROM))リミットによって制限され得る。いくつかの例では、1又は複数の補償ジョイントに関するROMリミットに達した場合、且つ/或いは、そのROMリミットにまさに達しようとしている場合、方法400及び/又はプロセス460は停止され得る。そして、1又は複数の視覚的及び/又は聴覚的な誤差の指示(cue)を用いて誤差がオペレータに示され得る。いくつかの例では、方法400及び/又はプロセス460の動作を停止させるよりもむしろ、プロセス460は、外乱によって引き起こされた動きの全てが相殺されたのではないことを知らせるフィードバックをオペレータに提供しながら制御可能な誤差を最小限にするために、ツールの姿勢における誤差を部分的に相殺する変形態様で動作してもよい。いくつかの例では、そのフィードバックは、補償が制限されていることを示す1若しくは複数の視覚的及び/若しくは聴覚的な指示、並びに/又は、1若しくは複数の補償ジョイントへの抵抗の適用を含んでいてもよい。いくつかの例では、その抵抗は、1若しくは複数の補償ジョイントに関連付けられた1若しくは複数のブレーキを部分的に適用すること、並びに/又は、1若しくは複数の補償ジョイントに関連付けられた1若しくは複数のアクチュエータに運動抵抗電圧及び/若しくは信号を適用することを含んでいてもよい。
【0062】
上述され且つここで更に強調されるように、図4はほんの一例に過ぎず、請求項の範囲を不当に制限することはない。当業者は、多くの変形例、代替例、及び改良例を認識するであろう。いくつかの実施例によると、方法400は、コンピュータ支援装置によって操縦されているツールのそれぞれに独立して適用され得る。いくつかの例では、それらのツールは、患者にドッキングされたツールの任意のものを含んでいてもよい。いくつかの例では、補償ジョイントは、コンピュータ支援装置におけるオリエンテーション・プラットフォーム227のようなアームガントリの遠位に配置されてもよい。それらのツールのそれぞれの姿勢を維持するための補償がそれらのツールのそれぞれに別々に適用されるようにするためである。
【0063】
いくつかの実施例によると、外乱ジョイント及び補償ジョイントは、多関節アーム及び/又はマニピュレータにおけるジョイントのそれぞれを含んでいなくてもよい。いくつかの例では、補償ジョイントは、マニピュレータのロールジョイント、ピッチジョイント、及びヨージョイントのみを含んでいてもよい。いくつかの例では、多関節アーム及び/又はマニピュレータにおける他のジョイントは、方法400の際のそれらの相対的な動きを防止するためにロックされてもよい。いくつかの例では、多関節アーム及び/又はマニピュレータにおける1又は複数の非作動ジョイントは、方法400の際にロックが解除されていてもよく、且つ/或いは、クラッチ状態及び/又は浮遊状態に置かれていてもよい。ツールの姿勢における誤差が、ロック解除されたジョイントにおける変化によって、少なくとも部分的に低減されるようにするためである。いくつかの例では、ロック解除されたジョイントにおける変化は、補償ジョイントが駆動されるべき量を低減させ得る。いくつかの例では、ツールの姿勢は、患者ポートからの抵抗を用いることで、且つ/或いは、コンピュータ支援装置のオペレータによって、少なくとも部分的に維持され得る。
【0064】
いくつかの実施例によると、プロセス430-460のうちの1つ又は複数は、同時に実行されてもよい。いくつかの実施例によると、追加の条件が、例えば、コンピュータ支援装置の制御をオペレータに戻すことによる、且つ/或いは、コンピュータ支援装置の動作の停止によるような方法400の早期終了をもたらす場合がある。いくつかの例では、その追加の条件は、補償動作を完了させることができないこと、オペレータワークステーション及び/若しくは多関節アームにおける1若しくは複数のコントロールを用いたオペレータの手動介入及び/若しくはオーバーライド、1若しくは複数のセーフティインターロックによるオペレータワークステーションからのオペレータの離脱の検出、コンピュータ支援装置における位置追跡エラー、システム故障、並びに/又は、それらと同様のものを含んでいてもよい。いくつかの例では、コンピュータ支援装置におけるリンク及び/若しくはジョイント間の差し迫った衝突の検出、コンピュータ支援装置における1若しくは複数のジョイントの運動の範囲の制限、患者の動きのためにツールの姿勢を維持できないこと、並びに/又は、それと同様のもののために、所望の動きができない場合がある。いくつかの例では、方法400の早期終了は、オペレータに向けて送信されるエラー通知をもたらすようにしてもよい。いくつかの例では、そのエラー通知は、テキストメッセージ、点滅する光、可聴音、発話された語句、及び/又はそれらと同様のものといった任意の可視的な及び/又は可聴式の指示を含んでいてもよい。
【0065】
制御ユニット130のような制御ユニットのいくつかの例は、1又は複数のプロセッサ(例えばプロセッサ140)によって実行されたときにその1又は複数のプロセッサに方法400のプロセスを行わせる実行可能なコードを含む非一時的な具体的な機械可読媒体を含んでいてもよい。方法400のプロセスを含み得る機械可読媒体のいくつかの一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD-ROM、他の任意の光学媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する他の任意の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、及び/又は、プロセッサ若しくはコンピュータが読み取れるように構成された他の任意の媒体を含み得る。
【0066】
例示的な実施例が図示され且つ説明されたが、前述の開示及びいくつかの例において広範囲の改良、変形、及び置換が予期され、実施例におけるいくつかの特徴は、他の特徴の対応する使用無しで、採用されてもよい。当業者は、多くの変形例、代替例、及び改良例を認識するであろう。このように、本発明の範囲は以下の請求項によってのみ制限されるべきであり、また、それら請求項は広く且つ本書で開示された実施例の範囲と整合する態様で解釈されることが適切である。



図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】