(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108601
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】車両システムの充電のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B60L 53/62 20190101AFI20230728BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230728BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20230728BHJP
B60L 53/63 20190101ALI20230728BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20230728BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230728BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20230728BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20230728BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230728BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230728BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230728BHJP
【FI】
B60L53/62
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/63
B60L58/18
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J7/04 H
H02J7/04 A
H02J7/34 D
H02J3/32
H02J13/00 311R
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023001302
(22)【出願日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】17/584,111
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クマル アジス クッタンナイア
(72)【発明者】
【氏名】ダス スバス チャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ラタディア サリット
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
5H125
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AC06
5G064CB12
5G064DA11
5G066HA15
5G066HA17
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5G066KA06
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB09
5G503DA08
5G503FA06
5H125AA01
5H125AA05
5H125AC12
5H125AC22
5H125BC01
5H125BC03
5H125BC28
5H125BE01
5H125CD10
5H125DD02
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE61
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両システムの充電のためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】車両システム100の充電のためのコントローラは、少なくとも1つのエネルギー蓄積装置が搭載され配置されている車両システム100の、複数のエネルギー蓄積装置のうちの2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送を制御し、伝送に対する制約を識別して、識別した制約に少なくとも部分的に基づいて伝送特性を変更する。また、コントローラは、車両システム100に搭載されて配置されている1つ以上のエネルギー蓄積装置と、車両システム100には搭載されていないエネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送を監視する。車両システム100の充電のための方法は、2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送を制御する工程と、伝送に対する制約を識別する工程と、制約に少なくとも部分的に基づいて伝送特性を変更する工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラ(102)であって、
少なくとも1つのエネルギー蓄積装置(156)が車両システム(100、300)に搭載されて配置されている複数のエネルギー蓄積装置(144、156)のうちの2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)間の電気エネルギーの伝送を制御し、
前記伝送に対する伝送制約を識別し、
前記伝送制約に少なくとも部分的に基づいて伝送特性を変更するように構成される、コントローラ(102)。
【請求項2】
前記伝送制約は、
(A)前記車両システム(100、300)に電気エネルギーを伝送する電気エネルギー伝送変電所、または(B)前記電気エネルギー伝送変電所から前記車両システム(100、300)への電気接続部の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上、
搭載されている前記少なくとも1つのエネルギー蓄積装置の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上、
電気エネルギーの1つ以上の供給源からの電圧可用性または電流可用性のうちの1つ以上、
電気エネルギーの費用または価格のうちの1つ以上、
1つ以上の環境条件、あるいは
前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)の優先順位
のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のコントローラ(102)。
【請求項3】
前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)が電気エネルギーの伝送を開始する順序、
前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)が電気エネルギーの伝送を受け取る予定、
前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)の各々が必要とする充電、
前記車両システム(100、300)の作動中における電気エネルギーの伝送の可否、
電気エネルギーの伝送の予測、
前記車両システム(100、300)の分類または前記車両システム(100、300)の貨物の分類のうちの1つ以上、および
前記車両システム(100、300)の所有者または操作者の分類
を含む優先要因に少なくとも部分的に基づいて優先順位を判断する、請求項2に記載のコントローラ(102)。
【請求項4】
伝送特性は、(a)前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)間の電気エネルギーの伝送量もしくは(b)伝送速度のうちの1つ以上、または(c)前記車両システム(100、300)に搭載されている各エネルギー蓄積装置の充電の可否のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のコントローラ(102)。
【請求項5】
第1のエネルギー蓄積装置は、前記車両システム(100、300)に搭載され、第2のエネルギー蓄積装置は、前記車両システム(100、300)に搭載されていない、請求項1に記載のコントローラ(102)。
【請求項6】
前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)間の電気エネルギーの伝送は、電気事業者の大規模電力網、電気事業者の小規模電力網、前記車両システム(100、300)、または他の車両システム(100、300)のうちの1つ以上を通して行われる、請求項1に記載のコントローラ(102)。
【請求項7】
電気エネルギーの伝送のための現在の需要量または電気エネルギーの伝送のための予想需要量のうちの1つ以上に基づいて前記伝送制約を変更するように構成される、請求項1に記載のコントローラ(102)。
【請求項8】
前記車両システム(100、300)の複数の車両間の電気エネルギーの伝送を制御するように構成される、請求項1に記載のコントローラ(102)。
【請求項9】
複数の車両システム(100、300)間の電気エネルギーの伝送を制御するように構成される、請求項1に記載のコントローラ(102)。
【請求項10】
前記車両システム(100、300)と、前記車両システム(100、300)に電気的に接続された1つ以上の他の車両システム(100、300)との間の電気エネルギーの伝送を制御するように構成される、請求項1に記載のコントローラ(102)。
【請求項11】
システムであって、
1つ以上の車両システム(100、300)に搭載されて配置されている1つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)と、前記1つ以上の車両システム(100、300)に搭載されていないエネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送を監視するように構成されたコントローラ(102)であって、
(a)前記1つ以上の車両システム(100、300)から前記エネルギー伝送変電所までの電気エネルギーの伝送、または(b)前記エネルギー伝送変電所から前記1つ以上の車両システム(100、300)に搭載されている前記1つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)までの電気エネルギーの伝送のうちの1つ以上に対する伝送制約を識別し、
前記1つ以上の車両システム(100、300)に搭載されている前記1つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)と前記エネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送量または伝送速度のうちの1つ以上を、前記伝送制約に基づいて変更するように構成された、コントローラ(102)
を含む、システム。
【請求項12】
前記伝送制約は、
前記エネルギー伝送変電所と、前記1つ以上の車両システム(100、300)に搭載されている前記1つ以上のエネルギー蓄積装置との間の1つ以上の電気接続部の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上、
前記1つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上、
前記エネルギー伝送変電所の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上、
1つ以上の環境条件、あるいは
前記1つ以上の車両システム(100、300)の電気エネルギーの1つ以上の需要量
のうちの1つ以上を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラ(102)は、
前記エネルギー伝送変電所のうちの1つ以上に到着する予定の1つ以上の車両システム(100、300)からの電気エネルギーの伝送の予想量、
前記1つ以上の車両システム(100、300)の優先順位、
前記1つ以上の車両システム(100、300)が電気エネルギーの伝送を受け取る予定、
前記1つ以上の車両システム(100、300)に搭載されている前記1つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)の必要とする充電、
車両システム(100、300)の作動中における電気エネルギーの伝送の可否、
車両システム(100、300)の分類または前記車両システム(100、300)の貨物の分類のうちの1つ以上、あるいは
前記1つ以上の車両システム(100、300)の所有者または操作者の分類
に少なくとも部分的に基づいて伝送量または伝送速度のうちの1つ以上を変更するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記エネルギー伝送変電所と前記1つ以上の車両システム(100、300)に搭載されている前記1つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)との間の電気エネルギーの伝送は、電気事業者の大規模電力網、電気事業者の小規模電力網、前記1つ以上の車両システム(100、300)に搭載されていない1つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)、または前記1つ以上の車両システム(100、300)のうちの1つ以上を通して行われる、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つ以上の車両システムに搭載されておらず、かつ、前記エネルギー伝送変電所に電気的に接続されている1つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
方法であって、
少なくとも1つのエネルギー蓄積装置が車両システム(100、300)に搭載されて配置されている複数のエネルギー蓄積装置(144、156)のうちの2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)間の電気エネルギーの伝送を制御する工程、
前記伝送に対する伝送制約を識別する工程、
前記伝送制約に少なくとも部分的に基づいて伝送特性を変更する工程
を含む、方法。
【請求項17】
前記伝送制約は、
(A)前記車両システム(100、300)に電気エネルギーを伝送する電気エネルギー伝送変電所、または(B)前記電気エネルギー伝送変電所から前記車両システム(100、300)への電気接続部の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上、
