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特開2023-108417照射ユニット、ランプユニット、ランプホルダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108417
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】照射ユニット、ランプユニット、ランプホルダ
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20230728BHJP
   H01J 65/00 20060101ALI20230728BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
B01J19/12 C
H01J65/00 B
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009536
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠木 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】石原 肇
(72)【発明者】
【氏名】山下 新司
【テーマコード(参考)】
2H197
4G075
【Fターム(参考)】
2H197CA04
2H197CB19
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
4G075AA30
4G075AA33
4G075BA04
4G075BB02
4G075CA33
4G075DA02
4G075EB31
4G075EC13
4G075EC21
4G075FB02
4G075FB04
4G075FB06
4G075FC04
(57)【要約】
【課題】ランプの交換作業が容易化されて、ランプを破損してしまうリスクが低減された照射ユニット及びランプユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】第一方向に延伸する発光管と、発光管の径方向において対向するように設けられた第一電極及び第二電極とを有するエキシマランプが搭載されたランプユニットと、ランプユニットが挿入されることによって、前記エキシマランプが収容される筐体とを備え、ランプユニットは、板材と、第一主面から突出するように形成された、筐体内におけるエキシマランプの移動を規制する規制部材と、板材が挿入口を閉塞する状態の下で、筐体の外側に位置する板材の第二主面側に設けられた、エキシマランプに対して給電を行う給電部とを備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に延伸する長尺状のエキシマランプと、
前記エキシマランプを搭載するランプホルダと、
挿入口を有し、前記ランプホルダが当該挿入口から挿入される筐体と、
前記筐体に設けられ、前記ランプホルダに搭載された前記エキシマランプから出射された紫外光を前記筐体の外側に取り出す光取り出し部と、
前記ランプホルダに設けられ、前記挿入口を閉塞する板材と、
前記板材が前記挿入口を閉塞する状態の下で、前記板材の主面のうち前記筐体の内側に位置する第一主面から突出するように形成された、前記筐体内における前記エキシマランプの移動を規制する規制部材と、
前記板材が前記挿入口を閉塞する状態の下で、前記筐体の外側に位置する前記板材の第二主面側に設けられた、前記エキシマランプに対して給電を行う給電部とを備えることを特徴とする照射ユニット。
【請求項2】
前記エキシマランプは、相互に対向する平坦な一対の外壁面が形成された発光管と、前記発光管の当該一対の外壁面上に、前記発光管を介して対向するように形成された第一電極及び第二電極とを備えることを特徴とする請求項1に記載の照射ユニット。
【請求項3】
前記規制部材は、前記板材の前記第一主面から、前記第一主面の法線方向である第二方向に突出する土台部材と、
前記第一方向及び前記第二方向に直交する第三方向に、前記土台部材から突出する第一支柱と、
前記第一支柱よりも前記板材から遠い位置において、前記土台部材から前記第一支柱と同じ方向に突出する第二支柱と、
前記第一支柱と前記第二支柱との間で、前記エキシマランプの端部を挟持する第一挟持部材及び第二挟持部材とを備え、
