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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108519
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】螺着体および螺着結合体
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/18 20060101AFI20230728BHJP
   E04C 5/12 20060101ALI20230728BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
E04C5/18
E04C5/12
E04G21/12 105Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009680
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】507395441
【氏名又は名称】株式会社パルパルス
(74)【代理人】
【識別番号】100194249
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石森 良房
(72)【発明者】
【氏名】岡部 宏秋
【テーマコード(参考)】
2E164
【Fターム(参考)】
2E164AA02
2E164BA02
2E164BA12
2E164BA23
(57)【要約】
【課題】ネジフシ棒鋼に対して螺着でき、製作が容易で種々の形状が得られ、螺着位置の変更を可能とする螺着体を提供する。
【解決手段】螺着体20Aは、棒鋼本体11の表面に螺旋状の節12が第1ピッチで突出形成されたネジフシ17を備えたネジフシ棒鋼10に螺着される。線材Wを螺旋状に巻回した螺着体本体部30Aと、螺着体本体部30Aの一端側の延出基端から延出されるアーム部であって、螺着体本体部30Aの外周から外方に延びる第1アーム部40Aと、螺着体本体部30Aの他端側の延出基端から延出されるアーム部であって、螺着体本体部の外周から外方に延びる第2アーム部40Bと、を有し、螺着体本体部30Aは、内径が棒鋼本体の直径よりも大径で、ネジフシ直径よりも小径とし、ネジフシ17に対して軸方向に遊びを有する構成とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒鋼本体の表面に螺旋状の節が所定ピッチで突出形成されたネジフシを備えたネジフシ棒鋼に螺着される螺着体であって、
線材を螺旋状に巻回し、隣接する前記線材間に前記ネジフシと螺合する螺旋状の螺旋隙間を形成した螺着体本体部と、
前記螺着体本体部の一端側の延出基端から延出されるアーム部であって、前記螺着体本体部の外周から外方に延びる第1アーム部と、
前記螺着体本体部の他端側の延出基端から延出されるアーム部であって、前記螺着体本体部の外周から外方に延びる第2アーム部と、
を有し、
前記螺着体本体部は、内径が前記棒鋼本体の直径よりも大径で、前記ネジフシ直径よりも小径とし、前記ネジフシに対して軸方向に遊びを有することを特徴とする螺着体。
【請求項2】
請求項1に記載の螺着体において、
前記螺着体本体部から前記第1アーム部と前記第2アーム部がそれぞれ延出される延出基端は、前記螺着体本体部の軸方向を中心とする軸回り方向の角度において、略同じ角度位置または前記軸方向中心位置を挟んで略反対の角度位置としていることを特徴とする螺着体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の螺着体において、
前記第1アーム部と前記第2アーム部は、前記螺着体本体部の延出基端側のリード角に沿って延出し、直線状に形成されていることを特徴とする螺着体。
【請求項4】
請求項1または2に記載の螺着体において、
前記第1アーム部と前記第2アーム部は、前記螺着体本体部の延出基端側のリード角に沿って延出し、前記螺着体本体部側を凹面側として湾曲した曲線状に形成されていることを特徴とする螺着体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の螺着体において、
前記螺着体本体部は、前記線材を複数巻きに巻回していることを特徴とする螺着体。
【請求項6】
請求項5に記載の螺着体において、
前記螺着体本体部は、巻き始端または巻き終端の第1巻き線部と、前記第1巻き線部と隣接する第2巻き線部が前記ネジフシの節の両側で密着する間隔に形成され、前記第1巻き線部と前記第2巻き線部以外の巻き線部の間隔は、前記ネジフシの節に遊びを含んだ長さに設定されていることを特徴とする螺着体。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の螺着体において、
前記螺着体本体部は、前記線材を1巻きに巻回していることを特徴とする螺着体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の螺着体において、
前記第1アーム部と前記第2アーム部は長さが異なることを特徴とする螺着体。
【請求項9】
請求項1、2、5、6、7または8のいずれかに記載の螺着体において、
前記第1アーム部と前記第2アーム部は、それぞれ前記延出基端側から径方向外方に向けて延びる基部側線材部から前記螺着体本体部の軸方向一方に向けて延びる先端部側線材部をそれぞれ有し、
前記各先端部側線材部は、前記各先端部側線材部の先端に向かうに従って前記螺着体本体部の中心軸との距離が拡がる先拡がり形状、または前記螺着体本体部の軸方向と平行に形成されていることを特徴とする螺着体。
【請求項10】
請求項1から8のいずれかに記載の螺着体において、
前記第1アーム部と前記第2アーム部は、前記第1アーム部先端および前記第2アーム部先端からそれぞれ延びる線材により螺旋状に巻回した筒状の第1連結部と第2連結部を備えたことを特徴とする螺着体。
【請求項11】
請求項10に記載の螺着体において、前記第1連結部の軸方向と前記第2連結部の軸方向は、前記螺着体本体部の軸方向と平行または直交していることを特徴とする螺着体。
【請求項12】
棒鋼本体の表面に螺旋状の節が所定ピッチで突出形成されたネジフシを備えたネジフシ棒鋼に螺着される螺着体であって、
線材を螺旋状に巻回し、隣接する前記線材間に前記ネジフシと螺合する螺旋状の螺旋隙間を形成した螺着体本体部と、
前記螺着体本体部の一端側の延出基端から延出されるアーム部であって、前記螺着体本体部の外周から外方に延びる第3アーム部と、
を有し、
前記螺着体本体部は、内径が前記棒鋼本体の直径よりも大径で、前記ネジフシ直径よりも小径とし、前記ネジフシに対して軸方向に遊びを有することを特徴とする螺着体。
【請求項13】
請求項12に記載の螺着体において、
前記第3アーム部は、前記螺着体本体部の延出基端側のリード角に沿って延出し、直線状に形成されていることを特徴とする螺着体。
【請求項14】
請求項12に記載の螺着体において、
前記第3アーム部は、前記螺着体本体部の延出基端側のリード角に沿って延出し、前記螺着体本体部側を凹面側として湾曲した曲線状に形成されていることを特徴とする螺着体。
【請求項15】
請求項12から14のいずれかに記載の螺着体において、
前記螺着体本体部は、前記線材を複数巻きに巻回していることを特徴とする螺着体。
【請求項16】
請求項15に記載の螺着体において、
前記螺着体本体部は、巻き始端または巻き終端の第1巻き線部と、前記第1巻き線部と隣接する第2巻き線部が前記ネジフシの節の両側で密着する間隔に形成され、前記第1巻き線部と前記第2巻き線部以外の巻き線部の間隔は、前記ネジフシの節に遊びを含んだ長さに設定されていることを特徴とする螺着体。
【請求項17】
請求項12から14のいずれかに記載の螺着体において、
前記螺着体本体部は、前記線材を1巻きに巻回していることを特徴とする螺着体。
【請求項18】
請求項12、15、16または17のいずれかに記載の螺着体において、
前記第3アーム部は、前記螺着体本体部の一端側の延出基端側から径方向外方に向けて延びる基部側線材部から前記螺着体本体部の他端側に向けて延びる先端部側線材部を有し、
前記先端部側線材部は、前記先端部側線材部の先端に向かうに従って前記螺着体本体部の中心軸心との距離が拡がる先拡がり形状に形成されていることを特徴とする螺着体。
【請求項19】
請求項12から17のいずれかに記載の螺着体において、
