(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108218
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 41/12 20060101AFI20230728BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
A01D41/12
B60K13/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009219
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】小林 充
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英一
(72)【発明者】
【氏名】猶原 康裕
【テーマコード(参考)】
2B074
3D038
【Fターム(参考)】
2B074AA05
2B074AB01
2B074AC02
2B074AD01
2B074AE04
2B074AF02
2B074BA04
2B074BA07
2B074CB05
2B074CC01
2B074CC02
2B074CD02
2B074CE01
2B074DA01
2B074DA02
2B074DA04
2B074DA05
2B074DC07
2B074DE03
2B074DF10
2B074EA17
2B074FA05
2B074FA10
2B074FC02
3D038BA07
3D038BB08
3D038BC05
3D038BC20
3D038BC24
(57)【要約】
【課題】排気ガス浄化装置への塵埃の進入を抑制することを目的とする。
【解決手段】コンバイン1は、左右方向の一側に設けられた脱穀部4と、左右方向の他側に設けられた貯留部6と、貯留部6の前方に設けられたエンジン27と、脱穀部4と貯留部6との間に設けられた排気ガス浄化装置32と、排気ガス浄化装置32の上方と左右の側方とを覆う遮蔽部材51と、を備える。遮蔽部材51の脱穀部4側の側方を覆う部分は、脱穀部4の外面に接合されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向の一側に設けられた脱穀部と、
左右方向の他側に設けられた貯留部と、
前記貯留部の前方に設けられたエンジンと、
前記脱穀部と前記貯留部との間に設けられた排気ガス浄化装置と、
前記排気ガス浄化装置の上方と左右の側方とを覆う遮蔽部材と、を備えることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記遮蔽部材の前記脱穀部側の側方を覆う部分は、前記脱穀部の外面に接合されていることを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記排気ガス浄化装置の後端部に接続されたテールパイプを備え、
前記遮蔽部材は、前記テールパイプの少なくとも上方を覆うことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記テールパイプは、前記脱穀部に支持され、
前記遮蔽部材の前記テールパイプを覆う部分は、前記テールパイプに支持されていることを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記遮蔽部材は、
前記排気ガス浄化装置と前記テールパイプの少なくとも上方とを覆う外側遮蔽部材と、
前記外側遮蔽部材の内側に設けられ、前記テールパイプの少なくとも上方を覆う内側遮蔽部材と、を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記テールパイプは、前記脱穀部に支持され、
前記内側遮蔽部材は、前記テールパイプに支持されていることを特徴とする請求項5に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記貯留部と前記テールパイプとの間に設けられ、前記脱穀部から前記貯留部へ穀粒を搬送する穀粒搬送装置を備え、
前記遮蔽部材の前記穀粒搬送装置と対向する部分が切り欠かれていることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項8】
圧力又は温度を検知するセンサーと、
