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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108370
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】熱機器
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/395 20220101AFI20230728BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
F24H1/00 J
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009461
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弓削 愛
【テーマコード(参考)】
3L122
5K048
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA54
3L122AA63
3L122AA65
3L122AA72
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA42
3L122BA44
3L122CA13
3L122DA16
3L122EA09
3L122FA02
3L122FA07
3L122FA24
3L122GA12
5K048AA16
5K048BA14
5K048EB02
5K048EB06
5K048FB15
5K048FC03
5K048GB06
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を低下させることなく従来技術に比べてより大きな消費電力を低減することができる技術を開示する。
【解決手段】熱源機と制御装置とリモコンとを備える。リモコンは、通信ユニットと表示ユニットと制御ユニットとタイマユニットとを備え、アクティブモードとスリープモードとを実行可能に構成される。制御装置は、アクティブモード実行信号とスリープモード実行信号とをリモコンに対して送信可能である。リモコンは、制御装置からスリープモード実行信号を受信した場合に、スリープモードを実行し、タイマユニットから起動信号を受信した場合に、アクティブモードを実行する。リモコンは、スリープモードの実行後に実行されるアクティブモードにおいて、アクティブモード実行信号を受信した場合にアクティブモードを継続し、アクティブモード実行信号を受信しない場合に経時開始をタイマユニットに指示した後、スリープモードを開始する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機と、
前記熱源機の動作を制御する制御装置と、
前記制御装置と通信可能なリモコンを備える熱機器であって、
前記リモコンは、
前記制御装置との間で通信を行う通信ユニットと、
前記熱機器に関する情報をユーザに表示する表示ユニットと、
前記通信ユニットおよび前記表示ユニットの動作を制御する制御ユニットと、
前記制御ユニットによって計時開始を指示された場合に、所定時間が経過した時に前記制御ユニットに起動信号を送信するタイマユニットを備えており、
少なくとも前記通信ユニットと前記表示ユニットと前記制御ユニットとの動作が継続されるアクティブモードと、
前記通信ユニットと前記表示ユニットと前記制御ユニットとの動作が停止されるとともに、前記タイマユニットの動作が継続されるスリープモードと、
を実行可能に構成されており、
前記制御装置は、
前記リモコンに前記アクティブモードを実行することを要求するアクティブモード実行信号と、
前記リモコンに前記スリープモードを実行することを要求するスリープモード実行信号と、
を前記リモコンに対して送信可能であり、
前記リモコンは、
前記アクティブモードを実行中に、前記制御装置から前記スリープモード実行信号を受信した場合に、前記制御ユニットによって前記計時開始を前記タイマユニットに指示した後、前記スリープモードに移行し、
前記スリープモードを実行中に、前記制御ユニットが前記タイマユニットから前記起動信号を受信した場合に、前記アクティブモードに移行し、
前記スリープモードから前記アクティブモードへ移行した時に、
前記制御装置から前記アクティブモード実行信号を受信した場合に、前記アクティブモードを継続し、
前記制御装置から前記アクティブモード実行信号を受信しない場合に、前記制御ユニットによって前記計時開始を前記タイマユニットに指示した後、前記スリープモードに移行する、熱機器。
【請求項2】
前記制御装置には、商用電源と蓄電池との双方からの電力が供給可能であり、
前記制御装置は、前記商用電源が停電している場合に、前記リモコンに対して前記スリープモード実行信号を送信する、請求項1に記載の熱機器。
【請求項3】
前記リモコンとは別の場所に設置されているとともに、前記制御装置に接続される第2のリモコンをさらに備え、
前記制御装置は、前記第2のリモコンに、前記リモコンが前記アクティブモードであるか、前記スリープモードであるかを示すモード信号を送信し、
前記第2のリモコンは、受信した前記モード信号に基づいて、前記リモコンが前記アクティブモードであるか、前記スリープモードであるかをユーザに表示する第2の表示ユニットを備える、請求項2に記載の熱機器。
【請求項4】
前記熱源機は、水を加熱して供給する給湯器であり、
前記リモコンは、浴室に設置される浴室リモコンであり、
前記第2のリモコンは、台所に設置される台所リモコンであり、
前記制御装置は、前記浴室に給湯する前記給湯器の動作を制御する、請求項3に記載の熱機器。
【請求項5】
前記制御装置は、前記給湯器が給湯する湯量が所定の流量を超える場合に、前記商用電源が停電している場合であっても、前記リモコンに対して前記スリープモード実行信号を送信しない、請求項4に記載の熱機器。
【請求項6】
前記台所リモコンは、前記浴室のバスタブに給湯するための湯はり指示を取得可能であり、
前記制御装置は、前記台所リモコンが前記湯はり指示を取得した場合に、前記商用電源が停電している場合であっても、前記リモコンに対して前記スリープモード実行信号を送信しない、請求項4または5に記載の熱機器。
【請求項7】
前記制御装置に接続される浴室暖房機をさらに備えており、
前記制御装置は、
前記浴室暖房機が前記浴室の暖房を実行しているか否かを判定可能であり、
