(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108387
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】MTF測定用チャート
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
G01M11/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009487
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅弘
(57)【要約】 (修正有)
【課題】チャート面の任意の位置のMTF(modulation transfer function)を容易にかつ精度よく測定することができるMTF測定用チャートを提供する。
【解決手段】MTFを測定する測定装置で利用されるMTF測定用チャートであって、少なくとも1つのオブジェクト10aをチャート面に含む。オブジェクト10aは、第1のブロック20aと、第1のブロック20aとは異なるコントラストを有し第1のブロック20aの上下左右に配置された第2のブロック20bと、により十字型に形成される。オブジェクト10aは、少なくとも1つがチャート面の任意の位置に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MTF(modulation transfer function)を測定する測定装置で利用されるMTF測定用チャートであって、
少なくとも1つのオブジェクトをチャート面に含み、
前記オブジェクトは、第1のブロックと、前記第1のブロックとは異なるコントラストを有し前記第1のブロックの上下左右に配置された第2のブロックと、により十字型に形成され、
前記オブジェクトは、少なくとも1つが前記チャート面の任意の位置に配置される
ことを特徴とするMTF測定用チャート。
【請求項2】
請求項1に記載のMTF測定用チャートであって、
前記第1のブロックは、前記チャート面の前記任意の位置に配置される
ことを特徴とするMTF測定用チャート。
【請求項3】
請求項1または2に記載のMTF測定用チャートであって、
前記任意の位置として、前記チャート面の中心位置に配置される
ことを特徴とするMTF測定用チャート。
【請求項4】
請求項1から3のうち何れかに記載のMTF測定用チャートであって、
前記第1のブロックは、正方形に形成されている
ことを特徴とするMTF測定用チャート。
【請求項5】
請求項1から4のうち何れかに記載のMTF測定用チャートであって、
前記第1のブロックは白色により形成され、前記第2のブロックは黒色により形成されている
ことを特徴とするMTF測定用チャート。
【請求項6】
請求項1から5のうち何れかに記載のMTF測定用チャートであって、
前記オブジェクトは、前記チャート面の幅方向中心位置及び/又は長さ方向中心位置に沿って所定の間隔をおいて複数配置される
ことを特徴とするMTF測定用チャート。
【請求項7】
請求項1から5のうち何れかに記載のMTF測定用チャートであって、
前記オブジェクトは、前記チャート面の全面において、所定の間隔をおいて複数配置される
ことを特徴とするMTF測定用チャート。
【請求項8】
請求項1から7のうち何れかに記載のMTF測定用チャートであって、
前記オブジェクトを、MTF測定以外の他のテストチャートの模様と重畳して表示する
ことを特徴とするMTF測定用チャート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MTF測定用チャートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MTF(modulation transfer function)測定試験を行うために、MTF測定用チャートを使用することが知られている。MTF測定試験では、カメラの空間周波数を評価することができる。MTF測定用チャートとしては、例えば、所定の間隔を置いて並べられた縦縞のMTF測定用チャートが用いられる。
【0003】
図7は、従来のMTF測定用チャート700の一例を示す図である。
図7に示すように、従来のMTF測定用チャートでは、長さ方向に沿って並べられた矩形の複数のオブジェクトを備える縦縞のチャートにより構成されている。
図7のMTF測定用チャートを利用してMTF測定試験を行うことにより、カメラのMTFを測定することができる。
【0004】
また、MTF測定用チャートを利用して撮像装置のピントを測定するピント測定装置の技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、
