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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108296
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】微細気泡生成ノズル
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/232 20220101AFI20230728BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20230728BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20230728BHJP
   B01F 35/00 20220101ALI20230728BHJP
   A47K 3/28 20060101ALN20230728BHJP
【FI】
B01F3/04 C
B01F5/00 G
B01F15/02 A
B01F15/00 Z
A47K3/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009346
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青沼 雄大
【テーマコード(参考)】
2D132
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
2D132FA03
2D132FJ07
2D132FJ20
2D132FJ22
4G035AB16
4G035AC44
4G035AE13
4G037AA01
4G037AA02
4G037DA30
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】
水道圧以下の給水圧でも十分量の微細気泡を生成可能な微細気泡生成ノズルを提供する。
【解決手段】
中空円筒状に形成された旋回流発生部と、前記旋回流発生部に給気する吸気部と、前記旋回流発生部に給水する給水部と、を備えた微細気泡生成ノズルであって、前記旋回流発生部は気液噴出口を有し、さらに前記旋回流発生部は円錐部を有し、前記吸気部は、前記旋回流発生部内に開口された気体導入口を有し、前記給水部は、前記旋回流発生部内に開口された液体導入口を有し、前記気体導入口は、前記円錐部が有する円錐の頂点部に設けられ、前記液体導入口は、前記円錐部が有する円錐の斜面に複数設けられることを特徴とする微細気泡生成ノズル。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒状に形成された旋回流発生部と、
前記旋回流発生部に給気する吸気部と、
前記旋回流発生部に給水する給水部と、
を備えた微細気泡生成ノズルであって、
前記旋回流発生部は、該旋回流発生部外へ気液混合体を噴出する気液噴出口を一端側の壁体に有し、
さらに前記旋回流発生部は、他端側の壁体に、該気液噴出口を有する側の壁体へ向かって突出する円錐部を有し、
前記吸気部は、前記旋回流発生部内に開口された気体導入口を有し、
前記給水部は、前記旋回流発生部内に開口された液体導入口を有し、
前記気体導入口は、前記円錐部が有する円錐の頂点部に設けられ、
前記液体導入口は、前記円錐部が有する円錐の斜面に複数設けられる
ことを特徴とする微細気泡生成ノズル。
【請求項2】
前記液体導入口の開口方向は、前記気体導入口の気体導入方向に対して傾斜しており、
各前記液体導入口は、前記円錐部上に所定の間隔をもって設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の微細気泡生成ノズル。
【請求項3】
前記給水部は、前記旋回流発生部外から該旋回流発生部内へ液体を取り込み可能な液体供給口と、
前記液体供給口と前記液体導入口とを連通させる液体導入路を有し、
前記液体導入路は、前記旋回流発生部の中心軸に対して所定角度傾斜する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の微細気泡生成ノズル。
【請求項4】