搭載されている前記少なくとも1つのエネルギー蓄積装置の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上、
電気エネルギーの1つ以上の供給源からの電圧可用性または電流可用性のうちの1つ以上、
電気エネルギーの費用または価格のうちの1つ以上、
1つ以上の環境条件、あるいは
前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)の優先順位
のうちの1つ以上を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
伝送特性は、前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)間の電気エネルギーの伝送量または伝送速度のうちの1つ以上を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)間の電気エネルギーの伝送は、電気事業者の大規模電力網、電気事業者の小規模電力網、前記車両システム(100、300)、または他の車両システム(100、300)のうちの1つ以上を通して行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)が電気エネルギーの伝送を開始する順序、
前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)が電気エネルギーの伝送を受け取る予定、
前記2つ以上のエネルギー蓄積装置(144、156)の各々が必要とする充電、
前記車両システム(100、300)の作動中における電気エネルギーの伝送の可否、
電気エネルギーの伝送の予測、
前記車両システム(100、300)の分類または前記車両システム(100、300)の貨物の分類のうちの1つ以上、
前記車両システム(100、300)の所有者または操作者の分類
を含む優先要因に少なくとも部分的に基づいて優先順位を判断する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月15日出願の米国出願第17/476,180号の一部継続出願であり、当該文献の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載され開示される主題は、車両システムの充電のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
車両システムの一部には、車両システムのために必要不可欠な推進電力の一部またはすべてを供給する電力供給システムが含まれる。推進するために電力に依存している車両システムの数が増えるにつれて、電力の需要量や、充電ステーションまたは充電ステーションを備える施設において充電するのに必要な時間が増える場合がある。充電ステーションが他の車両システムに占有されている場合や、利用可能な充電ステーションが当該車両システムを充電するように装備されていない場合は、充電を必要とする車両システムは、待機しなければならない場合がある。充電ステーションは、再充電を必要とする複数の車両システムが必要な時間内におよび/または必要な費用内で運行を完了するのに必要な量の電気エネルギーまたは電力を受電することができるように計らわれていない場合がある。現在利用可能なものとは異なるシステムおよび方法を有することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0004】
一例または一態様によると、コントローラは、少なくとも1つのエネルギー蓄積装置が車両システムに搭載されて配置されている複数のエネルギー蓄積装置のうちの2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送を制御し、伝送に対する伝送制約を識別する。コントローラは、伝送制約に少なくとも部分的に基づいて伝送特性を変更する。
【0005】
一例または一態様によると、システムは、1つ以上の車両システムに搭載されて配置されている1つ以上のエネルギー蓄積装置と、1つ以上の車両システムに搭載されていないエネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送を監視するようにコントローラを含む。コントローラは、(a)1つ以上の車両システムからエネルギー伝送変電所までの電気エネルギーの伝送、または(b)エネルギー伝送変電所から1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置までの電気エネルギーの伝送のうちの1つ以上に対する伝送制約を識別する。コントローラは、1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置とエネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送量または伝送速度のうちの1つ以上を、伝送制約に基づいて変更する。
【0006】
一例または一態様によると、方法は、少なくとも1つのエネルギー蓄積装置が車両システムに搭載されて配置されている複数のエネルギー蓄積装置のうちの2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送を制御する工程と、伝送に対する伝送制約を識別する工程とを含んでもよい。方法は、伝送制約に少なくとも部分的に基づいて伝送特性を変更する工程を含んでもよい。
【0007】
一例または一態様によると、車両システムは、モータと連結されたインバータ装置を含んでもよい。インバータ装置は、モータから、モータの発電制動によって生成された電気エネルギーを受電してもよい。車両システムは、インバータ装置に連結されたエネルギー蓄積装置、および、インバータ装置とエネルギー蓄積装置との間に配置された可変抵抗部品を含んでもよい。可変抵抗部品は、インバータ装置から、エネルギー蓄積装置、抵抗グリッドまたはシステム負荷のうちの1つ以上に向かって、電気エネルギーの流通方向を制御してもよい。可変抵抗部品は、インバータ装置から外に向かって流通された電気エネルギーの第1の量、インバータ装置から流通された電気エネルギーの伝送速度、またはエネルギー蓄積装置の1つ以上の特性のうちの1つ以上に基づいて、インバータ装置からの電気エネルギーの流通方向を制御してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の主題は、添付図面を参照して非限定の実施形態の以下の説明を読むことから理解されるであろう。
【
図1】一実施形態による車両システムを概略的に示す図である。
【
図2】一実施形態による車両システムを概略的に示す図である。
【
図3】一実施形態による車両システム間の通信を概略的に示す図である。
【
図4】一実施形態による車両システムを充電するためのシステムにおける複数の車両システムを概略的に示す図である。
【
図5】一実施形態による複数の車両システムを充電するためのシステムを概略的に示す図である。
【
図6】一実施形態による車両システムを充電するためのシステムを概略的に示す図である。
【
図7】一実施形態による車両システムを図示する図である。
【
図8】一実施形態による電力システムの概略を図示する図である。
【
図9】一実施形態による、
図8に示されている概略のグラフを図示する図である。
【
図10】一実施形態による方法を概略的に示す図である。
【
図11】一実施形態による方法を概略的に示す図である。
【
図12】一実施形態によるコンピュータシステムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される主題の実施形態は、電気車両のためのシステムおよび方法に関する。一事例では、電力を用いた車両の充電を監視および管理するための方法が提供される。車両は、車両システムの一部であってもよい。車両システムは、施設において電力を充電されてもよく、当該施設は、施設にある車両システムおよび施設に到着する予定である車両システムに電力を提供する複数の変電所を含んでもよい。施設の管制センタは、電力を必要とする車両システムを、車両から電力を受電する能力を有する変電所に向けてもよく(車両が自己の電力を生成することができる場合)、あるいは車両が必要とする形態で、車両が必要とする量だけ車両に電力を供給する能力を有する変電所に向けてもよい。変電所は、異なる電力容量を有してもよく、施設の管制センタは、施設にある車両システム、これから施設に到着する車両システム、およびこれから施設から出発する車両システムと通信して、電力を必要とする各車両システムに対して適切な変電所を判断してもよい。
【0010】
施設は、電気事業者の外部電力網に接続されることによって車両システムに電力を提供してもよい。施設は、小規模電力網を含んでもよい。施設は、再生可能エネルギー資源を含んでもよい。再生可能エネルギー資源は、太陽光または風力による電力発電システムを含んでもよい。施設は、定置型電力発電機を含んでもよい。施設は、1つ以上の種類のエネルギー蓄積システムを含んでもよい。電力蓄積システムは、電力を蓄積することができる。電力は、例えば、電気事業者の電力網、小規模電力網、再生可能資源から、あるいは施設に電気的に連結された車両からもたらされてもよい。変電所で利用可能な電力を補うために、施設は、持ち運び可能な電気充電器を含んでもよい。施設は、電力の伝送を必要とする形態で、変電所において負荷を受けてもよい。一実施形態では、変電所は、車両システムから電力を受電してもよい。受電した電力は、他の負荷に対してサービスを行うために使用されてもよい。変電所は、ピークの需要量を減らしたり、システム全体の負荷を減らしたり、電気設備の作動余裕度を維持したりなどをするように作動してもよい。
【0011】
施設の管制センタは、車両と通信して、車両が必要とするものと、車両に対して利用可能な供給量とを判断し(かつ一致させ)てもよい。車両が必要とするものには、例えば、必要な電力量、特定接続形式、搭載されているエネルギー蓄積に関する要因(使用年数、容量、充電速度など)などが含まれてもよい。特に、当該判断には、車両システムに搭載されているエネルギー蓄積システムの充電状態を判断することが含まれてもよい。他の要因には、車両システムが電力の供給を受けることが可能な時間量(すなわち、車両の所望の出発時間はいつか)、車両システムが電力を受電する優先度(例えば、契約上の規定、あるいは貨物の種類)、電力価格(その日のある時刻に従って判断されてもよい)、ピーク時の電力価格、均し負荷電力伝送、または総所要電力が含まれてもよい。管制センタは、電力伝送を監視するセンサを含んでもよい。これは、例えば、ケーブルなどの電力転送部品の電流または温度を監視することによって行われてもよい。他のセンサは、熱分布撮影、磁気センサおよび光学センサなどを含んでもよい。
【0012】
電気事業者の電力網、小規模電力網、再生可能資源、もしくは現場エネルギー発電システムおよび/または現場エネルギー蓄積システムから車両システムへの電力の伝送を容易にするために、施設の変電所は、互いに接続されてもよい。接続された変電所によって、車両システムは、1つ以上の接続された変電所において1つ以上の他の車両システムから電力を送電または受電することができてもよい。施設の変電所から電力を受電するように備えられていない車両システムは依然として、接続された変電所(複数可)において、接続部、例えばDCバスを通して別の車両システム(複数可)から電力を受電してもよい。
【0013】
管制センタは、電力の伝送を監視し、施設において電力を受電する車両システムの所有者または操作者に対して課金してもよい。管制センタは、電力の伝送を監視し、車両システムへの電力の伝送の効率を判断してもよい。管制センタは、電力の伝送を監視し、車両システムが必要とする電力、車両システムが電力を受電することが可能な時間、車両システムが電力を受電する優先度および/または電力価格に基づいて車両システムへの電力の流れを制御してもよい。これらの要因に基づいて、管制センタは、車両システムに電力を提供することができる変電所を判断する。
【0014】
1以上の実施形態が、鉄道車両システムに関連して記載されているが、すべての実施形態が、鉄道車両システムに関するわけではない。さらに、本明細書に記載される実施形態は、複数の種類の車両システムに及ぶ。好適な車両システムは、鉄道車両、自動車、トラック(トレーラの有無にかかわらない)、バス、船舶、航空機、採鉱車両、農業車両およびオフハイウェイ車両を含んでもよい。本明細書に記載される好適な車両システムは、単一の車両から形成されてもよい。他の実施形態では、車両システムは、協調して移動する複数の車両を含んでもよい。複数車両システムについては、車両は、(例えば連結器によって)互いに機械的に連結されてもよく、あるいは機械的に連結されるのではなく仮想的または論理的に連結されてもよい。例えば、別個の車両が互いに通信して、車両が(例えば、護送車、プラトーン、スウォーム、フリートなどとして)一緒に走行するように車両の移動を互いに協調させる場合は、車両は、機械的に連結されるのではなく通信可能に連結されてもよい。好適な車両システムは、線路上を走行する鉄道車両システム、あるいは道路上または経路上を走行する車両システムであってもよい。
【0015】
図1を参照すると、車両システム(100)は、1つ以上の推進力発生車両(106)(例えば車両(106A~C))および非推進力発生車両(108)(例えば車両(108A~B))を有する。推進力発生車両の1つ以上は、コントローラ(102)を含んでもよい。車両システムが経路(104)に沿って移動している間、推進力発生車両および非推進力発生車両は、連結器(110)によって機械的に一緒に連結されてもよい。
図1を参照した車両システムの説明は、車両編成に関し、例えば、推進力発生車両として機関車と、非推進力発生車両として鉄道車両とを有する鉄道車両編成に関するが、代わりに、本明細書に記載される1以上の実施形態は、他のオフハイウェイ車両(例えば、採鉱車両、あるいは一般車道上を走行するように設計されていない場合や、法規上許可されていない場合がある他の車両)、船舶、自動車、トラック、または航空機などの他の種類の車両システムおよび/または車両に適用されてもよい。加えて、車両システムは、複数の車両ではなく単一の車両から形成されてもよい。任意選択で、いくつかの車両から形成された車両システムでは、車両は、互いに離間していてもよいが、車両が互いに通信して、車両の移動を互いに協調させるように、互いに論理的に連結されてもよい(それによって、別個の車両が、経路に沿って、より大きい車両システムまたは護送車として一緒に移動する)。
【0016】
推進力発生車両はそれぞれ、推進システム(112)を含む。各推進システムは、推進力発生車両の車軸(114)および/または車輪(116)に動作可能に連結されたトラクションモータを有してもよい。トラクションモータは、1つ以上のギヤ、ギヤセットまたは他の機械装置を介して車軸および/または車輪に結合されてもよく、それによって、トラクションモータが生成する回転運動を車軸および/または車輪の回転に変換して車両を推進し、結果として車両システムを推進する。異なるトラクションモータは、異なる車軸および/または車輪に動作可能に接続されてもよく、それによって、非作動状態(例えば電源オフ)にできるトラクションモータは、対応する車軸および/または車輪を回転させることはないが、作動状態(例えば電源オン)にされたままのトラクションモータは、対応する車軸および/または車輪を回転させる。
