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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108484
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】チョッパ安定化増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/393 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
H03F3/393
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009632
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生井 敦
(72)【発明者】
【氏名】長沢 弘憲
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA26
5J500AC50
5J500AC72
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH17
5J500AH29
5J500AH32
5J500AH39
5J500AH40
5J500AK02
5J500AK33
5J500AK42
5J500AK56
5J500AS15
5J500AT02
5J500AT06
5J500MU04
5J500MU05
5J500MV05
5J500MV06
5J500MV09
5J500MV11
5J500MV14
5J500RF05
5J500RU12
(57)【要約】
【課題】 チョッパが変調動作するときに発生する入力電流を抑制する。
【解決手段】 一つの実施形態によれば、チョッパ安定化増幅器は、入力部、第1チョッパ、第1増幅器、スイッチ回路を含む。入力部は、第1入力端子と第2入力端子に差動入力信号が入力される。第1チョッパは、第1制御信号及び第1制御信号の反転信号に基づいて、差動入力信号を変調する。第1増幅器は、第1チョッパから出力される差動の変調された信号を増幅する。スイッチ回路は、入力部と第1チョッパの間に設けられ、第2制御信号が入力され、第1チョッパが変調動作したときに第1チョッパに流れる入力電流を第2制御信号による動作を用いて低減する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力端子と第2入力端子に差動入力信号が入力される入力部と、
第1制御信号及び前記第1制御信号の反転信号に基づいて、前記差動入力信号を変調する第1チョッパと、
前記第1チョッパから出力される差動の変調された信号を増幅する第1増幅器と、
前記入力部と前記第1チョッパの間に設けられ、第2制御信号が入力され、前記第1チョッパが変調動作したときに前記第1チョッパに流れる入力電流を前記第2制御信号による動作を用いて抑制するスイッチ回路と
を具備することを特徴とするチョッパ安定化増幅器。
【請求項2】
前記スイッチ回路は、
入力側が前記第1入力端子に接続され、前記第2制御信号がイネーブル状態のときに前記第1入力端子と前記第1チョッパの間を接続し、前記第2制御信号がディセーブル状態のときに前記第1入力端子と前記第1チョッパの間を遮断する第1スイッチと、
入力側が前記第2入力端子に接続され、前記第2制御信号がイネーブル状態のときに前記第2入力端子と前記第1チョッパの間を接続し、前記第2制御信号がディセーブル状態のときに前記第2入力端子と前記第1チョッパの間を遮断する第2スイッチと
から構成されることを特徴とする請求項1に記載のチョッパ安定化増幅器。
【請求項3】
前記第2制御信号のイネーブル状態からディセーブル状態、或いはディセーブル状態からイネーブル状態に変化する遷移領域を前記第1制御信号及び前記第1制御信号の反転信号の遷移領域と重なるように、或いは所定時間内に隣接するように設定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のチョッパ安定化増幅器。
【請求項4】
前記第2制御信号のイネーブル状態からディセーブル状態、或いはディセーブル状態からイネーブル状態に変化する遷移領域での中間電位が前記第1制御信号及び前記第1制御信号の反転信号の遷移領域と重なるように設定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のチョッパ安定化増幅器。
【請求項5】
前記第2制御信号の遷移領域の時間は、前記第1制御信号及び前記第1制御信号の反転信号の遷移領域の時間よりも長い
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のチョッパ安定化増幅器。
【請求項6】
前記第1チョッパは、
入力側が前記第1スイッチの出力側に接続され、前記第1制御信号がイネーブル状態のときに前記第1スイッチの出力側と前記第1増幅器のプラス側の入力ポートの間を接続し、前記第1制御信号がディセーブル状態のときに前記第1スイッチの出力側と前記第1増幅器のプラス側の入力ポートの間を遮断する第3スイッチと、
入力側が前記第2スイッチの出力側に接続され、前記第1制御信号がイネーブル状態のときに前記第2スイッチの出力側と前記第1増幅器のマイナス側の入力ポートの間を接続し、前記第1制御信号がディセーブル状態のときに前記第2スイッチの出力側と前記第1増幅器のマイナス側の入力ポートの間を遮断する第4スイッチと、
入力側が前記第1スイッチの出力側に接続され、前記第1制御信号の反転信号がイネーブル状態のときに前記第1スイッチの出力側と前記第1増幅器のマイナス側の入力ポートの間を接続し、前記第1制御信号の反転信号がディセーブル状態のときに前記第1スイッチの出力側と前記第1増幅器のマイナス側の入力ポートの間を遮断する第5スイッチと、
