(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108568
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】監視カメラ
(51)【国際特許分類】
H04N 5/222 20060101AFI20230728BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230728BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230728BHJP
【FI】
H04N5/222 100
G03B15/00 S
G03B15/00 P
G03B17/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009765
(22)【出願日】2022-01-25
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】503345592
【氏名又は名称】株式会社塚本無線
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 光
(74)【代理人】
【識別番号】100205383
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 諭史
(74)【代理人】
【識別番号】100224661
【弁理士】
【氏名又は名称】牧内 直征
(74)【代理人】
【識別番号】100100251
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 操
(72)【発明者】
【氏名】塚本 会一
(72)【発明者】
【氏名】重田 広次
(72)【発明者】
【氏名】福田 達男
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA03
2H105AA06
2H105AA17
2H105AA31
2H105EE35
5C122DA11
5C122EA55
5C122FJ01
5C122FJ03
5C122GC52
5C122GD04
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE07
5C122GG03
5C122GG04
(57)【要約】
【課題】設置場所の自由度に優れる監視カメラを提供する。
【解決手段】監視カメラ1は、カメラ部2と、該カメラ部をパン方向およびチルト方向へ回動する回動機構3と、対象設備へ取り付けられ、回動機構3の上部を支持する支持部5とを有し、支持部5は、屈曲自在な屈曲部6を少なくとも1つ有し、屈曲部6は、支持部5が対象設備へ取り付けられた監視カメラ1のカメラ部2のパン軸が地面に対して垂直となるように屈曲し、支持部5は、対象設備に固定される基部7と、回動機構3の上部に設けられる連結部8とを有し、屈曲部6は、基部7の端部と、連結部8の端部とから構成され、基部7の中心軸と連結部8の中心軸とのなす角が90°~180°の範囲で屈曲する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ部と、該カメラ部をパン方向およびチルト方向へ回動する回動機構と、対象設備へ取り付けられ、前記回動機構の上部を支持する支持部とを有する監視カメラであって、
前記支持部は、屈曲自在な屈曲部を少なくとも1つ有し、
前記屈曲部は、前記支持部が前記対象設備へ取り付けられた前記監視カメラの前記カメラ部のパン軸が地面に対して垂直となるように屈曲することを特徴とする監視カメラ。
【請求項2】
前記支持部は、前記対象設備に固定される基部と、前記回動機構の上部に設けられる連結部とを有し、
前記屈曲部は、前記基部の端部と、前記連結部の端部とから構成され、前記基部の中心軸と前記連結部の中心軸とのなす角が90°~180°の範囲で屈曲することを特徴とする請求項1記載の監視カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置場所の自由度に優れる監視カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラが安価に入手可能となったことで、室内外の所定の場所にカメラを設置して動画や静止画などを撮影することが増えている。このように監視カメラとしてカメラを設置する場合、1台のカメラでより広い範囲を撮影できるよう、設置場所、設置方法、カメラの構造などが種々検討されている。
【0003】
