(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108069
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】ドアハンドル
(51)【国際特許分類】
E05B 79/06 20140101AFI20230728BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
E05B79/06 C
B60J5/04 H
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002307
(22)【出願日】2022-01-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000192914
【氏名又は名称】株式会社神菱
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】新川 和秀
(72)【発明者】
【氏名】向野 努
(72)【発明者】
【氏名】前田 倖佑
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ43
2E250LL01
2E250PP12
(57)【要約】
【課題】組立作業の負担を軽減することができる車体のドアパネルに取り付けるドアハンドルを提供する。
【解決手段】
ドアパネル100に取り付けるドアハンドル1であり、ドアハンドル1は、ハンドル本体部2とベース部3とを備えている。ベース部3は、パッド係止部31を有している。パッド係止部31は、固定パッド8を係止する。固定パッド8は固定補助部81を有している。固定補助部81は前記固定パッド8の周縁側に突出する突起部82を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のドアパネル(100)に取り付けるドアハンドル(1)であって、
ハンドル本体部(2)とベース部(3)とを備え、
前記ベース部(3)は、パッド係止部(31)を有し、
前記パッド係止部(31)は、固定パッド(8)を係止し、
前記固定パッド(8)は、固定補助部(81)を有し、
前記固定補助部(81)は、前記固定パッド(8)の周縁側に突出する突起部(82)を有することを特徴とするドアハンドル。
【請求項2】
前記パッド係止部(31)は、第1のパネルガイド(311)を有し、
前記第1のパネルガイド(311)は、前記ベース部(3)の幅方向に傾斜していることを特徴とする請求項1記載のドアハンドル。
【請求項3】
前記パッド係止部(31)は、第2のパネルガイド(312)を有し、
前記第2のパネルガイド(312)は、前記ベース部(3)の長手方向に傾斜していることを特徴とする請求項2記載のドアハンドル。
【請求項4】
前記突起部(82)は、前記第1のパネルガイド(311)に対して、前記ベース部(3)の表面(32)側に位置することを特徴とする請求項2又は3記載のドアハンドル。
【請求項5】
前記固定補助部(81)は第3のパネルガイド(84)を有し、
前記第3のパネルガイド(84)の少なくとも一部は、前記第1のパネルガイド(311)より周縁側に突出していることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載のドアハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のドアハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドアの開閉のために車両のドアパネルに設けられるドアハンドルは、ハンドル本体部とベース部とを主要構成部品として備えている。これらの部品はボルトネジによりドアパネルに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドアパネルにドアハンドルを取り付ける場合、
図4(A)に示すようにハンドル本体部H1とベース部H2との境界線(点線)は互いに平行になるように固定する。しかし、ハンドル本体部H1をドアパネルにボルト固定した後に、ベース部H2をハンドル本体部H1との境界が平行になるように位置合わせしボルト固定する際に、ボルト固定作業の回転トルクによってベース部H2が傾くと、
図4(B)に示すようにハンドル本体部H1とベース部H2との境界線(点線)が平行でなくなることがある。この場合、ドアハンドルの見栄えが悪くなり、高級感を損なうことになる。そのため、ドアハンドルを正確に位置合わせ、ベース部H2が傾くことなくボルト固定する作業は、熟練の技術を要する。
【0005】
