(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108197
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】プログラム、方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 29/12 20060101AFI20230728BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20230728BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
G01N29/12
B29C45/17
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009186
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】522033829
【氏名又は名称】株式会社Next Int
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中山 心太
【テーマコード(参考)】
2G047
4F206
【Fターム(参考)】
2G047AA08
2G047BC04
2G047BC09
2G047GD02
2G047GG19
2G047GG32
4F206JA07
4F206JL09
4F206JP01
4F206JP04
4F206JP13
4F206JP14
4F206JP30
4F206JQ81
4F206JQ88
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】射出成形時に、リアルタイムで精度の高い良否判定を行うことができる技術を提供する。
【解決手段】本発明のプログラムは、プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、超音波スピーカから、金型の内部に向けて超音波を放射するステップと、超音波スピーカから放射される超音波の放射領域と重ならない位置に設けられたマイクにより、金型内を伝播してマイクに到達した到達波を集音するステップと、到達波を射出成形のショット毎に評価して、成形品の良否判定を行うステップと、を実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは、前記プロセッサに、
超音波スピーカから、射出成形に用いられる金型の内部に向けて指向性を有する超音波を放射するステップと、
前記超音波スピーカから放射される超音波の放射領域と重ならない位置に設けられたマイクにより、金型内を伝播して前記マイクに到達した到達波を集音するステップと、
前記到達波を射出成形のショット毎に評価して、成形品の良否判定を行うステップと、を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記良否判定を行うステップでは、
ショット毎に集音した前記到達波の特徴量をクラスタリングすることで、良否判定を行う請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記超音波を放射するステップでは、
経時的に周波数を変化させながら超音波を放射し、
成形品の良否判定を行うステップでは、
到達波の周波数ごとの音量から、放射波および前記到達波の周波数ごとの音量の変化を示し、かつ金型および成形品の固有振動数に起因する音響スペクトルを抽出するステップと、
抽出した前記音響スペクトルを射出成形のショット毎に評価することで成形品の良否判定を行うステップを、を実行する請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記超音波を放射するステップでは、
成形品の固化前から固化後にかけて継続して超音波を放射し、
成形品の良否判定を行うステップでは、
集音された伝達波の波形から、成形品が固化したかどうかの判断を行うステップと、
前記成形品の良否判定に用いるべき前記伝達波の時間帯を設定するステップと、を実行する、請求項1から3のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記到達波を集音するステップでは、
前記金型に複数配置されたマイクにより、前記到達波を集音する請求項1から4のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるための方法であって、前記方法は、前記プロセッサが、
超音波スピーカから、射出成形に用いられる金型の内部に向けて指向性を有する超音波を放射するステップと、
前記超音波スピーカから放射される超音波の放射領域と重ならない位置に設けられたマイクにより、金型内を伝播して前記マイクに到達した到達波を集音するステップと、
前記到達波を射出成形のショット毎に評価して、成形品の良否判定を行うステップと、を実行する方法。
【請求項7】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータを備えるシステムであって、前記システムの前記プロセッサは、
超音波スピーカから、射出成形に用いられる金型の内部に向けて指向性を有する超音波を放射するモジュールと、
前記超音波スピーカから放射される超音波の放射領域と重ならない位置に設けられたマイクにより、金型内を伝播して前記マイクに到達した到達波を集音するモジュールと、