特許文献1には、カメラの取付後にカメラの角度を容易に調整することのできるカメラ取付台が記載されている。このカメラ取付台は、基端部がカメラに固定されて先端部に球状部を有する取付ステムと、基端部が壁面等に固定されて先端部に取付ステムの球状部を旋回可能に受ける受け座を有する取付台アームと、取付ステムの球状部に被せられる保持金具と、取付台アームの先端部の外周にねじ結合されて締め付けることにより保持金具を介して取付ステムの球状部を取付台アーム先端部の受け座に押圧するロックつまみと、を備える。これにより、カメラの角度調整を水平方向にも垂直方向にも自由に同時にかつ容易に調整できる旨が記載されている。
【0004】
特許文献2には、天井への取り付けの観点から重視される小型・軽量なドーム型監視カメラが記載されている。このドーム型監視カメラは、水平回転モーターと、カメラ部収納ケースと、基板に固定されカメラ部収納ケースを回転可能に支持するカメラ部支持板と、垂直回転モーターで構成され、カメラの水平回転中心にある回転軸に対して、カメラ部支持板と水平回転モーターを対向して配置される。これにより、構成要素の中の重量物を、水平回転中心軸を挟んで対向して配置したので、水平方向の回転バランスが良くなり、正確で高速な回転が可能になった旨が記載されている。
【0005】
特許文献2に記載されているような水平方向(パン方向)や、垂直方向(チルト方向)に回動するための回動機構を有するカメラは、パンチルトカメラとも呼ばれる。パンチルトカメラは、広い範囲の撮影が可能なため、近年監視カメラとして一般的に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5-191689号公報
【特許文献2】特開2000-305138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パンチルトカメラは、パン軸(パン方向の回転軸)とチルト軸(チルト方向の回転軸)の2つの回転軸を有し、その軸を中心に回転するため、回転軸を有さない固定型のカメラと比べ、カメラの回転による遠心力が発生しやすい。そのため、ブレの少ない映像を得るために、パンチルトカメラは、天井や壁に直接固定したり、高剛性の支持部を介して固定したりされていた。
【0008】
天井や壁に支持部を介して固定する場合、天井用または壁用の支持部を備えたパンチルトカメラとして販売されることが多い。その場合、発注者は天井、壁それぞれへの設置数を正確に見積もらなければならず、納品後に設置計画を変更しにくかった。また、一旦設置したパンチルトカメラを別の場所へ移設しようとしても、天井から壁、または壁から天井へと設置場所を自由に変えることができないという不便があった。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、設置場所の自由度に優れる監視カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の監視カメラは、カメラ部と、該カメラ部をパン方向およびチルト方向へ回動する回動機構と、対象設備へ取り付けられ、上記回動機構の上部を支持する支持部とを有する監視カメラであって、上記支持部は、屈曲自在な屈曲部を少なくとも1つ有し、上記屈曲部は、上記支持部が上記対象設備へ取り付けられた上記監視カメラの上記カメラ部のパン軸が地面に対して垂直となるように屈曲することを特徴とする。
【0011】
上記支持部は、上記対象設備に固定される基部と、上記回動機構の上部に設けられる連結部とを有し、上記屈曲部は、上記基部の端部と、上記連結部の端部とから構成され、上記基部の中心軸と上記連結部の中心軸とのなす角が90°~180°の範囲で屈曲することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の監視カメラは、支持部が、屈曲自在な屈曲部を少なくとも1つ有し、屈曲部が、支持部は対象設備へ取り付けられた監視カメラのカメラ部のパン軸が地面に対して垂直となるように屈曲するので、地面に対する角度が異なる種々の設置場所に対しても支持部の固定部が略密接するように固定でき、設置場所の自由度に優れる。
【0013】
支持部は、対象設備に固定される基部と、回動機構の上部に設けられる連結部とを有し、屈曲部は、基部の端部と、連結部の端部とから構成され、基部の中心軸と連結部の中心軸とのなす角が90°~180°の範囲で屈曲するので、屈曲範囲が制限され、外力を受けても動きにくい。これにより、監視カメラが揺れにくく、ブレの少ない映像が得られやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の監視カメラの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の監視カメラの一実施形態を示す正面図である。
