(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108337
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】フック収納構造
(51)【国際特許分類】
E02F 3/36 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
E02F3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009399
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】槇野 裕太
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012FA01
(57)【要約】
【課題】フックのロックを容易に操作可能とする一方、ロック解除をされ難くし、安定してフックを収納するフック収納構造を提供する。
【解決手段】
建設機械1のリンク装置30にフック36を収納するフック収納構造100は、対向配置された一対のリンク30a、30bと、一対のリンク30a、30bの一端に回動可能に取り付けられたフック36と、一方のリンク30aに挿通され、フック36の回動動作を規制又は規制解除するロックピン40と、を備える。ロックピン40は、片側傾斜部40aを先端に有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フック収納構造であって、
対向配置された一対のリンクと、
前記一対のリンクの一端に回動可能に取り付けられたフックと、
一方の前記リンクに挿通され、前記フックの回動動作を規制又は規制解除するロックピンと、
を備え、
前記ロックピンは、片側傾斜部を先端に有することを特徴とするフック収納構造。
【請求項2】
一方の前記リンクは、前記ロックピンが挿通される取付部を備え、
前記ロックピンは、抜止部を基端に備え、
前記取付部は、前記抜止部に係合可能な係合部を備えることを特徴とする請求項1に記載のフック収納構造。
【請求項3】
前記ロックピンは、当該ロックピンを付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のフック収納構造。
【請求項4】
他方の前記リンクは、一方の前記リンクに向かって立設された立設部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載のフック収納構造。
【請求項5】
前記立設部は、前記ロックピンによりロックされた前記フックの一部と当接可能な位置に配置されることを特徴とする請求項4に記載のフック収納構造。
【請求項6】
前記立設部は、段差部を有することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のフック収納構造。
【請求項7】
一方の前記リンクは、前記ロックピンの動作をガイドするガイド部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載のフック収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル等の建設機械のバケットリンク等のリンク装置にフックを収納するフック収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ショベル等の建設機械は、ブーム、アーム及びバケット等で構成される作業機を備えていて、バケットによる掘削作業等を行うことができる。また、建設機械は、作業機を用いて物を吊り下げるために、バケットを取り付けるバケットアームの端部にフックを備えている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されるフック付き作業機械では、作業アタッチメントの基端部に、吊り作業を行うフックと、ピン穴を備えた左右一対のフック格納部材とが設けられる。フックは、水平なフック支軸を中心として自重で垂下する吊り位置とフック格納部材間に格納される格納位置との間で回動可能で、かつ、格納位置で、フック格納部材のピン穴に対して抜き差し方向にスライド自在に設けられたフック格納ピンに係止して格納位置に保持されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に開示される技術では、フックをロック又はロック解除する度に、一対のフック格納部材を貫通するフック格納ピンを操作する必要があり、作業者にとって操作が煩雑である。また、フック格納ピンが一対のフック格納部材を貫通する構成では、一対のフック格納部材の形状や配置を精密にする必要があり、組付性が困難になるおそれがある。
【0006】