前記第二挟持部材が前記第一支柱及び前記第二支柱を接続するように固定されることを特徴とする請求項1に記載の照射ユニット。
【請求項4】
前記第一挟持部材と前記エキシマランプとの間に挟まれて前記エキシマランプが備える一対の電極のうちの一方の第一電極と接触する、金属材料で形成された通電部材と、
前記第二支柱と前記エキシマランプの前記第一電極とは別の第二電極とを電気的に接続する、前記土台部材に形成された溝又は貫通孔の内側で配線されたリード線とを備え、
前記第一挟持部材がセラミック材料、前記第二挟持部材及び前記第二支柱の少なくとも一部が金属材料で形成され、
前記第一挟持部材と前記第二挟持部材とが前記エキシマランプを挟持した状態で固定されると、前記給電部のうちの一方の第一給電部と前記第一電極とが前記通電部材を介して電気的に接続され、前記給電部の前記第一給電部とは別の第二給電部と前記第二電極とが、前記第二挟持部材、前記第二支柱及び前記リード線を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項3に記載の照射ユニット。
【請求項5】
前記板材は、前記第二主面から突出する把手部を備えることを特徴とする請求項1に記載の照射ユニット。
【請求項6】
前記筐体に形成された、前記第一主面の法線方向である第二方向に延伸するガイド挿入部と、前記ガイド挿入部に挿入されることで前記ランプホルダの移動を規制する、前記板材に設けられた前記第二方向に延伸するガイド部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の照射ユニット。
【請求項7】
前記筐体は、前記光取り出し部が、前記エキシマランプから出射される紫外光を透過する材料で覆われており、前記ランプホルダが挿入されて前記板材によって前記挿入口が閉塞されることで、前記筐体の内側の空間が密閉されることを特徴とする請求項1に記載の照射ユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の照射ユニットが有する、前記エキシマランプと前記ランプホルダとを備えるランプユニット。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の照射ユニットが備えるランプホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射ユニット、照射ユニットに搭載されるランプユニット、及び照射ユニットに搭載されるランプホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外光を半導体ウエハ又はディスプレイパネル等に照射してドライ洗浄する技術や、印刷物に照射してインク硬化を行う技術が知られている。そして、所定の位置に配置した半導体ウエハに紫外光を照射する紫外光照射装置や、順次搬送されてくる印刷物に紫外光を照射する紫外光照射装置等が知られている。例えば、下記特許文献1には、印刷関連でのインク乾燥、半導体関連での微細露光、液晶関連での接着剤硬化等に用いられる紫外光照射装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-177625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、紫外光照射装置は、大型のワーク(例えば、ディスプレイパネル等)に紫外光を照射できるように、全長が1mを超える長尺な紫外線ランプを搭載される場合がある。
【0005】
ところが、長尺な紫外線ランプは、非常に重く、操作性が悪いため、幅が狭い通路における持ち運びや、狭小な空間での交換作業が難しい。このため、作業者が紫外線照射装置のメンテナンス作業を行う際に、紫外線ランプを紫外光照射装置の壁面等に当ててしまうことがあり、場合によっては床に落としてしまうことあった。特に、紫外光照射装置内に体を潜り込ませて作業を行うことが必要な場合や、紫外光照射装置が作業場の隅に配置されて作業スペースが十分確保されていない場合等は、特に上記のような課題が発生しやすかった。
【0006】
