(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108270
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】評価方法、評価システム及び評価装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20230728BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009295
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 徹洋
(72)【発明者】
【氏名】村下 君孝
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 渉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】各種コンテンツの提供を受けるユーザの満足度を算出する評価方法、評価システム及び評価装置を提供する。
【解決手段】提供者側システムと視聴者側システムとが、ネットワークを介して接続されている評価システムにおいて、提供者側システムの評価装置22が有する制御部223は、取得部2231、スコア算出部2232、満足度算出部2233、更新部2234、決定部2235、生成部2236及び判定部2237を備える。取得部2231は、コンテンツの提供を受けているユーザの生体情報を取得する。満足度算出部2233は、生体情報に対する統計処理により、コンテンツに対するユーザの満足度を算出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの提供を受けているユーザの生体情報を取得し、
前記生体情報に対する統計処理により、前記コンテンツに対するユーザの満足度を算出する
処理をコンピュータが実行する評価方法。
【請求項2】
前記満足度を算出する処理は、前記生体情報から算出された複数の感情データに基づくスコアと、コンテンツの種別ごとに設定された閾値とを比較することにより、前記満足度を算出する請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
コンテンツの提供を受けたユーザにおける当該コンテンツ提供後の行動に応じて、前記閾値を更新する請求項2に記載の評価方法。
【請求項4】
コンテンツの各場面における前記満足度への貢献度を前記生体情報から算出されたスコアを基に、決定する請求項1に記載の評価方法。
【請求項5】
コンテンツの各場面における前記満足度への貢献度を前記生体情報から算出されたスコア及び前記生体情報が取得されたユーザの属性を基に、決定する請求項1に記載の評価方法。
【請求項6】
コンテンツの各場面に対応付けられた要素における前記満足度への貢献度を、前記生体情報から算出されたスコアを基に、決定する請求項1に記載の評価方法。
【請求項7】
コンテンツの各シナリオに対して設定された感情である設定感情と、前記生体情報に基づき推定された前記設定感情と同じシナリオに対するコンテンツ利用ユーザの感情である推定感情とが合致するか否かを判定する請求項1に記載の評価方法。
【請求項8】
評価装置と、出力装置と、生体センサ装置と、を含む評価システムであって、
前記出力装置は、コンテンツを当該コンテンツの利用ユーザに出力し、
前記生体センサ装置は、コンテンツを利用しているユーザの生体情報を測定し、
前記評価装置は、前記生体センサ装置から前記生体情報を取得し、取得した生体情報に対する統計処理により、利用中のコンテンツに対する当該コンテンツの利用ユーザの満足度を算出する、
評価システム。
【請求項9】
前記評価装置は、
前記生体情報から算出された複数の感情データに基づくスコアに応じて重要場面を決定し、決定した重要場面に応じて構成されるダイジェスト版コンテンツを生成する請求項8に記載の評価システム。
【請求項10】
前記出力装置に出力用コンテンツを提供する提供装置を更に含み、
前記評価装置は、前記生体情報から算出された複数の感情データに基づくスコアに応じて重要場面を決定し、決定した重要場面を示す重要場面情報を提供装置に提供し、
前記提供装置は前記重要場面情報で特定される重要場面に応じて構成されるダイジェスト版コンテンツを生成する請求項8に記載の評価システム。
【請求項11】
前記評価装置は、前記生体情報から算出された複数の感情データに基づくスコアに応じて重要場面を決定して、前記出力装置に当該重要場面を示す重要場面情報を提供し、
前記出力装置は、前記評価装置から提供された重要場面情報に基づき、コンテンツにおける前記重要場面のコンテンツ内容の出力タイミングを通知する請求項8に記載の評価システム。
【請求項12】
コンテンツを評価する処理を行う制御部を備え、
前記制御部は、
コンテンツの提供を受けているコンテンツ利用ユーザの生体情報を取得し、
前記生体情報に対する統計処理により、コンテンツに対するコンテンツ利用ユーザの満足度を算出する評価装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記生体情報から算出された複数の感情データに基づくスコアを算出し、
前記スコアが閾値を超えている場面の割合を基に、コンテンツに対するコンテンツ利用ユーザの満足度を算出する請求項12に記載の評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価方法、評価システム及び評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツ観戦、映像コンテンツ等の娯楽を享受したユーザの、当該娯楽に対する満足度はアンケート等により評価される場合がある。
【0003】
また、アミューズメント施設のアトラクションを利用するユーザの生体情報から満足度を評価する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術には、イベント又は映像コンテンツ等のコンテンツの提供を受けるユーザの満足度を算出することが難しい場合があるという問題がある。
【0006】
例えば、特許文献1に記載の技術は、スポーツ観戦等のイベント又は映像コンテンツの視聴における満足度の算出については考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、各種コンテンツ(イベント(スポーツ、ゲーム(会場等での直接観戦及び配信映像・音声)等)、各種映像・音声等コンテンツ(映画やゲーム等))の提供を受けるユーザの満足度を算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る評価方法は、コンテンツの提供を受けているユーザの生体情報を取得し、生体情報に対する統計処理により、コンテンツに対するユーザの満足度を算出する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各種コンテンツの提供を受けるユーザの満足度を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る評価システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る視聴者側システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る評価装置の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、ターニングポイント情報の例を示す図である。
【
図9】
図9は、満足度算出処理の流れを説明する図である。
【
図10】
図10は、満足率算出処理の流れを説明する図である。
【
図12】
図12は、満足度向上要素決定処理の流れを説明する図である。
【
図16】
図16は、評価システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する評価方法、評価システム及び評価装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
まず、
図1を用いて、実施形態に係る評価システムについて説明する。
図1は、実施形態に係る評価システムの構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、評価システム1は、提供者側システム2及び視聴者側システム3を有する。提供者側システム2と視聴者側システム3は、ネットワークNを介して接続されている。例えば、ネットワークNはインターネット又はイントラネットである。
【0014】
提供者側システム2は、ユーザにコンテンツを提供し、ユーザのコンテンツに対する満足度を評価する。