前記到達波を射出成形のショット毎に評価して、成形品の良否判定を行うモジュールと、を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、方法、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形品の成形時における良否判定に超音波を用いることが知られている。
例えば特許文献1には、超音波を用いて成形時におけるポアソン比の分布を求め、成形収縮の程度を評価する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら先行技術は、成形後に成形品に対して内部の状態を判定するものである。このため、成形時にリアルタイムで良否判定を行うことができず、検査を含めた成形工程のリードタイムを短縮することに課題があった。
【0005】
本開示は、射出成形時にリアルタイムで精度の高い良否判定を行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプログラムは、プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プログラムは、プロセッサに、超音波スピーカから、射出成形に用いられる金型の内部に向けて超音波を放射するステップと、超音波スピーカから放射される超音波の放射領域と重ならない位置に設けられたマイクにより、金型内を伝播してマイクに到達した到達波を集音するステップと、到達波を射出成形のショット毎に評価して、成形品の良否判定を行うステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシステムによれば、射出成形時に、リアルタイムで精度の高い良否判定を行うことができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るシステムが使用される状態を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す評価装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示す評価装置が記憶するデータのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係るシステムの処理を説明する図である。
【
図6】第1実施形態に係るシステムにより成形品の評価を行う際の金型の状態を説明する図である。
【
図7】第2実施形態に係る評価装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図8】第2実施形態に係る評価結果データベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係るシステムの処理を説明する図である
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
<1.概要>
本実施形態に係る成形品の良否判定システム1(以下、単にシステム1という)は、射出成形時における成形品の良否判定をインラインで行うシステムである。システム1は、各種の射出成形を行う製造ラインに採用することができる。成形品の形状、大きさや樹脂の材質は限定されない。
【0011】
<2.全体構成>
図1は、本実施形態に係るシステムが使用される状態を示す図である。このうち、
図1Aは、射出成形機100の概略図を示す図である。
図1Bは、射出成形機100における金型50、およびシステム1の概略図である。なお、
図1B、射出成形機100における射出ユニット40の図示を省略している。
【0012】
図1Aに示すように、射出成形機100は、射出ユニット40および金型50を備えている。
射出ユニット40は、ホッパー41と、スクリュー43と、シリンダ42と、ヒータ44と、を備えている。
ホッパー41には成形品の原料となる樹脂ペレットが投入される。
シリンダ42内のスクリュー43が回転することで、シリンダ42の外側に設けられたヒータ44により加熱されて融解したシリンダ42内の樹脂が軸方向に押し出され、シリンダ42の先端に設けられたノズル45から、金型50の内部に注入される。
【0013】
その後、所定時間、圧力をかけたまま冷却をして、金型50内で樹脂が固化させる。
最後に、図示しない型締めユニットにより金型50を開くことで、成形品の取り出しが行われる。この際、金型50又は樹脂材料の温度が低かったり、融解した送出圧力が低かったりすると、樹脂材料が金型50の途中で固化してしまい、金型50の内部の全域に流れ込まないことで不良品が発生することがある。システム1は、インラインで成形品の良否判定を行うことで、成形時にリアルタイムで良品の判定を行う。
図1Bに示すように、システム1は、超音波スピーカ20、第1マイク30A、および第2マイク30Bを備え、評価装置10がこれらを制御することでインラインでの良否判定を実現している。
【0014】
図2に示すように、システム1は、評価装置10と、超音波スピーカ20と、第1マイク30Aと、第2マイク30Bと、を備えている。評価装置10と、超音波スピーカ20、第1マイク30A、および第2マイク30Bと、は有線又は無線の通信規格を用いて、通信可能に接続されている。なお、以下の説明において、第1マイク30Aおよび第2マイク30Bをまとめてマイク30と呼ぶことがある。
【0015】
