(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108329
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】振動検出システムおよび振動検出方法
(51)【国際特許分類】
G01S 13/86 20060101AFI20230728BHJP
G01B 11/00 20060101ALN20230728BHJP
【FI】
G01S13/86
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009387
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小堺 修
(72)【発明者】
【氏名】チュ バヒエン
【テーマコード(参考)】
2F065
5J070
【Fターム(参考)】
2F065AA01
2F065AA03
2F065AA09
2F065CC16
2F065DD03
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ31
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC11
5J070AE01
5J070AE09
5J070AF03
5J070AH39
5J070AK22
5J070BD06
5J070BD08
(57)【要約】
【課題】微小な振動を精度よく検出することができる振動検出システムおよび振動検出方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る振動検出システムは、ビジョンセンサと、レーダと、ビジョンセンサおよびレーダを制御する制御部と、を備える。また、制御部は、特定部と、取得部と、を有する。特定部は、ビジョンセンサによって被測定物内の振動源の位置を特定する。取得部は、特定された振動源の位置の振動に関する振動情報をレーダによって取得する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビジョンセンサと、
レーダと、
前記ビジョンセンサおよび前記レーダを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ビジョンセンサによって被測定物内の振動源の位置を特定する特定部と、
特定された前記振動源の位置の振動に関する振動情報を前記レーダによって取得する取得部と、
を有する振動検出システム。
【請求項2】
前記ビジョンセンサおよび前記レーダは、互いに近接して配置される
請求項1に記載の振動検出システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記振動情報から、前記被測定物における前記振動源とは異なる位置の振動に関するノイズ振動情報を除去する
請求項1に記載の振動検出システム。
【請求項4】
前記ノイズ振動情報は、前記レーダによって取得される
請求項3に記載の振動検出システム。
【請求項5】
前記ノイズ振動情報は、前記ビジョンセンサによって取得される
請求項3に記載の振動検出システム。
【請求項6】
前記取得部は、前記振動情報から、振動センサによって取得されるノイズ振動情報を除去する
請求項1に記載の振動検出システム。
【請求項7】
前記ビジョンセンサおよび前記レーダは、車両の内部が観測領域となるように設置される
請求項1に記載の振動検出システム。
【請求項8】
前記被測定物は、人体であり、
前記振動源は、心臓および肺の少なくとも一方である
請求項1に記載の振動検出システム。
【請求項9】
コンピュータが実行する振動検出方法であって、
ビジョンセンサによって被測定物内の振動源の位置を特定する特定工程と、
特定された前記振動源の位置の振動に関する振動情報をレーダによって取得する取得工程と、
を含む振動検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動検出システムおよび振動検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の安全性向上などを目的に、車室内の乗員検出用センサの開発が進められている。このセンサは、たとえば、エアバッグの制御、自動運転の制御などに利用される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示では、微小な振動を精度よく検出することができる振動検出システムおよび振動検出方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示によれば、振動検出システムが提供される。振動検出システムは、ビジョンセンサと、レーダと、前記ビジョンセンサおよび前記レーダを制御する制御部と、を備える。また、前記制御部は、特定部と、取得部と、を有する。特定部は、前記ビジョンセンサによって被測定物内の振動源の位置を特定する。取得部は、特定された前記振動源の位置の振動に関する振動情報を前記レーダによって取得する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の実施形態に係る車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るセンシング領域の例を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る車両制御システムの詳細な構成例を示すブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るビジョンセンサおよびレーダの配置の一例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る車両制御システムが実行する処理の一例を説明するための図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る車両制御システムが実行する処理の一例を説明するための図である。
【
図7】本開示の実施形態の変形例1に係る車両制御システムが実行する処理の一例を説明するための図である。
【
図8】本開示の実施形態の変形例1に係る車両制御システムが実行する処理の一例を説明するための図である。
【
図9】本開示の実施形態の変形例2に係る車両制御システムが実行する処理の一例を説明するための図である。
【
図10】本開示の実施形態の変形例3に係る車両制御システムが実行する処理の一例を説明するための図である。
【
図11】本開示の実施形態の変形例4に係る車両制御システムが実行する処理の一例を説明するための図である。
【
図12】本開示の実施形態の変形例4に係る車両制御システムが実行する処理の一例を説明するための図である。
【
図13】本開示の実施形態に係る車両制御システムが実行する検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図14】本開示の実施形態の変形例1に係る車両制御システムが実行する検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図15】本開示の実施形態の変形例2に係る車両制御システムが実行する検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図16】本開示の実施形態の変形例3に係る車両制御システムが実行する検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、本開示の各実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0008】
近年、自動車の安全性向上などを目的に、車室内の乗員検出用センサの開発が進められている。このセンサは、たとえば、エアバッグの制御、自動運転の制御などに利用される。
【0009】
しかしながら、上記の従来技術では、車室内における乗員の有無自体を検出することができる一方で、乗員のバイタル情報(たとえば、心拍数や呼吸数など)を精度よく検出することは非常に困難であった。
【0010】
そこで、上述の問題点を克服し、乗員の心拍や呼吸などによって生じる微小な振動を精度よく検出することができる技術の実現が期待されている。
【0011】
<車両制御システムの構成例>
図1は、本技術が適用される移動装置制御システムの一例である車両制御システム11の構成例を示すブロック図である。車両制御システム11は、振動検出システムの一例である。
【0012】
車両制御システム11は、車両1に設けられ、車両1の走行支援及び自動運転に関わる処理を行う。
【0013】
