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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108514
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】皮膚洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9794 20170101AFI20230728BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230728BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230728BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61Q19/10
A61K8/73
A61K8/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009672
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(72)【発明者】
【氏名】岡本 学
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB172
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC662
4C083AC712
4C083AD042
4C083AD132
4C083AD262
4C083AD332
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB07
4C083CC23
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】毛穴に形成された皮脂や角栓を除去できるという優れた洗浄性を有するにもかかわらず、泡立ちおよび泡質に優れ、皮膚への負担が小さい皮膚洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の皮膚洗浄剤組成物は、成分(A):ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤、成分(B):脱脂米ぬか、成分(C):平均粒子径が50~500μmの不定形スクラブ、並びに成分(D):水を含有し、成分(B)の含有割合が、0.005~5.0質量%である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A、下記成分B、及び下記成分Cを含有し、成分Bの含有割合が0.005~5.0質量%である、皮膚洗浄剤組成物。
成分A:ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤
成分B:脱脂米ぬか
成分C:平均粒子径が50~500μmの不定形スクラブ
成分D:水
【請求項2】
成分Aの含有割合が5.0~50.0質量%である請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚の古い角質や皮脂などの代謝物であって通常の皮膚洗浄剤では除去することが困難な汚れをより確実に除去する皮膚洗浄剤として、ピーリング洗浄剤やスクラブ剤入り洗浄剤が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、特定の多孔質シリカ粒子をスクラブ剤として含有する洗浄用化粧料が開示されている。この洗浄用化粧料によれば、弱い塗擦力で擦り込んでも十分なスクラブ感が得られ、かつヒリヒリ感が抑えられると記載されている。
【0004】
例えば、特許文献2には、内水相にポリビニルアルコールを含有するピーリング化粧料が開示されている。このピーリング化粧料によれば、皮膚の老廃物や付着した汚れを除去する清浄効果に優れ、使用感が良好で、しかも、皮膚に対する刺激が少ないと記載されている。
【0005】
また、本発明者らは従来のピーリング洗浄剤やスクラブ剤入り洗浄料と同等の洗浄性を有するにもかかわらず、皮膚への負担が小さい皮膚洗浄剤組成物として、脱脂米ぬかを含有する皮膚洗浄剤組成物を提案した(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-178699号公報
【特許文献2】特開2003-286154号公報
【特許文献3】特開2021-42178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2にも記載されているように、従来のピーリング洗浄剤やスクラブ剤入り洗浄料を用いた場合、皮膚に対してスクラブ剤を擦りつけたり、化学的な作用を及ぼしたりすることで洗浄力を向上させている。しかしながら、ピーリング洗浄剤やスクラブ剤入り洗浄料を用いた場合、同時に、洗浄時に粒子が皮膚を物理的に刺激する感触(スクラブ感)や、洗浄後の肌につっぱり感を感じるなど、皮膚に対して大きな負荷を与えてしまうという問題がある。さらに、従来のピーリング洗浄剤やスクラブ剤入り洗浄料では、毛穴に形成された皮脂や角栓を除去する能力は十分ではなかった。
【0008】
特許文献3に記載された皮膚洗浄剤組成物によれば、従来のピーリング洗浄剤やスクラブ剤入り洗浄料と同等の洗浄性を有するにもかかわらず、皮膚への負担を小さくすることができる。
【0009】
一方、皮膚に分泌された皮脂は、脂肪酸やエステル類で構成されており、酸化されると皮膚に対する刺激物となることが知られている。皮脂を分泌する器官である皮脂腺は、毛穴の内部に開口しており、皮脂は毛穴を経て皮膚上に分泌されることから、皮膚表面上だけでなく、毛穴に溜まりやすい。また、角栓とは、皮脂腺から分泌された皮脂や周囲の角質が毛穴に溜まって凝固した汚れであり、従来のピーリング洗浄剤やスクラブ剤入り洗浄料で除去することは困難であった。
【0010】
従来のピーリング洗浄剤やスクラブ剤入り洗浄料では十分ではない毛穴に形成された皮脂や角栓を除去できるという優れた洗浄性を有するにもかかわらず、泡立ちおよび泡質に優れ、皮膚への負担が小さい皮膚洗浄剤組成物が求められている。
【0011】
