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  • 特開-鼻腔挿入具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108376
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】鼻腔挿入具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/56 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
A61F5/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009470
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】506377732
【氏名又は名称】株式会社パタカラ
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】秋広 良昭
(72)【発明者】
【氏名】秋廣 高志
(72)【発明者】
【氏名】細川 壮平
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB15
(57)【要約】
【課題】鼻腔に挿入し易くし、鼻腔に挿入した際には鼻腔を介して十分な量の空気を気道に送り込むと共に、鼻腔から脱落することを極力防ぎ、美容効果を得ること。
【解決手段】鼻腔に挿入される鼻腔挿入具1は、一端側の端部から他端側の端部まで延設される中空部31と、一端側の端部において中空部31を外部に開放する第1の開口部32と、他端側の端部において中空部31を外部に開放する第2の開口部33と、を備える筒状の本体部3と、本体部3の上方に設けられると共に、一端側から他端側に延設される押圧部4と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻腔に挿入される鼻腔挿入具であって、
一端側の端部から他端側の端部まで延設される中空部と、前記一端側の端部において前記中空部を外部に開放する第1の開口部と、前記他端側の端部において前記中空部を外部に開放する第2の開口部と、を備える筒状の本体部と、
前記本体部の上方に設けられると共に、前記一端側から前記他端側に延設される押圧部と、
を有することを特徴とする鼻腔挿入具。
【請求項2】
前記中空部は、
前記他端側の端部から上方に向けて延設されている、
ことを特徴とする請求項1記載の鼻腔挿入具。
【請求項3】
前記本体部は、
前記他端側の端部が拡径されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の鼻腔挿入具。
【請求項4】
前記本体部の前記他端側の端部は、
肉薄の薄肉部を備える、
ことを特徴とする請求項3記載の鼻腔挿入具。
【請求項5】
前記本体部は、
前記他端側の端部の下方において外部に突出する突出部を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の鼻腔挿入具。
【請求項6】
前記本体部は、
前記一端側の端部において前記中空部を形成する内壁より前記中空部に突出すると共に前記一端側の端部に向けて上方に延設される案内部を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の鼻腔挿入具。
【請求項7】
前記本体部は、
前記中空部と外部とを連通する連通孔を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の鼻腔挿入具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔に挿入される鼻腔挿入具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、睡眠時において鼻腔に挿入されて鼻腔を拡張することにより、睡眠時無呼吸症候群の症状を緩和する鼻腔拡張器が知られている(例えば、特許文献1)。このような鼻腔拡張器は、鼻腔に挿入された際に鼻腔を拡張した状態で鼻腔の内部に留まって、鼻腔を介して気道に空気を送り込むことを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2006-501889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の鼻腔挿入具においては、鼻腔を介して気道により多くの空気を送り込むためには、鼻腔をより拡張させる必要があるが、鼻腔を拡張させるために鼻腔挿入具の全体を大きくした場合には鼻腔挿入具の鼻腔への挿入が困難になる。一方、鼻腔挿入具の全体を小さくした場合には、鼻腔挿入具を鼻腔に挿入し易いが、鼻腔を十分に拡張させることができないために鼻腔を介して気道により多くの空気を送り込むことができず、また鼻腔挿入具が鼻腔から脱落し易い。従って、従来の鼻腔挿入具は、鼻腔へ挿入し易くすることと、鼻腔により多くの空気を送り込むこと及び鼻腔からの脱落を防止することと、の両立を図ることができないという課題を有する。
【0005】
また、従来の鼻腔挿入具においては、美容効果を得ることについては課題を有する。
【0006】
本発明の目的は、鼻腔に挿入し易くすることができ、鼻腔に挿入した際には鼻腔を介して十分な量の空気を気道に送り込むことができると共に、鼻腔から脱落することを極力防ぐことができ、美容効果を得ることができる鼻腔挿入具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る鼻腔挿入具は、鼻腔に挿入される鼻腔挿入具であって、一端側の端部から他端側の端部まで延設される中空部と、前記一端側の端部において前記中空部を外部に開放する第1の開口部と、前記他端側の端部において前記中空部を外部に開放する第2の開口部と、を備える筒状の本体部と、前記本体部の壁部の上方に設けられると共に、前記一端側から前記他端側に延設される押圧部と、を有する。