【0017】
図2を参照すると、車両システムは、通信システム(118)を含んでもよい。通信システムは、推進力発生車両に搭載されて配置されている通信装置(120)(例えば通信装置(120A~D)を含んでもよい。通信装置は、ハードウェア回路を表し、ハードウェア回路は、通信装置に関連して本明細書に記載される作動を行う1つ以上のプロセッサ(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイおよび/または1つ以上の集積回路など)を含んでもよく、および/または、1つ以上のプロセッサに接続される。通信装置には、モデム、ルータ、アンテナおよびスイッチなどのトランシーバ回路(transceiving circuitry)が含まれるか、トランシーバ回路を表してもよい。通信装置は、プロセッサおよび/またはトランシーバ回路の作動を指示する1つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行することができる。通信装置は、通信装置間でデータ信号またはメッセージを送信および/または受信する。車両システムの車両に搭載されている1つ以上の他の機器は、通信装置を介して互いにデータを通信することができる。
【0018】
通信装置は、互いに通信して、車両システムの車両の作動を互いに協調させる。通信装置は、有線で互いに結ばれてもよく、あるいは無線で互いに通信してもよく、あるいは開回路上に手動式で構成されてもよい。一実施形態では、通信装置のうちの1つは、車両システムの先頭推進力発生車両(106A)に搭載されている先頭通信装置である。残りの通信装置は、対応する後方推進力発生車両(106B~106D)に搭載されている後方通信装置であってもよい。先頭推進力発生車両は、後方推進力発生車両の後方通信装置に無線でメッセージを送信することによって、後方推進力発生車両の移動を遠隔で制御することができる。
図2では、車両システムの一方の端部に先頭推進力発生車両が示されているが、先頭車両は、車両システムのいずれの端部にも位置する必要はなく、また、車両システムの走行方向に沿って後方推進力発生車両よりも前方に位置する必要もない。
【0019】
作動時に、同じ車両システムの通信装置は、メッセージサイクルによって指示されている時間制約内に互いに通信する。メッセージサイクルは、いつ異なる通信装置が通信(例えば、無線信号の送信および/または受信)可能になるかを指示する計画を規定する。異なる車両システムに搭載されている複数の異なる通信装置が同時に無線でメッセージを通信し、結果として、対抗する車両システム間の無線干渉に起因してメッセージが受信されなくなり得るのを、メッセージサイクルは、防ぐことができる。
【0020】
図3を参照すると、複数の車両システム(100A、100B、100C)は、互いの無線範囲内にあってもよい。各車両システムの各通信システムは、無線範囲(200)を有する。図示されるように、異なる通信システムの無線範囲(200A、200B、200C)は、互いに重なり合う。これらの通信システムが無線信号を送信するために同じチャネルを使用する場合は、1つの車両システムにある車両間で通信される無線信号は、別の車両システムにある車両間で通信される無線信号に干渉し得る。これらの信号は、車両システムにある車両の移動の仕方の変更(例えば、スロットル設定の変更および/またはブレーキ設定の変更)に関する指示を含み得るので、信号の正常な通信に干渉が生じると、車両システムの安全な作動に重大な脅威をもたらし得る。このような干渉の可能性を防止または軽減するために、異なる車両システム(100A、100B、100C)の通信が許可されている場合は、通信システムは、規定のメッセージサイクルを使用して制限する。
【0021】
車両システムの通信装置は、搭載されていない他の1つ以上の機器セットと通信してもよい。例えば、管制センタの管制塔(137)は、車両システムの通信装置と通信するためにトランシーバ(139)を有してもよい。搭載されていない中継器(164)(複数可)は、プロセッサ(166)(複数可)およびトランシーバ(168)を有し、管制塔、車両システム、または車両システムの車両の通信装置からの通信を受信し、これを繰り返してもよい。搭載されていない中継器は、管制塔から1つ以上の車両システムへ、あるいは1つの車両システムから1つ以上の他の車両システムへ、あるいは車両システムの1つの車両から同じ車両システムの1つ以上の他の車両へ信号を繰り返してもよい。搭載されていない機器セットの好適なものには、例えば、セルタワー、Wi-Fi、広域ネットワーク(WAN)対応装置およびBluetooth対応装置、通信衛星(例えば、低軌道衛星、すなわち「LEO」衛星)および他の車両などが含まれてもよい。これらの通信装置は、その後、他の車両、またはバックオフィスの場所へ情報を中継してもよい。通信される情報は、瞬時に、ほぼ瞬時に、または定期的に通信されるものであってもよい。定期的な通信は、通信経路が開かれているときにデータリポジトリにアップロードするデータ記憶装置が「利用可能な場合」というアップロードの形を取ってもよい。通信装置は、USBドライブまたは演算装置(スマートフォン、ラップトップおよびタブレットなど)に情報をダウンロードし、その装置からリポジトリに情報を通信することによってアップロードが達成される手動アップロードによって情報を通信してもよい。
【0022】
図4を参照すると、施設(122)には、複数の車両システムが存在してもよい。例えば、複数車両の車両システムの場合は、施設は、車両の充電、燃料供給、積み込み、積み下ろしおよび/または構成のために車両システムが持ち込まれるいずれかの空間であってもよい。一例によると、車両システムは、鉄道車両であってもよく、施設は、鉄道車両が積み下ろしされるか、および/または積み下ろしされる車両基地であってもよい。鉄道車両は、充電され、燃料供給されてもよい。鉄道車両は、例えば、車両システムに推進力発生車両および/または非推進力発生車両を付け加えるか、取り除くことによって、新たに運行するために構成されてもよい。一例によると、施設は、トラックから積み下ろしされ得るか、および/または積み込みされ得るか、燃料供給され得るか、および/または1つ以上のトレーラに接続され得るトラック停車場または配電施設であってもよい。
【0023】
車両システムは、サービスエリア(128)への指定経路(126)に沿って施設に進入してもよい。一例によると、指定経路は、鉄道車両用の線路であってもよい。一例によると、指定経路は、各種サービスエリアにトラックを向わせる、トラック停車場の表面に描かれた車線であってもよい。サービスエリアでは、車両システムは、サービスステーション(124)からサービスを受けてもよい。一例によると、サービスステーションは、車両システムのバッテリに充電を提供するエネルギー伝送変電所であってもよい。一例によると、サービスステーションは、燃料を提供する燃料スタンドであってもよい。好適な燃料には、液体燃料または気体燃料が含まれてもよい。液体燃料には、ガソリン、灯油、アルコール類またはディーゼルが含まれてもよい。気体燃料には、アンモニアまたは水素が含まれてもよい。好適なディーゼルには、通常のディーゼル、バイオディーゼル、および水素化ディーゼル(HRD:hydrogenation derived diesel)が含まれてもよい。
【0024】
図5を参照すると、施設の作動を管理するためのシステム(130)は、電気事業者(132)を含むか、または電気事業者(132)に連結されてもよい。電気事業者は、遠隔にある電力発電源に接続された電力網であってもよい。システム(130)は、地域内電力発電機(134)を含んでもよい。地域内電力発電機は、電気事業者によって提供される電力を補うために電気事業者に接続されてもよい。地域内電力発電機は、例えば、ガスタービンもしくは蒸気タービン、燃料電池によって、ならびに/または、水力発電、火力、太陽光パネルまたは風力タービンなどの再生可能資源によって電力を生成してもよい。地域内電力発電機は、例えば、小規模電力網であってもよい。小規模電力網は、電気事業者の大規模電力網に接続され、電気事業者の大規模電力網と同期して作動してもよいが、技術条件または経済条件または環境条件の必要に応じて、電気事業者の大規模電力網から切り離され、自律的にまたは電気事業者から独立して作動してもよい。
【0025】
施設は、電気事業者および/または地域内電力発電機からの電力を蓄積するために1つ以上の現場エネルギー蓄積装置(144)を含んでもよい。1つ以上の現場エネルギー蓄積装置は、例えば、バッテリ蓄積システムであってもよい。1つ以上の現場エネルギー蓄積装置は、施設にある車両システムからの電力の需要量が電気事業者および/または地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積装置から利用可能な電力を上回る場合でも、端子(145)を通じてサービスステーションに電力を提供してもよい。利用可能な総電力は、利用可能な電力の費用や時間の関数としての費用によって影響を受け得る。例えば、利用可能な総電力は、その日の時刻、電力需要ピーク時の電力の費用および/または再生可能資源からの電力の可否によって影響を受け得る。
【0026】
システムは、施設にある車両システム、および、サービスを受けるために施設に向かって走行している施設外部にある車両システムと通信する管制センタ(136)を含んでもよい。管制センタは、車両システムと通信するための通信装置と、データを格納し、サービスステーションの作動を制御するためのコンピュータとを含んでもよい。管制センタは、電気事業者、地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積から引かれる電力を管理かつ限定して、施設にある各車両システムに、必要な充電量を提供する。通信装置およびコンピュータを監視および/または作動させるために、管制センタに、人員が配置されてもよい。
【0027】
システムは、施設のサービスエリアにある車両システムを充電するためにエネルギー伝送変電所または充電ステーション(138)を含んでもよい。エネルギー伝送変電所は、電気事業者、地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積装置(複数可)からエネルギー伝送変電所にある車両システムに電気エネルギーを伝送する。エネルギー伝送変電所は、電源線(140)によって電気事業者、地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積に接続される。エネルギー伝送変電所は、電気接続部(142)を通して車両システムに電力を提供する。エネルギー伝送変電所は、例えば、非常用電力を提供するために施設全体に移動させることができる持ち運び可能な充電器を含んでもよい。電気接続部は、例えば、ケーブル(例えば架線)であってもよい。一例によると、電気接続部には、車両のそれぞれの充電口に手動または自動で接続されるそれぞれのコネクタを備えたケーブルが含まれてもよい。一例によると、電気接続部は、車両(複数可)に搭載されているパンタグラフ(複数可)を含んでもよく、パンタグラフは、架線に接続されるか、またはパンタグラフを通して車両(複数可)に電流を送り届ける架空線(複数可)に係合される。一例によると、車両システムは、鉄道車両であってもよく、エネルギー伝送変電所は、鉄道車両が作動する線路の第3のレールを通して鉄道車両に電力を提供してもよい。一例によると、エネルギー伝送変電所は、誘導結合方式または静電容量結合方式などの無線電力伝送を通して車両システムに電力を提供する。エネルギー伝送変電所は、車両システムに一方向に電力を伝送してもよく、すなわち、電気事業者、地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積から車両システムにのみ伝送してもよい。エネルギー伝送変電所は、双方向に作動して、電気事業者、地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積から1つ以上の車両システムに、ならびに、1つ以上の車両システムから電気事業者、地域内電力発電機、現場エネルギー蓄積および/または他の車両システムに電力を提供してもよい。エネルギーの伝送レベルは、一定であってもよく、または、その日のある時刻に従って、(例えば、電力需要ピーク時の)電力の費用および(例えば、再生可能資源からの)電力の可否に基づいて変動してもよい。
【0028】
エネルギー伝送変電所は、最大電力伝送能力が異なってもよい。例えば、1つ以上のエネルギー伝送変電所は、2MWの最大電力伝送をもたらしてもよく、1つ以上のエネルギー伝送変電所は、1MWの最大電力伝送をもたらしてもよい。電気事業者は、システムのエネルギー伝送変電所に最大電力伝送をもたらしてもよい。電気事業者の最大電力伝送は、地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積によって増加してもよい。管制センタは、平均需要時およびピーク需要時の電気事業者、地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積からの利用可能な電力を配分する。
【0029】
エネルギー伝送変電所のうちの2つ以上は、電気接続部(146)によって接続されてもよい。電気接続部は、例えば、1つ以上のエネルギー伝送変電所から1つ以上のサービスエリアにある1つ以上の車両システムまで電力を伝送するDCバスまたは架線であってもよい。一例によると、車両システムは、線路上で作動する鉄道車両であってもよく、電気接続部は、車両システムに電力を伝送する線路の第3のレールであってもよい。電気接続部に接続された車両システムは、電気接続部を通して互いの間または互いの中で電力を伝送してもよい。
【0030】
システムは、システムの部品、車両システムの部品、および周囲条件に関する情報を提供するセンサ(162)を含んでもよい。センサは、エネルギー伝送変電所内を含む施設全体に設けられてもよい。センサは、各エネルギー伝送変電所と各車両システムとの間の電力伝送に関する情報を提供する電圧計および電流(アンペア)センサを含んでもよい。センサは、施設および車両システムの部品の温度に関する情報を提供する温度センサを含んでもよい。例えば、温度センサは、エネルギー伝送変電所から車両システムに電力を伝送する架線の温度に関する情報を提供してもよい。温度センサは、施設の車両システムまたは現場エネルギー蓄積装置(複数可)のバッテリの温度に関する情報を提供してもよい。システムは、設備全体にわたって周囲温度読取値を提供する温度センサを含んでもよい。センサは、湿度、気圧などの他の周囲条件に関する情報を提供してもよい。センサは、電気接続部の温度、例えば、ケーブル、充電口への電気コネクタ、またはパンタグラフなどの集電装置の温度に関する情報を提供してもよい。センサは、管制センタおよび/または車両システムに情報を提供してもよい。
