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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108228
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】丸ノコスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B27B 9/04 20060101AFI20230728BHJP
   B27G 19/04 20060101ALI20230728BHJP
   B23D 45/02 20060101ALI20230728BHJP
   B23D 47/04 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
B27B9/04
B27G19/04 Z
B23D45/02 A
B23D47/04 E
B23D47/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009234
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】522033874
【氏名又は名称】山下 恵美
(71)【出願人】
【識別番号】502052114
【氏名又は名称】株式会社長崎オフィスセンター
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】牧 大介
【テーマコード(参考)】
3C040
【Fターム(参考)】
3C040AA01
3C040BB01
3C040HH12
3C040HH14
(57)【要約】
【課題】加工台上における丸ノコの位置にかかわらず加工精度を高めることのできる丸ノコスライド装置を提供する。
【解決手段】x-y平面に沿って拡がる平面を備える加工台と、それぞれx軸に沿って延び、y軸方向に間隔を空けて配置された一対のガイドレールと、前記ガイドレールそれぞれに設けられた摺動体と、前記ガイドレールそれぞれに設けられた前記摺動体をy軸方向に連結する板状の摺動ステージと、前記ガイドレールの端部側それぞれを支持する一対の支持壁と、を備え、前記支持壁それぞれは、前記第1取付面からz軸方向に所定距離だけ突出した位置に、x-y平面に沿って拡がり、かつ、少なくとも前記ガイドレールの端部側におけるy軸方向の幅よりも広い範囲にわたる平面を、その端部側を支持して取り付けるための第3取付面として備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
x軸およびy軸のなすx-y平面に沿って拡がる平面を、板状の加工対象物を取り付けるための第1取付面として備える加工台と、
前記第1取付面からz軸方向に所定距離だけ離れた領域において、それぞれx軸方向に延び、かつ、y軸方向に間隔を空けて配置された一対のガイドレールと、
前記ガイドレールそれぞれに設けられ、そのガイドレールに沿ってx軸方向へとスライド可能な摺動体と、
前記ガイドレールそれぞれに設けられた前記摺動体をy軸方向に連結し、これら前記摺動体のx軸方向へのスライドを連動させる板状の部材であり、この部材における前記第1取付面と反対側の面が丸ノコを取り付けるための第2取付面となっている摺動ステージと、
前記第1取付面のうち、前記ガイドレールの端部側それぞれが対向する領域からz軸方向に突出してその端部側を支持する一対の支持壁と、を備え、
前記支持壁それぞれは、前記第1取付面からz軸方向に所定距離だけ突出した位置に、x-y平面に沿って拡がり、かつ、少なくとも前記ガイドレールの端部側におけるy軸方向の幅よりも広い範囲にわたる平面を、その端部側を支持して取り付けるための第3取付面として備えており、
前記摺動ステージは、丸ノコをその刃がx軸に沿う向きで前記第2取付面に取り付けた場合に、前記丸ノコの刃に対応する範囲にわたって当該摺動ステージを表裏方向に貫通する貫通孔が形成されている、
丸ノコスライド装置。
【請求項2】
前記摺動体は、前記ガイドレールに沿ってx軸方向に間隔を空けて配置された第1摺動体および第2摺動体で構成され、
前記摺動ステージは、前記第1摺動体および前記第2摺動体をx軸方向に連結する、
請求項1に記載の丸ノコスライド装置。
【請求項3】
前記摺動ステージに沿って拡がる面から前記第1取付面に向けて延びる棒状の部材であり、その先端側が前記第1取付面に接近して加工対象物の表面を押圧する押圧状態と、前記第1取付面から離れて加工対象物の押圧を解除する解除状態と、の間で変位する押圧部材、を備える、
請求項1または請求項2に記載の丸ノコスライド装置。
【請求項4】
前記押圧部材としては、前記摺動ステージに沿って拡がる面のうち、前記貫通孔をy軸方向に挟んだ領域それぞれから延びるものが備えられている、