図7のような従来のMTF測定用チャートを利用した場合には、画像の中心、すなわち、測定装置のレンズの中心を用いて試験を行うことが望まれるものの、縦縞のチャートであるため、中心位置合わせ用のマーカをチャート面に設けることができない。
【0007】
仮に、レンズの中心位置に中心位置合わせ用のマーカを配置した場合には、
図8のようなMTF測定用チャートとなる。
図8は、従来のMTF測定用チャート800に中心位置合わせ用のマーカを配置した一例を示す図である。
図8に示すように、従来のMTF測定用チャートに単に中心位置合わせ用のマーカ801を配置した場合には、中心位置付近にはMTF測定用のチャート画像が配置されていないことから、レンズの中心位置付近のMTFを測定することができない。このため、レンズの中心位置のMTFは、周辺の縦縞のチャート画像からレンズの中心位置のMTFを類推して算出する必要があり、MTFの測定精度が落ちるという問題がある。
【0008】
本願発明は、上記課題に鑑み、チャート面の任意の位置のMTFを容易にかつ精度よく測定することができるMTF測定用チャートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、MTFを測定する測定装置で利用されるMTF測定用チャートであって、少なくとも1つのオブジェクトをチャート面に含み、前記オブジェクトは、第1のブロックと、前記第1のブロックとは異なるコントラストを有し前記第1のブロックの上下左右に配置された第2のブロックと、により十字型に形成され、前記オブジェクトは、少なくとも1つが前記チャート面の任意の位置に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、チャート面の任意の位置のMTFを容易にかつ精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係るMTF測定用チャートの一例を示す図である。
【
図2】MTF測定用チャートによりMTFを測定する測定装置の一例を示す図である。
【
図3】MTF測定用チャートを構成するオブジェクトの一例を示す図である。
【
図4】既存の歪み検出用チャートの一例を示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係るMTF測定用チャートの一例を示す図である。
【
図6】第3の実施形態に係るMTF測定用チャートの一例を示す図である。
【
図7】従来のMTF測定用チャートの一例を示す図である。
【
図8】従来のMTF測定用チャートに中心位置合わせ用のマーカを配置した一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るMTF(modulation transfer function)測定用チャート100の一例を示す図である。
図1に記載の一点鎖線により表された仮想線2a、2bは、MTF測定用チャート100の中心位置Cを説明するための仮想的な線である。仮想線2a、2bは、実際にはMTF測定用チャート100のチャート面には配置されていない。仮想線2aは、MTF測定用チャート100のチャート面の幅方向中心位置に沿って仮想的に配置されている。仮想線2bは、MTF測定用チャート100のチャート面の長さ方向中心位置に沿って仮想的に配置される。したがって、仮想線2a、2bの交点がチャート面の中心位置Cを示す。
【0013】
図1に例示したMTF測定用チャート100は、MTFを測定する測定装置で利用される。測定装置については後述する。
【0014】
図1に示すように、MTF測定用チャート100は、少なくとも1つのオブジェクト10aをチャート面に含む。第1の実施形態では、MTF測定用チャート100は、オブジェクト10a、オブジェクト10b、オブジェクト10cが配置されている。そして、オブジェクト10aは、少なくとも1つがMTF測定用チャート100のチャート面の任意の位置に配置される。第1の実施形態においては、オブジェクト10aは、任意の位置として、MTF測定用チャート100のチャート面の中心位置Cに配置される。
【0015】
オブジェクト10bは、MTF測定用チャート100のチャート面の幅方向中心位置に沿って所定の間隔d1を置いて複数配置される。第1の実施形態では、オブジェクト10bは、仮想線2aに沿って、オブジェクト10aを挟んで3つずつ配置されている。オブジェクト10bの数は
図1に示すように3つずつに限られず1つ、2つ、又は4つ以上複数配置されてもよい。所定の間隔d1は、任意の間隔に設定することができる。
【0016】
オブジェクト10cは、MTF測定用チャート100のチャート面の長さ方向中心位置に沿って所定の間隔d2を置いて複数配置される。第1の実施形態では、オブジェクト10cは、仮想線2bに沿って、オブジェクト10aを挟んで3つずつ配置されている。オブジェクト10cの数は