そこで、上記特許文献1は、紫外線ランプの交換作業を容易化するために、キャリアと称される部材によって紫外線ランプをランプハウスから引き出し、ランプハウスの外側で紫外線ランプを交換できる紫外光照射装置を提案している。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の紫外光照射装置は、キャリアによって紫外線ランプを出し入れする工程とは別に、交換対象である古い紫外線ランプをフックから外す工程、及び新しい紫外線ランプをフックに係合させて抜け防止材で固定する工程を要する。このため、当該構成の紫外光照射装置では、紫外線ランプの交換時等に、ランプハウスの内壁面やフックに紫外線ランプを当ててしまい、紫外線ランプを破損してしまうことがあった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、ランプの交換作業が容易化されて、ランプを破損してしまうリスクが低減された照射ユニット及びランプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照射ユニットは、
第一方向に延伸する長尺状のエキシマランプと、
前記エキシマランプを搭載するランプホルダと、
挿入口を有し、前記ランプホルダが当該挿入口から挿入される筐体と、
前記筐体に設けられ、前記ランプホルダに搭載された前記エキシマランプから出射された紫外光を前記筐体の外側に取り出す光取り出し部と、
前記ランプホルダに設けられ、前記挿入口を閉塞する板材と、
前記板材が前記挿入口を閉塞する状態の下で、前記板材の主面のうち前記筐体の内側に位置する第一主面から突出するように形成された、前記筐体内における前記エキシマランプの移動を規制する規制部材と、
前記板材が前記挿入口を閉塞する状態の下で、前記筐体の外側に位置する前記板材の第二主面側に設けられ、前記エキシマランプに対して給電を行う給電部とを備えることを特徴とする。
【0010】
エキシマランプは、内側に発光ガスが封入された発光管を有し、電極間に電圧を印加することで当該放電ガスに応じた波長の光を出射する誘電体バリア放電ランプである。エキシマランプの形状は、円筒状の発光管を備えた一重管形状や二重管形状と称される形状や、管軸に直交する平面で切断したときの断面形状が矩形状を呈する扁平管形状と称される形状等が存在する。本発明の照射ユニットに搭載されるエキシマランプは、いずれの形状であっても構わない。
【0011】
本明細書において、「電気的に接続される」とは、直接接続、又は金属板やリード線、抵抗素子やトランスといった回路部品等を介して間接的に接続されて、それぞれの部材間で通電可能な状態が形成されることをいう。
【0012】
筐体に挿入された状態のランプユニットは、板材等に人が指を引掛ける部分等が存在しない場合、筐体から引き抜くことが難しい。そこで、上記構成とすることで、作業者又はロボットが、筐体からランプユニットを引っぱることでエキシマランプを照射ユニットから取り外すことができる。そして、ランプユニットに搭載されたエキシマランプの交換作業は、作業がしやすいスペースにランプユニットを移動させて実施することができる。
【0013】
そして、エキシマランプが交換されたランプユニットは、筐体の挿入口から挿入した後、板材の第二主面側、すなわち、筐体の外側に配置される給電部を電源装置と接続することで、照射ユニットへの装着作業が完了する。
【0014】
また、エキシマランプは、板材に設けられた一対の規制部材によって両端部が支持される。このため、エキシマランプの一端を持って作業する場合と比べて、発光管の重心が作業者に近くなり、操作性が良くなる。
【0015】
したがって、上記構成の照射ユニットは、エキシマランプの交換作業のために十分広いスペースを確保できるとともに、筐体内でエキシマランプを頻繁に動かしたり、位置の調整をしたりする必要がないため、メンテナンス作業等においてエキシマランプを破損してしまうリスクが低減される。
【0016】
上記照射ユニットにおいて、
前記エキシマランプは、相互に対向する平坦な一対の外壁面が形成された発光管と、前記発光管の当該一対の外壁面上に、前記発光管を介して対向するように形成された第一電極及び第二電極とを備えていても構わない。
【0017】
半導体ウエハやディスプレイパネルのドライ洗浄には、油分等の汚れを分解する効果が高い波長が100nm~200nmの紫外光が利用されることが多い。このような波長帯の紫外光は、空気中の酸素によって吸収されやすく、空気中を伝搬できる距離は数mmから数cm程度である。このため、照射ユニットに搭載されるエキシマランプは、できる限り照射対象物(以下、「ワーク」と称する。)と近接して配置されることが好ましい。