評価装置10は、例えば、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC、により実現される。また、評価装置10は、スマートフォン、タブレット端末、又はヘッドマウントディスプレイ等などの携行性を備えたコンピュータであってもよい。また、評価装置10は、射出成形機100の動作を数値制御するために射出成形機100に搭載されるNC装置の一部であってもよい。
【0016】
超音波スピーカ20は、超音波を放射するスピーカである。超音波とは、例えば20kHz以上の周波数をもち、指向性を備えた音波である。一定の指向性を備えていれば、超音波の周波数帯域は特に限定されない。超音波スピーカ20は、金型50の外面に設けられ、金型50の内部に向けて超音波を放射する向きに配置される。超音波スピーカ20を配置する位置は、金型50の外面において任意に設定することができる。なお、超音波スピーカ20は、金型50と距離をあけて配置されてもよい。
【0017】
第1マイク30Aおよび第2マイク30Bは、ともに金型50の外面に設けられている。第1マイク30Aおよび第2マイク30Bは、超音波スピーカ20から放射される超音波の放射領域Aと重ならない位置に設けられている。すなわち、超音波スピーカ20は指向性を備えた音波を放射するため、放射領域Aが制限される。第1マイク30Aおよび第2マイク30Bを配置する位置は、金型50の外面において、超音波スピーカ20の放射領域Aに重ならない位置であれば任意に設定することができる。なお、第1マイク30Aおよび第2マイク30Bは、金型50と距離をあけて配置されてもよい。
【0018】
放射領域Aは、超音波スピーカ20の振動子の位置を基準として、放射された超音波が広がっていく角度である指向角θにより定義される。すなわち放射領域Aとは、超音波スピーカ20の振動子に対して、指向角θの内側に位置する領域をさす。指向角θは、振動子が円形の場合、以下の式(1)で計算される。
θ=xλ/D…(1)
θ:指向角
x:70(振動子が円形の場合)
λ:超音波の波長
D:振動子の直径
なお、指向角θは、超音波振動子の形状により変化するため、採用される超音波スピーカ20の仕様により変化する。
【0019】
図1に示すように、評価装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、ストレージ16と、プロセッサ19とを備える。
【0020】
通信IF12は、評価装置10が外部の装置と通信するため、信号を送受信するためのインタフェースである。
入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置である。入力装置13は、例えば、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等を含む。
【0021】
出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置である。出力装置14は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等を含む。
メモリ15は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリにより実現される。
【0022】
ストレージ16は、データを保存するための記憶装置であり、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)により実現される。
プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0023】
<3.評価装置10の機能的構成>
図2は、評価装置10の機能的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、評価装置10は、通信部121と、入出力部130と、記憶部170と、制御部180とを備える。評価装置10に含まれる各ブロックは、例えば、バス等により電気的に接続される。
【0024】
通信部121は、評価装置10が他の装置と通信するための処理を行う。通信部121は、制御部180で生成された信号に送信処理を施し、外部(例えば、超音波スピーカ20およびマイク30)へ送信する。通信部121は、外部から受信した信号に受信処理を施し、制御部180へ出力する。
【0025】
入出力部130は、ユーザからの入力操作を受け付け、出力内容を表示するための機構を有する。具体的には入出力部130は、キーボード131と、ディスプレイ132と、を含む。入出力部130は、操作パネル、マウス等の他の入力デバイスを含むこととしてもよい。
【0026】
キーボード131は、タイピングされたテキストデータを、ユーザからの入力操作として制御部180へ出力する。
ディスプレイ132は、制御部180の制御に応じて、画像、動画、テキスト等のデータを表示する。ディスプレイ132は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。
【0027】
記憶部170は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、評価装置10が使用するデータ、及びプログラムを記憶する。記憶部170には、例えば以下のデータが記憶されている。
・音響信号データベース281
・クラスタリングデータベース282
・評価結果データベース283
これらの各データベースの詳細については後述する。