本発明の目的は、従来のピーリング洗浄剤やスクラブ剤入り洗浄料では十分ではない毛穴に形成された皮脂や角栓の除去ができるという優れた洗浄性を有するにもかかわらず、泡立ちおよび泡質に優れ、皮膚への負担が小さい皮膚洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、成分A:ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤、成分B:脱脂米ぬか、成分C:平均粒子径が50~500μmの不定形スクラブ、並びに成分D:水を含有し、成分Bの含有割合が特定範囲内である皮膚洗浄剤組成物によれば、毛穴に形成された皮脂や角栓を除去できるという優れた洗浄性を有するにもかかわらず、泡立ちおよび泡質に優れ、皮膚への負担が小さいことを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0013】
すなわち、本発明は、下記成分A、下記成分B、及び下記成分Cを含有し、成分Bの含有割合が0.005~5.0質量%である、皮膚洗浄剤組成物を提供する。
成分A:ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤
成分B:脱脂米ぬか
成分C:平均粒子径が50~500μmの不定形スクラブ
成分D:水
【0014】
上記皮膚洗浄剤組成物は、成分Aの含有割合が5.0~50.0質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、毛穴に形成された皮脂や角栓を除去できるという優れた洗浄性を有するにもかかわらず、泡立ちおよび泡質に優れ、皮膚への負担が小さい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤、脱脂米ぬか、平均粒子径が50~500μmの不定形スクラブ、並びに水を少なくとも含む。なお、本明細書において、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を「成分A」、脱脂米ぬかを「成分B」、平均粒子径が50~500μmの不定形スクラブを「成分C」、水を「成分D」とそれぞれ称する場合がある。
【0017】
すなわち、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、成分A、成分B、成分C、及び成分Dを少なくとも含む。本発明の皮膚洗浄剤組成物は、上記成分A~D以外の成分を含んでいてもよい。また、本発明の皮膚洗浄剤組成物に含まれる各成分、例えば、成分A、成分B、成分C、成分D、及び他の成分などの各成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0018】
[成分A]
成分Aは、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である。成分Aは、本発明の皮膚洗浄剤組成物の洗浄性、泡立ち、泡質、及び粘度に寄与する。成分Aは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0019】
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロール及びその誘導体、ポリオキシエチレンラノリン及びその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油などが挙げられる。
【0020】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどが挙げられる。また、ソルビタン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。
【0021】
グリセリン脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルのいずれも含む。モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジアラキン酸グリセリルなどが挙げられる。上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4~10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、セスキオレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリ(2~10)グリセリル、ジステアリン酸ポリ(6~10)グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸ポリ(10)グリセリル等の上記モノグリセリン脂肪酸エステルの重合度2~10のポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。また、グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノ(カプリル/カプリン酸)ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。
【0022】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルなどが挙げられる。
【0023】
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルは、ポリオキシアルキレンモノ脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレンジ脂肪酸エステルのいずれも含む。ポリオキシアルキレンモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0024】
ポリオキシアルキレンジ脂肪酸エステルとしては、例えば、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジミリスチン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジベヘン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルが挙げられる。
【0025】