【0008】
鼻腔挿入具を鼻腔に挿入した際に、押圧部が鼻筋及び上唇鼻翼挙筋を上方に押し上げて鼻腔を拡張し、鼻腔を拡張した状態で第2の開口部から中空部に取り込んだ空気を第1の開口部から排出して気道に送り込むと共に、上唇鼻翼挙筋を上方に押し上げてほうれい線の溝の深さを浅くする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鼻腔に挿入し易くすることができ、鼻腔に挿入した際には鼻腔を介して十分な量の空気を気道に送り込むことができると共に、鼻腔から脱落することを極力防ぐことができ、美容効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具の平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具の右側挿入具の右側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具の右側挿入具の左側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具の右側挿入具の平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具の右側挿入具の底面図である。
図6】本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具の右側挿入具の正面図である。
図7】本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具の右側挿入具の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具につき、詳細に説明する。
【0012】
<鼻腔挿入具の構成>
本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具1につき、図1から図7を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0013】
鼻腔挿入具1は、弾力性のある合成樹脂により一体に形成されており、全体が弾性変形可能になっている。ここで、鼻腔挿入具1を形成する合成樹脂は、例えばスチレン系・エラストマー、ポリエステル・エラストマー、シリコンゴム、ポリエチレン又は塩化ビニルである。
【0014】
鼻腔挿入具1は、左側の鼻腔に挿入される左側挿入具1Lと、右側の鼻腔に挿入される右側挿入具1Rと、左側挿入具1Lと右側挿入具1Rとを連結する連結部2と、を有している。なお、左側挿入具1Lと右側挿入具1Rとは対称形状になっているので、以下の説明においては右側挿入具1Rについてのみ説明する。
【0015】
右側挿入具1Rは、本体部3と、押圧部4と、を有している。
【0016】
本体部3は、中空部31と、第1の開口部32と、第2の開口部33と、拡径部34と、突出部35と、案内部36と、連通孔37と、膨出部38と、を備えている。
【0017】
中空部31は、本体部3の一端側の端部(図2において左端部)から他端側の端部(図2において右端部)まで延設されている。中空部31は、図6に示すように、本体部3の一端側の端部に向けて上方に延設されている。
【0018】
第1の開口部32は、一端側の端部において中空部31を外部に開放している。
【0019】
第2の開口部33は、他端側の端部において中空部31を外部に開放している。
【0020】
拡径部34は、他端側の端部に設けられて外径が拡径されている。拡径部34には、肉薄の薄肉部341が形成されている。拡径部34は、外部側方側に僅かに向くように傾いていると共に、鼻腔挿入具1が鼻腔に挿入された際に下方を向くように傾いている。
【0021】
突出部35は、舌状であり、拡径部34の下方において拡径部34より外部に突出していると共に上方に湾曲している。
【0022】
案内部36は、板状であり、一端側の端部において中空部31を形成する内壁31aより中空部31に突出すると共に、上方に向けて延設されている。なお、案内部36は、板状に限らず、溝等の任意の形状にすることができる。
【0023】
連通孔37は、本体部3を肉厚方向において貫通する貫通孔であり、中空部31と外部とを連通している。連通孔37は、中空部31の延設方向に沿って延設されている。連通孔37は、本体部3の外方の側壁に形成されている。ここで、外方の側壁は、左側挿入具1Lと右側挿入具1Rとの互いに対向しない側壁である。
【0024】
膨出部38は、円形であり、本体部3の内方の側壁及び下壁より外部に膨出している。ここで、内方の側壁は、左側挿入具1Lと右側挿入具1Rとの互いに対向する側壁である。
【0025】
押圧部4は、本体部3の上方(図1において上方)に設けられると共に、本体部3の一端側の端部から他端側の端部に向けて延設されている。押圧部4は、拡径部34と一体に拡径部34に接続している。押圧部4は、延設方向の一端側の端部と他端側の端部とが本体部3と一体に本体部3に接続していると共に、延設方向の中央部分は本体部3に対して間隔を有している。押圧部4は、延設方向の中央が上方に突出する凸形状となっている。
【0026】
<鼻腔挿入具の動作>
本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具1の動作につき、以下に詳細に説明する。
【0027】
鼻腔挿入具1を鼻腔に挿入する際に、まず本体部3が鼻腔に挿入される。この際に、鼻腔挿入具1は、押圧部4が鼻腔の内壁に当接して鼻腔の内壁を押圧することにより鼻腔を拡張させながら鼻腔に挿入される。
【0028】
鼻腔挿入具1を更に鼻腔に挿入することにより、拡径部34が鼻腔に挿入される。この際に、拡径部34に設けた薄肉部341に応力が集中して薄肉部341がより大きく弾性変形することにより、鼻腔の形状に関わらず拡径部34を鼻腔に容易に挿入することができる。
