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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108045
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】電源装置及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20230727BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230727BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230727BHJP
【FI】
F21S8/02 430
F21V23/00 120
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099838
(22)【出願日】2023-06-19
(62)【分割の表示】P 2020119463の分割
【原出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】北井 悠一
(57)【要約】
【課題】狭い天井裏に埋込穴より挿入し設置するのに適した電源装置、及び当該電源装置を用いた照明器具を提供すること。
【解決手段】支持台前脚部、支持台後脚部及び支持台電源設置部を有する支持台と、電源底面を備える電源本体と、を備えた電源装置であって、前記電源底面が前記支持台電源設置部の上面に設置され、前記支持台前脚部と前記支持台電源設置部が接続する点から設置面までの高さが、前記支持台後脚部と前記支持台電源設置部が接続する点から設置面までの高さより長い、電源装置とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台前脚部、支持台後脚部及び支持台電源設置部を有する支持台と、
電源底面を備える電源本体と、
を備えた電源装置であって、
前記電源底面が前記支持台電源設置部の上面に設置され、
前記支持台前脚部と前記支持台電源設置部が接続する点から設置面までの高さが、前記支持台後脚部と前記支持台電源設置部が接続する点から設置面までの高さより長い、電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置と、天井板に設けられた埋込穴に設置する照明器具を備え、前記電源装置を前記天井板に設置する照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的狭い天井裏に設置する照明器具等に用いられる電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鉄筋コンクリートのビルにおいて、広々とした居住性を得るためには、天井が高い方が好まれる。一方、天井には照明器具等が設置されるため、天井板を上階の床スラブ底面(又は屋根底面)より下側に設置することが一般的である。従って、天井板と床スラブ底面の間である天井懐(以下、一般的な用語である天井裏という)が狭い方が、居住空間における天井高(天井板までの高さ)を高くすることができ好ましい。一方、天井裏が狭いと、天井裏に照明器具を設置できない場合がある。
【0003】
特許文献1には、天井板に設けた埋込穴の下側から設置する照明器具用の別置電源に関する改良技術が開示されている。天井板から上階床までの高さが低く天井裏が狭い場合、電源装置が天井裏の床スラブ底面や構造物等に当たって挿入できず、電源装置を設置できないおそれがあるため、電源装置を複数の電源部品から構成し、電源装置を屈曲させることにより、狭い天井裏であってもこの電源装置を用いた照明器具を設置できるようにする、という内容である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-3894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電源装置が特許文献1に記載の従来技術ほど長くなくても、さらに狭い天井裏に電源装置を設置したい場合がある。
【0006】
本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、狭い天井裏に設置するのに適した照明器具等の電源装置、及びそのような電源装置を用いた照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、支持台前脚部、支持台後脚部及び支持台電源設置部を有する支持台と、電源底面を備える電源本体と、を備えた電源装置であって、前記電源底面が前記支持台電源設置部の上面に設置され、前記支持台前脚部と前記支持台電源設置部が接続する点から設置面までの高さが、前記支持台後脚部と前記支持台電源設置部が接続する点から設置面までの高さより長いことを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、前記電源装置と、天井板に設けられた埋込穴に設置する照明器具を備え、前記電源装置を前記天井板に設置する照明装置である。