車両制御システム11は、車両制御ECU(Electronic Control Unit)21、通信部22、地図情報蓄積部23、位置情報取得部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記憶部28、走行支援・自動運転制御部29、DMS(Driver Monitoring System)30、HMI(Human Machine Interface)31、及び、車両制御部32を備える。走行支援・自動運転制御部29は、制御部の一例である。
【0014】
車両制御ECU21、通信部22、地図情報蓄積部23、位置情報取得部24、外部認識センサ25、車内センサ26、車両センサ27、記憶部28、走行支援・自動運転制御部29、ドライバモニタリングシステム(DMS)30、ヒューマンマシーンインタフェース(HMI)31、及び、車両制御部32は、通信ネットワーク41を介して相互に通信可能に接続されている。通信ネットワーク41は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)、FlexRay(登録商標)、イーサネット(登録商標)といったディジタル双方向通信の規格に準拠した車載通信ネットワークやバス等により構成される。通信ネットワーク41は、伝送されるデータの種類によって使い分けられてもよい。例えば、車両制御に関するデータに対してCANが適用され、大容量データに対してイーサネットが適用されるようにしてもよい。なお、車両制御システム11の各部は、通信ネットワーク41を介さずに、例えば近距離無線通信(NFC(Near Field Communication))やBluetooth(登録商標)といった比較的近距離での通信を想定した無線通信を用いて直接的に接続される場合もある。
【0015】
なお、以下、車両制御システム11の各部が、通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、通信ネットワーク41の記載を省略するものとする。例えば、車両制御ECU21と通信部22が通信ネットワーク41を介して通信を行う場合、単に車両制御ECU21と通信部22とが通信を行うと記載する。
【0016】
車両制御ECU21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)といった各種のプロセッサにより構成される。車両制御ECU21は、車両制御システム11全体又は一部の機能の制御を行う。
【0017】
通信部22は、車内及び車外の様々な機器、他の車両、サーバ、基地局等と通信を行い、各種のデータの送受信を行う。このとき、通信部22は、複数の通信方式を用いて通信を行うことができる。
【0018】
通信部22が実行可能な車外との通信について、概略的に説明する。通信部22は、例えば、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)等の無線通信方式により、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク上に存在するサーバ(以下、外部のサーバと呼ぶ)等と通信を行う。通信部22が通信を行う外部ネットワークは、例えば、インターネット、クラウドネットワーク、又は、事業者固有のネットワーク等である。通信部22が外部ネットワークに対して行う通信方式は、所定以上の通信速度、且つ、所定以上の距離間でディジタル双方向通信が可能な無線通信方式であれば、特に限定されない。
【0019】
また、例えば、通信部22は、P2P(Peer To Peer)技術を用いて、自車の近傍に存在する端末と通信を行うことができる。自車の近傍に存在する端末は、例えば、歩行者や自転車等の比較的低速で移動する移動体が装着する端末、店舗等に位置が固定されて設置される端末、又は、MTC(Machine Type Communication)端末である。さらに、通信部22は、V2X通信を行うこともできる。V2X通信とは、例えば、他の車両との間の車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路側器等との間の路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、家との間(Vehicle to Home)の通信、及び、歩行者が所持する端末等との間の歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信等の、自車と他との通信をいう。
【0020】
通信部22は、例えば、車両制御システム11の動作を制御するソフトウエアを更新するためのプログラムを外部から受信することができる(Over The Air)。通信部22は、さらに、地図情報、交通情報、車両1の周囲の情報等を外部から受信することができる。また例えば、通信部22は、車両1に関する情報や、車両1の周囲の情報等を外部に送信することができる。通信部22が外部に送信する車両1に関する情報としては、例えば、車両1の状態を示すデータ、認識部73による認識結果等がある。さらに例えば、通信部22は、eコール等の車両緊急通報システムに対応した通信を行う。
【0021】
例えば、通信部22は、電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送等の道路交通情報通信システム(VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標))により送信される電磁波を受信する。
【0022】
通信部22が実行可能な車内との通信について、概略的に説明する。通信部22は、例えば無線通信を用いて、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部22は、例えば、無線LAN、Bluetooth、NFC、WUSB(Wireless USB)といった、無線通信により所定以上の通信速度でディジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の機器と無線通信を行うことができる。これに限らず、通信部22は、有線通信を用いて車内の各機器と通信を行うこともできる。例えば、通信部22は、図示しない接続端子に接続されるケーブルを介した有線通信により、車内の各機器と通信を行うことができる。通信部22は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)、MHL(Mobile High-definition Link)といった、有線通信により所定以上の通信速度でディジタル双方向通信が可能な通信方式により、車内の各機器と通信を行うことができる。
【0023】
ここで、車内の機器とは、例えば、車内において通信ネットワーク41に接続されていない機器を指す。車内の機器としては、例えば、運転者等の搭乗者が所持するモバイル機器やウェアラブル機器、車内に持ち込まれ一時的に設置される情報機器等が想定される。
【0024】
地図情報蓄積部23は、外部から取得した地図及び車両1で作成した地図の一方又は両方を蓄積する。例えば、地図情報蓄積部23は、3次元の高精度地図、高精度地図より精度が低く、広いエリアをカバーするグローバルマップ等を蓄積する。
【0025】
高精度地図は、例えば、ダイナミックマップ、ポイントクラウドマップ、ベクターマップ等である。ダイナミックマップは、例えば、動的情報、準動的情報、準静的情報、静的情報の4層からなる地図であり、外部のサーバ等から車両1に提供される。ポイントクラウドマップは、ポイントクラウド(点群データ)により構成される地図である。ベクターマップは、例えば、車線や信号機の位置といった交通情報等をポイントクラウドマップに対応付け、ADAS(Advanced Driver Assistance System)やAD(Autonomous Driving)に適合させた地図である。
【0026】
ポイントクラウドマップ及びベクターマップは、例えば、外部のサーバ等から提供されてもよいし、カメラ51、レーダ52、LiDAR53等によるセンシング結果に基づいて、後述するローカルマップとのマッチングを行うための地図として車両1で作成され、地図情報蓄積部23に蓄積されてもよい。また、外部のサーバ等から高精度地図が提供される場合、通信容量を削減するため、車両1がこれから走行する計画経路に関する、例えば数百メートル四方の地図データが外部のサーバ等から取得される。
【0027】
位置情報取得部24は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、車両1の位置情報を取得する。取得した位置情報は、走行支援・自動運転制御部29に供給される。なお、位置情報取得部24は、GNSS信号を用いた方式に限定されず、例えば、ビーコンを用いて位置情報を取得してもよい。