上記ノニオン性界面活性剤としては、洗浄剤組成物としての性能を損なわずクレンジング効果を付与することができる観点から、脂肪酸の炭素数が12以下のグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸の炭素数が12以下のグリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物が好ましい。脂肪酸の炭素数が12以下のグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、カプリル酸ポリグリセリル、ラウリン酸ポリグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。脂肪酸の炭素数が12以下のグリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、例えば、酸化エチレンの平均付加モル数が6~8のモノ(カプリル/カプリン酸)ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。
【0026】
上記ノニオン性界面活性剤のうち、洗浄剤組成物としての性能を損なわずクレンジング効果を付与することを目的として、脂肪酸の炭素数が12以下のグリセリン脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸の炭素数が12以下のグリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物を含む場合の含有割合は、特に限定されないが、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、0.5~10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.8~5.0質量%である。上記含有割合が0.5質量%以上であると、充分なクレンジング効果が得られる。上記含有割合が10.0質量%以下であると、泡立ち及び泡質を損ねずにクレンジング効果を発揮し、また保存安定性に優れる。
【0027】
また、上記ノニオン性界面活性剤のうち、脂肪酸の炭素数が12以下のグリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸の炭素数が12以下のグリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物以外のノニオン性界面活性剤の含有割合は、特に限定されないが、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、0.5~5.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0~3.5質量%である。上記含有割合を上記範囲内とすることで、組成物の安定性に優れる。
【0028】
上記アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸及び/またはその塩やアミノ酸系界面活性剤などが挙げられる。
【0029】
上記高級脂肪酸及び/またはその塩における高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の炭素数10~22の高級脂肪酸;オリーブ油、ヤシ油、パーム油、綿実油等の植物性油脂;魚油、牛脂等の動物性油脂などが挙げられる。
【0030】
上記高級脂肪酸及び/またはその塩における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。本発明の皮膚洗浄剤組成物における上記高級脂肪酸塩は、予め塩に調製された高級脂肪酸塩が配合されたものであってもよいし、高級脂肪酸及び塩基としてそれぞれ配合され、皮膚洗浄剤組成物を製造する過程で高級脂肪酸及び塩基から形成されたものであってもよい。
【0031】
アニオン性界面活性剤としては、炭素数10~20の高級脂肪酸塩が好ましい。高級脂肪酸塩の炭素数が10以上であると、皮膚洗浄剤組成物の粘性が適度となり、また洗浄性により優れる。高級脂肪酸塩の炭素数が20以下であると、水なじみに優れるため泡立ちがより優れ、また保存安定性(特に高温での保存安定性)により優れる。上記高級脂肪酸(塩)の炭素数は、泡立ち及び泡質により優れる観点から、より好ましくは12~18である。
【0032】
高級脂肪酸及び/またはその塩としては、特に、保存安定性により優れる観点、並びに泡立ち及び泡質をより優れることとする観点から、ミリスチン酸を含むことが好ましい。また、水なじみにより優れ特に初期の泡立ちをより優れることとする観点から、ラウリン酸を含むことが好ましい。
【0033】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中の高級脂肪酸及び/またはその塩の含有割合は、特に限定されないが、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、10.0~40.0質量%が好ましく、より好ましくは15.0~25.0質量%である。上記含有割合が10.0質量%以上であると、洗浄後の皮膚に充分な被覆効果を得ることができる。上記含有割合が40.0質量%以下であると、皮膚洗浄剤に糸曳きが生じるのを抑制し、容器からの吐出時の切れが良好となり、使用性に優れる。上記高級脂肪酸及び/またはその塩の含有割合は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中の全ての高級脂肪酸及び/またはその塩の含有割合の合計である。
【0034】
アミノ酸系界面活性剤としては、N-アシルサルコシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルメチルアラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルアルギニン塩などが挙げられる。これらのアミノ酸系界面活性剤における塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、チタン塩等の金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩などが挙げられる。アミノ酸系界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0035】