請求項3に記載の丸ノコスライド装置。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記摺動ステージに沿って拡がる面のうち、丸ノコの刃が回転する方向の下流側の領域から延びるように備えられている、
請求項3または4に記載の丸ノコスライド装置。
【請求項6】
前記押圧部材は、y軸方向に沿って延びる軸体を回転中心に回転するローラが、前記押圧状態において加工対象物の表面に接触する位置関係で備えられている、
請求項3から5のいずれか一項に記載の丸ノコスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸ノコによる加工対象物の加工に際し、この丸ノコによる高精度の加工を支援するためのスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、丸ノコによる加工対象物の加工に際し、この丸ノコによる高精度の加工を支援すべく、スライド装置が用いられている。この種のスライド装置としては、例えば、特定の方向に沿って変位する位置決めガイドを丸ノコに取り付けることにより、この丸ノコの特定方向への変位をガイドする、というものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
このスライド装置では、起立する板状部材(定規板3)から加工台(加工材受定盤1)の表面に沿って延びる一対の棒状部材(丸鋸用加工材幅決めガイド4)で丸ノコを支持し、板状部材に沿った丸ノコのスライドを支援する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-210704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただ、上記スライド装置では、板状部材から延びる一対の棒状部材で丸ノコを支持するという構造上、加工台上における丸ノコの位置によって加工精度を高めにくくなるという課題がある。より具体的にいえば、加工台上で丸ノコを板状部材から離して配置するほど棒状部材の撓みなどの影響を受けやすくなり、想定していた位置関係どおりの加工が行われなくなる懸念がある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、加工台上における丸ノコの位置にかかわらず加工精度を高めることのできる丸ノコスライド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1局面は、x軸およびy軸のなすx-y平面に沿って拡がる平面を、板状の加工対象物を取り付けるための第1取付面として備える加工台と、前記第1取付面からz軸方向に所定距離だけ離れた領域において、それぞれx軸方向に延び、かつ、y軸方向に間隔を空けて配置された一対のガイドレールと、前記ガイドレールそれぞれに設けられ、そのガイドレールに沿ってx軸方向へとスライド可能な摺動体と、前記ガイドレールそれぞれに設けられた前記摺動体をy軸方向に連結し、これら前記摺動体のx軸方向へのスライドを連動させる板状の部材であり、この部材における前記第1取付面と反対側の面が丸ノコを取り付けるための第2取付面となっている摺動ステージと、前記第1取付面のうち、前記ガイドレールの端部側それぞれが対向する領域からz軸方向に突出してその端部側を支持する一対の支持壁と、を備え、前記支持壁それぞれは、前記第1取付面からz軸方向に所定距離だけ突出した位置に、x-y平面に沿って拡がり、かつ、少なくとも前記ガイドレールの端部側におけるy軸方向の幅よりも広い範囲にわたる平面を、その端部側を支持して取り付けるための第3取付面として備えており、前記摺動ステージは、丸ノコをその刃がx軸に沿う向きで前記第2取付面に取り付けた場合に、前記丸ノコの刃に対応する範囲にわたって当該摺動ステージを表裏方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【0008】
この局面の丸ノコスライド装置では、少なくともy軸方向に間隔を空けた2か所で摺動ステージを支持しつつ、この摺動ステージがx軸方向に摺動する構造となっているため、ここに丸ノコを取り付け、この丸ノコのx軸方向への変位をガイドすることによって、丸ノコによる高精度の加工を支援することができる。そして、この丸ノコスライド装置では、摺動ステージを摺動体とともに支持するガイドレールが、支持壁の第3取付面によって支持されている。
【0009】
この第3取付面は、少なくともガイドレール端部側の幅よりも広い範囲にわたる平面であるため、その範囲内で各ガイドレール端部の取付位置を調整することで、摺動ステージに取り付けられる丸ノコと加工台との位置関係を任意に変更することができる。
【0010】
この丸ノコスライド装置では、丸ノコと加工台との位置関係をどのように変更したとしても、構造上、y軸方向に沿って間隔を空けた2個所で摺動ステージを支持することができるため、丸ノコによる高精度の加工を支援できることには変わりない。
