(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108393
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】吹矢の矢
(51)【国際特許分類】
F41B 1/00 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
F41B1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009494
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】399039834
【氏名又は名称】株式会社 ダイセイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100094086
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 啓之
(72)【発明者】
【氏名】米山 隆明
(57)【要約】
【課題】 フィルムに対してピンの円柱部を常に軸心に位置させた矢を提供する。
【解決手段】 球形部12と該球形部12から後方に延びる棒状の支持部13とからなるピン10と、支持部13を同心状に収容する長手状の断面外周円形の収容部材14であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなる収容部材14と、円錐形に巻かれたフィルム16と、からなり、フィルム16の先端部内側には収容部材14が固着され、収容部材14とフィルム16との径の拡大度合いは一致又は略一致しており、フィルム16の先端部に連続してピン10の球形部12が錘として接続された矢8、からなる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹矢に使用する矢であって、
頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、
前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、
円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、
前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢。
【請求項2】
吹矢に使用する矢であって、
球形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、
前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、
円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、
前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢。
【請求項3】
吹矢に使用する矢であって、
俵形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、
前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、
円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、
前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢。
【請求項4】
吹矢に使用する矢であって、
涙形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、
前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、
円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、
前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢。
【請求項5】
吹矢に使用する矢であって、
矢じり形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、
前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、
円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、
前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢。
【請求項6】
吹矢に使用する矢であって、
丸矢じり形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、