入力側が前記第2スイッチの出力側に接続され、前記第1制御信号の反転がイネーブル状態のときに前記第2スイッチの出力側と前記第1増幅器のプラス側の入力ポートの間を接続し、前記第1制御信号の反転信号がディセーブル状態のときに前記第2スイッチの出力側と前記第1増幅器のプラス側の入力ポートの間を遮断する第6スイッチと
から構成されることを特徴とする請求項2に記載のチョッパ安定化増幅器。
【請求項7】
前記第1乃至6スイッチは、PチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタから構成されるトランスファーゲートを含む
ことを特徴とする請求項6に記載のチョッパ安定化増幅器。
【請求項8】
前記第1増幅器から出力される差動増幅信号を入力し、前記第1制御信号及び前記第1制御信号の反転信号に基づいて、前記差動増幅信号を変調する第2チョッパと、
前記第2チョッパから出力される差動の変調された信号を増幅して出力端子を介して出力信号を出力し、前記出力信号が前記第1入力端子に帰還入力される第2増幅器と
を更に具備することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のチョッパ安定化増幅器。
【請求項9】
チョッパ安定化増幅器は、電池駆動機器、ポータブル機器、医療機器、ウェラブル機器、IoT(Internet-of-Things)、医療用センサ、フィットネスモニタの少なくともいずれか1つに適用される
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のチョッパ安定化増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、チョッパ安定化増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
増幅器は、民生用や産業用の各種機器に搭載されている。増幅器では、発生するノイズやオフセットを低減することが大変重要である。ノイズやオフセットを低減した高精度増幅器としてチョッパ型増幅器が多数開発されている。
【0003】
チョッパ型増幅器は、チョッパが変調動作するとき入力電流が発生するという問題点がある。入力電流が増大すると電圧がドロップダウンして電圧精度が低下する。このため、入力電流を大幅に低減したチョッパ安定化増幅器が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-98731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、チョッパが変調動作するときに発生する入力電流を低減することができるチョッパ安定化増幅器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、チョッパ安定化増幅器は、入力部、第1チョッパ、第1増幅器、スイッチ回路を含む。入力部は、第1入力端子と第2入力端子に差動入力信号が入力される。第1チョッパは、第1制御信号及び第1制御信号の反転信号に基づいて、差動入力信号を変調する。第1増幅器は、第1チョッパから出力される差動の変調された信号を増幅する。スイッチ回路は、入力部と第1チョッパの間に設けられ、第2制御信号が入力され、第1チョッパが変調動作したときに第1チョッパに流れる入力電流を第2制御信号による動作を用いて低減する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係るチョッパ安定化増幅器を示す回路図である。
図2】第1の実施形態に係るスイッチを示す回路図、図2(a)はスイッチSWa、SWbの回路図、図2(b)はスイッチSW1、SW2、SW5、SW6の回路図、図2(c)はスイッチSW3、SW4、SW7、SW8の回路図である。
図3】比較例のチョッパ安定化増幅器を示す回路図である。
図4】比較例のチョッパの動作を説明する図、図4(a)は制御信号Scc1がイネーブル状態、制御信号Scc2がディセーブル状態のときの図、図4(b)は制御信号Scc1がディセーブル状態、制御信号Scc2がイネーブル状態のときの図、図4(c)は制御信号Scc1、Scc2が"遷移領域”のときの図である。
図5】比較例のチョッパ安定化増幅器の動作を示すタイミングチャート。
図6】第1の実施形態に係る制御信号Ssc1のオフタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間が時間差t1に設定されたときのチョッパ安定化増幅器の動作を示すタイミングチャート。
図7】第1の実施形態に係る制御信号Ssc1のオフタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位が同一時刻(t0、時間差ゼロ)に設定されたときのチョッパ安定化増幅器の動作を示すタイミングチャート。
図8】第1の実施形態に係る制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位と制御信号Ssc1のオフタイミングでの中間電位の間が時間差t2に設定されたときのチョッパ安定化増幅器の動作を示すタイミングチャート。
図9】入力電流特性を比較する図である。
図10】第2の実施形態に係る制御信号Ssc1のオフタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間での時間差対入力電流の関係を示す図である。
図11】第3の実施形態に係る制御信号Ssc1のオンタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位が同一時刻(t0、時間差ゼロ)に設定されたときのチョッパ安定化増幅器の動作を示すタイミングチャート。
図12】第3の実施形態に係る制御信号Ssc1のオンタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間での時間差対入力電流の関係を示す図である。