前記浴室暖房機が前記浴室の暖房を実行している場合に、前記商用電源が停電している場合であっても、前記リモコンに対して前記スリープモード実行信号を送信しない、請求項4から6のいずれか一項に記載の熱機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、熱機器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱源機と、熱源機の動作を制御する制御装置と、制御装置と通信可能なリモコンと、を備える熱機器(例えば、給湯装置)が、特許文献1に開示されている。リモコンは、熱機器に関する情報をユーザに表示する表示ユニットを備える。制御装置は、リモコンの消費電力を低減するために、リモコンに対して省電力表示信号を送信する。省電力表示信号を受信したリモコンは、例えば、表示ユニットに表示される項目を高温警告ランプ等に限定することによって、表示ユニットの消費電力を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-36653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リモコンは、表示ユニットの他にも、制御装置のような周辺装置との間で通信を行う通信ユニット、表示ユニットおよび通信ユニットの動作を制御する制御ユニット等を備える。リモコンは、表示ユニット以外のこれらのユニットの動作を停止することによって、より大きな消費電力を低減することができる。しかしながら、例えば通信ユニットの動作を停止すると、リモコンは、制御装置のような周辺装置との通信ができなくなる。この場合、周辺装置からリモコンに対して何らかの情報が送信されても、リモコンは、当該情報を受信することができない。その結果、ユーザの利便性が低下する。本明細書では、ユーザの利便性を低下させることなく、従来技術に比べてより大きな消費電力を低減することができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する熱機器は、熱源機と、前記熱源機の動作を制御する制御装置と、前記制御装置と通信可能なリモコンを備える。前記リモコンは、前記制御装置との間で通信を行う通信ユニットと、前記熱機器に関する情報をユーザに表示する表示ユニットと、前記通信ユニットおよび前記表示ユニットの動作を制御する制御ユニットと、前記制御ユニットによって計時開始を指示された場合に、所定時間が経過した時に前記制御ユニットに起動信号を送信するタイマユニットを備えている。リモコンは、少なくとも前記通信ユニットと前記表示ユニットと前記制御ユニットとの動作が継続されるアクティブモードと、前記通信ユニットと前記表示ユニットと前記制御ユニットとの動作が停止されるとともに、前記タイマユニットの動作が継続されるスリープモードと、を実行可能に構成されている。前記制御装置は、前記リモコンに前記アクティブモードを実行することを要求するアクティブモード実行信号と、前記リモコンに前記スリープモードを実行することを要求するスリープモード実行信号と、を前記リモコンに対して送信可能である。前記リモコンは、前記アクティブモードを実行中に、前記制御装置から前記スリープモード実行信号を受信した場合に、前記制御ユニットによって前記計時開始を前記タイマユニットに指示した後、前記スリープモードに移行する。前記リモコンは、前記スリープモードを実行中に、前記制御ユニットが前記タイマユニットから前記起動信号を受信した場合に、前記アクティブモードに移行する。前記リモコンは、前記スリープモードから前記アクティブモードへ移行した時に、前記制御装置から前記アクティブモード実行信号を受信した場合に、前記アクティブモードを継続し、前記制御装置から前記アクティブモード実行信号を受信しない場合に、前記制御ユニットによって前記計時開始を前記タイマユニットに指示した後、前記スリープモードに移行してもよい。
【0006】
上記の構成によれば、スリープモードでは、少なくとも通信ユニットと表示ユニットと制御ユニットとの動作が停止される。これにより、表示ユニットのみの消費電力を低減する従来技術に比べて、より大きな消費電力を低減することができる。また、リモコンは、制御装置からアクティブモードを実行中にスリープモード実行信号を受信した場合に、制御ユニットによって計時開始をタイマユニットに指示した後、スリープモードに移行する。スリープモードでは、タイマユニットの動作が継続され、タイマユニットは、所定時間が経過した時に制御ユニットに起動信号を送信する。起動信号を受信した制御ユニットは、アクティブモードに移行する。リモコンは、スリープモードからアクティブモードへ移行した時に、制御装置からアクティブモード実行信号を受信した場合に、アクティブモードを継続し、制御装置からアクティブモード実行信号を受信しない場合に、制御ユニットによって経時開始を前記タイマユニットに指示した後、スリープモードに移行する。これにより、リモコンは、通信ユニットと表示ユニットと制御ユニットとの動作を停止しても、所定時間経過時にアクティブモードに移行し、制御装置との通信に基づいて、アクティブモードをそのまま継続するか否かを判定することができる。このように、本明細書が開示する熱機器は、ユーザの利便性を低下させることなく、従来技術に比べてより大きな消費電力を低減することができる。
【0007】
上述した熱機器では、前記制御装置には、商用電源と蓄電池との双方からの電力が供給可能であってもよい。その場合、前記制御装置は、前記商用電源が停電している場合に、前記リモコンに対して前記スリープモード実行信号を送信してもよい。
【0008】
商用電源が停電して、蓄電池が代替電源として使用される場合、商用電源が供給されている場合に比して、より大きな消費電力の低減が求められる。上記の構成によれば、制御装置は、商用電源が停電した場合にリモコンにスリープモード実行信号を送信する。これにより、停電時のリモコンの消費電力を低減することができる。
【0009】
上述した熱機器は、前記リモコンとは別の場所に設置されているとともに、前記制御装置に接続される第2のリモコンをさらに備えてもよい。その場合、前記制御装置は、前記第2のリモコンに、前記リモコンが前記アクティブモードであるか、前記スリープモードであるかを示すモード信号を送信してもよい。さらに、前記第2のリモコンは、受信した前記モード信号に基づいて、前記リモコンが前記アクティブモードであるか、前記スリープモードであるかをユーザに表示する第2の表示ユニットを備えてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、熱機器は、第2のリモコンを介して、リモコンがアクティブモードであるかスリープモードであるかをユーザに認識させることができる。
【0011】
上述した熱機器では、前記熱源機は、水を加熱して供給する給湯器であってもよい。その場合、前記リモコンは、浴室に設置される浴室リモコンであってもよく、前記第2のリモコンは、台所に設置される台所リモコンであってもよい。さらに、前記制御装置は、前記浴室に給湯する前記給湯器の動作を制御してもよい。
【0012】
上記の構成によれば、熱機器は、台所で作業するユーザに対して、浴室リモコンがアクティブモードであるかスリープモードであるかを認識させることができる。