【0031】
図6を参照すると、車両システム間で電力を伝送するためのシステム(150)は、充電用接続部(143)によってエネルギー伝送変電所または持ち運び可能な充電器に接続される第1の車両システム(100D)を含んでもよい。充電用接続部は、サージプロテクタを含んでもよい。サージプロテクタは、アクティブサージプロテクタまたはパッシブサージプロテクタであってもよい。パッシブサージプロテクタは、フェライトビーズを含んでもよい。
【0032】
システムは、搭載されている電力発電機(158)を含み得る第2の車両システム(100E)を含んでもよいが、これは、エネルギー伝送変電所または持ち運び可能な充電器に接続されることができない。搭載されている電力発電機は、例えば、ディーゼルまたは燃料電池(複数可)などの燃料で稼働する発電機であってもよい。一例によると、第1の車両システムは、鉄道車両のバッテリ電気機関車である。第1の車両システムは、エネルギー伝送変電所または持ち運び可能な充電器から電力を受電する。第1の車両システムは、DC電力の形で電力を受電してもよく、例えば、電源から1000VのDC、またはスマートチャージャなどから可変DC電圧を受電してもよい。第1の車両システムは、AC電力の形で電力を受電してもよい。AC電力は、例えば、電圧480ボルトかつ周波数60Hzの3相交流であってもよい。交流は、一連の電流変換器(152)を通して推進システムおよび1つ以上の補機システム(148)に提供される。1つ以上の補機システムは、例えば、電力で作動する、空調システムまたは車両システムの他のシステムであってもよい。第1の車両システムは、1つ以上のフィルタコンデンサ(154)を含んでもよく、これによって、低周波数の電流をフィルタリングして取り除き、第1の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置(156)に高周波数の電流を流す。搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置は、1つ以上のバッテリであってもよい。
【0033】
第1の車両システムは、電気接続部を通して第2の車両システムに搭載されている電力発電機に電力を提供してもよい。第1の車両システムは、例えば、固定電圧および固定周波数で三相交流を発生させるヘッドエンド発電機を含んでもよい。ヘッドエンド発電機(power alternator)は、エネルギー伝送変電所または持ち運び可能な充電器が第1の車両システムに提供するものと同じ電圧および周波数で、第2の車両システムに搭載されている電力発電機に電力を提供してもよい。代わりに、ヘッドエンド発電機は、異なる周波数および電圧で電力を提供してもよい。例えば、充電用入力は、DCであってもよく、ヘッドエンドの電力は、480V、60Hzで提供されてもよい。加えて、複数の車両が電源線(複数可)を通して電力をやり取りし得るように、システムは、複数の電気接続部(例えばバス)を含んでもよい。
【0034】
第1の車両システムは、フィルタシステムまたは変換器を通して第2の車両システムの搭載されているエネルギー蓄積装置に電力を提供するために、トランスフォーマもしくは変換器または電力調整設備を含んでもよく、これには、第2の車両システムのインダクタ、コンデンサ、DC/DCコンバータ、DC/ACコンバータまたはAC/DCコンバータが含まれてもよい。
【0035】
車両システムは、エネルギー蓄積容量(例えば、バッテリの蓄積容量)、電力充電能力、所要エネルギーおよび所要電力ならびに許容充電時間(例えば、車両システムの計画要件を満たす)が異なってもよい。管制センタは、施設にある車両システムおよび施設に到着する予定である車両システムを監視し、施設を管理して、車両システムが許容時間内に所要の充電を受けることができるように車両システムをサービスエリアに割り付ける。管制センタは、エネルギー伝送変電所から車両システム間の既存の送電能力を監視し、施設、地域内電力発電機、現場エネルギー蓄積装置(複数可)から引かれる電力、電気接続部(例えばDCバス)の限定、および、車両間送電能力を限定および管理する。管制センタは、例えば、その日の時刻、電力需要ピーク、再生可能資源からの可否に起因して変動する費用を含む電力の費用を考慮してもよい。
【0036】
管制センタは、施設のサービスエリアに関する情報、ならびに、施設にある設備の能力および/または容量、例えば、エネルギー伝送変電所から利用可能な電流に関する情報を含んでもよい。情報は、設備能力に対する一時的なエネルギー送電制約を含んでもよい。例えば、情報は、電気事業者、地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積装置(複数可)から施設にある1つ以上の車両システムまでの1つ以上のエネルギー伝送変電所に提供され得る電流に対する制限を含んでもよい。
【0037】
管制センタは、施設にある車両システムおよび施設に到着する予定である車両システムから情報を受信してもよく、この情報を使用して、電気事業者、地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積装置(複数可)と車両システムとの間の電気エネルギーの伝送を管理する。管制センタは、1つ以上のエネルギー伝送制約に基づいて1つ以上のエネルギー伝送特性を変更してもよい。例えば、管制センタは、車両システムに搭載されているエネルギー蓄積装置(例えばバッテリシステム)が高温であるという情報を受信してもよく、そして、温度が閾値温度を下回るまでエネルギー伝送変電所から車両システムへの電気エネルギーの伝送を低減または停止して、搭載されているエネルギー伝送変電所への損傷を防止してもよい。別の一例として、制御局は、搭載されているエネルギー蓄積装置の充電状態(state of charge:SOC)および容量を監視し、1つ以上の車両システムへの電気エネルギーの伝送を制御し、各エネルギー伝送変電所の能力に従って、各車両システムの所要時間内で、各々の所要のSOCおよび/または容量を達成してもよい。
【0038】
図7は、一実施形態による車両システム(300)を図示する。図示されている実施形態では、車両システムは、車両システムが沿って移動する経路に接する複数の車輪(302)を含む、単一の車両であってもよい。車両システムは、車両システムに搭載されて配置されているコントローラ(308)を含んでもよい。コントローラは、制御モジュールを表してもよく、本明細書に記載される1つ以上の作動を実行するために、1つ以上のプロセッサ、マイクロコントローラもしくは他のロジック系装置および/または関連ソフトウェアもしくは指示を含むことができる。コントローラは、モータ(304)(例えば、牽引モータまたはエンジンなど)および制動システム(306)などの推進システムによってもたらされる牽引力および/または制動力を制御することなどによって、車両システムの作動を制御する。コントローラは、入力装置における操作者からの手動入力に基づいて、入力装置(図示せず)(例えば、タッチスクリーン、ジョイスティック、キーボード、スイッチ、車輪、またはマイクなどがあるがこれらに限定されない、操作者からの入力を受信する装置)から指示信号を受信することによって、手動で操作されてもよい。出力装置(図示せず)は、車両システムの現在の操作設定、運行計画の指定の操作設定、車両システムに搭載されて蓄積された現在の電気エネルギーの量、搭載されているエネルギー蓄積装置(312)の現在の蓄積容量などの情報を操作者に提供することができる。
【0039】
1以上の実施形態では、コントローラは、車両システムの動作を自律制御するために自動的に操作されてもよい。例えば、運行計画は、エネルギー管理システム(図示せず)によって提供されてもよく、および/または、コントローラがアクセス可能な有形かつ非一時的なコンピュータ可読記憶媒体、あるいはメモリ(図示せず)に記録されてもよい。1以上の実施形態では、コントローラおよびエネルギー管理システムは、2つ以上の制御モジュールを表してもよい。運行計画は、目的地点に向かって車両システムを運行するために、経路に沿った時間または距離の関数として、車両システムの操作設定を指定してもよい。運行計画の指定操作設定は、運行のために車両システムが消費する燃料、発生する排出量、または乗継に費やされる時間のうちの1つ以上を低減するために制定されてもよい。エネルギー管理システムは、本明細書に記載される1つ以上の作動を実行するために、1つ以上のプロセッサ、マイクロコントローラもしくは他のロジック系装置および/または関連ソフトウェアもしくは指示を含んでもよい。
【0040】
推進システムおよび/または制動システム(例えば、トラクションモータ、またはエアブレーキなどのブレーキなど)に動作可能に連結された牽引部品は、車両システムの車輪(および/または、図示されていないが車両に接合された車軸)の移動を制御して、車両システムを経路に沿って推進するために牽引力を生成してもよい。車両システムを推進するために推進力をもたらすことに加えて、推進システムおよび/または制動システムは、発電制動を用いて車両システムの移動を遅くさせるか、または停止させるように機能することができる。
【0041】
推進システムおよび/または制動システムは、搭載されているおよび/または搭載されていない1つ以上の電源によって供給された電力(例えば電流)による電動であってもよい。例えば、車両システムは、車両システムが、搭載されていない外部電源、搭載されている電源、あるいは外部電源と搭載されている電源の組み合わせによって駆動され得るような、ハイブリッド車両システムと呼ばれてもよい。搭載されている電源については、車両システムは、搭載されているエネルギー蓄積装置および/または1つ以上の燃料電池もしくはバッテリなどの電源(図示せず)を含んでもよい。加えて、または代わりに、搭載されている電源は、車両に搭載されている状態で電流を生成する搭載されている1つ以上のエネルギー源(図示せず)を含むことができる。例えば、搭載されているエネルギー源は、軸によってモータに接続されることができる発電機および/またはオルタネータを含んでもよい。モータによる軸の回転によって、発電機のロータが回転し、電気エネルギー(例えば電流)を生成する。
【0042】
1以上の実施形態では、搭載されているエネルギー源は、車両に搭載されている状態で電気エネルギーを生成または蓄積する、1つ以上の太陽電池または風力タービンなどの別の種類の装置を含んでもよい。別の一例では、搭載されているエネルギー源は、トラクションモータが発電制動モードで作動する場合は、推進システムのトラクションモータを含んでもよく、ここで、車両システムの徐行中に、トラクションモータによって電気エネルギーが生成される。発電制動によって発生される少なくとも一部の電気エネルギーは、搭載されているエネルギー蓄積装置に提供されて蓄積されることができる。加えてまたは代わりに、発電制動によって発生される少なくとも一部の電気エネルギーは、システム負荷(例えば、車両負荷)および/または抵抗グリッド(314)に提供されることができる。1以上の実施形態では、車両負荷は、車両システムおよび/または車両システムに動作可能に連結された他の車両の車両システムの補機負荷(例えば、空調、客車照明、乗客用電源コンセント供給などの非推進負荷)であってもよい。任意選択で、車両負荷は、車両システムおよび/または車両システムに動作可能に連結された他の車両の推進負荷であってもよい。
【0043】
搭載されているエネルギー蓄積装置は、車両システムに搭載されて配置され、インバータ装置(310)を介して推進システムおよび制動システムに動作可能に連結されているように示されているが、代わりに、搭載されているエネルギー蓄積装置は、車両システムに連結された別の車両に搭載されて配置されてもよい。例えば、エネルギー蓄積装置は、車両システムの移動によって炭水車両を移動させるように、1つ以上の機械的接続部によって車両システムに接続された炭水車両上に位置してもよい。このようなエネルギー蓄積装置は、1つ以上の導電体(例えば、バス、ケーブルまたはワイヤなど)によって車両システムの推進システムに接続されることができる。
【0044】
エネルギー蓄積装置は、(例えば、エネルギー蓄積装置とモータとの間に中間導電バスまたはトランスフォーマなどが配置されることなく)推進システムのトラクションモータ(複数可)に直接連結されることによって、トラクションモータに電流を直接供給して、モータに電力を供給することができる。代わりに、または加えて、エネルギー蓄積装置は、1つ以上の導電バスまたはトランスフォーマなどを通してモータに電流を伝達することによって、トラクションモータに電流を間接的に供給することができる。任意選択で、エネルギー蓄積装置は、車両システムのインバータ装置または変換器(図示せず)などに電流を直接および/または間接的に供給することができる。また、任意選択で、エネルギー蓄積装置は、車両システムに動作可能に(例えば、機械的または論理的に)連結された1つ以上の異なる車両に直接および/または間接的に電流を供給して、異なる車両の1つ以上のシステムに電力を供給してもよい。
【0045】
図8は、一実施形態による電力システム(350)の概略を図示する。電力システムは、車両システムの発電制動によって生成される、モータからの電気エネルギーの流通を制御する。1以上の実施形態では、発電制動によって生成される電気エネルギーの一部は、車両システムの移動を減速または停止させるのに必要とされる制動力の量より過剰であってもよい。例えば、車両システムの移動速度が増加すると、車両システムの移動の制動(例えば、減速または停止)に必要とされる電気エネルギーの量が減少し、超過電気エネルギー(例えば、制動力)は、車両システムに搭載されているエネルギー蓄積装置または抵抗グリッドもしくは車両負荷のうちの1つ以上の方に向かってもよい。
【0046】
抵抗グリッドは、電気エネルギーが散逸される装置を表してもよい。電気エネルギーの一部は、抵抗グリッドの方へ向けられてもよく、電気エネルギーの別の一部は、車両負荷の方に向かってもよい。任意選択で、車両システムは、抵抗グリッドを含まなくてもよく、あるいは抵抗グリッドから切り離されてもよく、電気エネルギーは、車両負荷の方に向かってもよい。1以上の実施形態では、電気エネルギーの一部は、複数の異なる車両負荷(例えば、推進負荷および/または非推進負荷)に向かってもよい。任意選択で、一部の電気エネルギーは、1つ以上の異なる車両負荷に向かってもよく、一部の電気エネルギーは、抵抗グリッドで散逸されてもよい。
【0047】
電力システムは、(
図7に示されているモータおよびインバータ装置に対応する)モータ(例えば、トラクションモータ)およびインバータ装置を含んでもよい。インバータ装置は、車両システムの発電制動によって生成される、モータからの電気エネルギーを受電する。電力システムは、エネルギー蓄積装置、抵抗グリッドおよび/または車両負荷、ならびに、抵抗グリッドおよび/または車両負荷に電気的に連結された補機インバータ(318)を含んでもよい。