【発明の効果】
【0009】
上述の構成により、本発明に係る電源装置は、狭い天井裏であっても、天井板の埋込穴から天井裏に設置することができるため、本発明を用いることにより、天井板の設置高さを高くして広々とした室内空間を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る照明器具及び電源装置の設置状態における正面図。
図2】実施形態1に係る電源装置の正面図及び上面図。
図3】実施形態1に係る他の電源装置の正面図。
図4】実施形態1に係る他の電源装置の正面図。
図5】実施形態1に係る電源装置の設置を説明するための正面図及び下面図。
図6】実施形態2に係る電源装置の正面図及び上面図。
図7】実施形態2に係る他の電源装置の正面図。
図8】実施形態2に係る他の電源装置の正面図。
図9】実施形態2に係る電源装置の設置を説明するための正面図及び下面図。
図10】実施形態3に係る電源一体型ダウンライトの設置状態における正面図。
図11】実施形態3に係る電源一体型ダウンライトの設置を説明するための正面図及び下面図。
図12】実施形態4に係る電源一体型ダウンライトの設置状態における正面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
<基本構成>
図1に、本発明の実施形態1の照明器具の設置状態における正面図を示す。床スラブ底面391と天井板392の間である天井裏に、ダウンライト301及び照明器具と一体化していない別置電源装置である電源装置340が設置されている。ダウンライト301は天井板392に設けられた円形の埋込穴395に設置され、その近傍の天井板392の上に電源装置340が設置されている。電灯線385が電源装置340の端子台360に挿入され、電源装置340から直流がケーブル390を通してダウンライト301に印加される。
【0012】
ダウンライト301は、枠305、コーン310、COB型LED320、ヒートシンク325、取付バネ330を備える。
【0013】
電源装置340は、ダウンライト301を設置するために設けられた円形の埋込穴395の下側から天井裏に入れられ、設置する必要がある。
【0014】
電源装置としては、まず電源装置140を考え、改良案として電源装置240を考え、さらなる改良案として電源装置340を考えた。以下、電源装置340を説明するとともに、他の電源装置についても説明する。
【0015】
<電源装置340>
電源装置340は、正面図である図2(a)に示すように、電源本体350、端子台360、支持台370及びワイヤレスモジュール380を備える。後述するように電源装置340を埋込穴に通すとき、左側が前、右側が後ろとなるように通していくため、左側面を前面、右側面を後面とする。
【0016】
電源装置340は、長さ178mmであり、図2(b)に示す側面図(前面視)で、高さ(支持台370のB点と電源上面355の間)Yは53mm、長さZは60mm、対角線の長さDは80mmである(電源上面355における角の面取りを無視)。Dは80mmなので、埋込穴395の径75mmを通過できないように見えるが、正面形状が長方形ではないため入れ方を工夫すれば通過させることができる(後述)。
【0017】
<電源本体>
電源本体350は、電源前コーナー面351、電源後コーナー面352、電源前側面353、電源後側面354、電源上面355及び電源底面356を備え、正面形状が台形状となっている。後述するように、電源前コーナー面351及び電源後コーナー面352を設け角部をなくすことにより、狭い天井裏への電源装置の挿入を容易にしている。
【0018】
電源本体350には、出力制御を行うための無線受信器であるワイヤレスモジュール380が装着されている(取り外し可能)。また図2(b)に示すように、電源本体からLEDを駆動するための電力を出力するケーブル390が出ている。
【0019】
<支持台>
支持台370は正面図に示したA-B-C-D-E-Fの各点(奥行きがあるため実際には各線)を折り曲げ加工されて形成され、CからDの範囲を支持台電源設置部371、AからCの範囲を支持台前脚部372、DからFの範囲を支持台後脚部373と呼ぶことにする。なお折り曲げはBからEの各点に限定されず、他の折り曲げ等の形状を設けてもよく、一部省略してもよい。
【0020】
電源本体350は、支持台370のCD部(支持台電源設置部371)の上面に設置される。
【0021】
平面図である図2(c)に示すように、支持台370は、支持台前脚部穴372H、支持台後脚部穴373Hを備えており、これらの穴にネジを通すことによって天井板392に固定することができる。