前記第3アーム部は、前記第3アーム部先端からそれぞれ延びる線材により螺旋状に巻回した筒状の第3連結部を備えたことを特徴とする螺着体。
【請求項20】
請求項19に記載の螺着体において、
前記第3連結部の軸方向は、前記螺着体本体部の軸方向と平行または直交していることを特徴とする螺着体。
【請求項21】
棒鋼本体の表面に螺旋状の節が第1ピッチで突出形成されたネジフシを備えたネジフシ棒鋼に、請求項1から20のいずれかに記載の螺着体を螺着した螺着結合体。
【請求項22】
請求項21に記載の螺着結合体において、
前記ネジフシ棒鋼は、棒鋼本体の横断面が平坦面に形成された第1対辺と円弧状の弧面に形成された第2対辺とにより形成され、前記第2対辺の表面に前記ネジフシが形成され、前記第1対辺の一方の平坦面又は両方の平坦面と前記ネジフシ棒鋼に螺着される前記螺着体本体部の内周面との間に形成される第1対辺空間に軸方向に沿って係合挿入されて、前記ネジフシ棒鋼と前記螺着体との軸回り方向に沿った相対回転を阻止する回り止め部材を有することを特徴とする螺着結合体。
【請求項23】
請求項21に記載の螺着結合体において、
前記ネジフシ棒鋼に、請求項1から20のいずれかに記載の螺着体を一次螺着体として螺着し、さらに、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、12、13、14、15、16、17、18、19または20のいずれかに記載の螺着体を二次螺着体として螺着して2重螺着体構成とし、前記二次螺着体は、前記二次螺着体のアーム部と前記一次螺着体のアーム部とが互いに係合する向きに螺着していることを特徴とする螺着結合体。
【請求項24】
棒鋼本体の表面に螺旋状の節が所定ピッチで突出形成されたネジフシを備えたネジフシ棒鋼と、被外装螺着体とする前記ネジフシ棒鋼に螺着した請求項12から15のいずれかに記載の螺着体と、前記被外装螺着体の外周部に螺入して螺着する外装螺着体とを有し、前記外装螺着体は、線材を螺旋状に複数巻きに巻回し、内周部に隣接する前記線材間により前記ネジフシと螺合する螺旋状の螺旋隙間を形成したことを特徴とする螺着結合体。
【請求項25】
棒鋼本体の表面に螺旋状の節が所定ピッチで突出形成されたネジフシを備えたネジフシ棒鋼と、
線材を螺旋状に複数巻きに巻回し、隣接する前記線材間に前記ネジフシと螺合する螺旋状の螺旋隙間が形成されると共に、両端をオープンエンドとして前記ネジフシ棒鋼に螺着した副螺着体と、
線材を螺旋状に複数巻きに巻回し、隣接する前記線材間に前記副螺着体の線材と螺合する螺旋状の螺旋隙間が形成されると共に、少なくとも一端をオープンエンドとして前記副螺着体の外周部に螺着した主螺着体本体部と、前記主螺着体本体部の両端又は一端の延出基端から延出され、前記主螺着体本体部の外周から外方に延びるアーム部を含む主螺着体と、を有し、
前記副螺着体は、内径が前記棒鋼本体の直径よりも大径で、前記ネジフシ直径よりも小径とし、前記ネジフシに対して軸方向に遊びを有することを特徴とする螺着結合体。
【請求項26】
請求項25に記載の螺着結合体において、
前記副螺着体と前記主螺着体は、線材の線径を同径としたことを特徴とする螺着結合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材を螺旋状に巻回して筒形状とした外形形状の螺着体を異形鉄筋の一形態であるネジフシ棒鋼に螺着する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造等に使用される異形鉄筋には、断面を楕円等の非真円形状とした棒鋼本体の外周面に雄ネジ部である螺旋状のフシ(節)を形成した棒鋼で、ネジフシ棒鋼と称される土木建築用の資材がある(図2参照)。ネジフシ棒鋼の螺旋状のネジフシは、コンクリートへの付着力、定着力を高める効果を有している(特許文献1)。
【0003】
螺旋状のネジフシは、機械装置等に用いられるJIS規格、ISO規格の一般的なボルトのネジ部とは構造が大きく異なり、ピッチも大きいことから、市販されている一般的な六角ナット等のナット部材を使用することができない。特許文献1には、角筒形状の筒体の内径部にネジフシ棒鋼のネジフシに噛み合う雌ねじ部を形成した専用のナット部材である異形鉄筋用継手としての継手金物が開示されており、継手金物は、筒体を鋳造により製作している。
【0004】
継手金物は、筒体を鋳造するための中子の製作を容易とし、また雌ねじ部の強度向上を図るために、雌ねじ部と雄ネジ部であるネジフシとがある程度の遊びを持って噛み合っている。
【0005】
また、特許文献2,3には、角筒形状の角筒部の一端にフランジ部を一体的に形成した六角ナット状の定着金物が開示されている。
【0006】
特許文献1~3に開示されている継手金物、定着金物をネジフシ棒鋼に螺入した後、継手金物定着金物とネジフシ棒鋼との間にセメント等のグラウトを注入し、両者を固定する。
【0007】
特許文献1~3に開示の継手金物と定着金物は、鉄筋コンクリート造り、鉄骨鉄筋コンクリート造りの建造物における梁や柱の主筋として用いられるネジフシ棒鋼に螺合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-154164号公報
【特許文献2】特許第2662150号公報
【特許文献3】特許第2780645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ネジフシ棒鋼自体を梁や柱の主筋といった高強度を要求されない用途に使用する場合、あるいはネジフシ棒鋼自体が高強度を要求される用途であっても、螺合する金物自体が高強度を要求されない用途の場合、ネジフシ棒鋼に螺入されて装着される金物である螺着体を鋳造品とすることは強度等の点からオーバースペックであり、価格の点からも不経済である。
【0010】
また、ネジフシ棒鋼に螺着される従来の螺着体は鋳造品のために筒形状が基本形状となり、形状のバリエーションが非常に狭く、用途が限定されていた。
【0011】
さらに、ネジフシ棒鋼に装着する従来の金物である螺着体は、コンクリートに埋設されるため、再利用という概念がない。
【0012】
本発明の目的は、ネジフシ棒鋼に対して螺着でき、製作が容易で種々の形状が得られ、螺着位置の変更を可能とする螺着体、および螺着体をネジフシ棒鋼に螺着した螺着結合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的を実現する第1発明の螺着体は、棒鋼本体の表面に螺旋状の節が所定ピッチで突出形成されたネジフシを備えたネジフシ棒鋼に螺着される螺着体であって、線材を螺旋状に巻回し、隣接する前記線材間に前記ネジフシと螺合する螺旋状の螺旋隙間を形成した螺着体本体部と、前記螺着体本体部の一端側の延出基端から延出されるアーム部であって、前記螺着体本体部の外周から外方に延びる第1アーム部と、前記螺着体本体部の他端側の延出基端から延出されるアーム部であって、前記螺着体本体部の外周から外方に延びる第2アーム部と、を有し、前記螺着体本体部は、内径が前記棒鋼本体の直径よりも大径で、前記ネジフシ直径よりも小径とし、前記ネジフシに対して軸方向に遊びを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の目的を実現する第2発明の螺着体は、第1発明の螺着体において、前記螺着体本体部から前記第1アーム部と前記第2アーム部がそれぞれ延出される延出基端は、前記螺着体本体部の軸方向を中心とする軸回り方向の角度において、略同じ角度位置または前記軸方向中心位置を挟んで略反対の角度位置とすることができる。
【0015】
本発明の目的を実現する第3発明の螺着体は、第1または第2発明の螺着体において、前記第1アーム部と前記第2アーム部は、前記螺着体本体部の延出基端側のリード角に沿って延出し、直線状に形成された構成とすることができる。
【0016】
本発明の目的を実現する第4発明の螺着体は、第1または第2発明の螺着体において、前記第1アーム部と前記第2アーム部は、前記螺着体本体部の延出基端側のリード角に沿って延出し、前記螺着体本体部側を凹面側として湾曲した曲線状に形成することができる。
【0017】
本発明の目的を実現する第5発明の螺着体は、第1から第4発明のいずれかの螺着体において、前記螺着体本体部は、前記線材を複数巻きに巻回した構成とすることができる。
【0018】
本発明の目的を実現する第6発明は、第5発明の螺着体において、前記螺着体本体部は、巻き始端または巻き終端の第1巻き線部と、前記第1巻き線部と隣接する第2巻き線部が前記ネジフシの節の両側で密着する間隔に形成され、前記第1巻き線部と前記第2巻き線部以外の巻き線部の間隔は、前記ネジフシの節に遊びを含んだ長さに設定することができる。