本発明は、ドアパネルへの取付作業を容易にすることができるドアハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるドアハンドル(1)は、
車体のドアパネル(100)に取り付けるドアハンドル(1)であって、
ハンドル本体部(2)とベース部(3)とを備え、
前記ベース部(3)は、パッド係止部(31)を有し、
前記パッド係止部(31)は、固定パッド(8)を係止し、
前記固定パッド(8)は、固定補助部(81)を有し、
前記固定補助部(81)は、前記固定パッド(8)の周縁側に突出する突起部(82)を有することを特徴とする。
【0007】
このような構成のドアハンドルとすることで突起部がベース部の不要な回転移動を防止し、さらにベース部の位置合わせマージンを拡大するため、ドアハンドルの取付作業負担が軽減される。
【0008】
上記構成において、前記パッド係止部31は、第1のパネルガイド311を有し、
前記第1のパネルガイド311は、前記ベース部3の幅方向に傾斜していてもよい。
【0009】
上記構成において、
前記パッド係止部31は、第2のパネルガイド312を有し、
前記第2のパネルガイド312は、前記ベース部3の長手方向に傾斜していてもよい。
【0010】
このような構成のドアハンドルとすることで、ベース部の取付作業、特に位置合わせ作業がさらに容易となる。
【0011】
上記構成において、前記突起部82は、前記第1のパネルガイド311に対して、前記ベース部3の表面32側に位置していてもよい。
【0012】
上記構成において、前記固定補助部81は、第3のパネルガイド84を有し、
前記第3のパネルガイド84の少なくとも一部は、前記前記第1のパネルガイド311より周縁側に突出していてもよい。
【0013】
このような構成のドアハンドルとすることで、突起部の回転防止効果がさらに効果的に機能する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ドアパネルへの取付作業を容易にすることができるドアハンドルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(A)は車体のドアパネル100に取り付けられたドアハンドル1を示す斜視図、
図1(B)はドアハンドル1のドアパネル100側から見た平面図、
図1(C)はベース部3の拡大斜視図、
図1(D)は、固定補助部81近傍における第1の固定パッド8の斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、第1の固定パッド8を取り付けない状態におけるベース部3のパッド係止部31近傍の拡大斜視図、
図2(B)は、固定補助部81近傍におけるベース部3のX方向の側面図、
図2(C)は、固定補助部81近傍におけるベース部3のY方向の側面図、
図2(D)はベース部3に第1の固定パッド8を取り付ける工程を示す平面図である。
【
図3】
図3(A)、(B)、(C)は、ドアハンドル1をドアパネル100に取り付ける工程を順に示し、ベース部3近傍のドアパネル100及びドアハンドル1の断面を示す。
【
図4】
図4はドアハンドル取付時の問題点を説明するための、ドアハンドルの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0017】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明にかかるドアハンドル1の一実施形態について説明する。ドアハンドル1は、車両のドアの開閉装置の一構成部品であり、操作者がドアを開閉する際に使用する操作部である。
図1(A)は車体のドアパネル100に取り付けられたドアハンドル1を示す斜視図、
図1(B)はドアハンドル1のドアパネル100側から見た平面図、
図1(C)はベース部3の拡大斜視図、
図1(D)は、固定補助部81近傍における第1の固定パッド8の斜視図である。
【0019】
図1において、車両の前後方向(ドアハンドル1の長手方向)をX方向、X方向に垂直な車両の高さ方向をY方向(ドアハンドル1の幅方向)とする。X-Y平面に垂直で車外から車内に向かう方向(ドアハンドル1の高さ方向)をZ方向とする。また、上方とはZ方向、下方とは-Z方向を意味する。
X-Y平面は、ドアハンドル1のドアパネル100の取付箇所において、ドアパネル100と平行な面である。
ドアハンドル1の取付方向は、例えば
図1(A)において左側を車両の前方側、右側を車両の後方側とすることができるが、この例に限定されない。
【0020】
図1(A)に示すように、ドアハンドル1は車両のドアパネル100に取り付けられる。操作者は、ドアハンドル1を把持し、車両のドアの開閉操作を行うことができる。