図1に示すように3つずつに限られず1つ、2つ、又は4つ以上複数配置されてもよい。所定の間隔d2は、任意の間隔に設定することができる。所定の間隔d1と所定の間隔d2とは同じ間隔に設定してもよいし、異なる間隔に設定してもよい。
【0017】
図2は、MTF測定用チャート100によりMTFを測定する測定装置200の一例を示す図である。測定装置200は、撮像装置としての機能を備える。例えば、測定装置200は、撮像素子201、レンズ202等を含むセンサユニットにより構成される。
【0018】
MTFを測定する場合には、測定装置200は、例えば床上や机上などの接地面に配置され、測定装置200の上方に配置されたMTF測定用チャート100を撮像する。測定装置200は、撮像画像を制御装置250に送信することにより、制御装置250によりMTFの測定を行うことができる。制御装置250は、PC(personal computer)、スマートフォン、タブレット端末等により構成される。測定装置200は、制御装置250を介さずに自身でMTFの測定を行ってもよい。
【0019】
図3は、MTF測定用チャート100を構成するオブジェクトの一例を示す図である。
図3では、オブジェクト10a、10b、10cのうち、オブジェクト10aについて説明する。オブジェクト10b及びオブジェクト10cの構成については、オブジェクト10aとほぼ同様であるため、
図3を参照して説明を省略する。
【0020】
図3に示すように、オブジェクト10aは、中央に配置された第1のブロック20aと、第1のブロック20aの上下左右に配置された第2のブロック20bと、により十字型に形成される。第1のブロック20aと、第2のブロック20bとは、互いに異なるコントラストにより構成される。
図3に示すように第1の実施形態では、第1のブロック20aの輝度は「0」、すなわち黒色により形成され、第2のブロック20bの輝度は「255」、すなわち白色により形成されている。第1のブロック20aの輝度を「255」、すなわち白色により形成し、第2のブロック20bの輝度を「0」、すなわち黒色により形成してもよい。
【0021】
第1の実施形態においては、第1のブロック20aは、正方形に形成されている。この場合、第2のブロック20bも正方形に形成することが好ましい。なお、第1のブロック20aを、長方形や多角形で形成してもよい。この場合、第2のブロック20bは、第1のブロック20aの形状や接線に合わせて長方形や多角形で形成される。
【0022】
オブジェクト10aは、MTF測定用チャート100の任意の位置に配置されている。より詳細には、オブジェクト10aを構成する第1のブロック20aの中心が、MTF測定用チャート100の任意の位置と一致するように配置されている。本実施形態のように、オブジェクト10aを任意の位置として中心位置Cに配置する場合には、オブジェクト10aを構成する第1のブロック20aの中心が、MTF測定用チャート100の中心位置Cと一致するように配置される。
【0023】
MTF測定用チャート100のチャート面の中心位置C付近のMTFを測定する場合には、測定装置200は、オブジェクト10aを構成するブロックのうち、第1のブロック20aの左右にそれぞれ配置された第2のブロック20b、20bと、第1のブロック20aの上下にそれぞれ配置された第2のブロック20b、20bと、の中心を算出する。これにより、測定装置200は、
図7に示すように中心位置合わせ用のマーカ500をMTF測定用チャート100の中央に配置せずに、MTF測定用チャート100のチャート面の中心位置Cを把握することができる。そして、中心位置Cを通る仮想線2aに沿ってオブジェクト10aを含むMTFの測定が行われると、第1のブロック20aと、第2のブロック20bと、の輝度(コントラスト)の差によりレンズ202の中心位置におけるMTFを測定することができる。したがって、MTF測定用チャート100のチャート面の中心位置C付近のMTFを容易にかつ精度よく測定することができる。
【0024】
<第2の実施形態>
第2の実施形態のMTF測定用チャートは、第1の実施形態のMTF測定用チャート100をMTF測定以外の他のテストチャートの模様と重畳して表示する。例えば、第2の実施形態のMTF測定用チャートは、第1の実施形態のMTF測定用チャート100を既存の歪み検出用チャートの模様と重畳して表示してもよい。すなわち、第1の実施形態のオブジェクト10a、10b、10cを、既存の歪み検出用チャートの模様と重畳して表示することができる。歪み検出用チャートは、テストチャートの一例である。その他、テストチャートして、階調チャート、解像力チャート、カラーチャート等を採用してもよい。
【0025】
図4は、既存の歪み検出用チャート300の一例を示す図である。