前記脱穀部に支持され、前記排気ガス浄化装置に接触しない位置で前記センサーを保持するセンサー保持部材と、を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインの一形態として、機体フレームの前部に刈取部を備え、刈取部の後方に脱穀部と貯留部を備えたものが知られている。脱穀部と貯留部は左右に隣接して設けられ、刈取部と貯留部の間に操縦部が設けられる。操縦部の下方にはエンジンが設けられ、エンジンから発生する排気ガスは、脱穀部と貯留部の間を通る排気管によって後方に排出される。
【0003】
排気管には、排気ガスに含まれる粒子状物質を除去するフィルター等を備えた排気ガス浄化装置が設けられているが、排気ガス浄化装置の内部には高温の排気ガスが流れるため、排気ガス浄化装置の表面温度も数百℃の高温となる。そのため、刈取部から脱穀部へ搬送される穀稈から飛散した塵埃が排気ガス浄化装置やその近傍に堆積した場合、塵埃を除去する作業に細心の注意が必要となり、作業者の負担が大きくなってしまう。
【0004】
そこで、従来、排気ガス浄化装置への塵埃の付着を抑制する技術が検討されている。例えば、特許文献1では、排気ガス浄化装置にカバー部材(遮蔽部材)を被せることが提案されている。安全性と通気性の両立のために、カバー部材は、排気ガス浄化装置の前方側に設けられた第1開口と、排気ガス浄化装置の脱穀部側に設けられた第2開口とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された構成では、第1開口と第2開口を介して遮蔽部材の内部へ塵埃が入り込み、排気ガス浄化装置に付着する可能性がある。付着した塵埃を除去するには、遮蔽部材の下方からの作業、又は、遮蔽部材を取り外しての作業を要するため、従来よりも手間がかかってしまう。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮し、排気ガス浄化装置への塵埃の進入を抑制することのできるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るコンバインは、左右方向の一側に設けられた脱穀部と、左右方向の他側に設けられた貯留部と、前記貯留部の前方に設けられたエンジンと、前記脱穀部と前記貯留部との間に設けられた排気ガス浄化装置と、前記排気ガス浄化装置の上方と左右の側方とを覆う遮蔽部材と、を備える。
【0009】
前記遮蔽部材の前記脱穀部側の側方を覆う部分は、前記脱穀部の外面に接合されていてもよい。
【0010】
前記コンバインは、前記排気ガス浄化装置の後端部に接続されたテールパイプを備え、前記遮蔽部材は、前記テールパイプの少なくとも上方を覆っていてもよい。
【0011】
前記テールパイプは、前記脱穀部に支持され、前記遮蔽部材の前記テールパイプを覆う部分は、前記テールパイプに支持されていてもよい。
【0012】
前記遮蔽部材は、前記排気ガス浄化装置と前記テールパイプの少なくとも上方とを覆う外側遮蔽部材と、前記外側遮蔽部材の内側に設けられ、前記テールパイプの少なくとも上方を覆う内側遮蔽部材と、を含んでいてもよい。
【0013】
前記テールパイプは、前記脱穀部に支持され、前記内側遮蔽部材は、前記テールパイプに支持されていてもよい。
【0014】
前記コンバインは、前記貯留部と前記テールパイプとの間に設けられ、前記脱穀部から前記貯留部へ穀粒を搬送する穀粒搬送装置を備え、前記遮蔽部材の前記穀粒搬送装置と対向する部分が切り欠かれていてもよい。
【0015】
前記コンバインは、圧力又は温度を検知するセンサーと、前記脱穀部に支持され、前記排気ガス浄化装置に接触しない位置で前記センサーを保持するセンサー保持部材と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、排気ガス浄化装置への塵埃の進入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの外観を示す左側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコンバインの外観を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置、エンジン、脱穀部、貯留部を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る排気ガス浄化装置、エンジン、脱穀部を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る貯留部を示す斜視図である。
【
図6】遮蔽部材が設けられた排気ガス浄化装置を示す斜視図である。
【
図9】脱穀部に支持された排気ガス浄化装置と遮蔽部材を示す斜視図である。
【