【0028】
外部認識センサ25は、車両1の外部の状況の認識に用いられる各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。外部認識センサ25が備えるセンサの種類や数は任意である。
【0029】
例えば、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)53、及び、超音波センサ54を備える。これに限らず、外部認識センサ25は、カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54のうち1種類以上のセンサを備える構成でもよい。カメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の数は、現実的に車両1に設置可能な数であれば特に限定されない。また、外部認識センサ25が備えるセンサの種類は、この例に限定されず、外部認識センサ25は、他の種類のセンサを備えてもよい。外部認識センサ25が備える各センサのセンシング領域の例は、後述する。
【0030】
なお、カメラ51の撮影方式は、特に限定されない。例えば、測距が可能な撮影方式であるToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった各種の撮影方式のカメラを、必要に応じてカメラ51に適用することができる。これに限らず、カメラ51は、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。
【0031】
また、例えば、外部認識センサ25は、車両1に対する環境を検出するための環境センサを備えることができる。環境センサは、天候、気象、明るさ等の環境を検出するためのセンサであって、例えば、雨滴センサ、霧センサ、日照センサ、雪センサ、照度センサ等の各種センサを含むことができる。
【0032】
さらに、例えば、外部認識センサ25は、車両1の周囲の音や音源の位置の検出等に用いられるマイクロフォンを備える。
【0033】
車内センサ26は、車内の情報を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車内センサ26が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
【0034】
例えば、車内センサ26は、カメラ、レーダ、着座センサ、ステアリングホイールセンサ、マイクロフォン、生体センサのうち1種類以上のセンサを備えることができる。車内センサ26が備えるカメラとしては、例えば、ToFカメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラといった、測距可能な各種の撮影方式のカメラを用いることができる。これに限らず、車内センサ26が備えるカメラは、測距に関わらずに、単に撮影画像を取得するためのものであってもよい。車内センサ26が備える生体センサは、例えば、シートやステアリングホイール等に設けられ、運転者等の搭乗者の各種の生体情報を検出する。かかる車内センサ26の詳細については後述する。
【0035】
車両センサ27は、車両1の状態を検出するための各種のセンサを備え、各センサからのセンサデータを車両制御システム11の各部に供給する。車両センサ27が備える各種センサの種類や数は、現実的に車両1に設置可能な種類や数であれば特に限定されない。
【0036】
例えば、車両センサ27は、速度センサ、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、及び、それらを統合した慣性計測装置(IMU(Inertial Measurement Unit))を備える。例えば、車両センサ27は、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、ヨーレートセンサ、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ、及び、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサを備える。例えば、車両センサ27は、エンジンやモータの回転数を検出する回転センサ、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ、タイヤのスリップ率を検出するスリップ率センサ、及び、車輪の回転速度を検出する車輪速センサを備える。例えば、車両センサ27は、バッテリの残量及び温度を検出するバッテリセンサ、並びに、外部からの衝撃を検出する衝撃センサを備える。
【0037】
記憶部28は、不揮発性の記憶媒体及び揮発性の記憶媒体のうち少なくとも一方を含み、データやプログラムを記憶する。記憶部28は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)として用いられ、記憶媒体としては、HDD(Hard Disc Drive)といった磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び、光磁気記憶デバイスを適用することができる。記憶部28は、車両制御システム11の各部が用いる各種プログラムやデータを記憶する。例えば、記憶部28は、EDR(Event Data Recorder)やDSSAD(Data Storage System for Automated Driving)を備え、事故等のイベントの前後の車両1の情報や車内センサ26によって取得された情報を記憶する。
【0038】
走行支援・自動運転制御部29は、車両1の走行支援及び自動運転の制御を行う。例えば、走行支援・自動運転制御部29は、分析部61、行動計画部62、及び、動作制御部63を備える。
【0039】
分析部61は、車両1及び周囲の状況の分析処理を行う。分析部61は、自己位置推定部71、センサフュージョン部72、及び、認識部73を備える。また、実施形態に係る分析部61は、特定部74(
図3参照)、取得部75(
図3参照)、及び、変換部76(
図3参照)をさらに備える。
【0040】
自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータ、及び、地図情報蓄積部23に蓄積されている高精度地図に基づいて、車両1の自己位置を推定する。例えば、自己位置推定部71は、外部認識センサ25からのセンサデータに基づいてローカルマップを生成し、ローカルマップと高精度地図とのマッチングを行うことにより、車両1の自己位置を推定する。車両1の位置は、例えば、後輪対車軸の中心が基準とされる。
【0041】
ローカルマップは、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の技術を用いて作成される3次元の高精度地図、占有格子地図(Occupancy Grid Map)等である。3次元の高精度地図は、例えば、上述したポイントクラウドマップ等である。占有格子地図は、車両1の周囲の3次元又は2次元の空間を所定の大きさのグリッド(格子)に分割し、グリッド単位で物体の占有状態を示す地図である。物体の占有状態は、例えば、物体の有無や存在確率により示される。ローカルマップは、例えば、認識部73による車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理にも用いられる。
【0042】
なお、自己位置推定部71は、位置情報取得部24により取得される位置情報、及び、車両センサ27からのセンサデータに基づいて、車両1の自己位置を推定してもよい。
【0043】
センサフュージョン部72は、複数の異なる種類のセンサデータ(例えば、カメラ51から供給される画像データ、及び、レーダ52から供給されるセンサデータ)を組み合わせて、新たな情報を得るセンサフュージョン処理を行う。異なる種類のセンサデータを組合せる方法としては、統合、融合、連合等がある。
【0044】
認識部73は、車両1の外部の状況の検出を行う検出処理、及び、車両1の外部の状況の認識を行う認識処理を実行する。
【0045】
例えば、認識部73は、外部認識センサ25からの情報、自己位置推定部71からの情報、センサフュージョン部72からの情報等に基づいて、車両1の外部の状況の検出処理及び認識処理を行う。
【0046】
具体的には、例えば、認識部73は、車両1の周囲の物体の検出処理及び認識処理等を行う。物体の検出処理とは、例えば、物体の有無、大きさ、形、位置、動き等を検出する処理である。物体の認識処理とは、例えば、物体の種類等の属性を認識したり、特定の物体を識別したりする処理である。ただし、検出処理と認識処理とは、必ずしも明確に分かれるものではなく、重複する場合がある。