前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、
円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、
前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢。
【請求項7】
吹矢に使用する矢であって、
ラグビーボール形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、
前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、
円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、
前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢。
【請求項8】
前記ピン収容部材は、後方に向かって横断面の直径が徐々に大きくなるテーパー形からなる請求項1~7のいずれか1項記載の矢。
【請求項9】
前記ピンは金属からなる請求項1~8のいずれか1項記載の矢。
【請求項10】
前記ピン収容部材は樹脂からなる請求項1~9のいずれか1項記載の矢。
【請求項11】
前記支持部は円柱状からなる請求項1~10のいずれか1項記載の矢。
【請求項12】
前記ピン収容部材の最後尾に衝撃吸収部が設けられている請求項1~11のいずれか1項記載の矢。
【請求項13】
前記衝撃吸収部は、長手方向に形成された複数柱状体からなる請求項12記載の矢。
【請求項14】
前記フィルムは円錐形に巻かれたときのフィルムの幅方向端部同士の重なりしろが、フィルム全長の、後端から5分の1の部分で1cm以内であり、先端に向かって徐々に幅広になって中央部で最も幅広であり、先端にいくにつれて徐々に二重以上に重なっていく形状である請求項1~13のいずれか1項記載の矢。
【請求項15】
前記フィルムは向かい合う二辺が長辺になっている略長尺状のオリエンテッドポリプロピレンシートからなり、前記長辺のうちの一方が円弧状に湾曲していて更に当該長辺に隣接する角部に円弧状の湾曲部が形成されており、前記長辺のうちの他方が略直線状に形成されている請求項1~14のいずれか1項記載の矢。
【請求項16】
前記矢は全長が200mm±5mmであり、円錐形に巻かれたフィルムの後端の外径が13.0mm±0.2mmである請求項1~15のいずれか1項記載の矢。
【請求項17】
前記ピンと前記ピン収容部材とを合わせた全長は42mmである請求項1~16のいずれか1項記載の矢。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹矢に使用する矢に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、矢を吹く際の呼吸が腹式呼吸であり健康によいという理由から、スポーツや娯楽としての吹矢が普及している。
【0003】
スポーツや娯楽としての吹矢は、
図16、
図17に示すように、フィルムを円錐状に巻いてフィルムの先端に錘としてのピンを差し込んだ矢1を用いて行われ、この矢1を筒40に入れ、筒40の後端部から筒40内に息を吹き込むことにより、矢1を発射させてウレタン製の的38(
図15)に当てる。矢としては、略長方形状のプラスチックフィルムを円錐状に巻いてその先端に錘としてのピンを脚の部分から差し込み接着固着したものが用いられている(例えば、特許文献1)。ピンは、球形、俵形、涙滴形等の頭部と該頭部から延びる円柱部とからなる金属製のものが用いられたりする。円柱部の最後尾がピンの後端部となる。
【0004】
ピンは円柱部の後端部から円錐状フィルムの先端部に差し込まれる。その際、ピンの円柱部は先端部を除いて長手方向に径が同一であるのに対し、フィルムは基端部方向に徐々に径が拡大しているため、ピンの円柱部外表面とフィルム内表面との間に隙間が生じる。特許文献2ではこの隙間を埋めるべく、管状部材5を円柱部の周りに装着させ、接着剤6、7を用いている。つまり、管状部材5及び接着剤6、7によって、円柱部3と後端部に向かって徐々に拡径するフィルム内表面との間に生じる隙間を埋めつつ円柱部3とフィルム内表面とを固着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4910074号公報
【特許文献2】特開2020‐91095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの方法でフィルムに対して円柱部を常に軸心に位置させることは接着剤の塗布量や配分に熟練の技が必要であり均質な矢を大量生産することは困難な点があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、フィルムに対して円柱部を常に軸心に位置させた矢を困難なく量産することができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、吹矢に使用する矢であって、頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢、を提供する。