【0019】
本発明の目的を実現する第7発明は、第1から第4発明の螺着体のいずれかにおいて、前記螺着体本体部は、前記線材を1巻きに巻回した構成とすることができる。
【0020】
本発明の目的を実現する第8発明の螺着体は、第1から第7発明の螺着体のいずれかにおいて、前記第1アーム部と前記第2アーム部は長さが異なる構成とすることができる。
【0021】
本発明の目的を実現する第9発明の螺着体は、第1、2、5、6、7または8のいずれかの螺着体において、前記第1アーム部と前記第2アーム部は、それぞれ前記延出基端側から径方向外方に向けて延びる基部側線材部から前記螺着体本体部の軸方向一方に向けて延びる先端部側線材部をそれぞれ有し、前記各先端部側線材部は、前記各先端部側線材部の先端に向かうに従って前記螺着体本体部の中心軸との距離が拡がる先拡がり形状、または前記螺着体本体部の軸方向と平行に形成する構成とすることができる。
【0022】
本発明の目的を実現する第10発明の螺着体は、第1から8の発明の螺着体のいずれかにおいて、前記第1アーム部と前記第2アーム部は、前記第1アーム部先端および前記第2アーム部先端からそれぞれ延びる線材により螺旋状に巻回した筒状の第1連結部と第2連結部を備えた構成とすることができる。
【0023】
本発明の目的を実現する第11発明の螺着体は、第10発明の螺着体において、前記第1連結部の軸方向と前記第2連結部の軸方向は、前記螺着体本体部の軸方向と平行または直交した構成とすることができる。
【0024】
本発明の目的を実現する第12発明の螺着体は、棒鋼本体の表面に螺旋状の節が第1ピッチで突出形成されたネジフシを備えたネジフシ棒鋼に螺着される螺着体であって、線材を螺旋状に巻回し、内周部に隣接する前記線材間により前記ネジフシと螺合する螺旋状の螺旋隙間を形成した螺着体本体部と、前記螺着体本体部の一端側の延出基端から延出されるアーム部であって、前記螺着体本体部の外周から外方に延びる第3アーム部と、を有し、前記螺着体本体部は、内径が前記棒鋼本体の直径よりも大径で、前記ネジフシ直径よりも小径とし、前記ネジフシに対して軸方向に遊びを有する構成とすることができる。
【0025】
本発明の目的を実現する第13発明の螺着体は、第12発明の螺着体において、前記第3アーム部は、前記螺着体本体部の延出基端側のリード角に沿って延出し、直線状に形成する構成とすることができる。
【0026】
本発明の目的を実現する第14発明の螺着体は、第12発明の螺着体において、前記第3アーム部は、前記螺着体本体部の延出基端側のリード角に沿って延出し、前記螺着体本体部側を凹面側として湾曲した曲線状に形成した構成とすることができる。
【0027】
本発明の目的を実現する第15発明の螺着体は、第12から14の発明のいずれかの螺着体において、前記螺着体本体部は、前記線材を複数巻きに巻回した構成とすることができる。
【0028】
本発明の目的を実現する第16発明の螺着体は、第15発明の螺着体において、前記螺着体本体部は、巻き始端または巻き終端の第1巻き線部と、前記第1巻き線部と隣接する第2巻き線部が前記ネジフシの節の両側で密着する間隔に形成され、前記第1巻き線部と前記第2巻き線部以外の巻き線部の間隔は、前記ネジフシの節に遊びを含んだ長さに設定した構成とすることができる。
【0029】
本発明の目的を実現する第17発明の螺着体は、第12から14の発明のいずれかの螺着体において、前記螺着体本体部は、前記線材を1巻きに巻回した構成とすることができる。
【0030】
本発明の目的を実現する第18発明の螺着体は、第12、15、16または17のいずれかの発明の螺着体において、前記第3アーム部は、前記螺着体本体部の一端側の延出基端側から径方向外方に向けて延びる基部側線材部から前記螺着体本体部の他端側に向けて延びる先端部側線材部を有し、前記先端部側線材部は、前記先端部側線材部の先端に向かうに従って前記螺着体本体部の中心軸心との距離が拡がる先拡がり形状に形成した構成とすることができる。
【0031】
本発明の目的を実現する第19発明の螺着体は、第12から17の発明のいずれかの螺着体において、前記第3アーム部は、前記第3アーム部先端からそれぞれ延びる線材により螺旋状に巻回した筒状の第3連結部を備えた構成とすることができる。
【0032】
本発明の目的を実現する第20発明の螺着体は、第19発明の螺着体において、前記第3連結部の軸方向は、前記螺着体本体部の軸方向と平行または直交した構成とすることができる。
【0033】
本発明の目的を実現する第21発明の螺着結合体は、棒鋼本体の表面に螺旋状の節が第1ピッチで突出形成されたネジフシを備えたネジフシ棒鋼に、第1から20のいずれかの発明の螺着体を螺着した構成とすることができる。
【0034】
本発明の目的を実現する第22発明の螺着結合体は、第21発明の螺着結合体において、前記ネジフシ棒鋼は、棒鋼本体の横断面が平坦面に形成された第1対辺と円弧状の弧面に形成された第2対辺とにより形成され、前記第2対辺の表面に前記ネジフシが形成され、前記第1対辺の一方の平坦面又は両方の平坦面と前記ネジフシ棒鋼に螺着される前記螺着体本体部の内周面との間に形成される第1対辺空間に軸方向に沿って係合挿入されて、前記ネジフシ棒鋼と前記螺着体との軸回り方向に沿った相対回転を阻止する回り止め部材を有する構成とすることができる。
【0035】
本発明の目的を実現する第23発明の螺着結合体は、第21発明の螺着結合体において、前記ネジフシ棒鋼に、第1から20のいずれかの螺着体を一次螺着体として螺着し、さらに、第1、2、3、4、5、6、7、8、12、13、14、15、16、17、18、19または20のいずれかの螺着体を二次螺着体として螺着して2重螺着体構成とし、前記二次螺着体は、前記二次螺着体のアーム部と前記一次螺着体のアーム部とが互いに係合する向きに螺着した構成とすることができる。
【0036】
本発明の目的を実現する第24発明の螺着結合体は、棒鋼本体の表面に螺旋状の節が所定ピッチで突出形成されたネジフシを備えたネジフシ棒鋼と、被外装螺着体とする前記ネジフシ棒鋼に螺着した請求項12から15のいずれかに記載の螺着体と、前記被外装螺着体の外周部に螺入して螺着する外装螺着体とを有し、前記外装螺着体は、線材を螺旋状に複数巻きに巻回し、内周部に隣接する前記線材間により前記ネジフシと螺合する螺旋状の螺旋隙間を形成した構成とすることができる。
【0037】
本発明の目的を実現する第25発明の螺着結合体は、棒鋼本体の表面に螺旋状の節が所定ピッチで突出形成されたネジフシを備えたネジフシ棒鋼と、線材を螺旋状に複数巻きに巻回し、隣接する前記線材間に前記ネジフシと螺合する螺旋状の螺旋隙間が形成されると共に、両端をオープンエンドとして前記ネジフシ棒鋼に螺着した副螺着体と、線材を螺旋状に複数巻きに巻回し、隣接する前記線材間に前記副螺着体の線材と螺合する螺旋状の螺旋隙間が形成されると共に、少なくとも一端をオープンエンドとして前記副螺着体の外周部に螺着した主螺着体本体部と、前記主螺着体本体部の両端又は一端の延出基端から延出され、前記主螺着体本体部の外周から外方に延びるアーム部を含む主螺着体と、を有し、前記副螺着体は、内径が前記棒鋼本体の直径よりも大径で、前記ネジフシ直径よりも小径とし、前記ネジフシに対して軸方向に遊びを有する構成とすることができる。
【0038】
本発明の目的を実現する第26発明の構成は、第25発明の螺着体結合体において、前記副螺着体と前記主螺着体は、線材の線径を同径とすることができる。
【発明の効果】
【0039】
第1発明によれば、線材を螺旋状に巻回するという簡単な構成でネジフシ棒鋼に螺着する螺着体を提供することができる。螺着体はアーム部を手で持って回すことで工具を使うことなくネジフシ棒鋼に手締めで螺着することができる。螺着体本体部は径方向と軸方向に遊びを有するため、螺着体は例えばネジフシ棒鋼の端面部が傷んでいてもネジフシ棒鋼に螺入することができる。
【0040】
螺着体は、螺着体本体部から延出する線材でアーム部が形成されるので、使用目的によって種々の形状を容易に得ることができる。
【0041】
第2発明によれば、第1アーム部と第2アーム部の長さの和を最大限利用することができ、また手締めの際に握りやすい。
【0042】
第3発明によれば、第1アーム部と第2アーム部がネジフシ棒鋼の節を挟み込む噛みつきを防止でき、螺着体がスムーズにネジフシ棒鋼に螺入可能となる。また、第1アーム部と第2アーム部は直線状としているので、ロープなどを結んだりする手段として利用することができる。