本発明は、フックのロックを容易に操作可能とする一方、ロック解除をされ難くし、安定してフックを収納するフック収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のフック収納構造は、対向配置された一対のリンクと、前記一対のリンクの一端に回動可能に取り付けられたフックと、一方の前記リンクに挿通され、前記フックの回動動作を規制又は規制解除するロックピンと、を備え、前記ロックピンは、片側傾斜部を先端に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フックのロックを容易に操作可能とする一方、ロック解除をされ難くし、安定してフックを収納するフック収納構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る建設機械の例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを収納する前の状態を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るリンク装置においてフックを収納した状態を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るリンク装置において一方のリンク、ロックピン及び取付部を内側から示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るリンク装置において一方のリンク、ロックピン及び取付部を外側から示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るリンク装置において他方のリンク及び立設部を内側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態として建設機械1について図を参照して説明する。
図1は、本実施形態の建設機械1を示す斜視図である。
【0011】
建設機械1は、例えば、建設現場や解体現場、鉱山等で用いられ、作業者の操作に応じて土木作業や建築作業等の作業を行う。本実施形態において、建設機械1は、土砂の掘削作業等等を行う油圧ショベルで構成される。建設機械1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを備え、下部走行体2の上方で上部旋回体3及び作業機4が旋回可能に設けられた作業車として構成されている。作業機4は、本発明のフック収納構造100を有し、フック収納構造100の詳細は後述する。
【0012】
下部走行体2は、左右一対のクローラ10と、各クローラ10を支持するフレーム11とを備えている。一対のクローラ10は、上部旋回体3のエンジン12から動力を受けて駆動して建設機械1の走行等を行う。フレーム11は、一対のクローラ10の間に設けられ、上部旋回体3を旋回可能に支持する。
【0013】
上部旋回体3は、エンジン12と、キャビン13とを備えている。キャビン13の内部には、作業者が着座するための運転席や、各種情報を表示するための表示装置や、作業者が操作するための操作装置等が設置されている。操作装置は、建設機械1の走行及び上部旋回体3の旋回の操作や、作業機4の作業の操作等を受け付け、例えば、作業機4のブーム20、アーム21及びバケット22の回動操作を受け付ける。
【0014】
作業機4は、作業者の操作に応じて土砂の掘削作業等の各種作業を行う。作業機4は、上部旋回体3に取り付けられていて、ブーム20と、アーム21と、掘削作業用のバケット22とから構成されている。以下の作業機4の説明において、上部旋回体3に近い側を基端側とし、上部旋回体3から遠い側(バケット22に近い側)を先端側とする。
【0015】
建設機械1は、作業機4を作動油の油圧動力によって駆動するもので、ブーム20、アーム21及びバケット22をそれぞれ駆動する油圧アクチュエータとして、ブームシリンダ20a、アームシリンダ21a、バケットシリンダ22aを備えている。建設機械1は、エンジン12で生じた動力を利用して、油圧タンク(図示せず)から作動油を油圧ポンプ(図示せず)によってブームシリンダ20a、アームシリンダ21a、バケットシリンダ22aへ供給し、油圧ポンプによって加圧された作動油を動力伝達媒体としてブームシリンダ20a、アームシリンダ21a、バケットシリンダ22aを駆動する。
【0016】
ブーム20は、下部走行体2と上部旋回体3とからなる機体に対して油圧駆動するブームシリンダ20aによって回動可能に設けられている。例えば、ブーム20は、上部旋回体3の下部付近に基端を有し、基端を支点にして延在していて、上下に回動するように構成される。
【0017】
アーム21は、ブーム20の先端に取り付けられていて、ブーム20に対して油圧駆動するアームシリンダ21aによって回動可能に設けられている。例えば、アーム21は、ブーム20の先端付近に基端を有し、基端を支点にして延在していて、上下又は前後に回動するように構成される。
【0018】
バケット22は、アーム21の先端に取り付けられていて、アーム21に対して油圧駆動するバケットシリンダ22aによって回動可能に設けられている。例えば、バケット22は、アーム21の先端付近に基端を有し、基端を支点にして上下又は前後に回動するように構成される。
【0019】
具体的には、アーム21の先端と、バケット22の基端の外面に設けられたバケットブラケット27の基端とが、左右方向を軸方向とするバケット軸28によって軸支されていて、これにより、バケット22がアーム21に対して回動可能である。バケットブラケット27は、一対のブラケット27aからなり、アーム21の先端は、一対のブラケット27aの間に介設されている。