【0047】
例えば、認識部73は、レーダ52又はLiDAR53等によるセンサデータに基づくポイントクラウドを点群の塊毎に分類するクラスタリングを行うことにより、車両1の周囲の物体を検出する。これにより、車両1の周囲の物体の有無、大きさ、形状、位置が検出される。
【0048】
例えば、認識部73は、クラスタリングにより分類された点群の塊の動きを追従するトラッキングを行うことにより、車両1の周囲の物体の動きを検出する。これにより、車両1の周囲の物体の速度及び進行方向(移動ベクトル)が検出される。
【0049】
例えば、認識部73は、カメラ51から供給される画像データに基づいて、車両、人、自転車、障害物、構造物、道路、信号機、交通標識、道路標示等を検出又は認識する。また、認識部73は、セマンティックセグメンテーション等の認識処理を行うことにより、車両1の周囲の物体の種類を認識してもよい。
【0050】
例えば、認識部73は、地図情報蓄積部23に蓄積されている地図、自己位置推定部71による自己位置の推定結果、及び、認識部73による車両1の周囲の物体の認識結果に基づいて、車両1の周囲の交通ルールの認識処理を行うことができる。認識部73は、この処理により、信号機の位置及び状態、交通標識及び道路標示の内容、交通規制の内容、並びに、走行可能な車線等を認識することができる。
【0051】
例えば、認識部73は、車両1の周囲の環境の認識処理を行うことができる。認識部73が認識対象とする周囲の環境としては、天候、気温、湿度、明るさ、及び、路面の状態等が想定される。
【0052】
図1には図示されていない特定部74、取得部75および変換部76を含めた、実施形態に係る分析部61の詳細については後述する。
【0053】
行動計画部62は、車両1の行動計画を作成する。例えば、行動計画部62は、経路計画、経路追従の処理を行うことにより、行動計画を作成する。
【0054】
なお、経路計画(Global path planning)とは、スタートからゴールまでの大まかな経路を計画する処理である。この経路計画には、軌道計画と言われ、計画した経路において、車両1の運動特性を考慮して、車両1の近傍で安全かつ滑らかに進行することが可能な軌道生成(Local path planning)を行う処理も含まれる。
【0055】
経路追従とは、経路計画により計画された経路を計画された時間内で安全かつ正確に走行するための動作を計画する処理である。行動計画部62は、例えば、この経路追従の処理の結果に基づき、車両1の目標速度と目標角速度を計算することができる。
【0056】
動作制御部63は、行動計画部62により作成された行動計画を実現するために、車両1の動作を制御する。
【0057】
例えば、動作制御部63は、後述する車両制御部32に含まれる、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、及び、駆動制御部83を制御して、軌道計画により計算された軌道を車両1が進行するように、加減速制御及び方向制御を行う。例えば、動作制御部63は、衝突回避又は衝撃緩和、追従走行、車速維持走行、自車の衝突警告、自車のレーン逸脱警告等のADASの機能実現を目的とした協調制御を行う。例えば、動作制御部63は、運転者の操作によらずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行う。
【0058】
DMS30は、車内センサ26からのセンサデータ、及び、後述するHMI31に入力される入力データ等に基づいて、運転者の認証処理、及び、運転者の状態の認識処理等を行う。認識対象となる運転者の状態としては、例えば、体調、覚醒度、集中度、疲労度、視線方向、酩酊度、運転操作、姿勢等が想定される。
【0059】
なお、DMS30が、運転者以外の搭乗者の認証処理、及び、当該搭乗者の状態の認識処理を行うようにしてもよい。また、例えば、DMS30が、車内センサ26からのセンサデータに基づいて、車内の状況の認識処理を行うようにしてもよい。認識対象となる車内の状況としては、例えば、気温、湿度、明るさ、臭い等が想定される。
【0060】
HMI31は、各種のデータや指示等の入力と、各種のデータの運転者等への提示を行う。
【0061】
HMI31によるデータの入力について、概略的に説明する。HMI31は、人がデータを入力するための入力デバイスを備える。HMI31は、入力デバイスにより入力されたデータや指示等に基づいて入力信号を生成し、車両制御システム11の各部に供給する。HMI31は、入力デバイスとして、例えばタッチパネル、ボタン、スイッチ、及び、レバーといった操作子を備える。これに限らず、HMI31は、音声やジェスチャ等により手動操作以外の方法で情報を入力可能な入力デバイスをさらに備えてもよい。さらに、HMI31は、例えば、赤外線又は電波を利用したリモートコントロール装置や、車両制御システム11の操作に対応したモバイル機器又はウェアラブル機器等の外部接続機器を入力デバイスとして用いてもよい。
【0062】
HMI31によるデータの提示について、概略的に説明する。HMI31は、搭乗者又は車外に対する視覚情報、聴覚情報、及び、触覚情報の生成を行う。また、HMI31は、生成された各情報の出力、出力内容、出力タイミング及び出力方法等を制御する出力制御を行う。HMI31は、視覚情報として、例えば、操作画面、車両1の状態表示、警告表示、車両1の周囲の状況を示すモニタ画像等の画像や光により示される情報を生成及び出力する。また、HMI31は、聴覚情報として、例えば、音声ガイダンス、警告音、警告メッセージ等の音により示される情報を生成及び出力する。さらに、HMI31は、触覚情報として、例えば、力、振動、動き等により搭乗者の触覚に与えられる情報を生成及び出力する。
【0063】
HMI31が視覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、自身が画像を表示することで視覚情報を提示する表示装置や、画像を投影することで視覚情報を提示するプロジェクタ装置を適用することができる。なお、表示装置は、通常のディスプレイを有する表示装置以外にも、例えば、ヘッドアップディスプレイ、透過型ディスプレイ、AR(Augmented Reality)機能を備えるウエアラブルデバイスといった、搭乗者の視界内に視覚情報を表示する装置であってもよい。また、HMI31は、車両1に設けられるナビゲーション装置、インストルメントパネル、CMS(Camera Monitoring System)、電子ミラー、ランプ等が有する表示デバイスを、視覚情報を出力する出力デバイスとして用いることも可能である。
【0064】
HMI31が聴覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、オーディオスピーカ、ヘッドホン、イヤホンを適用することができる。
【0065】
HMI31が触覚情報を出力する出力デバイスとしては、例えば、ハプティクス技術を用いたハプティクス素子を適用することができる。ハプティクス素子は、例えば、ステアリングホイール、シートといった、車両1の搭乗者が接触する部分に設けられる。
【0066】
車両制御部32は、車両1の各部の制御を行う。車両制御部32は、ステアリング制御部81、ブレーキ制御部82、駆動制御部83、ボディ系制御部84、ライト制御部85、及び、ホーン制御部86を備える。
【0067】
ステアリング制御部81は、車両1のステアリングシステムの状態の検出及び制御等を行う。ステアリングシステムは、例えば、ステアリングホイール等を備えるステアリング機構、電動パワーステアリング等を備える。ステアリング制御部81は、例えば、ステアリングシステムの制御を行うステアリングECU、ステアリングシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0068】
ブレーキ制御部82は、車両1のブレーキシステムの状態の検出及び制御等を行う。ブレーキシステムは、例えば、ブレーキペダル等を含むブレーキ機構、ABS(Antilock Brake System)、回生ブレーキ機構等を備える。ブレーキ制御部82は、例えば、ブレーキシステムの制御を行うブレーキECU、ブレーキシステムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0069】