【0009】
本発明によれば、ピンの支持部がピン収容部材に同心状に収容されているので、ピンの支持部とピン収容部材との軸心が一致し、横断面においてピンがピン収容部材の中央にくる。また、ピン収容部材とフィルムとの径の拡大度合いが一致又は略一致しているため、ピン収容部材とフィルム内側面とが密着する。
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、吹矢に使用する矢であって、球形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢、を提供する。
【0011】
本発明によれば、ピンの支持部がピン収容部材に同心状に収容されているので、ピンの支持部とピン収容部材との軸心が一致し、横断面においてピンがピン収容部材の中央にくる。また、ピン収容部材とフィルムとの径の拡大度合いが一致又は略一致しているため、ピン収容部材とフィルム内側面とが密着する。また、ピンの頭部が球形であるので、矢を的から引き抜く際の抵抗力が小さくて済む。
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、吹矢に使用する矢であって、俵形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢、からなる。
【0013】
本発明によれば、ピンの支持部がピン収容部材に同心状に収容されているので、ピンの支持部とピン収容部材との軸心が一致し、横断面においてピンがピン収容部材の中央にくる。また、ピン収容部材とフィルムとの径の拡大度合いが一致又は略一致しているため、ピン収容部材とフィルム内側面とが密着する。また、ピンの頭部が俵形であるので、矢を的から引き抜く際の抵抗力が小さくて済む。
【0014】
本発明は、上記目的を達成するために、吹矢に使用する矢であって、涙形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢、からなる。
【0015】
本発明によれば、ピンの支持部がピン収容部材に同心状に収容されているので、ピンの支持部とピン収容部材との軸心が一致し、横断面においてピンがピン収容部材の中央にくる。また、ピン収容部材とフィルムとの径の拡大度合いが一致又は略一致しているため、ピン収容部材とフィルム内側面とが密着する。また、ピンの頭部が涙形であるので、矢を的から引き抜く際の抵抗力が小さくて済む。涙形とは先端がドーム状に形成されており、その両端部から後方へゆるやかな凸曲面が形成されている形状である。当該凸曲面は直平面でもよい。
【0016】
本発明は、上記目的を達成するために、吹矢に使用する矢であって、矢じり形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢、からなる。
【0017】
本発明によれば、ピンの支持部がピン収容部材に同心状に収容されているので、ピンの支持部とピン収容部材との軸心が一致し、横断面においてピンがピン収容部材の中央にくる。また、ピン収容部材とフィルムとの径の拡大度合いが一致又は略一致しているため、ピン収容部材とフィルム内側面とが密着する。矢じり形とは前面が三角錐に近似した凸曲面形状であり、そこから後方へ向かって緩やかな曲面が形成され、支持部との接続点は垂直な平面が形成された形状である。
【0018】
本発明は、上記目的を達成するために、吹矢に使用する矢であって、丸矢じり形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢、からなる。
【0019】
本発明によれば、ピンの支持部がピン収容部材に同心状に収容されているので、ピンの支持部とピン収容部材との軸心が一致し、横断面においてピンがピン収容部材の中央にくる。また、ピン収容部材とフィルムとの径の拡大度合いが一致又は略一致しているため、ピン収容部材とフィルム内側面とが密着する。また、ピンの頭部が丸矢じり形であるので、矢を的から引き抜く際の抵抗力が小さくて済む。丸矢じり形とは前面は前記矢じり形と同形状であるが、側面が途中から支持部との接続点にかけてすぼむ形状の凸曲面が形成された形状である。
【0020】
本発明は、上記目的を達成するために、吹矢に使用する矢であって、ラグビーボール形である頭部と該頭部から後方に延びる棒状の支持部とからなるピンと、前記支持部を同心状に収容する長手状の断面外周円形のピン収容部材であって、横断面の直径が後方に向かうにしたがって徐々に大きくなるピン収容部材と、円錐形に巻かれたフィルムと、からなり、前記フィルムの先端部内側には前記ピン収容部材が固着され、前記ピン収容部材と前記フィルムとの径の拡大度合いは一致又は略一致しており、前記フィルムの先端部に連続して前記ピンの頭部が錘として接続された矢、からなる。