【0013】
上述した熱機器では、前記制御装置は、前記給湯器が給湯する湯量が所定の流量を超える場合に、前記商用電源が停電している場合であっても、前記リモコンに対して前記スリープモード実行信号を送信しなくてもよい。
【0014】
給湯器が給湯する湯量が所定の流量を超える場合、ユーザが浴室を利用していると推測される。ユーザが浴室を利用しているにもかかわらず、浴室リモコンでスリープモードが実行されると、ユーザの利便性が低下する。上記の構成によれば、ユーザが浴室を利用していると推測される場合に、リモコンに対してスリープモード実行信号を送信しないことによって、商用電源が停電している場合であっても、浴室を利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0015】
上述した熱機器では、前記台所リモコンは、前記浴室のバスタブに給湯するための湯はり指示を取得可能であってもよい。その場合、前記制御装置は、前記台所リモコンが前記湯はり指示を取得した場合に、前記商用電源が停電している場合であっても、前記リモコンに対して前記スリープモード実行信号を送信しなくてもよい。
【0016】
台所リモコンが湯はり指示を取得する場合、ユーザが浴室を利用すると推測される。上記の構成によれば、ユーザが浴室を利用していると推測される場合に、リモコンに対してスリープモード実行信号を送信しないことによって、商用電源が停電している場合であっても、浴室を利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【0017】
上述した熱機器は、前記制御装置に接続される浴室暖房機をさらに備えてもよい。その場合、前記制御装置は、前記浴室暖房機が前記浴室の暖房を実行しているか否かを判定可能であってもよく、前記浴室暖房機が前記浴室の暖房を実行している場合に、前記商用電源が停電している場合であっても、前記リモコンに対して前記スリープモード実行信号を送信しなくてもよい。
【0018】
浴室暖房機が浴室暖房を実行している場合、ユーザが浴室を利用していると推測される。上記の構成によれば、ユーザが浴室を利用していると推測される場合に、リモコンに対してスリープモード実行信号を送信しないことによって、商用電源が停電している場合であっても、浴室を利用するユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施例の熱機器が配置される住宅の概略図を示す。
図2】第1実施例の熱機器のブロック図を示す。
図3】第1実施例の制御装置が浴室リモコンに対して実行する処理のフロー図を示す。
図4】第1実施例の浴室リモコンが実行する処理のフロー図を示す。
図5】第2実施例の制御装置が台所リモコンに対して実行する処理のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施例)
図1に示す第1実施例の熱機器100は、住宅2に配置されており、給湯、暖房機能を有する。熱機器100は、浴室リモコン20と、台所リモコン30と、浴室暖房機12と、給湯器40と、を備える。図示は省略したが、熱機器100の各デバイス(すなわち、浴室リモコン20、台所リモコン30、浴室暖房機12、給湯器40及び制御装置50)は、互いに有線で接続されており、互いに通信可能である。なお、変形例では、熱機器100の各デバイスは、互いに無線で通信可能に構成されていてもよく、例えばBluetooth(登録商標)により通信可能に構成されていてもよいし、Wi-Fi(登録商標)により通信可能に構成されていてもよい。
【0021】
給湯器40は、住宅2の屋外に配置される。給湯器40は、バーナユニット44と、ヒートポンプユニット48と、タンクユニット46と、制御装置50を備える。タンクユニット46には、住宅2の水道配管(図示省略)から供給される水が蓄えられる。ヒートポンプユニット48は、外気から吸熱することによって、タンクユニット46内の水を循環加熱する。バーナユニット44は、住宅2のガス配管(図示省略)から供給される燃料ガスを燃焼することによって、タンクユニット46から送り出される水を補助的に加熱する。バーナユニット44およびヒートポンプユニット48は、給湯器40において、水を加熱する熱源機として機能する。
【0022】
給湯器40は、タンクユニット46から供給される水を、必要に応じてバーナユニット44で加熱することで、所望の温度に調整された湯を、浴室10のバスタブ14及びシャワー16と、台所6の混合栓5とに、住宅2の給湯配管(図示省略)を介して供給する。図示は省略したが、給湯器40は、バスタブ14に供給される湯の流量を検出する第1のセンサと、シャワー16に供給される湯の流量を検出する第2のセンサと、混合栓5に供給される湯の流量を検出する第3のセンサと、を備える。
【0023】
給湯器40は、住宅2の屋外コンセント8とコード42を介して接続される。屋外コンセント8には、電力系統(図示省略)から商用電力が供給される。さらに、給湯器40は、蓄電池60とも接続される。蓄電池60は、住宅2の屋外に配置されている。蓄電池60は、充電および放電が可能な二次電池である。蓄電池60は、図示しない配線によって電力系統に接続されており、商用電力によって充電可能であるとともに、給湯器40に対して放電可能である。なお、蓄電池60は、太陽光発電装置(図示省略)に接続されていてもよく、太陽光発電装置が発電する電力によって充電されてもよい。給湯器40は、屋外コンセント8から供給される商用電力によって動作することもできるし、蓄電池60から供給される電力によって動作することもできる。
【0024】
制御装置50は、給湯器40の動作を制御する。制御装置50は、CPU、ROM、RAM等を備えている。ROMには各種の運転プログラムが格納されている。RAMには、浴室リモコン20、台所リモコン30に入力される各種信号や、CPUが処理を実行する過程で生成される種々のデータが一時的に記憶される。制御装置50は、CPUがROMやRAMに記憶された情報に基づいて処理を実行することで、給湯器40の動作を制御する。制御装置50は、上述した第1のセンサ、第2のセンサ及び第3のセンサから、各センサが検出した湯の流量を受信する。制御装置50は、給湯器40に供給される電力を利用して作動する。すなわち、制御装置50は、屋外コンセント8から供給される電力を利用して動作する場合もあれば、蓄電池60から供給される電力を利用して動作する場合もある。
【0025】
浴室リモコン20は、住宅2の浴室10内に配置されている。浴室リモコン20は、給湯器40から浴室10内のバスタブ14に供給される湯の温度、浴室10内のシャワー16に供給される湯の温度等を設定するためにユーザが操作するリモコンである。浴室リモコン20は、バスタブ14の上方に配置される。浴室リモコン20は、浴室10の壁面に配置される。浴室リモコン20の浴室ディスプレイ20dには、ユーザによって設定されているバスタブ14に供給される湯の温度や、シャワー16から供給される湯の温度が表示される。