【0018】
上記構成のエキシマランプは、発光管の平坦面から紫外光が出射される。したがって、照射ユニットは、上記構成とすることで、板状のワークである半導体ウエハやディスプレイパネル等と、広範囲にわたってエキシマランプを近接配置することができる。つまり、上記構成の照射ユニットは、上述したような板状ワークに対する紫外光の照射ムラを抑制することができる。
【0019】
上記照射ユニットにおいて、
前記規制部材は、前記板材の前記第一主面から、前記第一主面の法線方向である前記第二方向に突出する土台部材と、
前記第一方向及び前記第二方向に直交する第三方向に、前記土台部材から突出する第一支柱と、
前記第一支柱よりも前記板材から遠い位置において、前記土台部材から前記第一支柱と同じ方向に突出する第二支柱と、
前記第一支柱と前記第二支柱との間で、前記エキシマランプの端部を挟持する第一挟持部材及び第二挟持部材とを備え、
前記第二挟持部材が前記第一支柱及び前記第二支柱を接続するように固定される構成であっても構わない。
【0020】
さらに、上記照射ユニットは、
前記第一挟持部材と前記エキシマランプとの間に挟まれて前記エキシマランプが備える一対の電極のうちの一方の第一電極と接触する、金属材料で形成された通電部材と、
前記第二支柱と前記エキシマランプの前記第一電極とは別の第二電極とを電気的に接続する、前記土台部材に形成された溝又は貫通孔の内側で配線されたリード線とを備え、
前記第一挟持部材がセラミック材料、前記第二挟持部材及び前記第二支柱の少なくとも一部が金属材料で形成され、
前記第一挟持部材と前記第二挟持部材とが前記エキシマランプを挟持した状態で固定されると、前記給電部のうちの一方の第一給電部と前記第一電極とが前記通電部材を介して電気的に接続され、前記給電部の前記第一給電部とは別の第二給電部と前記第二電極とが、前記第二挟持部材、前記第二支柱及び前記リード線を介して電気的に接続されていても構わない。
【0021】
上記構成とすることで、ランプユニットは、第一挟持部材と第二挟持部材によってエキシマランプを挟持し、第二挟持部材を各支柱に固定するだけで、電極と給電部との接続が完了する。このため、エキシマランプをランプユニットに搭載する際の配線作業が不要となる。
【0022】
また、上記構成によれば、第二支柱と第二給電部とを接続するリード線は、ほとんど電気を通さないセラミック材料によって保護されるため、動作時におけるリーク電流やショートの発生が抑制される。
【0023】
上記照射ユニットにおいて、
前記板材は、前記第二主面から突出する把手部を備えていても構わない。
【0024】
上記構成によれば、把手部が設けられていないランプユニットと比べると、作業者又はロボットが筐体からランプユニットを引き抜きやすくなる。
【0025】
上記照射ユニットにおいて、
前記筐体に形成された、前記第一主面の法線方向である第二方向に延伸するガイド挿入部と、前記ガイド挿入部に挿入されることで前記ランプホルダの移動を規制する、前記板材に設けられた前記第二方向に延伸するガイド部材とを備えていても構わない。
【0026】
上記構成によれば、ガイド部材とガイド挿入部とによって、ランプユニットが筐体の所定の位置で第二方向に挿入されるように導かれるため、ランプユニットが第二方向とは異なる方向にずれるおそれや、誤って筐体とエキシマランプとを衝突させるおそれがより少なくなる。つまり、エキシマランプの発光管を破損してしまうリスクがより低減される。
【0027】
上記照射ユニットにおいて、
前記筐体は、前記光取り出し部が、前記エキシマランプから出射される紫外光を透過する材料で覆われており、前記ランプホルダが挿入されて前記板材によって前記挿入口が閉塞されることで、前記筐体の内側の空間が密閉されるように構成されていても構わない。
【0028】
上記構成とすることで、照射ユニットは、動作時に筐体内部を不活性ガスで充満させることができ、筐体内におけるエキシマランプから出射された紫外光が酸素によって吸収されることを抑制することができる。このため、上記構成の照射ユニットは、より効率的にワークに対して紫外光を照射することができる。
【0029】
本発明のランプユニットは、
上記照射ユニットに適用される、前記エキシマランプと前記ランプホルダとを備える。
【0030】
また、本発明のランプホルダは、