【0028】
制御部180は、プロセッサ19が記憶部170に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御部180は、評価装置10の動作を制御する。具体的には、例えば、制御部180は、操作受付部181、送受信部182、データ取得部183、動作指令部184、クラスタリング部185、判定部186、提示部187としての機能を発揮する。
【0029】
操作受付部181は、入力装置13から入力されるユーザの操作を受け付けるための処理を行う。例えば、操作受付部181は、キーボード131に対して入力されたテキストデータに基づいて、操作を受け付ける。
【0030】
送受信部182は、評価装置10が、超音波スピーカ20又はマイク30等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0031】
データ取得部183は、評価装置10を使用するユーザが入力した情報を取得する。取得される情報としては、例えば、ユーザが評価装置10のキーボード131から入力した情報が挙げられる。
【0032】
動作指令部184は、ユーザからの指示、又は予め記憶部170に記憶された動作プログラムに基づいて、超音波スピーカ20およびマイク30を駆動するための動作指令を生成する。
【0033】
クラスタリング部185は、マイク30から送受信部182が受信した音響信号に対してクラスタリングを行う。具体的には、クラスタリング部185は、到達波を示す音響信号の特徴量の類似度に基づいて、到達波をクラスタリングする。すなわち、クラスタリング部185は、音響信号に対して教師無し学習によるクラスタリングを行う。教師無し学習によるクラスタリングとしては、Random Cut Forest、Isolation Forest、One Class SVMといった教師無し異常検出アルゴリズムを用いることができる。クラスタリングにおける入力データとしては、例えば、周波数分解能、時間分解能個のマイクで受信したエネルギーといったパラメータが挙げられる。
【0034】
判定部186は、クラスタリング部185が行ったクラスタリングの結果に基づいて、射出成形のショット毎に成形品の良否の評価を行う。
提示部187は、ユーザに対して種々の情報を提示する。提示部187は例えば、判定部186が行った良否の評価結果をユーザに対して提示する。
【0035】
<4.データ構造>
図4は、本実施形態のシステム1が記憶するデータのデータ構造の一例を示す図である。
図4で示す各データの構造はあくまで一例であり、記載されていないデータ項目を除外するものではない。
【0036】
<5-1.音響信号データベース>
図4Aは、音響信号データベース(DB)281のデータ構造の一例を示す図である。音響信号DB281は、マイク30が集音した到達波の音響信号を記憶するデータベースである。
音響信号DB281のレコードの各々は、項目「音響信号ID」、項目「ショットID」、項目「マイクID」、項目「音響信号データ」、等を含む。
【0037】
項目「音響信号ID」には、取得した到達波の音響信号を識別するためのIDが格納される。
【0038】
項目「ショットID」には、音響IDに該当する音響信号に相当する到達波が生じた射出成形におけるショットを識別するためのIDが格納される。ショットIDは、例えば成形日を示す文字列と、その日の初回のショットを起算としたショット回数を示す文字列と、の文字列の組み合わせにより表現される。例えば2022年1月4日の40回目のショットであれば、ショットIDは、「20220104-040」となる。
【0039】
項目「マイクID」には、音響IDに該当する音響信号を取得したマイクを識別するIDが格納される。
【0040】
項目「音響信号データ」には、音響IDに該当する音響信号データが格納される。また、本データベースの当該カラムには、音響信号データが格納された他のデータベースのアドレス情報が格納されてもよい。
なお、音響信号DB281には、その他の情報が格納されてもよい。
【0041】
<5-2.クラスタリングデータベース>
図4Bは、クラスタリングデータベース(DB)282に含まれるデータ群の一例を示した図である。クラスタリングDB282には、マイクが到達波を集音した際に得られる音響信号について、その特徴量を類似度によりクラスタリングした結果が蓄積されている。
【0042】
図4Bに示す例では、音響信号の特徴量を二次元ベクトルとして抽出した結果により散布図が構成されている。各プロットは、取得されたショット毎およびマイク毎の音響信号を指している。この図において、良品と不良品の二つのクラスタが形成されている。
概念的には、評価対象となる音響信号の特徴量が、境界よりも右上に特徴量が位置する場合には良品と判断され、境界よりも左下に特徴量がプロットされる場合には不良品と判断される。実際には、例えば各クラスタの重心との距離が類似度をして評価され、類似度が近いクラスタに分類されてもよい。なお図示はあくまで一例であり、特徴量ベクトルの次元は問わない。
クラスタリングDB282には、予め所定数のサンプルについてのクラスタリング結果が蓄積されているとともに、新たな評価対象となる音響信号についてクラスタリングを行うごとに新たなレコードが蓄積される。
【0043】
<5-3.評価結果データベース283>
図4Cは、評価結果データベース(DB)283のデータ構造の一例を示す図である。評価結果DB283には、ショット毎の成形品の良否判定の評価結果が格納されている。
