(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108288
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009331
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊
(72)【発明者】
【氏名】岡野 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】高島 亨
(72)【発明者】
【氏名】溝尾 駿
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA07
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC27
5H181EE11
5H181EE12
5H181EE13
5H181EE14
5H181FF05
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】複数の移動体のうちの第1移動体に後続する第2移動体における視界不良を解消することである。
【解決手段】本管理システムにおいて、第2移動体の前方を含む領域の環境が、第1移動体が巻き上げた粉塵に起因して、第2移動体において視界不良である環境である場合には、第1移動体と第2移動体との少なくとも一方の走行状態を制御することにより、第1移動体と第2移動体との順番が入れ替えられる。第2移動体が第1移動体の前方を走行するようにすることにより、第2移動体における視界不良を解消することができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体のうちの少なくとも1つの走行状態を制御する管制装置を含み、前記複数の移動体を管理する管理システムであって、
前記複数の移動体が、第1移動体と、その第1移動体とは別の第2移動体とを含み、
前記管制装置が、
前記第2移動体が前記第1移動体に後続する場合に、前記第2移動体の前方を含む領域の環境を取得する環境取得部と、
前記環境取得部によって、前記環境が、前記第2移動体において視界不良である環境であると取得された場合に、前記第1移動体と前記第2移動体との少なくとも一方の走行状態を制御して、前記第1移動体を前記第2移動体に後続させる走行制御部と
を含む管理システム。
【請求項2】
前記第1移動体が、前記第1移動体の後方に存在する浮遊物を検出する浮遊物センサと、前記浮遊物センサによって検出された浮遊物に関する情報である浮遊物情報を含む情報である第1移動体情報を無線で送信可能な第1移動体通信装置とを含み、
前記管制装置が、前記第1移動体情報を受信可能な管制通信装置を含み、
前記環境取得部が、前記管制通信装置において受信した前記第1移動体情報に含まれる前記浮遊物情報に基づいて、前記環境が前記第2移動体において視界不良である環境であるか否かを取得するものである請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記第2移動体が、視界不良である場合に運転者によってON操作可能な視界不良スイッチと、その視界不良スイッチがON操作されたことを表す情報である視界不良情報を含む第2移動体情報を無線で送信可能な第2移動体通信装置とを含み、
前記管制装置が、前記第2移動体情報を受信する管制通信装置を含み、
前記環境取得部が、前記管制通信装置において受信した前記第2移動体情報に前記視界不良情報が含まれる場合に、前記環境が、前記第2移動体において視界不良である環境であると取得するものである請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記第1移動体が、前記管制装置からの指令に基づいて自動走行可能なものであり、
前記走行制御部が、前記環境取得部によって、前記環境が、前記第2移動体において視界不良である環境であると取得された場合に、前記第1移動体を停止させる停止指令を含む第1管制情報を作成し、前記第2移動体が前記第1移動体の前方に達した後、または、前記環境取得部によって前記環境が前記第2移動体において視界不良である環境であると取得されなくなった後に、前記第1移動体を発進させる指令である発進指令を含む第2管制情報を作成する管制情報作成部とを含み、
