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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108336
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】フック収納構造
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/36 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
E02F3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009398
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】槇野 裕太
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012FA01
(57)【要約】
【課題】フックのロックが意図せずに解除されることなく、安定してフックを収納するフック収納構造を提供する。
【解決手段】
建設機械1のリンク装置30にフック36を収納するフック収納構造100は、対向配置された一対のリンク30a、30bと、一対のリンク30a、30bの一端に回動可能に取り付けられたフック36と、少なくとも一方のリンク30aに取り付けられ、所定の第1方向に動作して、フック36の動作を規制又は規制解除する規制部40と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック収納構造であって、
対向配置された一対のリンクと、
前記一対のリンクの一端に回動可能に取り付けられたフックと、
少なくとも一方の前記リンクに取り付けられ、所定の第1方向に動作して、前記フックの動作を規制又は規制解除する規制部と、
を備えることを特徴とするフック収納構造。
【請求項2】
前記規制部は、前記第1方向と交差する第2方向において前記フックの収納間隔を画定することを特徴とする請求項1に記載のフック収納構造。
【請求項3】
前記規制部は、少なくとも一方の前記リンクの内側に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のフック収納構造。
【請求項4】
前記規制部は、少なくとも一方の前記リンクに対して固定される固定部と、前記固定部に対して可動する可動部と、を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のフック収納構造。
【請求項5】
前記規制部は、当該規制部の前記第1方向の動作を付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載のフック収納構造。
【請求項6】
前記規制部は、前記フックの動作を規制する規制片を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載のフック収納構造。
【請求項7】
前記規制片は、前記規制部に備わる可動部の一端に設けられ、
前記規制部は、前記リンクの長手方向を前記第1方向として動作することを特徴とする請求項6に記載のフック収納構造。
【請求項8】
他方の前記リンクは、収納された前記フックを支持する凸部を内側に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載のフック収納構造。
【請求項9】
他方の前記リンクは、収納された前記フックに対向する受け部を内側に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載のフック収納構造。
【請求項10】
前記規制片は、前記規制部に備わる可動部の両端に設けられ、
前記規制部は、前記リンクの短手方向を前記第1方向として動作することを特徴とする請求項6に記載のフック収納構造。
【請求項11】
前記規制部は、収納される前記フックが当接する段差形状又は斜面形状を有することを特徴とする請求項1ないし請求項10の何れか1項に記載のフック収納構造。
【請求項12】
少なくとも一方の前記リンクは、保護部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項11の何れか1項に記載のフック収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル等の建設機械のバケットリンク等のリンク装置にフックを収納するフック収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ショベル等の建設機械は、ブーム、アーム及びバケット等で構成される作業機を備えていて、バケットによる掘削作業等を行うことができる。また、建設機械は、作業機を用いて物を吊り下げるために、バケットを取り付けるバケットアームの端部にフックを備えている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される油圧ショベルでは、アームと、アームの先端に取り付けられるアタッチメントと、アタッチメントとアームとに接続されるリンク機構と、鉤部を有し、リンク機構の格納位置に格納可能なフックと、フックを格納位置にロックするピンと、を備える。