上記N-アシルサルコシン塩としては、例えば、ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミン、ミリストイルサルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウムなどが挙げられる。上記N-アシルグルタミン酸塩としては、例えば、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸カリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸・硬化牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。上記N-アシルメチルアラニン塩としては、例えば、ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ラウロイルメチルアラニントリエタノールアミン、ミリストイルメチルアラニンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウムなどが挙げられる。上記N-アシルグリシン塩としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウムなどが挙げられる。上記N-アシルアルギニン塩としては、例えば、ラウロイルアルギニン、ヤシ脂肪酸アルギニンなどが挙げられる。
【0036】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中のアミノ酸系界面活性剤の含有割合は、特に限定されないが、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、0.2~10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0~8.0質量%である。上記含有割合が0.2質量%以上であると、皮膚洗浄剤の泡立ち及び洗浄後のさっぱり感により優れ、洗浄後のつっぱり感をより抑制することができる。上記含有割合が10.0質量%以下であると、べたつき感を抑制でき、また製剤安定性に優れる。上記アミノ酸系界面活性剤の含有割合は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中の全てのアミノ酸系界面活性剤の含有割合の合計である。
【0037】
上記両性界面活性剤としては、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤及びスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0038】
上記グリシン型両性界面活性剤としては、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム及び2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。
【0039】
上記アミノプロピオン酸型両性界面活性剤としては、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム及びヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシエトキシエチル-N-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム等が挙げられる。
【0040】
上記アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)及びリシノレイン酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
【0041】
上記アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン及びラウリン酸アミドプロピル酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0042】
上記スルホベタイン型両性界面活性剤としては、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン及びヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0043】
洗浄力及び起泡力をより一層高める観点からは、アミドプロピルベタイン型両性界面活性剤及びアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤からなる群から選ばれる成分(少なくとも1の成分)が好ましい。
【0044】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中の両性界面活性剤の含有割合は、特に限定されないが、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、0.5~10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0~5.0質量%である。上記含有割合が0.5質量%以上であると、洗浄力及び起泡力がより一層高くなる。上記含有割合が10.0質量%以下であると、洗浄後のつっぱり感を抑えることができる。両性界面活性剤の含有割合は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中の全ての両性界面活性剤の含有割合の合計である。
【0045】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中の成分Aの含有割合は、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、5.0~50.0質量%であり、好ましくは10.0~45.0質量%、より好ましくは20.0~40.0質量%である。上記含有割合が5.0質量%以上であることにより、洗浄性を発揮して洗浄剤として機能し、泡立ち及び泡質に優れ、適度な粘度となり、また保存安定性に優れる。上記含有割合が50.0質量%以下であることにより、肌荒れを起こりにくくし、また塗布時の伸びなじみに優れる。上記成分Aの含有割合は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中の全ての成分Aの含有割合の合計である