【0022】
<端子台>
正面視において、端子台360は、長辺である端子台底面363と短辺である端子台側面364を備える(端子台底面363の方が端子台側面364より長い)。端子台360は、端子台底面363が支持台前脚部372における支持台前脚部側面372S(支持台370のBC部)及び電源前側面353と重なるように設置される。支持台370のB-C間距離(支持台前脚部側面372Sの長さ)の方が、支持台370のD-E間距離(支持台前脚部後面373Sの長さ)より長くなっている。それに伴い、支持台370を設置面である天井板上面に固定するため、支持台370のAB部とEF部は、一直線上になるように形成されている。
【0023】
端子台底面363の支持台前脚部側面372Sに接する部分である線分PQは、支持台前脚部側面372Sに接していない部分(電源前側面353に接している又は近接している部分)の線分QRより長く、線分PQ>線分QRの関係となっている。それにより端子台360の角部361の突出量361L(電源本体の電源前コーナー面351を延長した線からの距離)を短くすることができる。また、電源本体350の下面中点から端子台360の角部361までの電源回転半径340Lが比較的小さくなっている。なお、電源回転半径は、図5に示す電源を埋込穴に挿入した場合に、回転中心が下面を移動するため、下面中点からの距離に限られないが、説明のため下面中点からの距離で代表している。
【0024】
端子台に電灯線を差し込むための端子穴365は、図2(a)における正面側に設けられている。端子台360を支持台前脚部側面372Sに締結するためのネジ先端367が支持台前脚部を突き抜けている。
【0025】
<電源装置240>
電源装置240は、電源装置340の両脚部(支持台前脚部272及び支持台前脚部273)の長さを同じにしたものである。
【0026】
電源装置240は、図3(b)に示す側面図(前面視)で、長さYは44mm、長さZは60mm、対角線の長さDは74mmである(電源上面255における角の面取りを無視)。
【0027】
正面図である図3(a)に示すように、電源装置240は、電源本体250、端子台260、支持台270及びワイヤレスモジュール280を備える。
【0028】
電源本体250は、電源前コーナー面251及び電源後コーナー面252を備え、正面形状を台形状としている。これにより、狭い天井裏への電源装置の挿入を容易にしている。
【0029】
<電源本体>
電源本体250は、電源前コーナー面251、電源後コーナー面252、電源前側面253、電源後側面254、電源上面255及び電源底面256を備え、正面形状が台形状となっている。後述するように、電源前コーナー面251及び電源後コーナー面252を設けて角部をなくすことにより、狭い天井裏への電源装置の挿入を容易にしている。
【0030】
電源本体250には、出力制御を行うための無線受信器であるワイヤレスモジュール280が装着されている(取り外し可能)。
【0031】
<支持台>
支持台270は正面図に示したA-B-C-D-E-Fの各点(奥行きがあるため実際には各線)を折り曲げ加工されて形成され、CからDの範囲を支持台電源設置部271、AからCの範囲を支持台前脚部272、DからFの範囲を支持台前脚部273と呼ぶことにする。なお折り曲げはBからEの各点に限定されず、他の折り曲げ等の形状を設けてもよく、一部省略してもよい。
【0032】
電源本体250は、支持台270の支持台電源設置部271の上面に設置される。
【0033】
端子台260は、支持台前脚部272における支持台前脚部側面272Sに端子台底面263が重なるように設置される。また端子台に電灯線385を差し込むための端子穴265は、図の後側に設けられている。このため、図1に示す電灯線385が床スラブ底面391側に出て、電源装置240が天井裏へ挿入される際の障害物となることが防止できる。B-C間距離(支持台前脚部側面272Sの長さ)とD-E間距離(支持台前脚部側面273Sの長さ)は等しくなっている。あるいは端子台260の図右面における線分PQは支持台前脚部側面272Sに接する部分、線分QRは電源本体250の電源前側面253に接する部分の長さであり、電源装置240においては線分PQ<線分QRの関係となっている。端子台260の角部261の突出量261Lは、電源本体の電源前コーナー面251を延長した線からの距離である。また、電源本体250の下面中点から端子台260の角部261までの電源回転半径240Lが、電源装置340の電源回転半径340Lに比べてやや長くなっている。
【0034】
<端子台>
正面視において、端子台260は、長辺である端子台底面263と短辺である端子台側面264を備える。端子台底面263は、支持台前脚部272における支持台前脚部側面272S(支持台370のBC部)及び電源前側面253と重なるように設置される。支持台270のB-C間距離(支持台前脚部側面372Sの長さ)と支持台270のD-E間距離(支持台前脚部側面273Sの長さ)は同じである。