ピンは、格納位置にあるフックの鉤部内に挿入されたロック位置と鉤部から抜き出されたロック解除位置との間で移動可能なピン本体と、ピン本体の周囲に配置され、ピン本体をロック位置に付勢するバネ部材と、バネ部材の周囲を覆い、孔を有するカバー部材と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-44537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に開示される技術では、ピンがフックを側方から固定するように構成されていて、ピンを操作する方向と、ピンによりフックを押圧(固定)する固定方向とが共通するので、意図しないフックの動作等により、ピンによるフックの固定が解除されて、フックのロックが解除されるおそれがある。
【0006】
本発明は、フックのロックが意図せずに解除されることなく、安定してフックを収納するフック収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のフック収納構造は、対向配置された一対のリンクと、前記一対のリンクの一端に回動可能に取り付けられたフックと、少なくとも一方の前記リンクに取り付けられ、所定の第1方向に動作して、前記フックの動作を規制又は規制解除する規制部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フックのロックが意図せずに解除されることなく、安定してフックを収納するフック収納構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る建設機械の例を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを収納する前の状態を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを収納した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るリンク装置において一方のリンク及び規制部を内側から示す側面図である。
図5】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを収納する前の状態を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを収納した状態を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るリンク装置の他の例において、フックを収納した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態として建設機械1について図を参照して説明する。図1は、本実施形態の建設機械1を示す斜視図である。
【0011】
建設機械1は、例えば、建設現場や解体現場、鉱山等で用いられ、作業者の操作に応じて土木作業や建築作業等の作業を行う。本実施形態において、建設機械1は、土砂の掘削作業等等を行う油圧ショベルで構成される。建設機械1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを備え、下部走行体2の上方で上部旋回体3及び作業機4が旋回可能に設けられた作業車として構成されている。作業機4は、本発明のフック収納構造100を有し、フック収納構造100の詳細は後述する。
【0012】
下部走行体2は、左右一対のクローラ10と、各クローラ10を支持するフレーム11とを備えている。一対のクローラ10は、上部旋回体3のエンジン12から動力を受けて駆動して建設機械1の走行等を行う。フレーム11は、一対のクローラ10の間に設けられ、上部旋回体3を旋回可能に支持する。
【0013】
上部旋回体3は、エンジン12と、キャビン13とを備えている。キャビン13の内部には、作業者が着座するための運転席や、各種情報を表示するための表示装置や、作業者が操作するための操作装置等が設置されている。操作装置は、建設機械1の走行及び上部旋回体3の旋回の操作や、作業機4の作業の操作等を受け付け、例えば、作業機4のブーム20、アーム21及びバケット22の回動操作を受け付ける。
【0014】
作業機4は、作業者の操作に応じて土砂の掘削作業等の各種作業を行う。作業機4は、上部旋回体3に取り付けられていて、ブーム20と、アーム21と、掘削作業用のバケット22とから構成されている。以下の作業機4の説明において、上部旋回体3に近い側を基端側とし、上部旋回体3から遠い側(バケット22に近い側)を先端側とする。
【0015】
建設機械1は、作業機4を作動油の油圧動力によって駆動するもので、ブーム20、アーム21及びバケット22をそれぞれ駆動する油圧アクチュエータとして、ブームシリンダ20a、アームシリンダ21a、バケットシリンダ22aを備えている。建設機械1は、エンジン12で生じた動力を利用して、油圧タンク(図示せず)から作動油を油圧ポンプ(図示せず)によってブームシリンダ20a、アームシリンダ21a、バケットシリンダ22aへ供給し、油圧ポンプによって加圧された作動油を動力伝達媒体としてブームシリンダ20a、アームシリンダ21a、バケットシリンダ22aを駆動する。