【0015】
視聴者側システム3は、ユーザ(視聴者)にコンテンツ(画像、音声等)を出力し、満足度の評価に必要な情報を提供者側システム2に送信する。
【0016】
図1に示すように、提供者側システム2は、提供装置21及び評価装置22を有する。また、視聴者側システム3は、出力装置31及び生体センサ装置32を有する。
【0017】
提供装置21は、コンテンツを提供するための装置である。例えば、提供装置21はサーバである。
【0018】
提供装置21は、ネットワークNを介して出力装置31にコンテンツを送信する。例えば、コンテンツは、動画像、音声、又は動画像と音声との組み合わせである。
【0019】
また、コンテンツは、バーチャル空間を用いたXRのコンテンツであってもよい。例えば、コンテンツは、バーチャル空間において動画像及び音声を出力するVRコンテンツである。
【0020】
出力装置31は、提供装置21から提供されたコンテンツを出力する。出力装置31は、液晶等のディスプレイやスピーカ等で構成された画像、音声の出力装置で、画像及び音声を出力することができる。
【0021】
本実施形態では、出力装置31は、VRゴーグル(ヘッドフォン一体型)である。なお、出力装置31は、画像表示及び音声再生機能を備えたパーソナルコンピュータ及びスマートホン等の情報処理装置であってもよい。
【0022】
生体センサ装置32は、コンテンツを視聴するユーザの生体情報を測定する。例えば、生体センサ装置32は、温度センサ、拍動センサ、脳波センサ等で構成され、ユーザの体温、心拍数、脳波のような生体情報を測定する。
【0023】
図2は、実施形態に係る視聴者側システムの使用例を示す図である。
図2に示すように、ユーザはVRゴーグル311等で構成された出力装置31を装着してコンテンツを視聴する。
【0024】
VRゴーグル311は通信インタフェース31aによりネットワークNに接続されており、ネットワークNを介して提供者側システム2の提供装置21から受信した映像コンテンツをユーザに出力する。
【0025】
また、ユーザは、ヘッドギア型の脳波測定装置321、及び温度(体温)センサ、拍動センサを有するリストバンド型のウェアラブル装置322を装着している。脳波測定装置321及びウェアラブル装置322は、生体センサ装置32の例である。脳波測定装置321及びウェアラブル装置322は、通信インタフェース32aによりネットワークNに接続される。
【0026】
脳波測定装置321は、ユーザの脳波を測定し、測定した脳波をネットワークNを介して評価装置22に送信する。また、ウェアラブル装置322は、ユーザの心拍数及び体温を測定し、測定した心拍数及び体温を通信インタフェース32aからネットワークNを介して提供者側システム2の評価装置22に送信する。
【0027】
図3を用いて、評価装置22の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る評価装置の構成例を示す図である。
【0028】
図3に示すように、評価装置22は、通信部221、記憶部222及び制御部223を有する。
【0029】
通信部221は、ネットワークNを介して他の装置との間でデータの通信を行うためのインタフェースである。通信部221は、例えばNIC(Network Interface Card)である。
【0030】
評価装置22の記憶部222及び制御部223は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、入出力ポート等を有するコンピュータや各種の回路により実現される。
【0031】
コンピュータのCPUは、例えばROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部223の取得部2231、スコア算出部2232、満足度算出部2233、更新部2234、決定部2235、生成部2236及び判定部2237として機能する。
【0032】
また、記憶部222は、RAMやフラッシュメモリにより構成される。そして記憶部222には、評価情報テーブル2221、閾値情報テーブル2222、ユーザ情報テーブル2223、ターニングポイント情報テーブル2224及びシナリオ情報テーブル2225等が形成されており、各々、評価情報、閾値情報、ユーザ情報、ターニングポイント情報、及びシナリオ情報が記憶される。
【0033】
なお、評価装置22は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0034】
記憶部222に記憶される各情報について説明する。なお、各情報の使用方法については、制御部223による各処理とともに後述する。
【0035】
評価情報J1は、コンテンツの満足度の評価に関する情報である。
図4の評価情報テーブル2221に示すように、評価情報J1のデータ項目としては、評価情報ID、コンテンツID、ユーザID、時刻、スコア、要素タグがあり、キーコードである評価情報IDデータで示されるデータレコードに各データ項目のデータが記憶される。つまり、評価情報テーブル2221には、評価情報IDデータに関連付けられて、コンテンツIDデータ、ユーザIDデータ、時刻データ、スコアデータ、そして要素タグデータが記憶されている。
【0036】
コンテンツIDは、コンテンツを識別するための情報である。ユーザIDは、ユーザを識別するための情報である。時刻は、コンテンツが開始されてからの経過時間である。スコアは、各時刻における生体情報から算出され評価値である。要素タグは、評価に関係する要素、つまり評価の要因となった対象を識別するための情報である。
【0037】
例えば、コンテンツがスポーツの試合の映像である場合、要素タグが示す要素は、試合に出場する選手等となる。
【0038】
例えば、
図4の例では、評価IDデータ「E001」の評価情報データとして、コンテンツIDデータ「C01」、ユーザIDデータ「U01」、時刻データ「0:02:00」、スコアデータ「0.1」、要素タグデータ「E11」が、評価情報テーブル2221に記憶されていることとなる。つまり、コンテンツID「C01」のコンテンツにおける時刻「0:02:06」の部分に対して、ユーザID「U01」のユーザの評価スコアは「0.1」でその評価要素は「E11」、と言う意味のデータが評価情報テーブル2221に記憶されていることになる。
【0039】
なお、この評価情報テーブル2221には、ユーザがコンテンツを視聴している際に、ユーザの生体信号に基づき各データが、随時、例えば10秒間隔で記憶されることになる。この場合、例えば、時刻は10秒間隔の開始時刻(中間等でも可)、スコアは5秒間の平均値(生体信号の平均値により算出されたスコア、あるいは各計測タイミングでの生体信号値により算出されたスコアの平均スコア等)を採用する。
【0040】
閾値情報テーブル2222は、ユーザの満足判定の閾値に関する情報が記憶されるデータテーブルである。閾値情報は、後述のユーザの生体信号に基づき算出されるスコアデータとの比較により、ユーザが満足状態にあるか判断するための閾値に関する情報である。
【0041】
図5の閾値情報テーブル2222に示すように、閾値情報テーブル2222のデータ項目としては、閾値情報ID、コンテンツ種別ID、コンテンツ種別、閾値、対象コンテンツがあり、キーコードである閾値情報IDデータで示されるデータレコードに各データ項目のデータが記憶される。つまり、閾値情報テーブル2222には、閾値情報IDデータに関連付けられて、コンテンツ種別データと、閾値データが記憶されている。
【0042】
例えば、
図5の例では、閾値情報IDデータ「T001」の閾値情報データとして、コンテンツ種別IDデータ「CK01」、コンテンツ種別データ「スポーツ」、閾値データ「0.7」、対象コンテンツデータ「C01,C02」が、閾値情報テーブル2222に記憶されていることとなる。つまり、種別が「スポーツ」(コンテンツ種別ID「CK01」)であるコンテンツ(種別で特定)、具体的にはコンテンツ「C01」、「C02」(個別に特定)においてユーザの生体信号に基づき算出されるスコアデータが閾値データ「0.7」以上である場合、ユーザは満足していると推定される、と言う意味のデータが閾値情報テーブル2222に記憶されていることになる。これは、例えばビデオゲームではユーザがかなり強く興奮しないと満足しないと言った、コンテンツ種別により満足する刺激等の程度が異なることに基づくものである。
【0043】
なお、閾値情報テーブル2222の各データは、設計者が装置設計時に実験等により適当な閾値データを算出して設定する、ユーザ好み等に応じて設定する等の方法により、評価に先立って、適宜設定される。
【0044】
ユーザ情報テーブル2223は、ユーザのコンテンツに対する満足度を決める要因を解析するためのユーザに関する情報が記憶されるデータテーブルである。