前記管制装置が、前記第1管制情報および前記第2管制情報を無線で送信可能な管制通信装置を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の管理システム。
【請求項5】
前記管制情報作成部が、前記第2移動体が前記第1移動体を通過する通過指令を含む第3管制情報を作成するものであり、
前記管制通信装置が、前記第3管制情報を無線で送信可能なものである請求項4に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両を管理する管理システムに関するものである。
【0002】
特許文献1には、複数の車両が作業を行う鉱山において、複数の車両を管理する管理システムが記載されている。この管理システムにおいて、車両が、粉塵の濃度を検出する粉塵センサを含み、粉塵センサによって検出された粉塵の濃度のレベルがしきい値を越えた場合に、当該車両が停止させられたり、減速させられたり、警報が発せられたりする。また、車両に設けられた粉塵センサによって検出された粉塵の濃度を表す情報が管制サーバに供給され、管制サーバにおいて、粉塵の濃度の判定等が行われ、それに基づいて当該車両に停止指令が出力される場合もある(第2実施形態)。
【0003】
特許文献2には、複数の無人走行車の交通整理を行う管理システムが記載されている。この管理システムにおいて、複数の無人走行車が交差点を通過する場合に、作業効率の低下を抑制するという観点から、優先度の高い無人走行車が通過し、優先度の低い無人走行車が減速または停止させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-026312号
【特許文献2】特開2021-114055号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、複数の移動体のうちの第1移動体に後続する第2移動体における視界不良を解消することである。
【課題を解決するための手段、作用および効果】
【0006】
本発明に係る管理システムにおいて、第2移動体の前方を含む領域の環境が、第1移動体が巻き上げた粉塵に起因して、第2移動体において視界不良である環境であると推定された場合には、第1移動体と第2移動体との少なくとも一方の走行状態を制御することにより、第1移動体と第2移動体との順番が入れ替えられる。第2移動体が第1移動体の前方を走行するようにすることにより、第2移動体における視界不良を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態である管理システムを概念的に示す図である。
【
図2】上記管理システムに管理される移動体としての重機を概念的に示す図である。
【
図3】上記管理システムに管理される移動体としてライトビークルを概念的に示す図である。
【
図4】上記管理システムに含まれる中央管制装置を概念的に示す図である。
【
図5】重機と、それに後続するライトビークルとを示す図である。
【
図6】ライトビークルが、重機を通過して重機の前方に達した状態を示す図である。
【
図7】上記管理システムの中央管制装置に記憶された管制情報作成プログラムを表すフローチャートである。
【
図8】上記重機の重機ECUに記憶されたリモート走行制御プログラムを表すフローチャートである。
【
図9】上記ライトビークルのライトビークルECUに記憶された走行指令報知プログラムを表すフローチャートである。
【
図10】上記重機ECUに記憶された重機情報作成プログラムを表すフローチャートである。
【
図11】上記ライトビークルECUに記憶されたライトビークル情報作成プログラムを表すフローチャートである。
【
図12】上記管制装置に記憶された環境取得マップを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る管理システムについて図面に基づいて説明する。
【実施例0009】
本実施例に係る管理システムは、
図1に示すように、例えば、鉱山等で作業を行う複数の移動体である重機VHおよびライトビークルVLと通信可能な管制装置としての中央管制装置C、1つ以上のアンテナA等を含む。これら重機VHおよびライトビークルVLと中央管制装置Cとは、直接またはアンテナAを介して無線の通信が行われる。