上記照射ユニットが備えるランプホルダである。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、ランプの交換作業が容易化されて、ランプを破損してしまうリスクが低減された照射ユニット及びランプユニットが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】紫外光照射装置の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2】照射ユニットの構成を示す斜視図である。
図3】ランプユニットを筐体に挿入している途中の状態を示す斜視図である。
図4】筐体の構成を示す斜視図である。
図5】ランプユニットの構成を示す斜視図である。
図6A】エキシマランプをY方向に見たときの図面である。
図6B】エキシマランプをYZ平面で切断したときの断面図である。
図7】ランプユニットからエキシマランプと規制部材を取り除いた状態を示す斜視図である。
図8】ランプユニットをX方向から見たときの図面である。
図9】規制部材を分解した状態を示す図面である。
図10A図9の土台部材の周辺の図面である。
図10B図9の土台部材の周辺の図面である。
図11】照射ユニットの別実施形態が備えるランプユニットを模式的に示す斜視図である。
図12】照射ユニットの別実施形態が備えるランプユニットを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の照射ユニット、ランプユニット及びランプホルダについて、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
【0034】
図1は、紫外光照射装置1の一実施形態を模式的に示す斜視図である。紫外光照射装置1は、図1に示すように、紫外光を照射する対象であるワークW1が搬送される搬送路2と、搬送路2内を搬送されるワークW1の一主面である照射面W1aに対して紫外光を照射する照射ユニット10とを備える。
【0035】
なお、図1においては、図示の都合上、主面が長方形状を呈する板状のワークW1が図示されているが、紫外光照射装置1が紫外光を照射するワークW1は、当該形状の部材に限られない。具体的には、紫外光照射装置1は、半導体ウエハや、順次搬送されてくるフィルム材、印刷物等に対して紫外光を照射するように構成されても構わない。
【0036】
図2は、照射ユニット10の構成を示す斜視図であり、図3は、照射ユニット10を構成するために、ランプユニット30を筐体20に挿入している途中の状態を示す斜視図である。そして、図4は、筐体20の構成を示す斜視図であり、図5は、ランプユニット30の構成を示す斜視図である。なお、図4においては、筐体20の内側の構造を確認しやすいように、後述される光取り出し部23はハッチングを付していない。
【0037】
照射ユニット10は、図2及び図3に示すように、筐体20と、ランプユニット30とを備え、図3に示すように、筐体20にランプユニット30が挿入されて構成される。
【0038】
以下の説明においては、図2に示すように、照射ユニット10から紫外光L1が出射される方向をZ方向、図3に示すように、筐体20に対してランプユニット30が挿入される方向をY方向とし、Y方向及びZ方向に直交する方向をX方向として説明される。なお、X方向は「第一方向」、Y方向は「第二方向」、Z方向は「第三方向」にそれぞれ対応する。
【0039】
また、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+Z方向」、「-Z方向」のように、正負の符号を付して記載され、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「Z方向」と記載される。
【0040】
筐体20は、図4に示すように、挿入口21と、ガイド挿入部22と、光取り出し部23とを備える。本実施形態における光取り出し部23は、石英ガラスによって覆われた出射窓である。
【0041】
なお、光取り出し部23は、石英ガラスの他に、例えば、フッ化マグネシウム等の真空紫外光を透過する部材で覆われた出射窓であっても構わない。また、光取り出し部23は、筐体20内を密閉して不活性ガスで充満させるより、ランプユニット30に搭載されるエキシマランプ31とワークW1との距離をより近接させたいような場合には、石英ガラス等で覆われていない単なる開口であっても構わない。
【0042】