【0043】
第4発明によれば、第3発明と同様に螺着体をスムーズにネジフシ棒鋼に螺入可能となる。また、凹面側と反対側の凸面側を人が通る側にしてネジフシ棒鋼に螺着することで、第1アーム部と第2アーム部の先端が人に向かず、安全性に優れている。
【0044】
第5発明によれば、螺着体本体部の軸方向における第1アーム部と第2アーム部の必要とする間隔に合わせて巻き数の増減を図ることができる。また、螺着体本体部の軸方向における外力に応じて巻き数の増減が図れる。
【0045】
第6発明、第16発明によれば、螺着体がネジフシ棒鋼に螺着する際、ネジフシの節に軽く密着する状態から強く密着する状態によって、ネジフシ棒鋼に螺着体を少し強めに手締めして所望位置まで螺着体を螺進し、手締めの開放でその位置に回転不能に螺着させることができる。また強めに密着させると、ネジフシ棒鋼の端部に螺着体を固定させることができる。
【0046】
第7発明、第17発明によれば、力や荷重が差ほど加わらない場所での使用に適している。
【0047】
第8発明によれば、例えば螺着体に係合する部材の孔部の内径を第1アーム部が通過するが第2アーム部が非通過とすることで、螺着部材に前記部材を簡単に保持させることができる。
【0048】
第9発明によれば、第1アーム部と第2アーム部をフックや抜け防止部材として使用できる。
【0049】
第10、第11発明によれば、第1アーム部と第2アーム部の連結部にネジフシ棒鋼を螺着できるので、使用範囲が広がる。
【0050】
第12発明によれば、第1発明と同様の効果を有し、特に1つの第3アーム部を有するため、ネジフシ棒鋼に螺着体を螺着する際、他にアーム部がないので、第3アーム部を必要な高さと向きに正確に螺着することができる。
【0051】
第13発明によれば、螺着体をスムーズに螺入可能となり、第3アーム部は直線状としているので、ロープなどを結んだりする手段として利用することができる。
【0052】
第14発明によれば、第4発明と同様に、螺着体をスムーズにネジフシ棒鋼に螺入可能となる。また、凹面側と反対側の凸面側を人が通る側にしてネジフシ棒鋼に螺着することで、第3アーム部の先端が人に向かず、安全性に優れている。
【0053】
第15発明によれば、螺着体本体部の軸方向における外力に応じて巻き数の増減が図れる。
【0054】
第18発明によれば、第3アーム部をフックや抜け防止部材として用いることができる。
【0055】
第19発明、第20発明によれば、第3アーム部の連結部にネジフシ棒鋼を螺着できるので、使用範囲が広がる。
【0056】
第21発明によれば、ネジフシ棒鋼に螺着体を螺着した螺着結合体を安価に提供でき、使い勝手が良く、種々の分野に使用することが可能となった。
【0057】
第22発明によれば、螺着体をネジフシ棒鋼の軸方向の任意の位置に螺着させ、しかも回転不能に固定することができ、さらに回り止め部材を抜けば螺着体の螺着位置を変更することができる。
【0058】
第23発明によれば、二重螺着構造で、ネジフシ棒鋼の軸方向における任意の位置に一次螺着体を固定でき、また固定の解除を行える。
【0059】
第24発明によれば、外装螺着体により被外装螺着体の強度を向上させることができる。
【0060】
第25発明によれば、例えば小径のネジフシ棒鋼に副螺着体を介して大径の主螺着体をネジフシ棒鋼に螺着させることができる。
【0061】
第26発明によれば、小径のネジフシ棒鋼に対して大径の外径を有する主螺着体本体部を螺着する場合、主螺着体本体部の線材の線径を小径のネジフシ棒鋼に対応した副螺着体の線径と同径にすれば良く、主螺着体の重量を大幅に軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】本発明の第1実施形態の螺着結合体示し、(a)は螺着結合体の正面図、(b)は(a)のA矢視図、(c)は(a)のB矢視図である。
図2図1に示すネジフシ棒鋼を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のC矢視図である。
図3図1に示す螺着体を示し、(a)は螺着体の正面図、(b)は(a)のD矢視図である。
図4】本発明の第2実施形態の螺着結合体を示し、(a)は螺着結合体の正面図、(b)は(a)のE矢視図、(b)は(a)のF矢視図である。
図5図4に示す回り止め部材を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のG矢視図、(c)は(a)に示す回り止め部材の変形例を示す正面図である。
図6】本発明の第3実施形態の螺着体を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のH矢視図、(c)は(a)のI矢視図である。
図7】本発明の第4実施形態の螺着体を示す正面図である。
図8】(a)は本発明の第5実施形態の螺着体を示し、(b)は(a)の螺着体を回り止め手段として図1に示す螺着結合体に螺着した状態を示す図である。
図9】本発明の第6実施形態の螺着体を示す正面図である。
図10】本発明の第7実施形態の螺着体を示し、(a)は螺着体の正面図、(b)は(a)のJ矢視図である。
図11】本発明の第8実施形態の螺着体を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のK矢視図、(c)は(a)の上面図である。
図12】第8実施形態の第1変形例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のL矢視図、(c)は(a)のM矢視図である。
図13】第8実施形態の第2変形例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のN矢視図、(c)は(a)のO矢視図である。
図14】第8実施形態の第3変形例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のP矢視図、(c)は(a)のQ矢視図である。
図15】本発明の第9実施形態の螺着体を示す斜視図である。
図16】本発明の第10実施形態の螺着体を示す斜視図である。
図17】本発明の第11実施形態を示し、(a)は外装螺着体の正面図、(b)被外装螺着体である第7螺着体の正面図、(c)はネジフシ棒鋼に螺着する第7螺着体に外装螺着体を螺着した螺着結合体の正面図である。
図18】本発明の第12実施形態の螺着結合体を示す正面図である。
図19】第8実施形態の第2変形例の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
第1実施形態
【0064】
図1から図3は本発明の第1実施形態を示す。
【0065】
図1は、螺着結合体1を示す。螺着結合体1は、ネジフシ棒鋼10と、ネジフシ棒鋼10に螺入する第1螺着体20Aにより構成される。
【0066】
ネジフシ棒鋼10は、JIS G3112・2020に規定されており、図2に示すように、直径D1の棒鋼本体11の外周面にフシ(節)12を第1ピッチP1で螺旋状に右ネジ回りに形成している。棒鋼本体11は、横断面で見て、側面が平坦面に形成された対向する第1対辺13および第2対辺14と、第1対辺13および第2対辺14に連設する同一半径の円弧状の弧面に形成された対向する第3対辺15および第4対辺16とにより形成されている。ネジフシ棒鋼10は、第3対辺15と第4対辺16の表面に螺旋状のフシ12を第1ピッチP1で突出形成したネジフシ17を形成している。
【0067】
ネジフシ棒鋼10は、棒鋼本体11の対向する第1対辺13と第2対辺14間の厚みをB、幅をTとし、フシ12の外周端であるフシ外径をD2とする。一例として、呼び名D13のネジフシ棒鋼10において、直径D1は12.0mm、フシ外径D2は14.0mm、隙間Tの和は6.2mm(隙間T=3.1mm)、フシ12の第1ピッチP1は7.0mm、フシ12の高さHは1.00mmである。
【0068】
第1螺着体20Aは、図3に示すように、円形断面の線材Wを右回り方向に複数回の巻き数(N)で螺旋状に隙間を有して巻回し、円形の内周部21を形成した円筒状の第1螺着体本体部30Aと、第1螺着体本体部30Aの一端側端末の第1端末線材W1から延出する第1アーム部40Aと、第1螺着体本体部30Aの他端側端末の第2端末線材W2から延出する第2アーム部40Bにより構成される。線材Wとしては、軟線、鋼線(ステンレス鋼線、亜鉛メッキ鋼線、亜鉛アルミメッキ鋼線等)が使用される。
【0069】