駆動制御部83は、車両1の駆動システムの状態の検出及び制御等を行う。駆動システムは、例えば、アクセルペダル、内燃機関又は駆動用モータ等の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構等を備える。駆動制御部83は、例えば、駆動システムの制御を行う駆動ECU、駆動システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0070】
ボディ系制御部84は、車両1のボディ系システムの状態の検出及び制御等を行う。ボディ系システムは、例えば、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウインドウ装置、パワーシート、空調装置、エアバッグ、シートベルト、シフトレバー等を備える。ボディ系制御部84は、例えば、ボディ系システムの制御を行うボディ系ECU、ボディ系システムの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0071】
ライト制御部85は、車両1の各種のライトの状態の検出及び制御等を行う。制御対象となるライトとしては、例えば、ヘッドライト、バックライト、フォグライト、ターンシグナル、ブレーキライト、プロジェクション、バンパーの表示等が想定される。ライト制御部85は、ライトの制御を行うライトECU、ライトの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0072】
ホーン制御部86は、車両1のカーホーンの状態の検出及び制御等を行う。ホーン制御部86は、例えば、カーホーンの制御を行うホーンECU、カーホーンの駆動を行うアクチュエータ等を備える。
【0073】
図2は、
図1の外部認識センサ25のカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54等によるセンシング領域の例を示す図である。なお、
図2において、車両1を上面から見た様子が模式的に示され、左端側が車両1の前端(フロント)側であり、右端側が車両1の後端(リア)側となっている。
【0074】
センシング領域101F及びセンシング領域101Bは、超音波センサ54のセンシング領域の例を示している。センシング領域101Fは、複数の超音波センサ54によって車両1の前端周辺をカバーしている。センシング領域101Bは、複数の超音波センサ54によって車両1の後端周辺をカバーしている。
【0075】
センシング領域101F及びセンシング領域101Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の駐車支援等に用いられる。
【0076】
センシング領域102F乃至センシング領域102Bは、短距離又は中距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。センシング領域102Fは、車両1の前方において、センシング領域101Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Bは、車両1の後方において、センシング領域101Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域102Lは、車両1の左側面の後方の周辺をカバーしている。センシング領域102Rは、車両1の右側面の後方の周辺をカバーしている。
【0077】
センシング領域102Fにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の前方に存在する車両や歩行者等の検出等に用いられる。センシング領域102Bにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の後方の衝突防止機能等に用いられる。センシング領域102L及びセンシング領域102Rにおけるセンシング結果は、例えば、車両1の側方の死角における物体の検出等に用いられる。
【0078】
センシング領域103F乃至センシング領域103Bは、カメラ51によるセンシング領域の例を示している。センシング領域103Fは、車両1の前方において、センシング領域102Fより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Bは、車両1の後方において、センシング領域102Bより遠い位置までカバーしている。センシング領域103Lは、車両1の左側面の周辺をカバーしている。センシング領域103Rは、車両1の右側面の周辺をカバーしている。
【0079】
センシング領域103Fにおけるセンシング結果は、例えば、信号機や交通標識の認識、車線逸脱防止支援システム、自動ヘッドライト制御システムに用いることができる。センシング領域103Bにおけるセンシング結果は、例えば、駐車支援、及び、サラウンドビューシステムに用いることができる。センシング領域103L及びセンシング領域103Rにおけるセンシング結果は、例えば、サラウンドビューシステムに用いることができる。
【0080】
センシング領域104は、LiDAR53のセンシング領域の例を示している。センシング領域104は、車両1の前方において、センシング領域103Fより遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域104は、センシング領域103Fより左右方向の範囲が狭くなっている。
【0081】
センシング領域104におけるセンシング結果は、例えば、周辺車両等の物体検出に用いられる。
【0082】
センシング領域105は、長距離用のレーダ52のセンシング領域の例を示している。
センシング領域105は、車両1の前方において、センシング領域104より遠い位置までカバーしている。一方、センシング領域105は、センシング領域104より左右方向の範囲が狭くなっている。
【0083】
センシング領域105におけるセンシング結果は、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control)、緊急ブレーキ、衝突回避等に用いられる。
【0084】
なお、外部認識センサ25が含むカメラ51、レーダ52、LiDAR53、及び、超音波センサ54の各センサのセンシング領域は、
図2以外に各種の構成をとってもよい。具体的には、超音波センサ54が車両1の側方もセンシングするようにしてもよいし、LiDAR53が車両1の後方をセンシングするようにしてもよい。また、各センサの設置位置は、上述した各例に限定されない。また、各センサの数は、1つでもよいし、複数であってもよい。
【0085】
<制御処理の詳細>
つづいて、実施形態に係る制御処理の詳細について、
図3~
図6を参照しながら説明する。
図3は、本開示の実施形態に係る車両制御システム11の詳細な構成例を示すブロック図であり、
図4は、本開示の実施形態に係るビジョンセンサ55およびレーダ56の配置の一例を示す図である。また、
図5および
図6は、本開示の実施形態に係る車両制御システム11が実行する処理の一例を説明するための図である。
【0086】
図3に示すように、実施形態に係る車内センサ26は、ビジョンセンサ55と、レーダ56とを有する。ビジョンセンサ55は、観測領域内の状況を撮像することができるセンサであり、たとえば、RGBカメラやIR(赤外線)カメラ、ToF(Time of Flight)センサ、EVS(Event-based Vision Sensor)などである。
【0087】
レーダ56は、所定帯域(たとえば、ミリ波など)の電波を発信するとともに、観測領域内の物体から反射した電波を受信することで、かかる物体までの距離や物体の方角、物体の速度などを測定する。
【0088】
かかるビジョンセンサ55およびレーダ56は、
図4に示すように、車両1の車内前方(たとえば、オーバーヘッドコンソールの近傍など)に配置され、車内の所定領域(たとえば、運転席や助手席など)が観測領域となるように設置される。また、ビジョンセンサ55およびレーダ56は、互いに近接して配置される。
【0089】
図3の説明に戻る。分析部61は、自己位置推定部71と、センサフュージョン部72と、認識部73と、特定部74と、取得部75と、変換部76とを具備し、以下に説明する制御処理の機能や作用を実現または実行する。
【0090】
なお、分析部61の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する制御処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、自己位置推定部71、センサフュージョン部72および認識部73については上記にて説明しているため、詳細な説明は省略する。
【0091】
最初に、
図5に示すように、特定部74(