【0048】
電力システムは、インバータ装置と、エネルギー蓄積装置と、抵抗グリッドおよび/または車両負荷との間に配置された可変抵抗部品(320)を含んでもよい。1以上の実施形態では、可変抵抗部品は、チョッパまたはチョッパ回路と呼ばれてもよい。可変抵抗部品は、インバータ装置からエネルギー蓄積装置または抵抗グリッドおよび/もしくは車両負荷の一方または両方への電気エネルギーの流通方向を制御する。例えば、可変抵抗部品は、エネルギー蓄積装置の方に電気エネルギーの第1の部分(352)を向けてもよく、ならびに/または、抵抗グリッドおよび/もしくは車両負荷の方に電気エネルギーの第2の部分(354)を向けてもよい。可変抵抗部品は、1つ以上の異なる作動モードで作動して、インバータ装置からの電気エネルギーの流通方向を制御してもよい。可変抵抗部品の作動モードおよび電気エネルギーによって生じる流通方向は、インバータ装置からの電気エネルギーの量、インバータ装置からの電気エネルギーの伝送速度(例えば、インバータ装置から電気エネルギーが向かう速度)、または、エネルギー蓄積装置の1つ以上の特性(例えば、エネルギー蓄積装置の充電状態、エネルギー蓄積装置が保持し得るエネルギーの総量、エネルギー蓄積装置の製造(make)および/もしくは型、エネルギー蓄積装置の使用年数、またはエネルギー蓄積装置が電気エネルギーを受電し得る速度など)に基づいてもよい。
【0049】
1以上の実施形態では、電力システムは、エネルギー蓄積装置と電気的に連結されたバンク装置(図示せず)を含んでもよい。バンク装置は、燃料電池、コンデンサバンク、あるいはエネルギー蓄積装置の方に向かう電気エネルギーを一時的に受電して保持し得る他の蓄積装置であってもよい。例えば、バンク装置は、可変抵抗部品とエネルギー蓄積装置との間に配置されてもよい。バンク装置は、可変抵抗部品から電気エネルギーを受電してもよく、エネルギー蓄積装置向けの電気エネルギーを蓄積、保持または維持などしてもよい。バンク装置は、エネルギー蓄積装置の充電状態が所定の閾値に達するのに応じて、少なくとも一部の電気エネルギーをエネルギー蓄積装置の方に向けてもよい。例えば、エネルギー蓄積装置は、それ以上の電気エネルギーの受電を妨げる、充電状態および/またはエネルギー量を有してもよい。バンク装置は、エネルギー蓄積装置の充電状態が低下して所定の閾値になり、エネルギー蓄積装置がそれ以上の電気エネルギーを受電することが可能になるか、および/または、受電することができるようになることが示されるまで、一部の電気エネルギーを一時的に保持するか、またはこれを維持してもよい。
【0050】
図9は、一実施形態による、
図8に示されている電力システムの概略のグラフ(500)を図示する。グラフは、車両システムの1つ以上の作動条件に基づいてエネルギー蓄積装置および/または抵抗グリッド/車両負荷間の電気エネルギーの配電を図示する。グラフは、機関車の移動速度(例えば、マイル/時間)を表す水平軸(504)、電力増加を表す第1の垂直軸(502)、および、可変抵抗部品のデューティサイクルの増加パーセンテージを表す第2の垂直軸(506)を含んでもよい。
【0051】
データ線(520)は、可変抵抗部品のデューティサイクルを表す。デューティサイクルは、抵抗グリッドおよび/または車両負荷の方に向かう電気エネルギーの量を判断するために使用されてもよい。コントローラは、複数の要因に基づいて可変抵抗部品のデューティサイクルを計算してもよい。第1に、抵抗グリッドおよび/または車両負荷で散逸されると予想される電力は、車両システムの発電制動によって生成される電力の量、エネルギー蓄積装置の充電用電流、およびエネルギー蓄積装置の電圧に基づいてもよい。デューティサイクルは、グリッドで散逸されると予想される電力、エネルギー蓄積装置の充電用電流、エネルギー蓄積装置の電圧、グリッド抵抗、エネルギー蓄積装置の内部抵抗、および電力システムのあらゆるさらなる浮遊抵抗に基づいてもよい。
【0052】
データ線(536)は、バッテリの電圧レベルおよびDCリンクの電圧を表し、ここで、バッテリの電圧レベルは、電力システムのDCリンクの電圧と(5%以内で)実質的に等しい。データ線(538)は、車両システムの発電制動によって生成された電気エネルギー(例えば、制動力)を表す。データ線(542)は、エネルギー蓄積装置(例えば、エネルギー蓄積装置充電用電力)の方に向かう電気エネルギーの量を表す。データ線(540)は、車両システムの抵抗グリッドおよび/または車両負荷の方に向かう電気エネルギーの量を表す。
【0053】
図8に示されている電力システムは、抵抗グリッドおよび/または車両負荷よりもエネルギー蓄積装置を優先する。例えば、電力システムは最初に、すべての電気エネルギーをエネルギー蓄積装置の方に向け、続いて、エネルギー蓄積装置の充電状態が所定の閾値に達するのに応じて、電気エネルギーの一部を抵抗グリッドおよび/または車両負荷の方に向けてもよい。例えば、例示されている実施形態では、移動速度S
2から速度S
3までは、可変抵抗部品は、第1の作動モードで作動し、電力システムは、電気エネルギーのすべてをエネルギー蓄積装置の方に向ける。速度S
3から増加した速度では、可変抵抗部品は、第1の作動モードから作動モードを変更し、第2の作動モードで作動し、電力システムは、電気エネルギーの第1の部分をエネルギー蓄積装置の方に向け、同時に、電気エネルギーの第2の部分を抵抗グリッドおよび/または車両負荷の方に向ける。第1の部分および/または第2の部分以内の電気エネルギーの量は、車両システム、エネルギー蓄積装置、抵抗グリッドおよび/または車両負荷などの1つ以上の要因および/または特性に基づいてもよい。
【0054】
デューティサイクルについては、エネルギー蓄積装置の方に向かう第1の部分の電気エネルギーの量、ならびに、抵抗グリッドおよび/または車両負荷の方に向かう電気エネルギーの量を判断してもよく、あるいは少なくともその要因となってもよい。第1の部分の電気エネルギーの量(例えば、エネルギー蓄積装置の方に向かうもの)は、車両システムの発電制動(例えば、車両システムの発電制動によって生成される電力の量)、エネルギー蓄積装置の充電状態(例えば、エネルギー蓄積装置の充電用電流)、またはエネルギー蓄積装置の種類または分類(例えば、エネルギー蓄積装置のあるモデルは、別のエネルギー蓄積装置の別のモデルよりも大きい充電容量を有してもよく、あるいはあるモデルは、当該モデルが受電することができる電気エネルギーの伝送速度が、エネルギー蓄積装置の別のモデルの伝送速度とは異なってもよいなど)などの変化に基づいてもよい。1以上の実施形態では、エネルギー蓄積装置の総量および/または伝送速度は、エネルギー蓄積装置の充電状態に基づいてもよく、エネルギー蓄積装置の充電状態は、車両システムの作動中に変化してもよい。例えば、ネルギー蓄積装置内に蓄積された電流の一部は、車両システムの1つ以上のシステム(推進システムおよび/または非推進システム)内で使用されるので、充電状態(例えば、エネルギー蓄積装置内に蓄積された電流の量)が減少する場合がある。
【0055】
一実施形態では、コントローラは、下式に基づいて、抵抗グリッドおよび/または車両負荷の方に向かう電気エネルギーの量を判断および/または計算してもよい。
【0056】
【0057】
式1では、Pgは、抵抗グリッドの電力を表し、Pbrakeは、データ線(538)によって示される総電気エネルギー(例えば、制動力)を表し、Pbは、エネルギー蓄積装置(例えば、バッテリ)の電力を表す。エネルギー蓄積装置の許容可能な容量(例えば、Pb)が制動力(Pbrake)未満である場合は、式1を使用して、車両システムの抵抗グリッドおよび/または車両負荷に向かう電気エネルギーの量を判断してもよい。例えば、エネルギー蓄積装置は、車両システムに搭載されている1つ以上のシステム(例えば、推進システムおよび/または非推進システムなど)に電力を供給するために使用される所定の量の電気エネルギーを含有または保留することができてもよい。
【0058】
代わりに、コントローラは、可変抵抗部品の作動モードを変更して、流通方向を変更したり、可変抵抗部品の作動モードがインバータ装置から受電する電気エネルギーの総量に基づいてエネルギー蓄積装置または抵抗グリッドおよび/もしくは車両負荷のうちの一方または両方に向かう電気エネルギーの量を変更したり、車両システムの発電制動の変化に応じて変化する電気エネルギーの総量を変更してもよい。例えば、電気エネルギーの総量は、エネルギー蓄積装置の許容可能な容量未満である場合は、抵抗グリッドおよび/または車両負荷の方に向かう電気エネルギーの量は、下式に基づいてもよい。
【0059】
【0060】
式2では、Dは、可変抵抗部品(例えば、電力システムのチョッパ)のデューティサイクルを表し、V
battは、エネルギー蓄積装置の電圧を表し、R
gridは、抵抗グリッドおよび/または車両負荷の抵抗を表す。
図8に示される電力システムは、エネルギー蓄積装置の方に電気エネルギーを向かわせることを優先し、二次的に、車両システムの抵抗グリッドおよび/または車両負荷の方に電気エネルギーの一部を向かわせる。加えて、デューティサイクルのパーセンテージが増加するにつれて(例えば、車両システムの移動速度の増加)、抵抗グリッドおよび/または車両負荷の方に向かう電気エネルギーの量または割合が増加する。例えば、抵抗グリッドおよび/または車両負荷の方に向かう電気エネルギーの量は、エネルギー蓄積装置の方に向かう電気エネルギーの量が変化することに応じて変化してもよい。
【0061】
1以上の実施形態では、車両システムのコントローラは、車両システムの発電制動によって生成される電気エネルギーの総量および/またはエネルギー蓄積装置の充電状態を監視してもよい。任意選択で、コントローラは、自動的に(例えば、操作者による入力なしで)可変抵抗部品の作動を制御して、可変抵抗部品の作動モードを変更してもよい。可変抵抗部品の作動モードを変更することによって、電気エネルギーの流通方向を変更するか、エネルギー蓄積装置の方に向かう電気エネルギーの量を変更するか、ならびに/または、車両システムの抵抗グリッドおよび/もしくは車両負荷の方に向かう電気エネルギーの量を変更する。
【0062】
一実施形態では、コントローラは、可変抵抗部品の作動を制御して、第1の作動モードで作動させ、エネルギー蓄積装置の方に電気エネルギーのすべてを向かわせてもよい。別の実施形態では、コントローラは、可変抵抗部品の作動を制御して、第2の作動モードで作動させ、少なくとも一部の電気エネルギーをエネルギー蓄積装置の方に向かわせ、少なくとも一部の電気エネルギーを抵抗グリッドまたは車両負荷の一方または両方の方に向かわせてもよい。可変抵抗部品が第2の作動モードで作動している間にエネルギー蓄積装置の方に向かう電気エネルギーの量は、エネルギー蓄積装置の充電状態、またはインバータ装置からの電気エネルギーの量などに基づいて変化してもよい。別の実施形態では、コントローラは、可変抵抗部品の作動を制御して、第3の作動モードで作動させ、電気エネルギーのすべてを抵抗グリッドまたは車両負荷の方に向かわせるか、あるいは一部の電気エネルギーを抵抗グリッドに向かわせ、一部の電気エネルギーを車両負荷の方に向かわせてもよい。
【0063】
コントローラは、電気エネルギーの総量が変化したり、所定の閾値を上回ったり、または所定の下限閾値を下回って減少したりするのに応じて可変抵抗部品の作動モードを変更してもよい。任意選択で、コントローラは、車両システム(例えば、搭載されている車両システムおよび/または搭載されていない車両システム)の操作者に対して、可変抵抗部品の作動モードを変更する必要があることを示してもよい。任意選択で、コントローラは、操作者に対して、可変抵抗部品の作動モードを手動で変更する方法を指示してもよい。
【0064】
図10を参照すると、方法(1000)は、少なくとも1つのエネルギー蓄積装置が車両システムに搭載されて配置されている、複数のエネルギー蓄積装置のうちの2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送を制御する工程(1010)を含む。方法は、伝送に対する伝送制約を識別する工程(1020)と、伝送制約に少なくとも部分的に基づいて伝送特性を変更する工程(1030)とを含む。
【0065】
図11を参照すると、方法(1100)は、1つ以上の第1の車両システムに搭載されて配置されている1つ以上の第1のエネルギー蓄積装置と、1つ以上の第2の車両システムに搭載されている第2のエネルギー蓄積装置および/または1つ以上の車両システムに搭載されていないエネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送を監視する工程(1110)を含む。一例によると、ディーゼル機関車または燃料電池システムを有する車両などの、搭載されている電力発電機を有する第1の車両と、バッテリ電気機関車などの、搭載されているエネルギー蓄積装置を有する第2の車両との間の電気エネルギーの伝送を監視する。方法は、(a)1つ以上の第1の車両システムから第2の車両システムおよび/もしくはエネルギー伝送変電所への電気エネルギーの伝送、または(b)エネルギー伝送変電所から1つ以上の第1の車両システムおよび/もしくは第2の車両システムに搭載されている1つ以上の第1のエネルギー蓄積装置および/もしくは第2のエネルギー蓄積装置への電気エネルギーの伝送のうちの1つ以上に対する伝送制約を識別する工程(1120)を含む。方法は、1つ以上の第1の車両システムおよび/または第2の車両システムに搭載されている1つ以上の第1のエネルギー蓄積装置および/または第2のエネルギー蓄積装置とエネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送量または伝送速度のうちの1つ以上を、伝送制約に基づいて変更する工程(1130)を含む。エネルギーの伝送速度は、例えば、電力の可否、費用および予想需要量に基づいてもよい。エネルギーの伝送速度は、例えば、予定および/または契約規定によって判断された車両システムの優先度に従ってもよい。
【0066】
エネルギー伝送変電所から車両システムへの電気エネルギーの伝送に対する制約が複数存在してもよい。電気エネルギーの伝送は、例えば、ケーブルまたは導電経路の限界に起因する限界によって、制限され得る。車両間、あるいは車両(複数可)とグリッド(複数可)との間でどれだけのエネルギーが伝送されるかを制限するワイヤ、ケーブルおよび/または電源線に対する制約は、車両間および/またはグリッド(複数可)と車両との間にある導電経路に沿った正温度係数(positive temperature coefficient、PTC)材料を含んでもよい。このPTC材料は、温度と共に変化する抵抗または低効率を有することができる。例えば、当該材料は、材料の温度が上昇するにつれて、電流に対して耐性を上昇させることができる。これによって、材料および/または周囲環境の温度が高くなると、電流の流通を減少、制限、あるいは制御することができる。
【0067】