【0021】
本発明によれば、ピンの支持部がピン収容部材に同心状に収容されているので、ピンの支持部とピン収容部材との軸心が一致し、横断面においてピンがピン収容部材の中央にくる。また、ピン収容部材とフィルムとの径の拡大度合いが一致又は略一致しているため、ピン収容部材とフィルム内側面とが密着する。また、ピンの頭部がラグビーボール形であるので、矢を的から引き抜く際の抵抗力が小さくて済む。
【0022】
本発明においては、前記ピン収容部材は、後方に向かって横断面の直径が徐々に大きくなるテーパー形からなることが好ましい。
【0023】
本発明においては、前記ピンは金属からなることが好ましい。ピン自体の重量を重くすることができる。
【0024】
本発明においては、前記ピン収容部材は樹脂からなることが好ましい。
【0025】
本発明においては、前記支持部は円柱状からなることが好ましい。
【0026】
本発明においては、前記ピン収容部材の最後尾に衝撃吸収部が設けられていることが好ましい。
【0027】
本発明においては、前記衝撃吸収部は、長手方向に形成された複数柱状体からなることが好ましい。
【0028】
本発明においては、前記フィルムは円錐形に巻かれたときのフィルムの幅方向端部同士の重なりしろが、フィルム全長の、後端から5分の1の部分で1cm以内であり、先端に向かって徐々に幅広になって中央部で最も幅広であり、先端にいくにつれて徐々に二重以上に重なっていく形状であることが好ましい。
【0029】
本発明においては、前記フィルムは向かい合う二辺が長辺になっている略長尺状のオリエンテッドポリプロピレンシートからなり、前記長辺のうちの一方が円弧状に湾曲していて更に当該長辺に隣接する角部に円弧状の湾曲部が形成されており、前記長辺のうちの他方が略直線状に形成されていることが好ましい。
【0030】
本発明においては、前記矢は全長が200mm±5mmであり、円錐形に巻かれたフィルムの後端の外径が13.0mm±0.2mmであることが好ましい。
【0031】
本発明においては、前記ピンと前記ピン収容部材とを合わせた全長は42mmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ピンの支持部がピン収容部材に同心状に収容されているので、ピンの支持部とピン収容部材との軸心が一致し、横断面においてピンがピン収容部材の中央にくるため、飛行中のブレが小さく安定飛行が保たれ的中率の高い矢を得ることができる。また、ピン収容部材とフィルムとの径の拡大度合いが一致又は略一致しているため、ピン収容部材とフィルム内側面とが密着するので、的に刺さった矢を引き抜く際にピンやピン収容部材の抜け落ちが極力防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明に係る矢で第1実施形態のピンを収容部材に差し込んだ先端部材をフィルムに装着させたものの全体斜視図
【
図6】第1実施形態の先端部材をフィルムに装着させたものの縦断面図
【
図17】吹矢の筒に矢を挿入しようとするときの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0035】
図1は本発明に係る矢8で第1実施形態の先端部材15を円錐形に巻かれたフィルム16に装着させたものの全体斜視図である。
図2は収容部材14を前方から見た斜視図、
図3は収容部材14を後方から見た斜視図である。
図4は第1実施形態の先端部材15のピン10を前方から見た斜視図、
図5は該ピン10を後方から見た斜視図である。
図6は第1実施形態の先端部材15をフィルム16に装着させたものの縦断面図である。
図7は、第1実施形態の先端部材15の拡大側面図であり、各寸法は
図7に示すとおりである。なお、本発明は記載の寸法に限定されるものではなく、寸法はあくまで一例である。
【0036】
先端部材15は、ピン10と収容部材14とからなる。
【0037】
ピン10は球形部12と該球形部12と連続していて該球形部12から後方に延びる円柱状の支持部13とからなる。球形部12は略球形をしており、錘としての役割をもつ。球形部12の後尾には球形の水平方向中央軸と軸線を共通にする円柱状の支持部13が連続して形成されている。支持部13の、球形部12との接続部における径は球形部12の径よりも小さい。
【0038】
収容部材14は軸線に貫通孔が形成された横断面外形が円形のテーパー状部材であり、先端部は円錐台の上部のような形状になっていて後方にいくにつれて徐々に外径が大きくなっている。収容部材14の最後尾は衝撃吸収部として機能する長手方向に形成された三つの柱状体が後方に延びるように形成されている。
【0039】