【0046】
[成分B]
成分Bは、脱脂米ぬかである。成分Bは「脱脂」であることから、皮脂を効果的に吸着除去することができ、毛穴に形成された皮脂や角栓をも除去できるものと推測され、洗浄性に非常に優れつつ、スクラブ感を抑えることができる。また、皮膚洗浄剤組成物の泡立ち及び泡質に優れる。成分Bは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0047】
成分Bは、粒子径180μm以下の成分Bの割合が、成分Bの総量100質量%に対して、90質量%以上が好ましく、より好ましくは95質量%以上である。上記割合が90質量%以上であると、粒子径が大きい成分Bの割合が少なく、よりスクラブ感を抑えることができる。なお、上記粒子径180μm以下の成分Bの割合は、JIS Z8801-1に基づいた83メッシュのふるいを通過する成分Bの割合として算出される。
【0048】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中の成分Bの含有割合は、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、0.005~5.0質量%であり、好ましくは0.008~1.5質量%、より好ましくは0.01~1.0質量%である。上記含有割合が0.001質量%以上であることにより、毛穴に形成された皮脂や角栓をも除去できるという洗浄性が得られる。また、泡立ち、及び泡質に優れる。上記含有割合が5.0質量%以下であることにより、使用感に優れ、また、皮膚が脱脂され過ぎるのを抑制し、つっぱり感を抑えることができる。上記成分Bの含有割合は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中の全ての成分Bの含有割合の合計である。
【0049】
[成分C:不定形スクラブ]
成分Cは所定の平均粒子径を有する不定形スクラブである。成分Cを配合することにより、汚れを物理的にかき出すことが可能となり、洗浄性をより向上させることができる。また、成分Bは所定の平均粒子径を有することから、肌への負担を抑えることができる。
【0050】
成分Bは、皮脂を吸着除去することで、毛穴に形成された皮脂や角栓をも除去可能であり、単体でも洗浄効果に優れるが、汚れをかき出す効果の高い成分Cと併せて配合することで、肌への負担を抑えつつ、毛穴に形成された皮脂や角栓をより効率的に除去することができると推定される。
【0051】
成分Cの形状は、球状以外であって、皮膚洗浄時に皮膚上の汚れを物理的にかき出しやすい形状であればよく、特に限定されない。不定形スクラブの形状としては、鱗片状、楕円体状、直方体状、多面体形状、薄片状等が挙げられる。これらの形状の中では、皮膚上の汚れを物理的にかき出しやすいため、多面体形状が好ましい。
【0052】
成分Cの平均粒子径は50~500μmであり、100~450μmが好ましく、150~400μmがより好ましい。上記平均粒子径が50μm以上であると、十分な洗浄性を得ることができる。上記平均粒子径が500μm以下であることにより、肌への負担を抑えることができる。成分Cの平均粒子径は、例えば、レーザ回折散乱法によって測定することができる。より具体的に、不定形シリカの平均粒子径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(例えば、LA950V2、HORIBA社製)を用いて測定することができる。
【0053】
成分Cの材質としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、カルナウバロウ、非結晶セルロース、結晶セルロース、ポリメタクリル酸エステル(例えばPMMA)、シリカ、モモ核、トウモロコシ穂軸、アンズ種子、クルミ殻粒、炭、陳皮粉末、コンスターチ等が挙げられる。
【0054】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中の成分Cの含有割合は、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、0.1~30.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5~20.0質量%、さらに好ましくは1.0~10.0質量%である。上記含有割合が0.1質量%以上であることにより、毛穴に形成された皮脂や角栓をも除去できるという洗浄性が得られる。上記含有割合が30.0質量%以下であることにより、肌への負担を抑えることができる。上記成分Bの含有割合は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中の全ての成分Cの含有割合の合計である。
【0055】
[成分D:水]
成分Dは水であり、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の皮膚洗浄剤組成物中の成分Dの含有割合は、特に限定されないが、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、15.0~70.0質量%が好ましい。
【0056】
[その他の成分]
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、上記成分A~D以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。上記その他の成分しては、特に限定されず、例えば、化粧品や医薬部外品に通常用いられる成分などが挙げられる。具体的には、例えば、カチオン性ポリマー等の皮膜形成性高分子化合物;エタノール等の低級アルコール;油脂、多価アルコール、高級アルコール、エステル油、植物油、炭化水素油等の油性成分;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖増粘剤等の増粘剤;保湿剤;殺菌剤;パール化剤;グリチルリチン酸及びその塩等の抗炎症剤;メントール等の清涼剤;リン酸及びその塩類、クエン酸及びその塩類、乳酸及びその塩類、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調整剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;金属イオン封鎖剤(キレート剤);粉体;色素;顔料;ビタミン類;アミノ酸類;収斂剤;美白剤;動植物抽出物;酸;アルカリ;繊維状セルロースなどが挙げられる。