図3参照)は、ビジョンセンサ55で車内の乗員(たとえば、運転者D)の胸部の位置を特定する(ステップS01)。乗員および運転者Dは、被測定物の一例である。
【0092】
特定部74は、たとえば、ビジョンセンサ55で撮像された画像に対して公知の画像処理を施すことで、人体(運転者D)の各部位の位置を検出し、検出された各部位の中から胸部の位置を特定する。
【0093】
また胸部には、振動源の一例である心臓および肺が存在することから、特定部74によって胸部の位置を特定することで、運転者Dにおける振動源の位置を特定することができる。
【0094】
次に、
図6に示すように、取得部75(
図3参照)は、特定部74(
図3参照)によって位置が特定された胸部の振動情報を、レーダ56で取得する(ステップS02)。
【0095】
具体的には、取得部75は、特定部74によって特定された胸部の位置と同じ方角の物体までの距離の変位(時間推移)をレーダ56で測定し、測定された距離の変位に基づいて胸部の振動情報を取得する。
【0096】
なお、本開示では、心拍の変位が0.1~0.5(mm)程度、呼吸の変位が1~12(mm)程度であるのに対し、ミリ波の波長が1(cm)以下である。そのため、心拍や呼吸の変位によってミリ波の位相がずれることから、かかる位相の変化をレーダ56で取得することで、問題無く胸部の振動情報を取得することができる。
【0097】
次に、変換部76(
図3参照)は、上述のステップS02の処理につづいて、取得部75によって取得された胸部の振動情報を、運転者Dのバイタル情報(たとえば、心拍数や呼吸数)に変換する(ステップS03)。
【0098】
たとえば、変換部76は、胸部の振動情報から、心拍数や呼吸数と推定可能な振動数(たとえば、心拍数であれば60~100(回/分)程度)を有する振動をバイタル情報として抽出することで、胸部の振動情報を運転者Dのバイタル情報に変換する。
【0099】
ここで、実施形態では、レーダ56で用いられる電波が服を透過する帯域であることから、レーダ56によって運転者Dの皮膚の動きを直接検知することができる。そのため、実施形態では、運転者Dの胸部の動きを精度よく検出することができる。
【0100】
さらに、実施形態では、運転者Dの胸部の位置をビジョンセンサ55で特定し、かかる特定された胸部の位置に基づいて胸部の振動情報を取得するため、反射物が多い車内の環境下であっても、運転者Dの胸部の動きを精度よく検出することができる。
【0101】
このように、実施形態では、特定部74および取得部75によってビジョンセンサ55とレーダ56とを連動させることで、運転者Dの心拍や呼吸などによって生じる微小な振動を精度よく検出することができる。
【0102】
また、実施形態では、ビジョンセンサ55およびレーダ56が、互いに近接して配置されるとよい。これにより、特定部74で特定された胸部の位置情報を精度よく取得部75に連動させることができるため、運転者Dの心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0103】
また、実施形態では、被測定物(ここでは、運転者D)の前方側(たとえば、車両1の車内前方)にレーダ56が配置されるとよい。これにより、呼吸などの際に背中側の胸部よりも変位が大きい前方側の胸部をレーダ56で測定することができるため、運転者Dの心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0104】
<変形例1>
つづいて、実施形態の各種変形例に係る検出処理の詳細について説明する。
図7および
図8は、本開示の実施形態の変形例1に係る車両制御システム11が実行する処理の一例を説明するための図である。
【0105】
この変形例1では、まず、特定部74(
図3参照)が、ビジョンセンサ55(
図3参照)で車内の運転者D(
図5参照)の胸部の位置を特定する(ステップS11)。次に、取得部75(
図3参照)は、特定部74によって位置が特定された胸部の振動情報を、レーダ56(
図3参照)で取得する(ステップS12)。
【0106】
なお、かかるステップS11およびステップS12の処理は、上述のステップS01およびステップS02の処理と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0107】
次に、
図7に示すように、特定部74(
図3参照)は、ビジョンセンサ55で運転者Dの胸部とは異なる部位の位置を特定する(ステップS13)。
【0108】
特定部74は、たとえば、ビジョンセンサ55で撮像された画像に対して公知の画像処理を施すことで、運転者Dの各部位の位置を検出し、検出された各部位の中から胸部とは異なる部位(たとえば、肩や首筋など)の位置を特定する。
【0109】
次に、
図8に示すように、取得部75(
図3参照)は、特定部74(
図3参照)によって位置が特定された部位の振動情報であるノイズ振動情報を、レーダ56で取得する(ステップS14)。
【0110】
具体的には、取得部75は、特定部74によって特定された部位の位置と同じ方角の物体までの距離の変位(時間推移)をレーダ56で測定し、測定された距離の変位に基づいてノイズ振動情報を取得する。
【0111】
次に、変換部76(
図3参照)は、取得部75によって取得された胸部の振動情報から、胸部とは異なる部位のノイズ振動情報を除去し、ノイズ振動情報が除去された振動情報を運転者Dのバイタル情報に変換する(ステップS15)。
【0112】
これにより、走行中の車内などの微小な振動が常に発生する環境下であっても、かかる微小な振動成分が除去されたバイタル情報を取得することができる。したがって、変形例1によれば、運転者Dの心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0113】
また、変形例1では、ノイズ振動情報を取得する部位が、胸部に近くかつ肌が露出している部位であるとよい。これにより、精度のよいノイズ振動情報を取得することができることから、運転者Dの心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0114】
<変形例2>
図9は、本開示の実施形態の変形例2に係る車両制御システム11が実行する処理の一例を説明するための図である。
【0115】
この変形例2では、まず、特定部74(
図3参照)が、ビジョンセンサ55(
図3参照)で車内の運転者D(
図5参照)の胸部の位置を特定する(ステップS21)。次に、取得部75(
図3参照)は、特定部74によって位置が特定された胸部の振動情報を、レーダ56(
図3参照)で取得する(ステップS22)。
【0116】
なお、かかるステップS21およびステップS22の処理は、上述のステップS01およびステップS02の処理と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0117】
次に、
図9に示すように、特定部74(
図3参照)は、ビジョンセンサ55で運転者Dの胸部とは異なる部位の位置を特定する(ステップS23)。
【0118】
特定部74は、たとえば、ビジョンセンサ55で撮像された画像に対して公知の画像処理を施すことで、運転者Dの各部位の位置を検出し、検出された各部位の中から胸部とは異なる部位(たとえば、肩や首筋など)の位置を特定する。
【0119】
次に、取得部75(
図3参照)は、特定部74によって位置が特定された部位の振動情報であるノイズ振動情報を、ビジョンセンサ55で取得する(ステップS24)。
【0120】
具体的には、取得部75は、特定部74によって特定された部位の位置の変位(時間推移)をビジョンセンサ55で測定し、測定された変位に基づいてノイズ振動情報を取得する。
【0121】
次に、変換部76(
図3参照)は、取得部75によって取得された胸部の振動情報から、胸部とは異なる部位のノイズ振動情報を除去し、ノイズ振動情報が除去された振動情報を運転者Dのバイタル情報に変換する(ステップS25)。
【0122】
これにより、走行中の車内などの微小な振動が常に発生する環境下であっても、かかる微小な振動成分が除去されたバイタル情報を取得することができる。したがって、変形例2によれば、運転者Dの心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0123】
また、変形例2では、ノイズ振動情報を取得する部位が、胸部に近くかつ肌が露出している部位であるとよい。これにより、精度のよいノイズ振動情報を取得することができることから、運転者Dの心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0124】