【0011】
また、上記局面は以下に示す第2局面のようにしてもよい。
第2局面において、前記摺動体は、前記ガイドレールに沿ってx軸方向に間隔を空けて配置された第1摺動体および第2摺動体で構成され、前記摺動ステージは、前記第1摺動体および前記第2摺動体をx軸方向に連結する。
【0012】
この局面の丸ノコスライド装置では、x軸方向に間隔を空けた2か所、および、y軸方向に間隔を空けた2か所で摺動ステージを支持しつつ、この摺動ステージがx軸方向に摺動する構造となっているため、ここに取り付けた丸ノコの変位をより安定させることができる。
【0013】
また、上記各局面は以下に示す第3局面のようにしてもよい。
第3局面においては、前記摺動ステージに沿って拡がる面から前記第1取付面に向けて延びる棒状の部材であり、その先端側が前記第1取付面に接近して加工対象物の表面を押圧する押圧状態と、前記第1取付面から離れて加工対象物の押圧を解除する解除状態と、の間で変位する押圧部材、を備える。
【0014】
この局面の丸ノコスライド装置では、押圧部材を押圧状態としておくと、丸ノコによる加工対象物の加工に際し、加工対象物を第1取付面側に押さえておくことができるため、丸ノコの刃が加工対象物を意図しない方向に引っ張り、その結果として刃や加工対象物を損傷させてしまうことを抑制できる。
【0015】
この局面は以下に示す第4局面のようにしてもよい。
第4局面において、前記押圧部材としては、前記摺動ステージに沿って拡がる面のうち、前記貫通孔をy軸方向に挟んだ領域それぞれから延びるものが備えられている。
【0016】
この局面の丸ノコスライド装置では、貫通孔をy軸方向に挟んだ領域それぞれ、つまり丸ノコの刃を表裏方向に挟んだ領域それぞれで、加工対象物を第1取付面側に押さえておくことができるため、丸ノコの刃が加工対象物を意図しない方向に引っ張ることをより効果的に抑制できる。
【0017】
また上記第3または第4局面は以下に示す第5局面のようにしてもよい。
第5局面において、前記押圧部材は、前記摺動ステージに沿って拡がる面のうち、丸ノコの刃が回転する方向の下流側の領域から延びるように備えられている。
【0018】
この局面の丸ノコスライド装置では、丸ノコの刃が回転する方向の下流側の領域で、加工対象物の表面を第1取付面側に押さえておくことができる。丸ノコの刃は、その回転する方向の下流側において、加工対象物を第1取付面から離す方向へと押し上げるように作用するため、その下流側の領域で加工対象物を第1取付面側に押さえておくことで、丸ノコの刃が加工対象物を意図しない方向に引っ張られることをより効果的に抑制できる。
【0019】
また、上記第3から第5局面は以下に示す第6局面のようにしてもよい。
第6局面において、前記押圧部材は、y軸方向に沿って延びる軸体を回転中心に回転するローラが、前記押圧状態において加工対象物の表面に接触する位置関係で備えられている。
【0020】
この局面の丸ノコスライド装置では、押圧部材を押圧状態としたときに、この押圧部材に備えられたローラが加工対象物の表面を押えたままで回転するため、押圧状態の押圧部材が摺動ステージの摺動を妨げないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態である丸ノコスライド装置を示す平面図
図2】本発明の一実施形態である丸ノコスライド装置を示す要部正面図
図3】本発明の一実施形態である丸ノコスライド装置を示す要部側面図
図4】本発明の一実施形態における押圧部材の動作を示す要部正面図
図5】本発明の一実施形態における押圧部材を示す要部側面図
図6】本発明の一実施形態において加工対象物を加工する様子を示す要部正面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
丸ノコスライド装置1は、図1図2に示すように、加工対象物100を取り付けるための加工台10と、加工台10に取り付けられた一対のガイドレール20と、ガイドレール20それぞれに設けられた摺動体30と、摺動体30それぞれを連結する板状の摺動ステージ40と、ガイドレール20を支持する一対の支持壁50と、摺動ステージ40から加工台10に向けて延びる棒状の押圧部材60と、を備えている。
【0023】
加工台10は、x軸およびy軸のなすx-y平面に沿って拡がる平面を、板状の加工対象物100を取り付けるための第1取付面11として備える。
【0024】
ガイドレール20は、第1取付面11からz軸方向に所定距離だけ離れた領域において、それぞれx軸方向に延び、かつ、y軸方向に間隔を空けて配置された一対のものが配置されている。本実施形態では、円柱状または円筒状の部材を採用している。
【0025】
このガイドレール20には、図3に示すように、その端部に第3取付面51への取付を行うための取付部材21が備えられており、この取付部材21を介して支持壁50へと取付られる。