電気エネルギーの伝送は、例えば、車両システムに搭載されているエネルギー蓄積装置と、搭載されていないエネルギー蓄積装置との両方の使用年数または容量によって制約され得る。エネルギー伝送変電所の使用年数または容量は、電気エネルギーの伝送に対する制約として機能し得る。温度および/または湿度などの環境要因は、電気エネルギーの伝送を制約し得る。1つ以上の他の車両システムの電気エネルギーの需要は、車両システムまたは他の車両システムへの電気エネルギーの伝送を制約し得る。施設は、1つ以上の車両システムに電気エネルギーを伝送することしかできず、受電できない1つ以上のエネルギー伝送変電所を含んでもよい。
【0068】
どの車両システムへの電気エネルギーの伝送も、当該伝送を優先することによって制約されてもよい。例えば、車両システムは、先入れ先出し(first in first out、FIFO)の予定によって電気エネルギーの伝送を受けてもよい。別の一例として、車両システムのうちの1つ以上は、契約上の納期に基づいて、あるいは車両システムの分類の種類によって、電気エネルギーの伝送を受けてもよい。例えば、旅客車両システムは、貨物車両システムの前に電気エネルギーの伝送を受けてもよい。車両システムは、目的地または分類を有してもよく、これには、例えば、いつおよび/またはどのように車両システムが電気エネルギーの伝送を受けるかの指標となるスタンダードまたはプレミアムが含まれる。管制センタは、いくつかの要因に基づいて、施設にある異なる車両システムの中で電気エネルギーの伝送を優先してもよい。これらの要因は、例えば、待機時間、納期、貨物の種類および/または次の運行詳細を含んでもよい。車両システムは、伝送制約を通信してもよい(例えば、TRIP OPTIMIZER(TO)システム(Wabtec Corporationから市販されている)または分散型パワー(Distributed Power、DP)(LocoTROL DPは、Wabtec Corporationから市販されている)または編成管理機(Consist Manager、CM)(CONSIST MANAGERシステムは、Wabtec Corporationから市販されている)。車両システムは、正の車両操作(Positive Vehicle Control)システム(例えば、正の列車制御(Positive Train Control、PTC)I-ETMSは、Wabtec Corporationから市販されている)を使用して、伝送制約を通信してもよい。車両は、搭載されている通信システムおよび/または搭載されていない通信システムを使用して通信してもよい。通信は、車両間、沿線機器と車両との間、および、車両とバックオフィスシステムとの間であってもよい。
【0069】
管制センタは、施設に到着する予定である1つ以上の車両システムと通信して、当該1つ以上の車両システムの充電の必要性を判断してもよい。管制センタは、例えば、これから到着する1つ以上の車両システムの大きさ、運搬貨物、当該1つ以上の車両システムが走行する次の地形に起因して、当該1つ以上の車両システムの要求を計算してもよい。管制センタは、例えば、施設にある1つ以上の車両システムおよび/または施設に到着する予定である車両システムの車両優先度、貨物量および/または重量、次の運行詳細(勾配、カーブ、予定到着時間など)に基づいて、これから到着する車両のエネルギーの需要量を判断または計算してもよい。管制センタは、次の需要量が非常に大きいと判断または計算する場合は、これから入ってくる需要量が高い車両システムのために、施設に既にある優先度が低い車両システムから、エネルギー伝送変電所にエネルギーを蓄積してもよい。管制センタは、施設にこれから到着する車両システムと、到着時の電力の伝送に対する制約となり得るいかなる制約についても通信してもよく、これから到着する車両システムは、作動を変更して、制約に基づいてエネルギーの使用を管理してもよい。管制センタは、施設にある車両システムと、電力の伝送に対する制約となり得るいかなる制約についても通信してもよく、それによって、車両システムは、施設から出発する前に所要充電を管理することができる。
【0070】
管制センタは、各エネルギー源の費用または価格を判断および/または計算してもよい。費用または価格は、時変的な性質を含んでもよい。例えば、管制センタは、各エネルギー源の費用または価格が、ピークの電力需要量および/または電気エネルギーの伝送中に利用可能な再生可能エネルギーなどの他の供給源からのエネルギーの可否に応じて変動することを判断または計算してもよい。管制センタは、施設で電気エネルギーの伝送を受ける車両システムの所有者および/または操作者の口座に請求するか、または引き落としてもよい。
【0071】
エネルギーの費用または価格は、到着する予定である車両システムに通信されてもよく、到着する予定である車両システムは、価格または費用を考慮して作動を変更してもよい。例えば、1つ以上の車両システムは、施設で必要とするエネルギーの量を減らすために、搭載しているエネルギー蓄積装置(例えば、バッテリシステム)がより高い充電状態で施設に到着するように、推進システムまたは補機システムに提供されるエネルギーの量を変更してもよい。
【0072】
一例によると、単一の車両を含む車両システムは、エネルギー伝送変電所を有する施設のサービスエリアに入り、管制センタは、(a)エネルギー伝送変電所および/もしくは当該変電所の電気接続部(例えば、ケーブル)の使用年数および/もしくは容量に基づいて車両システムへの電気エネルギーの伝送を制御するか、(b)車両システムに搭載されているエネルギー蓄積装置の使用年数および/もしくは容量に基づいて電気エネルギーの伝送を制御するか、(c)電気エネルギーの費用および/もしくは価格に基づいて車両システムへの電気エネルギーの伝送を制御するか、ならびに/または(d)エネルギー伝送変電所および/もしくは当該変電所の電気接続部の使用年数および/もしくは容量、車両システム(複数可)に搭載されているエネルギー蓄積装置(複数可)の使用年数および/もしくは容量、および/もしくは、電気エネルギーの価格および/もしくは費用に基づいて、電気事業者、地域内電力発電機および/もしくは現場エネルギー蓄積装置に電気エネルギーを伝送して戻す。
【0073】
一例によると、単一の車両を含む車両システムは、施設に入り、当該施設には、複数の他の車両システムが存在する。管制センタは、上述のように(a)~(d)に従って作動してもよい。加えて、単一の車両は、上述のように(a)~(d)に従って複数の車両システムのうちのいずれかに電気エネルギーを伝送してもよい。
【0074】
一例によると、複数の車両を含む車両システムは、エネルギー伝送変電所を含む施設に入る。管制センタは、上述の(a)~(d)に従って作動してもよい。管制センタは、(e)車両システムに搭載されているエネルギー蓄積装置の制約、使用年数および/または容量に基づいて電気エネルギーの伝送を制御してもよい。例えば、搭載されている電気接続部(例えばケーブル)は、電気エネルギーを伝送する容量がより高くてもよく、したがって、複数車両システムの第1の車両に接続されたエネルギー伝送変電所の電気接続部(例えばケーブル)から、電気エネルギーがわずかしか奪われずにすんでもよく、複数車両システムの第2の車両に接続されたエネルギー伝送変電所の別の電気接続部(例えばケーブル)からは、より多くの電気エネルギーが奪われてもよい。伝送は、複数車両システムの第2の車両から第1の車両に一部の電気エネルギーを送電する、搭載されている電気接続部(例えばケーブル)を含んでもよい。伝送は、複数車両システムの他の車両に対して実行されることもできる。管制センタは、(f)複数車両システムの異なる車両に搭載されているエネルギー蓄積装置(例えばバッテリ)間に搭載されている電気接続部(例えばケーブル)の伝送制約、使用年数および/または容量に基づいて、複数車両システムから電気事業者、地域内電力発電機および/または現場エネルギー蓄積装置への電気エネルギーの伝送を制御してもよい。例えば、搭載されているケーブルは、電流を伝送する容量がより高くてもよく、したがって、車両システムと電気事業者との間にある弱いケーブルを使用しては電流が施設にわずかしか伝送されないか、または電流がまったく伝送されず、代わりに、車両システムからステーションまでにある強いケーブルおよび/または高容量ケーブルを使用して車両システムから施設に電流を伝送する。
【0075】
一例によると、複数車両システムは、エネルギー伝送変電所と、施設内に複数の他の単一車両または複数車両システムとがある施設に入る。管制センタは、上述の(a)~(f)に従って作動してもよい。
【0076】
一例によると、接近する車両システムの移動は、当該車両から別の車両(複数可)および/またはグリッド(複数可)に取り込まれて流通されるエネルギーの量を増やすように制御されてもよい。車両システムは、惰性走行した後施設に停止するのではなく、車両システムは、より高速で施設に接近し、発電制動を介して(惰性走行した後停止するのに比べて)より強く動的に制動してより多くのエネルギーを再生成してもよい。施設へと惰性走行するか、より速く到着してより強く制動するかの判断は、より高速で接近し、より強く動的に制動することによって生じるさらなるエネルギーを受電する、グリッド(複数可)および/または施設にあるエネルギー蓄積装置の能力に基づいてもよい。施設への接近方法の判断は、架線または第3のレールが利用可能であり、車両システムが利用可能な架線または第3のレールへの接続を有する場合は、(搭載されているエネルギー蓄積装置が受電できるのを上回る)電力を架線または第3のレールに除荷する容量が存在するかに基づいてもよい。
【0077】
バッテリ無搭載型の電気車両(例えばバッテリ搭載型の電気機関車、すなわちBEL)にシステム(例えばキット)が追加されて、施設に接近中に得られた発電制動力を開放し、システムまたはキットが後付けされた車両が、より速く接近し、より強く動的に制動してもよい。これらの車両は、グリッドのみが搭載されていてもよく、したがって、効率的に、これらの車両に、追加されたシステムまたはキットを通して発電制動によって生成されたエネルギーを100%取り込むことを試み得る。
【0078】
図12を参照すると、管制センタおよび車両システムのコントローラは、種々の演算装置、サーバ、処理ユニットおよびシステムに実装されてもよく、ここで、これらの演算装置、サーバ、処理ユニットおよびシステムは、プログラミング命令、およびコードなどのコンピュータ可読命令を格納および実行する、適切な処理機構およびコンピュータ可読媒体を含む。演算装置、サーバ、処理ユニットおよびシステムは、異なる場所に位置してもよい。例えば、ある車両システムに搭載されているコンピュータ(複数可)は、搭載されていないコンピュータ(複数可)または別の車両システムに搭載されているコンピュータ(複数可)と調整してもよい。
図9に示されるように、コンピューティングシステム環境(902)には、コンピュータ(900、944)が提供される。コンピューティングシステム環境(902)は、適切に作動し、コードを実行し、データを作成して通信するための部品を有する少なくとも1つのコンピュータを含んでもよいが、これに限定されない。例えば、コンピュータは、適切なデータ形態および形式で受信したコンピュータベースの命令を実行し得る処理ユニット(904)(1つ以上のプロセッサを有する)を含んでもよい。処理ユニットは、順次に、並行して、あるいはコンピュータベースの命令を適切に実施するためのいずれかの他の方法でコードを実行する1つ以上のプロセッサの形態であってもよい。
【0079】
コンピュータの様々な部品間の適切なデータ通信および情報処理を促進するために、システムバス(906)が利用される。システムバスは、様々な種類のバス構造のうちのいずれであってもよく、これには、種々のバス構造のうちのいずれかを使用したメモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バスまたはローカルバスが含まれる。以下で論じるように、システムバスは、様々なインターフェースを通して(コンピュータ内部または外部に関わらない)様々な部品間のデータ通信および情報通信を促進してもよい。
【0080】
コンピュータは、種々の別個のコンピュータ可読媒体部品を含んでもよい。例えば、これらのコンピュータ可読媒体は、コンピュータによってアクセスすることができる、揮発性媒体、不揮発性媒体、取り外し可能な媒体、取り外し不可能な媒体などのような何らかの媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報の記録のためのいずれかの方法もしくは技術で実施される媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能でプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、または他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、または他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶装置、あるいは、所望の情報を記憶するのに使用することができ、かつ、コンピュータ(900)によってアクセスすることができるいずれかの他の媒体などのコンピュータ記憶媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体はさらに、他の搬送機構におけるコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータをなどの通信媒体を含んでもよく、いずれかの情報配信媒体、有線媒体(有線ネットワークおよび直接的な有線接続など)および無線媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、一過性の伝搬信号を除き得るすべての機械可読媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体の範囲内には、上記のうちのいずれかの組み合わせも含まれる。
【0081】
コンピュータは、ROMおよびRAMなどの揮発性メモリおよび不揮発性メモリの形態のコンピュータ記憶媒体を備えるシステムメモリ(908)を含んでもよい。適切なコンピュータベースのルーチンを有する基本入/出力システム(BIOS:basic input/output system)が、コンピュータ内の部品間の情報転送を支援し、ROMに記録される。システムメモリのRAM部分は、処理ユニットにアクセス可能であるか、あるいは処理ユニットによって現在作動されているデータおよびプログラムモジュール、例えば、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラムインターフェース、アプリケーションプログラム、プログラムモジュール、プログラムデータおよび他の命令ベースのコンピュータ可読コードを含む。
【0082】