【0010】
重機VHは、重工業に用いられる機械であり、本実施例においては、鉱山で作業を行う移動体である。また、重機VHは、中央管制装置Cからの指令に基づいて作動(移動を含む)させられるものであり、自動走行移動体である。
ライトビークルVLは、重機VHに比較して重量が軽い移動体である。ライトビークルVLは、作業員を載せたり、作業に要する荷物を載せたりして、移動することが多い。本実施例において、ライトビークルVLは、運転者による運転操作により移動可能なマニュアル走行状態と、カメラ、ライダー等により取得されたライトビークルVLの周辺の情報に基づいて運転者による運転操作が行われなくても移動可能な自動走行状態とに切換可能なものである。換言すると、ライトビークルVLは、有視界走行車両、例えば、運転者の視覚によって得られた情報またはカメラやライダー等により得られた情報に基づいて走行するものである。
【0011】
重機VHの各々は、それぞれ、
図2に示すように、重機VHを駆動する駆動装置DH,重機VHを制動する制動装置BH,重機VHの操舵輪を転舵する転舵装置TH,GPS信号を受信するGPS(Global Positioning System)受信機10、カメラ,ライダー等を含む周辺情報取得装置12、無線の情報を送信したり受信したりする移動体通信装置としての重機通信装置14、重機VHの後部に設けられた浮遊物センサとしての粉塵センサ16、コンピュータを主体とする重機ECU20等を含む。
【0012】
駆動装置DHは、例えば、複数の車輪30のうちの複数の駆動輪に連結された駆動源としての電動機を含むものとすることができる。また、電動機に対応して駆動回路(例えば、インバータ)が設けられるが、駆動回路の制御により、複数の駆動輪に加えられる駆動力が制御され、重機VHに加えられる駆動力が自動で制御される。
【0013】
なお、駆動装置DHは、電動機に加えて、または、電動機に代えてエンジン等を含むものとすることもできる。
【0014】
制動装置BHは、例えば、複数の車輪30の各々に対応して設けられ、摩擦係合部材を車輪30と一体的に回転可能なブレーキ回転体に押し付けることにより車輪30の回転を抑制する摩擦ブレーキと、複数の摩擦ブレーキの各々の押付力を制御可能な押付力制御アクチュエータとを含むものとすることができる。摩擦ブレーキが、押付力としての流体圧により作動可能な流体圧ブレーキである場合には、押付力制御アクチュエータを流体圧制御アクチュエータとすることができる。押付力制御アクチュエータの制御により、複数の車輪30の各々に設けられた摩擦ブレーキの押付力が制御され、複数の車輪30の各々に加えられる制動力が制御され、重機VHに加えられる制動力が自動で制御される。
【0015】
なお、押付力制御アクチュエータは、摩擦ブレーキの各々に個別に設けても、複数の摩擦ブレーキのうちの1つ以上に共通に設けてもよい。
【0016】
転舵装置THは、複数の車輪30のうちの操舵輪である左側車輪30Lと右側車輪30Rとを転舵するものである。転舵装置THは、例えば、左側車輪30L、右側車輪30Rを連結する一対のタイロッドおよび一対のタイロッドを連結する転舵ロッド、転舵ロッドに設けられた転舵アクチュエータ等を含む。転舵アクチュエータにより転舵ロッドが車両の軸方向に移動させられることにより、左側車輪30Lと右側車輪30Rとが自動で転舵される。
【0017】
GPS受信機10は、GPS信号を受信するものであり、GPS信号に基づいて、重機VHである自車両の位置が取得される。
周辺情報取得装置12は、カメラ、ライダー等を含み、重機VHである自車両の周辺の物体を認識するとともに、その物体と自車両との相対位置関係等を取得する。
【0018】
重機通信装置14は、重機ECU20において作成された移動体情報である重機情報を無線で送信したり、中央管制装置Cから無線で送信された情報である管制情報を受信したりするものである。
【0019】
粉塵センサ16は、例えば、空気中の一定空間容積当たりに存在する浮遊物の濃度を検出するものであり、浮遊物濃度センサと称することができる。浮遊物の濃度は、例えば、散乱光量の強弱に比例する質量濃度から算出することができる。粉塵センサ16は、重機VHの後部に設けられ、重機VHの後方の領域の浮遊物の濃度を検出する。
【0020】