【0026】
台所リモコン30は、住宅2の台所6に配置される。台所6には、システムキッチン4が配置される。台所リモコン30は、システムキッチン4の上方に配置される。台所リモコン30は、システムキッチン4の混合栓5へ供給される湯の温度等を設定するためのリモコンである。混合栓5は、給湯器40から供給される湯と水道配管(図示省略)から供給される水とを混合して温水を供給する。台所リモコン30は、さらに、湯はりボタン30bを備える。ユーザが湯はりボタン30bを操作すると、台所リモコン30は、給湯器40に対して、浴室10のバスタブ14への湯の供給を実行する湯はり運転を指示する。
【0027】
浴室暖房機12は、熱媒からの放熱によって、浴室10を暖房する機器である。浴室暖房機12は、浴室10の天井に埋め込まれる。なお、浴室暖房機12は、浴室10の入口付近に設置される浴暖リモコン(図示省略)の操作によって作動する。浴室暖房機12は、浴室暖房を実行している間、浴室暖房機12が動作中であることを示す動作信号を制御装置50に送信する。制御装置50は、浴室暖房機12から動作信号を受信した場合に、浴室暖房機12が浴室暖房を実行していると判定し、動作信号を受信しない場合に、浴室暖房機12が浴室暖房を実行していないと判定する。
【0028】
図2に示されるように、制御装置50は、給湯制御ユニット52、停電検知ユニット54、通信ユニット56を備える。給湯制御ユニット52は、ユーザによる浴室リモコン20、台所リモコン30等の操作や、第1のセンサ、第2のセンサ及び第3のセンサ等の検出信号に基づいて、給湯器40の各ユニット44、46、48の動作を制御する。停電検知ユニット54は、屋外コンセント8からの電力の供給が停止して、蓄電池60からの電力によって制御装置50が動作している場合に、商用電源が停電していることを検知する。また、停電検知ユニット54は、商用電源の停電を検知した後、商用電源の停電が解除されて、商用電源からの電力によって制御装置50が動作している場合に、商用電源の停電が解除されたことを検知する。通信ユニット56は、浴室暖房機12、浴室リモコン20及び台所リモコン30と通信を実行するためのインターフェースである。制御装置50は、通信ユニット56を介して、浴室リモコン20に対して、アクティブモードの実行を要求するアクティブモード実行信号とスリープモードの実行を要求するスリープモード実行信号とを送信する。浴室リモコン20が実行する各モードについては、後述する。
【0029】
浴室リモコン20は、操作ユニット21と、制御ユニット22と、通信ユニット24と、表示ユニット26と、タイマユニット28と、を備える。操作ユニット21は、湯はりボタン、給湯温度設定ボタン等を備えており、ユーザからの操作を受け付ける。通信ユニット24は、給湯器40の制御装置50、台所リモコン30と通信を実行するためのインターフェースである。表示ユニット26は、例えば浴室ディスプレイ20dを点灯する照明(図示省略)を含む。表示ユニット26は、バスタブ14に供給される湯の温度等、給湯器40に関する情報を、浴室ディスプレイ20dを介してユーザに表示する。制御ユニット22は、CPU、ROM、RAM等を備えるコンピュータである。制御ユニット22は、通信ユニット24、表示ユニット26およびタイマユニット28の動作を制御する。制御ユニット22は、例えば、通信ユニット24を介して取得した制御装置50からの情報に基づいて、表示ユニット26に表示する情報を制御する。制御ユニット22は、例えば、操作ユニット21が受け付けたユーザからの操作に基づいて、給湯器40の制御装置50に対して、タンクユニット46内の湯の加熱を要求する信号を送信する。
【0030】
タイマユニット28は、制御ユニット22からの計時開始指示に応じて、予め設定された所定時間を計測する。タイマユニット28は、制御ユニット22の動作が停止している間も、独立して動作することができる。タイマユニット28は、所定時間が経過すると、制御ユニット22を起動させるための起動信号を、制御ユニット22に送信する。これにより、タイマユニット28は、制御ユニット22を、所定時間経過後に再度起動させることができる。ここで、所定時間は、後述するスリープモードを継続する時間であり、例えば、3秒である。所定時間は、ユーザが操作ユニット21を操作することによって変更可能であってもよい。
【0031】
浴室リモコン20は、アクティブモードと、スリープモードとを実行可能に構成される。ここで、アクティブモードとは、浴室リモコン20が通常に動作する運転モードである。アクティブモードでは、浴室リモコン20の各ユニット21、22、24、26、28に対して、電力が供給される。一方、スリープモードは、浴室リモコン20の消費電力を低減させる運転モードである。具体的には、スリープモードでは、浴室リモコン20の操作ユニット21と制御ユニット22と通信ユニット24と表示ユニット26との動作が停止されるため、各ユニット21、22、24、26への電力の供給が停止される。これにより、アクティブモードに比して、浴室リモコン20の消費電力を低減させることができる。
【0032】
制御ユニット22は、給湯器40の制御装置50からアクティブモード実行信号を受信すると、浴室リモコン20をアクティブモードに設定するとともに、浴室リモコン20がアクティブモード実行信号を受信したことを示すモード移行信号を、制御装置50に送信する。これにより、浴室リモコン20は、自身がアクティブモード信号を受信したことを制御装置50に認識させることができる。同様に、制御ユニット22は、制御装置50からスリープモード実行信号を受信すると、タイマユニット28に対して計時開始指示を送信し、さらに、浴室リモコン20のスリープモードを開始する前に、給湯器40の制御装置50に対して、浴室リモコン20がスリープモード実行信号を受信したことを示すモード移行信号を送信する。これにより、浴室リモコン20は、自身がスリープモード信号を受信したことを制御装置50に認識させることができる。
【0033】
台所リモコン30は、操作ユニット31と、制御ユニット32と、通信ユニット34と、表示ユニット36と、を備える。台所リモコン30が備える各ユニット31、32、34、36は、浴室リモコン20が備える各ユニット21、22、24、26と同様であるため、説明を省略する。
【0034】
図3を参照して、制御装置50が浴室リモコン20に対して実行する処理について説明する。制御装置50は、給湯器40の電源がオンされた場合に、図3の処理を実行する。なお、制御装置50は、図3の処理を実行する前に、台所リモコン30に対して、アクティブモード実行信号を送信し、台所リモコン30にアクティブモードを実行させている。
【0035】