コンピュータは、他の取り外し可能または取り外し不可能な揮発性または不揮発性コンピュータ記憶媒体製品を含んでもよい。例えば、コンピュータは、ハードディスクドライブ(912)と通信してこれを制御する取り外し不可能なメモリインターフェース(910)、すなわち、取り外し不可能な不揮発性磁気媒体、ならびに、磁気ディスクドライブユニット(916)と通信してこれを制御する取り外し可能な不揮発性メモリインターフェース(914)(取り外し可能な不揮発性磁気ディスク(918)から読み出して書き込むもの)、光ディスクドライブユニット(920)(CD ROMなどの取り外し可能な不揮発性光ディスク(922)から読み出して書き込むもの)、取り外し可能なメモリカードと接続して使用するためのユニバーサルシリアルバス(USB)ポート(921)などを含んでもよい。取り外し可能または取り外し不可能、揮発性または不揮発性コンピュータ記憶媒体は、磁気カセットテープ、DVD、デジタルビデオテープ、ソリッドステートRAM、ソリッドステートROMなどを含むがこれらに限定されない、例示的なコンピューティングシステム環境で使用されることができる。これらの様々な取り外し可能または取り外し不可能、揮発性または不揮発性磁気媒体は、システムバスを介してコンピュータの処理ユニットおよび他の部品と通信状態にある。ドライブおよびこれらに関連するコンピュータ記憶媒体は、コンピュータ(900)のオペレーティングシステム、コンピュータ可読命令、アプリケーションプログラム、データ構造、プログラムモジュール、プログラムデータ、および他の命令ベースのコンピュータ可読コードの記録を実現する(システムメモリにある、この情報およびデータの重複か否かに関わらない)。
【0083】
ユーザは、ユーザ入力インターフェース(928)を介して、キーボード(924)、マウス(926)などの特定の取り付け可能または動作可能な入力装置を通してコンピュータに命令、情報およびデータを入力してもよい。ユーザは、施設の管制センタにいてもよい。ユーザは、施設にある車両システムに乗車していてもよく、あるいは施設に行く途中の車両システムに乗車していてもよい。外部ソースからコンピュータへデータおよび情報を入力するのを容易にするいずれかの装置を含む、例えば、マイクロホン、トラックボール、ジョイスティック、タッチパッド、タッチスクリーン、スキャナなどの種々の入力装置が利用されてもよい。入力装置は、システムバスに連結されたユーザ入力インターフェースを通して処理ユニットに接続されるが、パラレルポート、ゲームポートまたはユニバーサルシリアルバス(USB)などの他のインターフェースおよびバス構造によって接続されてもよい。データおよび情報は、モニタ(930)(この情報およびデータを電子的な形で視覚的に表示する)、プリンタ(932)(この情報およびデータを印刷の形で物理的に表示する)、スピーカ(934)(この情報およびデータを可聴的な形で可聴的に提示する)などの特定の出力装置を通して分かりやすい形または形式でユーザに提示または提供されてもよい。出力装置はすべて、システムバスに連結された出力インターフェース(936)を通してコンピュータと通信状態にある。周辺出力装置のいずれかが、情報およびデータをユーザに提供してもよい。
【0084】
コンピュータは、コンピュータと一体化されているか、コンピュータから離れている通信装置(940)の使用を通してネットワーク環境(938)で作動してもよい。この通信装置は、通信インターフェース(942)を通してコンピュータの他の部品によって作動可能であり、コンピュータの他の部品と通信状態にある。このような装置を使用することで、コンピュータは、リモートコンピュータ(944)などの1つ以上のリモートコンピュータと接続しているか、あるいは通信状態にあってもよい。リモートコンピュータは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、サーバ、ルータ、ネットワークパーソナルコンピュータ、ピア装置、または他の共通ネットワークノードであってもよい。例えばモデム、ネットワークインターフェースまたはアダプタなどの適切な通信装置を使用することで、コンピュータは、ネットワーク内で作動し、ネットワークを通して通信してもよい。好適なネットワークには、ローカルエリアネットワーク(LAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN)を含んでもよいが、用途限定の基準に基づいて選択される仮想プライベートネットワーク(VPN)、メッシュネットワーク、CANバスなどの他のネットワークが含まれてもよい。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「プロセッサ」および「コンピュータ」ならびに関連用語、例えば、「処理装置」、「演算装置」および「コントローラ」は、当該技術分野においてコンピュータと呼ばれる集積回路のみに限定されず、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、および特定用途向け集積回路、および他のプログラマブル回路を指してもよい。好適なメモリには、例えば、コンピュータ可読媒体が含まれてもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリなどのコンピュータ可読不揮発性媒体などでもよい。用語「非一時的コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールおよびサブモジュール、またはいずれかの装置にある他のデータなどの情報を短期記憶および長期記憶するために実装される、有形のコンピュータベースの装置を表す。したがって、本明細書に記載される方法は、記憶装置および/またはメモリ装置を含むがこれらに限定されない、有形の非一時的コンピュータ可読媒体に具現化される実行可能な命令としてコードされてもよい。このような命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載される方法の少なくとも一部を実施させる。このように、当該用語は、揮発性および不揮発性媒体、ならびに、ファームウェア、物理的記憶装置および仮想記憶装置、CD-ROM、DVDおよびネットワークまたはインターネットなどの他のデジタルソースなどの取り外し可能および取り外し不可能な媒体を含むがこれらに限定されない、非一時的コンピュータ記憶装置を含むがこれらに限定されない、有形のコンピュータ可読媒体を含む。
【0086】
一実施形態では、本明細書に記載されるコントローラまたはシステムは、ローカルデータ収集システムが展開されてもよく、機械学習を使用して、導出に基づく学習成果を可能にしてもよい。コントローラは、データ駆動型予測を行い、データのセットにしたがって適応することによって、データのセット(様々なセンサによって提供されるデータを含む)から学習し、決定を行ってもよい。実施形態では、機械学習は、教師付き学習、教師なし学習および強化学習などの機械学習システムによって複数の機械学習タスクを実行することを含んでもよい。教師付き学習は、例示的な入力および所望の出力のセットを機械学習システムに提示することを含んでもよい。教師なし学習は、パターン検出および/または特徴学習などの方法によってその入力を構造化する学習アルゴリズムを含んでもよい。強化学習は、機械学習システムが動的環境で実行し、次いで、正しい判定および正しくない判定に関するフィードバックを提供することを含んでもよい。例では、機械学習は、機械学習システムの出力に基づく複数の他のタスクを含んでもよい。例では、タスクは、分類、回帰、クラスタリング、密度推定、次元縮小、および異常検出などの機械学習問題であってもよい。例では、機械学習は、複数の数学的および統計的技術を含んでもよい。例では、多くの種類の機械学習アルゴリズムは、決定木に基づく学習、相関ルール学習、深層学習、人工ニューラルネットワーク、遺伝子学習アルゴリズム、帰納的論理プログラミング、サポートベクターマシン(SVM)、ベイジアンネットワーク、強化学習、表現学習、ルールベースの機械学習、疎な辞書学習、類似性メトリック学習、学習分類子システム(LCS)、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、K平均法、勾配ブースト、K最近傍(KNN)、およびアプリオリアルゴリズムなどを含んでもよい。実施形態では、特定の機械学習アルゴリズムが使用されてもよい(例えば、自然選択に基づき得る拘束最適化問題と非拘束最適化問題との両方を解決するため)。一例では、アルゴリズムは、いくつかの部品が整数値に制限されている、混合整数計画法の問題に対処するために使用されてもよい。アルゴリズムならびに機械学習技術およびシステムは、計算インテリジェンスシステム、コンピュータビジョン、自然言語処理(NLP)、推奨システム、強化学習、およびグラフィカルモデルの構築などで使用されてもよい。一例では、機械学習は、判断、計算、比較および行動分析などを行うために使用されてもよい。
【0087】
一実施形態では、コントローラは、1つ以上のポリシーを適用し得るポリシーエンジンを含んでもよい。これらのポリシーは、設備または環境の所与の項目の特性に少なくとも部分的に基づいてもよい。制御ポリシーについては、ニューラルネットワークは、複数の環境パラメータおよびタスク関連パラメータの入力を受信することができる。これらのパラメータは、例えば、操作設備に関する操作入力、様々なセンサからのデータ、場所および/または位置データなどを含んでもよい。ニューラルネットワークは、これらの入力に基づいて出力を生成するように訓練されてもよく、出力は、設備またはシステムが作動目的を達成するために取るべき動作または一連の動作を表す。一実施形態の作動中において、ニューラルネットワークのパラメータを通して入力を処理することによって判断を生じさせ、出力ノードで値を生成し、その動作を所望の動作として指定することができる。この動作は、車両を作動させる信号に変わってもよい。これは、バックプロパゲーション、フィードフォワードプロセス、クローズドループフィードバック、またはオープンループフィードバックを介して達成されてもよい。代わりに、バックプロパゲーションを使用するのではなく、コントローラの機械学習システムが、進化戦略技術を使用して、人工ニューラルネットワークの様々なパラメータを調整してもよい。コントローラは、バックプロパゲーションを使用しても常に解決可能でない場合がある関数、例えば、非凸関数を有するニューラルネットワークアーキテクチャを使用してもよい。一実施形態では、ニューラルネットワークは、そのノード接続の重みを表すパラメータのセットを有する。このネットワークのコピーが複数生成され、次いで、パラメータに異なる調整がなされ、シミュレーションがなされる。様々なモデルからの出力が取得されると、成功メトリックと判断されたものを使用して、パフォーマンスに基づいて評価されてもよい。最良のモデルが選択され、車両コントローラは、その計画を実行して、予測される最良の結果シナリオをミラーリングするために所望の入力データを達成する。加えて、成功メトリックは、互いに重み付けされ得る最適化された結果の組み合わせであってもよい。
【0088】
コントローラは、複数のエネルギー蓄積装置のうちの2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送を制御してもよい。少なくとも1つのエネルギー蓄積装置は、車両システムに搭載されて配置されてもよい。コントローラは、伝送に対する伝送制約を識別し、伝送制約に少なくとも部分的に基づいて伝送特性を変更してもよい。
【0089】
伝送制約は、(A)車両システムに電気エネルギーを伝送する電気エネルギー伝送変電所、または(B)電気エネルギー変電所から車両システムへの電気接続部の電圧限界または電流限界であってもよい。伝送制約は、搭載されている少なくとも1つのエネルギー蓄積装置の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上であってもよい。伝送制約は、電気エネルギーの1つ以上の供給源からの電圧可用性または電流可用性のうちの1つ以上であってもよい。伝送制約は、電気エネルギーの費用または価格のうちの1つ以上であってもよい。伝送制約は、1つ以上の環境条件であってもよい。伝送制約は、2つ以上のエネルギー蓄積装置の優先順位であってもよい。伝送特性は、2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送量または伝送速度のうちの1つ以上であってもよい。第1のエネルギー蓄積装置は、車両システムに搭載されていてもよく、第2のエネルギー蓄積装置は、車両システムに搭載されていなくてもよい。第1のエネルギー蓄積装置は、第1の車両システムに搭載されていてもよく、第2のエネルギー蓄積装置は、第2の車両システムに搭載されていてもよい。2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送は、電気事業者の大規模電力網、電気事業者の小規模電力網、車両システム、または他の車両システムのうちの1つ以上を通して行われてもよい。
【0090】
優先順位は、優先要因に少なくとも部分的に基づいてもよい。優先要因は、2つ以上のエネルギー蓄積装置が電気エネルギーの伝送を開始する順序、2つ以上のエネルギー蓄積装置が電気エネルギーの伝送を受け取る予定、2つ以上のエネルギー蓄積装置の各々が必要とする充電、車両システムの作動中における電気エネルギーの伝送の可否、電気エネルギーの伝送の予測、車両システムの分類もしくは車両システムの貨物の分類のうちの1つ以上、および/または、車両システムの所有者もしくは操作者の分類を含んでもよい。
【0091】
コントローラは、電気エネルギーの伝送のための現在の需要量または電気エネルギーの伝送のための予想需要量のうちの1つ以上に基づいて伝送制約を変更してもよい。コントローラは、車両システムの複数の車両間の電気エネルギーの伝送を制御してもよい。コントローラは、複数の車両システム間の電気エネルギーの伝送を制御してもよい。コントローラは、車両システムと、車両システムに電気的に接続された1つ以上の他の車両システムとの間の電気エネルギーの伝送を制御してもよい。車両システムと、1つ以上の他の車両システムとは、導通可能に電気的に接続されてもよい。車両システムと、1つ以上の他の車両システムとは、誘導可能に電気的に接続されてもよい。伝送制約は、車両システムおよび1つ以上の他の車両システムに搭載されている各エネルギー蓄積装置の充電の可否を含んでもよい。
【0092】
システムは、1つ以上の車両システムに搭載されて配置されている1つ以上のエネルギー蓄積装置と、1つ以上の車両システムに搭載されていないエネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送を監視するために、コントローラを含んでもよい。コントローラは、(a)1つ以上の車両システムからエネルギー伝送変電所までの電気エネルギーの伝送、または(b)エネルギー伝送変電所から1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置までの電気エネルギーの伝送のうちの1つ以上に対する伝送制約を識別してもよい。コントローラは、1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置とエネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送量または伝送速度のうちの1つ以上を、伝送制約に基づいて変更してもよい。