重機ECU20には、これら駆動装置DHの駆動回路、制動装置BHの押付力制御アクチュエータ、転舵装置THの転舵アクチュエータ、GPS受信機10、周辺情報取得装置12、重機通信装置14、粉塵センサ16等が接続される。また、重機ECU20には、識別情報等記憶部22、重機情報作成部24、走行制御部26等が含まれる。
【0021】
識別情報等記憶部22は、重機VHである自車両に設定された識別情報等を記憶するものである。複数の重機VH、ライトビークルVLの各々は、互いに異なる識別情報が付与されている。
【0022】
重機情報作成部24は、粉塵センサ16によって検出された粉塵の濃度を表す浮遊物情報としての粉塵情報、GPS信号に基づいて取得された重機VHの位置を表す重機位置情報、重機VHの識別情報等を含む重機情報を作成する。作成された重機情報は、重機通信装置14に出力される。重機通信装置14は重機情報を送信する。重機情報は、移動体情報、第1移動体情報の一例である。
【0023】
なお、粉塵情報は、粉塵センサ16によって検出された粉塵の濃度が設定濃度より高い場合に、重機情報に含まれるようにすることができる。
【0024】
図10に示す重機情報作成プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。ステップ101(以下、S101と略称する。他のステップについても同様とする)において、粉塵センサ16の検出結果である粉塵濃度が読み込まれ、粉塵濃度を表す粉塵情報が取得される。S102において、GPS信号に基づいて重機VHの位置を表す情報である重機位置情報が取得され、S103において、識別情報が読み込まれる。そして、S104において、識別情報、重機位置情報、粉塵情報を含む重機情報が作成されて、重機通信装置14に出力される。
【0025】
走行制御部26は、駆動装置DH,制動装置BH,転舵装置THを制御することにより、重機VHの走行を制御するものである。本実施例において、走行制御部26は、重機通信装置14において受信された中央管制装置Cから送信された管制情報に含まれる走行指令に基づいて、駆動装置DH,制動装置BH,転舵装置TH等を制御する。
【0026】
ライトビークルVLの各々は、
図3に示すように、それぞれ、駆動装置DL、制動装置BL,転舵装置TL等を含むとともに、GPS受信機50、第2移動体通信装置としてのライトビークル通信装置52、視界不良スイッチ54、報知装置56、周辺情報取得装置58、ライトビークルVLの前部に設けられた粉塵センサ60、コンピュータを主体とするライトビークルECU62等を含む。
【0027】
GPS受信機50、ライトビークル通信装置52、周辺情報取得装置58、粉塵センサ60は、重機VHに設けられたGPS受信機10、重機通信装置14、周辺情報取得装置12、粉塵センサ16と実質的に同様の構造を成すものである。駆動装置DL,制動装置BL,転舵装置TLも、重機VHに設けられた駆動装置DH,制動装置BH,転舵装置THと実質的に同様の構造を成すものとすることができる。
【0028】
視界不良スイッチ54は、運転者によって操作可能なものであり、運転者が視界不良であると感じた場合にON操作される。
報知装置56は、例えば、ディスプレイ、音声出力装置等を含むものであり、ライトビークル通信装置52において受信した管制情報の内容を報知することができる。
【0029】
ライトビークルECU62には、駆動装置DL,制動装置BL,転舵装置TL,GPS受信機50、ライトビークル通信装置52、視界不良スイッチ54、報知装置56、周辺情報取得装置58、粉塵センサ60等が接続される。また、ライトビークルECU62には、識別情報等記憶部64、ライトビークル情報作成部66、走行制御部68等が含まれる。
【0030】
ライトビークル情報作成部66は、識別情報、視界不良スイッチ54がON操作されたことを表す情報である視界不良情報、GPS信号に基づいて取得されたライトビークルVLの位置を表すライトビークル位置情報等を含む第2移動体情報であるライトビークル情報を作成する。ライトビークル情報作成部66によって作成されたライトビークル情報はライトビークル通信装置52に出力され、送信される。ただし、視界不良情報は、視界不良スイッチ54のON操作が行われない場合には、ライトビークル情報に含まれない。
【0031】