前記微細気泡生成ノズルは、さらにカバー部材を着脱可能であり、前記カバー部材は、前記気液噴出口から噴出される気液混合体を貯留可能な空間を形成することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の微細気泡生成ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に微細気泡を生成する微細気泡生成ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体中に微細な気泡を生成する微細気泡発生装置が知られている。微細気泡を含む液体は、洗浄やマッサージなどに利用されている。例えば、特許文献1には、一端側が閉口され、他端側が開口されている円筒容器を備えた微細気泡発生装置が記載されている。円筒容器には、気体導入口と液体導入口が設けられている。気体導入口は円筒容器の一端側に、液体導入口は円筒容器の内壁円周面の接線方向にそれぞれ開口されており、その円筒容器内で微細気泡を生成する。
【0003】
こうした装置は、下記のようにして微細気泡を生成する。まず、液体導入口から円筒容器内に液体を加圧導入する。すると、加圧導入された液体は円筒容器の内壁円周面の接線方向に沿って進行する。そのため、旋回流が発生する。この旋回流の遠心力によって負圧となった旋回流中心付近に気体導入口から気体が吸引される。その吸引された気体が旋回流の中心付近を通過する際に旋回流のせん断力によって細分化される。そうして円筒容器の開口側に設けた気液導出口から微細気泡を含有する液体が噴出される。
【0004】
さらに、特許文献1に記載されている微細気泡発生装置では、円筒容器の閉口された一端側の壁体を、他端側に向けて突出する円錐形状又は円錐台形状に構成することで、液体の旋回速度を高め、より微細な気泡を発生させ、液体中への混入気泡量を増大させることを実現している。
【0005】
このような微細気泡発生装置では、円筒容器内に導入された液体が円筒容器の内面に沿って旋回しながら円筒容器の閉口された一端側の壁体まで進行する第1水流と、円錐形状又は円錐台形状に衝突した後、旋回径が縮小されて気液導出口に向かって進行する第2水流が形成される。この旋回に伴って、液体と気体の比重差から液体には遠心力、気体には向心力が同時に働き、液体部と気体部の分離が可能となり、気体が糸状で気液導出口まで続き、そこから噴出されるが、その噴出と同時に周囲の静液(水)によって、その旋回が急激に弱められ、その前後で、急激な旋回速度差が発生する。この旋回速度差の発生によって、糸状の気体渦管部が連続的に安定して切断され、その結果として大量の微細気泡、例えば直径10~20μmの微細気泡が気液導出口付近で発生し、器外の液体中へ放出されることになる。
【0006】
さて、このような微細気泡発生装置では、液体導入口から円筒容器の壁体まで進行する第1水流と円筒容器の内面との摩擦が抵抗となり、旋回流の旋回速度は徐々に低下していく。そのため、十分な旋回を維持するには液体導入口から供給する元水圧を高める必要がある。例えば、水道に直結したシャワーに接続して使用する場合、水道元圧以下の低圧値(例えば0.08MPa)では十分な旋回流を得ることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4725707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、水道圧以下の給水圧でも十分量の微細気泡を生成可能な微細気泡生成ノズルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために本発明は、中空円筒状に形成された旋回流発生部と、前記旋回流発生部に給気する吸気部と、前記旋回流発生部に給水する給水部と、を備えた微細気泡生成ノズルであって、前記旋回流発生部は、該旋回流発生部外へ気液混合体を噴出する気液噴出口を一端側の壁体に有し、さらに前記旋回流発生部は、前記気液噴出口を備えない側の壁体に、該気液噴出口を有する側の壁体へ向かって突出する円錐部を有し、前記吸気部は、前記旋回流発生部内に開口された気体導入口を有し、前記給水部は、前記旋回流発生部内に開口された液体導入口を有し、前記気体導入口は、前記円錐部が有する円錐の頂点部に設けられ、前記液体導入口は、前記円錐部が有する円錐の斜面に複数設けられることを一特徴としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の微細気泡生成ノズルによれば、中空円筒状に形成される旋回室の底面に入水路と入気路を接続したので、旋回流は入水口・入気口から出水口まで円筒室内最低1往路で到達可能となった。これにより円筒室内面との摩擦による流動損失が低減されるため、水道圧でも微細気泡を十分に生成することができる。さらに、中空円筒状に形成される旋回室の底面に入水路と入気路を接続したので、円筒室内の限られた空間の中に効率よく水流を形成可能となった。これにより水道圧でも微細気泡を十分に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の微細気泡生成ノズルを示す外観図である。