S2では、制御装置50は、浴室リモコン20に対して、アクティブモード実行信号を送信する。次いで、S3では、制御装置50は、浴室リモコン20から、モード移行信号を受信したか否かを判定する。浴室リモコン20からモード移行信号を受信しない場合(S3:NO)、制御装置50は、再びS2の処理を実行し、浴室リモコン20に対して、アクティブモード実行信号を送信する。すなわち、制御装置50は、浴室リモコン20からモード移行信号を受信するまで、浴室リモコン20に対して、アクティブモード実行信号を送信し続ける。
【0036】
浴室リモコン20からモード移行信号を受信した場合(S3:YES)、S4において、制御装置50は、台所リモコン30に対して、浴室リモコン20がアクティブモードであることを示すモード信号を送信する。これにより、台所リモコン30の制御ユニット32は、表示ユニット36によって、浴室リモコン20がアクティブモードであることを、台所リモコン30の台所ディスプレイ30dに表示する。これにより、台所6に存在するユーザに対して、浴室リモコン20がアクティブモードであることを認識させることができる。
【0037】
次いで、S6では、制御装置50は、停電検知ユニット54によって商用電源の停電を検知したか否かを判定する。制御装置50は、商用電源の停電を検知した場合(S6:YES)、S8の処理に進む。
【0038】
S8では、制御装置50は、台所リモコン30が湯はり運転指示を取得しているか否かを判定する。制御装置50は、現時点において、台所リモコン30から湯はりボタン30b(図1参照)がユーザによって操作されたことを示す信号を受信していない場合(S8:NO)に、湯はり運転指示が指示されていないと判定し、S10の処理に進む。
【0039】
S10では、制御装置50は、シャワー16の流量V1が第1の閾値流量を超えているか否かを判定する。制御装置50は、上述した第2のセンサから、シャワー16に供給される湯の流量V1を受信し、取得した流量V1を第1の閾値流量と比較する。ここで、第1の閾値流量は、ユーザがシャワー16を利用していると推測される流量であり、例えば10L/minである。第1の閾値流量は、ユーザによって変更可能である。流量V1が第1の閾値流量を超えていない場合(S10:NO)、制御装置50は、ユーザがシャワー16を利用していないと判定し、S12の処理に進む。
【0040】
S12では、制御装置50は、ユーザが浴室10の浴室暖房を実行しているか否かを判定する。制御装置50は、現時点において動作信号を受信している場合に、浴室暖房が実行されていると判定する。制御装置50は、現時点において浴室暖房機12から動作信号を受信していない場合(S12:NO)に、S14の処理に進む。
【0041】
S14では、制御装置50は、浴室リモコン20に対して、スリープモード実行信号を送信する。これにより、浴室リモコン20がスリープモードを実行する。浴室リモコン20のスリープモードにおいて、浴室リモコン20の制御ユニット22が実行する具体的な処理については、図4を参照して後述する。
【0042】
制御装置50は、商用電源の停電を検知しない場合(S6:NO)、再びS6の処理を実行し、停電検知ユニット54によって商用電源の停電の発生を監視する。同様に、制御装置50は、台所リモコン30が湯はり運転指示を取得している場合(S8:YES)や、流量V1が第1の閾値流量を超えている場合(S10:YES)、浴室暖房が実行されている場合(S12:YES)も、再びS6の処理を実行し、商用電源の停電の発生を監視する。すなわち、制御装置50は、ユーザが浴室10を利用していない状態、別言すれば、スリープモードを実行すべき状態となるまで、S8~S12の処理を繰り返す。
【0043】
商用電源が停電すると、代替電源として、蓄電池60のみが、住宅2に必要な電力を供給する。このため、商用電源の停電時は、特に、蓄電池60の電力の消費を抑制することが求められる。制御装置50は、商用電源が停電した場合に浴室リモコン20にスリープモードを実行させることによって、商用電源の停電時において、蓄電池60の電力消費を低減することができる。
【0044】
また、商用電源の停電時であっても、台所リモコン30が湯はり運転指示を取得している場合、ユーザが浴室10を利用すると推測される。ユーザが浴室10を利用する際、浴室リモコン20のスリープモードが実行されると、ユーザの利便性が低下する。制御装置50は、商用電源の停電時であっても、台所リモコン30が湯はり運転指示を取得している場合、浴室リモコン20に対してスリープモード実行信号を送信しない。このため、浴室10の利用時に浴室リモコン20のスリープモードが実行されない。これにより、ユーザの利便性が低下することを防止することができる。
【0045】
同様に、流量V1が第1の閾値流量を超えている場合や、浴室暖房が実行されている場合も、ユーザが浴室10を利用していると推測される。制御装置50は、商用電源の停電時であっても、このようなユーザが浴室10を利用すると推測される場合に、浴室リモコン20に対してスリープモード実行信号を送信しないことによって、ユーザの利便性が低下することを防止することができる。
【0046】
S14で浴室リモコン20に対してスリープモード実行信号を送信した後、S15では、制御装置50は、浴室リモコン20から、モード移行信号を受信したか否かを判定する。浴室リモコン20からモード移行信号を受信しない場合(S15:NO)、制御装置50は、再びS14の処理を実行し、浴室リモコン20に対して、スリープモード実行信号を送信する。すなわち、制御装置50は、浴室リモコン20からモード移行信号を受信するまで、浴室リモコン20に対して、スリープモード実行信号を送信し続ける。
【0047】
浴室リモコン20からモード移行信号を受信した場合(S15:YES)、S16において、制御装置50は、台所リモコン30に対して、浴室リモコン20がスリープモードであることを示すモード信号を送信する。これにより、台所リモコン30の制御ユニット32は、浴室リモコン20がスリープモードであることを台所ディスプレイ30dに表示する。これにより、台所6に存在するユーザに対して、浴室リモコン20がスリープモードを実行していることを認識させることができる。
【0048】
その後、S18では、制御装置50は、停電検知ユニット54によって、商用電源の停電の解除を検知したか否かを判定する。停電解除を検知しない場合(S18:NO)、制御装置50は、商用電源の停電が継続していると判定して、S20の処理に進む。
【0049】
S20では、制御装置50は、台所リモコン30が湯はり運転指示を取得しているか否かを判定する。湯はりボタン30bが操作されていない場合(S20:NO)、制御装置50は、台所リモコン30が湯はり運転指示を取得していないと判定して、S22の処理に進む。
【0050】