【0016】
ブーム20は、下部走行体2と上部旋回体3とからなる機体に対して油圧駆動するブームシリンダ20aによって回動可能に設けられている。例えば、ブーム20は、上部旋回体3の下部付近に基端を有し、基端を支点にして延在していて、上下に回動するように構成される。
【0017】
アーム21は、ブーム20の先端に取り付けられていて、ブーム20に対して油圧駆動するアームシリンダ21aによって回動可能に設けられている。例えば、アーム21は、ブーム20の先端付近に基端を有し、基端を支点にして延在していて、上下又は前後に回動するように構成される。
【0018】
バケット22は、アーム21の先端に取り付けられていて、アーム21に対して油圧駆動するバケットシリンダ22aによって回動可能に設けられている。例えば、バケット22は、アーム21の先端付近に基端を有し、基端を支点にして上下又は前後に回動するように構成される。
【0019】
具体的には、アーム21の先端と、バケット22の基端の外面に設けられたバケットブラケット27の基端とが、左右方向を軸方向とするバケット軸28によって軸支されていて、これにより、バケット22がアーム21に対して回動可能である。バケットブラケット27は、一対のブラケット27aからなり、アーム21の先端は、一対のブラケット27aの間に介設されている。
【0020】
また、バケットシリンダ22aの先端と、バケットブラケット27の先端とが、リンク装置30を介して連結されている。ここで、バケットシリンダ22aの先端とリンク装置30の基端とが、左右方向を軸方向とする第1リンク軸31によって軸支され、バケットブラケット27の先端とリンク装置30の先端とが、左右方向を軸方向とする第2リンク軸32によって軸支されている。これにより、リンク装置30がバケットシリンダ22a及びバケットブラケット27に対してそれぞれ回動可能であり、バケットシリンダ22aがアーム21に対して伸縮することで、バケット22が回動する。リンク装置30の先端は、一対のブラケット27aの間に介設されている。また、リンク装置30は、図2図6に示すように、一対のリンク30a、30bからなり、バケットシリンダ22aの先端は、一対のリンク30a、30bの間に介設されている。
【0021】
更に、アーム21の先端側と、リンク装置30の基端とが、一対のリンク支持部材33を介して連結されている。ここで、アーム21と各リンク支持部材33の基端とが、左右方向を軸方向とする第3リンク軸34によって軸支され、リンク装置30の基端と各リンク支持部材33の先端とが第1リンク軸31によって軸支されている。これにより、各リンク支持部材33がアーム21及びリンク装置30に対してそれぞれ回動可能である。アーム21の先端側は、一対のリンク支持部材33の基端の間に介設され、リンク装置30の基端は、一対のリンク支持部材33の先端の間に介設されている。
【0022】
次に、リンク装置30について図2図6を参照して説明する。図2は、フック36を収納する前のリンク装置30の斜視図を示し、図3は、フック36を収納したリンク装置30の斜視図を示す。図4は、一方のリンク30a及び規制部40の側面図を示す。図5は、フック36を収納する前のリンク装置30を展開方向側から示す斜視図であり、図6は、フック36を収納したリンク装置30を展開方向側から示す斜視図である。
【0023】
リンク装置30は、長尺の板状に形成された一対のリンク30a、30bを対向配置して構成される。一方のリンク30aの説明において、他方のリンク30bに対向する側を内側とし、その反対側を外側とする。また、他方のリンク30bの説明において、一方のリンク30aに対向する側を内側とし、その反対側を外側とする。
【0024】
リンク装置30は、リンク装置30に対して回動可能なフック36を備えていて、フック36を収納するフック収納構造100を有する。フック36は、リンク装置30に軸支される基部36aと、物を吊り下げるために湾曲形成された鍵部36bとを有し、鍵部36bは、スイベル等を介して基部36aに取り付けられて、基部36aに対して回転可能になっている。
【0025】
一対のリンク30a、30bの基端には、第1リンク軸31が左右方向に貫通して挿入される基端軸孔38が形成され、一対のリンク30a、30bの先端には、第2リンク軸32が左右方向に貫通して挿入される先端軸孔39が形成されている。一対のリンク30a、30bの先端の間に、フック36の基部36aが介設されていて、第2リンク軸32が基部36aのフック軸孔(図示せず)に貫通して、フック36が第2リンク軸32によって軸支されている。これにより、フック36は、第2リンク軸32の周りを回動可能となり、鍵部36bが一対のリンク30a、30bの間に収納される収納位置と、鍵部36bが一対のリンク30a、30bの間から展開される展開位置との間を回動する。なお、フック36は、一対のリンク30a、30bが左右方向に並列された状態で、左右方向と交差する上下方向及び前後方向に回動する。
【0026】
