(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108470
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】アレルゲン不活化組成物およびこれを含む機能性物品
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20230728BHJP
A61K 31/28 20060101ALI20230728BHJP
A61K 31/555 20060101ALI20230728BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230728BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
C09K3/00 S
A61K31/28
A61K31/555
A61K8/44
A61K8/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009611
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】506328066
【氏名又は名称】メディサイエンス・エスポア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 高明
(72)【発明者】
【氏名】萩原 敏且
(72)【発明者】
【氏名】小牧 保之
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C083AC931
4C086HA01
4C206JB01
(57)【要約】
【課題】花粉やダニなどのアレルゲンの不活化作用に優れたアレルゲン不活化組成物およびこれを含む機能性物品を提供すること。
【解決手段】
アレルゲン不活化組成物は、銀粒子とアミノ酸とが結合した銀錯体、または、銀粒子とヒドロキシ酸とが結合した銀錯体のうちの少なくともいずれかを含み、前記銀粒子の直径が1~100nmであり、前記アミノ酸が、ヒスチジン、メチオニン、システインのうちの少なくともいずれかである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀粒子とアミノ酸とが結合した銀錯体、または、銀粒子とヒドロキシ酸とが結合した銀錯体のうちの少なくともいずれかを含むアレルゲン不活化組成物であって、
前記銀粒子の直径が1~100nmであり、
前記アミノ酸が、ヒスチジン、メチオニン、システインのうちの少なくともいずれかであることを特徴とするアレルゲン不活化組成物。
【請求項2】
前記ヒドロキシ酸が、リンゴ酸またはクエン酸のうちの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1のアレルゲン不活化組成物。
【請求項3】
前記銀錯体の濃度が、10ppm以上であることを特徴とする請求項1または2のアレルゲン不活化組成物。
【請求項4】
さらに、酸素溶解液を含み、
前記酸素溶解液は、以下の工程:
(1)脱酸素性アミノ化合物を酸素溶解液に添加し、80℃以上の温度で加熱する工程;
(2)前記工程(1)の後、酸素溶解液に含まれる脱酸素性アミノ化合物の濃度を測定する工程;
(3)前記工程(2)で測定された脱酸素性アミノ化合物の濃度から、前記工程(1)を経る前の酸素溶解液に含まれていた溶存酸素量を算出する工程;
を含む溶存酸素量測定方法によって測定された溶存酸素量(ppm)の数値P1と、隔膜法、蛍光法およびウィンクラー法のうちのいずれかの溶存酸素量測定方法によって測定された酸素溶解液の溶存酸素量(ppm)の数値P2との差(P1-P2)によって求められる溶解酸素の量が50ppm以上であることを特徴とする請求項1または2のアレルゲン不活化組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかのアレルゲン不活化組成物を含む機能性物品。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかのアレルゲン不活化組成物を含む空中散布剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルゲン不活化組成物およびこれを含む機能性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎等の各種アレルギー疾患が多く発症している。アレルギー疾患の原因となるアレルゲンとしては、例えば、ダニの死骸、花粉、カビ等が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、水膨潤性粘土鉱物が配合された花粉症予防剤が提案されている。また、特許文献2には、二酸化塩素ガス発生成分、アパタイト系化合物および金属イオンを含むアレルゲン不活性化剤が提案されている。これらの花粉症予防剤やアレルゲン不活化剤によれば、花粉症を起こす原因である花粉に直接作用し、花粉を破壊し無害化することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-16941号公報