【0045】
図6のユーザ情報テーブル2223に示すように、ユーザ情報テーブル2223のデータ項目としては、ユーザ情報ID、ユーザID、高評価要素(個別)、高評価要素(属性)があり、キーコードであるユーザ情報IDデータで示されるデータレコードに各データ項目のデータが記憶される。つまり、ユーザ情報テーブル2223には、ユーザ情報IDデータに関連付けられて、ユーザID、高評価要素(個別)、高評価要素(属性)が記憶されている。
【0046】
なお、要素はコンテンツを構成する部品的なもので、映像における人物等の物体に限らず景色等も含まれ、また人の発話や動物の鳴き声、あるいは自動車のエンジン音等の物体から発せられる音等も含まれる。分かりやすい例としては、例えばスポーツの試合に出場する選手、映画に登場する人物(実在の演者及び架空のキャラクターを含む)等がある。
【0047】
そして、高評価要素(個別)は、ユーザが高く評価している要素を識別するための情報である。高評価要素(属性)は、ユーザが高く評価している要素の属性を識別するための情報である。
【0048】
例えば、コンテンツがスポーツの試合の映像である場合、高評価要素(個別)は当該ユーザが高く評価している(贔屓の)選手で、高評価要素(属性)は当該ユーザが高く評価している(贔屓の)スポーツチームと言ったものである。
【0049】
図6の記載例では、ユーザ情報テーブル2223におけるユーザ情報IDデータ「U01」には、高評価要素(個別)データ「E12」,「E24」,「E30」、高評価要素(属性)データ「T01」が、記憶されている。
【0050】
なお、これらのデータは、ユーザに対するアンケート調査や、過去のコンテンツ利用履歴や利用コンテンツの評価履歴の解析により取得することができる。
【0051】
ターニングポイント情報テーブル2224は、コンテンツの重要局面、所謂ターニングポイントに関する情報を記憶するデータテーブルである。
【0052】
図7のターニングポイント情報テーブル2224に示すように、ターニングポイント情報テーブル2224のデータ項目としては、ターニングポイントID、コンテンツID、時刻、要素及び貢献度(各要素対応付けて貢献度を記憶)があり、キーコードであるターニングポイントIDデータで示されるデータレコードに各データ項目のデータが記憶される。つまり、ターニングポイント情報テーブル2224には、ターニングポイントIDデータに関連付けられて、コンテンツIDデータ、時刻データ、要素データ及び貢献度データ(さらに各要素データに対応付けて貢献度データが記憶されている)が記憶されている。
【0053】
コンテンツIDデータは、ターニングポイントIDデータで示されるターニングポイントが存在するコンテンツの識別情報である。また、時刻データはターニングポイントが存在するコンテンツにおける当該ターニングポイントの位置(コンテンツ再生始点からの再生時間)データである。そして、要素データは当該ターニングポイントで登場する要素の識別データで、貢献度データは当該ターニングポイントにおいて対応する要素がコンテンツ利用ユーザの満足度に貢献する(影響を与える)寄与度である。
【0054】
例えば、
図7の記載例では、ターニングポイント情報テーブル2224におけるターニングポイントデータ「TP01」のレコードには、時刻「0:02:06」、要素データ「E11」,「E24」,「E30」、各要素データに対応した寄与度データ「0.1」,「0.2」,「0.4」が、記憶されている。
【0055】
シナリオ情報テーブル2225は、コンテンツに設定されたシナリオに関する情報である。
図8に示すシナリオ情報テーブル2225に示すように、シナリオ情報テーブル2225のデータ項目としては、シナリオID、コンテンツID、シナリオ名、時間帯、感情種別及び強度があり、キーコードであるシナリオIDデータで示されるデータレコードに各データ項目のデータが記憶される。つまり、シナリオ情報テーブル2225には、シナリオIDデータに関連付けられて、コンテンツIDデータ、シナリオ名データ、時間帯データ、そして感情種別及び強度データが記憶されている。
【0056】
コンテンツIDは、各シナリオが含まれるコンテンツの識別データである。また、シナリオ名は各シナリオの名称、時間帯データは各シナリオのコンテンツにおける(再生)時間帯である。感情種別及び強度は、シナリオごとに設定された感情の種別、及びその強度である。
【0057】
例えば、
図8のシナリオ情報テーブル2225におけるシナリオIDデータ「SC01」のレコーダには、コンテンツIDデータとして「C12」シナリオ名データとして「プロローグ」、再生時間帯として「0:0:00-0:10:00」、感情データとして「喜」、その強度データとして「中」が記憶されている。つまり、シナリオIDデータ「SC01」で示されるシナリオは、シナリオ名が「プロローグ」で、コンテンツID「C12」のコンテンツにおける「0:0:00-0:10:00」の時間帯のシーンであり(再生等される)、そして、そのシナリオに対して、狙いとして設定された感情は「喜」でその強度は「中」である、と記憶されている。
【0058】
制御部223の各部の処理内容を説明する。以降の説明における取得部2231、スコア算出部2232、満足度算出部2233、更新部2234、決定部2235、生成部2236及び判定部2237による処理の主体は、制御部223と言い換えることができる。
【0059】
取得部2231は、イベント及びコンテンツの提供を受けているユーザの生体情報を取得する。本実施形態においては、生体情報として、心拍数、脳波、音声、表情の情報を取得する。心拍数及び脳波については、
図2で説明した形態により測定することができる。音声については、ユーザがコンテンツを視聴する空間に備えられたマイクロフォンによって収集することができる。また、表情については、ユーザがコンテンツを視聴する空間に備えられたカメラによって撮影された画像を画像認識処理することにより抽出することができる。
【0060】
なお、評価システム1は、コンテンツを視聴しているユーザだけでなく、イベントに参加しているユーザについても満足度の評価を行うことができる。この場合、例えば、イベントがスポーツの試合である場合、ユーザは生体センサ装置32を装着した上で、スポーツの試合が開催されている会場で当該試合を観戦し、そして取得部2231は観戦しているユーザの生体情報をユーザに装着されたセンサから取得する。この場合、ユーザの所有するスマートホン等の携帯端末を処理装置、通信装置等として利用し、携帯端末に接続するためのインタフェース(例えば、Universal Serial Bus)を有する生体センサを携帯端末に接続することにより、生体センサ装置32を実現するのが好ましい。
【0061】
スコア算出部2232は、取得部2231が取得した生体情報に対し解析を行い、ユーザの満足度を示すスコアを随時、例えば所定間隔(10秒間隔)で算出する。本実施形態では、スコア算出部2232は、心拍数、脳波、音声、表情といった生体情報からスコアを算出する。ここで、生体情報からスコアを算出する具体的方法の一例を
図13を用いて、説明する。
図13は、スコアの計算方法の例を示す図である。
【0062】
生体情報から得られる快適度及び覚醒度という指標が知られている(参考文献:坂入 洋右 他、「心理的覚醒度・快適度を測定する二次元気分尺度の開発」(https://ci.nii.ac.jp/naid/40005807982/))。
【0063】
例えば、脳波のβ波がα波に対して相対的に大きい程、覚醒度が高くなる(脳波のβ波がα波に対して相対的に小さい程、覚醒度が低くなる)ことが知られている。また、平均心拍周期の値が大きいほど快適度が大きいと言う研究結果もある。そして、満足度は快適であれば得られ、またその大きさは快適度が大きい程、そして覚醒度が高い程、大きくなると推測できる。従って、脳波センサの出力信号に基づき覚醒度を推定し、また心拍センサの出力信号に基づき快適度を推定して、これらの覚醒度データ、快適度データに基づき満足度を推定できる。
【0064】
具体的には、スコア算出部2232は、取得部2231が取得した脳波データに基づき、所定の演算式、あるいは脳波データと覚醒度との関係を示すデータテーブルを用いる等して覚醒度を算出する。また、スコア算出部2232は、取得部2231が取得した心拍データに基づき、所定の演算式、あるいは心拍データと快適度との関係を示すデータテーブルを用いて快適度を算出する。
【0065】