【0035】
端子台底面263の支持台前脚部側面372Sに接する部分である線分PQは、支持台前脚部側面372Sに接していない部分(電源前側面353に接している又は近接している部分)の線分QRより長く、線分PQ<線分QRの関係となっている。端子台260の角部261の突出量261L(電源本体の電源前コーナー面251を延長した線からの距離)は、電源装置340の場合と比べやや長い。電源本体250の下面中点から端子台260の角部261までの電源回転半径240Lも、電源装置340の場合と比べてやや長くなっている。
【0036】
端子台に電灯線を差し込むための端子穴265は、図3(a)における正面側に設けられている。
【0037】
<電源装置140>
電源装置140は、端子台160を支持台前脚部172の上に配置したものである。
【0038】
正面図である図4(a)に示すように、電源装置140は、電源本体150、端子台160、支持台170及びワイヤレスモジュール180を備える。
【0039】
電源装置140は、図4(b)に示す側面図(前面視)で、長さYは44mm、長さZは60mm、対角線の長さDは74mmである(電源上面155における角の面取りを無視)。
【0040】
<電源本体>
電源本体150は、電源前コーナー面151、電源後コーナー面152、電源前側面153、電源後側面154、電源上面155及び電源底面156を備え、正面形状が台形状となっている。後述するように、電源前コーナー面151及び電源後コーナー面152を設けて角部をなくすことにより、狭い天井裏への電源装置の挿入を容易にしている。
【0041】
電源本体150には、出力制御を行うための無線受信器であるワイヤレスモジュール180が装着されている(取り外し可能)。
【0042】
<支持台>
支持台170は正面図に示したA-A2-A3-B-C-D-E-Fの各点(奥行きがあるため実際には各線)を折り曲げ加工されて形成され、CからDの範囲を支持台電源設置部171、AからCの範囲を支持台前脚部172、DからFの範囲を支持台前脚部173と呼ぶことにする。なお折り曲げはA2からEの各点に限定されず、他の折り曲げ等の形状を設けてもよく、一部省略してもよい。
【0043】
電源本体150は、支持台170のCD部(支持台電源設置部171)の上面に設置される。
【0044】
<端子台>
正面視において、端子台160は、長辺である端子台底面163と短辺である端子台側面164を備える。端子台側面164が、支持台前脚部172における支持台前脚部側面172S(支持台170のBC部)及び電源前側面153と重なるように設置される。端子台底面163は支持台170にネジ(ネジ先端167を図示)で固定されるため、ネジ先端167のスペースを確保するために支持台前脚部172においてA2-A3間の段差を設けている。支持台前脚部172のA2-A3距離とB-C間距離(支持台前脚部側面172Sの長さ)の合計と、D-E間距離(支持台前脚部側面173Sの長さ)は同じである。
【0045】
端子台側面164の支持台前脚部側面172Sに接する部分である線分RSは、支持台前脚部側面172Sに接していない部分(電源前側面153に接している又は近接している部分)の線分STより長い(端子台側面164の長さなどによっては、線分RS>線分STとすることもできる)。端子台160の角部161の突出量161L(電源本体の電源前コーナー面151を延長した線からの距離)、電源本体150の下面中点から端子台160の角部161までの電源回転半径140Lは、端子台がCD部にある仮想例(線分RSがゼロの例)と比べるとやや短くなっている。
【0046】
端子台に電灯線を差し込むための端子穴165は、図3(a)における正面側に設けられている。
【0047】
<電源装置の天井裏への挿入>
図5(a1)、(a3)、(a4)は、電源装置340の挿入を説明するための天井裏の正面断面図、図5(a2)は天井裏の下面から見た平面図、図5(b1)、(b3)は電源装置140の同じ天井裏への挿入を説明するための正面断面図、図5(b2)は天井裏の下面から見た平面図である。天井裏は、床スラブ底面391、天井板392、円形の埋込穴395(円形の埋込穴の中心軸395A)を備え、天井板の厚さ=35mm、天井板上面から床スラブ底面までの間隔=80mm、円形の埋込穴の直径=75mmである。
【0048】
図5(a3)及び(a4)に、天井板の埋込穴395のうち、電源装置340の幅が通る部分である埋込穴通過領域396をクロス斜線で示す。これより、埋込穴径75mmのうち、幅60mmの電源本体350が通る埋込穴通過領域396の幅は44mmにすぎないことがわかる。
【0049】