図10】
図9から外側遮蔽部材(脱穀部側遮蔽部材、貯留部側遮蔽部材)、前方遮蔽部材を除いた斜視図である。
【
図13】脱穀部に支持された排気ガス浄化装置と遮蔽部材を示す斜視図である。
【
図16】遮蔽部材が設けられた排気ガス浄化装置を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るコンバイン1について説明する。
【0019】
[コンバインの概要]
最初に、コンバイン1の概要について説明する。
図1は、コンバイン1の外観を示す左側面図である。
図2は、コンバイン1の外観を示す平面図である。
図3は、排気ガス浄化装置32、エンジン27、脱穀部4、貯留部6を示す平面図である。
図4は、排気ガス浄化装置32、エンジン27、脱穀部4を示す斜視図である。
図5は、貯留部6を示す斜視図である。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0020】
コンバイン1(
図1、2参照)は、走行部2と、刈取部3と、脱穀部4と、選別部5と、貯留部6と、動力部8と、操縦部9と、を備えている。コンバイン1は、走行部2によって走行しながら、刈取部3で刈り取った穀稈を脱穀部4で脱穀し、選別部5で穀粒を選別して貯留部6に貯える。コンバイン1は、動力部8から供給された動力によって、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5及び貯留部6を駆動する。なお、本実施形態では、普通型コンバインの例を用いて説明するが、自脱型コンバインに本発明が適用されてもよい。
【0021】
走行部2は、機体フレーム10の下方に設けられている。刈取部3は、機体フレーム10の前方に設けられている。脱穀部4、選別部5、貯留部6、動力部8及び操縦部9は、機体フレーム10の上方に設けられている。
【0022】
走行部2は、機体フレーム10の下方に設けられた左右一対のクローラ式走行装置11を備えている。クローラ式走行装置11は、動力部8が発生する動力によって回転する。左右のクローラ式走行装置11の回転駆動が独立制御されることで、前進、後進及び旋回を行う。
【0023】
刈取部3(
図1参照)は、走行部2の前方に設けられている。刈取部3は、リール13と、カッター14と、オーガ15と、コンベア16と、を有する。リール13は、回転することによって圃場の穀稈をカッター14へ案内する。カッター14は、リール13によって案内された穀稈を切断する。オーガ15は、カッター14によって切断された穀稈をコンベア16に集合させる。コンベア16は、オーガ15によって集合させた穀稈を脱穀部4へ搬送する。
【0024】
脱穀部4(
図2、3参照)は、刈取部3の後方、且つ、左右方向の一方側(本実施形態では、左側)に配置されている。脱穀部4(
図4参照)は、脱穀機枠81と、ローターカバー82と、を備える。脱穀機枠81は、上部が開口した箱状をなしている。脱穀機枠81は、扱胴19と、受網20と、を収容する(
図1参照)。ローターカバー82は、前後方向から見た断面が台形をなしている。ローターカバー82は、脱穀機枠81の上部を塞ぐ。扱胴19は、回転することによって穀稈を脱穀しながら後方へ搬送する。受網20は、扱胴19によって搬送される穀稈を支持するとともに、脱穀処理物を選別部5へ落下させる。
【0025】
ローターカバー82(
図4参照)の右下部には、段部83と、リップ部84と、が設けられている。段部83は、ローターカバー82の右側の斜面の下端部から右方に突出した水平部と、水平部の右端部から下方に突出した垂直部と、を備える。この例では、2つの段部83が設けられているが、1つまたは3つ以上の段部83が設けられていてもよい。リップ部84は、段部83の下端部から右方に突出している。
【0026】
選別部5(
図1参照)は、脱穀部4の下方に設けられている。選別部5は、揺動選別装置21と、風選別装置22と、を備える。揺動選別装置21は、揺動するふるいを備え、脱穀部4から落下した脱穀物を穀粒と藁屑等に選別する。風選別装置22は、揺動選別装置21によって選別された脱穀物に含まれる藁屑等の夾雑物を吹き飛ばす。夾雑物は、選別部5の後方に設けられた排出口(図示省略)から外部へ排出される。
【0027】
貯留部6(
図1乃至3、5参照)は、脱穀部4の右方に設けられている。貯留部6は、穀粒搬送装置91と、グレンタンク24と、排出装置25と、を備えている。穀粒搬送装置91は、揺動選別装置21及び風選別装置22によって選別された穀粒をグレンタンク24へ搬送する。グレンタンク24は、穀粒搬送装置91によって搬送された穀粒を貯留する。排出装置25は、グレンタンク24に貯留されている穀粒を任意の場所に排出する。