【0026】
摺動体30は、ガイドレール20それぞれに設けられ、そのガイドレール20に沿ってx軸方向へとスライド可能な構造体である。本実施形態では、円筒状の部材を通した状態で、この部材の延びる軸線方向に変位可能なリニアブッシュを採用している。
【0027】
また、本実施形態において、摺動体30は、ガイドレール20に沿ってx軸方向に間隔を空けて配置された第1摺動体31および第2摺動体33で構成されている。
【0028】
摺動ステージ40は、ガイドレール20それぞれに設けられた摺動体30をy軸方向に連結し、これら摺動体30のx軸方向へのスライドを連動させる板状の部材であり、この部材における第1取付面11と反対側の面(図2における上面)が丸ノコ200を取り付けるための第2取付面41となっている。
【0029】
この摺動ステージ40は、丸ノコ200をその刃210(の表裏面)がx軸に沿う向きで第2取付面41に取り付けた場合に、刃210に対応する範囲にわたって当該摺動ステージ40を表裏方向(図2における上下)に貫通する貫通孔43が形成されている。
【0030】
また、本実施形態において、摺動ステージ40は、第1摺動体31および第2摺動体33をx軸方向に連結するとともに、ガイドレール20それぞれに設けられた摺動体30同士をy軸方向に連結している。そして、こうして各摺動体を連結する領域に囲まれた領域に丸ノコ200が取り付けられる。
【0031】
また、本実施形態において、摺動ステージ40は、摺動体30をそれぞれの下端面で連結しており、これにより、第2取付面41上に摺動体30が位置した状態となっている。
【0032】
支持壁50は、第1取付面11のうち、ガイドレール20の端部側それぞれが対向する領域からz軸方向に突出してその端部側を支持する一対の壁体である。本実施形態では、ガイドレール20それぞれの一端側を同一の支持壁50で支持し、同様に、その他端側を同一の支持壁50で支持している。
【0033】
この支持壁50それぞれは、第1取付面11からz軸方向に所定距離だけ突出した位置に、x-y平面に沿って拡がり、かつ、少なくともガイドレール20の端部側におけるy軸方向の幅よりも広い範囲にわたる平面を、その端部側を支持して取り付けるための第3取付面51として備えている。
【0034】
本実施形態において、支持壁50は、第1取付面11からz軸方向に所定距離だけ延びる板状の部材であり、その上端面全体がxーy平面に沿って拡がる第3取付面51となっている。
【0035】
押圧部材60は、図4に示すように、摺動ステージ40に沿って拡がる面から第1取付面11に向けて延びる棒状の部材であり、その先端側が第1取付面11に接近して加工対象物100の表面を押圧する押圧状態(同図実線)と、第1取付面11から離れて加工対象物100の押圧を解除する解除状態(同図破線)と、の間で変位するように構成されている。
【0036】
本実施形態において、押圧部材60は、摺動ステージ40裏面に押圧部材60を固定するベース部61と、ベース部61から第1取付面11に向けて延びるアーム部63と、アーム部63の先端に回転可能に取り付けられたローラ65と、を備えている。
【0037】
ここで、ベース部61とアーム部63の末端側とは、y軸方向に延びる軸体67で連結され、この軸体67として、ベース部61に対するアーム部63の回転に抵抗トルクを付与するトルクヒンジが採用されている。これにより、押圧部材60は、アーム部63の先端側を第1取付面11に接近させることで、トルクヒンジに付与される抵抗トルクでもって加工対象物100の表面を押さえることができる(図4の破線矢印参照)。
【0038】
また、ローラ65は、アーム部63の先端側において、y軸方向に沿って延びる軸体を回転中心に回転するものであり、押圧部材60を押圧状態としたときに、加工対象物100の表面に接触する位置関係で備えられている。
【0039】
また、本実施形態においては、図5に示すように、押圧部材60として、摺動ステージ40裏面のうち、貫通孔43をy軸方向に挟んだ領域それぞれから延びるものが2つ備えられている。
【0040】
また、押圧部材60は、摺動ステージ40裏面のうち、丸ノコ200の刃210が回転する方向(図2の破線矢印参照)の下流側の領域(図2における刃210の右寄りの領域)から延びるように備えられている。本実施形態では、摺動ステージ40のうち、刃210が回転する方向の下流側として、第2摺動体33が配置されている領域の裏面に押圧部材60が備えられている。
【0041】
(2)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0042】