フック収納構造100は、リンク装置30に収納したフック36の動作を規制する規制部40と、規制部40に対するフック36や外部の障害物等の衝突を防止する保護部41とを有する。本実施形態において、規制部40及び保護部41は、一対のリンク30a、30bのうち、少なくとも一方のリンク30aの内側に取り付けられる。また、フック収納構造100は、リンク装置30に対するフック36の収納を安定化する凸部42と、リンク装置30に収納したフック36のロックを安定化する受け部43とを有する。本実施形態において、凸部42及び受け部43は、一対のリンク30a、30bのうち、他方のリンク30bの内側に取り付けられる。
【0027】
規制部40は、所定の第1方向に動作して、フック36の動作を規制又は規制解除するものであり、収納位置のフック36の動作を規制するロック位置と、フック36の動作を規制解除する解除位置との間で切り替えられるように構成される。規制部40は、第1方向として、一対のリンク30a、30bの長手方向、即ち、左右方向と交差する前後方向に動作するように構成され、具体的は、フック36の回動方向(例えば、回動軌跡の接線方向)に動作する。
【0028】
規制部40は、一方のリンク30aに固定される固定部45と、固定部45に対して可動する可動部46と、固定部45に対して可動する可動部46を付勢する付勢部材47とを備える。
【0029】
固定部45は、一方のリンク30aの内側に締結され、一対の軸受45a及び45bを備える。一対の軸受45a及び45bは、一対のリンク30a、30bの間に収納されるフック36の鍵部36bの先端に対応する位置で、規制部40の動作する第1方向を軸方向として、間隔を空けて同軸に配置される。例えば、軸受45aは、フック36の収納方向側に配置され、軸受45bは、フック36の展開方向側に配置される。
【0030】
可動部46は、第1方向に可動することで、収納位置のフック36の動作を規制するロック位置と、フック36の動作を規制解除する解除位置との間で切り替えられ、フック36の動作を規制又は規制解除するように構成される。具体的には、可動部46は、フック36の収納方向側に移動すると、解除位置に切り替えられ、フック36の動作を規制解除する一方、フック36の展開方向側に移動すると、ロック位置に切り替えられ、フック36の動作を規制する。可動部46は、固定部45に支持される軸部46aと、フック36の動作を規制又は規制解除する規制片46bとを有して構成される。
【0031】
軸部46aは、固定部45の一対の軸受45a及び45bに挿通され、一対の軸受45a及び45bに対して第1方向に動作可能に設けられる。フック36の展開方向側にある軸部46aの端部は、作業者に操作可能になっていて、作業者は、軸部46aの端部をフック36の収納方向側へ押圧することで、可動部46を収納方向側へ移動させることができる。可動部46がロック位置にあるとき、フック36の展開方向側にある軸部46aの端部は、軸受45bよりも、フック36の展開方向側に突出している。軸部46aの中間部には、環部46cが設けられ、環部46cは、一対の軸受45a及び45bの間に配置され、軸部46aの一対の軸受45a及び45bに対する抜け止めになっている。
【0032】
規制片46bは、フック36の収納方向側にある軸部46aの端部に設けられ、軸部46aから他方のリンク30b側へと突出している。これにより、規制片46bは、収納されたフック36を、他方のリンク30b側の受け部43との間に介在させ、左右方向においてフック36の収納間隔を画定する。すなわち、規制片46bは、一対のリンク30a、30bの間におけるフック36を収納可能な間隔である収納間隔を画定する。また、規制片46bは、フック36の収納方向側に向かって傾斜した斜面形状を有して形成される。あるいは、規制片46bは、フック36の収納方向側に向かって凹設された段差形状を有して形成されてもよい。このような規制片46bの形状により、収納方向へ回動されたフック36は、規制片46bを収納方向側へ押圧すると共に、他方のリンク30b側へと案内されて、規制片46bよりも他方のリンク30b側へと移動し、画定された収納間隔へと円滑に収納される。
【0033】
なお、規制片46bにおいて、他方のリンク30b側の端面は、収納されたフック36が作用しないように、例えば、平面状に形成され、これにより、収納されたフック36が一対のリンク30a、30bの左右方向に振動しても、一対のリンク30a、30bの上下方向又は前後方向に動作する規制片46bに作用することがなく、可動部46の応動を抑制し、規制部40が規制解除することを抑制することができる。
【0034】
付勢部材47は、例えば、一対の軸受45a及び45bの間で、可動部46の軸部46aに周設され、フック36の収納方向側の軸受45aと、軸部46aの環部46cとの間に介装される。付勢部材47は、軸受45aに対して環部46cをフック36の展開方向側へ付勢することで、可動部46の軸部46aをフック36の展開方向側へ付勢する。
【0035】
フック36の展開方向側への軸部46aの移動は、規制片46bが軸受45aに係合することよって抜け止めされている。また、フック36の収納方向側への軸部46aの移動は、付勢部材47及び環部46cが軸受45aに係合すると共に、軸部46aが寸法上、軸受45bに挿通し続けることよって抜け止めされている。