支持部13は収容部材14先端の貫通孔に嵌入接着されてピン10が収容部材14に装着される。これによって先端部材15が形成される。ピン10の軸線と収容部材14の軸線は一致する。すなわち、ピン10は横断面で収容部材14の中央に位置する。
【0040】
本形態では、球形部12の径が3.3mmであるのに対し、収容部材14の、球形部12との接続部における径は2mmになっている。収容部材14の先端部孔径は1.2mmであり基端部孔径は1.3mmである。収容部材14の長さは37mmであり、最後尾の径は3.41mmであり、これは接続部における径2mmより大きい。すなわち、収容部材14の径は末広がりになっている。
【0041】
ピン10は表面が平滑な金属からなり、ステンレス製が一般的である。特に、球形部12は摩擦力の小さい滑らかな表面に形成されている。ピン10の全長は20mm、支持部13の長さは16.7mm、支持部13の外径は1mmである。収容部材14は材質が樹脂からなり、例えばポリアミドを用いることができる。この場合、弾力性をもたせることが可能である。収容部材14は一例として3Dプリンタで作成可能であり、所望の寸法を3Dプリンタに入力すると入力した通りの寸法の製品が出来上がるので、均質なものを大量に生産することができる。収容部材14は、軸心から錐面の母線までの距離を横断方向の錐表面では一致させる必要があるが、3Dプリンタではこの要請に容易に応えることができる。
【0042】
収容部材14の最後尾には衝撃吸収部として機能する長手方向に形成された複数柱状体26が形成されている。複数柱状体26は収容部材14と同一素材で作成可能である。この構造により、的に刺さっている矢に次に吹いた矢が重なって前の矢のフィルム内の奥深くに食い込むダブル突入の状態になっても、すなわち、後に発射した矢のピン10先端部が前の矢のフィルム内の先端部材15後端に当たっても、複数柱状体26が衝撃を吸収し、前に放った矢を引き続き使用可能にさせることができる。なお、複数柱状体26は3本に限定されるものではなく、2本でも4本でもよい。
【0043】
【0044】
フィルム16は、
図13に示すように、向かい合う二辺が長辺になっている略長尺状のオリエンテッドポリプロピレンシートからなる。前記長辺のうちの一方がゆるやかな円弧状に内側に湾曲している円弧部28となっている。円弧部28に隣接する角部には円弧部28よりもカーブが急な円弧状の湾曲部30が形成されている。円弧部28と向かい合う長辺は、略直線状に形成されている直線部32となっている。直線部32の両端の角部は、角が切断された形状になっている。また、円弧部28の、湾曲部30と逆の隣接部も角が切断された形状になっている。手元辺34は曲線、並びに先端辺36は直線状になっている。直線部32と先端辺36の裏面の縁には糊が付されていて裏面のシールカバーを剥がせば付着できるようになっている。
【0045】
次に、矢8を作成する方法を説明する。
【0046】
図14は、フィルム16を巻く際に用いる金属製で円錐形の治具42の側面図である。治具42の先端から後端への径の拡大度合いは収容部材14の先端から後端への径の拡大度合いと同一である。この“同一”は加工上の誤差範囲を含む。フィルム16は治具42を用いて円錐形に巻いていく。まず、手元辺34を治具42に巻く。その際に先端部材15を治具42の先端部に保持する。次に、先端部材15を起点にしてフィルム16を巻いていき、巻いた部分を押えて治具42を、フィルム16を巻いていく方向に回転させていく。巻いた状態の最先端部は湾曲部30が円周を形成した状態になる。先端部材15を先端に装着させた状態で巻き終わる。この結果、
図6に示すように球形部12がフィルム16の先端部と隣接する。
【0047】
フィルム16の直線部32と先端辺36の裏面の縁には糊が付されているので巻いていくときにフィルム16が収容部材14を囲むようにしてかつ収容部材14に付着しながら巻かれていき、フィルム16の他の箇所をも付着させながら巻かれて円錐形を形成していく。収容部材14は横断面円形で後方にいくにつれて径が大きくなる側面末広がり状(すなわち、テーパー状)に形成されていてこの径が大きくなる比率がフィルム16の後方にいくにつれての径が大きくなる比率と一致している。よって、収容部材14とフィルム16との軸心が一致し、かつ、収容部材14はフィルム16内面に密着する。このように収容部材14とフィルム16とが密着するため、従来、フィルムにピンを取り付ける際に要していた接着剤を使用せずに済み、フィルム16の裏面の前記箇所に付されている糊のみで密着化が図れる。もちろん、収容部材14とフィルム16との接着は接着剤を用いてもよい。上述により、ピン10の軸心、収容部材14の軸心、フィルム16の軸心は一致することになり、球形部12もフィルム16先端においてフィルム16の横断面中心に位置づけて配置される。
【0048】