なお、変形例1および変形例2において、ノイズ振動情報を取得する部位は、胸部から離れた部位であってもよいし、肌が露出していない部位であってもよい。また、変形例1および変形例2では、運転者D以外の箇所の振動をノイズ振動情報として取得してもよい。
【0125】
<変形例3>
図10は、本開示の実施形態の変形例3に係る車両制御システム11が実行する処理の一例を説明するための図である。
【0126】
この変形例3では、まず、特定部74(
図3参照)が、ビジョンセンサ55(
図3参照)で車内の運転者D(
図5参照)の胸部の位置を特定する(ステップS31)。次に、取得部75(
図3参照)は、特定部74によって位置が特定された胸部の振動情報を、レーダ56(
図3参照)で取得する(ステップS32)。
【0127】
なお、かかるステップS31およびステップS32の処理は、上述のステップS01およびステップS02の処理と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0128】
次に、取得部75は、車両1の車内に設置される振動センサ57でノイズ振動情報を取得する(ステップS33)。たとえば、取得部75は、運転席などに設置される振動センサ57で検出される振動情報をノイズ振動情報として取得する。
【0129】
次に、変換部76は、取得部75によって取得された胸部の振動情報から、振動センサ57で検出されたノイズ振動情報を除去し、ノイズ振動情報が除去された振動情報を運転者Dのバイタル情報に変換する(ステップS34)。
【0130】
これにより、走行中の車内などの微小な振動が常に発生する環境下であっても、かかる微小な振動成分が除去されたバイタル情報を取得することができる。したがって、変形例3によれば、運転者Dの心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0131】
また、変形例3では、振動センサ57が設置される箇所が、被測定物(ここでは、運転者D)の近傍(たとえば、運転席など)であるとよい。これにより、精度のよいノイズ振動情報を取得することができることから、運転者Dの心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0132】
なお、変形例3において、振動センサ57が設置される箇所は、車両1における運転席から離れた箇所であってもよい。
【0133】
<変形例4>
ここまで説明した実施形態および各種変形例では、運転者Dのバイタル情報を取得する例について示したが、本開示はかかる例に限られない。
図11および
図12は、本開示の実施形態の変形例4に係る車両制御システム11が実行する処理の一例を説明するための図である。
【0134】
図11に示すように、変形例4では、ビジョンセンサ55およびレーダ56が、車両1の中央部(たとえば、運転席と後部座席との間など)に配置され、車内の所定領域(たとえば、後部座席など)が観測領域となるように設置される。また、ビジョンセンサ55およびレーダ56は、互いに近接して配置される。
【0135】
そして、特定部74(
図3参照)は、ビジョンセンサ55で車内の同乗者Pの胸部の位置を特定する(ステップS41)。同乗者Pは、被測定物の別の一例である。
【0136】
特定部74は、たとえば、ビジョンセンサ55で撮像された画像に対して公知の画像処理を施すことで、人体(同乗者P)の各部位の位置を検出し、検出された各部位の中から胸部の位置を特定する。
【0137】
次に、
図12に示すように、取得部75(
図3参照)は、特定部74(
図3参照)によって位置が特定された胸部の振動情報を、レーダ56で取得する(ステップS42)。
【0138】
具体的には、取得部75は、特定部74によって特定された胸部の位置と同じ方角の物体までの距離の変位(時間推移)をレーダ56で測定し、測定された距離の変位に基づいて胸部の振動情報を取得する。
【0139】
次に、変換部76(
図3参照)は、取得部75によって取得された胸部の振動情報を、同乗者Pのバイタル情報(たとえば、心拍数や呼吸数など)に変換する(ステップS43)。
【0140】
ここまで説明したように、変形例4では、後部座席に搭乗する同乗者Pに対しても、心拍や呼吸などによって生じる微小な振動を精度よく検出することができる。したがって、変形例4によれば、たとえば車室内に置き去りにされた子供などを精度よく検出することができる。
【0141】
また、変形例4では、被測定物(ここでは、同乗者P)の前方側(たとえば、車両1における後部座席の前方)にレーダ56が配置されるとよい。これにより、呼吸などの際に背中側の胸部よりも変位が大きい前方側の胸部をレーダ56で測定することができるため、同乗者Pの心拍や呼吸などによって生じる微小な振動を精度よく検出することができる。
【0142】
また、この変形例4は、後部座席に搭乗する同乗者Pだけでなく、助手席に搭乗する同乗者に対しても適用可能である。
【0143】
なお、ここまで説明した実施形態および各種変形例では、車両1の乗員のバイタル情報を取得する例について示したが、本開示はかかる例に限られず、車両1内とは異なる場所に存在する人体のバイタル情報を取得してもよい。
【0144】
また、上記の実施形態および各種変形例では、検出対象として人体を対象とする例について示したが、本開示はかかる例に限られず、人間以外の生物や、振動源を内部に有する無生物(たとえば、機械など)などを検出対象としてもよい。
【0145】
<検出処理の手順>
つづいて、実施形態および各種変形例に係る検出処理の手順について、
図13~
図16を参照しながら説明する。
図13は、本開示の実施形態に係る車両制御システム11が実行する検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0146】
最初に、走行支援・自動運転制御部29は、ビジョンセンサ55で乗員の胸部の位置を特定する(ステップS101)。そして、走行支援・自動運転制御部29は、位置が特定された胸部の振動情報を、レーダ56で取得する(ステップS102)。
【0147】
次に、走行支援・自動運転制御部29は、取得された胸部の振動情報を乗員のバイタル情報に変換して(ステップS103)、処理を終了する。
【0148】
図14は、本開示の実施形態の変形例1に係る車両制御システム11が実行する検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0149】
最初に、走行支援・自動運転制御部29は、ビジョンセンサ55で乗員の胸部の位置を特定する(ステップS201)。そして、走行支援・自動運転制御部29は、位置が特定された胸部の振動情報を、レーダ56で取得する(ステップS202)。
【0150】
また、かかるステップS201およびステップS202の処理と並行して、走行支援・自動運転制御部29は、ビジョンセンサ55で乗員の胸部とは異なる部位の位置を特定する(ステップS203)。そして、走行支援・自動運転制御部29は、胸部とは異なる部位の振動情報であるノイズ振動情報を、レーダ56で取得する(ステップS204)。
【0151】
次に、走行支援・自動運転制御部29は、胸部の振動情報からノイズ振動情報を除去する(ステップS205)。そして、走行支援・自動運転制御部29は、ノイズ振動情報が除去された振動情報を乗員のバイタル情報に変換して(ステップS206)、処理を終了する。
【0152】
なお、
図14の例では、ステップS201およびステップS202の処理と、ステップS203およびステップS204の処理とを並行して行う場合について示したが、本開示はかかる例に限られず、一方の処理群が他方の処理群よりも先に行われてもよい。
【0153】
図15は、本開示の実施形態の変形例2に係る車両制御システム11が実行する検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0154】
最初に、走行支援・自動運転制御部29は、ビジョンセンサ55で乗員の胸部の位置を特定する(ステップS301)。そして、走行支援・自動運転制御部29は、位置が特定された胸部の振動情報を、レーダ56で取得する(ステップS302)。
【0155】
また、かかるステップS301およびステップS302の処理と並行して、走行支援・自動運転制御部29は、ビジョンセンサ55で乗員の胸部とは異なる部位の位置を特定する(ステップS303)。そして、走行支援・自動運転制御部29は、胸部とは異なる部位の振動情報であるノイズ振動情報を、ビジョンセンサ55で取得する(ステップS304)。
【0156】
次に、走行支援・自動運転制御部29は、胸部の振動情報からノイズ振動情報を除去する(ステップS305)。そして、走行支援・自動運転制御部29は、ノイズ振動情報が除去された振動情報を乗員のバイタル情報に変換して(ステップS306)、処理を終了する。