そして、スコア算出部2232は、算出した快適度及び覚醒度のデータを、X軸を快適度、Y軸を覚醒度とする2次元空間にプロットする。スコア算出部2232は、そのプロット位置から満足度のスコアを算出する。上述のように、満足度は快適であれば得られ、またその大きさは快適度が大きい程、そして覚醒度が高い程大きいと推定できるので、例えば、第1象限にプロットした点が存在する場合において原点からの距離dをスコアとして算出することができる(他の象限は満足度無)。また、第1象限と第4象限を快適度が正であるのでこの象限のプロット位置に応じて快適度のスコアを算出し、第2象限と第3象限を快適度が負であるのでこの象限のプロット位置に応じて不快度(負の快適度)のスコアを算出するようにしてもよい。
【0066】
なお、具体的には、上述の2次元空間を細分化した各領域をデータセルとし、各データセルに快適度のスコアを記憶したデータテーブルを、設計者等が予め作成して、記憶部222記憶しておく。そして、スコア算出部2232は、覚醒度と快適度のプロット位置の領域に対応するデータテーブルのセルに記憶されたデータを快適度のスコアとする処理を行う。
【0067】
なお、スコアの算出を、覚醒度データと快適度データをパラメータとする演算式(設計者等が予め生成しておく)で算出してもよい。
【0068】
また、
図13に示した例では、快適度、覚醒度を通常状態を原点とする正負の値を取る形態(第1象限から第4象限が存在する形態)としたが、解析結果の利用形態等により原点位置を決定することも可能である。例えば、快適度、覚醒度の最低値(不快・非覚醒の最大状態)を原点として、第1象限だけで表現する形態とすれば、正側の値だけで処理、表現できると言ったものにすることも可能となる。さらに、快適度、覚醒度の範囲を限定することにより(上下限を超えるものは上下限値とする、あるいは無効とするなど)、特定の状態のみ、例えば評価がある程度高い状態のみ抽出して解析する、といったこともできる。
【0069】
他、音声あるいは表情でスコアを算出する方法も可能である。具体的には、音声あるいは表情(両方でも可)と評価を学習したモデル、例えば上述の脳波と心拍に基づき算出されたスコアと、音声あるいは表情とを組みとする学習データを用いて予め生成されたモデル、を用いたAI(人工知能)により、検出した音声あるいは表情でスコアを算出する。
【0070】
なお、音声については、ユーザがコンテンツを視聴する空間に備えられたマイクロフォンによって取得することができる。また、表情については、ユーザがコンテンツを視聴する空間に備えられたカメラによって撮影された画像から画像認識によって取得することができる。
【0071】
また、各種医学論文等で既知となっている各種生体信号が示唆する心理・体調状態に基づきスコアを算出(推定)することも可能である。
【0072】
次に、本実施形態におけるコンテンツ再生時の時系列データの取得方法、つまり
図4の評価情報テーブル2221への評価データの蓄積手順について説明する。
【0073】
まず、コンテンツ再生開始時に提供装置21(ユーザIDは提供装置21における視聴者側システム3の接続情報に基づく)は評価装置22(スコア算出部2232)に、コンテンツID及びユーザIDを通知する。また、コンテンツ再生中に提供装置21は評価装置22に、コンテンツの再生位置時刻データ(通常再生状態におけるコンテンツ再生開始からの経過時間として表される)を逐次通知する。さらに、コンテンツ再生中に提供装置21は評価装置22に、コンテンツに含まれるサブ情報(コンテンツの各再生場面(再生時刻)における、特徴・特性等、例えば登場人物や存在する物体、背景の特徴等、各種場面状況等のデータ)を逐次通知する。なお、評価装置22自体が、コンテンツの映像、音声等を解析することにより、コンテンツの各再生場面における、各種特徴・特性等を検出するようにすることも可能である。
【0074】
コンテンツ再生中、取得部2231は生体信号を取得し、スコア算出部2232は所定時間間隔(例えば10秒間隔)で評価スコアを算出する。そして、スコア算出部2232は、評価IDデータを生成し、この評価IDデータを主キーデータとする評価情報テーブル2221のレコードに、当該評価対象に対する、評価スコアデータ、コンテンツIDデータ、ユーザIDデータ、コンテンツの再生位置時刻データ、そしてコンテンツに含まれるサブ情報データに基づく要素タグデータ、とを順次記憶する(後述の
図9のステップS11に該当)。
【0075】
このような処理により、評価情報テーブル2221にコンテンツ再生における評価スコアの時系列データが記憶されることになる。
【0076】
次に評価情報テーブル2221に記憶された評価スコアの時系列データに基づき満足度を算出する方法について説明する。
【0077】
本実施形態において、満足度算出部2233は、生体情報に対する統計処理により、コンテンツに対するユーザの満足度を算出するが、より詳細には、満足度算出部2233は、生体情報から算出されたスコアに基づき、さらにコンテンツの種別の影響も考慮し、満足度を算出する。
【0078】
図9は満足度算出処理の流れを説明する図で、以降、
図9を用いて満足度算出部2233の行う満足度を算出する方法を、具体的に説明する。
【0079】
コンテンツ利用者(視聴者)の満足度を把握したいユーザ等の評価情報利用者が評価対象を選択すると処理が開始される。なお、評価情報利用者は、評価装置22に接続可能な端末装置を用いて、各種操作、評価情報等の確認を行う。この端末装置の構成の図示は省略するが、評価装置22との通信機能、各種情報の報知(表示・音声出力)機能、タッチパネル等の操作機能を持つコンピュータ、スマートホン等で実現できる。
【0080】
具体的には、端末装置は評価装置22の評価情報テーブル2221にアクセスし、満足度算出が可能な対象コンテンツの情報、つまり評価情報が記憶されたコンテンツの情報(選択用)を評価情報利用者に表示する。なお、選択用のコンテンツ情報としては、コンテンツ名称等のコンテンツ識別用の情報とコンテンツ利用者名等の利用者識別データ、コンテンツ利用時間等のデータがあるが、これらは評価情報テーブル2221のデータ、及びコンテンツの提供装置21に基づき得ることができる(評価情報テーブル2221のコンテンツIDデータ、ユーザIDに基づき、提供装置21の持つコンテンツ情報及びコンテンツ利用ユーザ情報を検索して取得)。そして、評価情報利用者が表示された各種情報に基づき評価対象を選択すると、満足度算出部2233は選択された評価対象について、満足度の算出を行う。
【0081】
満足度算出部2233は、評価対象のコンテンツの種別(評価対象のコンテンツIDデータに基づき、提供装置21の持つコンテンツ情報評価対象を検索して取得)に基づき閾値情報テーブル2222を検索し、評価対象コンテンツの種別に応じた閾値を選択取得する(ステップS12)。
【0082】
そして、満足度算出部2233は、評価情報テーブル2221に蓄積された時系列データ及び取得した閾値に基づく統計的処理を施し評価対象の満足度を算出する(ステップS13)。そして、算出した満足度データを記憶部の満足度情報テーブル(図示略)に記憶する。
【0083】
例えば、満足度算出部2233は、コンテンツの提供期間における、スコアが閾値を超えた時間の割合を満足度として算出する。
【0084】
具体的には、
図4に示すような評価対象2221aの満足度を算出する場合、満足度算出部2233は、コンテンツIDデータに基づき提供装置21の持つコンテンツ情報評価対象を検索して、評価対象のコンテンツの種別として「スポーツ(コンテンツ種別ID:CK01)」を取得する。そして、満足度算出部2233は、取得したコンテンツの種別「スポーツ(コンテンツ種別ID:CK01)」に基づき
図5に示す閾値情報テーブル2222を検索し、閾値として「0.7」を取得決定する。
【0085】
次に満足度算出部2233は、評価情報テーブル2221から評価対象の時系列データを順次読み出し、それらの各レコードのスコアデータと決定した閾値「0.7」を比較し、各レコード(対応するコンテンツの時間帯)について満足(スコア0.7以上)、不満足(スコア0.7未満)を判定する。そして、満足度算出部2233は、判定した満足、不満足の時間的割合(コンテンツ全時間に対する満足時間の割合)を満足度として算出する。具体的には、
図4に示した評価対象2221aの場合、満足判定のレコード数は3個(時間では30秒)、満足判定のレコード数は4個(時間では40秒)となり、満足度は 3/(3+4)=0.43 (30秒/(30秒+40秒)=0.43) と算出される。
【0086】
このように、評価装置22は、満足度を算出する処理は、生体情報から算出された複数の感情データに基づくスコアと、コンテンツの種別ごとに設定された閾値とを比較することにより、満足度を算出する。
【0087】
更新部2234は、評価対象のコンテンツの提供を受けた後のユーザの行動に応じて、算出した満足度が妥当かを推定して、コンテンツの種別に設定された閾値を更新する(ステップS14)。つまり、更新部2234は、閾値を学習処理して、より適切な閾値とする。