図1(B)に示すように、ドアハンドル1はハンドル本体部2とベース部3とを備え、ハンドル本体部2は回転アーム4(把持部4)と回動支持部5とを有している。
回転アーム4は、操作者が手で直接操作する取手部であり、一端部に設けられた回動支持部5により、回動可能に支持される回転軸受部41を有している。
ベース部3はドアパネル1に固定され、ハンドル本体部2の回動支持部5はドアパネル1に固定され、回転アーム4はドアパネル1に回動可能に支持される。
【0021】
ドアパネル100は、ドアハンドル1を取り付けるために、
図1(B)において開口部101a、101b、101cによって示される開口部101を有している。
ハンドル本体部2の回転軸受部41及び回動支持部5は、開口部101bを介してドアパネル100の車内側に挿入される。
ベース部3はベルクランク6及びベルクランク6と係合する連結アーム7を有し、ベルクランク6及び連結アーム7は、開口部101aを介してドアパネル100の車内側に挿入される。
【0022】
ドアハンドル1をドアパネル100にボルト(ネジ)で固定するために、ベース部3及びハンドル本体部2の回動支持部5は、それぞれナット10a及びナット10bを有している。ドアパネル100は、ナット10a及びナット10bに対応して、ボルトを挿通する貫通孔110a及び貫通孔110bをそれぞれ有している。
ベース部3には、ドアパネル100に接触する第1の固定パッド8が取り付けられ、第1の固定パッド8を介してドアパネル100にボルト固定される。
ハンドル本体部2の回動支持部5は、ドアパネル100に接触する第2の固定パッド9が取り付けられ、第2の固定パッド9を介してドアパネル100にボルト固定される。
第1の固定パッド8及び第2の固定パッド9は弾性を有する樹脂、例えばポリプロピレン樹脂により構成されている。
なお、第1の固定パッド8及び第2の固定パッド9は、雨水等の水の浸入を防止する機能を有し、また緩衝材としての機能を有することができる。
【0023】
第1の固定パッド8は、ベース部3に接触する面(以下、裏面と称することがある)と、裏面に対向する面(以下、主面と称することがある)を有している。第1の固定パッド8の主面には固定補助部81が設けられ、固定補助部81の端部にはリブ部82(突起部82)が設けられている。
固定補助部81及びリブ部82は、主面(より詳細には、第1の固定パッド8の固定補助部81及びリブ部82以外の主面)より上方(Z方向)に、例えば2mm~5mm突出している。
また、リブ部82は、固定補助部81の端部から第1の固定パッド8の周縁に向かって所定の距離d、例えば0.5mm~1mm突出し、例えば三角柱形状で構成される。
なお、リブ部82の形状は三角柱に限定されず、例えば、四角柱や、底面が半円形の半円柱等であってもよいが、後述するようにドアハンドル1をドアパネル100に取り付ける際のリブ部82の変形の容易性から三角柱が好適である。
【0024】
ベース部3はパッド係止部31を有し、パッド係止部31は第1のパネルガイド311及び第2のパネルガイド312を有している。後述するように、第1のパネルガイド311及び第2のパネルガイド312は、ベース部3の開口部101a部分への取付をガイドする。
【0025】
図2(A)は、第1の固定パッド8を取り付けない状態におけるベース部3のパッド係止部31近傍の拡大斜視図、
図2(B)は、固定補助部81近傍におけるベース部3のX方向の側面図、
図2(C)は、固定補助部81近傍におけるベース部3のY方向の側面図、
図2(D)はベース部3に第1の固定パッド8を取り付ける工程を示す平面図である。
図2において、X-Y平面に垂直な方向(車外から車内に向かう方向)をZ方向とする。
なお、
図2(B)の円で囲んだ図は、固定補助部81近傍の拡大断面図である。
【0026】
第1の固定パッド8はベース部3の表面32(ベース主表面32)に接触して取付られる。すなわち、ベース部3の表面32は第1の固定パッド8の設置面であり、ベース部3の表面32と第1の固定パッド8の裏面とが接触する。
パッド係止部31は凹部33を有している。固定補助部81の一部が凹部33に嵌め込まれる。
図2(B)に示すように、固定補助部81とパッド係止部31とは互いにY方向と平行な方向に接触(又は押圧)し、第1の固定パッド8の固定補助部81はパッド係止部31により係止される。
なお、固定補助部81とパッド係止部31とはZ方向と平行な方向に間隙gを有してもよい。間隙gは、固定補助部81の凹部33への嵌め込みを容易にする。
【0027】