図13】第4の実施形態に係るチョッパ安定化増幅器を示す回路図である。
【0008】
以下本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るチョッパ安定化増幅器について、図面を参照して説明する。図1はチョッパ安定化増幅器を示す回路図である。
【0010】
第1の実施形態では、差動入力信号が入力される第1入力端子と第2入力端子を含む入力部と入力チョッパの間に、入力チョッパが変調動作するときに発生する入力電流を低減するためにスイッチ回路を設けている。スイッチ回路は、制御信号に基づいて第1入力端子と入力チョッパの間を接続或いは遮断する第1スイッチと、制御信号に基づいて第2入力端子と入力チョッパの間を接続或いは遮断する第2スイッチとから構成される。
【0011】
図1に示すように、チョッパ安定化増幅器100は、入力部1、スイッチ回路2、チョッパ3、チョッパ5、増幅器4、増幅器6、コンデンサC1、コンデンサC2、出力端子Poutを含む。チョッパ安定化増幅器100は、電池駆動機器、ポータブル機器、医療機器、ウェラブル機器、IoT(Internet-of-Things)、医療用センサ、フィットネスモニタなどに適用される。
【0012】
チョッパ安定化増幅器100は、差動入力信号Svin(DC信号)をスイッチングしてAC信号に変換後、同期復調してDC信号に帰還することにより、増幅器のオフセット電圧をキャンセルする。スイッチ回路2は、入力チョッパとしてのチョッパ3(第1チョッパ)が変調動作するときに発生する入力電流を制御信号の動作に基づいて低減する(詳細は、後述する)。
【0013】
入力部1は、DC信号である差動入力信号Svinが入力される入力端子Pin1(第1入力端子)と入力端子Pin2(第2入力端子)から構成される。
【0014】
スイッチ回路2は、入力部1と入力チョッパとしてのチョッパ3(第1チョッパ)の間に設けられる。スイッチ回路2は、スイッチSWa(第1スイッチ)とスイッチSWb(第2スイッチ)から構成される。
【0015】
スイッチSWa(第1スイッチ)は、ノードN1とノードN3の間に設けられ、制御信号Ssc1(第2制御信号)に基づいて動作する。スイッチSWa(第1スイッチ)は、制御信号Ssc1(第2制御信号)がイネーブル状態のときに、入力端子Pin1(第1入力端子)とノードN3(チョッパ3(第1チョッパ))の間を接続し、制御信号Ssc1(第2制御信号)がディセーブル状態のときに、入力端子Pin1(第1入力端子)とノードN3(チョッパ3(第1チョッパ))の間を遮断する。
【0016】
スイッチSWb(第2スイッチ)は、ノードN2とノードN4の間に設けられ、制御信号Ssc1(第2制御信号)に基づいて動作する。スイッチSWb(第2スイッチ)は、制御信号Ssc1(第2制御信号)がイネーブル状態のときに、入力端子Pin2(第2入力端子)とノードN4(チョッパ3(第1チョッパ))の間を接続し、制御信号Ssc1(第2制御信号)がディセーブル状態のときに、入力端子Pin2(第2入力端子)とノードN4(チョッパ3(第1チョッパ))の間を遮断する。
【0017】
入力チョッパとしてのチョッパ3(第1チョッパ)は、スイッチ回路2と増幅器3(第1増幅器)の間に設けられ、スイッチSW1(第3スイッチ)、スイッチSW2(第4スイッチ)、スイッチSW3(第5スイッチ)、スイッチSW4(第6スイッチ)から構成される。
【0018】
スイッチSW1(第3スイッチ)は、ノードN3とノードN5の間に設けられ、制御信号Scc1(第1制御信号)に基づいて動作する。スイッチSW1(第3スイッチ)は、制御信号Scc1(第1制御信号)がイネーブル状態のときに、ノード3とノードN5(増幅器4の入力側のプラスポート)の間を接続し、制御信号Scc1(第1制御信号)がディセーブル状態のときに、ノード3とノードN5(増幅器4の入力側のプラスポート)の間を遮断する。
【0019】
スイッチSW2(第4スイッチ)は、ノードN4とノードN6の間に設けられ、制御信号Scc1(第1制御信号)に基づいて動作する。スイッチSW2(第4スイッチ)は、制御信号Scc1(第1制御信号)がイネーブル状態のときに、ノード4とノードN6(増幅器4の入力側のマイナスポート)の間を接続し、制御信号Scc1(第1制御信号)がディセーブル状態のときに、ノード4とノードN6(増幅器4の入力側のマイナスポート)の間を遮断する。
【0020】
スイッチSW3(第5スイッチ)は、ノードN3とノードN6の間に設けられ、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)に基づいて動作する。スイッチSW3(第5スイッチ)は、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)がイネーブル状態のときに、ノード3とノードN6(増幅器4の入力側のマイナスポート)の間を接続し、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)がディセーブル状態のときに、ノード3とノードN6(増幅器4の入力側のマイナスポート)の間を遮断する。
【0021】
スイッチSW4(第6スイッチ)は、ノードN4とノードN5の間に設けられ、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)に基づいて動作する。スイッチSW4(第6スイッチ)は、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)がイネーブル状態のときに、ノード4とノードN5(増幅器4の入力側のプラスポート)の間を接続し、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)がディセーブル状態のときに、ノード4とノードN5(増幅器4の入力側のプラスポート)の間を遮断する。