図3に示すように、第1螺着体本体部30Aは、巻き数(N)を6とし、図3(a)において左端から右端に向かって1巻き目(第1巻き目)22a、2巻き目(第2巻き目)22b、3巻き目(第3巻き目)22c、4巻き目(第4巻き目)22d、5巻き目(第5巻き目)22e、6巻き目(第6巻き目)22fとする。なお、本発明において、巻き数(N)は、本実施形態の6巻きに限定されるものではなく、例えば4巻きであっても良く、1,2,3,4のような自然数でもよく、3巻きと半ピッチ分の巻き数のように、自然数の巻き数でなくても良い。
【0070】
第1螺着体本体部30Aの第1巻き目22aから第6巻き目22fの間隔(ピッチ)は、全て等しい等ピッチに形成しており、ネジフシ17の第1ピッチP1と同じ値あるいは若干大きい値の第2ピッチP2としている。第1螺着体本体部30Aの両端は、第1端末線材W1と第2端末線材W2を第2ピッチP2で巻回することにより端末の第1巻き目22aと第6巻き目22fを開放した形態(以下、開放端と称す)としている。
【0071】
第1螺着体20Aは、ネジフシ棒鋼10の端から螺入される。第1螺着体本体部30Aの内径をD3、外径をD4、線材Wの線径をdとする。内径D3は、ネジフシ棒鋼10の棒鋼本体11の直径D1よりも大きく、フシ外径D2よりも小さい値としている(D1<D3<D2)。螺着体20の線材Wの線径dは、第1ピッチP1よりも小さい値とし、各巻き目が隣接する線材同士が接触する密巻きとならないようにしている。ネジフシ棒鋼10の節12は、横断面が台形形状に形成されているため、第1螺着体本体部30Aの内径を大きくすると第1螺着体本体部30Aの内周面側の線材Wと節12の間に隙間が生じる。また線材Wの線径dを小さくすれば線材Wと節12との間の隙間はより拡がる。本実施形態において、第1螺着体本体部30Aは、ネジフシ棒鋼10に対して径方向および軸方向に遊びを有するように線径dを設定している。
【0072】
第1螺着体本体部30Aの第2ピッチP2をネジフシ17の第1ピッチP1と等ピッチとしても、線径dの設定で第1螺着体本体部30Aはネジフシ棒鋼10に対して径方向および軸方向に遊びを設けることができる。遊びの存在で第1螺着体20Aは、手で直接第1螺着体20Aを回してネジフシ棒鋼10のネジフシ17にスムーズに螺合させることができる。
【0073】
ネジフシ棒鋼10を例えば地中に打ち込んで支柱として使用する場合、ネジフシ棒鋼10の上端をハンマー等で叩くと、第1螺着体本体部30Aの上端が少し変形する。また長尺のネジフシ棒鋼を支柱として適当な長さに切断して使用する場合には切り口にバリが残る。このような変形、バリが存在すると、第1螺着体本体部30Aの螺入に障害となる。しかし、第1螺着体本体部30Aがネジフシ棒鋼10に対して径方向および軸方向に遊びを有するため、ネジフシ棒鋼の上端に変形、バリなどあっても、第1螺着体本体部30Aの螺入が可能となる。
【0074】
また、棒鋼本体11のネジフシ17のピッチP1に対し、第1螺着体本体部30AのピッチP2を若干大きくしても、巻き数(N)を4巻程度と少なくすれば、ピッチP2とピッチP1の差を第1螺着体本体部30Aがネジフシ17に対する軸方向の遊びにより吸収することができる。
【0075】
第1アーム部40Aが第1螺着体本体部30Aの第1端末線材W1から延出する延出部を第1延出基端23aとし、第2アーム部40Bが第1螺着体本体部30Aの第2端末線材W2から延出する延出部を第2延出基端23bとする。第1螺着体本体部30Aがネジフシ棒鋼10に対して1回転したときに軸方向に進む距離であるリードは、第2ピッチと等しく、リードに対する第1螺着体本体部30Aが1回転分の長さが作る角度をリード角(θ)とする。本実施形態において、第1螺着体本体部30Aの端末線材と隣接する線材とがリード角(θ)を維持し、その間に形成される螺旋状の螺旋隙間が開いている形状をなしており、これはオープンエンドと称される。なお、閉じている形状をクローズドエンドと称される。
【0076】
本実施形態において、第1アーム部40Aと第2アーム部40Bはリード角θで直線状に接線方向に沿って形成されている。図3(b)に示すように、第1アーム部40Aの第1延出基端23aと、第2アーム部40Bの第2延出基端23bの位置は、第1螺着体本体部30Aの軸心Oを中心とする軸回り角度において、略同じ角度位置に設けている。したがって、第1アーム部40Aと第2アーム部40Bは、第1螺着体本体部30Aを軸方向に見て同じ角度位置から互いに相反する方向に延出する。このため、第1アーム部40Aと第2アーム部40Bの長さの和の長で直線状のアーム部が見かけ上設けられる。
【0077】
本実施形態において、第1アーム部40Aと第2アーム部40Bの長さは、同じ長さとしているが異なる長さとしても良い。
【0078】
本実施形態の螺着結合体1によれば、例えば、土木工事、建築工事、山腹保全工事等において、例えばネジフシ棒鋼10を上下方向に配置し、下端部を固定し、上端を自由端とする。ネジフシ棒鋼10の自由端から例えば第2アーム部40Bを下側にして第1螺着体20Aを螺入する。その際、第1アーム部40Aまたは第2アーム部40Bを手で掴み、あるいは手の指に引っ掛けて第1螺着体20Aを回すと、第1螺着体20Aは螺進する。第1アーム部40A、第2アーム部40Bから手を離すと第1螺着体20Aは当該位置に螺着する。例えば第1アーム部40Aまたは第2アーム部40Bを地面等から所定位置の高さに設定し、工事用の部材を第1アーム部40A、第2アーム部40Bに取り付けることができる。また、第1螺着体20Aをネジフシ棒鋼10に螺入する前に、例えばワイヤーロープが取り付けられた筒状部材をネジフシ棒鋼10に装入する。そして、第1螺着体20Aをネジフシ棒鋼10に螺着する。第1アーム部40Aの長さと第2アーム部40Bの長さの和を前記筒状部材の内径をよりも長くすることで、前記筒状部材の抜け止めとして機能する。また、第1螺着体20Aをネジフシ棒鋼10の所定位置に螺着後、第1アーム部40A、第2アーム部40Bを手により回して螺着位置を変更、または取り外しを行える。なお、このような用途は一例であり、本発明の螺着体、螺着結合体の用途が限定されるものではない。
【0079】
本実施形態において、第1螺着体20Aがネジフシ棒鋼10に対して径方向および軸方向に遊びを持たせている理由としては、螺着体20をネジフシ棒鋼10に対して軽い力で螺合できるようにすること、第1螺着体20Aの製作誤差を吸収可能とすること等を例示できる。
【0080】
また、第1螺着体20Aがネジフシ棒鋼10に対して径方向および軸方向に遊びが存在することにより、第1螺着体20Aをネジフシ棒鋼10に螺着した状態において、例えば第1アーム部40Aに軸方向の力を加えると、第1螺着体20Aはネジフシ棒鋼10に対して傾斜し、ネジフシ17の節12に第1螺着体本体部30Aの内周面側の線材Wが当接し、強制的に螺着体20の回転が阻止される。
第2実施形態
【0081】
図4および図5は第2実施形態を示す。
【0082】
第2実施形態に示す螺着結合体2において、第1実施形態の螺着結合体1と異なる点は、螺着体本体20Aの内周と、ネジフシ棒鋼10の外周の間に回り止め部材50を差し込んだ点である。第1螺着体20Aがネジフシ棒鋼10に螺着した状態で、第1螺着体20Aを手で回さなければ螺進しない。本実施形態では、第1螺着体20Aの螺進を強制的に阻止するために、回り止め部材50を用いる。
【0083】
図4に示す第2実施形態の螺着結合体2は、第1実施形態と同一構成のネジフシ棒鋼10と第1螺着体20Aと、新たに加えた回り止め部材50により構成している。なお、第2実施形態において、図1から図3に示す部材と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0084】
ネジフシ棒鋼10に第1螺着体20Aを螺着した状態において、第1螺着体本体部30Aの内周面と、第1対辺13と第2対辺14の表面との間にそれぞれ第1空間S1と第2空間S2が形成される。第1空間S1と第2空間S2は、第1対辺13、第2対辺14の各平坦面を底部とし、第1螺着体本体部30Aを構成する弧状の線材Wの外周縁を弧部とする略D字形状の空間に形成されている。
【0085】
第2実施形態において、回り止め部材50は第2空間S2に差し込んでいる。なお、回り止め部材50は、第1空間S1に差し込んでも良く、また双方の空間S1,S2に差し込んでも良い。回り止め部材50が第2空間S2に差し込まれるとは、回り止め部材50が係合状態に挿入されることをいう。回り止め部材50は、第2空間S2内において、螺着体2に回転力を付与すると、第2対辺14と第1螺着体本体部30Aの内周部の線材Wの外周縁との間に噛み込まれ、螺着体2の回転が阻止される。