【0029】
そして、拡径部34が鼻腔に挿入された状態において、拡径部34が鼻腔内部において鼻腔の入り口の鼻弁に係合することにより、鼻腔挿入具1の鼻腔からの脱落を確実に抑制することができる。
【0030】
鼻腔挿入具1の鼻腔への挿入を完了した後には、押圧部4によって鼻筋が上方に押し上げられ、これに伴って上唇鼻翼挙筋も上方に押し上げられる。この結果、鼻腔を広くすることができると共に鼻腔の入り口を広くすることができることにより、鼻腔に多くの吸気を取り込むことができる。また、押圧部4によって上唇鼻翼挙筋を上方に押し上げることにより、眼窩から口輪筋に亘って有る大頬骨筋が上方に押し上げられるため、ほうれい線の溝の深さを浅くすることができて美容効果を得ることができる。また、押圧部4によって鼻腔の内壁を押圧することにより、鼻腔挿入具1の鼻腔からの脱落を防止することができる。
【0031】
また、押圧部4によって鼻筋を上方に押圧する押圧力に対する反力によって本体部3が下方に押圧されるため、鼻腔の下部の粘膜で終わっている鼻中隔下制筋に対して本体部3により万遍なく負荷を加えることができる。
【0032】
鼻腔は、解剖学的に頭蓋骨の位置関係より、入り口から奥部に向かって真っ直ぐではない。従って、本体部を真っ直ぐにした場合には、真っ直ぐではない鼻腔に本体部を挿入した際に、本体部が脱落し易いと共に吸気の流れに対して抵抗を生じる。これに対して、鼻腔挿入具1を鼻腔に挿入した際に拡径部34を外部側方及び下方に僅かに向くように傾けることにより、鼻腔挿入具1を鼻腔の形状に沿った形状にすることができる。この結果、鼻腔挿入具3の鼻腔からの脱落を防ぐことができると共に、中空部31を流れる吸気に対する抵抗を小さくすることができるため吸気量をより多くすることができる。
【0033】
また、拡径部34と押圧部4とを一体に接続したことにより、拡径部34と押圧部4との両者を互いに補強することができると共に、拡径部34及び押圧部4の変形を防止することができる。
【0034】
また、押圧部4が鼻腔の内壁を上方に押圧することにより内壁から受ける反力が突出部35に伝わって、突出部35が鼻中隔下制筋を押圧することにより、鼻腔の入り口を拡張させることができる。
【0035】
また、中空部31と外部とを連通する連通孔37を設けることにより、中空部31における空気の流れによって連通孔37の空気が中空部31に吸い出されて、鼻腔内部及び連通孔37が中空部31よりも陰圧になるため、鼻の粘膜から分泌される体液が連通孔17を介して中空部31に蒸発し易くなる。そして、中空部31に蒸発した体液は中空部31における空気の流れに乗って鼻腔の奥部又は咽頭部粘膜組織に達する。これにより、鼻腔の奥部又は咽頭部粘膜組織を湿潤に保つことができると共に、鼻腔の奥部又は咽頭部粘膜組織の機能を保護することができる。
【0036】
更に、膨張部38によって鼻中隔下制筋を押圧することにより、鼻中隔下制筋に対して負荷を加えることができると共に、鼻腔挿入具1の鼻腔からの脱落を防ぐことができる。
【0037】
<鼻腔挿入具を挿入した鼻腔から体内への空気の流れ>
本発明の実施形態に係る鼻腔挿入具1を挿入した鼻腔から体内への空気の流れにつき、以下に詳細に説明する。
【0038】
鼻腔挿入具1の中空部31が他端側の端部から上方に向けて延設されていると共に、案内部37が一端側の端部に向けて上方に延設されることにより、外部から鼻腔挿入具1の第2の開口部33を介して中空部31に吸入された空気は、中空部31及び案内部37により上方に案内されて第1の開口部32より放出されて体内に取り込まれる。これにより、第1の開口部32より放出される空気は、上鼻道又は中鼻道に案内される。
【0039】
ここで、鼻腔は、左右の側壁から出た鼻甲介によって上方より順に、上鼻道と、中鼻道と、下鼻道と、に分けられる。上鼻道及び中鼻道の奥に存在する副鼻腔では、流れの速い吸気に遭遇した際に、流れの速い吸気の流れが刺激となって、上顎道内の一酸化窒素NOの濃度が高まる。一酸化窒素NOには、殺菌作用及び平滑筋を弛緩させて血管を広げる効果がある。
【0040】
従って、中空部31に吸入された空気を上鼻道及び中鼻道に案内する案内部37を設けることにより、一酸化窒素NOの濃度を高めることができ、一酸化窒素NOによって平滑筋を弛緩させて血圧を下げることができるため心筋梗塞等を予防することができると共に、ウイルス又は細菌に対する殺菌作用を得ることができる。
【0041】
このように、本実施形態によれば、一端側の端部から他端側の端部まで延設される中空部31と、一端側の端部において中空部31を外部に開放する第1の開口部32と、他端側の端部において中空部31を外部に開放する第2の開口部33と、を備える筒状の本体部3と、本体部3の上方に設けられると共に、一端側から他端側に延設される押圧部4と、を有することにより、鼻腔に挿入し易くすることができ、鼻腔に挿入した際には鼻腔を介して十分な量の空気を気道に送り込むことができると共に、鼻腔から脱落することを極力防ぐことができ、美容効果を得ることができる
【0042】
本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0043】
具体的には、膨出部38を円形にしたが、これに限らず、左側挿入具1LにおいてL字状及び右側挿入具1Rにおいて逆L字状の膨出部を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、鼻腔に挿入される鼻腔挿入具に好適である。
【符号の説明】
【0045】
1 鼻腔挿入具
1L 左側挿入具
1R 右側挿入具
2 連結部
3 本体部
4 押圧部
31 中空部
32 第1の開口部
33 第2の開口部
34 拡径部
35 突出部
36 案内部
37 連通孔
38 膨出部
341 薄肉部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7