【0028】
穀粒搬送装置91(
図5参照)は、スクリュー式、バケット式等のコンベア(図示省略)と、コンベアを収容するケーシング92と、を備える。ケーシング92は、上下方向を長手方向とする筒状をなし、下端部を選別部5に、上端部をグレンタンク24に接続されている。本実施形態では、コンベアがスクリュー式である例を示すため、ケーシング92は円筒形である。コンベアがバケット式の場合、ケーシング92は直方体状である。
【0029】
排出装置25(
図1,2参照)は、上下方向を長手方向とする縦筒部251と、水平方向を長手方向とする横筒部252と、を備える。縦筒部251の下端部は、グレンタンク24に接続されている。縦筒部251の上端部には、横筒部252の一端部が接続されている。縦筒部251と横筒部252の内部には、オーガ(図示省略)が設けられている。排出装置25は、縦筒部251を軸として旋回可能である。また、グレンタンク24は、
図2の二点鎖線で示されるように、縦筒部251を中心として左右方向に旋回可能である。グレンタンク24を右方へ旋回させることで、メンテナンスの作業性が向上する。
【0030】
動力部8(
図1、3参照)は、走行部2の前側上方、且つ、貯留部6の前方に設けられている。動力部8は、動力を発生させるエンジン27を備えている。エンジン27は、例えば、ディーゼルエンジンである。動力部8は、エンジン27が発生させた動力を、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、貯留部6に伝達する。
【0031】
操縦部9(
図1、2参照)は、動力部8の上方に設けられている。操縦部9は、運転席と、タッチパネルを備える端末と、複数の操作部と、を備えている(図示省略)。端末は、画像等を表示する表示部と、コンバイン1に対する操作を受け付ける操作部と、を兼ねる。複数の操作部は、運転席に着座した作業者によって操作されるものであり、コンバイン1の操向を操作するハンドル、エンジン27の回転速度(コンバイン1の走行速度)を調整するアクセル、刈取部3を昇降させる昇降スイッチ等を含んでいる。
【0032】
次に、排気ガス浄化装置32と遮蔽部材51について説明する(
図3乃至16参照)。
図6は、遮蔽部材51が設けられた排気ガス浄化装置32を示す斜視図である。
図7は、
図6から遮蔽部材51を除いた斜視図である。
図8は、遮蔽部材51を示す分解図である。
図9は、脱穀部4に支持された排気ガス浄化装置32と遮蔽部材51を示す斜視図である。
図10は、
図9から外側遮蔽部材(脱穀部側遮蔽部材52、貯留部側遮蔽部材53)、前方遮蔽部材56を除いた斜視図である。
図11は、
図10から内側遮蔽部材57を除いた斜視図である。
図12は、第2連結部材72を示す斜視図である。
図13は、脱穀部4に支持された排気ガス浄化装置32と遮蔽部材51を示す斜視図である。
図14は、テールパイプ41を示す斜視図である。
図15は、内側遮蔽部材57を示す斜視図である。
図16は、遮蔽部材51が設けられた排気ガス浄化装置32を示す背面図である。
【0033】
コンバイン1は、左右方向の一側に設けられた脱穀部4と、左右方向の他側に設けられた貯留部6と、貯留部6の前方に設けられたエンジン27と、脱穀部4と貯留部6との間に設けられた排気ガス浄化装置32と、排気ガス浄化装置32の上方と左右の側方とを覆う遮蔽部材51と、を備える。具体的には、以下のとおりである。なお、脱穀部4、貯留部6については前述のとおりである。以下では、主に、エンジン27、排気ガス浄化装置32、遮蔽部材51について説明する。
【0034】
[エンジン]
エンジン27(
図4参照)は、クランクケース27C、シリンダブロック27B、シリンダヘッド27H、排気マニホールド27Eを備える。排気マニホールド27Eには、排気管31が接続されている。排気管31は、エンジン27から発生する排気ガスを排気ガス浄化装置32に導く。エンジン27と貯留部6との間には、エンジンルームフレーム37が設けられている。エンジンルームフレーム37は、エンジン27を収容するエンジンルームの一部分である。エンジンルームフレーム37は、柱状、梁状、板状等の部材を組み合わせて形成されている。エンジンルームフレーム37は、エンジン27と貯留部6とを隔てる隔壁の機能に加えて、排気ガス浄化装置32と遮蔽部材51を支持する機能を兼ね備える。
【0035】
[排気ガス浄化装置]
排気ガス浄化装置32(