【0057】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、さらに、カチオン性ポリマーを含んでいてもよい。本発明の皮膚洗浄剤組成物は、さらにカチオン性ポリマーを含む場合、成分A、成分B及び成分Cにより古くなった角質や肌の汚れを除去した後の皮膚上に皮膜を形成し皮膚を覆うことで洗浄後の皮膚を滑らかにすることができる。カチオン性ポリマーは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0058】
カチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性を示す窒素原子含有基を有する高分子化合物が挙げられる。例えば、カチオン化セルロース、カチオン性澱粉、カチオン化グァーガム、ポリグリコールポリアミン縮合物、及びこれらの誘導体や、その他のカチオン性を示す窒素原子含有基を有する単量体に由来する構成単位を含むポリマーなどが挙げられる。
【0059】
上記カチオン性を示す窒素原子含有基を有する単量体としては、例えば、塩化ジアルキルジアリルアンモニウム等のジアルキルジアリルアンモニウム塩、四級化ビニルピロリドン、ビニルイミダゾリウムトリクロライド、四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム等が挙げられる。中でも、ジアルキルジアリルアンモニウム塩(特に、塩化ジアルキルジアリルアンモニウム)が好ましく、より好ましくはジメチルジアリルアンモニウム塩(特に、塩化ジメチルジアリルアンモニウム)である。
【0060】
カチオン性ポリマーとしては、具体的には、例えば、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等の第4級窒素含有セルロースエーテル誘導体;塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム等の第4級窒素含有グァーガム誘導体;ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等の第4級アンモニウム塩重合物;塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体等のジアリル第4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物;塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体等のジアリル第4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物;塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸・アクリルアミド共重合体等のジアリル第4級アンモニウム塩/アクリルアミド/アクリル酸共重合物;ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩等の第4級化ポリビニルピロリドン誘導体;カチオン性澱粉;ポリグリコールポリアミン縮合物;アジピン酸・ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合物;カチオン化デキストランなどが挙げられる。上記の中でも、ジアリル第4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、第4級アンモニウム塩重合物、ジアリル第4級アンモニウム塩/アクリル酸共重合物が好ましい。
【0061】
カチオン性ポリマーとしては、INCI名で、「POLYQUATERNIUM(ポリクオタニウム)-6」と表記される化合物、「POLYQUATERNIUM(ポリクオタニウム)-7」と表記される化合物、「POLYQUATERNIUM(ポリクオタニウム)-10」と表記される化合物、「POLYQUATERNIUM(ポリクオタニウム)-11」と表記される化合物、「POLYQUATERNIUM(ポリクオタニウム)-22」と表記される化合物、「POLYQUATERNIUM(ポリクオタニウム)-39」と表記される化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、中でも、洗浄後の皮膚の滑らかさにより優れる観点から、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-22が好ましい。
【0062】
カチオン性ポリマーは、市販品を用いることができる。ポリクオタニウム-6の市販品としては、例えば、商品名「マーコート100」、商品名「マーコート106」(以上、LUBRIZOL社製)などが挙げられる。ポリクオタニウム-7の市販品としては、例えば、商品名「マーコート550PR」、商品名「マーコートS」、商品名「マーコート2200」、商品名「マーコート740」(以上、LUBRIZOL社製)などが挙げられる。ポリクオタニウム-10の市販品としては、例えば、商品名「マーコート10」(LUBRIZOL社製)などが挙げられる。ポリクオタニウム-22の市販品としては、例えば、商品名「マーコート280」、商品名「マーコート281」、商品名「マーコート295」(以上、LUBRIZOL社製)などが挙げられる。ポリクオタニウム-39の市販品としては、例えば、商品名「マーコートPLUS3330」(LUBRIZOL社製)などが挙げられる。塩化О-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースの市販品としては、例えば、商品名「ポイズC-150L」(花王株式会社製)などが挙げられる。
【0063】