【0088】
このように、評価装置22は、コンテンツの提供を受けたユーザにおける当該コンテンツ提供後の行動に応じて、閾値を更新する。
【0089】
なお、満足度が妥当かを推定は、更新部2234が算出した評価対象のコンテンツ満足度データ、あるいは評価対象コンテンツの各レコードの評価スコアデータ(より詳細に学習する場合:
図9で表記している方法)を、評価対象のコンテンツ提供後のユーザの行動に応じて統計的処理を施すこと等により実現できる。
【0090】
これは、コンテンツの満足度はその後のコンテンツ利用者の行動に影響を与えると言う現象に基づく満足度閾値の学習処理である。そして、コンテンツの満足度に影響を受けるコンテンツ利用者の行動としては、例えば、コンテンツ利用後に同様(同種)のコンテンツを再度利用したか否か、コンテンツ利用後に関連製品の購入を行ったか否か、等が考えられる。また、例えば、これら再度利用のタイミングや頻度、関連製品の購入における購入金額等は、満足度のレベルを示唆する情報として利用することも可能である。
【0091】
例えば、満足度レベルの定義として、例えば「満足度0.8(以上)」として「コンテンツ提供後の1か月間に提供コンテンツに関連する商品を購入した金額が一定値を越えている」と定義されている場合(あるいは任意ユーザにおける満足度とコンテンツ提供後の行動に関する過去実績に基づき、そのように定義される場合)、新たな類似のコンテンツ提供に対する満足度とその後の行動内容に基づき閾値を増減する。具体的には、スポーツに関する新たなコンテンツ提供に対する満足度が「満足度0.8(以上)」であったが、その後1か月間に当該ユーザが当該スポーツコンテンツに関連する商品を購入しなかった場合は、「満足度0.8(以上)」の評価が高すぎたと推定し、該当の閾値データを高くする(満足度が上がりにくい)変更を行う。逆にスポーツに関する新たなコンテンツ提供に対する満足度が例えば「満足度0.7(0.8未満)」であったが、その後1か月間に当該ユーザが当該スポーツコンテンツに関連する商品を一定金額以上購入した場合は、「満足度0.7」の評価が低すぎたと推定し、該当の閾値データを低くする(満足度が上がりやすい)変更を行う。
【0092】
なお、評価装置22は、必要な情報を他のシステムと連携すること等により入手することができる。例えば、コンテンツの関連商品の購入金額を、EC(電子商取引)サイト又はクレジットカード等のシステムと連携することにより入手することができる。
【0093】
これにより、コンテンツの種別(スポーツ、映画、ビデオゲーム等)に合わせて柔軟に、また精度よく満足度の評価を行うことができるようになる。
【0094】
さらに、満足度算出部2233は、同一コンテンツに対する複数のユーザの満足度から、当該コンテンツに対する満足評価値、例えば満足率を算出することができる。
図10は、満足率算出処理の流れを説明する図である。
【0095】
図10に示す例では、満足度算出部2233は、同一コンテンツを視聴したユーザ数に対する、当該コンテンツに対する満足度が一定値(例えば0.8)を超えたユーザ数の割合を満足率として算出する(ステップS21)。
【0096】
なお、各ユーザの当該コンテンツに対する満足度の平均値を平均満足値として当該コンテンツに対する満足評価値とする等、各種統計処理による値を当該コンテンツに対する満足評価値とすることも可能である。
【0097】
また、上記例では、同一コンテンツに対する満足評価値を算出したが、シリーズのコンテンツ、同種のコンテンツ等の関連コンテンツの満足度データを統計処理して、当該関連コンテンツの対する満足評価値を算出することも可能である。
【0098】
さらに、満足度算出部2233は、満足度を別形態として、コンテンツの価格として算出してもよい。つまり、満足度が高いものは市場価値(価格)が高いものとの思想の基づき、満足度を市場価値(価格)として扱う。
【0099】
具体的には、
図11に示すようにコンテンツの基本価格は、一般的な商品と同様に需給状況、市況、天候等によって別途決定されて、提供装置21に記憶されている(ステップS31)。
【0100】
そして、満足度算出部2233は、当該コンテンツ提供に対するコンテンツ利用ユーザの満足度に応じて当該コンテンツに対する価格の補正値を算出する(ステップS32)。そして、満足度算出部2233は、提供装置21から取得した当該コンテンツの基本価格を算出した補正値で補正し、当該コンテンツ利用ユーザに当該補正価格を提示する。
【0101】
例えば、コンテンツに対する満足度が一定値(例えば0.8)を超える場合は、当該コンテンツ基本価格を10%増加させた価格をコンテンツ提供価格とする。また、満足度が一定値範囲(例えば0.4以上、0.8未満)の場合は、当該コンテンツ基本価格をコンテンツ提供価格とする。
【0102】
コンテンツに対する満足度が一定値(例えば0.4)を超えない場合は、当該コンテンツ基本価格を10%減少させた価格をコンテンツ提供価格とする、と言った価格の提示を行う。
【0103】
なお、価格は、映像コンテンツのダウンロード価格、イベントへの参加費用等に相当する。
【0104】
また、各コンテンツの基本価格を補正する補正価格を、複数ユーザによる各コンテンツ利用に対する満足度の各種統計処理による満足評価値に基づき算出して、各コンテンツの価格に反映させることも適用可能である。この場合、例えば、提供装置21が評価装置22から補正価格情報を取得して基本価格を補正し、当該補正したコンテンツ価格情報をユーザに提供することになる。
【0105】
決定部2235は、評価対象コンテンツにおいて複数の場面の中から、生体情報から算出されたスコア(評価情報テーブル2221から読み出す)を基に、満足度への貢献度が大きい場面を抽出し、重要場面として決定する。この重要場面の決定方法は、例えばスコアが予め設定した貢献度が閾値以上の場面を重要場面として決定する、評価対象コンテンツにおけるスコアが上位所定件数(予め定められた件数)の場面、あるいは上位所定割合(予め定められた件数)の場面を重要場面として決定する。そして、決定部2235は、記憶部222にこれら決定した重要場面の情報を記憶する。
【0106】
このように、評価装置22は、コンテンツの各場面に対応付けられた要素における満足度への貢献度を、生体情報から算出されたスコアを基に、決定する。
【0107】
そして、評価情報の利用者は、記憶部222に記憶された重要場面情報を入手して、重要場面を繋げてダイジェスト版のコンテンツを作成したり、重要場面(ユーザ満足度の高い場面)を解析して新たなコンテンツ作成の参考情報にすることになる。
【0108】
例えば、評価装置22は、生体情報から算出された複数の感情データに基づくスコアに応じて重要場面を決定し、決定した重要場面に応じて構成されるダイジェスト版コンテンツを生成する。
【0109】
また、決定部2235は、満足度への貢献度が最も大きい場面(重要場面)を、ユーザの属性毎に抽出することも可能である。具体的には、属性が同じユーザの同一コンテンツ(あるいは関連コンテンツ)の利用に関する満足度データを選択収集して、上記のような処理により属性が同じユーザにおいて満足度への貢献度が最も大きい場面(重要場面)を決定する。
【0110】
このように、評価装置22は、コンテンツの各場面における満足度への貢献度を生体情報から算出されたスコア及び生体情報が取得されたユーザの属性を基に、決定する。
【0111】
この方法によれば、満足度への貢献度が大きい場面(重要場面)を属性が同じユーザごとに分析することが可能になる。つまり、あるユーザ層を狙った、ダイジェスト版のコンテンツを作成したり、新たなコンテンツ作成の参考情報にすること等ができる。
【0112】
なお、評価装置22は、生体情報から算出された複数の感情データに基づくスコアに応じて重要場面を決定し、決定した重要場面を示す重要場面情報を提供装置21に提供することができる。この場合、提供装置21は重要場面情報で特定される重要場面に応じて(例えば、当該重要場面を繋げて)構成されるダイジェスト版コンテンツを生成する。
【0113】
さらに、決定部2235は、評価対象コンテンツにおいて複数の各場面におけるコンテンツ利用ユーザの生体情報から算出されたスコアを基に、コンテンツの各場面で登場する要素のうち、満足度への貢献度が最も大きい要素を決定する。
【0114】
要素は、コンテンツを構成する部品的なもので、映像における人物等の物体に限らず景色等も含まれ、また人の発話や動物の鳴き声、あるいは自動車のエンジン音等の物体から発せられる音等も含まれる。分かりやすい例としては、例えばスポーツの試合に出場する選手、映画に登場する人物(実在の演者及び架空のキャラクターを含む)等があり、本実施形態では、これらの要素の満足度への貢献を個別に分析する。