【特許文献2】特開2013‐181102号公報
【特許文献3】米国特許番号US10,913,037
【特許文献4】中国特許番号CN.107207296
【特許文献5】特許第6527161号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の花粉症予防剤やアレルゲン不活化剤では、花粉アレルゲンの不活化作用が十分でなく、また、ダニなどによる他のアレルゲンの不活化作用については検討されていない。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、花粉やダニなどのアレルゲンの不活化作用に優れたアレルゲン不活化組成物およびこれを含む機能性物品を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のアレルゲン不活化組成物は、銀粒子とアミノ酸とが結合した銀錯体、または、銀粒子とヒドロキシ酸とが結合した銀錯体のうちの少なくともいずれかを含むアレルゲン不活化組成物であって、
前記銀粒子の直径が1~100nmであり、
前記アミノ酸が、ヒスチジン、メチオニン、システインのうちの少なくともいずれかであることを特徴としている。
【0008】
本発明の機能性物品は、前記アレルゲン不活化組成物を含むことを特徴としている。
【0009】
本発明の空中散布剤は、前記アレルゲン不活化組成物を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアレルゲン不活化組成物およびこれを含む機能性物品は、花粉やダニなどのアレルゲンの不活化作用に優れている。また、本発明のアレルゲン不活化組成物およびこれを含む機能性物品は、抗菌性および抗ウィルス性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1で得た組成物について、スギ花粉アレルゲンに対する不活化作用を確認した結果を示す図である。
【
図2】実施例1で得た組成物について、ダニアレルゲンに対する不活化作用を確認した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のアレルゲン不活化組成物の第1実施形態について説明する。
【0013】
本発明のアレルゲン不活化組成物の対象となるのは、例えば、花粉、ダニ、カビなどである。花粉アレルゲンとしては、例えばスギ花粉(Cry j1、Cry j2)、ヒノキ花粉(Cha o1、Cha o2)、ブタクサ花粉(Amb a1)、ソバ花粉、セイタカアワダチソウ花粉、ヨモギ花粉などを例示することができる。例えば、スギ花粉症は、外部から鼻や目あるいは咽喉の粘膜に着床したスギ花粉により引き起こされるものであるが、花粉そのものが抗原となるのではなく、花粉の表面に存在する花粉症アレルゲンCry j1や花粉内部に存在する花粉症アレルゲンCry j2によって引き起こされる。本発明のアレルゲン不活性化組成物は、これらアレルゲンの抗原性を低下させ、不活性化することができる。
【0014】
本発明のアレルゲン不活化組成物は、銀粒子とアミノ酸とが結合した銀錯体(アミノ酸銀錯体)、または、銀粒子とヒドロキシ酸とが結合した銀錯体(ヒドロキシ酸銀錯体)のうちの少なくともいずれかを含む。
【0015】
銀粒子の直径が1~100nmであり、1~10nmであることが好ましい。銀粒子がこの大きさであると、良好な銀錯体が形成され、銀イオンを効果的に溶出させることができるため、本発明のアレルゲン不活化組成物は、アレルゲン不活化作用に優れている。
【0016】
銀粒子の原料は特に限定されず、例えば、市販の銀コロイド分散液を適宜使用することができる。具体的には、市販の銀コロイド分散液として、ナノシルバー分散液(日本イオン株式会社製)を好ましく使用することができる。このナノシルバー分散液は、直径約100nmの銀粒子を含有する無色透明であり、銀粒子の濃度は、10000ppm~30000ppmである。
【0017】
本発明のアレルゲン不活化組成物がアミノ酸銀錯体を含む場合、アミノ酸は、ヒスチジン、メチオニン、システインのうちの少なくともいずれかである。アミノ酸がヒスチジン、メチオニン、システインであると、良好なアミノ酸銀錯体が形成され、銀イオンを効果的に溶出させることができるため、本発明のアレルゲン不活化組成物は、アレルゲン不活化作用に優れている。
【0018】
本発明のアレルゲン不活化組成物がヒドロキシ酸銀錯体を含む場合、ヒドロキシ酸は特に限定されないが、リンゴ酸またはクエン酸のうちの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0019】
本発明のアレルゲン不活化組成物は、銀錯体(アミノ酸銀錯体またはヒドロキシ酸銀錯体)の濃度が、1ppm以上であることが好ましく、10ppm以上であることがより好ましい。銀錯体の濃度がこの範囲であると、確実にアレルゲン不活化作用を実現することができる。具体的には、本発明のアレルゲン不活化組成物は、その用途などに応じて、例えば、1~10000ppmの範囲で適宜調整することができる。なお、銀錯体(アミノ酸銀錯体またはヒドロキシ酸銀錯体)の濃度は公知の手法により測定することができる。
【0020】