S22では、制御装置50は、シャワー16の流量V1が第1の閾値流量を超えているか否かを判定する。第2のセンサから受信した流量V1が第1の閾値流量を超えていない場合(S22:NO)、制御装置50は、シャワー16をユーザが利用していないと判定して、S24の処理に進む。
【0051】
S24では、制御装置50は、浴室10の浴室暖房が実行されているか否かを判定する。浴室暖房機12から動作信号を受信しない場合(S24:NO)、制御装置50は、ユーザが浴室10を利用していないと判定して、再びS18の処理を実行し、商用電源の停電の解除を監視する。すなわち、制御装置50は、スリープモードの実行を停止すべき状態となるまで、S18~S24の処理を繰り返す。
【0052】
商用電源の停電の解除を検知した場合(S18:YES)、制御装置50は、再びS2の処理を実行する。S2では、制御装置50は、浴室リモコン20に対してアクティブモード実行信号を送信する。これにより、浴室リモコン20のアクティブモードが実行される。同様に、制御装置50は、台所リモコン30が湯はり運転指示を取得した場合(S20:YES)や、流量V1が第1の閾値流量を超えている場合(S22:YES)、浴室暖房が実行されている場合(S24:YES)も、S2の処理を実行し、浴室リモコン20に対してアクティブモード実行信号を送信する。
【0053】
商用電源の停電が解除された場合に、浴室リモコン20に対してアクティブモード実行信号を送信することによって、制御装置50は、商用電源の停電解除後にスリープモードが継続されることを防止することができる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0054】
また、先に述べたように、ユーザが浴室10を利用していると推測される状態(S20、S22、S24:YES)において、浴室リモコン20に対してアクティブモード実行信号を送信することによって、制御装置50は、ユーザが浴室10を利用していると推測される状態でスリープモードが継続されることを防止することができる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0055】
図4を参照して、浴室リモコン20の制御ユニット22が実行する処理について説明する。浴室リモコン20の電源がオンされると、S30において、制御ユニット22は、アクティブモードを実行する。この場合、制御ユニット22は、図3のS2の処理において制御装置50から送信されるアクティブモード実行信号を受信する。なお、浴室リモコン20の電源がオンされてから初めてS30の処理を実行する際、制御ユニット22は、アクティブモード実行中にアクティブモード実行信号を受信することとなる。この場合、制御ユニット22は、そのままアクティブモードを継続しつつ、浴室リモコン20が既にアクティブモードであることを示すモード移行信号を制御装置50に送信する(図3のS3参照)。これにより、制御装置50は、浴室リモコン20からモード移行信号を受信し(図3のS3:YES)、S4以降の処理を実行する。
【0056】
次いで、S32では、制御ユニット22は、制御装置50から、スリープモード実行信号を受信したか否かを判定する。スリープモード実行信号を受信しない場合(S32:NO)、制御ユニット22は、再びS32の処理に戻り、制御装置50からスリープモード実行信号を受信したか否かを判定する。すなわち、制御ユニット22は、制御装置50からスリープモード実行信号を受信するまでアクティブモードを継続し、S32の処理を繰り返す。
【0057】
スリープモード実行信号を受信した場合(S32:YES)、S33において、制御ユニット22は、制御装置50にモード移行信号を送信する。次いで、S34では、制御ユニット22は、タイマユニット28に対して、計時開始を指示する。その後、S36では、制御ユニット22は、スリープモードへ移行し、操作ユニット21と制御ユニット22と通信ユニット24と表示ユニット26との動作を停止する。これにより、浴室リモコン20の操作の受付が停止され、浴室ディスプレイ20dの表示が停止されるとともに、浴室リモコン20と制御装置50及び台所リモコン30との通信が停止される。
【0058】
制御ユニット22は、タイマユニット28から起動信号を受信しない場合(S38:NO)、スリープモードを継続する。すなわち、制御ユニット22は、タイマユニット28が計測する所定時間が経過するまで、スリープモードを継続する。
【0059】
所定時間が経過し、タイマユニット28から起動信号を受信すると(S38:YES)、S40において、制御ユニット22は、アクティブモードへ移行する。これにより、操作ユニット21と制御ユニット22と通信ユニット24と表示ユニット26との動作が再開される。次いで、S42では、制御ユニット22は、制御装置50からアクティブモード実行信号を受信したか否かを判定する。アクティブモード実行信号を受信した場合(S42:YES)、制御ユニット22は、例えば、商用電源の停電が解除される等、スリープモードの実行を停止すべき状態であると判定し、そのままアクティブモードを継続する。この際、S46では、制御ユニット22は、モード移行信号を制御装置50に送信する。これにより、制御ユニット22は、制御装置50に対して、浴室リモコン20がアクティブモードに移行したことを認識させることができる。その後、制御装置50は、再びS30の処理に戻り、アクティブモードを継続する。
【0060】
制御ユニット22は、制御装置50からアクティブモード実行信号を受信しない場合(S42:NO)、S44において、S40でアクティブモードに移行してから、所定の実行信号受信期間が経過したか否かを判定する。ここで、実行信号受信期間は、スリープモードからアクティブモードへの移行した時に、制御ユニット22が制御装置50からアクティブモード実行信号を受信するための期間である。実行信号受信期間が経過していない場合(S44:NO)、制御ユニット22は、再びS42の処理を実行し、制御装置50からアクティブモード実行信号を受信したか否かを判定する。すなわち、制御ユニット22は、実行信号受信期間が経過するまで、S42の処理を繰り返す。実行信号受信期間が経過した場合(S44:YES)、制御ユニット22は、制御装置50からアクティブモード実行信号が送信されていないと判定し、S36に戻り、スリープモードに再び移行する。このように、制御ユニット22は、スリープモードの実行中に所定時間経過ごとにアクティブモードに移行して、実行信号受信期間に亘ってアクティブモードを実行する処理を、制御装置50からアクティブモード実行信号を受信するまで継続する。
【0061】