【0093】
伝送制約は、エネルギー伝送変電所と、1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置との間の1つ以上の電気接続部の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上を含んでもよい。伝送制約は、1つ以上のエネルギー蓄積装置の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上を含んでもよい。伝送制約は、エネルギー伝送変電所の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上を含んでもよい。伝送制約は、1つ以上の環境条件を含んでもよい。伝送制約は、1つ以上の車両システムの電気エネルギーの1つ以上の需要量を含んでもよい。
【0094】
コントローラは、エネルギー伝送変電所のうちの1つ以上に到着する予定の1つ以上の車両システムからの電気エネルギーの伝送の予想量、1つ以上の車両システムの優先順位、1つ以上の車両システムが電気エネルギーの伝送を受け取る予定、1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置の必要とする充電、車両システムの作動中における電気エネルギーの伝送の可否、車両システムの分類もしくは車両システムの貨物の分類のうちの1つ以上、および/または、1つ以上の車両システムの所有者もしくは操作者の分類に少なくとも部分的に基づいて伝送量または伝送速度のうちの1つ以上を変更してもよい。
【0095】
エネルギー伝送変電所と1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置との間の電気エネルギーの伝送は、電気事業者の大規模電力網、電気事業者の小規模電力網、1つ以上の車両システムに搭載されていない1つ以上のエネルギー蓄積装置、または1つ以上の車両システムのうちの1つ以上を通して行われてもよい。コントローラは、車両システムの複数の車両間の電気エネルギーの伝送を制御してもよい。コントローラは、複数の車両システム間の電気エネルギーの伝送を制御してもよい。システムは、1つ以上の車両システムに搭載されておらず、かつ、エネルギー蓄積装置に電気的に接続されている1つ以上のエネルギー蓄積装置をさらに含んでもよい。
【0096】
コントローラは、1つ以上の車両システムから1つ以上のエネルギー伝送変電所への電気エネルギーの伝送を制御してもよい。コントローラは、1つ以上の車両システムの複数の車両間の電気エネルギーの伝送を制御してもよい。コントローラは、複数の車両システム間の電気エネルギーの伝送を制御してもよい。複数の車両システムは、導通可能に電気的に接続されてもよい。複数の車両システムは、誘導可能に電気的に接続されてもよい。コントローラは、複数の車両システム間の伝送制約を通信してもよい。コントローラは、電気エネルギーの伝送の費用または価格のうちの1つ以上を判断してもよい。
【0097】
方法は、少なくとも1つのエネルギー蓄積装置が車両システムに搭載されて配置されている複数のエネルギー蓄積装置のうちの2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送を制御する工程と、伝送に対する伝送制約を識別する工程とを含んでもよい。方法は、伝送制約に少なくとも部分的に基づいて伝送特性を変更する工程を含んでもよい。
【0098】
伝送制約は、(A)車両システムに電気エネルギーを伝送する電気エネルギー伝送変電所、または(B)電気エネルギー変電所から車両システムへの電気接続部の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上を含んでもよい。伝送制約は、搭載されている少なくとも1つのエネルギー蓄積装置の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上を含んでもよい。伝送制約は、電気エネルギーの1つ以上の供給源からの電圧可用性または電流可用性のうちの1つ以上を含んでもよい。伝送制約は、電気エネルギーの費用または価格のうちの1つ以上を含んでもよい。伝送制約は、1つ以上の環境条件を含んでもよい。伝送制約は、2つ以上のエネルギー蓄積装置の優先順位を含んでもよい。伝送特性は、2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送量または伝送速度のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0099】
第1のエネルギー蓄積装置は、車両システムに搭載されていてもよく、第2のエネルギー蓄積装置は、車両システムに搭載されていなくてもよい。電気エネルギーは、第1のエネルギー蓄積装置から第2のエネルギー蓄積装置に伝送されてもよい。第1のエネルギー蓄積装置は、第1の車両システムに搭載されていてもよく、第2のエネルギー蓄積装置は、第2の車両システムに搭載されていてもよい。第1のエネルギー蓄積装置および/または第2のエネルギー蓄積装置は、燃料電池であってもよい。2つ以上のエネルギー蓄積装置間の電気エネルギーの伝送は、電気事業者の大規模電力網、電気事業者の小規模電力網、車両システム、または他の車両システムのうちの1つ以上を通して行われてもよい。方法は、1つ以上のエネルギー蓄積装置から小規模電力網に電気エネルギーを伝送する工程を含んでもよい。
【0100】
方法は、優先要因に少なくとも部分的に基づいて優先順位を判断する工程を含んでもよい。優先要因は、2つ以上のエネルギー蓄積装置が電気エネルギーの伝送を開始する順序、2つ以上のエネルギー蓄積装置が電気エネルギーの伝送を受け取る予定、2つ以上のエネルギー蓄積装置の各々が必要とする充電、車両システムの作動中における電気エネルギーの伝送の可否、電気エネルギーの伝送の予測、車両システムの分類もしくは車両システムの貨物の分類のうちの1つ以上、および/または、車両システムの所有者もしくは操作者の分類を含んでもよい。
【0101】
電気エネルギーは、交流であってもよい。方法は、電気エネルギーの伝送中に交流を直流に変換する工程を含んでもよい。方法は、電気エネルギーの伝送のための現在の需要量または電気エネルギーの伝送のための予想需要量のうちの1つ以上に基づいて伝送制約を変更する工程を含んでもよい。方法は、車両システムの複数の車両間の電気エネルギーの伝送を制御する工程を含んでもよい。方法は、複数の車両システム間の電気エネルギーの伝送を制御する工程を含んでもよい。方法は、複数の車両システム間の伝送制約を通信する工程を含んでもよい。方法は、車両システムと、車両システムに電気的に接続された1つ以上の他の車両システムとの間の電気エネルギーの伝送を制御する工程を含んでもよい。
【0102】
車両システムと、1つ以上の他の車両システムとは、導通可能に電気的に接続されてもよい。車両システムと、1つ以上の他の車両システムとは、誘導可能に電気的に接続されてもよい。伝送制約は、車両システムおよび1つ以上の他の車両システムに搭載されている各エネルギー蓄積装置の充電の可否を含んでもよい。
【0103】
方法は、1つ以上の車両システムに搭載されて配置されている1つ以上のエネルギー蓄積装置と、1つ以上の車両システムに搭載されていないエネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送を監視する工程と、(a)1つ以上の車両システムからエネルギー伝送変電所までの電気エネルギーの伝送、または(b)エネルギー伝送変電所から1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置までの電気エネルギーの伝送のうちの1つ以上に対する伝送制約を識別する工程とを含んでもよい。方法は、1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置とエネルギー伝送変電所との間の電気エネルギーの伝送量または伝送速度のうちの1つ以上を、伝送制約に基づいて変更する工程を含んでもよい。
【0104】
伝送制約は、エネルギー伝送変電所と、1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置との間の1つ以上の電気接続部の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上を含んでもよい。伝送制約は、1つのエネルギー蓄積装置の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上を含んでもよい。伝送制約は、エネルギー伝送変電所の電圧限界または電流限界のうちの1つ以上を含んでもよい。伝送制約は、1つ以上の環境条件を含んでもよい。伝送制約は、1つ以上の車両システムの電気エネルギーの1つ以上の需要量を含んでもよい。
【0105】
方法は、エネルギー伝送変電所のうちの1つ以上に到着する予定の1つ以上の車両システムからの電気エネルギーの伝送の予想量、1つ以上の車両システムの優先順位、1つ以上の車両システムが電気エネルギーの伝送を受け取る予定、1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置の必要とする充電、車両システムの作動中における電気エネルギーの伝送の可否、車両システムの分類もしくは車両システムの貨物の分類のうちの1つ以上、および/または、1つ以上の車両システムの所有者もしくは操作者の分類に少なくとも部分的に基づいて伝送量または伝送速度のうちの1つ以上を変更する工程を含んでもよい。
【0106】
エネルギー伝送変電所と1つ以上の車両システムに搭載されている1つ以上のエネルギー蓄積装置との間の電気エネルギーの伝送は、電気事業者の大規模電力網、電気事業者の小規模電力網、1つ以上の車両システムに搭載されていない1つ以上のエネルギー蓄積装置、または1つ以上の車両システムのうちの1つ以上を通して行われてもよい。
【0107】
方法は、車両システムの複数の車両間の電気エネルギーの伝送を制御する工程を含んでもよい。方法は、複数の車両システム間の電気エネルギーの伝送を制御する工程を含んでもよい。1つ以上の車両システムに搭載されていない1つ以上のエネルギー蓄積装置は、エネルギー伝送変電所に電気的に接続される。方法は、1つ以上の車両システムから1つ以上のエネルギー伝送変電所への電気エネルギーの伝送を制御する工程を含んでもよい。方法は、1つ以上の車両システムの複数の車両間の電気エネルギーの伝送を制御する工程を含んでもよい。方法は、複数の車両システム間の電気エネルギーの伝送を制御する工程を含んでもよい。複数の車両システムは、導通可能に電気的に接続されてもよい。複数の車両システムは、誘導可能に電気的に接続されてもよい。方法は、複数の車両システム間で伝送制約を通信する工程を含んでもよい。方法は、電気エネルギーの伝送の費用または価格のうちの1つ以上を判断する工程を含んでもよい。
【0108】
一実施形態では、コントローラは、充電に利用可能な総エネルギーの量を判断し、それと、所与の制御領域にある様々な設備の現在の充電の必要性とを比較してもよい。コントローラは、一部の充電の必要性に、他の充電の必要性よりも高いまたは低い優先順位を付けてもよい。コントローラは、優先順位を付けた必要性に基づいて、利用可能なエネルギー全体のうちの一部を設備に割り当ててもよい。充電用電力の割り当ては、本発明の実施形態の実装によって上限に対して境界があってもよい。充電用電力の割り当ては、作動上の必要性の優先順位に基づいて下限が設けられてもよい。例えば、電力を(充電するためではなく)直接使用する設備は、システムに負荷をかける場合があり、あらゆる作動に電力を必要とする。したがって、作動に電力を必要とする場合は、優先順位は最も高くなる。充電用電力を必要とするバッテリを備えた設備は、最小限の量の電力を必要とするか、あるいは次の所与の使用によって判断される充電状態という形で電力を必要とする場合がある。バッテリは、最適充電(C-)率を有してもよく、その設備のためにバッテリを最適に充電しながら必要性を満たす方法を判断するためにコントローラが使用することができる充電窓が利用可能であってもよい。実施形態は、その後、バッテリの絶対C-率によって生成される充電に対する上界の他に、さらなる充電要因をコントローラに通知してもよい。さらなる充電要因には、少なくとも、充電設備の容量および充電に利用可能な電力が含まれてもよい。
【0109】
用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含まれる(comprised)」または「含んでいる(comprising)」のいずれかまたはすべては、本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される場合、記述されている特徴、整数、工程または部品の存在を特定しているが、1つ以上の他の特徴、整数、工程または部品の存在を排除していないものと解釈されるべきである。単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上別段明らかに指示されていない限り、複数の参照を含む。「任意選択の(optional)」または「任意選択で(optionally)」は、続いて記載されている出来事または状況が生じる場合も生じない場合もあることを意味し、当該記載が、出来事が生じる事例も出来事が生じない事例も含み得ることを意味する。明細書および請求項を通して本明細書で使用される近似語は、それに関連する基本的な機能を変化させることなく、許容内で変えることができるいずれかの量的表現を修飾するように適用されてもよい。したがって、「約」、「実質的に」および「ほぼ」などの用語(複数可)によって修飾された値は、特定される厳密な値に限定されない。少なくとも一部の事例では、近似語は、その値を測定するための計器の精度に対応してもよい。ここで、ならびに本明細書および請求項を通して、範囲の限定は、文脈上または文言上別段示されていない限り、組み合わされたり、および/または交換されたりしてもよく、そのような範囲が特定されたり、その範囲に含まれるすべての部分範囲を含んでもよい。
【0110】
本明細書は、最良の形態を含む実施形態を開示するために例を用いており、当業者が実施形態を実施することができるように例を用いており、これには、いずれかの装置またはシステムを製造して使用したり、組み込まれたいずれかの方法を実行したりすることを含む。特許請求の範囲は、本開示の特許可能な範囲を定め、当業者が想到する他の例も含む。このような他の例は、請求項の字義通りの文言と異ならない構造要素を有する場合や、請求項の字義通りの文言と実質的な差異がない等価な構造要素を含む場合は、特許請求の範囲内であることを意図している。
【外国語明細書】