【
図3】本発明の監視カメラの一実施形態を示す側面図である。
【
図4】支持部の角度を180°とした変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を用いて、本発明の監視カメラの一例について説明する。
図1は、本発明の監視カメラの一実施形態の斜視図である。なお、本明細書において、上下前後左右の方向は、
図1に示した矢印の方向に従うものとする。
【0016】
図1に示すように、監視カメラ1は、カメラ部2と、カメラ部2をパン方向およびチルト方向へ回動する回動機構3と、対象設備(図示省略)へ取り付けられ、回動機構3の上部を支持する支持部5とを有する。支持部5は、回動機構3の上部を覆う外装部4に設けられている。支持部5が
図1に示す状態の場合、対象設備は地面に対して垂直な壁などである。なお、対象設備は、壁に限らず、天井、立体構造物など取り付け可能な設備であればよい。また、対象設備は、屋内、屋外を問わない。対象設備のうち、支持部5が取り付けられる箇所の地面に対する角度は、水平または垂直に限られず、それ以外の角度であってもよい。
【0017】
図2を用いて、カメラ部および回動機構について説明する。
図2は、本発明の監視カメラの一実施形態の正面図である。
図2に示すように、カメラ部2は、例えば、撮影する方向の側に、1個のカメラと、8個の光源と、マイクと、スピーカーとを備える。光源は、例えば、中心のカメラを取り囲むように配置される。なお、カメラおよび光源は、上記の個数や、配置に限定されない。カメラは、ズームカメラであってもよいし、非ズームカメラであってもよい。光源としては、例えば、LEDを用いることができる。光源は、白色光源でも、赤外線光源でもよく、それらの組み合わせでもよい。カメラ部2は、光源や、マイク、スピーカーを有さず、カメラのみを有してもよい。
【0018】
回動機構3は、カメラ部2を、パン軸Opを中心に回動させるパン軸回動機構3aと、カメラ部2を、チルト軸Otを中心に回動させるチルト軸回動機構3bとを有する。パン軸Opはパン軸回動機構3aを上下方向に貫く回転軸で、チルト軸Otはチルト軸回動機構3bを水平方向に貫く回転軸である。パン軸回動機構3aは、例えば、パン方向に0°~355°の範囲でカメラ部2を回動して、カメラレンズを左右に向けることができる。また、チルト軸回動機構3bは、例えば、チルト方向に0°~95°の範囲でカメラ部2を回動でき、カメラレンズを上下(水平から真下の方向)に向けることができる。この場合、カメラ部2は、
図2に示した状態から、例えば、左右方向へそれぞれ177.5°ずつ回動したり、下方向へ95°回動したりできる。このように、これらの2つの回動機構をそれぞれ独立して回転させることで、監視カメラは広い範囲を監視できる。
【0019】
再度
図1を用いて、支持部5について説明する。支持部5は、対象設備に固定される基部7と、回動機構3の上部に設けられる連結部8とを有する。支持部5は、屈曲自在な屈曲部6を1つ有している。屈曲部6は、支持部5が、対象設備へ取り付けられた際に監視カメラ1のカメラ部2のパン軸が地面に対して垂直となるように屈曲する。なお、支持部5は、屈曲部6を少なくとも1つ有していればよく、屈曲部6を2つ以上有してもよい。支持部5が屈曲部6を2つ以上有する場合、支持部5は、対象設備に直接固定される基部7と、回動機構3に直接設けられる連結部8と、複数の屈曲部6を介在する介在部とを有してもよい。
【0020】
本発明の監視カメラは、上記構成であるので、地面に対する角度が異なる種々の設置場所に対しても、後述する固定部が略密接するように固定できる。これにより、天井、壁、ドーム状の壁などの種々の対象設備に対して取り付けることができ、設置場所の自由度に優れる。
【0021】
基部7は、対象設備へ固定する部材である固定部7aと、固定部7aから対象設備に対して反対側へと突出する突起部7bとを有する。固定部7aは、例えば、ネジ留め用の貫通孔を4つ有する。なお、固定部7aは、ネジ留めに限らず、接着剤、対象設備への嵌め合い、埋設などによって固定されてもよい。また、突起部7bの形状は、円柱状、多角柱状、略円錐状、略多角錘状など自由な形状にできる。
【0022】
連結部8は、回動機構3の外装部4の上部に設けられている。これにより、監視カメラ1を天井に取り付けた場合に、監視カメラ1の重量の大半を占めるカメラ部2および回動機構3(本体)の重量に起因するモーメントが連結部8に対して掛かりにくく、安定しやすい。なお、連結部8は、回動機構3の上部に限らず、回動機構3の側部に設けてもよい。