【0020】
また、バケットシリンダ22aの先端と、バケットブラケット27の先端とが、リンク装置30を介して連結されている。ここで、バケットシリンダ22aの先端とリンク装置30の基端とが、左右方向を軸方向とする第1リンク軸31によって軸支され、バケットブラケット27の先端とリンク装置30の先端とが、左右方向を軸方向とする第2リンク軸32によって軸支されている。これにより、リンク装置30がバケットシリンダ22a及びバケットブラケット27に対してそれぞれ回動可能であり、バケットシリンダ22aがアーム21に対して伸縮することで、バケット22が回動する。リンク装置30の先端は、一対のブラケット27aの間に介設されている。また、リンク装置30は、
図2~
図6に示すように、一対のリンク30a、30bからなり、バケットシリンダ22aの先端は、一対のリンク30a、30bの間に介設されている。
【0021】
更に、アーム21の先端側と、リンク装置30の基端とが、一対のリンク支持部材33を介して連結されている。ここで、アーム21と各リンク支持部材33の基端とが、左右方向を軸方向とする第3リンク軸34によって軸支され、リンク装置30の基端と各リンク支持部材33の先端とが第1リンク軸31によって軸支されている。これにより、各リンク支持部材33がアーム21及びリンク装置30に対してそれぞれ回動可能である。アーム21の先端側は、一対のリンク支持部材33の基端の間に介設され、リンク装置30の基端は、一対のリンク支持部材33の先端の間に介設されている。
【0022】
次に、リンク装置30について
図2~
図6を参照して説明する。
図2は、フック36を収納する前のリンク装置30の平面図を示し、
図3は、フック36を収納したリンク装置30の平面図を示す。
図4は、一方のリンク30a、ロックピン40及び取付部41の内側からの斜視図を示し、
図5は、一方のリンク30a、ロックピン40及び取付部41の外側からの斜視図を示す。
図6は、他方のリンク30b及び立設部44の内側からの斜視図を示す。
【0023】
リンク装置30は、長尺の板状に形成された一対のリンク30a、30bを対向配置して構成される。一方のリンク30aの説明において、他方のリンク30bに対向する側を内側とし、その反対側を外側とする。また、他方のリンク30bの説明において、一方のリンク30aに対向する側を内側とし、その反対側を外側とする。
【0024】
リンク装置30は、リンク装置30に対して回動可能なフック36を備えていて、フック36を収納するフック収納構造100を有する。フック36は、リンク装置30に軸支される基部36aと、物を吊り下げるために湾曲形成された鍵部36bとを有し、鍵部36bは、スイベル等を介して基部36aに取り付けられて、基部36aに対して回転可能になっている。
【0025】
一対のリンク30a、30bの基端には、第1リンク軸31が左右方向に貫通して挿入される基端軸孔38が形成され、一対のリンク30a、30bの先端には、第2リンク軸32が左右方向に貫通して挿入される先端軸孔39が形成されている。一対のリンク30a、30bの先端の間に、フック36の基部36aが介設されていて、第2リンク軸32が基部36aのフック軸孔(図示せず)に貫通して、フック36が第2リンク軸32によって軸支されている。これにより、フック36は、第2リンク軸32の周りを回動可能となり、鍵部36bが一対のリンク30a、30bの間に収納される収納位置と、鍵部36bが一対のリンク30a、30bの間から展開される展開位置との間を回動する。なお、フック36は、一対のリンク30a、30bが左右方向に並列された状態で、左右方向と交差する上下方向及び前後方向に回動する。一方のリンク30aには、左右方向に貫通した挿通孔30cが、収納位置のフック36の中空部に対応する位置に設けられている。
【0026】
フック収納構造100は、リンク装置30に収納したフック36の動作を規制するロックピン40と、ロックピン40を取り付けるための取付部41と、ロックピン40を付勢する付勢部材42と、ロックピン40の抜け止めとなる抜止部43とを備える。本実施形態において、ロックピン40及び取付部41は、一対のリンク30a、30bのうち、一方のリンク30aに取り付けられる。また、フック収納構造100は、リンク装置30に対するフック36の収納を安定化する立設部44を備える。本実施形態において、立設部44は、一対のリンク30a、30bのうち、他方のリンク30bに取り付けられる。
【0027】
ロックピン40は、一対のリンク30a、30bの間に収納されるフック36に対して左右方向に動作して、フック36の動作を規制又は規制解除するものであり、収納位置のフック36の動作を規制するロック位置と、フック36の動作を規制解除する解除位置との間で切り替えられるように構成される。ロックピン40は、収納されたフック36の中空部に嵌合されることでフック36の動作を規制する。ロックピン40は、基端が一方のリンク30aの挿通孔30cに挿通され、先端が収納されるフック36に作用するように構成される。ロックピン40は、略円柱状に形成されていて、ロックピン40の先端は、フック36の中空部に嵌合する直径で形成され、ロックピン40の基端は先端よりも小さい寸法の直径で形成される。
【0028】