【0086】
回り止め部材50は、第1空間S1、第2空間S2に挿入できる部材であれば良く、例えば薄板状、断面円柱形状、断面角柱形状の部材を例示することができる。本実施形態の回り止め部材50は、図5(a)(b)に示すように、薄板の金属板により平面略U字形状に形成された差し込み板51と、差し込み板51の根元部に一体に形成された円筒状に形成された突出部52により構成される。差し込み板51は、U字溝53を挟んで両側に設けられている一対の差し込み脚部54が第1空間S1、第2空間S2の底部側に差し込まれる。一対の差し込み脚部54がネジフシ棒鋼10の節12と第1螺着体本体部30Aの内周部の線材Wの外周縁との間に噛み込まれる。回り止め部材50の差し込みは、突出部52を手で摘まんで差し込み板51を第2空間S2に差し込む。また、突出部52を指またはペンチ等で摘まみ、差し込み板51を引き抜くことで回り止め部材50を第2空間S2から取り外すことができる。
【0087】
なお、図5(c)に示すように、回り止め部材50は、差し込み板51のみの構成としても良い。また、回り止め部材の他の構成としては、ネジフシ棒鋼10に巻き付ける接着テープ、例えばビニールテープ、金属シートテープであっても良い。接着テープは、第1螺着体20Aをネジフシ棒鋼10に対して固定する位置に貼り付ける。第1螺着体本体部30Aは、ネジフシ棒鋼10のネジフシ17に対して径方向および軸方向に遊びを有するため、接着テープを噛みながら螺進する。その際、少し強い力で第1螺着体20Aを回すと螺進し、所定位置で第1螺着体20Aから手を離すと、その位置に第1螺着体20Aが固定される。
第3実施形態
【0088】
図6は第3実施形態を示す。
【0089】
図6は、第2螺着体20Bを示している。なお、第2実施形態において、図1から図3に示す部材と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0090】
第2螺着体20Bは、第1螺着体本体部30Aと巻き数のみが異なる第2螺着体本体部30Bと、第3アーム部40Cと、第4アーム部40Dとにより構成する。第2螺着体本体部30Bの線材Wの巻き数(N)は5巻きとしている。第3アーム部40Cと第4アーム部40Dは、図3に示す第1アーム部40Aと第2アーム部40Bと同様に、第1延出基端23a、第2延出基端23bからリード角θで、図6(b)(c)に示すように、径方向外方に向けて曲率Rで湾曲して延出する。
【0091】
第3アーム部40Cと第4アーム部40Dは、第1実施形態の第1アーム部40Aと第2アーム部40Bと同じく、第1螺着体本体部30Aの軸心Oを中心とする軸回り角度において、略同じ角度位置に設けられている。したがって、第3アーム部40Cと第4アーム部40Dは、第2螺着体本体部30Bを軸方向に見て同じ角度位置から互いに相反する方向に延出する。第3アーム部40Cと第4アーム部40Dの湾曲向きは、第2螺着体本体部30Bの軸心O側を内側にして湾曲する。
【0092】
第3アーム部40Cと第4アーム部40Dは湾曲しているため、フックとしての機能も持たせることができる。また、ネジフシ棒鋼10に第2螺着体20Bを螺着した状態において、作業者等が通る側とは反対側に第3アーム部40Cと第4アーム部40Dを向けるようにすることで、第3アーム部40Cと第4アーム部40Dの先端が作業者に当たるのを防止できる。
第4実施形態
【0093】
図7は第4実施形態を示す。
【0094】
本実施形態において、図3に示す部材と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0095】
図7において、第3螺着体20Cは、第3螺着体本体部30Cの両端に第1アーム部40Aと同じ構成の第5アーム部40Eと、第2アーム部40Bと同じ構成の第6アーム部40Fを設けている。第3螺着体本体部30Cは、線材Wを6巻きに巻回し、1巻き目22aのピッチを第2ピッチP2よりもわずかに小さい値の第3ピッチP3としている。第3ピッチP3で形成される1巻き目22aの線材24a、24b間に隙間S3を形成する。図2に示すネジフシ棒鋼10の節12の幅方向両側は、隙間S3の両側に位置する線材24aと線材24bに密着する。したがって、第3螺着体20Cを第6アーム部40E側からネジフシ棒鋼10に螺入し、1巻き目22aがネジフシ17に螺入すると、隙間S3に節12が挟まり、第3螺着体20Cの螺進がストップし、回転が阻止される。このため、第3螺着体20Cはネジフシ棒鋼10の一端部に固定される。
【0096】
また、第3ピッチP3の値を調整することにより、隙間S3において強い力で節12を挟持することから弱い力で節12を挟持する挟持力を調整することができる。このため、隙間S3の挟持力を弱くすれば、第3螺着体20Cを少し強い力で回しながらネジフシ棒鋼10の任意の位置に螺進させ、ある程度の挟持力で螺着させることができる。
第5実施形態
【0097】
図8は第5実施形態を示す。
【0098】
本実施形態において、図3に示す部材と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0099】
図8(a)において、第4螺着体20Dは、第4螺着体本体部30Dの巻き数(N)を1巻きとしている。第4螺着体本体部30Dは、第1螺着体本体部30Aと同様の内径に形成され、両端部から第1アーム部40Aと同じ構成の第7アーム部40Gと、第2アーム部40Bと同じ構成の第8アーム部40Hが延出されている。勿論、第7アーム部40Gと第8アーム部40Hに代えて図6に示す第5アーム部40E、第6アーム部40Fとしても良い。
【0100】
第4螺着体20Dは、第1螺着体20Aと同様の使用方法が例示でき、さらに、例えば第1螺着体20Aと共にネジフシ棒鋼10に螺着し、第1螺着体20Aの回り止め手段として使用することができる。図8(b)において、地面GLに立てたネジフシ棒鋼10に予め第4螺着体20Dを螺着し、第1螺着体20Aを所定の位置まで螺入する。そして、第4螺着体20Dを第1螺着体20Aに向けて螺進し、第4螺着体20Dの第7アーム部40Gを第1螺着体20Aの第2アーム部40Bに絡み合うように係合する。その際、第1螺着体20Aと第4螺着体20Dは、リード角(θ)で延出する第7アーム部40Gと第2アーム部40Bが係合するため、第1螺着体20Aと第4螺着体20Dがネジフシ棒鋼10の軸心に対して互いに傾斜し、第1螺着体20Aと第4螺着体40Dがロックし、ネジフシ棒鋼10に固定される。第4螺着体40Dを逆方向に向けて回転させるとロックが解除され、第1螺着体20Aも螺進可能となる。
【0101】
図8(b)は、第1螺着体20Aを一次螺着体とし、第4螺着体20Dを二次螺着体とする二重螺着体構成とした螺着結合体である。一次螺着体と二次螺着体は図8(b)に示す構成に限定されるものではなく、アーム部を備えた螺着体であれば図6に示す弧状のアーム部であっても良く、螺着体本体部の一端または他端にアーム部を備えた構成であれば良く、線材の巻き数が1巻きであっても複数巻きであっても良い。要するに、一次螺着体と二次螺着体のアーム部同士が絡み合って係合できる構成であれば良い。
第6実施形態
【0102】
図9は第6実施形態を示す。
【0103】
本実施形態において、図3に示す部材と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。図9に示す第5螺着体20Eは、2本のネジフシ棒鋼10を第5螺着体本体部30Eにより連結すると共に、第9アーム部40Iと第10アーム部40Jを第1アーム部30Aと同様に延出している。第5螺着体本体部30Eは、線材Wを巻回して内径D3の円筒形状に形成され、線材WをピッチゼロとするゼロピッチP0の密巻きとした中央巻回部31aと、中央巻回部31aの一端側と連設されるピッチP2で線材Wが巻回される第1巻回部31bと、中央巻回部31aの他端側と連設されるピッチP2で線材Wが巻回される第2巻回部31cとにより構成される。第2巻回部31bの端から第9アーム部40Iが延出し、第3巻回部31cの端から第10アーム部40Jが延出する。
【0104】