浴室リモコン20は、操作ユニット21と制御ユニット22と通信ユニット24と表示ユニット26との動作を停止するスリープモードを実行することによって、表示ユニット26のみの動作を停止する従来技術に比して、より大きな消費電力を抑制することができる。さらに、浴室リモコン20は、タイマユニット28によってスリープモードからアクティブモードに移行し、実行信号受信期間に亘ってアクティブモードを実行する。これにより、浴室リモコン20は、スリープモード実行中に図3のS6~S12で説明したようなアクティブモードを実行するべき状態となった場合に、アクティブモード実行信号を制御装置50から受信し、アクティブモードに移行することができる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0062】
(対応関係)本実施例では、浴室リモコン20が、「リモコン」の一例である。台所リモコン30が「第2のリモコン」の一例である。
【0063】
(第2実施例)
図5を参照して、第2実施例の熱機器100の制御装置50が台所リモコン30の消費電力を抑制するために、台所リモコン30に対して実行する処理について説明する。なお、本実施例の熱機器100は、台所リモコン30がタイマユニット38(図2参照)を備える点を除き、上述した第1実施例の熱機器100と同様の構成である。また、台所リモコン30のタイマユニット38は、上述した浴室リモコン20のタイマユニット28と同様の構成を有する。本実施例では、台所リモコン30が、「リモコン」の一例である。
【0064】
第2実施例の制御装置50は、給湯器40の電源がオンされた場合に、図5の処理を実行する。S50では、制御装置50は、台所リモコン30に対して、アクティブモード実行信号を送信する。次いで、S51では、制御装置50は、台所リモコン30から、モード移行信号を受信したか否かを判定する。台所リモコン30からモード移行信号を受信しない場合(S51:NO)、制御装置50は、再びS50の処理を実行し、台所リモコン30に対して、アクティブモード実行信号を送信する。すなわち、制御装置50は、台所リモコン30からモード移行信号を受信するまで、台所リモコン30に対して、アクティブモード実行信号を送信し続ける。
【0065】
台所リモコン30からモード移行信号を受信した場合(S51:YES)、S52において、制御装置50は、停電検知ユニット54によって商用電源の停電を検知したか否かを判定し、停電を検知した場合(S52:YES)、S54の処理に進む。
【0066】
S54では、制御装置50は、給湯器40が湯を加熱しているか否かを判定する。具体的には、制御装置50は、給湯器40のバーナユニット44及びヒートポンプユニット48のいずれか一方が動作しているか否かを判定する。制御装置50は、バーナユニット44及びヒートポンプユニット48のいずれも動作していない場合(S54:NO)に、給湯器40が湯を加熱していないと判定して、S56の処理に進む。
【0067】
S56では、制御装置50は、流量V2が第2の閾値流量を超えているか否かを判定する。制御装置50は、上述した第3のセンサから、混合栓5に供給される湯の流量V2を受信し、取得した流量V2を第2の閾値流量と比較する。ここで、第2の閾値流量は、ユーザが混合栓5を利用していると推測される湯の流量であり、例えば、5L/minである。第2の閾値流量は、ユーザによって変更可能である。流量V2が第2の閾値流量より小さい場合(S56:NO)、制御装置50は、ユーザが混合栓5を利用していないと判定し、S58の処理に進む。
【0068】
S58では、制御装置50は、ユーザから台所リモコン30の操作ユニット31に対して、S50でアクティブモード実行信号を受信してから現時点までの間に、温水の設定温度の変更指示があったか否かを判定する。制御装置50は、S50でアクティブモード実行信号を受信してから現時点までの間に、操作ユニット31に設定温度変更の操作がなされなかった場合(S58:NO)に、台所リモコン30が湯の設定温度の変更指示を受け付けていないと判定して、S60の処理に進む。
【0069】
S60では、制御装置50は、台所リモコン30に対して、スリープモード実行信号を送信する。これにより、台所リモコン30がスリープモードに移行する。スリープモードでは、台所リモコン30の操作ユニット31と制御ユニット32と通信ユニット34と表示ユニット36との動作が停止されるため、各ユニット31、32、34、36への電力の供給が停止される。これにより、台所リモコン30の消費電力を低減させることができる。台所リモコン30のスリープモードについては、処理を実行する主体が台所リモコン30の制御ユニット32ではあるものの、実行される処理については図4を参照して説明した浴室リモコン20のスリープモードと同様であるため、説明を省略する。
【0070】
S61では、台所リモコン30に対してスリープモード実行信号を送信した後、制御装置50は、台所リモコン30から、モード移行信号を受信したか否かを判定する。台所リモコン30からモード移行信号を受信しない場合(S61:NO)、制御装置50は、再びS60の処理を実行し、台所リモコン30に対して、スリープモード実行信号を送信する。すなわち、制御装置50は、台所リモコン30からモード移行信号を受信するまで、台所リモコン30に対して、スリープモード実行信号を送信し続ける。
【0071】
停電検知ユニット54によって商用電源の停電を検知しない場合(S52:NO)、制御装置50は、再びS52の処理を実行し、商用電源の停電の発生を監視する。
【0072】
同様に、制御装置50は、給湯器40が湯を加熱している場合(S54:YES)、流量V2が第2の閾値流量を超えている場合(S56:YES)や、台所リモコン30内に対して設定温度の変更指示がされた場合(S58:YES)も、再びS52の処理を実行し、停電検知ユニット54によって商用電源の停電の発生を監視する。すなわち、制御装置50は、ユーザが台所6を利用していない状態、別言すれば、スリープモードを実行すべき状態となるまで、S54~S58の処理を繰り返す。
【0073】
第2実施例の制御装置50は、商用電源の停電時に台所リモコン30をスリープモードに設定することによって、商用電源の停電時の蓄電池60の電力消費を低減することができる。
【0074】
また、商用電源の停電時であっても、給湯器40の加熱が実行されている場合や、第2の閾値流量を超える流量が混合栓5に供給されている場合、ユーザが台所リモコン30を利用していると推測される。ユーザが台所リモコン30を利用する際、台所リモコン30のスリープモードが実行されると、ユーザの利便性が低下する。制御装置50は、商用電源の停電時であっても、給湯器40の加熱が実行されている場合や、または第2の閾値流量を超える流量が混合栓5に供給されている場合、台所リモコン30に対してスリープモード実行信号を送信しない。このため、ユーザが台所リモコン30を利用していると推測される状態で台所リモコン30のスリープモードが実行されない。これにより、ユーザの利便性が低下することを防止することができる。
【0075】