【0022】
ここで、制御信号Scc1と制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2は、例えばクロックジェネレータ(図示しない)などにより制御されたイネーブル状態が50%、ディセーブル状態が50%のデユーティ50%―50%のクロック信号である。制御信号Ssc1(第2制御信号)は、制御信号Scc1と制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2よりも遷移期間(イネーブル状態からディセーブル状態に遷移する期間、或いはディセーブル状態からイネーブル状態に遷移する期間)が長い信号である。制御信号Ssc1(第2制御信号)は、例えば複数の論理回路など(図示しない)により生成される。
【0023】
増幅器4(第1増幅器)は、入力チョッパとしてのチョッパ3(第1チョッパ)と出力チョッパとしてのチョッパ5(第2チョッパ)の間に設けられ、チョッパ3(第1チョッパ)から出力される差動の変調された信号を増幅する。増幅された正負の出力電圧信号は、チョッパ5(第2チョッパ)に入力される。
【0024】
出力チョッパとしてのチョッパ5(第2チョッパ)は、増幅器4(第1増幅器)と増幅器6(第2増幅器)の間に設けられ、スイッチSW5(第7スイッチ)、スイッチSW6(第8スイッチ)、スイッチSW7(第9スイッチ)、スイッチSW8(第10スイッチ)から構成される。
【0025】
スイッチSW5(第7スイッチ)は、ノードN7とノードN9の間に設けられ、制御信号Scc1(第1制御信号)に基づいて動作する。スイッチSW5(第7スイッチ)は、制御信号Scc1(第1制御信号)がイネーブル状態のときに、ノードN7とノードN9(増幅器6の入力側のプラスポート)の間を接続し、制御信号Scc1(第1制御信号)がディセーブル状態のときに、ノードN7とノードN9(増幅器6の入力側のプラスポート)の間を遮断する。
【0026】
スイッチSW6(第8スイッチ)は、ノードN8とノードN10の間に設けられ、制御信号Scc1(第1制御信号)に基づいて動作する。スイッチSW6(第8スイッチ)は、制御信号Scc1(第1制御信号)がイネーブル状態のときに、ノードN8とノードN10(増幅器6の入力側のマイナスポート)の間を接続し、制御信号Scc1(第1制御信号)がディセーブル状態のときに、ノードN8とノードN10(増幅器6の入力側のマイナスポート)の間を遮断する。
【0027】
スイッチSW7(第9スイッチ)は、ノードN7とノードN10の間に設けられ、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)に基づいて動作する。スイッチSW7(第9スイッチ)は、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)がイネーブル状態のときに、ノード7とノードN10(増幅器6の入力側のマイナスポート)の間を接続し、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)がディセーブル状態のときに、ノード7とノードN10(増幅器6の入力側のマイナスポート)の間を遮断する。
【0028】
スイッチSW8(第10スイッチ)は、ノードN8とノードN9の間に設けられ、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)に基づいて動作する。スイッチSW8(第10スイッチ)は、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)がイネーブル状態のときに、ノードN8とノードN9(増幅器6の入力側のプラスポート)の間を接続し、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)がディセーブル状態のときに、ノードN8とノードN9(増幅器6の入力側のプラスポート)の間を遮断する。
【0029】
増幅器6(第2増幅器)は、出力チョッパとしてのチョッパ5(第2チョッパ)と出力端子Poutの間に設けられ、チョッパ5(第2チョッパ)から出力される変調された信号を増幅する。増幅された出力信号Soutは、出力端子Poutを介して出力される。出力信号Soutは、入力端子Pin1(第1入力端子)に帰還信号Sfbとして帰還入力される。コンデンサC1は、ノードN9と出力端子Poutの間に設けられる位相補償コンデンサである。コンデンサC2は、ノードN10と接地電位Vssの間に設けられる位相補償コンデンサである。
【0030】
図2(a)に示すように、スイッチSwa(第1スイッチ)とスイッチSWb(第2スイッチ)は、インバータINV1とトランスファーゲートTRG1から構成される。トランスファーゲートTRG1は、PチャネルMOSトランジスタPMOST1とNチャネルMOSトランジスタNMOST1から構成される。インバータINV1は、制御信号Ssc1(第2制御信号)を入力し、制御信号Ssc1(第2制御信号)を反転する。PチャネルMOSトランジスタPMOST1は、第1端子(ソース)が入力側に接続され、第2端子(ドレイン)が出力側に接続され、制御端子(ゲート)にインバータINV1から出力される信号が入力される。NチャネルMOSトランジスタNMOST1は、第1端子(ドレイン)が入力側に接続され、第2端子(ソース)が出力側に接続され、制御端子(ゲート)に制御信号Ssc1(第2制御信号)が入力される。トランスファーゲートTRG1は、制御信号Ssc1(第2制御信号)がハイレベルで、インバータINV1から出力される信号がローレベルのときに、入力側と出力側の間を接続し、制御信号Ssc1(第2制御信号)がローレベルで、インバータINV1から出力される信号がハイレベルのときに、入力側と出力側の間を遮断する。
【0031】