本発明の皮膚洗浄剤組成物中のカチオン性ポリマーの含有割合は、特に限定されないが、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、0.05~2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1~1.5質量%である。上記含有割合が0.05質量%以上であると、洗浄後の皮膚に充分な被覆効果を得ることができる。上記含有割合が2.0質量%以下であると、皮膚洗浄剤に糸曳きが生じるのを抑制し、容器からの吐出時の切れが良好となり、使用性に優れる。上記カチオン性ポリマーの含有割合は、本発明の皮膚洗浄剤組成物中の全てのカチオン性ポリマーの含有割合の合計である。
【0064】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、さらに、多価アルコールを含んでいてもよい。本発明の皮膚洗浄剤組成物は、さらに多価アルコールを含む場合、成分Aの量とのバランスを考慮して、安定性を損なわずに粘度を調整することができる。また、洗浄後の保湿性が一層向上する。上記多価アルコールは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0065】
上記多価アルコールとしては、化粧品原料の保湿剤として用いられている公知乃至慣用の多価アルコールを使用することができる。多価アルコールの具体例としては、例えば、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールなどが挙げられる。
【0066】
上記多価アルコールを含む場合の本発明の皮膚洗浄剤組成物中の含有割合は、特に限定されないが、本発明の皮膚洗浄剤組成物100質量%に対して、0.5~40.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0~30.0質量%である。上記含有割合が0.5質量%以上であると、多価アルコールを含むことによる効果が充分に得られる。上記含有割合が40.0質量%以下であると、使用感を損なわずに多価アルコールを含むことによる効果が得られる。
【0067】
上記殺菌剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、ヒノキチオール、トリクロサン、グリチルリチン酸ジカリウム、サリチル酸などが挙げられる。中でも、イソプロピルメチルフェノール、サリチル酸が好ましく、より好ましくはイソプロピルメチルフェノールである。上記殺菌剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0068】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、pHが9.0~11.0であることが好ましく、より好ましくは9.0~10.0である。pHが上記範囲内であると、洗浄時の皮膚への負荷をより軽減することができる。
【0069】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。例えば、上記各成分を混合し、乳化釜を用いて製造することができる。
【0070】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、皮膚(肌)に塗布し洗浄するために用いられる組成物である。本発明の皮膚洗浄剤組成物を使用する部位としては、特に限定されず、例えば、顔面(例えば、額、目元、目じり、頬、口元等)や、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中等が挙げられる。中でも、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、毛穴に形成された皮脂や角栓を除去できるという優れた洗浄性を有するにもかかわらず、泡立ちおよび泡質に優れ、皮膚への負担が小さい観点から、顔面用が好ましい。
【0071】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、洗顔料、ボディーソープ、ハンドソープなどとして用いることができる。中でも、洗顔料であることが好ましい。
【0072】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、種々の剤型に適用することができ、特に限定されないが、クリーム状、乳液状であることが好ましい。本発明の皮膚洗浄剤組成物がクリーム状又は乳液状であると、泡立てやすさが特に良好となる。また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、容器に充填された本発明の皮膚洗浄剤組成物の形態であってもよい。上記容器としては、例えば、ポンプ容器、チューブ容器などが挙げられる。
【実施例0073】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量。所謂純分)であり、特記しない限り「質量%」で表す。また、水酸化カリウムは、pHが10.0となるように添加した。
【0074】
実施例1~4、比較例1~3
表に記した各成分(成分A~D及びその他の成分)を用い、実施例及び比較例の各皮膚洗浄剤組成物を常法により調製した。
【0075】
表に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。
【0076】
<成分A>
ラウリン酸:商品名「EDENOR C12-99」(Emery Oleochemicals社製)
ミリスチン酸:商品名「EDENOR C14-99」(Emery Oleochemicals社製)
パルミチン酸:商品名「EDENOR C16-98 MY」(Emery Oleochemicals社製)
ステアリン酸:商品名「EDENOR C18-98 MY」(Emery Oleochemicals社製)
モノステアリン酸グリセリル: 商品名「CUTINA GMS-V」(BASF社製)
ヤシ脂肪酸アルギニン:商品名「アミノソープ AR-12」(味の素ヘルシーサプライ株式会社製)
ラウラミドプロピルベタイン:商品名「リカビオン B-300」(新日本理化株式会社製)
<成分B>
脱脂米ぬか:商品名「脱脂コメヌカ」(オリザ油化株式会社製)、粒子径180μm以下の割合:95質量%以上
<成分C>
不定形スクラブ1:非結晶セルロース、商品名「VITACEL CS180G」(レッテンマイヤ―社製)、粒子径100~200μm
不定形スクラブ2:シリカ、商品名:商品名「SCRUB SILICA 300G」(日揮触媒化成社製)、平均粒子径190μm