同様に、台所リモコン30に対して設定温度の変更指示がなされた場合(S58:YES)も、ユーザが台所リモコン30を利用していると推測される。制御装置50は、商用電源の停電時であっても、このようなユーザが台所リモコン30を利用していると推測される場合に、台所リモコン30に対してスリープモード実行信号を送信しないことによって、ユーザの利便性が低下することを防止することができる。
【0076】
台所リモコン30からモード移行信号を受信した場合(S61:YES)、S62において、制御装置50は、停電検知ユニット54によって商用電源の停電の解除を検知したか否かを判定する。停電の解除を検知しない場合(S62:NO)、制御装置50は、商用電源の停電が継続していると判定して、S64の処理に進む。
【0077】
S64では、制御装置50は、給湯器40が湯を加熱しているか否かを判定する。バーナユニット44及びヒートポンプユニット48のいずれも動作していない場合(S64:NO)、制御装置50は、給湯器40が湯を加熱していないと判定して、S66の処理に進む。
【0078】
S66では、制御装置50は、混合栓5に接続される配湯管内の流量V2が第2の閾値流量を超えているか否かを判定する。流量V2が第2の閾値流量を超えていない場合(S66:NO)、制御装置50は、ユーザが台所6を利用していないと判定して、再びS62の処理を実行し、停電検知ユニット54によって商用電源の停電の解除を監視する。すなわち、制御装置50は、スリープモードの実行を停止すべき状態となるまで、S62~S66の処理を繰り返す。
【0079】
商用電源の停電の解除を検知した場合(S62:YES)、制御装置50は、再びS50の処理を実行し、制御装置50は、台所リモコン30に対してアクティブモード実行信号を送信する。これにより、台所リモコン30のアクティブモードが実行される。同様に、制御装置50は、給湯器40が湯の加熱を実行している場合(S64:YES)や、流量V2が第2の閾値流量を超える場合(S66:YES)、再びS50の処理を実行し、台所リモコン30に対してアクティブモード実行信号を送信する。
【0080】
商用電源の停電が解除された場合に、台所リモコン30に対してアクティブモード実行信号を送信することによって、制御装置50は、商用電源の停電解除後にスリープモードが継続されることを防止することができる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0081】
また、先に述べたように、ユーザの台所6を利用していると推測される状態(S62、S64、S66:YES)に、台所リモコン30に対してアクティブモード実行信号を送信することによって、制御装置50は、ユーザが台所6を利用していると推測される状態でスリープモードが継続されることを防止することができる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0082】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0083】
(変形例1)熱源機は、給湯器40に限定されず、例えば、食器洗浄機、衣類乾燥機、床暖房機等であってもよい。
【0084】
(変形例2)第1実施例の浴室リモコン20は、スリープモード実行中に、操作ユニット21の動作も停止する。本変形例では、浴室リモコン20は、スリープモード実行中であっても、操作ユニット21の動作を継続してもよい。
【0085】
(変形例3)上述した実施例では、制御装置50は、給湯器40に設けられているが、これに限定されず、本変形例では、制御装置50は、給湯器40と別の場所に設置されていてもよい。
【0086】
(変形例4)上述した第1実施例の制御装置50は、商用電源が停電した場合に、浴室リモコン20に対してスリープモード実行信号を送信する。本変形例では、これに代えて、ユーザから省エネモードの設定指示を取得した場合に、浴室リモコン20に対してスリープモード実行信号を送信してもよい。その場合、制御装置50は、スリープモード実行中に商用電源の停電の解除を検知しても(図3のS18参照)、アクティブモード実行信号を浴室リモコン20に送信しなくてもよい。また、さらなる変形例では、商用電源が停電した場合に、スリープモードを実行する第1の設定と、商用電源が停電しても常にアクティブモードを実行する第2の設定と、がユーザによって選択可能であってもよい。
【0087】
(変形例5)熱機器100は、例えば、台所リモコン30を備えなくてもよい。すなわち、本変形例において、「第2のリモコン」は、省略可能である。また、さらなる変形例では、住宅2のリビングに設置される暖房リモコンが、浴室リモコン20がアクティブモードであるかスリープモードであるかを表示してもよい。この場合、暖房リモコンが、「第2のリモコン」の一例である。
【0088】
(変形例6)給湯器40は、ヒートポンプユニット48と、タンクユニット46とを、備えなくてもよい。本変形例では、給湯器40は、住宅2に接続される水道配管内の水を、バーナユニット44によって直接加熱してもよい。
【0089】
(変形例7)制御装置50は、流量V1が第1の閾値流量を超える場合であっても、浴室リモコン20に対してスリープモード実行信号を送信してもよい。
【0090】
(変形例8)制御装置50は、台所リモコン30の湯はりボタン30bが操作されて場合であっても、浴室リモコン20に対してスリープモード実行信号を送信してもよい。
【0091】
(変形例9)台所リモコン30が取得する湯はり指示は、ユーザによる湯はりボタン30bの操作に限定されない。例えば、湯はり運転の開始時刻の設定可能な台所リモコン30の場合には、当該開始時刻の到来によって、湯はり指示を取得してもよい。
【0092】
(変形例10)制御装置50は、浴室暖房機12から動作信号を受信した場合であっても、浴室リモコン20に対してスリープモード実行信号を送信してもよい。さらなる変形例では、熱機器100は、浴室暖房機12を備えなくてもよい。
【0093】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0094】
2 :住宅
4 :システムキッチン
5 :混合栓
6 :台所
8 :屋外コンセント
10 :浴室
12 :浴室暖房機
14 :バスタブ
16 :シャワー
20 :浴室リモコン
20d :浴室ディスプレイ
21、31 :操作ユニット
22、32 :制御ユニット
24、34 :通信ユニット
26、36 :表示ユニット
28、38 :タイマユニット
30 :台所リモコン
30b :湯はりボタン
30d :台所ディスプレイ
40 :給湯器
42 :コード
44 :バーナユニット
46 :タンクユニット
48 :ヒートポンプユニット
50 :制御装置
52 :給湯制御ユニット
54 :停電検知ユニット
56 :通信ユニット
60 :蓄電池
100 :熱機器
V1、V2 :流量
図1
図2
図3
図4
図5