【0036】
保護部41は、規制部40よりもフック36の展開方向側で、一方のリンク30aから他方のリンク30b側へと突出して、剛性が比較的高い材質で形成される。これにより、展開されているフック36が、作業者の意図と無関係に振動等によって収納方向へと回動しても、規制部40に衝突することがなく、規制部40は、保護部41によって保護される。また、保護部41は、外部の障害物から規制部40を保護する機能も有する。
【0037】
凸部42は、一対のリンク30a、30bの間に収納されるフック36の鍵部36bの中空部に対応する位置で、他方のリンク30bから一方のリンク30a側へと突出して形成される。これにより、収納されたフック36が、規制片46bよりも他方のリンク30b側へと移動して、画定された収納間隔へと収納されるとき、凸部42が鍵部36bの中空部へと挿通されてフック36を支持することで、フック36の動作が凸部42によって規制され、フック36の収納が安定化する。
【0038】
受け部43は、一対のリンク30a、30bの間に収納されるフック36の鍵部36bに対応する位置で、他方のリンク30bの内側に形成される。受け部43は、他方のリンク30bから一方のリンク30a側へと僅かに突出して形成され、規制片46bと共に、左右方向においてフック36の収納間隔を画定する。なお、受け部43は、収納されたフック36が、係合するように凹設されていてもよい。これにより、収納されたフック36が、規制片46bと受け部43との間に介在されることで、フック36の動作が規制片46b及び受け部43によって規制され、フック36のロックが安定化する。
【0039】
上記のように、本実施形態によれば、建設機械1のリンク装置30にフック36を収納するフック収納構造100は、対向配置された一対のリンク30a、30bと、一対のリンク30a、30bの一端に回動可能に取り付けられたフック36と、少なくとも一方のリンク30aに取り付けられ、所定の第1方向に動作して、フック36の動作を規制又は規制解除する規制部40と、を備える。
【0040】
これにより、規制部40の動作方向は、フック36を押圧(固定)する固定方向に依存していないので、フック36が振動等によって意図せずに動作しても、規制部40に作用しないため、規制部40の規制解除が防止され、フック36のロック状態を安定化させることができる。従って、フック36のロックが意図せずに解除されることなく、安定してフック36を収納するフック収納構造100を提供することができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、規制部40は、第1方向と交差する第2方向においてフック36の収納間隔を画定する。これにより、規制部40は、収納されたフック36の第2方向の動作を抑制しつつ、意図しないフック36の動作の作用を回避することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、規制部40は、少なくとも一方のリンク30aの内側に取り付けられる。これにより、フック36をロックするロック機構をリンク装置30の内側に収容することができ、リンク装置30の建設機械1への組付性を向上することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、規制部40は、少なくとも一方のリンク30aに対して固定される固定部45と、固定部45に対して可動する可動部46と、を備える。これにより、固定部45及び可動部46によって、第1方向へ移動する規制部40をより確実に実現することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、規制部40は、当該規制部40の第1方向の動作を付勢する付勢部材47を備える。これにより、付勢部材47によって、規制部40によるフック36のロック操作を容易に行うことができ、また、意図しない規制解除を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、規制部40は、フック36の動作を規制する規制片46bを備える。これにより、規制片46bによって、フック36の一部を集中的に支持することができ、フック36をより確実にロックすることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、規制片46bは、規制部40に備わる可動部46の一端に設けられ、規制部40は、リンク30a、30bの長手方向を第1方向として動作する。これにより、第1方向へ移動する規制部40をより確実に実現することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、他方のリンク30bは、収納されたフック36を支持する凸部42を内側に備える。これにより、フック36の中空部に凸部42を配置してフック36をより確実にロックすることで、フック36の収納を安定化することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、他方のリンク30bは、収納されたフック36に対向する受け部43を内側に備える。