ランプユニット30は、図5に示すように、エキシマランプ31と、板材32と、一対の規制部材(33,33)と、第一給電部34aと、第二給電部34bと、ガイド部材35と、把手部36とを備える。なお、ランプユニット30を構成する部材から、エキシマランプ31を除いた構成がランプホルダ30aに相当する。
【0043】
本実施形態におけるエキシマランプ31は、板材32の第一主面32aから+Y方向に突出するように設けられた一対の規制部材(33,33)によって両端部(31e,31e)が支持されて、発光管31cの延伸する方向がX方向に沿うように構成されている。
【0044】
図6Aは、エキシマランプ31をY方向に見たときの図面であって、図6Bは、エキシマランプ31をYZ平面で切断したときの断面図である。図6Bに示すように、エキシマランプ31は、YZ平面で切断したときの断面形状が矩形状を呈し、Z方向(径方向)において対向する発光管31cの平坦な外壁面31p上に、発光管31cを介してZ方向において対向する一対の電極(31b,31c)が形成されている。なお、本実施形態においては、-Z側の電極が第一電極31aに対応し、+Z側の電極が第二電極31bに対応している。
【0045】
そして、本実施形態におけるエキシマランプ31は、X方向における長さが0.4mの発光管31cの内側にXeを含む発光ガスG1が封入されており、第一電極31aと第二電極31bとの間に電圧を印加することで、主たる発光波長が172nmの紫外光を出射する。ここでの、「主たる発光波長」とは、強度スペクトルにおいてピークを示す波長をいう。
【0046】
本実施形態におけるランプユニット30は、図6A及び図6Bに示すようなエキシマランプ31とは異なる形状のエキシマランプが搭載されていてもよく、例えば、上述したような、一重管形状や二重管形状と称される形状のエキシマランプが搭載されていてもよい。
【0047】
また、発光管31cに封入される発光ガスG1は、Xeを含まないガスであってもよく、使用用途に応じて任意に選択し得る。なお、照射ユニット10において、エキシマランプ31が出射する紫外光は、油分等の汚れを分解処理できることと、オゾンを生成する観点から、波長が150nm~200nmであることが好ましい。
【0048】
さらに、本実施形態のエキシマランプ31は、図6A及び図6Bに示すように、発光管の内壁面31q上に、発光管31c内で発生して、-Z側に向かって進行する紫外光を、+Z側に向かって進行するように反射させるシリカ(SiO2)による反射膜31dが形成されている。発光管31c内で発生し、直接+Z側に向かって進行する紫外光で十分所望の処理が可能である場合には、エキシマランプ31は、反射膜31dが形成されていなくても構わない。
【0049】
板材32は、図2に示すように、ランプユニット30が筐体20に挿入されると、筐体20の挿入口21を閉塞し、筐体20の内側の空間を密閉する。板材32により内側の空間が密閉された筐体20は、動作時に不活性ガス(例えば、窒素ガス)が充填される。なお、上述したように、光取り出し部23を石英ガラス等で覆うことなく、開口とするような場合等においては、筐体20は、板材32によって密閉されなくても構わない。
【0050】
第一給電部34a及び第二給電部34bは、図5に示すように、板材32の第二主面32b側(-Y側)に揃うように設けられている。第一給電部34a及び第二給電部34bは、図2に示すように、ランプユニット30が筐体20に挿入されると、紫外光照射装置1に搭載されている図示されない電源装置の高電圧側端子及び低電圧側端子それぞれに接続される。なお、第一給電部34a及び第二給電部34bは、図5に示すように、それぞれリード線を介して板材32の-Y側に位置するように構成されていてもよく、板材32の第二主面32bから-Y側に突出するように設けられた給電端子であっても構わない。
【0051】
図7は、ランプユニット30からエキシマランプ31と規制部材33を取り除いた状態を示す斜視図であって、図8は、ランプユニット30をX側から見たときの図面である。図7及び図8に示すように、本実施形態におけるガイド部材35は、板材32の第一主面32aから+Y方向に突出するように設けられていた棒状の部材であって、X方向に離間して二つ設けられている。そして、筐体20は、図4に示すように、X方向に離間した二つのガイド挿入部22が設けられている。
【0052】