【0115】
ここでは、コンテンツがスポーツの試合を撮影した映像コンテンツである場合を具体例として決定部2235の処理を説明する。また、この場合の要素は試合に出場する選手であるものとする。また、選手が所属するチームが、当該選手の属性に相当する。
【0116】
図12は、満足度向上要素決定処理の流れを説明する図である。まず、決定部2235は、評価情報テーブル2221を参照し、解析対象コンテンツ(解析実施者が選択操作により選択)の中で、スコアが予め定めた所定値より大きいレコード(評価情報ID)を特定する(ステップS41)。
【0117】
次に、決定部2235は、特定したレコードの要素タグデータを読み取り、スコアの高い場面、つまり重要場面で登場・発生した要素、ここでは重要場面で登場した選手の状況を把握する。そして、決定部2235は、統計的処理により重要場面で登場・発生した要素における登場・発生状況、ここでは各選手の全重要場面での登場回数を算出する。決定部2235は、この算出結果に統計的処理を用いて各要素の満足度への貢献度を決定する。例えば、全重要場面での登場回数の上位3選手を貢献度の高い選手として特定し、登場回数が多い順に順位を付加した情報を貢献度情報として生成、提供する。
【0118】
このように、評価装置22は、コンテンツの各場面に対応付けられた要素における満足度への貢献度を、生体情報から算出されたスコアを基に、決定する。
【0119】
なお、スコアの最も高い場面で登場・発生した要素を、最高貢献度要素とする貢献度情報として生成、提供する方法等、利用形態に即した各種の貢献度情報を生成することも可能である。
【0120】
また、
図4に示す評価情報テーブル2221における要素タグの生成時に貢献度の大きさの要素や、あるいは要素タグに貢献度の大きさを示すデータを付与する方法も有効である。
【0121】
例えば、スコア算出部2232はコンテンツが動画像である場合、各時刻に対応するフレームに写る選手をのうち、最も大きく写る選手だけを要素タグとして記憶したり、フレームにおける選手の大きさを表すデータを要素タグの当該選手(要素識別データ)データに付加する。そして、このような、要素タグデータを用いて統計的処理を行って、各種の貢献度情報を生成する。このようにすれば、詳細な解析が行われ、より適切な貢献度情報となることが期待できる。
【0122】
なお、決定部2235は、同一コンテンツ、あるいは関連コンテンツ(上記スポーツ例では、同一チームのゲームのコンテンツ等)に対する複数のユーザによるコンテンツ利用(視聴)におけるスコアデータを、上述のような統計的処理を施して満足度への貢献度に関する情報を生成することもできる。この場合、対象とした複数のユーザが形成する層(例えば、特定のスポーツチームのファン層)が満足する条件等を把握することができる等、の効果を期待できる。
【0123】
さらに、決定部2235は、スコアに加え、ユーザの視線に基づいて満足度への貢献度に関する情報を生成することも可能である。この場合、スコア算出部2232は、コンテンツ利用(視聴)時におけるコンテンツ利用ユーザの視線データを取得し(取得部2231を介して)、コンテンツ利用ユーザが見ている、つまり注目している画像上の要素(上記スポーツ例では選手)を推定し、評価情報テーブル2221における要素タグのデータとして付加する。あるいは、スコア算出部2232は、評価情報テーブル2221における要素タグのデータとして、視線が向いている画像上の要素のみ記憶する。なお、視線データは、例えば、アイトラッカーにより、検出することが可能である。
【0124】
そして、決定部2235は、コンテンツ利用ユーザの視線データの要素を含んだ評価情報テーブル2221における要素タグデータを用いて、上述のような統計的処理を施すことにより、満足度への貢献度に関する情報を生成し、当該情報の利用者に提供する。
【0125】
この場合、注目されている画像上の要素の推定確度が向上するので、より適切な貢献度情報となることが期待できる。
【0126】
一方で、決定部2235は、負の貢献度情報、つまり不満度に繋がったコンテンツにおける要素の情報を生成、提供することもできる。
【0127】
この場合、スコア算出部2232は、不満足度を含むスコア体系とする必要があり、具体的には
図13に示した快適度軸と覚醒度軸における上下限値を満足、及び不満足の両方を含むような値に設定し(入力する心拍、脳波データについても上下限値の制限処理を行わない、あるいは適度なものとする)、スコアが、満足度が高い程大きな値となり、不満足度が大きい程小さい値となる(逆でも可)ように、各種条件(2次元空間データテーブルの設定等)を設定する必要がある。分かりやすくは、満足も不満もない状態が0(原点)となる設定とする。そして、このようなスコア算出環境のもと算出、記憶されたスコアデータを使用し、上述の満足度への貢献度に関する情報を生成する方法と同様の方法を用いて負の貢献度情報を生成する。ただし、負の貢献度情報の生成の場合は、(正の)貢献度情報の生成の場合とは逆に、評価情報テーブル2221におけるスコアの小さい側のデータを選択して、統計的処理等を行うことになる。
【0128】
なお、満足度への貢献度が最も大きい要素は、例えば最もユーザを沸かせた(魅了した)選手ということができる。一方、不満足度への貢献度が最も大きい要素は、例えばユーザを最もがっかりさせた(落胆させた)選手ということができる。
【0129】
決定部2235は、さらにユーザの嗜好等を考慮して満足度の貢献度情報の生成を行うことも可能である。つまり、コンテンツにおける要素に対するユーザの嗜好状態に応じて当該ユーザの満足度は影響を受けると言う考えに基づくもので、ユーザが好む要素についてはユーザの受ける影響は大きいと推定して、満足度への貢献度を大きくする補正を行うものである。
【0130】
具体的には、決定部2235は、評価情報テーブル2221におけるユーザが好む要素が登場する場面に対するレコードのスコアデータを増加する処理を行った上で、上述と同様の方法で満足度の貢献度情報の生成を行う。
【0131】
より詳細には、決定部2235は、
図6に示したユーザ情報テーブル2223における評価対象ユーザ(評価対象コンテンツの利用(視聴)ユーザ)のレコードから、当該ユーザの高評価要素(個別)データと、高評価要素(属性)データを取得する。なお、評価対象ユーザ、及び評価対象コンテンツは、評価情報(満足度の貢献度情報)の取得者(利用者)等がマニュアル操作等により設定することになる。
【0132】
そして、決定部2235は、評価情報テーブル2221の対象レコード(評価対象ユーザ、評価対象コンテンツのレコード)における、取得した高評価要素(個別)データ、又は高評価要素(属性)データが要素タグデータに含まれるレコードについて、スコアデータを増加する処理、例えば当該スコアデータを10%増加させる処理を施した上で、上述と同様の方法で満足度の貢献度情報の生成を行う。
【0133】
例えば、コンテンツがスポーツの試合映像の場合、ユーザ情報テーブル2223の高評価要素(個別)は、ユーザが贔屓にしている選手であり、高評価要素(属性)は、ユーザが贔屓にしているチームである。この場合、決定部2235は、ユーザが贔屓にしている選手、又はユーザが贔屓にしているチームが登場している場面に対する評価情報テーブル2221の対象レコードのスコアデータは10%増加させた(ユーザが贔屓にしている選手が登場している場合と、ユーザが贔屓にしているチームが登場している場面で、独立して10%増加させても良い)上述と同様の方法で満足度の貢献度情報の生成を行う。
【0134】
このような処理により、評価対象ユーザの嗜好等を考慮した満足度の貢献度情報の生成が行われるので、より適切な貢献度情報となることが期待できる。
【0135】
決定部2235は、さらにコンテンツにおける重要局面、例えばスポーツのおける逆転場面等の所謂ターニングポイントを考慮して満足度の貢献度情報の生成を行うことも可能である。つまり、コンテンツにおける要素に対する当該ユーザの満足度は、要素の登場場面の重要度の影響を受けると言う考えに基づくもので、特に場面重要度が高いターニングポイントではユーザの受ける影響は大きいと推定して、満足度への貢献度を大きくする補正を行うものである。
【0136】
具体的には、決定部2235は、評価情報テーブル2221におけるターニングポイントに該当する場面に対するレコードのスコアデータを増加する処理を行った上で、上述と同様の方法で満足度の貢献度情報の生成を行う。
【0137】
より詳細には、決定部2235は、