図5(a1)に示すように、まず電源装置340を75mm径の埋込穴395に通す必要がある。ところが電源装置340は幅60mm、高さ53mm、対角線長さ80mmとなるため、平面図である図5(a2)における埋込穴通過領域396をまっすぐ通すことができない。そこで、電源本体の電源前コーナー面351を利用して、電源装置340を図5(a1)における時計回りに少し回して支持台前脚部372を天井板392の上まで通し、その後図5(a3)のステップに進む。
【0050】
一方、電源装置140は、幅60mm・高さ44mmであり対角線長さが74mmなので、図5(b1)に示すように、径75mmの埋込穴395をまっすぐ通過させることができる。
【0051】
図5(a3)において、電源装置340の先端が床スラブ底面391に当たる状態で、電源後コーナー面352が埋込穴395の埋込穴通過領域396を通過しようとしている。引き続き、図5(a4)に示すように電源装置340を反時計回りに回転させることによって電源後コーナー面352を天井板392の上面に持ってくることができるため、埋込穴395を通過させて電源装置340を天井裏に設置することができる。
【0052】
図5(b3)は、電源装置140の挿入状態を説明する図である。電源装置140の先端が床スラブ底面391に当たる状態で、電源後コーナー面152が埋込穴395の埋込穴通過領域396に少し入っている。しかし、この状態で電源装置140を反時計回りに回転させようとしても、電源後コーナー面152が埋込穴395にぶつかってしまい、通過できない。なお、天井裏の高さを80mmでなくさらに広げれば、埋込穴395に電源装置140を通過させることが可能である。
【0053】
<実施形態1まとめ>
以上をまとめると、電源装置340、240、140は、電源本体が正面視において長方形でなく台形であるとともに、端子台位置を電源本体位置より下側にしているので、狭い天井裏に入れる際、電源本体の角部及び端子台の角部の影響を少なくすることができる。電源装置340及び240は、長辺である端子台底面を電源本体の側面に設置することにより、電源装置の全長を短くすることができ、そのため天井裏が狭くても設置可能である。さらに、電源装置340においては、支持台前脚部を伸ばして端子台を極力下側に設置したため、電源装置を回転させるときの電源回転半径を短くすることができ、さらに狭い天井裏への挿入が可能となる。
【0054】
<実施形態2>
実施形態2では、電源装置640、540、440の形状として電源正面コーナー面を設けることにより、図9における天井裏への挿入において天井板692上面から床スラブ底面691までの距離をさらに短くしている。
【0055】
<電源装置640>
図6に示す電源装置640は、電源装置340と共通する点が多いので、電源本体650に関係する符号以外は電源装置340と同じ符号を用い、電源本体650以外の説明は省略する。
【0056】
<電源本体>
電源本体650は、電源前コーナー面651、電源後コーナー面652、電源前側面653、電源後側面654、電源上面655及び電源底面656を備え、正面形状が台形状となっている。電源前コーナー面651及び電源後コーナー面652を設け角部をなくすことにより、狭い天井裏への電源装置の挿入を容易にしている。
【0057】
さらに正面視において電源本体に電源正面コーナー面657を設けている。これにより、前面視において電源装置640の高さ(支持台370のB点と電源上面655の間)Yは53mm、長さZは60mm、高さYを縦・長さZを横とする長方形の対角線の長さDが80mmであるのに対し、前面視における実対角長さEは67mm(Dの84%)となり、これは埋込穴径である75mmより小さい。
【0058】
実対角長さEは対角線の長さDの90%以下であることが好ましく、85%以下であることがより好ましい。
【0059】
<電源装置540>
図7に示す電源装置540は、電源装置240と共通する点が多いので、電源本体550に関係する符号以外は電源装置340と同じ符号を用い、電源本体550以外の説明は省略する。
【0060】
<電源本体>
電源本体550は、電源前コーナー面551、電源後コーナー面552、電源前側面553、電源後側面554、電源上面555及び電源底面556を備え、正面形状が台形状となっている。電源前コーナー面551及び電源後コーナー面552を設け角部をなくすことにより、狭い天井裏への電源装置の挿入を容易にしている。
【0061】
さらに正面視において電源本体に電源正面コーナー面557を設けている。これにより、前面視において電源装置540の高さYは44mm、長さZは60mm、高さYを縦・長さZを横とする長方形の対角線の長さDが74mmであるのに対し、電源装置540の前面視における実対角長さEを、埋込穴径である75mmより小さい60mmとしており、Eは対角線の長さDの81%である。
【0062】
<電源装置440>
図8に示す電源装置440は、電源装置140と共通する点が多いので、電源本体450に関係する符号以外は電源装置140と同じ符号を用い、電源本体450以外の説明は省略する。