ガイド部材35が筐体20のガイド挿入部22に挿入される構成により、ランプユニット30は、図3に示すように、筐体20の所定の挿入位置に導かれ、X方向やZ方向に揺動することなくY方向に真っすぐ挿入される。
【0053】
なお、図4に示すガイド挿入部22の構成と、図7に示すガイド部材35の構成は単なる一例であって、ガイド部材35及びガイド挿入部22の形状、設けられる数等は任意である。また、例えば、筐体20が十分に大きく構成されており、ランプユニット30を挿入する際にエキシマランプ31と筐体20とが接触するおそれがない場合には、ガイド部材35及びガイド挿入部22は、設けられていなくても構わない。
【0054】
把手部36は、図5に示すように、板材32の第二主面32bから-Y方向に突出するように設けられた長さが200mmの棒状の部材であって、ランプユニット30を筐体20に対して出し入れする際に、作業者が手で握る部分である。人が握りやすく、かつ、邪魔にならないように、把手部36の長さは、100mm~400mmであることがより好ましい。
【0055】
なお、把手部36は、人が握りやすいように屈曲、湾曲している形状であってもよく、人の手や手指が引っ掛りやすくなるように一部に凸部、又は凹部が設けられていても構わない。また、例えば、筐体20からランプユニット30を引き出すために、板材32に人が指を引っ掛ける部分が形成されている場合には、把手部36が設けられていなくても構わない。さらに、把手部36は、筐体20に対して着脱可能であっても構わない。
【0056】
図9は、規制部材33を分解した状態を示す図面である。本実施形態における規制部材33は、図9に示すように、土台部材70と、第一支柱71aと、第二支柱71bと、第一挟持部材72aと第二挟持部材72bとを備える。
【0057】
土台部材70は、板材32の第一主面32aから+Y方向に突出するように設けられており、+Z方向に突出するように第一支柱71aが設けられている。また、土台部材70は、第一支柱71aよりも+Y側、すなわち、板材32よりも遠い位置に、一部が+Z方向に延伸する第二支柱71bを備える。
【0058】
そして、規制部材33は、第一支柱71aと第二支柱71bとの間に、エキシマランプ31の発光管31cを挟持する第一挟持部材72aと第二挟持部材72bとを備える。第一挟持部材72aと第二挟持部材72bは、第一挟持部材72aにエキシマランプ31の発光管31cの端部が載置されて、前記第二挟持部材72bが第一支柱71a及び第二支柱71bとネジ止めされて固定されることで、発光管31cを挟持して支持する。
【0059】
本実施形態においては、土台部材70、第一支柱71a及び第一挟持部材72aが絶縁性材料であるセラミック材料で形成され、第二支柱71b及び第二挟持部材72bが金属材料で形成されている。第二支柱71b及び第二挟持部材72bに関し、具体的には、第二支柱71bがアルミニウム、第二挟持部材72bがステンレス鋼で形成されている。
【0060】
また、図9に示すように、第一挟持部材72aは、発光管31cが載置されたときに、第一電極31a(図9において不図示)と接触する、金属材料であるベリリウム銅で形成された通電部材としての板バネ71cが搭載されている。
【0061】
なお、本実施形態における第二支柱71bは、全体が硬質アルマイトで形成されているが、エキシマランプ31を支持したときに、第二電極31bと第二給電部34bとが電気的に接続されるように、一部のみが金属材料で形成されていても構わない。
【0062】
図10Aは、図9の土台部材70の周辺の図面であり、図10Bは、図10Aとは異なる角度から見たときの図9の土台部材70の周辺の図面である。なお、図10A及び図10Bは、説明の便宜のため、第一挟持部材72a及び第二挟持部材72bが図示されていない。なお、図10Bにおいては、第一給電部34aからの通電経路が把握できるように、第一挟持部材72aを図示せず、板バネ71cのみが仮想的に図示されている。
【0063】
図10A及び図10Bに示すように、土台部材70には、リード線80aが内側に配線される溝70aが形成されている。リード線80aは、土台部材70の溝70a内に配線されて、第二支柱71bと第二給電部34bとを電気的に接続する。本実施形態におけるランプユニット30では、図10Bに示すように、装置構成の都合上、第二給電部34bとリード線80aとの間には金属板80cが接続されている。
【0064】