第5螺着体20Eは、2本のネジフシ棒鋼10を第1巻回部31bと第2巻回部31cにそれぞれ螺着することにより、2本のネジフシ棒鋼10を直列に連結する。ゼロピッチP0で密巻きに巻回されている中央巻回部31bはネジフシ棒鋼10が捩じ込まれない。中央巻回部31bは弾性力を有するため、例えば連結される一方のネジフシ棒鋼10を地中等に打ち込み、他方のネジフシ棒鋼10を地面から上に支出させる。この場合、他方のネジフシ棒鋼10に強い外力を加えると、中央巻回部31bを支点として任意の向きに他方のネジフシ棒鋼10が倒れるが、前記外力を解放すると他方のネジフシ棒鋼は元の状態に復元する。
【0105】
なお、両方のネジフシ棒鋼10を互いに曲がりなく強固に直列に連結する場合には、例えば図3に示す第1螺着体20Aを用いることができ、第1螺着体本体部30Aの両端部にそれぞれネジフシ棒鋼10を螺合させ、双方のネジフシ棒鋼10の対向する端面同士が当接するまで螺進させる。
第7実施形態
【0106】
図10は第7実施形態を示す。
【0107】
図10に示す第6螺着体20Fは、第6螺着体本体部30Fの一端側32にのみ第11アーム部40Kを設けた構成としている。第6螺着体本体部30Fは、第2ピッチP2で線材Wを5巻きに巻回し、他端側33の線材の先端を隣接する線材W3に接触させたクローズドエンドとしている。したがって、5巻き目22eの線材間に形成される隙間S4は閉じられている。したがって、ネジフシ棒鋼10に第11アーム部40K側から第6螺着体20Fを螺入すると、第4巻き目まではスムーズに螺進し、第5巻き目22eがネジフシ棒鋼10の節12に達し、隙間S4に入り込むと、節12が隙間S4を通過できず、第6螺着体20Fが固定される。
【0108】
他端側33の線材をリード角(θ)とすれば、第6螺着体20Fがネジフシ棒鋼10に対して自由に螺進可能となり、任意の位置に螺着される。
第8実施形態
【0109】
図11は第8実施形態を示す。
【0110】
図11に示す第7螺着体20Gは、第7螺着体本体部30Gの一端側33aが巻回されたままの端末として処理され、他端側33bから第12アーム部40Lを延出している。第7螺着体本体部30Gは、線材WをピッチP2で5巻きに巻回し、内径D3の円筒形状に形成される。第12アーム部40Lは、他端部33bの第3延出基端23cを基点として径方向外方に向け、真っ直ぐ延びる短尺の根元部61を有する。根元部61の先端は、第7螺着体本体部30Gの外周よりも外方に達し、根元部61の先端から軸方向に沿って一端側33aに向けて延びる傾斜部62が折曲している。そして、傾斜部62は第7螺着体本体部30Gの一端側に向かうに従って第7螺着体本体部30Gの中心軸との距離が拡がる先拡がり形状に折曲されている。
【0111】
第12アーム部40Lは、根元部61から延びる傾斜部62が釣り針や銛のかえし(バーブ)のような形状をなしており、以下このような形状のアームをバーブ型アームと称す。
【0112】
バーブ型アームの第12アーム部40Lは他端側33bを下側にして、ネジフシ棒鋼10の下端部に螺着し、バーブ型アーム付きの螺着結合体を作成する。バーブ型アーム付きの螺着結合体を例えば、コンクリートを流し込んだ型枠または孔に差し込み、あるいはバーブ型アーム付き螺着結合体をセットした枠や孔にコンクリート流し込む。コンクリートが固まると、この螺着結合体はコンクリートに抜けなく保持される。
【0113】
第8実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例
【0114】
図12は第8実施形態の第1変形例を示す。
【0115】
図11に示す第7螺着体20Gは、第7螺着体本体部30Gの他端側33bにのみバーブ型アームである第12アーム部40Lを設けている。これに対し、第1変形例の第8螺着体20Hは、第8螺着体本体部30Hの一端側33cにバーブ型アームである第13アーム部40Mを設け、他端側33dにバーブ型アームである第14アーム部40Nを設けている。
【0116】
第13アーム部40Mと第14アーム部40Nは、第4延出基端23d、第5延出基端23eからそれぞれ第8螺着体本体部30Gの巻き線のリード角(θ)で接線方向に延出する短尺の根元部63a、63bから折り曲げられて傾斜部64a、64bが同一方向に延びた構成としている。
【0117】
第13アーム部40Mと第14アーム部40Nは、第8螺着体本体部30Gの軸心Oを中心に対称に設けられ、他端側33dから一端側33cに向けて延びている。
【0118】
図13は第8実施形態の第2変形例を示す。
【0119】
図13に示す第9螺着体20Iは、第1変形例の第8螺着体20Hと同様に、第9螺着体本体部30Iの一端側33eと他端側33fからバーブ型アームである第15アーム部40O、第16アーム部40Pを延出している。第2変形例では、図13(b)(c)に示すように、第15アーム部40O、第16アーム部40Pは、第9螺着体本体部30Iの軸心Oを中心とする軸回り方向において、同じ角度位置の第6延出基端23f、第7延出基端23gから延出されている。
【0120】
図14は第8実施形態の第3変形例を示す。
【0121】
図14に示す第10螺着体20Jは、図13に示す第2変形例の第9螺着体20Iと同様に、第10螺着体本体部30Jの一端側33gと他端側33hからはバーブ型アームである第17アーム部40Qと第18アーム部40Rが延出する。第17アーム部40Qと第18アーム部40Rは、図6に示す第3螺着体20Cの第3アーム部40Cと第4アーム部40Dと同様に第10螺着体本体部30Jの軸心O側を内側にして湾曲する。
第9実施形態
【0122】
図15は第9実施形態を示す。
【0123】
第1実施形態から第8実施形態と、第8実施形態の第1変形例から第3変形例は、第1アーム部40A~第18アーム部40Rの先端部は、線材Wが直線や湾曲した形状としている。
【0124】
これに対し、図15に示す第9実施形態の第11螺着体20Kは、アーム部の先端に線材を複数に巻回して筒状とした連結部を設けた構成としている。
【0125】
図15に示す第11螺着体20Kは、第11螺着体本体部30Kの一端側33iから第19アーム部40Sが延出し、他端側33jから第20アーム部40Tが延出する。
【0126】
第11螺着体本体部30Kは、図3に示す第1螺着体本体部30Aと同じ構成と、第2ピッチP2で線材Wを内径D3で複数巻きに巻回している。第19アーム部40Sは例えば第11螺着体本体部30Kと同じ構成の螺着体本体部で構成している。第11螺着体本体部30Kの中心軸線をL1とし、第19アーム部40Sの中心軸線をL2とすると、中心軸線L2は中心軸線L1と平行とし、所定の間隔L3を隔てている。また、第19アーム部40Sは、軸線L2の軸方向において、第11螺着体本体部30Kと前後方向に位置するように、第11螺着体本体部30Kの一端側33jから右巻きに線材Wが巻回される。
【0127】
第20アーム部40Tは、例えば第19アーム部40Sと同様に第11螺着体本体部30Kと同じ構成の螺着体本体部で構成している。第20アーム部40Tの中心軸線をL4とすると、中心軸線L4は、第11螺着体本体部30Kの中心軸線L1と平行とし、所定の間隔L5を隔てている。また、第20アーム部40Tは、軸線L4の軸方向において、第11螺着体本体部30Kと前後方向に位置するように、第19アーム部40Sとは反対側に位置するように、第11螺着体本体部30Kの他端側33kから右巻きに線材Wが巻回される。
【0128】
第11螺着体20Kは、例えば支柱として使用するネジフシ棒鋼10に第11螺着体本体部30Kが螺着した状態で、第19アーム部40Sと第20アーム部40Tに、例えばネジフシ棒鋼10を螺入する。したがって、第11螺着体20Kが螺着する支柱としてのネジフシ棒鋼10の両側に2本のネジフシ棒鋼10を第19アーム部40Sと第20アーム部40Tにより連結することができる。
【0129】
なお、第11螺着体20Kは第19アーム部40Sと第20アーム部40Sの2つのアーム部を備えているが、一方のアーム部のみであっても良い。
第10実施形態
【0130】
図16に示す第12螺着体20Lは、第12螺着体本体部30Lの一端側33kから第21アーム部40Uが延出する。第12螺着体本体部30Lは、図3に示す第1螺着体本体部30Aと同じ構成とし、第2ピッチP2で線材Wを内径D3で複数巻きに巻回している。第21アーム部40Uは例えば第12螺着体本体部30Lと同じ構成の螺着体本体部で構成している。第12螺着体本体部30Lの中心軸線をL6とし、第21アーム部40Uの中心軸線をL7とすると、中心軸線L6は中心軸線L7と直交している。
【0131】
第12螺着体20Lの第12螺着体本体部30Lを例えば支柱としてのネジフシ棒鋼10に螺着し、第21アーム部40Uに連結部材としてのネジフシ棒鋼10を螺着する。したがって、支柱としてのネジフシ棒鋼10は、連結部材としてのネジフシ棒鋼10を水平に支持することができる。