【0063】
<電源本体>
電源本体450は、電源前コーナー面451、電源後コーナー面452、電源前側面453、電源後側面454、電源上面455及び電源底面456を備え、正面形状が台形状となっている。電源前コーナー面451及び電源後コーナー面452を設け角部をなくすことにより、狭い天井裏への電源装置の挿入を容易にしている。
【0064】
さらに、正面視において電源本体に電源正面コーナー面457を設けている。これにより、前面視において電源装置440の高さYは44mm、長さZは60mm、高さYを縦・長さZを横とする長方形の対角線の長さDが74mmであるのに対し、電源装置440の前面視における実対角長さEを、埋込穴径である75mmより小さい60mmとしている。なおEは対角線の長さDの81%である。
【0065】
<電源装置の天井裏への挿入>
図9(a1)、(a3)は、電源装置640の挿入を説明するための天井裏の正面断面図、図9(a2)は天井裏の下面から見た平面図、図9(b1)、(b3)は電源装置440の同じ天井裏への挿入を説明するための正面断面図、図9(b2)は天井裏の下面から見た平面図である。天井裏は、床スラブ底面691、天井板692、円形の埋込穴695を備え、円形の埋込穴の中心軸695Aも図示している。
【0066】
ここで天井裏は、天井板692の厚さ=35mm、天井板上面から床スラブ底面691までの間隔=70mm(この点が実施形態1と異なる)、円形の埋込穴695の直径=75mmである。
【0067】
図9(a1)に示すように、まず電源装置640を75mm径の埋込穴695に通す必要がある。電源装置640は幅60mm、高さ53mmだが、電源正面コーナー面657を設けており、前面視における実対角長さEは67mmとなるため、平面図である図9(a2)における埋込穴通過領域396をまっすぐ通すことができる。
【0068】
一方、電源装置440は、幅60mm・高さ44mmであるが電源正面コーナー面657を設けており、実対角長さEが60mmなので、図9(b1)に示すように、径75mmの埋込穴395を余裕をもってまっすぐ通過させることができる。
【0069】
図9の各図に、天井板の埋込穴695のうち、電源装置640の幅が通る部分である埋込穴通過領域696をクロス斜線で示す。これより、埋込穴径75mmのうち、幅60mmの電源本体650が通る埋込穴通過領域696の幅は44mmにすぎないことがわかる。
【0070】
図9(a3)において、電源装置640の先端が床スラブ底面691に当たる状態で、電源後コーナー面652が埋込穴695の埋込穴通過領域696を通過しようとしている。引き続き、電源装置640を反時計回りに回転させることによって電源後コーナー面652を天井板692の上面に持ってくることができ、電源装置640を天井裏に設置することができる。
【0071】
図9(b3)は、電源装置640を電源装置440に置き換えた場合の電源装置挿入状態を説明する図である。電源装置440の先端が床スラブ底面691に当たる状態で、電源後コーナー面452が埋込穴695の埋込穴通過領域396に入ろうとしている。しかし、この状態で電源装置440を反時計回りに回転させようとしても、埋込穴通過領域にぶつかってしまい、通過できない。なお、天井裏の高さを70mmでなくさらに広げれば、電源装置440を天井裏に設置することが可能である。
【0072】
<実施形態3>
<基本構成>
図10に、本実施形態の照明器具である電源一体型ダウンライト700の設置状態における正面図を示す。床スラブ底面391と天井板392の間である天井裏に、ダウンライト本体701、電源本体750、端子台760及び連結板775からなる電源一体型ダウンライト700が設置されている。ダウンライト本体701は天井板392に設けられた円形の埋込穴395に設置され、電源本体750は天井板392には設置されていない(自重により連結板775が曲がり、天井板392に接していてもよい)。電灯線785が端子台760に挿入され、電源本体750から直流がケーブル790を通してダウンライト本体701に印加される。
【0073】
ダウンライト本体701は、枠705、コーン710、COB型LED720、ヒートシンク725、取付バネ730を備える。
【0074】
ダウンライト本体701の上面に連結板775が固定され、その上に、電源本体750、端子台760が設置されている。
【0075】
電源本体750は、電源前コーナー面751、電源後コーナー面752、電源前側面753、電源後側面754、電源上面755及び電源底面756を備え、正面形状が台形状となっている。電源前コーナー面751及び電源後コーナー面752を設け角部をなくすことにより、狭い天井裏への電源装置の挿入を容易にしている。
【0076】
電源本体750と端子台760の部分(電源装置740とする)は、電源装置340と同様、前面視で高さ53mm、幅60mmであり、対角線長さが80mmとなるが、後述するように75mm径の円形の埋込穴を通過させることができる。