また、ライトビークル情報に、粉塵情報が含まれるようにすることができる。視界不良情報だけでなく、視界不良情報と粉塵情報とに基づけば、ライトビークルにおいて、視界不良であるか否かを正確に取得することができる。また、ライトビークルVLが自動走行状態にある場合には、ライトビークルVLの粉塵センサ60の検出結果は有効である。
【0032】
ライトビークルECU62において
図11のフローチャートで表されるライトビークル情報作成プログラムが設定時間毎に実行される。
S151において、視界不良スイッチ54がON操作されたか否かが判定され、判定がYESである場合には、S152において視界不良情報が作成される。次に、S153において、ライトビークル位置情報が取得され、S154において、識別情報が読み込まれ、S155において、粉塵センサ60によって検出された浮遊物の濃度を表す粉塵情報が取得され、S156において、識別情報、ライトビークル位置情報、視界不良情報、粉塵情報等を含むライトビークル情報が作成される。ライトビークル情報は、ライトビークル通信装置52に出力され、送信される。
【0033】
それに対して、視界不良スイッチ54がON操作されない場合(ライトビークルVLが自動走行状態にある場合もある)には、S151の判定がNOとなる。S152が実行されることなく、S153-156において、識別情報、ライトビークル位置情報、粉塵情報を含むライトビークル情報が作成される。
【0034】
走行制御部68は、駆動装置DL,制動装置BL,転舵装置TL等を制御するものである。例えば、走行制御部68は、自動走行状態において、駆動装置DL,制動装置BL,転舵装置TL等を、周辺情報取得装置58によって取得された物体とライトビークルVLである自車両との相対位置関係等に基づいて制御し、マニュアル運転状態において、運転者の図示しない運転操作部材の操作に基づいて制御する。
【0035】
中央管制装置Cは、
図4に示すように、コンピュータを主体とする管制ECU80と管制ECU80に接続された管制通信装置82とを含む。管制ECU80は、管制情報作成部92、環境取得部94、作業計画記憶部96等を含む。
【0036】
管制通信装置82は、管制情報作成部92によって作成された管制情報を無線で送信したり、重機VHやライトビークルVLから無線で送信された重機情報やライトビークル情報を受信したりするものである。
【0037】
管制情報作成部92は、走行指令(運転指令)、走行指令の対象である重機VH,ライトビークルVLの識別情報を含む情報である管制情報を作成するものである。走行指令(運転指令)は、管制通信装置82において受信された重機情報とライトビークル情報との少なくとも一方等に基づいて作成される。
【0038】
環境取得部94は、ライトビークルVLの前方を含む領域R(
図5参照)の環境を推定して取得するものであり、本実施例において、ライトビークルVLの前方を含む領域Rの環境が、ライトビークルVLにおいて視界不良である環境であるか否かを取得する。
【0039】
作業計画記憶部96は、複数の重機VH,ライトビークルVLの作業計画に関する情報を記憶するものである。作業計画には、複数の重機VH,ライトビークルVLの各々の移動計画(移動経路、移動開始時間等)が含まれる。作業計画を表す情報は複数の重機VH,ライトビークルVLの各々の識別情報と対応づけて記憶されることが多い。
【0040】
本実施例においては、例えば、
図5に示すように、重機VH1に後続してライトビークルVL1が走行している場合、すなわち、重機VH1が第1移動体であり、ライトビークルVLが第2移動体である場合において、重機VH1が土砂を巻き上げた場合には、ライトビークルVLにおいて視界不良が起きる場合がある。マニュアル走行状態において運転者は前方が見え難くなり、自動走行状態において、カメラやライダー等により物体が認識され難くなり、望ましくない。
【0041】
そこで、環境取得部94によって、領域Rの環境が、ライトビークルVLにおいて視界不良である環境であると推定されて取得された場合には、管制ECU80は、
図6に示すように重機VHとライトビークルVLとの順番が入れ替わるよう走行指令(運転指令)を含む管制情報を作成して、送信する。
【0042】
中央管制においては、
図7のフローチャートで表される管制情報作成プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。