図2(b)に示すように、スイッチSW1(第3スイッチ)、スイッチSW2(第4スイッチ)、スイッチSW5(第7スイッチ)、スイッチ6(第8スイッチ)は、インバータINV2とトランスファーゲートTRG2から構成される。トランスファーゲートTRG2は、PチャネルMOSトランジスタPMOST2とNチャネルMOSトランジスタNMOST2から構成される。インバータINV2は、制御信号Scc1(第1制御信号)を入力し、制御信号Scc1(第1制御信号)を反転する。PチャネルMOSトランジスタPMOST2は、第1端子(ソース)が入力側に接続され、第2端子(ドレイン)が出力側に接続され、制御端子(ゲート)にインバータINV2から出力される信号が入力される。NチャネルMOSトランジスタNMOST2は、第1端子(ドレイン)が入力側に接続され、第2端子(ソース)が出力側に接続され、制御端子(ゲート)に制御信号Scc1(第1制御信号)が入力される。トランスファーゲートTRG2は、制御信号Scc1(第1制御信号)がハイレベルで、インバータINV2から出力される信号がローレベルのときに、入力側と出力側の間を接続し、制御信号Scc1(第1制御信号)がローレベルで、インバータINV2から出力される信号がハイレベルのときに、入力側と出力側の間を遮断する。
【0032】
図2(c)に示すように、スイッチSW3(第5スイッチ)、スイッチSW4(第6スイッチ)、スイッチSW7(第9スイッチ)、スイッチ8(第10スイッチ)は、インバータINV2とトランスファーゲートTRG2から構成される。トランスファーゲートTRG2は、PチャネルMOSトランジスタPMOST2とNチャネルMOSトランジスタNMOST2から構成される。インバータINV2は、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)を入力し、制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)を反転する。PチャネルMOSトランジスタPMOST2は、第1端子(ソース)が入力側に接続され、第2端子(ドレイン)が出力側に接続され、制御端子(ゲート)にインバータINV2から出力される信号が入力される。NチャネルMOSトランジスタNMOST2は、第1端子(ドレイン)が入力側に接続され、第2端子(ソース)が出力側に接続され、制御端子(ゲート)に制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)が入力される。トランスファーゲートTRG2は、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)がハイレベルで、インバータINV2から出力される信号がローレベルのときに、入力側と出力側の間を接続し、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)がローレベルで、インバータINV2から出力される信号がハイレベルのときに、入力側と出力側の間を遮断する。
【0033】
比較例のチョッパ安定化増幅器について図3乃至5を参照して説明する。図3は、比較例のチョッパ安定化増幅器を示す回路図である。図4は、比較例のチョッパの動作を説明する図、図4(a)は制御信号Scc1がイネーブル状態、制御信号Scc2がディセーブル状態のときの図、図4(b)は制御信号Scc1がディセーブル状態、制御信号Scc2がイネーブル状態のときの図、図4(c)は制御信号Scc1と制御信号Scc2が"遷移領域”のときの図である。図5は、比較例のチョッパ安定化増幅器の動作を示すタイミングチャートである。図5のタイミングチャートはシミュレーションを用いて算出したものである。
【0034】
図3に示すように、比較例のチョッパ安定化増幅器200は、入力部1、チョッパ3、チョッパ5、増幅器4、増幅器6、コンデンサC1、コンデンサC2、出力端子Poutを含む。比較例のチョッパ安定化増幅器200は、本実施形態のチョッパ安定化増幅器100に設けられるスイッチ回路2が設けられていない。比較例のチョッパ安定化増幅器200は、スイッチ回路2を除いた他の回路構成が本実施形態のチョッパ安定化増幅器100と同一である。
【0035】
比較例のチョッパ安定化増幅器200の入力チョッパであるチョッパ3(第1チョッパ)の動作について、図4(a)、図4(b)、図4(c)を参照して説明する。
【0036】
図4(a)に示すように、イネーブル状態の制御信号Scc1により、スイッチSW1(第3スイッチ)がノードN1とノードN5の間を接続し、スイッチSW2(第4スイッチ)がノードN2とノードN6の間を接続する。
【0037】
図4(b)に示すように、イネーブル状態の制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2により、スイッチSW3(第5スイッチ)がノードN1とノードN6の間を接続し、スイッチSW4(第6スイッチ)がノードN2とノードN5の間を接続する。
【0038】
図4(c)に示すように、制御信号Scc1と制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2が遷移状態(ハイレベルとローレベルの間の領域)のとき、具体的にはスイッチSW1及びスイッチSW2とスイッチSW3及びスイッチSW4が交互に切り替わるときに、チョッパ3に入力電流Iinが発生する。入力電流Iinは、スイッチSW1(第3スイッチ)とノードN5の間、スイッチSW2(第4スイッチ)とノードN6の間、スイッチSW3(第5スイッチ)とノードN6の間、スイッチSW4(第6スイッチ)とノードN5の間にそれぞれ発生する。入力電流Iinは、通常、増幅器4(第1増幅器)側に流れる電流(ここでは、プラス表示する)が入力部側に流れる電流(ここでは、マイナス表示する)よりも大きくなる。入力電流Iinの発生が大きくなると、入力ラインの抵抗成分により電圧がドロップダウンして、チョッパ安定化増幅器の電圧精度が低下する。
【0039】