第1のパネルガイド311は、Y方向(幅方向)に対して所定の角度θ1で傾斜し、第2のパネルガイド312は-X方向(長手方向)に対して所定の角度θ2で傾斜する。θ1、θ2として例えば30~60度に設定できるが、これに限定するものではない。
なお、傾斜の角度θ1、θ2は、ベース表面32に平行な方向対して定義される。
【0028】
リブ部82はパッド係止部31の図中下方(-Z方向)、すなわちベース表面32側に位置し、特に第1のパネルガイド311の下方に位置する。さらにリブ部82は、第1のパネルガイド311の端部より周縁側(図中Y方向)に突出している。
【0029】
なお、固定補助部81は、リブ部82の上方において傾斜面84(第3のパネルガイド84)を有してもよい。
図1、2に示すように、傾斜面84はリブ部82の表面と連続して設けることができ、リブ部82の上部に傾斜を設けてもよい。
傾斜面84を形成することで、ドアハンドル1をドアパネル100に取り付ける際に、傾斜面84にドアパネル100が接触すると、固定補助部81はパッド係止部31側へと押圧される。固定補助部81は、ドアパネル100とパッド係止部31の側面の両側から押圧され、固定補助部81は、
図2(B)のZ方向へ膨らむように変形する。
そのため、ドアハンドル1をドアパネル100に取り付けた状態において、傾斜面84にガイドされた固定補助部81の変形により、固定補助部81の上端とパッド係止部31との間隙gが無くなる(間隙gの距離が0となる)ように、間隙gの幅を設定してもよい。
ドアハンドル1をドアパネル100に取り付ることにより、Z方向に平行な方向においても固定補助部81とパッド係止部31とが接触し、固定補助部81とパッド係止部31との係合をさらに強化することができる。すなわち、上記のように間隙gの幅を設定することで、間隙gは固定補助部81の凹部33への嵌め込みの容易性と、固定補助部81とパッド係止部31とのZ方向と平行な方向の係合とを両立させることができる。
また、リブ部82の上部に傾斜を設けることで、ドアハンドル1をドアパネル100に取り付ける際のリブ部82の変形を容易にすることができる。
また、固定補助部81とリブ部82の傾斜面を連続して形成することで、ドアハンドル1の取付時にドアパネル100とドアハンドル1との相対的移動がスムーズにガイドされる。
【0030】
また、
図2(C)に示すように、パッド係止部31は固定パッドガイド313を有している。固定パッドガイド313は、湾曲面(R面)を有している。
図2(D)に示すように、第1の固定パッド8をベース部3に固定する場合、ベース部3に対して矢印αにより示す方向(-X方向)に第1の固定パッド8をスライドさせると、固定パッドガイド313は、第1の固定パッド8の固定補助部81の凹部33への嵌め込みをガイドすることができる。
【0031】
図3(A)、(B)、(C)は、ドアハンドル1をドアパネル100に取り付ける工程を順に示し、ベース部3近傍のドアパネル100及びドアハンドル1の断面を示す。
図3はドアハンドル1を基準に示しており、
図3においてはドアハンドル1に対してドアパネル100が相対的に移動するが、実際の取付工程においてはドアハンドル1が移動することになる。
図3(A)、(C)に示すように、ベース部3は、パッド係止部31とY方向と平行な方向に対向するパネル係止部34を有している。
【0032】
ハンドル本体部2をドアパネル100にボルトにより固定した後、
図3(A)に示すように、ドアハンドル1のベルクランク6及び連結アーム7を開口部101aへ挿入する。
図3(B)に示すように、ベース部3をドアパネル100に固定するため、さらにベース部3をZ方向に移動し、ドアパネル100に接近させると、パッド係止部31の第1のパネルガイド311が開口部101aの端部に接触する。第1のパネルガイド311はテーパー面を有しているため、相対的にドアパネル100がY方向、ベース部3が-Y方向へ移動するように誘導する。
同様に、
図2(C)に示す第2のパネルガイド312は、相対的にドアパネル100が-X方向、ベース部3がX方向へ移動するように誘導することができる。
そのため、ベース部3のドアパネル100、特にドアパネル100の開口部101aとの長手方向及び幅方向の位置合わせを補助及びガイドし、ベース部3のドアパネル100の開口部101aへの嵌め込みが作業が容易となる。
【0033】
さらに、第1のパネルガイド311及び第2のパネルガイド312は、ナット10aと貫通孔110aとの位置合わせをガイドするため、ドアハンドル1のドアパネル100への取付作業の負担を軽減する。
【0034】
図3(C)に示すように、ドアパネル100の開口部101aの側壁面101sをパネル係止部34に接触させ、さらに、第1の固定パッド8の表面をドアパネル100に接触させるために、ベース部3をドアパネル100に接近させると、ドアパネル100が固定補助部81のリブ部82に接触する。