図3、4参照)は、左右方向において、脱穀部4と貯留部6との間に設けられている。また、排気ガス浄化装置32は、前後方向において、エンジン27と穀粒搬送装置91との間に設けられている。また、排気ガス浄化装置32は、上下方向において、エンジン27よりも上方に設けられている。
【0036】
排気ガス浄化装置32(
図7、11参照)は、DPF(Diesel Particulate Filter、図示省略)を収容する円筒形のハウジング33を備える。ハウジング33は、前後方向を長手方向として配置されている。ハウジング33の後部には、ハウジング33の外周面から全周にわたって径方向に突出したフランジ部34が設けられている。ハウジング33の前側の底部には、排気管31が接続されている。ハウジング33の後端部には、テールパイプ41が接続されている。
【0037】
エンジン27から発生した排気ガスは、排気管31によって排気ガス浄化装置32に導かれる。DPFは、排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集することで、排気ガスを浄化する。浄化された排気ガスは、テールパイプ41によって大気中に排出される。
【0038】
フランジ部34には、ハウジング後部支持部材36(
図9、10、11、13)がボルトを用いて結合されている。ハウジング後部支持部材36は、第1連結部材71によって脱穀機枠81に連結されている。また、ハウジング33の前端部は、ハウジング前部第1支持部材35とハウジング前部第2支持部材38と(
図6、8参照)によってエンジンルームフレーム37(
図4参照)に連結されている。すなわち、ハウジング33は、脱穀機枠81とエンジンルームフレーム37によって支持されている。
【0039】
ハウジング後部支持部材36は、前後方向に対して垂直な垂直部と、垂直部の下端部から後方に折り曲げられた水平部と、を有する板状の部材である。第1連結部材71は、水平部と、水平部の後端部から上方に折り曲げられた垂直部と、を有する板状の部材である。第1連結部材71の左端部が脱穀機枠81に溶接によって結合されている。ハウジング後部支持部材36の水平部が第1連結部材71の水平部にボルトを用いて結合されている。
【0040】
ハウジング前部第1支持部材35及びハウジング前部第2支持部材38は、前後方向に対して垂直な垂直部と、垂直部の下端部から前方に折り曲げられた水平部と、を有する板状の部材である。ハウジング前部第1支持部材35の垂直部がハウジング33の前端面にボルト(図示省略)を用いて結合されている。ハウジング前部第1支持部材35の水平部とハウジング前部第2支持部材38の水平部が、ボルト(図示省略)を用いて結合されている。ハウジング前部第2支持部材38の水平部がエンジンルームフレーム37にボルト(図示省略)を用いて結合されている。
【0041】
テールパイプ41(
図14参照)は、外管42と、外管42よりも小径の内管45と、を備える。内管45は、外管42の内部に収容されている。内管45の前端部は、外管42の前端部よりも前方に突出している。内管45は、ハウジング33の後端部に設けられた排気口33E(
図16参照)に接続されている。内管45の外周面と外管42の内周面との間には間隙が設けられている。排気ガスの排出時に内管45と外管42との間隙から外気が導入されることで、排気ガスとテールパイプ41が冷却される。
【0042】
テールパイプ41の外管42は、前後方向に沿う直管部と、直管部の後端部から左上方に湾曲した湾曲部と、を備える。直管部の下部には、直管部の前部を支持するテールパイプ前部支持部材43と、直管部の後部を支持するテールパイプ後部支持部材44と、が溶接されている。テールパイプ前部支持部材43は、第1連結部材71によって脱穀機枠81に連結されている。テールパイプ後部支持部材44は、第2連結部材72によって脱穀機枠81に連結されている。すなわち、テールパイプ41は、脱穀部4によって支持されている。
【0043】
テールパイプ前部支持部材43は、前後方向に対して垂直な垂直部と、垂直部の左右の端部から後方に折り曲げられた側部と、を有する板状の部材である。テールパイプ前部支持部材43の垂直部が第1連結部材71の垂直部にボルトを用いて連結されている。
【0044】
テールパイプ後部支持部材44は、前後方向に対して垂直な垂直部と、垂直部の左右の端部から後方に折り曲げられた側部と、垂直部の下端部から後方に折り曲げられた水平部と、を有する板状の部材である。第2連結部材72(