図2】同微細気泡生成ノズルの正面図である。
図3】同微細気泡生成ノズルの側面図である。
図4図2のA-A線の断面図である。
図5図3のB-B線の断面図である。
図6】同微細気泡生成ノズルに生じる旋回流(第1水流)の概念図である。
図7】同微細気泡生成ノズルに生じる旋回流(第2水流)の概念図である。
図8】同微細気泡生成ノズルに生じる旋回流(第3水流)の概念図である。
図9】同微細気泡生成ノズルの各部の好ましい寸法比を示す概念図である。
図10】カバー部材が装着された同微細気泡生成ノズルの概念図である。
図11】配管に装着された同微細気泡生成ノズルの概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について説明する。図1~3は本発明の微細気泡発生体を示す外観図、図4~5はその断面図である。1は微細気泡発生体本体で、先端部に吐出口2(請求項に記載の気液噴出口)、末端部に給水部3、末端部寄りの側面部に吸気部4を有する。本体1の内部には、旋回流を発生させる旋回発生部5が形成されている。
【0013】
旋回発生部5は、中空円筒状をなす旋回室6と、給水部3からの液体と吸気部4からの気体を旋回室6に供給する供給部7とからなる。供給部7は、給水部3側に平面部8を有する。供給部7は、旋回室6側に円錐部9を有している。円錐部9には、液体導入路10a~10dと気体導入路11とが設けられている。
【0014】
液体導入路10a~10dは、供給部7の平面部8に開口した4カ所の液体供給口12a~12dと、供給部7の円錐部9に開口した同じく4カ所の液体導入口13a~13dとを連通する管路である。液体導入口13a~13dは、それらを線で結ぶと円錐部9の頂点に設けられる気体導入口15を中心としたひし形が形成されるような位置に設けられる。液体供給口12a~12dは、平面部8の中心寄りにおいて給水部3からの水を取り込み可能に設けられ、液体導入口13a~13dは、図2の円錐部9の外縁寄りに設けられている。
【0015】
液体導入路10a~10dは、これら液体供給口12a~12dと液体導入口13a~13dとをそれぞれ独立した4つの管路として連通するものである。液体導入路10a~10dは、液体供給口12a~12dから液体導入口13a~13dにかけて旋回室6の中心軸に対して傾斜している。各液体導入路10a~10dは、吐出口2側に向かって次第に互いの間隔が広くなるよう傾斜している。液体導入路10a~10dは旋回室6に渦巻き状(らせん状)の旋回流を生成可能なように、図5に示す通り旋回室6の中心軸と交わらないよう形成される。各液体導入路10a~10dは、旋回室6に安定して旋回流を生じさせるため、互いに同一の角度で吐出口2側にむかって開かれるよう傾斜しているとよい。また、旋回室6の中心軸と液体導入路10a~10dのなす角度は図5に示す通り45度が好ましい。
【0016】
なお、各液体導入路10a~10dは、途中を屈曲させるなどして曲げて設けてもよい。液体導入路10a~10dを屈曲させて設ける場合、液体導入路10a~10dの少なくとも液体供給口12a~12dと接している箇所を含む一部分は、前記したとおり旋回室6にらせん状の旋回流を生成可能なように傾斜させるとよい。
【0017】
気体導入路11は、本体1の側面に開口した気体供給口14と、供給部7の円錐部9の頂点に開口した気体導入口15とを連通する管路である。本実施形態において、気体供給口14と気体導入口15とは、直交した位置関係にあるため、L型の管路としている。
【0018】
このように構成する微細気泡発生体について、図6~8を用いて旋回流発生の仕組みを説明する。
本体1の給水部3に水道の蛇口と接続させたパイプを取り付け、吸気部4に一端が大気に開放されたチューブを接続する。貯水した水槽内に本体1を浸漬させ、水道から水を供給する。給水部3から供給された水は、液体導入路10によって流路を絞られることで水圧が高まった状態で旋回室6内に噴射される。このとき、各液体導入路10a~10dは、吐出口2側に向かって次第に互いの間隔が広くなるよう設けられているため、液体導入口13からは拡開した水流が旋回室6内に向けて噴出され、4カ所ある液体導入口13付近で渦巻き状の旋回流が形成される。