【0077】
連結板775は、B-C-D-E-FのうちC点を折り曲げ加工されて形成され、BからCの範囲を連結板端子台部775BC、CからDの範囲を連結板電源部775CD、DからEの範囲を連結板中継部775DE、EからFの範囲を連結板ダウンライト部775EFと呼ぶことにする。特に連結板中継部775DEは、弾性を持たせたり、折れ曲がり可能構造とすることなどにより、必要に応じて曲げられるようにすることが好ましい。
【0078】
端子台760は、端子台底面763のうち電源底面756を延長した仮想面756Vの下側(端子台底面763PQ)が連結板端子台部775ABと重なり、仮想面756Vの上側(端子台底面763QR)が電源前側面753と重なるように設置される。また端子台に電灯線を差し込むための端子穴765は、図の後側に設けられている。端子台底面763PQの長さは、端子台底面763QRの長さより長く、線分PQ>線分QRの関係となっている。それにより、電源装置340において説明したように、狭い天井裏への挿入を容易にしている。
【0079】
<電源一体型ダウンライトの天井裏への挿入>
電源一体型ダウンライト700の設置方法は、電源装置340の設置方法に類似しているが、電源本体750とダウンライト本体701とが連結されているため、電源本体750を動かしたときにダウンライト本体701が障害物に当たらないか検討が必要となる。
【0080】
図11(a1)、(a3)、(a4)は、電源一体型ダウンライト700の挿入を説明するための天井裏の正面断面図、図11(a2)は天井裏の下面から見た平面図である。天井裏は、床スラブ底面391、天井板392、円形の埋込穴395を備え、円形の埋込穴の中心軸395Aも図示している。
【0081】
図示する天井裏は、天井板の厚さ=35mm、天井板上面から床スラブ底面までの間隔=80mm、円形の埋込穴の直径=75mmである。図11(a1)、(a2)及び(a3)に、天井板の埋込穴395のうち、電源一体型ダウンライト700の幅が通る部分である埋込穴通過領域396をクロス斜線で示す。これより、埋込穴径75mmのうち、幅60mmの電源本体750が通る埋込穴通過領域396の幅は44mmにすぎないことがわかる。
【0082】
図11(a1)に示すように、まず端子台760と電源本体750を75mm径の埋込穴395に通す必要がある。ところが端子台760と電源本体750の前面視における大きさは幅60mm、高さ53mm、対角線長さ80mmとなるため、平面図である図11(a2)における埋込穴通過領域396をまっすぐ通すことができない。そこで、電源本体の電源前コーナー面751を利用して、電源一体型ダウンライト700を図11(a1)における時計回りに少し回して支持台前脚部372を天井板392の上まで通し、その後図11(a3)のステップに進む。
【0083】
図11(a3)において、電源一体型ダウンライト700の先端が床スラブ底面391に当たる状態で、電源後コーナー面352が埋込穴395の埋込穴通過領域396を通過しようとしている。引き続き、図5(a4)に示すように電源一体型ダウンライト700を反時計回りに回転させることによって電源後コーナー面352を天井板392の上面に持ってくることができ、電源一体型ダウンライト700を天井裏に設置することができる。
【0084】
図11(a4)において、電源一体型ダウンライト700を回転させるとともにダウンライト本体701を埋込穴395に設置し、電源一体型ダウンライト700の設置が完了する。
【0085】
<実施形態4>
図12に、本実施形態の照明器具である電源一体型ダウンライト800の設置状態における正面図を示す。電源一体型ダウンライト700と共通の部材の一部については同じ符号を付している。床スラブ底面391と天井板392の間である天井裏に、ダウンライト本体801、電源本体750、端子台760、固定板876及び連結板875からなる電源一体型ダウンライト800が設置されている。
【0086】
ダウンライト本体801は天井板392に設けられた円形の埋込穴395に設置され、電源本体750は天井板392には設置されていない(自重により連結板875が曲がり、天井板392に接していてもよい)。電灯線785が端子台760に挿入され、電源本体750から直流がケーブル890を通してダウンライト本体801に印加される。
【0087】
ダウンライト本体801は、枠805、コーン810、COB型LED820、ヒートシンク825、取付バネ830を備える。
【0088】
ダウンライト本体801の上面に連結板875が固定され、連結板875は電源後コーナー面752及び電源上面755と固定されている。
【0089】
端子台底面763及び電源底面756を固定するための固定板876が設けられている。
【0090】