S1において、ライトビークル情報と重機情報との少なくとも一方が受信されたか否かが判定される。判定がYESである場合には、S2において、受信したライトビークル情報と重機情報との少なくとも一方についての情報処理が行われ、S3において、領域Rの環境が、ライトビークルVLにおいて視界不良である環境であると推定されるか否かが判定される。例えば、(i)ライトビークル情報に視界不良情報が含まれる場合、(ii)重機情報に含まれる粉塵情報が表す粉塵濃度と、重機位置情報とライトビークル情報に含まれるライトビークル位置情報とで決まる車間距離等とが、例えば、
図12の斜線で表す領域にある場合、(iii)ライトビークル情報に含まれる粉塵情報が表す粉塵濃度が設定値より高い場合等には、ライトビークルVLにおいて視界不良である環境であると推定される。(ii)について、例えば、車間距離が短い場合には、粉塵濃度が低くても視界不良であると推定されるが、車間距離が長い場合には粉塵濃度が高い場合に視界不良であると推定される。なお、その他、天候に関する情報、例えば、風向き、風速、降雨の有無、降水量等を考慮して環境が視界不良である環境であるか否かが推定されるようにすることもできる。
【0043】
視界不良であると判定された場合には、S4において、第1移動体である重機VH1(粉塵を巻き上げている車両)が特定される。例えば、視界不良情報を含むライトビークル情報に含まれる識別情報(例えば、Iaとする)およびライトビークル位置情報と作業計画とに基づいてライトビークルVL1が特定されるとともに、重機情報に含まれる重機位置情報と作業計画とに基づいて、そのライトビークルVL1の前方を走行する重機VH1が特定(重機VH1の識別情報Ibが特定)される。
【0044】
そして、S5において、重機VH1への走行指令として停止指令と識別情報Ibとを含む第1管制情報が作成される。作成された第1管制情報は、管制通信装置82によって送信される。次に、S6において、第2移動体としてのライトビークルVL1への運転指令である重機VH1を通過する通過指令と識別情報Iaとを含む第3管制情報が作成される。第3管制情報は、管制通信装置82によって送信される。
【0045】
S7において、ライトビークルVL1が重機VH1を通過した(重機VHを追い越した)か否か、または、環境取得部94によって、領域Rの環境がライトビークルVL1において視界不良である環境であると取得されなくなったか否かが、判定される。ライトビークルVL1が重機VH1を通過したか否かは、ライトビークル情報に含まれるライトビークル位置情報、重機情報に含まれる重機位置情報等に基づいて、ライトビークルVL1が重機VH1を通過して重機VH1の前方に達したか否かが判定される。また、ライトビークル情報に視覚不良情報が含まれなくなった場合、ライトビークル情報に含まれる粉塵情報が表す粉塵濃度が設定濃度より薄くなった場合等には、環境取得部94において、領域Rの環境が、ライトビークルVLにおいて視覚不良である環境であると取得されなくなる。S7の判定がYESになると、S8において、識別情報Ibと発進指令とを含む第2管制情報が作成されて、送信される。
【0046】
重機VHにおいて、
図8のフローチャートで表されるリモート走行制御プログラムが設定時間毎に実行される。
S21において、管制情報を受信したか否かが判定される。判定がYESである場合には、S22において、管制情報に含まれる識別情報が自身を表す識別情報と一致するか否かが判定される。識別情報が一致する場合には、S23において、管制情報に停止指令が含まれるか否かが判定され、S24において、発進指令が含まれるか否かが判定される。S23の判定がYESである場合には、S25において、重機VHが停止するように例えば、制動装置BH等を制御する。S24の判定がYESである場合には、S26において、制動装置BH、駆動装置DH等の制御により、発進する。
【0047】
ライトビークルVLにおいて、
図9のフローチャートで表される走行指令(運転指令)報知プログラムが設定時間毎に実行される。
S51において、管制情報を受信したか否かが判定される。判定がYESである場合には、S52において、管制情報に含まれる識別情報が自身を表す識別情報と一致するか否かが判定される。判定がYESである場合には、S53において、管制情報に通過指令が含まれるか否かが判定される。判定がYESである場合には、S54において、そのことが報知装置56により報知される。運転者は報知に従ってライトビークルVLを運転する。それにより、ライトビークルVLが重機VHを通過して、重機VHの前方に達すると考えられる。