図5に示すように、比較例のチョッパ安定化増幅器200は、制御信号Scc1がイネーブル状態(ハイレベル“H”)からディセーブル状態(ローレベル“L”)に遷移し、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2がディセーブル状態(ローレベル“L”)からイネーブル状態(ハイレベル“H”)に遷移する第1遷移期間と、制御信号Scc1がディセーブル状態(ローレベル“L”)からイネーブル状態(ハイレベル“H”)に遷移し、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2がイネーブル状態(ハイレベル“H”)からディセーブル状態(ローレベル“L”)に遷移する第2遷移期間において、電流レベルの大きな入力電流Iinが発生する。例えば、プラス側の入力電流Iinは140μAであり、マイナス側の入力電流Iinは80μAである。
【0040】
次に、本実施形態のチョッパ安定化増幅器100の動作について図6乃至8を参照して説明する。図6は、制御信号Ssc1のオフタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間が時間差t1に設定されたときのチョッパ安定化増幅器の動作を示すタイミングチャートである。図7は、制御信号Ssc1のオフタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位が同一時刻(t0、時間差ゼロ)に設定されたときのチョッパ安定化増幅器の動作を示すタイミングチャートである。図8は、制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位と制御信号Ssc1のオフタイミングでの中間電位の間が時間差t2に設定されたときのチョッパ安定化増幅器の動作を示すタイミングチャートである。図6乃至8のタイミングチャートはシミュレーションを用いて算出したものである。
【0041】
図6に示すように、制御信号Ssc1(第2制御信号)がイネーブル状態(ハイレベル“H”)からディセーブル状態(ローレベル“L”)に遷移後、制御信号Ssc1(第2制御信号)のオフタイミングでの中間電位と制御信号Scc1(第1制御信号)及び制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)の中間電位の間が時間差t1に設定され、制御信号Ssc1(第2制御信号)のオフタイミングでの遷移領域と制御信号Scc1(第1制御信号)及び制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)の遷移領域が隣接された場合、プラス側の入力電流Iinが80μA、マイナス側の入力電流が50μAとなる。
【0042】
ここで、制御信号Ssc1(第2制御信号)のオフタイミングでの遷移領域の時間(立下り時間(tf)とも呼称する)は、制御信号Scc1(第1制御信号)及び制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)の遷移領域の時間よりも長く設定するのが好ましい。
【0043】
図7に示すように、制御信号Ssc1(第2制御信号)がイネーブル状態(ハイレベル“H”)からディセーブル状態(ローレベル“L”)に遷移し始め、制御信号Ssc1(第2制御信号)のオフタイミングでの中間電位と制御信号Scc1(第1制御信号)及び制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)の中間電位が一致(時間差ゼロ、t0)するように設定された場合、プラス側の入力電流Iinが5μA、マイナス側の入力電流が3μAとなる。
【0044】
図8に示すように、制御信号Ssc1(第2制御信号)がイネーブル状態(ハイレベル“H”)からディセーブル状態(ローレベル“L”)に遷移する前、制御信号Scc1(第1制御信号)及び制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)の中間電位と制御信号Ssc1(第2制御信号)のオフタイミングでの中間電位の間が時間差t2に設定され、制御信号Scc1(第1制御信号)及び制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)の遷移領域と制御信号Ssc1(第2制御信号)のオフタイミングでの遷移領域が隣接する場合、プラス側の入力電流Iinが60μA、マイナス側の入力電流が40μAとなる。
【0045】
次に、本実施例のチョッパ安定化増幅器100と比較例のチョッパ安定化増幅器200で発生する入力電流について図9を参照して説明する。図9は、入力電流特性を比較する図である。
【0046】
図9に示すように、本実施例のチョッパ安定化増幅器100で発生する入力電流Iinを、比較例のチョッパ安定化増幅器200で発生する入力電流Iinよりも大幅に低減することができる。なお、図9中の入力電流Iinの値は“+”側の値を用いて表示している。
【0047】
より詳しくは、制御信号Ssc1(第2制御信号)のオフタイミングでの遷移領域と制御信号Scc1(第1制御信号)及び制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)の遷移領域が隣接された場合(時間差t1)、制御信号Scc1(第1制御信号)及び制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)の遷移領域と制御信号Ssc1(第2制御信号)のオフタイミングでの遷移領域が隣接する場合(時間差t2)では、本実施例のチョッパ安定化増幅器100で発生する入力電流Iinを比較例のチョッパ安定化増幅器200で発生する入力電流Iinよりも低減することができる。
【0048】
