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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108310
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】グレンタンク
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/60 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
A01F12/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009365
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】板山 真
(72)【発明者】
【氏名】西崎 宏
(72)【発明者】
【氏名】三宅 達也
(72)【発明者】
【氏名】五島 一実
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
【テーマコード(参考)】
2B396
【Fターム(参考)】
2B396JC07
2B396KE02
2B396KE03
2B396KE05
2B396LP03
2B396LP08
2B396LP09
2B396LP12
2B396LP17
2B396LR02
2B396LR03
2B396LR04
2B396LR08
2B396LR13
2B396MA02
2B396MC02
2B396MC07
2B396MC13
2B396MG29
2B396MG34
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、従来技術では、グレンタンクの外側壁面全体が上下方向の縦軸回りに回動する構成であるため、グレンタンク内に少量でも穀粒が残留していると、開放したときに零れてしまうため、グレンタンクが空でないと開放することができない問題があった。
そこで、本発明は、上記従来の問題点を解消することにあり、グレンタンク内に一定量貯留されている状態でも外側壁を開放することができ、零れが生じにくいグレンタンクを提供することにある。
【解決手段】
脱穀部(6)の横側に並設され脱穀部(6)からの穀粒を受け入れて貯留するグレンタンク(10)において、グレンタンク(10)の外側の外壁板(15),(16)にあって、上端側の外壁板(15)に対し、下端側の外壁板(16)を前後方向の軸芯(Q)周りに揺動開閉可能に構成し、その開閉外壁板(16)の開時には、途中部で任意の位置で固定調節可能な構成とする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部(6)の横側に並設され脱穀部(6)からの穀粒を受け入れて貯留するグレンタンク(10)において、グレンタンク(10)の外側の外壁板(15),(16)にあって、上端側の外壁板(15)に対し、下端側の外壁板(16)を前後方向の軸芯(Q)周りに揺動開閉可能に構成し、その開閉可能な外壁板(16)の開時には、途中部で任意の位置で固定調節可能な構成としてあることを特徴とするグレンタンク。
【請求項2】
前記開閉可能な外壁板(16)と上部の固定外壁板(15)とは、開閉可能な外壁板(16)を閉じた時には、固定外壁板(15)に重なる位置で固定する構成としてあることを特徴とする請求項1記載のグレンタンク。
【請求項3】
前記開閉可能な外壁板(16)には、開時に受け止めた穀粒の前後方向への穀粒の零れ落ちを防止する防止プレート(23)を設けてあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のグレンタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインのグレンタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された従来技術では、グレンタンク外側壁面が機体後方の縦軸を支点にして時計回りに開く構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-77号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、先行技術の構成では、グレンタンクの外側壁面全体が上下方向の縦軸を支点に外側方に回動するため、グレンタンク内に少量でも穀粒が残留していると、開放したときに零れてしまうため、グレンタンクが空でないと開放することができない問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の問題点を解消することにあり、グレンタンク内に一定量貯留されている状態でも外側壁を開放することができ、穀粒の零れが生じにくいグレンタンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
【0007】
すなわち、請求項1記載の本発明は、脱穀部(6)の横側に並設され脱穀部(6)からの穀粒を受け入れて貯留するグレンタンク(10)において、グレンタンク(10)の外側の外壁板(15),(16)にあって、上端側の外壁板(15)に対し、下端側の外壁板(16)を前後方向の軸芯(Q)周りに揺動開閉可能に構成し、その開閉可能な外壁板(16)の開時には、途中部で任意の位置で固定調節可能な構成としてあることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記開閉可能な外壁板(16)と上部の固定外壁板(15)とは、開閉可能な外壁板(16)を閉じた時には、固定外壁板(15)に重なる位置で固定する構成としてあることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2において、前記開閉可能な外壁板(16)には、開時に受け止めた穀粒の前後方向への穀粒の零れ落ちを防止する防止プレート(23)を設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上要するに、請求項1記載の本発明によれば、グレンタンク10内に穀粒が残留していても、穀粒が零れ落ちることがなく、開閉可能な外壁板16が開いた状態であっても開閉可能な外壁板16で受けとめて回収でき、或いは、受けとめた穀粒を一旦戻して残留穀粒と一緒に処理することもできる。