ロックピン40の先端には、片側に傾斜した片側傾斜部40aが設けられ、片側傾斜部40aは、ロックピン40が一方のリンク30aに取り付けられた状態で、フック36の展開方向側から収納方向側に向かって、且つ他方のリンク30b側に向かって傾斜したテーパー面で形成される。ロックピン40は、片側傾斜部40aが展開方向側に面するように取り付けられるところ、ロックピン40の収納方向側は、フック36の動作を規制する規制部40bとなる。ロックピン40は、基端が一方のリンク30aを貫通して外側に突出した状態で取り付けられ、外側の突出部分には、左右方向と交差する方向に貫通した挿通孔40cが設けられている。ロックピン40の挿通孔40cには、抜止部43が貫通して取り付けられる。
【0029】
取付部41は、固定部45、ガイド部46及び係合部47を有する。固定部45及びガイド部46は、離間した位置に設けられるようにクランク状に形成される。固定部45は、一方のリンク30aの内側面に締結され、ガイド部46は、一方のリンク30aの内側面から離間した位置に配置される。特に、ガイド部46は、左右方向に貫通したガイド孔46aを有し、ガイド孔46aが一方のリンク30aの挿通孔30cに対応するように、固定部45及びガイド部46が配置される。これにより、ロックピン40は、挿通孔30c及びガイド孔46aの両方に挿通されて左右方向に動作可能になり、換言すれば、ロックピン40の動作は、ガイド部46のガイド孔46aによってガイドされる。
【0030】
係合部47は、一方のリンク30aの外側面に締結される。係合部47は、左右方向に貫通した挿通孔47aを有し、挿通孔47aが一方のリンク30aの挿通孔30cに対応するように、係合部47が配置される。係合部47の外側面には、抜止部43が係合する溝部47bが形成されている。ロックピン40の片側傾斜部40aがフック36の展開方向側に面すると共に、ロックピン40の規制部40bがフック36の収納方向側に面した状態で、ロックピン40の挿通孔40cに挿入された抜止部43が、係合部47の溝部47bに係合するように、各部が調整されて構成される。
【0031】
付勢部材42は、コイルばねで形成され、ロックピン40の先端と一方のリンク30aとの間で、ロックピン40の基端に周設されている。付勢部材42は、一方のリンク30aに対してロックピン40の先端を、他方のリンク30b側へ付勢する。
【0032】
抜止部43は、ロールピン等で構成され、上記したように、ロックピン40の挿通孔40cに貫通して取り付けられる。抜止部43は、一方のリンク30aの外側で、係合部47の溝部47b(切り欠き)に係合することで、ロックピン40の一方のリンク30aに対する抜け止めになっている。
【0033】
立設部44は、他方のリンク30bの内側面に設けられ、一方のリンク30aに向かって立設されている。立設部44は、例えば、他方のリンク30bと直交する平板状に形成され、これにより、フック36が当接する際の衝撃による変形を防止することができ、耐久性を保持することができる。立設部44は、収納されたフック36に対応する位置に配置されていて、特に、ロックピン40によりロックされたフック36の一部(例えば、他方のリンク30b側の部分や収納方向側の部分)と当接可能な位置に配置されている。立設部44は、一方のリンク30aに対向する部分がフック36の収納方向側に凹設されて段差部44aを有して形成され、収納されたフック36の一部は、段差部44aに当接する。立設部44は、収納されたフック36が当接することで、フック36の収納を安定化する。
【0034】
次に、フック収納構造100におけるフック36の収納動作について説明する。先ず、フック36がロックピン40よりも展開方向側に回動して展開されている状態で、ロックピン40は、通常、付勢部材42によって他方のリンク30b側へと付勢されて、ロックピン40の先端がガイド部46よりも他方のリンク30b側へ突出している。
【0035】
作業者は、フック36を収納するとき、フック36を収納方向側に向けて一対のリンク30a、30bの間へと回動させて、ロックピン40の先端に当接させる。そのままフック36を収納方向側に押し込むと、フック36がロックピン40の先端の片側傾斜部40aを押圧する。このとき、ロックピン40が付勢部材42の付勢力に抗して一方のリンク30a側へ押圧され、ロックピン40の先端がガイド部46のガイド孔46aに入り込み、これにより、フック36は収納位置へと移動可能となる。
【0036】
フック36が収納位置に配置されると、フック36の中空部がロックピン40と対応して配置され、フック36によるロックピン40の押圧が解除される。このとき、ロックピン40は、再度、付勢部材42によって他方のリンク30b側へと付勢されて移動し、ロックピン40の先端がガイド部46よりも他方のリンク30b側へ突出して、フック36の中空部に嵌合される。これにより、フック36がロックピン40によってロックされ、ロックピン40の先端の規制部40bによってフック36の動作が収納方向側から規制される。このとき、フック36は、立設部44に当接し、安定して収納状態が維持される。
【0037】
なお、作業者は、ロックピン40を手作業で一方のリンク30a側へ引き出すことで、ロックピン40の先端とフック36の中空部との嵌合が解除され、ロックピン40によるフック36のロックが解除される。このとき、作業者は、フック36を手作業で展開方向へ回動させて展開させることができる。