つまり、第一挟持部材72aと第二挟持部材72bとがエキシマランプ31の発光管31cを挟持することで、第二支柱71bと第二挟持部材72bとが接触して電気的に接続される。なお、本実施形態における土台部材70は、リード線80aを挿通するための溝70aが形成されているが、リード線80aを挿通するための貫通孔が形成されていても構わない。
【0065】
板バネ71cは、金属材料であるベリリウム銅を材料とする板材を折り曲げて形成された部材であって、図10Bに示すように、リード線80bを介して第一給電部34aと電的に接続されている。
【0066】
上記構成とすることで、ランプユニット30の装着後のエキシマランプ31の位置調整と、筐体20内での複雑な配線接続作業とが不要となる。また、発光管31cの一端側のみを支えて作業を行う場合と比較して、エキシマランプ31の交換作業時における作業者、及び発光管31c自体にかかる負荷が小さくなる。したがって、エキシマランプ31の交換作業が容易化されて、エキシマランプ31を破損してしまうリスクが低減される。
【0067】
なお、本実施形態における照射ユニット10は、図1に示すように、紫外光照射装置1において、ワークW1が搬送される搬送路2の下方に搭載されているが、例えば、ワークW1の搬送路2の上方に搭載されていても構わない。
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0068】
〈1〉 図11は、照射ユニット10の別実施形態が備えるランプユニット30を模式的に示す斜視図である。ランプユニット30は、図11に示すように、規制部材33が把持部33aを備え、板材32の第一主面32aからY方向に突出して、エキシマランプ31の発光管31cの両端部(31e,31e)を把持する構成であっても構わない。なお、当該構成の場合は、把持部33aがセラミック材料等の絶縁性部材で構成されており、エキシマランプ31の各電極(32a,32b)と各給電部(34a,34b)とは、規制部材33とは別に設けられた不図示のリード線や金属板等を介して電気的に接続されている。
【0069】
上記構成は、エキシマランプに印加する電圧が比較的低く、筐体20内における配線が多少ズレたとしても、配線管でリーク電流等が発生しないような場合に採用し得る。
【0070】
〈2〉 図12は、照射ユニット10の別実施形態が備えるランプユニット30を模式的に示す斜視図である。図12に示すように、ランプユニット30は、エキシマランプ31が複数搭載されていても構わない。なお、当該構成の場合、ランプユニット30は、例えば、図12に示すように、エキシマランプ31が搭載される幅に応じて、土台部材70の長さが調整された規制部材33を備える。
【0071】
図12に示す構成においては、各エキシマランプ31に対して設けられた第一挟持部材72aに搭載される不図示の板バネ71cを接続するためのリード線80dが設けられている。なお、第二挟持部材72bについては、それぞれ対応する第二支柱71bと接続しており、各第二支柱71bが土台部材70の内側で配線されたリード線(不図示)によって接続されている。
【0072】
〈3〉 上述した照射ユニット10、ランプユニット30及びランプホルダ30aが備える構成は、あくまで一例であり、本発明は、図示された各構成に限定されない。
【符号の説明】
【0073】
1 : 紫外光照射装置
2 : 搬送路
10 : 照射ユニット
20 : 筐体
21 : 挿入口
22 : ガイド挿入部
23 : 光取り出し部
30 : ランプユニット
30a : ランプホルダ
31 : エキシマランプ
31a : 第一電極
31b : 第二電極
31c : 発光管
31d : 反射膜
31e : 端部
31p : 外壁面
31q : 内壁面
32 : 板材
32a : 第一主面
32b : 第二主面
33 : 規制部材
33a : 把持部
34a : 第一給電部
34b : 第二給電部
35 : ガイド部材
36 : 把手部
70 : 土台部材
70a : 溝
71a : 第一支柱
71b : 第二支柱
71c : 板バネ
72a : 第一挟持部材
72b : 第二挟持部材
80a,80b,80d : リード線
80c : 金属板
G1 : 発光ガス
L1 : 紫外光
W1 : ワーク
W1a : 照射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12