【0011】
また、開閉状態を任意変更することもできるので、残留処理、点検整備、清掃等、それぞれの作業がしやすい状態に変更調節することができる。また、半開きの状態にしてグレンタンクの容量増加も可能にすることができる。
【0012】
請求項2記載の本発明によれば、請求項1記載の効果に加えて、固定外壁板15によって脱穀部6側から供給される1番揚穀ラセン18からの穀粒の零れを防止できるものでありながら、開閉外壁板16を閉じた際は、固定外壁板16上に重なる状態に固定するため、閉じた時の隙間がなくなり、飛散粒漏出の恐れを回避することができる。
【0013】
請求項3記載の本発明によれば、請求項1又は請求項2記載の効果に加えて、開閉外壁板16を全開にしても、また、半開き状態での増量時においても、防止プレート23が有功に作用して前後方向への穀粒逸脱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態にかかるグレンタンクを有するコンバインの正面図
図2】同上コンバインの平面図
図3】同上グレンタンクの要部(閉じた状態)の斜視図
図4】同上グレンタンクの要部(閉じた状態)の側面図
図5】同上グレンタンクの要部(閉じた状態)の正面図
図6】同上グレンタンクの要部(半開き状態)の斜視図
図7】同上グレンタンクの要部(半開き状態)の側面図
図8】同上グレンタンクの要部(半開き状態)の正面図
図9】同上グレンタンクの要部(開いた状態)の斜視図
図10】同上グレンタンクの要部(開いた状態)の側面図
図11】同上グレンタンクの要部(開いた状態)の正面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明の実施例を図面に基づき説明する。
【0016】
図1及び図2は、圃場に立毛する穀稈を自走しながら刈り取って収穫する自脱型コンバインを示す。すなわち、刈取部5で刈り取られた穀稈を脱穀装置(脱穀部)6の扱室内へ供給し、フィードチェン7により穀稈の株元側を挟持して搬送しながら脱穀処理するようになっている。
【0017】
要するに、走行クローラ1を具備する車体2の前方には、引起し装置3や刈刃4等からなる刈取部5が、その後方には脱穀部6を備えている。刈取部5の横側には、操作ボックス8、運転席9等からなる運転操作部が配置され、その後方には脱穀された穀物を一時的に貯留するグレンタンク10が搭載されている。グレンタンク10内の穀物が満杯になると、グレンタンク10底部の排出ラセン19からの排出ラセン筒11を経て揚穀オーガ筒12に連通する、昇降及び旋回可能な排出オーガ13によって機外の所定位置に排出されるようになっている。
【0018】
なお、脱穀部6の横側に並設するグレンタンク10は、脱穀部6側のメンテナンス時においては、脱穀部6側から離す方向に開いたり、定位置へ戻す方向に閉じたりするよう揺動開閉可能に構成されている。
【0019】
次に、図3図11に示す構成について説明する。
【0020】
グレンタンク10の外側(機体右側)の外壁板は、上部の固定外壁板15と下部の開閉外壁板16とからなり、上部の固定外壁板15は、脱穀部6側から供給される1番揚穀筒出口17の1番揚穀ラセン18からの穀粒の飛散を防止できるようにカバーの役目を果たす構成になっている。
【0021】
下部の開閉外壁板16は、上部の固定外壁板15より上下方向に長くなっており、そして、下端側、つまり、グレンタンク10底部の排出ラセン19近くにおいて、蝶番20を介して前後方向の軸芯Q周りに揺動開閉可能に構成してあり、そして、その開閉外壁板16の開時には、途中部でも任意の位置で固定位置調節ができるように構成している。
【0022】
かかる固定位置調節手段は、グレンタンク10本体に取り付けた調節チェン21と、パッチン錠22とによって工具不要でかつ、ワンタッチで止め外しができるように構成している。なお、固定位置調節手段はワイヤー等の他の可撓性を有する部材であっても構わない。
【0023】
そして、前記開閉外壁板16と上部の固定外壁板15とは、開閉外壁板16を閉じた時には、固定外壁板15上に重なる状態にして固定されるようになっている。つまり、開閉外壁板16が固定外壁板15の上側に重なった状態に閉じるので、隙間がなくなって飛散粒漏出の恐れがなくなる。
【0024】
また、開閉外壁板16には、開時に受けとめた穀粒の前後方向への穀粒の零れ落ちを防止する防止プレート23が設けられている。この防止プレート23は、図9~11に示すように開閉外壁板16を全開にして清掃する場合や、図6~8に示すように、半開き状態に設定して増量タンクとして利用する場合においても、有効に作用する。
【0025】
調節チェン21を外してしまうと、開閉外壁板16は、水平位置状態で固定されることになり、清掃、メンテナンス等が容易に行える。
【0026】
開閉外壁板16の開閉状態を検出するスイッチを設け、タンク容量増加位置と清掃位置を判断できる構成にしておくと便利である。スイッチの反応に応じて、車速等を制御できる構成とする。例えば、タンク容量増加位置にある場合は、HSTを制御し、車速の最高値を自動で低く設定する構成にしたり、清掃位置にある場合には、HSTの制御により走行できないようにすることができる。
【0027】
また、作業途中(機体停止中でも)タンク容量増加位置までは、開閉外壁板16をオープンすることができる構成にしておけば、例えば、穀粒運搬車が到着までにあと少し刈取作業を行いたい場合において、開閉外壁板16を開くことでグレンタンク10の貯留容量が増加するため、作業効率がアップする。
【符号の説明】
【0028】
6 脱穀部
10 グレンタンク
15 固定外壁板
16 開閉外壁板
19 排出ラセン
20 蝶番
Q 軸芯
21 調節チェン
22 パッチン錠
23 防止プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11