図12参照)は、水平部73と、水平部73の前後の端部から上方に折り曲げられた垂直部74と、を有する板状の部材である。第2連結部材72の水平部73の左端部がローターカバー82のリップ部84にボルトを用いて結合されている。テールパイプ後部支持部材44の水平部が第2連結部材72の水平部73にボルトを用いて結合されている。
【0045】
第2連結部材72の水平部73の右端部には、穀粒搬送装置91のケーシング92の外周面に沿う円弧状に切り欠かれた切欠部77が設けられている。貯留部6が
図2の実線の位置にあるに、ケーシング92が切欠部77に収容される。
【0046】
第2連結部材72の水平部73の左端部側には、前後方向を長手方向とする長孔75が設けられている。第2連結部材72は、長孔75を介してリップ部84にボルトを用いて結合されている。そのため、第2連結部材72は、リップ部84に対して前後方向に位置の調整が可能である。
【0047】
第2連結部材72の水平部73の中央部には、前後方向を長手方向とする長孔76が設けられている。テールパイプ後部支持部材44の水平部は、長孔76を介して第2連結部材72の水平部73にボルトを用いて結合されている。そのため、第2連結部材72は、テールパイプ後部支持部材44に対して前後方向に位置の調整が可能である。
【0048】
このように、第2連結部材72がリップ部84及びテールパイプ後部支持部材44に対して前後方向に位置の調整が可能であるため、ケーシング92やテールパイプ41に余計な荷重が作用しないようにすることができる。また、経年変化等によって脱穀部4と貯留部6との位置関係が相対的にずれた場合であっても、第2連結部材72の前後方向の位置を調整することで、ケーシング92やテールパイプ41を保護することができる。
【0049】
[遮蔽部材]
遮蔽部材51(
図6乃至11、13、16参照)は、脱穀部側遮蔽部材52と、貯留部側遮蔽部材53と、前方遮蔽部材56と、内側遮蔽部材57と、を含む。脱穀部側遮蔽部材52と貯留部側遮蔽部材53は、外側遮蔽部材の一例である。遮蔽部材51は、板状の金属、樹脂等の部材を用いて形成されている。
【0050】
脱穀部側遮蔽部材52は、排気ガス浄化装置32の脱穀部4側の側方と上方とを覆う。脱穀部側遮蔽部材52は、開口部を備えていない。脱穀部側遮蔽部材52は、左右方向に対して垂直な側部と、側部の上端部から右上方に傾斜した傾斜部と、を有する。傾斜部の上端部は、ハウジング33の真上まで達している。脱穀部側遮蔽部材52は、ハウジング33の前端部からテールパイプ41の直管部にわたる範囲に設けられている。脱穀部側遮蔽部材52の側部の下端部は、ローターカバー82の段部83に接合されている(
図16参照)。すなわち、脱穀部側遮蔽部材52は、脱穀部4によって支持されている。脱穀部側遮蔽部材52の側部の下端部とローターカバー82の段部83との間には、塵埃が進入可能な隙間が存在しない。塵埃は、ローターカバー82と脱穀部側遮蔽部材52とで形成された谷状の空間に堆積するため、容易に除去することができる。なお、脱穀部側遮蔽部材52の側部の下端部は、ローターカバー82のリップ部84に接合されていてもよい。
【0051】
貯留部側遮蔽部材53は、排気ガス浄化装置32の貯留部6側の側方と上方とを覆う。貯留部側遮蔽部材53は、左右方向に対して垂直な側部と、側部の上端部から左上方に傾斜した傾斜部と、を有する。傾斜部の上端部は、ハウジング33の真上まで達している。貯留部側遮蔽部材53は、ハウジング33の前端部から後端部にわたる範囲に設けられている。換言すれば、遮蔽部材51は、穀粒搬送装置91と対向する部分が切り欠かれている。そのため、遮蔽部材51は、穀粒搬送装置91に干渉しない。
【0052】
貯留部側遮蔽部材53は、前部フレーム54と後部フレーム55によって支持されている。前部フレーム54、後部フレーム55は、貯留部側遮蔽部材53の内面に沿う形状の帯状の部材である。前部フレーム54、後部フレーム55は、貯留部側遮蔽部材53と溶接により一体化されている。前部フレーム54の下端部は、ハウジング前部第1支持部材35に結合されている。後部フレーム55の下端部は、ハウジング33のフランジ部34に結合されている。すなわち、貯留部側遮蔽部材53は、エンジンルームフレーム37と脱穀部4によって支持されている。前部フレーム54の上端部及び後部フレーム55の上端部は、脱穀部側遮蔽部材52の傾斜部に結合されている。従って、脱穀部側遮蔽部材52と貯留部側遮蔽部材53とは、全体としてアーチ状の構造を有している。
【0053】
前方遮蔽部材56(