【0157】
なお、
図15の例では、ステップS301およびステップS302の処理と、ステップS303およびステップS304の処理とを並行して行う場合について示したが、本開示はかかる例に限られず、一方の処理群が他方の処理群よりも先に行われてもよい。
【0158】
図16は、本開示の実施形態の変形例3に係る車両制御システム11が実行する検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0159】
最初に、走行支援・自動運転制御部29は、ビジョンセンサ55で乗員の胸部の位置を特定する(ステップS401)。そして、走行支援・自動運転制御部29は、位置が特定された胸部の振動情報を、レーダ56で取得する(ステップS402)。
【0160】
また、かかるステップS401およびステップS402の処理と並行して、走行支援・自動運転制御部29は、振動センサ57でノイズ振動情報を取得する(ステップS403)。
【0161】
次に、走行支援・自動運転制御部29は、胸部の振動情報からノイズ振動情報を除去する(ステップS404)。そして、走行支援・自動運転制御部29は、ノイズ振動情報が除去された振動情報を乗員のバイタル情報に変換して(ステップS405)、処理を終了する。
【0162】
なお、
図16の例では、ステップS401およびステップS402の処理と、ステップS403の処理とを並行して行う場合について示したが、本開示はかかる例に限られず、一方の処理群が他方の処理群よりも先に行われてもよい。
【0163】
[効果]
実施形態に係る振動検出システム(車両制御システム11)は、ビジョンセンサ55と、レーダ56と、ビジョンセンサ55およびレーダ56を制御する制御部(走行支援・自動運転制御部29)と、を備える。また、制御部(走行支援・自動運転制御部29)は、特定部74と、取得部75と、を有する。特定部74は、ビジョンセンサ55によって被測定物内の振動源の位置を特定する。取得部75は、特定された振動源の位置の振動に関する振動情報をレーダ56によって取得する。
【0164】
これにより、乗員の心拍や呼吸などによって生じる微小な振動を精度よく検出することができる。
【0165】
また、実施形態に係る振動検出システム(車両制御システム11)において、ビジョンセンサ55およびレーダ56は、互いに近接して配置される。
【0166】
これにより、乗員の心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0167】
また、実施形態に係る振動検出システム(車両制御システム11)において、取得部75は、振動情報から、被測定物における振動源とは異なる位置の振動に関するノイズ振動情報を除去する。
【0168】
これにより、乗員の心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0169】
また、実施形態に係る振動検出システム(車両制御システム11)において、ノイズ振動情報は、レーダ56によって取得される。
【0170】
これにより、乗員の心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0171】
また、実施形態に係る振動検出システム(車両制御システム11)において、ノイズ振動情報は、ビジョンセンサ55によって取得される。
【0172】
これにより、乗員の心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0173】
また、実施形態に係る振動検出システム(車両制御システム11)において、取得部75は、振動情報から、振動センサ57によって取得されるノイズ振動情報を除去する。
【0174】
これにより、乗員の心拍や呼吸などによって生じる微小な振動をさらに精度よく検出することができる。
【0175】
また、実施形態に係る振動検出システム(車両制御システム11)において、ビジョンセンサ55およびレーダ56は、車両1の内部が観測領域となるように設置される。
【0176】
これにより、乗員の心拍や呼吸などによって生じる微小な振動を精度よく検出することができる。
【0177】
また、実施形態に係る振動検出システム(車両制御システム11)において、被測定物は、人体であり、振動源は、心臓および肺の少なくとも一方である。
【0178】
これにより、人体のバイタル情報を精度よく検出することができる。
【0179】
また、実施形態に係る振動検出方法は、コンピュータが実行する振動検出方法であって、特定工程(ステップS101、S201、S301、S401)と、取得工程(ステップS102、S202、S302、S402)とを含む。特定工程(ステップS101、S201、S301、S401)は、ビジョンセンサ55によって被測定物内の振動源の位置を特定する。取得工程(ステップS102、S202、S302、S402)は、特定された振動源の位置の振動に関する振動情報をレーダ56によって取得する。
【0180】
これにより、乗員の心拍や呼吸などによって生じる微小な振動を精度よく検出することができる。
【0181】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0182】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0183】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
ビジョンセンサと、
レーダと、
前記ビジョンセンサおよび前記レーダを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ビジョンセンサによって被測定物内の振動源の位置を特定する特定部と、
特定された前記振動源の位置の振動に関する振動情報を前記レーダによって取得する取得部と、
を有する振動検出システム。
(2)
前記ビジョンセンサおよび前記レーダは、互いに近接して配置される
前記(1)に記載の振動検出システム。
(3)
前記取得部は、前記振動情報から、前記被測定物における前記振動源とは異なる位置の振動に関するノイズ振動情報を除去する
前記(1)または(2)に記載の振動検出システム。
(4)
前記ノイズ振動情報は、前記レーダによって取得される
前記(3)に記載の振動検出システム。
(5)
前記ノイズ振動情報は、前記ビジョンセンサによって取得される
前記(3)または(4)に記載の振動検出システム。
(6)
前記取得部は、前記振動情報から、振動センサによって取得されるノイズ振動情報を除去する
前記(1)~(5)のいずれか一つに記載の振動検出システム。
(7)
前記ビジョンセンサおよび前記レーダは、車両の内部が観測領域となるように設置される
前記(1)~(6)のいずれか一つに記載の振動検出システム。
(8)
前記被測定物は、人体であり、
前記振動源は、心臓および肺の少なくとも一方である
前記(1)~(7)のいずれか一つに記載の振動検出システム。
(9)
コンピュータが実行する振動検出方法であって、
ビジョンセンサによって被測定物内の振動源の位置を特定する特定工程と、
特定された前記振動源の位置の振動に関する振動情報をレーダによって取得する取得工程と、
を含む振動検出方法。
(10)
前記ビジョンセンサおよび前記レーダは、互いに近接して配置される
前記(9)に記載の振動検出方法。
(11)
前記取得工程は、前記振動情報から、前記被測定物における前記振動源とは異なる位置の振動に関するノイズ振動情報を除去する
前記(9)または(10)に記載の振動検出方法。
(12)
前記ノイズ振動情報は、前記レーダによって取得される
前記(11)に記載の振動検出方法。
(13)
前記ノイズ振動情報は、前記ビジョンセンサによって取得される
前記(11)または(12)に記載の振動検出方法。
(14)
前記取得工程は、前記振動情報から、振動センサによって取得されるノイズ振動情報を除去する
前記(9)~(13)のいずれか一つに記載の振動検出方法。
(15)
前記ビジョンセンサおよび前記レーダは、車両の内部が観測領域となるように設置される
前記(9)~(14)のいずれか一つに記載の振動検出方法。
(16)
前記被測定物は、人体であり、
前記振動源は、心臓および肺の少なくとも一方である
前記(9)~(15)のいずれか一つに記載の振動検出方法。
【符号の説明】
【0184】
1 車両
26 車内センサ
29 走行支援・自動運転制御部(制御部の一例)
55 ビジョンセンサ
56 レーダ
61 分析部
74 特定部
75 取得部
76 変換部
D 運転者(被測定物の一例)
P 同乗者(被測定物の一例)