評価結果DB283のレコードの各々は、項目「ショットID」、項目「成形日時」、項目「成形機ID」、項目「金型ID」、項目「成形条件」、項目「音響信号ID」、項目「特徴量」、「評価結果」等を含む。
【0044】
項目「ショットID」には、評価対象となる射出成形におけるショットを識別するためのIDが格納される。
【0045】
項目「成形日時」には、ショットIDに相当する成形ショットが行われた日時情報が格納される。
【0046】
項目「成形機ID」には、ショットIDに相当する成形ショットを行った射出成形機100を識別するためのIDが格納される。
【0047】
項目「金型ID」には、ショットIDに相当する成形ショットを行った金型50を識別するためのIDが格納される。
【0048】
項目「成形条件」には、ショットIDに相当する成形ショットにおける成形条件が格納される。成形条件としては、樹脂の材料名、加熱温度、加熱時間、送出圧力、送出速度、保圧時間、保圧力等の射出成形において一般的に管理される各種の条件が格納される。
【0049】
項目「音響信号ID」には、ショットIDに相当する成形ショットにおいて取得され、評価対象となる音響信号を識別するIDが格納される。
【0050】
項目「特徴量」には、対応する音響信号の特徴量が格納される。特徴量は、パワー、基本周波数、周波数スペクトルといった任意の観点について、それぞれ既知の方法で抽出することができる。
【0051】
項目「評価結果」には、ショットIDに相当する成形ショットにより得られた成形品の良否を評価した結果が格納される。
なお、評価結果DB283には、その他の情報が格納されてもよい。
【0052】
<5.システムの処理フロー>
以下、
図5および
図6を参照しながら、システム1による処理について説明する。
図5は、第1実施形態に係るシステムの処理を説明する図である。
図6は、第1実施形態に係るシステムにより成形品の評価を行う際の金型50の状態を説明する図である。
【0053】
図5に示すように、まず。評価装置10は、超音波スピーカ20に対して超音波放射の動作指令を送信する(ステップS110)。具体的には、射出成形における保圧工程が完了した後に、評価装置10の動作指令部184は、超音波スピーカ20に動作指令を送信し、超音波スピーカ20から金型50の内部に向けて超音波を放射させる。
【0054】
ステップS110の後に、超音波スピーカ20は、超音波を金型50の内側に向けて放射する(ステップS210)。超音波は指向性を有するため、一定の範囲を占める放射領域Aに跨って、超音波が放射される。
【0055】
ステップS210の後に、マイク30は、到達波を集音する(ステップS310)。
具体的には、
図6に示すように、金型50を通過した超音波は、一部が金型50を通過するとともに、一部が金型50の内部を反射しながら伝達する。この際、超音波は、金型50と外部の境界面において、透過と反射を同時に起こしながら、複雑な経路を伝播し、その一部が到達波として第1マイク30Aおよび第2マイク30Bに到達し、それぞれのマイクにより集音される。
【0056】
ステップS310の後に、マイク30は、集音した到達波を音響信号として評価装置10に送信する(ステップS320)。この際、第1マイク30Aおよび第2マイク30Bは、それぞれが集音した到達波を音響信号として評価装置10に送信する。
【0057】
ステップS320の後に、評価装置10は、到達波の音響信号を受信する(ステップS120)。この際、評価装置10の送受信部182は、第1マイク30Aおよび第2マイク30Bは、それぞれから送信された音響信号を受信する。データ取得部183は、送受信部182が受信した音響信号を取得して、音響信号DB281の新たなレコードとして記録する。データ取得部183は、射出成形機100のNC装置から、該当するショットIDを取得する。
【0058】
ステップS120の後に、評価装置10は、到達波の特徴量をクラスタリングする(ステップS130)。具体的には、評価装置10のクラスタリング部185は、評価対象となる音響信号の特徴量を抽出し、クラスタリングデータベース282に格納されたデータ群の特徴量との類似度を評価することで音響信号をクラスタリングする。この際、第1マイク30Aおよび第2マイク30Bそれぞれから取得した音響信号についてクラスタリングを行う。
【0059】
ステップS130の後に、評価装置10の判定部186は、クラスタリング結果を参照して、成形品の良否を判定する。すなわち、判定部186は、到達波を射出成形のショット毎に評価して、成形品の良否判定を行う。
この際、判定部186は、例えば、第1マイク30Aが取得した音響信号の特徴量、および第2マイク30Bが取得した音響信号の特徴量双方が良品のクラスタに属する場合のみ、当該ショットによる成形品が良品と判定し、いずれかのマイク30が取得した音響信号の特徴量が不良品のクラスタに属する場合には、オペレータによる目視による現物確認を要する旨を判定結果としてもよい。
また、判定部186は、いずれか一方のマイク30が取得した音響信号の特徴量が不良品のクラスタに属する場合には、総合的な結果として不良品と判定してもよい。
【0060】
データ取得部183は、射出成形機100のNC装置から、成形条件や成形日時等の情報、クラスタリング部185が抽出した特徴量、および判定部186が出力した判定結果を取得し、評価結果DB283における新たなレコードとして記録する。