図8参照)は、排気ガス浄化装置32の前方を覆う。前方遮蔽部材56は、ハウジング33の前端面に対向している。前方遮蔽部材56は、開口部を備えていない。前方遮蔽部材56の下部は、ハウジング前部第1支持部材35に結合されている。すなわち、前方遮蔽部材56は、エンジンルームフレーム37によって支持されている。前方遮蔽部材56とハウジング33との間には、遮熱板561が設けられている。前方遮蔽部材56と遮熱板561との間には、断熱材562が設けられている。貯留部側前方遮蔽部材563は、前方遮蔽部材56と貯留部側遮蔽部材53とに沿う形状を有し、前方遮蔽部材56と貯留部側遮蔽部材53との継目を覆っている。
【0054】
テールパイプ41とハウジング33との接続部付近は最も温度が高くなるため、接続部付近においては、外側遮蔽部材(脱穀部側遮蔽部材52、貯留部側遮蔽部材53)への熱の伝達を減らすために、外側遮蔽部材の内側に内側遮蔽部材57が設けられている(
図7、10、15、16参照)。内側遮蔽部材57は、ハウジング33と同心円状に湾曲した板状の部材である。内側遮蔽部材57の内径は、ハウジング33の外径よりも若干大きい。内側遮蔽部材57の前端部は、ハウジング33の後端部よりも前方に位置することが望ましい。内側遮蔽部材57の後端部は、テールパイプ41の外管42の前端部よりも後方に位置することが望ましい。
【0055】
内側遮蔽部材57(
図16参照)は、周方向において、少なくとも外側遮蔽部材に対応する範囲に設けられている。換言すれば、内側遮蔽部材57は、周方向において、外側遮蔽部材よりも広い範囲に設けられている。具体的には、脱穀部4側では、内側遮蔽部材57の下端部は脱穀部側遮蔽部材52の下端部よりも下方に位置している。貯留部6側では、内側遮蔽部材57の下端部は貯留部側遮蔽部材53の下端部よりも下方に位置している。
【0056】
内側遮蔽部材57には、内側遮蔽部材57の内面から突出したステー58が設けられている。この例では、テールパイプ41の中心から見て上方、左方、右方の3箇所にステー58が設けられている。テールパイプ41(
図14参照)には、内側遮蔽部材57のステー58に対応する位置に、内管45の外面から突出したステー46が設けられている。内側遮蔽部材57のステー58がテールパイプ41のステー46にボルトを用いて結合される。内側遮蔽部材57は、ハウジング33の表面に接触しないように配置されている。内側遮蔽部材57とハウジング33の表面との間には、所定範囲の間隙が確保されている。
【0057】
[センサー]
センサー保持部材63は、脱穀部側遮蔽部材52の内面に沿う形状を有する棒状の部材である。センサー保持部材63は、前後方向において後部フレーム55に対応する位置に設けられている。センサー保持部材63の下端部は、ローターカバー82の段部83に結合されている。センサー保持部材63は、脱穀部側遮蔽部材52及びハウジング33に接触していない。センサー保持部材63の上端部は、板状のステー接続部64を介して後部フレーム55の上部に結合されている。すなわち、センサー保持部材63と後部フレーム55とは、全体としてアーチ状の構造を有している。
【0058】
センサー保持部材63の上部には、板状のセンサープレート62が設けられている。センサープレート62には、センサー61が取り付けられている。ハウジング33には、DPFの圧力、温度等を検知する検知素子(図示省略)が設けられている。センサー61と検知素子とは信号線(図示省略)で接続されている。検知素子は、検知した圧力、温度等を表す信号をセンサー61に出力する。センサー61は、検知素子が出力した信号を増幅してECU(Engine Control Unit、図示省略)に送信する。センサー61及びセンサープレート62は、ハウジング33、脱穀部側遮蔽部材52及び貯留部側遮蔽部材53に接触していない。
【0059】
以上説明した本実施形態に係るコンバイン1によれば、左右方向の一側に設けられた脱穀部4と、左右方向の他側に設けられた貯留部6と、貯留部6の前方に設けられたエンジン27と、脱穀部4と貯留部6との間に設けられた排気ガス浄化装置32と、排気ガス浄化装置32の上方と左右の側方とを覆う遮蔽部材51と、を備える。この構成によれば、遮蔽部材51が脱穀部4側の側方に開口部を備えている場合と比べて、排気ガス浄化装置32への塵埃の進入を抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態に係るコンバイン1によれば、遮蔽部材51の脱穀部4側の側方を覆う部分は、脱穀部4の外面に接合されている。この構成によれば、遮蔽部材51と脱穀部4との隙間からの塵埃の進入を抑制することができる。また、遮蔽部材51と脱穀部4との間に塵埃がたまるから、塵埃を容易に除去することができる。