電源一体型ダウンライト840の電源装置は、電源一体型ダウンライト700の電源装置740と同じであるので、電源装置740と同様に、75mm径の円形の埋込穴を通過させ、天井板の厚さ=35mm、天井板上面から床スラブ底面までの間隔=80mmの天井裏に設置することができる。
【0091】
<変形例その他>
以上、本発明に係る照明器具の実施形態を説明したが、例示した電源装置を例えば以下のようにすることも可能であり、本発明が上述の実施形態で示した通りの電源装置に限られないことは勿論である。
【0092】
(1)実施形態の電源装置は、天井埋込型照明器具用の別置電源であったが、本発明の電源装置は、照明器具に限らず、スピーカ、空気清浄機、プロジェクタ、ファン、無線中継器、カメラ、空調機器など天井に設置する各種電気機器用の電源装置としても使用でき、またこれらの器具と照明器具を一体化したスピーカ付き照明器具、空気清浄機付き照明器具、プロジェクタ付き照明器具、ファン付き照明器具、カメラ付き照明器具用の電源装置としても使用することができる。
【0093】
(2)電源装置240、340、540,640において端子台底面は電源前側面に接している必要はなく、この間に空間があってもよい。
【0094】
(3)電源回転半径は電源本体の下面中点から端子台角部までの距離であるとして説明したが、設置において電源回転の支点となる点は設置時に電源本体の下面を移動する。例えば図5(a1)において、電源本体の下面中点よりやや下側が回転の支点となっているし、図5(a3)においては回転の支点がより下側に移動している。つまり、電源回転半径を考える際に電源下面中点を基準にしたのは説明を簡単にするための例示であって、実際には回転の支点が移動することを考慮する必要がある。
【0095】
(4)天井板の埋込穴形状は、円形に限らず、正方形や長方形であってもよい。
【0096】
(5)電源正面コーナー面は、前面視における縦・横の長さよりなる仮想的な長方形の対角線に対し、実対角線の長さを短くすることを意図したものであり、実対角線の長さが仮想的な長方形の対角線の長さの90%以下であることが好ましく、85%以下であることが更に好ましい。また仮想的な長方形の対角線の長さが円形の埋込穴の径以上である場合に、実対角線の長さが埋込穴の径未満であることが好ましい。
【0097】
(6)電源本体の電源前コーナー面、電源後コーナー面、電源正面コーナー面は平面として説明したが、曲面であってもよい。
【0098】
(7)本発明の電源装置は、交流の電灯線より供給される交流電力を受電し、LEDの駆動に適した直流電力を出力するものとしたが、高周波電力を出力するインバータ電源装置や、蛍光灯用安定器などの点灯装置であってもよい。
【0099】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0100】
301 ダウンライト
305、705、805 枠
310、710、810 コーン
320、720、820 COB型LED
325、725、825 ヒートシンク、
330、730、830 取付バネ
140、240、340、440、540、640、740 電源装置
140L、240L、340L 電源回転半径
150、250、350、450、550、650、750 電源本体
151、251、351、451、551、651、751 電源前コーナー面
152、252、352、452、552、652、752 電源後コーナー面
153、253、353、453、553、653、753 電源前側面
154、254、354、454、554、654、754 電源後側面
155、255、355、455、555、655、755 電源上面
156、256、356、456、556、656、756 電源底面
756V 仮想面
457、557、657 電源正面コーナー面
160、260、360、760 端子台
161、261、361 角部
161L、261L、361L 突出量
163、263、363、763 端子台底面
164、264、364、764 端子台側面
165、265、365 端子穴
167、367 ネジ先端
170、270、370 支持台
171、271、371 支持台電源設置部
172、272、372 支持台前脚部
172S、272S、372S 支持台前脚部側面
372H 支持台前脚部穴
173、273、373 支持台後脚部
173S、273S、373S 支持台後脚部側面
373H 支持台後脚部穴
180、280、380 ワイヤレスモジュール
385、785 電灯線
390、790、890 ケーブル
391、691 床スラブ底面
392、692 天井板
395、695 埋込穴
396、696 埋込穴通過領域
395A、695A 中心軸
700、800 電源一体型ダウンライト
701、801 ダウンライト本体
775、875 連結板
876 固定板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12