【0048】
このように、本実施例においては、ライトビークルVL1の前方を含む領域Rの環境が、ライトビークルVL1において視界不良である環境であると推定されて取得された場合には、重機VH1とライトビークルVL1との順番が入れ替えられる。ライトビークルVL1が重機VH1の前方を走行することになるのであり、ライトビークルVL1の視界不良が解消される。その結果、ライトビークルVL1の走行安全性の低下を抑制することができ、作業効率の低下を抑制することができる。
【0049】
以上、本実施例においては、管制ECU80の管制情報作成プログラムのS2,3を記憶する部分、実行する部分等により環境取得部が構成され、S5-8を記憶する部分、実行する部分等により走行制御部が構成される。S5を記憶する部分、実行する部分等により第1管制情報作成部が構成され、S8を記憶する部分、実行する部分等により第2管制情報作成部が構成され、S6を記憶する部分、実行する部分等により第3管制情報作成部が構成される。
また、重機ECU20の重機情報作成プログラムを記憶する部分、実行する部分等により重機情報作成部24が構成され、ライトビークルECU62のライトビークル情報作成プログラムを記憶する部分、実行する部分等によりライトビークル情報作成部66が構成される。
【0050】
なお、上記実施例において、管理システムが鉱山の作業において利用される場合について説明したが、鉱山の作業に限らず、種々の作業現場において利用することができる。
【0051】
また、上記実施例において、第1移動体が重機VHであり、第2移動体がライトビークルVLである場合について説明したが、それに限らない。例えば、第1移動体と第2移動体との両方が、ライトビークル等の有視界走行車であってもよい。
さらに、駆動装置DH,DL、制動装置BH,BL、転舵装置TH,TLの構造は問わない等、本発明は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
10,50:GPS受信機 12,58:周辺情報取得装置 14:重機通信装置 16,60:粉塵センサ 20:重機ECU 24:重機情報作成部 26:走行制御部 52:ライトビークル通信装置 54:視界不良スイッチ 56:報知装置 62:ライトビークルECU 66:ライトビークル情報作成部 80;管制ECU 82:管制通信装置 92:管制情報作成部 C:中央管制装置 VH:重機 VL:ライトビークル
第2移動体において視界不良である環境とは、第2移動体の視界(例えば、第2移動体の前方を含む領域)が設定レベル以上悪い環境であり、例えば、第2移動体の前方を含む領域の全体が白っぽくまたは黒っぽくなり、その前方を含む領域内に存在する物体等を認識し難い環境等をいう。前方を走行する第1移動体が粉塵等を巻き上げたことに起因して、第2移動体の前方を含む領域の環境が、第2移動体において視界不良である環境になる場合がある。
また、第2移動体における視界とは、例えば、第2移動体に乗車している運転者の目で見える範囲、第2移動体に搭載されているカメラの撮像領域やライダーの照射範囲等をいう。
例えば、第2移動体は、運転者によるマニュアル操作により走行可能な移動体(マニュアル走行移動体、有人走行移動体)であっても、運転者によるマニュアル操作が行われなくても自動で走行状態が制御可能な移動体(自動走行移動体、無人走行移動体)であっても、マニュアル走行状態と自動走行状態とに切換可能な移動体であってもよい。第2移動体は、有視界走行移動体であり、マニュアル走行移動体(マニュアル走行状態)である場合には、運転者の視覚に基づいて走行し、自動走行移動体(自動走行状態)である場合には、カメラやライダー等の認識に基づいて走行する。
なお、ライダーが、紫外線や赤外線を照射するものである場合には、視界の全体が白っぽくまたは黒っぽくても、視界に存在する物体等を認識できる場合がある。この場合には、視界不良が起き難いと考えられる。