第11実施形態
【0132】
図17は第11実施形態を示す。
【0133】
本実施形態は、図11に示す第7螺着体20Gの第7螺着体本体部30Gの外周部に外装螺着体70を螺着し、第7螺着体20Gの強度を補強するものである。図17(a)に示すように、外装螺着体70は、図17(b)に示す第7螺着体本体部30Gの線材Wと同じ線径dを使用して、第2ピッチP2で螺旋状に巻き数4で巻回しており、両端形状は図17(a)に示すようにオープンエンドとしている。外装螺着体70は内径D5を第7螺着体本体部30Gの外径D4よりも小径とし、直径D6(外径D4-線径d)よりも大径としている。
【0134】
以上のように、図17(b)に示す螺着結合体1は、ネジフシ棒鋼10に螺着する第7螺着体20Gについて、例えば線径が細く、引張強度、曲げ強度等を補強する場合、外装螺着体70を用いることにより、後からの補強が可能となる。図17(c)に示すように、外装螺着体70を第7螺着体本体部30Gの一端側33aから外周部に螺入し、他端側33bまで螺進させて螺着する。外装螺着体70は、第7螺着体本体部30Gに対して螺着される。図17(c)において、外装螺着体70の4巻き目の線材71が第12アーム部40Lの内側に配置される。このため、第12アーム部40Lの傾斜部62が外力により内側に向けて折れ曲がるのを阻止することができる。本実施形態では、外装螺着体70を外装できる螺着体は、一端側又は他端側がオープンエンド形状を有する螺着体本体部に適用される。外装螺着体70は、予め第7螺着体本体部30Gに螺着してもよく、第7螺着体20Gをネジフシ棒鋼10に螺着した後に第7螺着体本体部30Gに螺着してもよい。
第12実施形態
【0135】
図18は第12実施形態を示す。
【0136】
本実施形態は、図3に示す主螺着体である第1螺着体20Aの内径がネジフシ棒鋼10よりも大きい場合、副螺着体80をネジフシ棒鋼10に螺着し、副螺着体80の外周部に主螺着体である第1螺着体20Aの主螺着体本体部である第1螺着体本体部30Aを螺着させる。副螺着体80は、外装螺着体70と同様に、第1螺着体本体部30Aの線材Wと同じ線径dを使用して、第2ピッチP2で螺旋状に巻き数5で巻回しており、両端形状は図18に示すようにオープンエンドとしている。副螺着体80はネジフシ棒鋼10に螺入し、螺着できる内径に形成されている。
【0137】
本実施形態に使用する主螺着体である第1螺着体20Aは、線径dの線材Wを螺旋状に巻き数4、第2ピッチP2で巻回し、内径D7が副螺着体80の外径D8よりも小径とし、直径D9(外径D8-線径d)よりも大径とし、副螺着体80の外周部に螺入して螺着できるようにしている。
【0138】
図1に示す第1実施形態では、直径dの線材Wで形成した第1螺着体20Aを外径D1のネジフシ棒鋼10に螺着させている。この場合、第1螺着体20Aの第1螺着体本体部30Aの外径は、外径D1に線径dの2倍(2d)の値を加えた値(D1+2d)となる。この場合、第1螺着体本体部30Aの外径を大きくするには、線材Wの線径dを略2倍の線径(2d)とすれば良い。
【0139】
しかし、ネジフシ棒鋼10の第1ピッチP1に対して第1螺着体本体部30Aの線径が例えば2倍となると、線径2dが第1ピッチP1を超え、第1螺着体本体部30Aがネジフシ棒鋼10に螺入することができない。また、線径dを2倍にすると、重量が4倍になり、1個の第1螺着体20Aの重量が飛躍的に重くなる。さらに、線径dを例えば5mm、6mmとした場合、2倍の線径である10mm、12mmの線材を入手することは線材の存在の有無等の点で現実的ではなく、このような大径の線材を螺旋状に成形することは製造工程で大きな制約を受ける。
【0140】
これに対し、本実施形態では、副螺着体80の線材Wの線径を第1螺着体本体部30Aに使用する線径dと同径とするだけで、第1螺着体本体部30Aの外径(D10)を大きく(略D1+2d)することができる。また、副螺着体80の長さを第1螺着体20Aと略同じとすることで、副螺着体80と第1螺着体20Aの重量の和を、線径を2倍した場合に比べて略半分とすることができる。
【0141】
第8実施形態の変形例の変形例
【0142】
図19は第8実施形態の変形例の変形例を示している。図13に示す第8実施形態の変形例は、第15アーム部40O、第16アーム部40Pは、第9螺着体本体部30Iの中心軸に対し、第9螺着体本体部30Iの他端側33fから一端側33eに向かうに従って径方向外方に向けて開く傾斜した構成としている。これに対し、図19に示す本変形例の第9螺着体20Iは、第9螺着体本体部30Iの一端側33eから延びる第22アーム部40Vと、他端側33fから延びる第23アーム部40Wを第9螺着体本体部30Iの中心軸と平行で、第9螺着体本体部30Iの外側で、他端側33fから一端側33eに向かう方向に延出している。
【0143】
本変形例によれば、例えばネジフシ棒鋼10に、第22アーム部40Vを下側にして螺着した状態において、第22アーム部40Vと第23アーム部40Wが逆L字形状に第9螺着体本体部30Iから延出される。このため、第9螺着体20Iの下方にワイヤーロープ等のロープの先端部に設けた輪部が第9螺着体本体部30Iの外周面と第22アーム部40V又は第23アーム部40Wの間に入り込むと、前記輪部を上に向けて引っ張っても前記輪部の抜けが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明の螺着体は、ネジフシ棒鋼に螺着されるものであり、ネジフシ棒鋼を用いた鉄筋コンクリートの施工に用いても良く、ネジフシ棒鋼をコンクリート構造物以外の構造物、単なる支柱、柵等として使用する際に用いることができる。
【符号の説明】
【0145】
1、2:螺着結合体 10:ネジフシ棒鋼
11:棒鋼本体 12:フシ(節) 13:第1対辺 14:第2対辺 15:第3対辺 16:第4対辺 17:ネジフシ P1:第1ピッチ P2:第2ピッチ P3:第3ピッチ
20A:第1螺着体 20B:第2螺着体 20C:第3螺着体 20D:第4螺着体 20E:第5螺着体 20F:第6螺着体 20G:第7螺着体 20H:第8螺着体 20I:第9螺着体 20J:第10螺着体 20K:第11螺着体
20L:第12螺着体
30A:第1螺着体本体部 30B:第2螺着体本体部 30C:第3螺着体本体部
30D:第4螺着体本体部 30E:第5螺着体本体部 30F:第6螺着体本体部
30G:第7螺着体本体部 30H:第8螺着体本体部 30I:第9螺着体本体部
30J:第10螺着体本体部 30K:第11螺着体本体部 30L:第12螺着体本体部
40A:第1アーム部 40B:第2アーム部 40C:第3アーム部 40D:第4アーム部 40E:第5アーム部 40F:第6アーム部 40G:第7アーム部 40H:第8アーム部 40I:第9アーム部 40J:第10アーム部
40K:第11アーム部 40L:第12アーム部 40M:第13アーム部 40N:第14アーム部 40O:第15アーム部 40P:第16アーム部 40Q:第17アーム部 40R:第18アーム部 40S:第19アーム部 40T:第20アーム部 40U:第21アーム部 40V:第22アーム部 40W:第23アーム部
W:線材 W1:第1端末線材 W2:第2端末線材 W3:線材 21:内周部
22a:1巻き目(第1巻き目) 22b:2巻き目(第2巻き目)
22c:3巻き目(第3巻き目) 22d:4巻き目(第4巻き目)
22e:5巻き目(第5巻き目) 22f:6巻き目(第6巻き目)
23a:第1延出基端 23b:第2延出基端 23c:第3延出基端
23d:第4延出基端 23e:第5延出基端 23f:第6延出基端
23g:第7延出基端
24a、24b:線材
31a:中央巻回部 31b:第1巻回部 31c:第2巻回部
32、33a,33c、33e、33g、33i、33k:一端側
33、33b、33d、33f、33h、33j:他端側
50:回り止め部材 51:差し込み板 52:突出部 53:U字溝
54:差し込み脚部
61:根元部 62:傾斜部 63a、63b:根元部 64a、64b:傾斜部
70:外装螺着体 71:線材 80:副螺着体 L1、L2、L4、L6、L7:中心軸線 L3、L5:間隔 θ:リード角 O:軸心 R:曲率 S1:第1空間 S2:第2空間 S3、S4:隙間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19