制御信号Ssc1(第2制御信号)のオフタイミングでの中間電位と制御信号Scc1(第1制御信号)及び制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)の中間電位を一致(時間差ゼロ、t0)するように設定した場合、本実施例のチョッパ安定化増幅器100で発生する入力電流Iinを比較例のチョッパ安定化増幅器200で発生する入力電流Iinよりも大幅に低減することができる(具体的には、1/28に低減)。
【0049】
入力電流Iinを低減できる理由としては、スイッチSWa(第1スイッチ)、スイッチSWb(第2スイッチ)を構成するNチャネルMOSトランジスタNMOST1とPチャネルMOSトランジスタPMOST1のソース・ドレイン間容量を通じて入力電流Iinが流れるからである。
【0050】
更に、スイッチSWa(第1スイッチ)、スイッチSWb(第2スイッチ)を構成するNチャネルMOSトランジスタNMOST1とPチャネルMOSトランジスタPMOST1のオン抵抗が、通常動作時数十Ω程度であるのに対して、制御信号Ssc1(第2制御信号)が遷移領域、例えば中間電位に設定された場合数KΩ程度となるからである。中間電位よりもイネーブル状態側或いはディセーブル状態側では、中間電位でのオン抵抗よりも小さくなるからである。
【0051】
また、NチャネルMOSトランジスタNMOST1とPチャネルMOSトランジスタPMOST1のゲート・ソース間容量又はドレイン・ゲート間容量が時間差t0(時間差ゼロ)の場合が時間差t1、t2と比較して大きくなるからである。
【0052】
上述したように、本実施形態のチョッパ安定化増幅器は、入力部1、スイッチ回路2、チョッパ3、チョッパ5、増幅器4、増幅器6、コンデンサC1、コンデンサC2、出力端子Poutを含む。スイッチ回路2は、入力部1とチョッパ3の間に設けられ、制御信号Ssc1が入力されるスイッチSWa及びスイッチSWbから構成される。チョッパ3は、スイッチ回路2と増幅器3の間に設けられ、制御信号Scc1が入力されるスイッチSW1及びスイッチSW2、制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)が入力されるスイッチSW3及びスイッチSW4から構成される。制御信号Ssc1の中間電位を制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位と一致させる、又は制御信号Ssc1の遷移領域を制御信号Scc1及び制御信号Scc2の遷移領域に隣接するように設定して、チョッパ3が変調動作するときに発生する入力電流を抑制する。
【0053】
このため、入力チョッパの変調動作のときに発生する入力電流を大幅に抑制することができる。このため、高精度のチョッパ型増幅器を提供することができる。
【0054】
なお、図6乃至9で示した入力電流Iinの値はシミュレーションを用いて算出した一例であり、必ずしもこの値に限定されるものではない。
【0055】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るチョッパ安定化増幅器について、図面を参照して説明する。図10は、チョッパ安定化増幅器の制御信号Ssc1のオフタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間での時間差対入力電流の関係を示す図である。図10はシミュレーションを用いて算出したものであり、入力電流Iinの“+”側のデータを用いている。
【0056】
第2の実施形態では、制御信号Ssc1のオフタイミングで、制御信号Ssc1の中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間での時間差を所定時間毎に変化させて、時間差に対する入力電流を調査している。
【0057】
図10に示すように、制御信号Ssc1のオフタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間での時間差を、遷移領域端まで所定時間毎に変化させた場合(図中“+”表示領域)、時間差ゼロのときに入力電流Iinが最小となり、時間差が増大すると入力電流Iinが増加する。
【0058】
制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位と制御信号Ssc1のオフタイミングでの中間電位の間での時間差を、遷移領域端まで所定時間毎に変化させた場合(図中“-”表示領域)、時間差ゼロのときに入力電流Iinが最小となり、時間差が増大すると入力電流Iinが増加する。
【0059】
制御信号Ssc1の中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位を同一時刻に一致させる(時間差ゼロ)と入力電流Iinが大幅に低減され、最小値となる。
【0060】
上述したように、本実施形態のチョッパ安定化増幅器では、スイッチSWa及びスイッチSWbを制御する制御信号Ssc1のオフタイミングで、制御信号Ssc1の中間電位と、スイッチSW1及びスイッチSW2を制御する制御信号Scc1及びスイッチSW3及びスイッチSW4を制御する制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2の中間電位を同一時刻に一致させている。
【0061】
このため、入力チョッパの変調動作のときに発生する入力電流を大幅に抑制することができる。したがって、高精度のチョッパ型増幅器を提供することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るチョッパ安定化増幅器について、図面を参照して説明する。図11は、制御信号Ssc1のオンタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位が同一時刻(t0、時間差ゼロ)に設定されたときのチョッパ安定化増幅器の動作を示すタイミングチャートである。
【0063】