図7に示したターニングポイント情報テーブル2224から、コンテンツ(コンテンツID)が評価対象コンテンツ(評価対象コンテンツのコンテンツID)が同じレコードを対象ターニングポイントレコードとして抽出する。次に、決定部2235は、評価情報テーブル2221の評価対象コンテンツ(評価対象ユーザの指定もあり)における時刻データが、抽出した対象ターニングポイントレコードの時刻データに対応(一致)するレコードを抽出する。そして、決定部2235は、抽出した評価情報テーブル2221のレコードにおけるスコアデータを増加する処理、例えば当該スコアデータを10%増加させる処理を施した上で、上述と同様の方法で満足度の貢献度情報の生成を行う。
【0138】
このような処理により、コンテンツの重要局面(ターニングポイント等)を考慮した満足度の貢献度情報の生成が行われるので、より適切な貢献度情報となることが期待できる。
【0139】
なお、
図7に示したターニングポイント情報テーブル2224に示した要素(当該レコードのターニングポイントで登場する要素)と寄与度を用いて、評価対象コンテンツ(評価対象ユーザの指定もあり)における対応する場面(時刻)に登場要素毎にスコアデータを割り当てて(例えば、スコアデータと寄与度の積を各要素に割り当てる)、上述と同様の方法で満足度の貢献度情報の生成を行うことも可能である。この場合、ターニングポイントでの各要素の役割・実績と言った要素に基づく満足度の貢献度情報の生成が可能となる。
【0140】
また、判定部2237は、コンテンツにおける場面ごとのシナリオに対して作者等が設定した感情(コンテンツ作者が狙ったコンテンツ利用ユーザが当該場面で持つ感情)と、生体情報が示す当該場面でコンテンツ利用ユーザが実際に持った感情とが合致するか否かを判定する。
【0141】
このように、評価装置22は、コンテンツの各シナリオに対して設定された感情である設定感情(例えば、上記の作者等が設定した感情)と、生体情報に基づき推定された設定感情と同じシナリオに対するコンテンツ利用ユーザの感情である推定感情(例えば、上記のユーザが実際に持った感情)とが合致するか否かを判定する。
【0142】
つまり、判定部2237は、コンテンツの提供者が期待するアウトプット(コンテンツの提供者が狙ったコンテンツ利用ユーザのコンテンツに対する心理的反応)と、実際のユーザのアウトプット(コンテンツ利用ユーザのコンテンツに対する実際の心理的反応)の比較情報を提供し、当該比較情報の利用者がコンテンツを評価することができるようにする。
【0143】
具体的には、
図14に示すように、判定部2237は、生体情報から算出される感情種別及び強度(スコア)と(ステップS51)、シナリオ情報テーブル2225に記憶された感情種別及び強度とが合致するか否かを判定する(ステップS52)。
【0144】
より詳細には、判定部2237は、評価情報テーブル2221における評価対象コンテンツ(例えば、評価情報利用者が選択操作により設定)の評価情報レコードを抽出する(評価対象コンテンツのコンテンツIDデータで検索)。また、判定部2237は、
図8に示したシナリオ情報テーブル2225における評価対象コンテンツのシナリオ情報レコードを抽出する。そして判定部2237は、抽出した評価情報レコードとシナリオ情報レコードについて、コンテンツの同じ各場面(同じ時刻:評価情報テーブル2221の「時刻」とシナリオ情報テーブル2225の「時間帯」)のレコードに記憶された各々のスコアデータを比較し、その比較結果、また比較結果に統計的処理を施した情報を、当該比較情報の利用者に提供する。
【0145】
なお、シナリオ情報テーブル2225には、各コンテンツにおける各場面の狙いとするスコア等が、比較情報の利用者等による入力操作等により、予め記憶されている。
【0146】
さらに、ここでは、シナリオに基づいて提供されるコンテンツの例として、敵キャラクターを倒すことを目的とするビデオゲームを例に挙げて説明する。
【0147】
ゲーム(コンテンツ)の作者は、ゲームプレーヤがゲーム中のシナリオにおいて抱く感情及びその強度を考慮して、当該シナリオで登場させる敵キャラクター及び難易度(難しい、普通、易しい)を設定して、ゲームを作成する。
【0148】
例えば、
図8のシナリオIDデータ「SC01」のシナリオでは、ゲームの作者は感情「喜」及びその強度「中」を狙って、敵キャラクター「A」と難易度「易しい」の組み合わせたシーンとしている。
【0149】
ここで、スコア算出部2232は、
図13で説明した方法によりスコアを算出するものとするが、覚醒軸及び快適度の軸設定を快適度及び覚醒度が正負両方の値を取る。そして、第1象限、第2象限、第3象限、及び第4象限が、各々感情種別「喜」「怒」「哀」「楽」を表し、原点からの距離がその強度を表すものとする。
【0150】
つまり、例えば、判定部2237は、プロットされた点が第1象限に位置する場合、感情種別を「喜」とみなす。また、判定部2237は、プロットされた点が第2象限に位置する場合、感情種別を「怒」とみなす。また、判定部2237は、プロットされた点が第3象限に位置する場合、感情種別を「哀」とみなす。また、判定部2237は、プロットされた点が第4象限に位置する場合、感情種別を「楽」とみなす。
【0151】
また、判定部2237は、スコア(原点からの距離に応じた値で、上限を1に正規化)の絶対値に応じて強度を特定する。例えば、スコアの絶対値が0.5未満である場合、判定部2237は強度を「弱」とみなす。また、スコアの絶対値が0.8以上である場合、判定部2237は強度を「強」とみなす。また、スコアの絶対値が0.5以上0.8未満である場合、判定部2237は強度を「中」とみなす。
【0152】
なお、スコア算出部2232がこれらの値(データ)を算出して、評価情報テーブル2221に記憶するが、本例の場合、「感情種別」項目が追加されることになる。
【0153】
そして、判定部2237は、同じタイミング(コンテンツ再生時間帯)における評価情報テーブル2221の感情種別データ及びスコアデータに基づく強度データと、シナリオ情報テーブル2225の感情種別データ及び強度データを比較し、その比較情報を表示(報知)する。例えば、判定部2237は、それぞれの感情種別データ及び強度データを並べて表示する、それぞれの感情種別データ及び強度データの差を表示する、また設定シナリオの時間帯における実測の感情種別データ及び強度データを時系列のグラフで表示する(シナリオ情報テーブル2225の感情種別データ及び強度データは軸情報表示を利用した軸表記を行う)、等の表示を行う。
【0154】
なお、評価情報テーブル2221の「時刻」とシナリオ情報テーブル2225の「時間帯」は一致しない場合があるが、シナリオ情報テーブル2225の「時間帯」に含まれる「時刻」における評価情報テーブル2221の感情種別データ及び強度データを平均する等の統計的処理を施してタイミングを合わせる変換を行って、上記処理を行う方法を取ることができる。
【0155】
また、判定部2237は判定結果を提供装置21にフィードバックすることができる(ステップS53)。例えば、提供装置21は、フィードバックに応じてコンテンツの内容を変更する。
【0156】
例えば、上記のビデオゲームのシナリオにおける感情種別が「喜」であるのに対し、判定部2237によって得られたユーザの感情種別が「哀」である場合、提供装置21は、敵キャラクターを倒すことに喜びを感じられるように、ゲームの対象シナリオにおける登場人物を変更する、ゲームの難易度を上げる、等の変更を行う。
【0157】
また、生体情報から得られるパラメータを組み合わせることにより、恐怖、油断といった複雑な感情種別を算出することができ、それらを用いた判定結果によりコンテンツの内容を変更することも可能である。
【0158】
例えば、コンテンツがホラー映画であって、ユーザの感情種別が「恐怖」でない場合、又は感情種別「恐怖」の強度が「弱」である場合、提供装置21は、コンテンツの視野角を狭くすること、音を大きくすること等により、より恐怖を感じられるような変更を行う。
【0159】
また、判定部2237が、計測した感情種別と強度と設定した感情種別と強度の違いとその継続時間に関する判定を行い、提供装置21がそれらに基づきコンテンツの内容を変更することも可能である。例えば、コンテンツがビデオゲームであって、ユーザの感情種別が「油断」である期間の長さが一定の長さを超えた場合、提供装置21は、当該タイミングで敵キャラクターの総攻撃を発生させるような変更を行う、あるいは他シーンにおいても敵キャラクタの登場タイミングや攻撃激化のタイミングを早める等、ユーザの油断に対する刺激を強くするようなコンテンツの内容を変更する。
【0160】
生成部2236は、コンテンツに含まれる複数の画像のうち、生体情報から算出されたスコアが閾値以上である画像を決定し、決定した画像を含む画像を編集して、新たなコンテンツ、例えばダイジェスト版のコンテンツを生成する。なお、この場合のコンテンツは動画像が好適であるが、複数の静止画から選択した静止画によるダイジェスト版の作成、音声によるダイジェスト版の作成等でも、適用可能である。