また、固定補助部81に傾斜面84が設けられ、傾斜面84の少なくとも一部は第1のパネルガイド311の端面より周縁側に突出しているため、ドアパネル100をリブ部82に誘導することができる。
【0035】
ドアパネル100の表面はリブ部82に接触し、ボルトによりベース部3をドアパネル100に固定するとリブ部82が変形し、又は押し潰される。潰れたリブ82は、固定補助部81とドアパネル100の開口部101aとの間の隙間を埋めることができる。
リブ部82は体積が小さいため、容易に変形又は押し潰すことが可能であり、潰れたリブ82により、ベース部3がドアハンドル100から持ち上がることはない。
なお、潰れたリブ82の一部は、ドアパネル100の表面(車内側表面)を覆うように変形することがある。
また、リブ部82を有する第1の固定パッド8を構成する材料として、硬度の低いポリプロピレン樹脂が好適に採用される。
【0036】
固定補助部81はパッド係止部31により係止されている。特に
図2(B)に拡大図で示すように、Y方向に、固定補助部81とパッド係止部31とが接触している。ベース部3のパッド係止部31は、固定補助部81及びリブ部82を介してドアパネル100の開口部101aの側壁面101sと接触する。
ドアパネル100の開口部101aの側壁面101sは、一方は固定補助部81を介してパッド係止部31によりY方向に、他方はパネル係止部34により-Y方向に押圧され、ドアパネル100の開口部101aのY方向に平行な位置が確定する。
【0037】
ドアパネル100にベース部3をボルト固定する作業において、ボルトを回転させることによりベース部3も回転トルクを受ける。強固にベース部3を固定するため、ボルトを強く回転すると、ベース部3は、回転トルクにより回転移動することになる。
リブ部82を有しない固定補助部81の場合、固定補助部81の側壁面にドアパネル100の開口部101aの側壁面101sを接触させることで、ベース部3の回転移動を防止することが可能である。しかし、この場合は、固定補助部81の側壁面と開口部101aの側壁面101sとを隙間無く位置合わせを行う必要がある。
【0038】
リブ82が存在する場合、ドアパネル100がリブ82の少なくとも一部と重なりあうように位置合わせを行うことで、潰れたリブ82が固定補助部81の側壁面と開口部101aとの隙間を埋め、ドアパネル100とベース部3の回転移動を防止できる。
リブ82は容易に変形し、潰れるように構成されているため、ドアパネル100がリブ82の一部と重なるように位置合わせを行っても、リブ82の設置部においてドアパネル100が浮き上がることなく、ドアパネル100は第1の固定パッド8を介してベース部3と密着することができる。
そのため、リブ82の突出距離dの範囲は、ドアパネル100と固定補助部81との位置合わせマージンを確保することができる。
【0039】
このように、リブ82の存在は位置合わせの余裕度(マージン)を広げるため、ドアパネル100、特にドアパネル100の開口部101aとベース部3との位置合わせが容易となり、ドアハンドル1の取付作業負担が軽減される。さらに第1のパネルガイド311、第2のパネルガイド312及び傾斜面84によりベース部3の位置合わせが誘導されるため、ドアパネル100へのドアハンドル1の位置合わせが容易になり、ドアハンドル1の取付作業負担が軽減される。
【0040】
図3(B)に示すように第1の固定パッド8のリブ部82の下部には凹部83を設けてもよい。
ドアパネル100により押し潰されたリブ部82の一部は、凹部83に収容される。そのため、押し潰されたリブ部82により、ドアパネル100が周囲の第1の固定パッド8の表面より持ち上がることが防止される。潰れたリブ部82を収容する凹部83の効果は、例えば、第1の固定パッド8の樹脂の硬度が高い場合や、リブ部82の体積が大きい場合に、特に有効である。
【0041】
なお、ハンドル本体部2の第2の固定パッド9に対しても、固定補助部81及びリブ部82を設け、回動支持部5にパッド係止部31を設けるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のドアハンドルによれば、ドアパネルへの取付作業を容易にすることができ、車両の生産性向上に寄与することが可能であり、産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0043】
1 ドアハンドル
2 ハンドル本体部
3 ベース部
31 パッド係止部
311 第1のパネルガイド
312 第2のパネルガイド
313 固定パッドガイド