そして、成形品の良否の判定結果に基づいて、射出成形機100のNC装置により、金型50から成形品を取り出す取り出しロボットの動作を制御することができる。
【0061】
<6.小括>
以上説明したように、本実施形態に係るシステム1では、超音波スピーカ20が金型50の内部に向けて放射した超音波が、金型50内を伝播し超音波の放射領域Aに重ならない位置に配置されたマイク30により、集音される。そして、評価装置10は、到達波を用いて、射出成形のショット毎に成形品の良否判定を行う。そして、マイク30が超音波の放射領域Aに重ならない位置に配置されているため、金型50内の複雑経路を伝播した到達波を集音することができる。このような複雑な経路を伝播した到達波は、金型50の内部の成形品の全域を通過しているため、成形品の全域を評価することができる。
これにより、射出成形時にリアルタイムで精度の高い良否判定を行うことができ、検査を含めた成形工程のリードタイムを短縮することができる。
また、射出成形におけるショット毎の評価を行うことで、複雑な経路を伝播した到達波の波形が判読性にかける情報となった場合であっても、適切に良否を判定することができる。
【0062】
また、評価装置10は、良否判定を行うステップにおいて、ショット毎に集音した到達波の特徴量をクラスタリングすることで、良否判定を行う。このため、複雑な経路を伝播した到達波が示す音響信号が判読性の低い情報であったとしても、ショット毎に蓄積された他の到達波と特徴量を比較することで、成形品の良否を容易に判定することができる。
【0063】
また、金型50の外面に複数配置されたマイク30により到達波を集音するので、複数の音響信号により金型50の内部を重畳的に評価することで、より一層精度の高い良否判定を行うことができる。また、クラスタリングにより良否判定を行うため、評価対象となる音響信号が増えた場合であっても、成形品の良否を容易に判別することができる
【0064】
<7.変形例>
なお、システム1はその他の機能を有していてもよい。
例えば、システム1は、成形品が固化したかどうかを判別してもよい。この場合、超音波スピーカ20は、成形品の固化前から固化後にかけて継続して超音波を放射する。
そして、評価装置10は、集音された伝達波の波形から、成形品が固化したかどうかの判断を行うステップを実行する。具体的には、
図5におけるステップS120において受信した音響信号を評価して、成形品の状態の変化を評価する。金型50の内部を通過した超音波から成形品の状態の変化を評価する手法については、公知の手法を用いることができる。
【0065】
そして、成形品が固化していると判断された場合に、評価装置10は、成形品の良否判定に用いるべき伝達波の時間帯を設定するステップを実行する。具体的には、成形品が確実に固化していると判断される時間を設定し、その後に取得した伝達波を良否判定の評価対象とする。そして、成形品の固化前から継続して受信してきた音響信号から、成形品が固化した後の時間帯に該当する音響信号を抽出し、抽出した良否判定の評価対象となる音響信号について、
図5のステップS130に示すクラスタリング処理を実行する。
【0066】
このように、成形品が固化したかどうかを判別することにより、成形条件の違いにより、固化のタイミングが異なる場合であっても、適切に評価対象とすべき音響信号を取得することができ、様々な成形条件において、精度の高い良否判定を行うことができる。
【0067】
<第2実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0068】
第2実施形態では、到達波の特徴量をクラスタリングすることなく、到達波から成形品の固有振動数の変化を捉え、良否判定を行う。
図7は、第2実施形態に係る評価装置10Bの機能的な構成を示すブロック図である。
図8は、第2実施形態に係る評価結果データベース283のデータ構造の一例を示す図である。
図9は、第2実施形態に係るシステム1Bの処理を説明する図である。
【0069】
図7に示すように、評価装置10Bの記憶部170Bは、クラスタリングDB282を備えていない。また評価装置10Bは、計測部184Bを備えている。計測部184Bは、到達波の音響信号から、成形品の固有振動数の変化を評価する。第2実施形態では、マイク30は一つであってもよい。
【0070】
第2実施形態では、超音波スピーカ20は、経時的に周波数を変化させながら、例えば一定の音量で超音波を放射する。ここで、金型50および金型50の内部の成形品は、その形状に応じて固有の固有振動数をとる。固有振動数に合致した周波数、又は固有振動数の整数倍の周波数の超音波は成形品が吸収するため、マイク30が集音する到達波のエネルギー(音量)が小さくなる。そして、評価装置10Bは、到達波の周波数ごとの音量の変化を評価することで、成形品の固有振動数の変化を捉えることができる。これは、固有振動数の影響を受ける周波数をもつ到達波は、音量が減衰又は増幅するためである。そして、固有振動数は成形品の形状、すなわち形成の良否により変化するため、成形品の固有振動数の変化を捉えれば、成形品の良否の判定を行うことができる。なお、金型の固有振動数は成形状態に関わらず一定とみなせるため、成形品の成形状態が、金型および成形品の固有振動数の変化に対して支配的な因子となる。
【0071】