さらに、管制装置の走行制御部による走行状態の制御とは、管制装置からの情報に基づいて移動体の走行状態を制御することである。例えば、移動体が自動走行移動体(自動走行状態)である場合に、移動体が、管制装置から供給された情報に基づいて、その移動体の駆動装置等を制御することが該当する。また、走行状態の制御には、移動体に運転指令を供給することが含まれるようにすることができる。例えば、移動体が運転者によるマニュアル走行移動体(マニュアル走行状態)である場合に、管制装置から移動体に運転指令が供給され、移動体の運転者が、その運転指令に基づいて運転して、移動体を走行させることが該当する。
(2)前記第1移動体と前記第2移動体との少なくとも一方が、それぞれ、前記第1移動体と前記第2移動体との少なくとも一方の周辺に存在する浮遊物を検出する浮遊物センサと、前記浮遊物センサによって検出された浮遊物に関する情報である浮遊物情報を含む情報である移動体情報を無線で送信可能な移動体通信装置とを含み、
前記管制装置が、前記移動体情報を受信可能な管制通信装置を含み、
前記環境取得部が、前記管制通信装置において受信した前記移動体情報に含まれる前記浮遊物情報に基づいて、前記環境が前記第2移動体において視界不良である環境であるか否かを取得するものである(1)項に記載の管理システム。
例えば、第1移動体の後部に設けられた浮遊物センサによって検出された第1移動体の後方の浮遊物の濃度と、第2移動体と第1移動体との車間距離とに基づけば、第2移動体の前方を含む領域の環境が、第2移動体において視界不良である環境であるか否か、換言すると、第2移動体における視界が設定レベルより悪い環境であるか否かを推定して取得することができる。
また、第2移動体の前部に設けられた浮遊物センサによって検出された第2移動体の前方の浮遊物の濃度に基づけば、第2移動体の前方を含む領域の環境が、第2移動体において視界不良である環境であるか否かを取得することができる。
周辺とは、例えば、浮遊物センサにより浮遊物を検出可能な領域をいう。
(3)前記第1移動体が、前記第1移動体の後方に存在する浮遊物を検出する浮遊物センサと、前記浮遊物センサによって検出された浮遊物に関する情報である浮遊物情報を含む情報である第1移動体情報を無線で送信可能な第1移動体通信装置とを含み、
前記管制装置が、前記第1移動体情報を受信可能な管制通信装置を含み、
前記環境取得部が、前記管制通信装置において受信した前記第1移動体情報に含まれる前記浮遊物情報に基づいて、前記環境が前記第2移動体において視界不良である環境であるか否かを取得するものである(1)項または(2)項に記載の管理システム。
(4)前記第2移動体が、運転者のマニュアル運転により走行するものであり、視界不良である場合に運転者によってON操作可能な視界不良スイッチと、その視界不良スイッチがON操作されたことを表す情報である視界不良情報を含む情報である第2移動体情報を無線で送信可能な第2移動体通信装置とを含み、
前記管制装置が、前記第2移動体情報を受信可能な管制通信装置を含み、
前記環境取得部が、前記管制通信装置において受信した前記第2移動体情報に前記視界不良情報が含まれる場合に、前記環境が前記第2移動体において視界不良である環境であると取得するものである(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の管理システム。
第1移動体は、例えば、管制装置からの指令に基づいて第1移動体に搭載された駆動装置、制動装置、転舵装置等を制御して、自動走行可能なものとすることができる。第1移動体は、無人走行移動体であってもよい。
(6)前記走行制御部が、前記環境取得部によって、前記環境が、前記第2移動体において視界不良である環境であると取得された場合に、前記第1移動体を停止させる停止指令を含む第1管制情報を作成し、前記第2移動体が前記第1移動体の前方に達した後または前記環境取得部によって前記環境が前記第2移動体において視界不良である環境であると取得されなくなった後に、前記第1移動体を発進させる指令である発進指令を含む第2管制情報を作成する管制情報作成部とを含み、
前記管制装置が、前記第1管制情報および前記第2管制情報を無線で送信可能な管制通信装置を含む(5)項に記載の管理システム。
本項に記載の走行制御装置には、(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。上記実施例において、中央管制装置が、走行制御装置に対応する。