【0019】
この旋回流は、第1水流として旋回室6の内面に沿って本体1の先端部に向かって進行していく。そして、旋回室6の直径よりも絞られた吐出口2付近で水圧が高められ、吐出口2から噴出される。第1水流の一部は吐出口2から噴出されず、第2水流として旋回室6を逆流する。このとき、旋回室6の内面に沿って進む第1水流との水勢差によって、第2水流は第1水流よりも旋回室6における中心寄りに逆流していく。この第2水流は、旋回室6の円錐部9に到達すると、円錐部9の傾斜面にぶつかり、第3水流として再び本体1の先端部に向かって進行していく。このとき第3水流は第2水流との水勢差によって第2水流の内側を流れていき、その大部分が吐出口2から噴出する。
【0020】
このようにして、旋回室6内には第1水流-第2水流-第3水流の三層の水流が形成される。すなわち、限られた空間の中で効率よく水流が形成されることになる。また、第2水流により、吐出口2から旋回室6内に吸い込まれる流れが生じ、吐出口2では旋回室6から噴出する噴出流と旋回室6内に吸引される吸引流とが交錯して乱流が発生する。
【0021】
吸気部4は、気体導入路11によって外気と連通しており、旋回室内に発生する旋回流によって生じる負圧によって気体導入口15から旋回室6内に外気が自吸される。取り込まれた外気は、旋回室6内に発生する旋回流の中心から本体1の吐出口2に向かうまでに、旋回流によって破砕されて微細化される。また、吐出口2で発生する噴出流と吸引流との乱流により、この吐出口2付近で激しく破砕され、更に微細な気泡が発生することになる。
【0022】
すなわち、この微細気泡生成ノズルによれば、給水部3を水道に接続し、水道圧以下の低圧値(例えば0.08~0.15MPaの範囲)で水を供給することで、旋回室6内に旋回流を発生させることができる。さらに、この旋回流で生成される負圧によって旋回室内に取り込まれる外気が、旋回流によって破砕されて微細化され、吐出口2から微細気泡として噴出される。
【0023】
このような効果を効率よくもたらすための微細気泡発生体1の各部の好ましい寸法比は、図9に示す通りである。すなわち、旋回室6の直径をD、幅をWとしたとき、D≦W≦1.5D。円錐部9の高さをHとしたとき、H<W/2。吐出口2の開口径をd3としたとき、d3=D/5である。また、給水部3の開口面積をS1、液体導入口13a~13dの合計開口面積をS2、吐出口の開口面積をS3としたとき、S1:S2:S3=9:1:1である。
【0024】
なお、円錐部9の傾斜角θは、W=Dのとき、傾斜角θ=8~45度。W=1.5Dのとき、傾斜角θ=9~55度であるとよい。
【0025】
本発明は以上に構成されるものであるが、この微細気泡生成ノズルは様々な態様で応用可能である。例えば、図10に示すように、本発明の微細気泡生成ノズル1の吐出口2にカバー部材40を取り付けて用いてもよい。カバー部材40によって形成される空間に微細気泡を含有する液体を送り、その空間内に充満させることにより、本体部1が液体中に浸漬されている状態と近い状態を作り出すことができる。このような態様での使用は、人体やペットの洗浄に適している。例えば微細気泡生成ノズル1に取り付けたカバー部材40を人間の頭皮やペットの身体に当て、微細気泡生成ノズル1に給水することにより、頭皮や身体とカバー部材40で形成される空間に微細気泡を高い濃度で含有する液体を貯留させることができ、頭皮や身体のカバー部材40を当てている箇所を効果的に洗浄することができる。
【0026】
また、カバー部材40のかわりに、本発明の微細気泡生成ノズルの吐出口2にシャワーヘッドを取り付けて利用することもできる。これにより、シャワーヘッドから微細気泡を含有した水流が噴出され、少ない水量でも高い洗浄効果を有する水流が得られる。
【0027】
さらに、本発明の微細気泡生成ノズルは、図11に示すように配管Pの途中に組み込んで設けることもできる。これにより、据え付け用のスペースを取らずに配管P内に微細気泡を含んだ液体を生成可能となる。
【符号の説明】
【0028】
1 本体
2 吐出口
3 給水部
4 吸気部
5 旋回発生部
6 旋回室
7 供給部
8 平面部
9 円錐部
10 液体導入路
11 気体導入路
12 液体供給口
13 液体導入口
14 気体供給口
15 気体導入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11