これにより、受け部43によって、フック36の一部を支持することができ、フック36のロックを安定化することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、規制部40は、収納されるフック36が当接する段差形状又は斜面形状を有する。これにより、規制部40の形状によって、収納されるフック36を円滑に収納間隔へと案内することができ、また、フック36の一部を集中的に支持することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、少なくとも一方のリンク30aは、保護部41を備える。これにより、規制部40等のロック機構に対するフック36の衝突を防ぐことができる。
【0051】
なお、上記した実施形態では、規制部40が一端に規制片46bを備える例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、図7に示すように、規制部50は、両端に規制片54、55を備えて構成されてもよい。この例では、規制部50は、第1方向として、一対のリンク30a、30bの短手方向、即ち、左右方向と交差する上下方向に動作するように構成される。規制部50は、一方のリンク30aに固定される固定部51と、固定部51に対して可動する可動部52と、固定部51に対して可動する可動部52を付勢する付勢部材53とを備える。
【0052】
固定部51は、一方のリンク30aの内側に締結され、一対の軸受51a及び51bを備える。一対の軸受51a及び51bは、一対のリンク30a、30bの間に収納されるフック36の鍵部36bの先端に対応する位置で、規制部50の動作する第1方向を軸方向として、間隔を空けて同軸に配置される。例えば、軸受51aは、フック36の収納方向側に配置され、軸受51bは、フック36の展開方向側に配置される。
【0053】
可動部52は、第1方向に可動することで、収納位置のフック36の動作を規制するロック位置と、フック36の動作を規制解除する解除位置との間で切り替えられ、フック36の動作を規制又は規制解除するように構成される。具体的には、可動部52は、フック36の収納方向側に移動すると、解除位置に切り替えられ、フック36の動作を規制解除する一方、フック36の展開方向側に移動すると、ロック位置に切り替えられ、フック36の動作を規制する。可動部52は、固定部51に支持される軸部52aと、フック36の動作を規制又は規制解除する規制片54、55とを有して構成される。
【0054】
軸部52aは、固定部51の一対の軸受51a及び51bに挿通され、一対の軸受51a及び51bに対して第1方向に動作可能に設けられる。可動部52がロック位置にあるとき、軸部52aは、軸受51bよりも、フック36の展開方向側に突出し、可動部52が解除位置にあるとき、軸部52aは、軸受51aよりも、フック36の収納方向側に突出する。
【0055】
規制片54、55は、軸部52aの両端に設けられ、軸部52aから他方のリンク30b側へと突出していて、規制片54、55の間に、フック36の収納空間が設けられる。また、規制片54は、フック36の収納方向側に向かって傾斜した斜面形状を有して形成され、規制片55は、フック36の展開方向側に向かって傾斜した斜面形状を有して形成される。あるいは、規制片54は、フック36の収納方向側に向かって凹設された段差形状を有して形成され、規制片55は、フック36の展開方向側に向かって凹設された段差形状を有して形成されてもよい。規制片54、55は、軸部52aの一対の軸受51a及び51bに対する抜け止めになっている。フック36の展開方向側にある規制片55は、作業者に操作可能になっていて、作業者は、規制片55をフック36の収納方向側へ押圧することで、可動部52を収納方向側へ移動させることができる。
【0056】
可動部52を解除位置へ移動させると、規制片54、55の間の収納空間が他方のリンク30bよりも展開方向側に露出し、フック36をこの収納空間へ収納可能となっている。一方、フック36が規制片54、55の間の収納空間に収納された状態で、可動部52をロック位置へ移動させると、規制片54、55の間の収納空間が他方のリンク30bによって閉塞され、フック36の脱落を防止し、フック36を規制片54、55と他方のリンク30bとによってより確実に収納することができる。
【0057】
なお、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う建設機械のフック収納構造もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 建設機械
4 作業機
22 バケット
30 リンク装置
30a、30b リンク
36 フック
40、50 規制部
41 保護部
42 凸部
43 受け部
45、51 固定部
46、52 可動部
46a、52a 軸部
46b、54、55 規制片
47、53 付勢部材
100 フック収納構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7