本発明のアレルゲン不活化組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、市販の銀コロイド分散液(銀粒子の濃度:10000ppm~30000ppm)を適宜精製水(RO水など)により希釈し、銀量を調整後、アミノ酸としてヒスチジン、メチオニン、システインや、ヒドロキシ酸としてリンゴ酸またはクエン酸などを加えて攪拌することで製造することができる。アミノ酸やヒドロキシ酸の添加量も、上記の銀錯体の濃度を考慮して、適宜調整することができる。
【0021】
本発明のアレルゲン不活化組成物は、上記のアミノ酸銀錯体の他に、通常製剤に用いられる配合剤、例えば、界面活性剤、油分、アルコール類、保湿剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、紫外線吸収・散乱剤、ビタミン類、精油、生薬、植物エキスなどを適宜配合することができる。
【0022】
本発明のアレルゲン不活化組成物は、上記のようなアミノ酸銀錯体またはヒドロキシ酸錯体を含むため、アレルゲン不活化作用に優れているとともに、抗菌作用、抗ウィルス作用および脱臭作用にも優れている。特に、ナノ銀粒子や銀コロイドと比較して、10倍以上優れた効果を発揮する。また、本発明のアレルゲン不活化組成物は、光変色せず、長期間効果を持続することができる。
【0023】
したがって、本発明のアレルゲン不活性化組成物は、アレルゲン不活化作用、抗菌作用および抗ウィルス作用が期待される各種の機能性物品や、繊維製品などに適用が可能である。
【0024】
機能性物品としては、各種の物品が包含されるが、例えば、液状の状態の本発明のアレルゲン不活性化組成物をエアゾール・ディスペンサー容器に詰めたスプレー剤、空中散布剤、加湿器用充填液、気化器用液剤、本発明のアレルゲン不活性化組成物を浸透させた紙(建物の壁紙など)などを例示することができる。
【0025】
具体的には、例えば、空中散布剤の形態の場合は、揮発性溶剤(エタノール、ジメチルエーテル、イソプロピルアルコールなど)を適宜配合し、ガスの内圧を0.4~0.5MPa程度に設定することができる。空中散布剤は、一発噴霧式であることが好ましい。
【0026】
例えば、繊維製品では、液状の状態の本発明のアレルゲン不活性化組成物を繊維製品に塗布、含浸などすることで、アレルゲン不活化用の繊維製品とすることができる。具体的には、繊維製品には、例えば、顔や体を拭いたりするためのシート材や、マスク、ペット用の製品などが含まれる。
【0027】
本発明のアレルゲン不活性化組成物は、例えば、化粧品、医薬品などに使用することもできる。医薬品では、例えば、軟膏など皮膚外用組成物などに好適に使用することができる。
【0028】
化粧品では、上記アレルゲン不活性化組成物を配合させた、化粧用クリーム、乳液、化粧水、美容液、プレメイクアップ、アンダーメイクアップ、ジェル剤、洗顔剤、身体洗浄剤、ヘアースプレー、ヘアメイク剤、ヘアジェル剤などを例示することができる。
【0029】
さらに、医薬品ではアレルゲン不活性化組成物を配合した軟膏など皮膚外用組成物などに好適に使用することができる。
【0030】
次に、本発明のアレルゲン不活化組成物の第2実施形態について説明する。第1実施形態と共通する内容については、説明を一部省略する。
【0031】
これまでに、本発明者は、酸素溶解液についての研究を進める中で、新しい酸素溶解液の製造方法を確立し、例えば100℃に加熱しても溶液中の溶解酸素(酸素包接水和物)が安定に維持されるという特徴を有する酸素溶解液の開発に成功し、米国および中国において特許を取得している(特許文献3、4)。
【0032】
また、本発明者は、新しい溶存酸素量測定方法についても確立しており(特許文献5)、特許文献3、4の酸素溶解液には、例えば、隔膜電極法、ウィンクラー法、蛍光法などの従来の溶存酸素量の測定方法では測定できない溶解酸素(酸素包摂水和物)が含まれていることも確認している。
【0033】
本発明のアレルゲン不活化組成物の第2実施形態では、上記の銀錯体に加え、特許文献3、4に記載の酸素溶解液を含む。
【0034】
アレルゲン不活化組成物中の酸素溶解液の含有量は、上記の銀錯体の含有量や用途などに応じて適宜調整することができる。
【0035】
具体的には、この酸素溶解液は、以下の工程:
(1)脱酸素性アミノ化合物を酸素溶解液に添加し、80℃以上の温度で加熱する工程;
(2)前記工程(1)の後、酸素溶解液に含まれる脱酸素性アミノ化合物の濃度を測定する工程;
(3)前記工程(2)で測定された脱酸素性アミノ化合物の濃度から、前記工程(1)を経る前の酸素溶解液に含まれていた溶存酸素量を算出する工程;
を含む溶存酸素量測定方法によって測定された溶存酸素量(ppm)の数値P1と、隔膜法、蛍光法およびウィンクラー法のうちのいずれかの溶存酸素量測定方法によって測定された酸素溶解液の溶存酸素量(ppm)の数値P2との差(P1-P2)によって求められる溶解酸素の量が50ppm以上(例えば、50ppm~200ppm程度)であるという特徴を有している。
【0036】
上記の測定方法は、特許文献5に記載されている測定方法を利用している。
【0037】