なお、フィルム16は円錐形に巻かれたときの円弧部28と直線部32との重なりしろは、フィルム16全長の、後端から5分の1の部分で1cm以内であるが、先端に向かって徐々に幅広になって長手方向中央部で最も幅広であり、先端にいくにつれて徐々に何重にも重なっていく状態になっている。
【0049】
上述のフィルム形状を採用することによって、上述のように重なりしろを小さくすることができた。収容部材14とフィルム16との上記密着によって、ピン10の軸心と収容部材14の軸心とフィルム16の軸心を一致させることができたので、フィルムの重なりしろを小さくできたことと相俟って、フィルムの上下左右方向の重心を均等にすることができて飛行中のブレが小さくなり、的への的中率が向上した。ピン10を金属製としたことにより、ピン10の比重が大きくなったので矢全体の長手方向の重心が前に寄るため前方への飛行性能がよくなった。ピン10と収容部材14とを合わせた先端部材15の重量は0.998gである。
【0050】
的に刺さった矢を抜く際には、矢8の後端部、すなわちフィルム16を手でつまんで引き抜けばよい。従来の矢でピンの支持部を直接フィルム先端に差し込んで支持部とフィルム内面とを接着剤等で固着させていたタイプのものは、矢の後端部つまりフィルムをつまんで矢を的から引き抜くとフィルムがピンから離脱してフィルムだけが引っ張られピンが的の中に残る事態が時々生じていた。このため、矢抜きとよばれる先細りの円錐状の器具を矢の後端から矢に差し込んで矢抜きと一緒に矢を的から引き抜くことが行われていた。本実施形態の矢では、ピン10の支持部13と収容部材14とが密着し、かつ収容部材14とフィルム16とが密着しており、更にピン10の先端部の球形部12も引き抜く際の摩擦抵抗が少ない球形に形成されていて平滑な表面でもあるので、矢8を的から引く抜く際の矢と的との摩擦抵抗が小さく、引き抜いた際にピンだけが的に残る事象が極力防止できる。
【0051】
矢8は全長が200mm±5mmであり、円錐形に巻かれたフィルム16の後端の外径が13.0mm±0.2mmである。
【0052】
次に本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態と同様の部分は同一の番号を付してその説明を省略する。
【0053】
図8は、第2実施形態の先端部材115の拡大側面図である。第1実施形態とは収容部材14の構成は同じであるが、ピンの頭部の形状が俵形となっている点が異なる。ピンの支持部13の構造は第1実施形態と同じである。すなわち、先端部材115は、俵形部18とこの俵形部18と同軸で俵形部18から後方に延びる支持部13とからなるピン10と、支持部13が嵌入接着される収容部材14と、からなる。俵形部18から収容部材14へは外形が連続した形態になっている。俵形部18は略俵形をしており、錘の役割をもつ。ピン10の軸心、収容部材14の軸心、フィルム16の軸心は一致することになり、俵形部18もフィルム16先端においてフィルム16の横断面中心に位置づけて配置される。矢全体の重心を前にもってきたいときはこの俵形部18を有するピンを用いることができる。俵形部18の材質・表面処理は上記球形部12と同じである。
【0054】
次に本発明の第3実施形態を説明する。第1実施形態と同様の部分は同一の番号を付してその説明を省略する。
【0055】
図9は、第3実施形態の先端部材215の拡大側面図である。第1実施形態とは収容部材14の構成は同じであるが、ピンの頭部の形状が涙形となっている点が異なる。ピンの支持部13の構造は第1実施形態と同じである。すなわち、先端部材215は、涙形部20とこの涙形部20と同軸で涙形部20から後方に延びる支持部13とからなるピン10と、支持部13が嵌入接着される収容部材14と、からなる。涙形部20から収容部材14へは外形が連続した形態になっている。涙形部20は錘の役割を有し、
図9に示されるように前面がゆるやかな凸曲面で形成されそこから後方へ向かって急な曲面が形成されさらにその後方へはゆるやかな凸曲面が形成されている。この先端部材215は、収容部材14との接続部に近接する地点がゆるやかな凸曲面で形成されているので、的に刺さった矢を引き抜くときに抵抗小さく容易に抜ける。ピン10の軸心、収容部材14の軸心、フィルム16の軸心は一致することになり、涙形部20もフィルム16先端においてフィルム16の横断面中心に位置づけて配置される。涙形部20の材質・表面処理は上記球形部12と同じである。
【0056】
次に本発明の第4実施形態を説明する。第1実施形態と同様の部分は同一の番号を付してその説明を省略する。
【0057】
図10は、第4実施形態のピン315の拡大側面図である。第1実施形態とは収容部材14の構成は同じであるが、ピンの頭部の形状が矢じり形となっている点が異なる。ピンの支持部13の構造は第1実施形態と同じである。すなわち、先端部材315は、矢じり形部22とこの矢じり形部22と同軸で矢じり形部22から後方に延びる支持部13とからなるピン10と、支持部13が嵌入接着される収容部材14と、からなる。矢じり形部22は錘の役割を有し、