【0061】
また、本実施形態に係るコンバイン1によれば、排気ガス浄化装置32の後端部に接続されたテールパイプ41を備え、遮蔽部材51は、テールパイプ41の少なくとも上方を覆う。この構成によれば、テールパイプ41への塵埃の付着、及び、後方からの排気ガス浄化装置32への塵埃の進入を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態に係るコンバイン1によれば、テールパイプ41は、脱穀部4に支持され、遮蔽部材51のテールパイプ41を覆う部分(内側遮蔽部材57)は、テールパイプ41に支持されている。この構成によれば、テールパイプ41及び排気ガス浄化装置32と遮蔽部材51との間隔を適正に保つことができる。
【0063】
また、本実施形態に係るコンバイン1によれば、遮蔽部材51は、排気ガス浄化装置32とテールパイプ41の少なくとも上方とを覆う外側遮蔽部材(脱穀部側遮蔽部材52、貯留部側遮蔽部材53)と、外側遮蔽部材の内側に設けられ、テールパイプ41の少なくとも上方を覆う内側遮蔽部材57と、を含む。この構成によれば、テールパイプ41から外側遮蔽部材に熱が伝わりにくくすることができる。また、排気ガス浄化装置32の後方からの塵埃の進入をさらに抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るコンバイン1によれば、テールパイプ41は、脱穀部4に支持され、内側遮蔽部材57は、テールパイプ41に支持されている。この構成によれば、テールパイプ41及び排気ガス浄化装置32と内側遮蔽部材57との間隔を適正に保つことができる。
【0065】
また、本実施形態に係るコンバイン1によれば、貯留部6とテールパイプ41との間に設けられ、脱穀部4から貯留部6へ穀粒を搬送する穀粒搬送装置91を備え、遮蔽部材51の穀粒搬送装置91と対向する部分が切り欠かれている。この構成によれば、遮蔽部材51と穀粒搬送装置91との干渉が避けられるから、コンバイン1の左右方向の幅を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るコンバイン1によれば、圧力又は温度を検知するセンサー61と、脱穀部4に支持され、排気ガス浄化装置32に接触しない位置でセンサー61を保持するセンサー保持部材63と、を備える。この構成によれば、センサー61が排気ガス浄化装置32に接触している場合と比べて、排気ガス浄化装置32の熱がセンサー61に伝わりにくくなるため、熱によるセンサー61の精度の低下が抑制される。従来は、遮蔽部材51に開口部を設けて外気を導入することでセンサー61の温度上昇を抑制していたが、本実施形態では遮蔽部材51に開口部を設ける必要がないため、遮蔽部材51の内側への塵埃の進入を抑制することができる。
【0067】
上記実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0068】
上記実施形態では、脱穀部側遮蔽部材52がハウジング33の前端部からテールパイプ41の直管部にわたる範囲に設けられている例が示されたが、脱穀部側遮蔽部材52は、ハウジング33の前端部からテールパイプ41の全部にわたる範囲に設けられていてもよい。この構成によれば、テールパイプ41への塵埃の付着、及び、後方からの排気ガス浄化装置32への塵埃の進入をさらに抑制することができる。
【0069】
上記実施形態では、内側遮蔽部材57が設けられている例が示されたが、内側遮蔽部材57は設けられていなくてもよい。その場合、外側遮蔽部材のテールパイプ41を覆う部分がテールパイプ41によって支持されていてもよい。この構成によっても、テールパイプ41及び排気ガス浄化装置32と遮蔽部材51との間隔を適正に保つことができる。
【0070】
上記実施形態では、脱穀部側遮蔽部材52と前方遮蔽部材56とが開口部を備えていない例が示されたが、脱穀部側遮蔽部材52と前方遮蔽部材56とのいずれか一方が開口部を備えていてもよい。この構成によっても、遮蔽部材51が前方と脱穀部4側の側方とに開口部を備えている場合と比べて、排気ガス浄化装置32への塵埃の進入を抑制することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 コンバイン
4 脱穀部
6 貯留部
27 エンジン
32 排気ガス浄化装置
41 テールパイプ
51 遮蔽部材
52 脱穀部側遮蔽部材(外側遮蔽部材)
53 貯留部側遮蔽部材(外側遮蔽部材)
57 内側遮蔽部材
61 センサー
63 センサー保持部材
91 穀粒搬送装置