【0161】
この方法によれば、ダイジェスト版を容易に作成することができる。
【0162】
具体的には、生成部2236は、評価情報テーブル2221を参照し、ダイジェスト版作成対象コンテンツ(ダイジェスト版作成者等が選択操作により選択)におけるスコアが閾値(例えば0.8)を超えている評価情報レコードを特定する。
【0163】
そして、生成部2236は特定した評価情報レコードにおける時刻データに対応するコンテンツの動画のフレームを提供装置21から取得してつなぎ合わせることによりダイジェスト版の動画像を生成する。なお、生成された動画像は、コンテンツのダイジェスト版として提供装置21に記憶し、ユーザによるダイジェスト版の視聴操作に基づき提供装置21から提供されてるようにする等すれば良い。このような方法により、コンテンツのダイジェスト版を容易に作成し、またコンテンツ利用者にコンテンツのダイジェスト版を適宜、提供することができる。
【0164】
また、判定部2237による判定結果を記憶部222に記憶することにより、出力装置31は、コンテンツを出力する際に、その結果に基づく情報をコンテンツ利用者に提供する。例えば、出力装置31は、利用中コンテンツにおける決定されたスコアが最も大きい画像が出力されるタイミングをコンテンツ利用者に通知し、ユーザによる注目シーンの見逃しを抑止する。
【0165】
この場合、評価装置22は、生体情報から算出された複数の感情データに基づくスコアに応じて重要場面を決定して、出力装置31に当該重要場面を示す重要場面情報を提供する。そして、出力装置31は、評価装置22から提供された重要場面情報に基づき、コンテンツにおける重要場面のコンテンツ内容の出力タイミングを通知する。
【0166】
このように、ユーザの満足度の評価結果を生かして、後に同じコンテンツの提供を受けるユーザの満足度を向上させることができる。
【0167】
さらに、出力装置31は、記憶部222に記憶された判定部2237による判定結果を利用することより、ユーザの指示に応じてスコアに応じた利用コンテンツの視聴場面の検索、例えばスコアが最も大きい画像の場面を検索して表示することができる。これにより、利用コンテンツにおける注目シーンの検索機能を提供することができる。
【0168】
なお、当該コンテンツの提供を初めて受けるユーザに対して、利用対象コンテンツを利用した他のユーザや複数ユーザの評価情報を利用し、上述の方法により注目シーンの報知等の有用な機能を提供することも可能である。
【0169】
例えば、出力装置31は、動画像であるコンテンツを出力中に、スコアが最大の場面の直前(例えば、3秒前:評価情報テーブル2221における利用中のコンテンツと同一コンテンツの時刻データ及びスコアデータと、利用中のコンテンツ再生時刻データで判断)で、注目すべき場面が出力されることをテキスト又は音声で通知する。
【0170】
評価装置22は、管理者が使用する管理端末に対して、管理画面を表示する。
図15は、管理画面の例を示す図である。ここでは、コンテンツは動画像であるものとする。なお、管理画面は上述に記載したような各種データに基づき生成される。
【0171】
図15に示すように、管理画面には、コンテンツの種別及び長さが表示される。これらデータは、提供装置21から提供される。
【0172】
図15の例では、コンテンツの種別が「スポーツ」であり、長さが「60分」であることが表示されている。
【0173】
また、管理画面には、評価装置22によって算出されたユーザごとのスコア(時間推移を示すグラフ形式で表示)及び満足度が表示される。
【0174】
図15の例では、ユーザU01の満足度が「0.8」であり、ユーザU02の満足度が「0.6」であり、ユーザU03の満足度が「0.4」であることが表示されている。そして、各ユーザのスコア推移が横軸をコンテンツにおける再生経過時間とするグラフで表示されている。
【0175】
また、管理画面には、評価装置22によって決定された最高評価場面(満足度への貢献度が最も大きい場面)の時刻が表示されている。
【0176】
さらに、管理画面には、評価装置22によって決定された最高評価要素(満足度への貢献度が最も大きい要素)を特定する情報及び当該要素に関連する情報が表示されている。
【0177】
図15の例では、最高評価場面が「36:05」であり、最高評価要素が「E20」であり、要素「E20」が「XX選手」であることが表示されている。
【0178】
このような、管理画面の表示により、各コンテンツ利用ユーザがコンテンツに対してどのような感情をどのタイミングで抱いたか等、コンテンツ評価に関する各種データを容易に把握できるので、コンテンツ作成や提供方法等の参考とすることができる。
【0179】
図16を用いて、評価システム1の処理の流れを説明する。
図16は、評価システムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、この処理は、コンテンツの利用ユーザが、コンテンツ開始(再生開始等)操作を行うことにより実行される。また、この処理は評価システム1におけるいずれかの制御部が行い、関連して動作する各装置等は当該制御部からの指令に基づき対応する処理、動作を行う。例えば、本例では評価装置22の制御部223により実行され、関連して動作する各装置等は制御部223からの指令に基づき対応する処理、動作を行う。
【0180】
まず、
図16に示すように、出力装置31は、(再生)開始対象のコンテンツの出力を開始する(ステップS101)。コンテンツは、コンテンツ利用者により選択され、提供装置21から出力装置31に提供される動画像である。
【0181】
次に、評価装置22は、コンテンツを視聴するユーザの生体情報を取得する(ステップS102)。生体情報は、コンテンツ利用者に装着された生体センサ装置32によって測定される。
【0182】
そして、評価装置22は、生体情報からスコアを算出する(ステップS103)。例えば、評価装置22は、生体情報から得られる快適度及び覚醒度を基にスコアを算出する。そして評価装置22は、算出したスコアを利用中のコンテンツのコンテンツIDデータ、再生時刻データ等と共に、評価情報テーブル2221に記憶する。
【0183】
次に、コンテンツの利用(再生)が終了していない場合(ステップS104、No)、評価装置22は、ステップS102に戻り処理を繰り返す。
【0184】
一方、評価装置22は、コンテンツの利用が終了した場合(ステップS104、Yes)、評価装置22は、スコアが閾値を超えた時間の割合等から満足度を、統計的手法等を用いて算出し、記憶部222に記憶して(ステップS105)、処理を終える。
【0185】
そして、評価情報テーブル2221に記憶された評価情報や、記憶部222に記憶された満足度を利用してコンテンツの評価情報が作成され、これらコンテンツに対する評価情報をコンテンツ利用者やコンテンツ作成者に提供されることになる。さらに、これらコンテンツに対する評価情報は、コンテンツの提供価格の更新、新たなコンテンツ作成の参考情報等に用いられる。
【0186】
上述してきたように、実施形態に係る評価装置22の制御部223は、取得部2231及び満足度算出部2233を有する。取得部2231は、イベント及び映像コンテンツ等のコンテンツの提供を受けているユーザの生体情報を取得する。満足度算出部2233は、生体情報に対する統計処理により、コンテンツに対するユーザの満足度を算出する。
【0187】
これにより、本実施形態によれば、イベント又はコンテンツの提供を受けるユーザの満足度を算出することができる。
【0188】
また、評価装置22は、コンテンツの提供中にリアルタイムでユーザから生体情報を取得し評価を行う。これにより、ユーザの意思が入る余地がなくなり、正確な評価が行える。
【0189】
また、本実施形態では、アンケートのように、ユーザが別途作業を行う必要がなく、元となるデータ(生体情報)の取得を含め、一連の処理を電子的に行うことができるため、手間を削減することができる。
【0190】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0191】
N ネットワーク
1 評価システム
2 提供者側システム
3 視聴者側システム
21 提供装置
22 評価装置
31 出力装置
32 生体センサ装置
221 通信部
222 記憶部
223 制御部
321 脳波測定装置
322 ウェアラブル装置
2221 評価情報テーブル
2222 閾値情報テーブル
2223 ユーザ情報テーブル
2224 ターニングポイント情報テーブル
2225 シナリオ情報テーブル
2231 取得部
2232 スコア算出部
2234 更新部
2235 決定部
2236 生成部
2237 判定部