【0038】
上記のように、本実施形態によれば、建設機械1のリンク装置30にフック36を収納するフック収納構造100は、対向配置された一対のリンク30a、30bと、一対のリンク30a、30bの一端に回動可能に取り付けられたフック36と、一方のリンク30aに挿通され、フック36の回動動作を規制又は規制解除するロックピン40と、を備える。ロックピン40は、片側傾斜部40aを先端に有する。
【0039】
これにより、ロックピン40の片側傾斜部40aを利用することで、所定方向へのフック36のロック操作を容易に行うことができ、一方、所定方向と反対の反対方向へのフック36のロック解除をされ難くし、安定してフック36を収納することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、一方のリンク30aは、ロックピン40が挿通される取付部41を備え、ロックピン40は、抜止部43を基端に備え、取付部41は、抜止部43に係合可能な係合部47を備える。これにより、抜止部43の係合を利用することで、ロックピン40の片側傾斜部40aの傾斜の向きを固定することができ、フック36の収納操作を安定して行うことができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、ロックピン40は、当該ロックピン40の動作を付勢する付勢部材42を備える。これにより、付勢部材42によって、ロックピン40の配置を安定すると共に、ロックピン40のロック動作を補助することができ、ロックピン40のロック操作を容易にすることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、他方のリンク30bは、一方のリンク30aに向かって立設された立設部44を備える。これにより、立設部44によって、ロックピン40にロックされたフック36を支持することができ、フック36の耐振動性を向上することができ、リンク装置30に対するフック36の収納を安定化することができる。また、他方のリンク30bに、ロックピン40を支持する孔等を設ける必要がないので、一対のリンク30a、30bの高精度な位置合わせが不要となり、組付けを容易にすることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、立設部44は、ロックピン40によりロックされたフック36の一部と当接可能な位置に配置される。これにより、立設部44はフック36の全体を支持することがないので、部品点数を削減し、軽量化して立設部44を形成することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、立設部44は、段差部44aを有する。これにより、段差部44aによって、複数の方向からフック36を支持することができ、フック36の収納方向側への抜け止めをすることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、一方のリンク30aは、ロックピン40の動作をガイドするガイド部46を備える。これにより、ロックピン40を一方のリンク30aの挿通孔30cのみで支持する場合に比べて、ロックピン40を挿通孔30cとガイド部46とで支持するため、ロックピン40のガタつきを防止することができる。また、一方のリンク30aの厚さを必要以上に厚くすることなく、ロックピン40を安定して支持することができるので、リンク装置30やフック収納構造100の軽量化等が可能となる。更に、リンク装置30内でのフック36の振れを抑制することができる。なお、ガイド部46を一方のリンク30aに取り付けることで、他の取付部材を備えることなく、フック36をガイドすることができる。
【0046】
なお、上記した実施形態では、ロックピン40が円柱状に形成される例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、ロックピン40の基端は、多角柱状又は楕円柱状に形成されてもよい。この場合、一方のリンク30aの挿通孔30cは、ロックピン40の基端に合わせて多角形又は楕円に形成される。あるいは、ロックピン40の基端は、略円柱状に形成されていて、側面に平面(角部)を有して形成されてもよい。この場合、一方のリンク30aの挿通孔30cは、ロックピン40の基端に合わせて円形の一部に平面(角部)を有して形成される。これにより、ロックピン40は、一方のリンク30aに対して回転不能となり、片側傾斜部40aが展開方向側に面する状態を維持することができる。
【0047】
なお、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う建設機械のフック収納構造もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 建設機械
4 作業機
22 バケット
30 リンク装置
30a、30b リンク
36 フック
40 ロックピン
40a 側傾斜部
41 取付部
42 付勢部材
43 抜止部
44 立設部
44a 差部
46 ガイド部
47 係合部
100 フック収納構造