例えば、上記実施形態においては、摺動ステージ40が、摺動体30をそれぞれの下端面で連結する構成を例示した。しかし、摺動ステージ40は、摺動体30をそれぞれの上端面で連結する構成としてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、ガイドレール20それぞれの一端側を同一の支持壁50で支持し、その他端側を同一の支持壁50で支持している構成を例示した。しかし、支持壁50は、ガイドレール20ごとに別の壁体として構成してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、押圧部材60が軸体67の抵抗トルクでもって加工対象物100を押圧するように構成されたものを例示した。しかし、押圧部材60としては加工対象物100を押圧できれば、その具体的な構成は上記のものに限られない。例えば、押圧部材60をバネなどの弾性変形可能な部材で構成し、この部材が弾性変形する力でもって加工対象物100を押圧するように構成することが考えられる。
【0045】
(3)作用,効果
上記実施形態の丸ノコスライド装置1では、少なくともy軸方向に間隔を空けた2か所で摺動ステージ40を支持しつつ、この摺動ステージ40がx軸方向に摺動する構造となっているため、ここに丸ノコ200を取り付け、この丸ノコ200のx軸方向への変位をガイドすることによって、丸ノコ200による高精度の加工を支援することができる。そして、この丸ノコスライド装置1では、摺動ステージ40を摺動体30とともに支持するガイドレール20が、支持壁50の第3取付面51によって支持されている。
【0046】
この第3取付面51は、少なくともガイドレール20端部側の幅よりも広い範囲にわたる平面であるため、その範囲内で各ガイドレール20端部の取付位置を調整することで、摺動ステージ40に取り付けられる丸ノコ200と加工台10との位置関係を任意に変更することができる。
【0047】
この丸ノコスライド装置1では、丸ノコ200と加工台10との位置関係をどのように変更したとしても、構造上、y軸方向に沿って間隔を空けた2個所で摺動ステージ40を支持することができるため、丸ノコ200による高精度の加工を支援できることには変わりない。
【0048】
また、上記丸ノコスライド装置1では、x軸方向に間隔を空けた2か所、および、y軸方向に間隔を空けた2か所で摺動ステージ40を支持しつつ、この摺動ステージ40がx軸方向に摺動する構造となっているため、ここに取り付けた丸ノコ200の変位をより安定させることができる。
【0049】
また、上記丸ノコスライド装置1では、図6に示すように、押圧部材60を押圧状態としておくと、丸ノコ200による加工対象物100の加工に際し(換言すると、同図矢印方向へと丸ノコ200を変位させるに際し)、加工対象物100を第1取付面11側に押さえておくことができるため、丸ノコ200の刃210が加工対象物100を意図しない方向に引っ張り、その結果として刃210や加工対象物100を損傷させてしまうことを抑制できる。
【0050】
また、上記丸ノコスライド装置1では、貫通孔43をy軸方向に挟んだ領域それぞれ、つまり丸ノコ200の刃210を表裏方向に挟んだ領域それぞれで、加工対象物100の表面を第1取付面11側に押さえておくことができるため、丸ノコ200の刃210が加工対象物100を意図しない方向に引っ張ることをより効果的に抑制できる。
【0051】
また、上記丸ノコスライド装置1では、丸ノコ200の刃210が回転する方向の下流側の領域で、加工対象物100を第1取付面11側に押さえておくことができる。丸ノコ200の刃210は、その回転する方向の下流側において、加工対象物100を第1取付面11から離す方向へと押し上げるように作用するため、その下流側の領域で加工対象物100を第1取付面11側に押さえておくことで、丸ノコ200の刃210が加工対象物100を意図しない方向に引っ張ることをより効果的に抑制できる。
【0052】
また、この構成では、押圧部材60におけるアーム部63の位置を任意に変更できるため、刃210と加工対象物100との接触と同時またはそれ以前にローラ65と加工対象物100とが接触するよう、位置関係を調整しておくことが望ましい。このような位置関係であれば、刃210が加工対象物100を押し上げる前に、加工対象物100を押えることができ、その結果、刃210が加工対象物100を意図しない方向に引っ張ることを抑制できる。
【0053】
また、上記丸ノコスライド装置1では、押圧部材60を押圧状態としたときに、この押圧部材60に備えられたローラ65が加工対象物100の表面を押えたままで回転するため、押圧状態の押圧部材60が摺動ステージ40の摺動を妨げないようにすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1…丸ノコスライド装置、10…加工台、11…第1取付面、20…ガイドレール、21…取付部材、30…摺動体、40…摺動ステージ、41…第2取付面、43…貫通孔、50…支持壁、51…第3取付面、60…押圧部材、61…ベース部、63…アーム部、65…ローラ、67…軸体、100…加工対象物、200…丸ノコ、210…刃。
図1
図2
図3
図4
図5
図6