具体的には、評価装置10は、放射波と到達波の周波数ごとの音量を比較することで、金型および成形品の固有振動数に起因する音響スペクトルを抽出する。音響スペクトルは、放射波および到達波の周波数ごとの音量の変化を指し、周波数の変化に対する音量(振幅)の変化を示す波形である。評価装置10は、音響スペクトルを成形品ごとに比較することで、良否判定を行う。良品か不良品かにより、音響スペクトルに違いが出るためである。
音響スペクトルの比較では、音響スペクトルの特徴量を抽出し、抽出した特徴量をクラスタリングすることで、成形品の良否判定を行う。
【0072】
図8に示すように、記憶部107Bが記憶する評価DB283Bは、データ項目として、項目「特徴量」に代えて、項目「音響スペクトル」を備えている。項目「音響スペクトル」には、計測部184Bが計測したショットごとの到達波に対して評価された成形品の音響スペクトルを示すデータが格納される。
【0073】
図9に示すように、評価装置10は、音響信号を受信した(ステップS120)後に、音響スペクトルを抽出する(ステップS125)。具体的には、計測部184Bが、放射された超音波(放射波)の音量(振幅)と到達波の音量(振幅)とを比較することで、音量の変化量を計測する。放射波の周波数は経時的に変化するため、計測部184Bは、それぞれの周波数における音量の変化量を計測する。計測部184Bは、周波数毎の音量の変化量から、音響スペクトルを抽出する。
【0074】
ステップS125の後に、判定部186は、固有振動数に起因する音響スペクトルを、射出成形のショット毎に評価することで成形品の良否判定を行う(ステップS140B)。この際、複数のマイク30から到達波を集音している場合には、それぞれの音響信号から抽出された音響スペクトルに対して良否判定を行う。この際、クラスタリング部185が、抽出された音響スペクトルの特徴量を抽出し、良品のクラスタと不良品のクラスタに分別するクラスタリングを行う。判定部186は、クラスタリングされた結果に基づいて、音響スペクトルに相当する成形品が、良品か不良品かを判定する。
【0075】
判定部186Bは、例えば、第1マイク30Aが取得した到達波から抽出された音響スペクトル、および第2マイク30Bが取得した到達波から抽出された音響スペクトルの双方が良品と判定された場合のみ、当該ショットによる成形品が良品と判定し、いずれかのマイク30が取得した到達波から抽出された音響スペクトルが不良品と判定された場合には、オペレータによる目視による現物確認を要する旨を判定結果としてもよい。
また、判定部186Bは、いずれか一方のマイク30が取得した到達波から抽出された音響スペクトルが不良品と判定された場合には、総合的な結果として、不良品と判定してもよい。
【0076】
以上説明したように、本実施形態では、到達波の特徴量をクラスタリングすることなく、周波数ごとの放射波と到達波の音量の違いである音響スペクトルを抽出し、音響スペクトルをクラスタリングすることで、良否判定を行う。このため、金型50の温度などのショット毎の成形条件の影響を受けずに、成形品の状態に起因する固有振動数の変化を捉えて、精度の高い良否判断をすることができる。また、極めて複雑な経路を通過した到達波を計測する場合において、様々な周波数帯域で減衰ピークが生じ、判読性に乏しい音響スペクトルとなった場合でも、特徴量を抽出してクラスタリングを行うことで、精度の高い良否判断をすることができる。
【0077】
<その他の変形例>
【0078】
また、本実施形態では、マイク30として第1マイク30Aおよび第2マイク30Bを配置する構成を示したがこの態様に限られない。マイク30の数は任意に変更することができる。また、超音波スピーカ20を複数配置してもよい。超音波スピーカ20およびマイク30の数を増やすことで、得られるデータ量が飛躍的に大きくなり、より高精度の判定を行うことができる。仮に複数の超音波スピーカ20から放射された超音波が互いに干渉することで、到達波が極めて煩雑で判読性に欠ける音響信号となった場合であっても、特徴量のクラスタリングを行うことで、容易に良否判定を行うことができる。
【0079】
また、第1実施形態では、教師無し学習であるクラスタリングを行う構成を示したが、この限りではない。良否判定において、教師有り学習による分類を行ってもよい。この際、良否判定モデルが採用される。
良否判定モデルは、学習用データに基づき、モデル学習プログラムに従って機械学習モデルに機械学習を行わせることにより得られる。
【0080】
例えば良否判定モデルは、入力される到達波の音響信号に対し、成形品の良否判定結果を出力するように学習されている。
このとき、学習用データは、例えば、過去に集音された到達波の音響信号を入力データとし、入力された各項目の値に対して、成形品の良否の結果を正解出力データとする。
【0081】
本実施形態に係る良否判定モデルは、例えば、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数、及びパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る良否判定モデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であってもよいが、多層のネットワークモデル(以下、多層化ネットワークと呼ぶ)であるとする。多層化ネットワークを用いる良否判定モデルは、入力層と、出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1層の中間層あるいは隠れ層とを有する。良否判定モデルは、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとしての使用が想定される。