不定形スクラブ3:モモ核、商品名「PSグリットG #60-80」(一丸ファルコス株式会社製)、粒子径180μm以下の割合:90質量%以上
不定形スクラブ4:トウモロコシ穂軸、商品名「CRグリットG #60-80」(一丸ファルコス株式会社製)、粒子径180μm以下の割合:90質量%以上
不定形スクラブ5:アンズ種子、商品名「APグリット <球状>G #60-80」(一丸ファルコス株式会社製)、粒子径180μm以下の割合:90質量%以上
不定形スクラブ6:クルミ殻粒、商品名「WNグリットG #60-80」(一丸ファルコス株式会社製)、粒子径180μm以下の割合:90質量%以上
【0077】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各皮膚洗浄剤組成物について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。
【0078】
(試験例1:洗浄力)
皮膚洗浄剤組成物を手の平に約0.5g取り出し、ぬるま湯を加えて両手で擦り合わせて泡立てて洗顔を行った。次いでぬるま湯で充分に皮膚洗浄剤組成物を洗い流した。洗浄前および洗浄後の毛穴をマイクロスコープ(キーエンス社製のVHX-900)で観察することで、洗浄により除去された毛穴の皮脂および角栓を算出し、洗浄力(洗浄による毛穴の皮脂および角栓の除去力)について下記の基準に基づいて評価した。
[洗浄力の評価基準]
A:洗浄により毛穴の皮脂および角栓が約80%以上除去された。
B:洗浄により毛穴の皮脂および角栓が約50%以上、約80%未満除去された。
C:洗浄後も毛穴の皮脂および角栓が約50%以上残っていた。
【0079】
(試験例2:皮膚への負担)
皮膚洗浄剤組成物を手の平に約0.5g取り出し、ぬるま湯を加えて両手で擦り合わせて泡立てて洗顔を行っているときの粒子が皮膚を物理的に刺激する感触(皮膚への負担)について下記の基準で評価した。なお、スクラブ感が感じられない組成物については「-」とした。
[スクラブ感の評価基準]
A:心地よいスクラブ感が感じられるが、皮膚への負担は感じない
B:Aより強いスクラブ感が感じられるが、皮膚への負担は感じない
C:皮膚への負担となる強いスクラブ感が感じられる
【0080】
(試験例3:泡立ち)
皮膚洗浄剤組成物を手の平に約0.5g取り出し、ぬるま湯を加えて両手で擦り合わせて泡立てた際の、泡立ち性について下記の基準で評価した。
[泡立ちの評価基準]
A:泡立ちが極めて速い
B:泡立ちが速い
C:泡立ちが遅い
【0081】
(試験例4:泡質)
試験例5で皮膚洗浄剤組成物を泡立てて作製した泡の泡質について下記の基準で評価した。
[泡質の評価基準]
A:泡のキメが非常に細かい
B:泡のキメが細かい
C:泡のキメが粗い
【0082】
【表1】
【0083】
さらに、以下に、本発明の皮膚洗浄剤組成物の処方例を示す。
(処方例1)
ラウリン酸 6.0質量%
ミリスチン酸 11.0質量%
パルミチン酸 5.0質量%
ステアリン酸 9.0質量%
脱脂コメヌカ 0.8質量%
セルロース 5.0質量%
ポリクオタニウム-7 0.2質量%
ヤシ脂肪酸アルギニン 1.0質量%
モノステアリン酸グリセリル 2.0質量%
ポリソルベート65 1.0質量%
ラウラミドプロピルベタイン 0.5質量%
グリセリン 16.0質量%
ポリエチレングリコール1500 4.0質量%
マルチトール 5.0質量%
ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム 0.001質量%
乳酸 0.03質量%
エデト酸四ナトリウム 0.05質量%
精油 0.1質量%
水酸化カリウム 適量
水 残量
合計 100質量%
【0084】
(処方例2)
ラウリン酸 6.0質量%
ミリスチン酸 11.0質量%
パルミチン酸 5.0質量%
ステアリン酸 9.0質量%
脱脂コメヌカ 0.7質量%
セルロース 5.0質量%
アンズ種子 1.0質量%
ポリクオタニウム-7 0.2質量%
ヤシ脂肪酸アルギニン 1.0質量%
モノステアリン酸グリセリル 2.0質量%
ポリソルベート65 1.0質量%
ラウラミドプロピルベタイン 0.5質量%
カプリル酸ポリグリセリル-3 0.4質量%
PEG-6(カプリル/カプリン酸)グリセリズ 0.8質量%
グリセリン 16.0質量%
ポリエチレングリコール400 4.0質量%
マルチトール 5.0質量%
エデト酸四ナトリウム 0.05質量%
ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム 0.001質量%
乳酸 0.03質量%
精油 0.1質量%
水酸化カリウム 適量
水 残量
合計 100質量%
【0085】
(処方例3)
ラウリン酸 3.0質量%
ミリスチン酸 15.0質量%
パルミチン酸 10.0質量%
ステアリン酸 7.0質量%
脱脂コメヌカ 0.4質量%
セルロース 5.0質量%
トウモロコシ穂軸 1.0質量%
ポリクオタニウム-7 0.2質量%
ヤシ脂肪酸アルギニン 1.0質量%
モノステアリン酸グリセリル 1.5質量%
ポリソルベート65 1.0質量%
グリセリン 18.0質量%
ソルビトール 5.0質量%
エデト酸四ナトリウム 0.05質量%
ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム 0.001質量%
乳酸 0.03質量%
精油 0.1質量%
水酸化カリウム 適量
水 残量
合計 100質量%
【0086】
(処方例4)
ラウリン酸 6.0質量%
ミリスチン酸 11.0質量%
パルミチン酸 5.0質量%
ステアリン酸 9.0質量%
脱脂コメヌカ 1.0質量%
シリカ 5.0質量%
クルミ殻粒 1.0質量%
ポリクオタニウム-7 0.2質量%
ヤシ脂肪酸アルギニン 1.0質量%
モノステアリン酸グリセリル 2.0質量%
ポリソルベート65 1.0質量%
ラウラミドプロピルベタイン 0.5質量%
グリセリン 16.0質量%
ポリエチレングリコール1500 4.0質量%
マルチトール 5.0質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.05質量%
エデト酸四ナトリウム 0.05質量%
精油 0.1質量%
水酸化カリウム 適量
水 残量
合計 100質量%