【0023】
支持部が屈曲部を1つのみ有する場合、屈曲部は、基部における突起部の端部と、連結部の端部とから構成される。この場合、可動する箇所が少ないため、強度に優れ、外力の影響をより受けにくい。一方、支持部が屈曲部を2つ以上有する場合、突起部の端部と介在部の端部、連結部の端部と介在部の端部、または介在部の端部同士は、屈曲部を構成する。支持部が屈曲部を複数有する場合、奥行きのあるくぼみなどの複雑な形状の対象設備に対しても監視カメラを取り付けることができ、設置場所の自由度により優れる。
【0024】
図3および
図4を用いて、支持部の屈曲について説明する。
図3は、
図1および
図2に示した本発明の監視カメラの一実施形態の側面図である。
図4は、この監視カメラの支持部の角度を変えた変形例の側面図である。ここで、
図1~4に示す監視カメラのように屈曲部が1つの場合、支持部の角度は、基部の中心軸と連結部の中心軸とのなす角を意味する。
【0025】
図3に示す監視カメラ1は、支持部5の角度θs(基部7の中心軸Osと、連結部8の中心軸Olとのなす角)が90°である。この場合、監視カメラ1を壁へ取り付けるのに好適である。ここで、回転軸Obは、紙面に対して垂直に紙面手前側から奥側へ、屈曲部6の中心を貫通する軸である。基部7は、回転軸Obを中心に回転し、所定の角度毎(例えば、5°毎、10°毎、30°毎など)に固定できる。屈曲部6にはネジ(図示省略)を設け、ネジを締めたり緩めたりすることにより屈曲部6の動きやすさを調整できる。
【0026】
図4に示す監視カメラ1は、基部7の中心軸Osと、連結部8の中心軸Olとが一致しており、支持部5の角度θsが180°である。この場合、監視カメラ1を天井へ取り付けるのに好適である。なお、支持部5の角度θsは、上述した90°や180°に限られない。例えば、監視カメラ1を取り付ける対象設備がドーム状の壁などの場合、支持部5の角度θsは、対象設備の取付箇所の地面に対する角度に応じて設定できる。
【0027】
支持部の角度は、基部と回動機構の外装部が干渉しない範囲で自由に設定できる。支持部の角度は、例えば、45°~315°の範囲で屈曲してもよいし、90°~270°の範囲で屈曲してもよいし、90°~180°の範囲で屈曲してもよい。支持部の角度が90°~270°の範囲で屈曲する場合、例えば、屋内の窓上部の壁に支持部を取り付け、屋外の監視を行うことができる。また、支持部の角度が90°~180°の範囲で屈曲する場合、最小角度の90°で壁に固定する場合や、最大角度の180°で天井に固定する場合に、屈曲部の屈曲範囲が制限される(90°未満、または180°よりも大きく屈曲しない)ため、外力を受けても本体が揺れにくく好ましい。
【0028】
監視カメラは、所定の場所を撮影し続ける連続録画モード、動きを検知した場合にのみ撮影する動体検知録画モード、光源を発光させながら撮影する防犯灯モードなどの録画モードで撮影できる。カメラの回動やズームの動作は、監視カメラが自動で行うように設定してもよいし、スマートフォンなどの端末を用いて行ってもよい。スマートフォンなどの端末を用いる場合、外出先などの遠隔地からでもカメラの操作や、映像を視聴できることとしてもよい。
【0029】
監視カメラで撮影した映像、音声などの情報は、LANケーブルなどの有線により伝送されてもよいし、Wi-Fiなどの無線通信により伝送されてもよい。無線通信で情報を伝送する場合、監視カメラの外部または内部にアンテナを設けることができる。
【0030】
監視カメラの回動機構およびカメラ部への電力供給は、対象設備などに設けられているコンセントに監視カメラの電源コードを接続して行ってもよいし、太陽光パネルにコードを接続して行うなどしてもよい。コードは、外部環境からの保護の観点から、支持部の内部を挿通して、回動機構およびカメラ部へ接続することが好ましい。
【0031】
以上、各図などに基づき本発明の監視カメラについて説明したが、本発明の構成はこれに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の監視カメラは、設置場所の自由度に優れるので、納品後の設置計画の変更や、設置済みカメラの移設を行いやすく、種々の場所へ設置できる。
【符号の説明】
【0033】
1 監視カメラ
2 カメラ部
3 回動機構
3a パン軸回動機構
3b チルト軸回動機構
4 外装部
5 支持部
6 屈曲部
7 基部
7a 固定部
7b 突起部
8 連結部
Op パン軸
Ot チルト軸
Os、Ol 中心軸
Ob 回転軸