例えば、工程(1)における脱酸素性アミノ化合物は、カルボヒドラジド、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシジアミノベンゼン、イソプロピルヒドロキシルアミンのうちの1種または2種以上を例示することができ、なかでもカルボヒドラジドが特に好ましい。
【0038】
また、工程(1)では、脱酸素性アミノ化合物を含む液体サンプルの加熱温度は80℃~120℃の範囲であることが好ましい。加熱時間は、酸素溶解液を80℃に加熱する場合は3~4時間程度、100℃に加熱する場合は30分~2時間程度の範囲を一応の目安とすることができる。
【0039】
工程(2)における、脱酸素性アミノ化合物の濃度を測定する方法は特に限定されず、例えばヨウ素滴定法(酸化還元滴定法)などの公知の方法を適宜採用することができる。
【0040】
工程(3)では、工程(2)で測定された脱酸素性アミノ化合物の濃度と、工程(1)における脱酸素性アミノ化合物の濃度とを比較して、脱酸素性アミノ化合物の反応量から工程(1)を経る前の酸素溶解液に含まれていた溶存酸素量(P1)を算出することができる。
【0041】
そして、この酸素溶解液は、本出願時において、メディサイエンス・エスポア株式会社製 商品名「WOX」(登録商標)として市販されており、その製造に際しては、特許文献3、4に記載の製造方法を考慮することができる。
【0042】
この酸素溶解液には、酸素分子と水分子によって形成された酸素包接水和物の状態で溶存していると考えられる。ここでいう「酸素包接水和物」とは、酸素分子が水分子の格子に囲まれた形態の化合物である。そして、この酸素溶解液に含まれる酸素包接水和物は、例えば、隔膜電極法、ウィンクラー法、蛍光法などの従来の溶存酸素量の測定方法では、その溶解酸素を測定することはできず、特許文献5の測定方法によって測定することができる。
【0043】
この実施形態のアレルゲン不活化組成物では、アレルゲン不活化組成物に上記の酸素溶解液が含まれることで、アレルゲン不活化作用、抗菌作用および抗ウィルス作用が相乗的に向上している。このことは、これまでに知られていない新規な知見である。
【0044】
また、この実施形態のアレルゲン不活化組成物においては、例えば、上記WOXは、精製水に比較して浸透力と溶解力が3倍ほど強く、酸素を包接しているという特徴がある。そのために、細菌やウィルスに対して銀錯体の接着力が高まり3倍効果が増強される。
同様に、花粉やアレルゲン物質に対しては銀錯体の接着力だけでなく、酸素がアレルゲン物質と反応するため、3倍程度不活化作用が高まっている。
【0045】
本発明のアレルゲン不活化組成物は、以上の実施形態に限定されるものではない。
【実施例0046】
以下、本発明のアレルゲン不活化組成物について、実施例とともに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>アレルゲン不活化組成物の作製
銀濃度が10000ppmであり、銀粒子の直径が約100nmである市販の銀コロイド分散液(日本イオン株式会社製:製品名「ナノシルバー分散液」)を精製水により希釈し、銀の量を1000ppmに調整後、アミノ酸としてヒスチジンを加え、攪拌することでアミノ酸銀錯体を含む組成物を得た。
【0048】
<実施例2>アレルゲン不活化作用の検討
実施例1で得た組成物について、スギ花粉およびダニのアレルゲンに対する不活化作用を確認した。
【0049】
具体的には、アミノ酸銀錯体10ppm水溶液(検体)にアレルゲン溶液を添加、混合して試験液を作成した。所定時間(24時間)後に試験液中のアレルゲン濃度をELISA法により測定した。
【0050】
また、予め中和条件の確認を行い、検体の影響を受けずにアレルゲン濃度を測定できる条件を確認した。
【0051】
【0052】
図1および
図2に示したように、実施例1で作製した組成物は、スギ花粉のアレルゲンを100%失活されることができることが確認された。また、実施例1で作製した組成物は、ダニアレルゲンを約90%失活されることが確認された。
【0053】
<実施例3>酸素溶解液の使用
実施例1における精製水に代えて、酸素溶解液として、メディサイエンス・エスポア株式会社製:製品名「WOX」(登録商標)を使用した以外は同様にして、組成物を得た。
【0054】
この酸素溶解液は、特許文献5の方法に従って、
以下の工程:
(1)脱酸素性アミノ化合物を酸素溶解液に添加し、80℃以上の温度で加熱する工程;
(2)工程(1)の後、酸素溶解液に含まれる脱酸素性アミノ化合物の濃度を測定する工程;
(3)工程(2)で測定された脱酸素性アミノ化合物の濃度から、工程(1)を経る前の酸素溶解液に含まれていた溶存酸素量を算出する工程;
を含む溶存酸素量測定方法によって測定された溶存酸素量(ppm)の数値P1と、隔膜法、蛍光法およびウィンクラー法のうちのいずれかの溶存酸素量測定方法によって測定された酸素溶解液の溶存酸素量(ppm)の数値P2との差(P1-P2)によって求められる溶解酸素の量がおよそ50ppm~200ppmである。
【0055】
この組成物について、実施例2と同様の方法でスギ花粉およびダニのアレルゲンに対する不活化作用を確認したところ、3倍程度、アレルゲン不活化作用が高まっていることが確認された。