32 表面(ベース主表面)
33 凹部
34 パネル係止部
4 回転アーム(把持部)
41 回転軸受部
5 回動支持部
6 ベルクランク
7 連結アーム
8 第1の固定パッド
81 固定補助部
82 リブ部(突起部)
83 凹部
84 傾斜面(第3のパネルガイド)
9 第2の固定パッド
10a、10b ナット
100 ドアパネル
110a、110b 貫通孔
101、101a、101b、101c 開口部
101s 側壁面
H1 ハンドル本体部
H2 ベース部
【手続補正書】
【提出日】2023-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のドアパネル(100)に取り付けるドアハンドル(1)であって、
ハンドル本体部(2)とベース部(3)とを備え、
前記ベース部(3)は、パッド係止部(31)を有し、
前記パッド係止部(31)は、固定パッド(8)を係止し、
前記固定パッド(8)は、前記パッド係止部(31)と係止する固定補助部(81)を有し、
前記固定補助部(81)は、前記固定パッド(8)の前記ドアパネル(100)側に設けられ、前記固定パッド(8)の周縁側に突出する突起部(82)を有し、
前記ベース部(3)が前記固定パッド(8)を介して前記ドアパネル(100)に固定された状態で前記突起部(82)が前記ドアパネル(100)に接することを特徴とするドアハンドル。
【請求項2】
前記パッド係止部(31)は、第1のパネルガイド(311)を有し、
前記第1のパネルガイド(311)は、前記ベース部(3)の幅方向に傾斜していることを特徴とする請求項1記載のドアハンドル。
【請求項3】
前記パッド係止部(31)は、第2のパネルガイド(312)を有し、
前記第2のパネルガイド(312)は、前記ベース部(3)の長手方向に傾斜していることを特徴とする請求項2記載のドアハンドル。
【請求項4】
前記突起部(82)は、前記第1のパネルガイド(311)に対して、前記ベース部(3)の表面(32)側に位置することを特徴とする請求項2又は3記載のドアハンドル。
【請求項5】
前記固定補助部(81)は第3のパネルガイド(84)を有し、
前記第3のパネルガイド(84)の少なくとも一部は、前記第1のパネルガイド(311)より周縁側に突出していることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載のドアハンドル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
第1のパネルガイド311は、Y方向(幅方向)に対して所定の角度θ1で傾斜し、第2のパネルガイド312は-X方向(長手方向)に対して所定の角度θ2で傾斜する。θ1、θ2として例えば30~60度に設定できるが、これに限定するものではない。
なお、傾斜の角度θ1、θ2は、ベース表面32に平行な方向に対して定義される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
なお、固定補助部81は、リブ部82の上方において傾斜面84(第3のパネルガイド84)を有してもよい。
図1、2に示すように、傾斜面84はリブ部82の表面と連続して設けることができ、リブ部82の上部に傾斜を設けてもよい。
傾斜面84を形成することで、ドアハンドル1をドアパネル100に取り付ける際に、傾斜面84にドアパネル100が接触すると、固定補助部81はパッド係止部31側へと押圧される。固定補助部81は、ドアパネル100とパッド係止部31の側面の両側から押圧され、固定補助部81は、
図2(B)のZ方向へ膨らむように変形する。
そのため、ドアハンドル1をドアパネル100に取り付けた状態において、傾斜面84にガイドされた固定補助部81の変形により、固定補助部81の上端とパッド係止部31との間隙gが無くなる(間隙gの距離が0となる)ように、間隙gの幅を設定してもよい。
ドアハンドル1をドアパネル100に取り付
けることにより、Z方向に平行な方向においても固定補助部81とパッド係止部31とが接触し、固定補助部81とパッド係止部31との係合をさらに強化することができる。すなわち、上記のように間隙gの幅を設定することで、間隙gは固定補助部81の凹部33への嵌め込みの容易性と、固定補助部81とパッド係止部31とのZ方向と平行な方向の係合とを両立させることができる。
また、リブ部82の上部に傾斜を設けることで、ドアハンドル1をドアパネル100に取り付ける際のリブ部82の変形を容易にすることができる。
また、固定補助部81とリブ部82の傾斜面を連続して形成することで、ドアハンドル1の取付時にドアパネル100とドアハンドル1との相対的移動がスムーズにガイドされる。