図10に示されるように前面が凸曲面で形成されそこから後方へ向かって緩やかな曲面が形成され収容部材14との接続点は垂直な平面が形成されている。この先端部材315は、矢じり形部22の、収容部材14との接続点直前部位が垂直な平面で形成されているので、矢が的に刺さった際にフィルム先端部がその垂直な平面に当たってフィルム先端部がそれ以上前へ移動することを防止される。吹いた矢は時速100km程度の高速でウレタン製の的にぶつかり刺さるので、フィルムが収容部材14に糊着けされていても的にぶつかった衝撃で慣性の法則によりフィルム先端部が多少前にずれる。その壁となるのが矢じり部22の上記垂直な平面である。ピン10の軸心、収容部材14の軸心、フィルム16の軸心は一致することになり、矢じり形部22もフィルム16先端においてフィルム16の横断面中心に位置づけて配置される。矢じり形部22の材質・表面処理は上記球形部12と同じである。
【0058】
次に本発明の第5実施形態を説明する。第1実施形態と同様の部分は同一の番号を付してその説明を省略する。
【0059】
図11は、第5実施形態の先端部材415の拡大側面図である。第1実施形態とは収容部材14の構成は同じであるが、ピンの頭部の形状が丸矢じり形となっている点が異なる。ピンの支持部13の構造は第1実施形態と同じである。すなわち、先端部材415は、丸矢じり形部24とこの丸矢じり形部24と同軸で丸矢じり形部24から後方に延びる支持部13とからなるピン10と、支持部13が嵌入接着される収容部材14と、からなる。丸矢じり形部24は錘の役割を有し、
図11に示されるように前面が凸曲面で形成されそこから後方へ向かって緩やかな曲面が形成され収容部材14との接続点にかけて徐々にすぼむ形状の凸曲面が形成されている。このピン10は、丸矢じり部24の、収容部材14との接続点直前部位がすぼむ形状の曲面で形成されているので、矢が的に刺さった際にフィルム先端部がその曲面に当たってフィルム先端部がそれ以上前へ移動することが防止される。吹いた矢は時速100km程度の高速でウレタン製の的にぶつかり刺さるので、フィルムが収容部材14に糊着けされていても的にぶつかった衝撃で慣性の法則によりフィルム先端部が多少前にずれる。その壁となるのが丸矢じり形部24の上記すぼむ形状の曲面である。また、この曲面は矢を的から引き抜くときに抵抗が小さくて済み、矢を引き抜き易いという利点がある。ピン10の軸心、収容部材14の軸心、フィルム16の軸心は一致することになり、丸矢じり形部24もフィルム16先端においてフィルム16の横断面中心に位置づけて配置される。丸矢じり形部24の材質・表面処理は上記球形部12と同じである。
【0060】
次に本発明の第6実施形態を説明する。第1実施形態と同様の部分は同一の番号を付してその説明を省略する。
【0061】
図12は、第6実施形態の先端部材515の拡大側面図である。第1実施形態とは収容部材14の構成は同じであるが、ピンの頭部の形状がラグビーボール形となっている点が異なる。ピンの支持部13の構造は第1実施形態と同じである。すなわち、先端部材515は、ラグビーボール形部25とこのラグビーボール形部25と同軸でラグビーボール形部25から後方に延びる支持部13とからなるピン10と、支持部13が嵌入接着される収容部材14と、からなる。ラグビーボール形部25は錘の役割を有し、
図12に示されるように前面が尖り気味の凸曲面で形成されそこから後方へ向かって緩やかな凸曲面が形成され収容部材14との接続点にかけて徐々に緩やかにすぼむ形状の凸曲面が形成されている。このピン10は、ラグビーボール形部25の、収容部材14との接続点直前部位がすぼむ形状の曲面で形成されているので、矢が的に刺さった際にフィルム先端部がその曲面に当たってフィルム先端部がそれ以上前へ移動することが防止される。吹いた矢は時速100km程度の高速でウレタン製の的にぶつかり刺さるので、フィルムが収容部材14に糊着けされていても的にぶつかった衝撃で慣性の法則によりフィルム先端部が多少前にずれる。その壁となるのがラグビーボール形部25の上記すぼむ形状の曲面である。また、この曲面は矢を的から引き抜くときに抵抗が小さくて済み、矢を引き抜き易いという利点がある。ピン10の軸心、収容部材14の軸心、フィルム16の軸心は一致することになり、ラグビーボール形部25もフィルム16先端においてフィルム16の横断面中心に位置づけて配置される。ラグビーボール形部25の材質・表面処理は上記球形部12と同じである。
【符号の説明】
【0062】
8…矢、10…ピン、12…球形部、13…支持部、14…収容部材、15…先端部材、16…フィルム、18…俵形部、20…涙形部、22…矢じり形部、24…丸矢じり形部、26…複数柱状体、115…先端部材(第2実施形態)、215…先端部材(第3実施形態)、315…先端部材(第4実施形態)、415…先端部材(第5実施形態)