図5は、第2の実施形態に係るMTF測定用チャート400の一例を示す図である。
【0026】
図4に示すように、既存の歪み検出用チャート300は、中心マーカ311と、複数の同心円321と、複数の基準線331と、が配置されている。
【0027】
中心マーカ311は、歪み検出用チャート300のチャート面の中心位置に配置され、十字の線により形成される。
【0028】
同心円321は、チャート面の中心位置Cを中心として所定の間隔を置いて同心円状に複数配置されている。すなわち、同心円321は、中心マーカ311を中心として同心円状に配置されている。各同心円321は、所定の間隔d3を置いてチャート面の全体にわたって配置されている。
【0029】
基準線331は、チャート面の中心位置を中心として放射状に複数配置されている。すなわち、基準線331は、中心マーカ311を中心として放射状に配置されている。各基準線331は、複数の異なる角度をもってチャート面の全体にわたって配置されている。
【0030】
図5に示すように、第2の実施形態のMTF測定用チャート400は、
図1に示す第1の実施形態のオブジェクト10a、10b、10cを
図4の歪み検出用チャート300の模様と重畳して配置されている。
【0031】
図5に示すように、第2の実施形態のMTF測定用チャート400は、複数の同心円321と、複数の基準線331と、が配置されている。但し、第2の実施形態のMTF測定用チャート400は、
図4を参照して説明した既存の歪み検出用チャート300と異なり、中心マーカ311は配置されていない。また、第2の実施形態のMTF測定用チャート400は、第1の実施形態のMTF測定用チャート100と同様に、少なくとも1つのオブジェクト10aをチャート面に含む。
【0032】
同心円321は、チャート面の中心位置Cを中心として所定の間隔を置いて同心円状に複数配置されている。すなわち、同心円321は、オブジェクト10aを中心として同心円状に配置されている。各同心円321は、所定の間隔d3を置いてチャート面の全体にわたって配置されている。これにより、レンズ202の全体の歪みを検出することができる。なお、所定の間隔d3は任意に設定することができる。
【0033】
基準線331は、チャート面の中心位置Cを中心として放射状に複数配置されている。すなわち、基準線331は、オブジェクト10aを中心として放射状に配置されている。各基準線331は、複数の異なる角度をもってチャート面の全体にわたって配置されている。これにより、レンズ202の全体の歪みを検出することができる。なお、各基準線331の角度は任意に設定することができる。
【0034】
また、第2の実施形態のMTF測定用チャート400は、第1の実施形態のMTF測定用チャート100と同様に、オブジェクト10a、オブジェクト10b、オブジェクト10cが配置されている。そして、オブジェクト10aは、少なくとも1つがMTF測定用チャート400のチャート面の任意の位置に配置される。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、オブジェクト10aを任意の位置として、MTF測定用チャート400のチャート面の中心位置Cに配置することができる。
【0035】
オブジェクト10bは、MTF測定用チャート400のチャート面の幅方向中心位置に沿って配置された基準線331に沿って複数配置される。第2の実施形態では、オブジェクト10bは、基準線331に沿って、オブジェクト10aを挟んで3つずつ配置されている。オブジェクト10bの数は
図5に配置されている3つずつに限られず1つ、2つ、又は4つ以上複数配置されてもよい。
【0036】
オブジェクト10cは、MTF測定用チャート400のチャート面の長さ方向中心位置に沿って配置された基準線331に沿って複数配置される。第2の実施形態では、オブジェクト10cは、基準線331に沿って、オブジェクト10aを挟んで3つずつ配置されている。オブジェクト10cの数は
図5に配置されている3つずつに限られず1つ、2つ、又は4つ以上複数配置されてもよい。
【0037】
MTF測定用チャート400のチャート面の中心位置C付近のMTFを測定する場合には、測定装置200は、オブジェクト10aを構成するブロックのうち、第1のブロック20aの左右にそれぞれ配置された第2のブロック20b、20bと、第1のブロック20aの上下にそれぞれ配置された第2のブロック20b、20bと、の中心を算出する。これにより、測定装置200は、
図4に示すように中心位置合わせ用の中心マーカ311をMTF測定用チャート400の中央に配置せずに、MTF測定用チャート400のチャート面の中心位置Cを把握することができる。そして、中心位置Cを通る仮想線2aに沿ってオブジェクト10aを含むMTFの測定が行われると、第1のブロック20aと、第2のブロック20bと、の輝度(コントラスト)の差によりレンズ202の中心位置におけるMTFを測定することができる。したがって、MTF測定用チャート400のチャート面の中心位置C付近のMTFを容易にかつ精度よく測定することができる。