【0082】
本実施形態に係る多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)が用いられ得る。DNNとしては、例えば、画像を対象とする畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network:CNN)を用いてもよい。
また、上記はあくまで良否判定モデルの例示であり、良否判定モデルとしては、他の構成を備えてもよい。
【0083】
第2実施形態における音響スペクトルを用いた良否判定について、評価装置10Bは、クラスタリングを行うことなく、良否判定を行ってもよい。この場合には、良品において得られた音響スペクトルの振幅値を基準とした振幅値の比率に閾値となる条件を設け、条件を満たす音響スペクトルを良品と判断し、条件を満たさない音響スペクトルを不良品と判断してもよい。
【0084】
なお、本発明のシステム1が適用される金型としては、前述した合成樹脂材料の射出成形に限られず、溶解した金属を成形するダイカスト成形、および粉末状の金属を成形するMIM成形(金属粉末成形)に用いられる金型であってもよい。
【0085】
また、本実施形態では、各データベースが記憶部170に記憶されている構成を示したがこの限りではない。各データベースは個別の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0086】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。また、上記実施形態及び変形例で説明した装置の構成は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせ可能である。
【0087】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を、以下に付記する。
【0088】
(付記1)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プログラムは、前記プロセッサに、
超音波スピーカから、射出成形に用いられる金型の内部に向けて指向性を有する超音波を放射するステップと、
前記超音波スピーカから放射される超音波の放射領域と重ならない位置に設けられたマイクにより、金型内を伝播して前記マイクに到達した到達波を集音するステップと、
前記到達波を射出成形のショット毎に評価して、成形品の良否判定を行うステップと、を実行させるプログラム。
【0089】
(付記2)
前記良否判定を行うステップでは、
ショット毎に集音した前記到達波の特徴量をクラスタリングすることで、良否判定を行う(付記1)に記載のプログラム。
【0090】
(付記3)
前記超音波を放射するステップでは、
経時的に周波数を変化させながら超音波を放射し、
成形品の良否判定を行うステップでは、
到達波の周波数ごとの音量から、放射波および前記到達波の周波数ごとの音量の変化を示し、かつ金型および成形品の固有振動数に起因する音響スペクトルを抽出するステップと、
抽出した前記音響スペクトルを射出成形のショット毎に評価することで成形品の良否判定を行うステップを、を実行する(付記1)に記載のプログラム。
【0091】
(付記4)
前記超音波を放射するステップでは、
成形品の固化前から固化後にかけて継続して超音波を放射し、
成形品の良否判定を行うステップでは、
集音された伝達波の波形から、成形品が固化したかどうかの判断を行うステップと、
前記成形品の良否判定に用いるべき前記伝達波の時間帯を設定するステップと、を実行する、(付記1)から(付記3)のいずれか1項に記載のプログラム。
【0092】
(付記5)
前記到達波を集音するステップでは、
前記金型に複数配置されたマイクにより、前記到達波を集音する(付記1)から(付記4)のいずれか1項に記載のプログラム。
【0093】
(付記6)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行させるための方法であって、前記方法は、前記プロセッサが、
超音波スピーカから、射出成形に用いられる金型の内部に向けて指向性を有する超音波を放射するステップと、
前記超音波スピーカから放射される超音波の放射領域と重ならない位置に設けられたマイクにより、金型内を伝播して前記マイクに到達した到達波を集音するステップと、
前記到達波を射出成形のショット毎に評価して、成形品の良否判定を行うステップと、を実行する方法。
【0094】
(付記7)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータを備えるシステムであって、前記システムの前記プロセッサは、
超音波スピーカから、射出成形に用いられる金型の内部に向けて指向性を有する超音波を放射するモジュールと、
前記超音波スピーカから放射される超音波の放射領域と重ならない位置に設けられたマイクにより、金型内を伝播して前記マイクに到達した到達波を集音するモジュールと、
前記到達波を射出成形のショット毎に評価して、成形品の良否判定を行うモジュールと、を備えるシステム。
【符号の説明】
【0095】
1…システム
10…評価装置
13…入力装置
14…出力装置
15…メモリ
16…記憶部
19…プロセッサ
20…超音波スピーカ
30…マイク
30A…第1マイク
30B…第2マイク
40…射出ユニット
50…金型
100…射出成形機