第3の実施形態では、制御信号Ssc1のオンタイミングで、制御信号Ssc1の中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間での時間差に対する入力電流を時間差に対する入力電流を調査している。
【0064】
図11に示すように、制御信号Ssc1(第2制御信号)がディセーブル状態(ローレベル“L”)からイネーブル状態(ハイレベル“H”)からに遷移し始め、制御信号Ssc1(第2制御信号)のオンタイミングでの中間電位と制御信号Scc1(第1制御信号)及び制御信号Scc2(第1制御信号の反転信号)の中間電位の時刻を一致(時間差ゼロ、t0)するように設定した場合、プラス側の入力電流Iinが5μA、マイナス側の入力電流が3μAとなる。
【0065】
次に、制御信号Ssc1のオンタイミングでの制御信号Ssc1の中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間での時間差対入力電流の関係について図12を参照して説明する。図12は、制御信号Ssc1のオンタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間での時間差対入力電流の関係を示す図である。
【0066】
図12に示すように、制御信号Ssc1のオンタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位の間での時間差を、遷移領域端まで所定時間毎に変化させた場合(図中“+”表示領域)、時間差ゼロのときに入力電流Iinが最小となり、時間差が増大すると入力電流Iinが増加する。
【0067】
制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位と制御信号Ssc1のオンタイミングでの中間電位の間での時間差を、遷移領域端まで所定時間毎に変化させた場合(図中“-”表示領域)、時間差ゼロのときに入力電流Iinが最小となり、時間差が増大すると入力電流Iinが増加する。
【0068】
制御信号Ssc1のオンタイミングでの中間電位と制御信号Scc1及び制御信号Scc2の中間電位を同一時刻に一致させる(時間差ゼロ)と入力電流Iinが大幅に低減され、最小値となる。
【0069】
なお、図11、12はシミュレーションを用いて算出したものである。図12の入力電流Iinは“+”側の値を用いている。
【0070】
上述したように、本実施形態のチョッパ安定化増幅器は、スイッチSWa及びスイッチSWbを制御する制御信号Ssc1のオンタイミングで、制御信号Ssc1の中間電位と、スイッチSW1及びスイッチSW2を制御する制御信号Scc1及びスイッチSW3及びスイッチSW4を制御する制御信号Scc1の反転信号である制御信号Scc2の中間電位を同一時刻に一致させている。
【0071】
このため、入力チョッパの変調動作のときに発生する入力電流を大幅に抑制することができる。したがって、高精度のチョッパ型増幅器を提供することができる。
【0072】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るチョッパ安定化増幅器について、図面を参照して説明する。図13はチョッパ安定化増幅器を示す回路図である。
【0073】
第4の実施形態では、第2増幅器と出力端子の間にフィルタを設けてノイズを低減している。
【0074】
以下、第1の実施形態と同一構成部分には、同一符号を付してその部分の説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
【0075】
図13に示すように、チョッパ安定化増幅器300は、入力部1、スイッチ回路2、チョッパ3、チョッパ5、増幅器4、増幅器6、フィルタ7、コンデンサC1、コンデンサC2、出力端子Poutを含む。チョッパ安定化増幅器300は、電池駆動機器、ポータブル機器、医療機器、ウェラブル機器、IoT(Internet-of-Things)、医療用センサ、フィットネスモニタなどに適用される。
【0076】
フィルタ7は、増幅器6(第2増幅器)と出力端子Poutの間に設けられる。フィルタ7は、増幅器6(第2増幅器)から出力される増幅された信号(ノードN11の信号)を入力して、信号中のノイズ成分を除去し、ノイズ除去された信号を出力端子Poutを介して出力する。フィルタ7は、ローパスフィルタ(LPF)やデジタルフィルタなどを用いるのが好ましい。
【0077】
上述したように、本実施形態のチョッパ安定化増幅器は、入力部1、スイッチ回路2、チョッパ3、チョッパ5、増幅器4、増幅器6、フィルタ7、コンデンサC1、コンデンサC2、出力端子Poutを含む。フィルタ7は、増幅器6と出力端子Poutの間に設けられ、増幅器6から出力される増幅された信号を入力して、ノイズ成分を除去する。
【0078】
このため、入力チョッパの変調動作のときに発生する入力電流を大幅に抑制することができ、発生するノイズを低減することができる。このため、高精度のチョッパ型増幅器を提供することができる。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 入力部
2 スイッチ回路
3、5 チョッパ
4、6 増幅器
7 フィルタ
100、200、300 チョッパ安定化増幅器
C1、C2 コンデンサ
Iin 入力電流
INV1、INV2 インバータ
N1~N11 ノード
NMOST1、NMOST2 NチャネルMOSトランジスタ
Pin1、Pin2 入力端子
PMOST1、PMOST2 PチャネルMOSトランジスタ
Pout 出力端子
Scc1、Scc2、Ssc1 制御信号
Sfb 帰還信号
SW1~SW8、SWa、SWb スイッチ
Sout 出力信号
Svin 差動入力信号
t0、t1、t2 時間差
TRG1、TRG2 トランスファーゲート
Vss 接地電位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13