【0038】
更に、第2の実施形態のMTF測定用チャート400は、歪み検出用チャート300を構成する複数の同心円321と、複数の基準線331と、が配置されている。各同心円321は、所定の間隔d3を置いてチャート面の全体にわたって配置されているため、レンズ202の全体の歪みを検出することができる。また、各基準線331は、複数の異なる角度をもってチャート面の全体にわたって配置されているため、レンズ202の全体の歪みを検出することができる。これにより一つのMTF測定用チャート400を用いて、MTFの測定と、歪みの検出を行うことができるため、テストチャートの製作コストの低減を図ることができる。また、一つのMTF測定用チャート400を用いて、複数のテストを行うことができるため、テストチャートを交換する必要がなく迅速かつ容易に測定することができる。
【0039】
<第3の実施形態>
第1の実施形態のMTF測定用チャート100では、オブジェクト10bは、MTF測定用チャート100のチャート面の幅方向中心位置に沿って所定の間隔d1を置いて複数配置され、オブジェクト10cは、長さ方向中心位置に沿って所定の間隔d2を置いて複数配置されている。これに対し、第3の実施形態のMTF測定用チャート600では、チャート面の全面において、オブジェクト10a、10b、10cが所定の間隔をおいて複数配置される。
図6は、第3の実施形態に係るMTF測定用チャート600の一例を示す図である。
【0040】
第3の実施形態では、オブジェクト10bは、MTF測定用チャート600のチャート面の幅方向中心位置に沿って所定の間隔d1を置いて複数配置される。オブジェクト10bは、仮想線2aに沿って、オブジェクト10aを挟んで3つずつ配置されている。オブジェクト10bの数は
図6に示すように3つずつに限られず1つ、2つ、又は4つ以上複数配置されてもよい。所定の間隔d1は、任意の間隔に設定することができる。
【0041】
オブジェクト10cは、MTF測定用チャート600のチャート面の長さ方向中心位置に沿って所定の間隔d2を置いて複数配置されるとともに、チャート面の幅方向に沿って所定の間隔d1を置いて配置される。第3の実施形態では、オブジェクト10cは、幅方向に沿って、オブジェクト10aを挟んで3つずつ配置されるとともに、長さ方向に沿って、オブジェクト10aを挟んで4つずつ配置されている。オブジェクト10cの数は
図6に示す数に限られず2つ以上複数配置されてもよい。所定の間隔d1、d2は、任意の間隔に設定することができる。所定の間隔d1と所定の間隔d2とは同じ間隔に設定してもよいし、異なる間隔に設定してもよい。
【0042】
MTF測定用チャート600のチャート面の中心位置C付近のMTFを測定する場合には、測定装置200は、オブジェクト10aを構成するブロックのうち、第1のブロック20aの左右にそれぞれ配置された第2のブロック20b、20bと、第1のブロック20aの上下にそれぞれ配置された第2のブロック20b、20bと、の中心を算出する。これにより、測定装置200は、
図8に示すように中心位置合わせ用のマーカ801をMTF測定用チャート600の中央に配置せずに、MTF測定用チャート600のチャート面の中心位置Cを把握することができる。さらに、第3の実施形態のMTF測定用チャート600では、オブジェクト10a、10b、10cがチャート面の全面に亘って配置されているため、任意の位置に配置されたオブジェクト10a、10b、10cを含むMTFの測定が行われると、第1のブロック20aと、第2のブロック20bと、の輝度(コントラスト)の差によりレンズ202の任意の位置におけるMTFを測定することができる。したがって、MTF測定用チャート600のチャート面の任意の位置付近のMTFを容易にかつ精度よく測定することができる。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用ができることはもちろんである。
【符号の説明】
【0044】
10a :オブジェクト
10b :オブジェクト
10c :オブジェクト
20a :第1のブロック
20b :第2のブロック
100 :MTF測定用チャート
200 :測定装置
201 :撮像素子
202 :レンズ
250 :制御装置
300 :歪み検出用チャート
311 :中心マーカ
321 :同心円
331 :基準線
400 :MTF測定用チャート
500 :マーカ
600 :MTF測定用チャート
700 :MTF測定用チャート
800 :MTF測定用チャート
801 :マーカ
C :中心位置