(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108613
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】メールシステム及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/21 20220101AFI20230728BHJP
H04L 51/043 20220101ALI20230728BHJP
H04L 51/18 20220101ALI20230728BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20230728BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20230728BHJP
【FI】
H04L51/21
H04L51/043
H04L51/18
G06F3/04817
G06F3/04842
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023007984
(22)【出願日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2022009728
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507161190
【氏名又は名称】長谷川 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智史
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA02
5E555AA23
5E555AA25
5E555AA30
5E555AA51
5E555AA61
5E555BA01
5E555BA77
5E555BB01
5E555BC17
5E555BD06
5E555CB74
5E555DB18
5E555DB51
5E555DC13
5E555DC18
5E555DC29
5E555DC40
5E555DD07
5E555DD08
5E555EA26
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】 受信メールの内容を分析し、感情の程度や安全性に問題があることをアイコンで一覧表示し、受信メールを個別に開く前に送信者の状況を把握できるメールシステムを提供する。
【解決手段】 メール処理サーバ5が、送信者の端末3から送信されたメールを、メールサーバ1を介して受信し、当該受信メールを分析し、受信メールの安全性と感情等の程度を判定し、メール受信者のユーザ端末2で受信メールを一覧表示する画面において、送信者の感情等の程度、受信メールの安全性の程度をアイコンで表示するメールシステムである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールの送受信を行うメールシステムであって、
送信者の端末から送信された電子メールについて当該メールの文面を分析して特定の事象の状態を数値化し、当該数値に対応するアイコンを選択し、受信者の端末での受信メール一覧表示の画面に、前記メールと前記アイコンとを一覧表示させるメール処理サーバを有することを特徴とするメールシステム。
【請求項2】
特定の事象とは、送信者の感情の程度、文書の正確さの程度又はメールの危険の程度であることを特徴とする請求項1記載のメールシステム。
【請求項3】
メール処理サーバは、送信者の感情の程度、文書の正確さの程度又はメールの危険の程度の数値を受信メール一覧表示画面でメール毎に表示させ、若しくは、受信メールのメールヘッダーに記述することを特徴とする請求項2記載のメールシステム。
【請求項4】
メール処理サーバは、受信者の端末に表示されるアイコンが選択されると、送信者の感情の程度、文書の正確さの程度又はメールの危険の程度の数値を表示させることを特徴とする請求項2記載のメールシステム。
【請求項5】
メール処理サーバは、アイコンに対応するコードをメールヘッダー又は送信者の氏名に組み込んで、受信者の端末の受信メール一覧表示画面で当該コードを前記アイコンに変換して表示することを特徴とする請求項1又は2記載のメールシステム。
【請求項6】
メール処理サーバは、受信者の端末で受信された前記コードが組み込まれたメールを返信する場合には、前記コードを取り除くことを特徴とする請求項5記載のメールシステム。
【請求項7】
メール処理サーバは、送信者の端末から送信されたメールに記載されたリンク先がフィッシングサイトである場合に、当該リンクを書き換え無効にすることを特徴とする請求項1又は2記載のメールシステム。
【請求項8】
メール処理サーバは、送信者の端末から送信されたメールにZIP形式のファイルが添付されている場合に、当該ファイルを解凍して安全性を確認し、受信者の端末に当該安全性を通知することを特徴とする請求項1又は2記載のメールシステム。
【請求項9】
電子メールの送受信について処理を行うメール処理サーバで動作するプログラムであって、
送信者の端末から送信されたメールの文面を分析する手段と、
前記分析により前記送信者の感情の程度、前記文面の文書の正確さの程度又は前記メールの危険の程度の状態を数値化し、当該数値に対応するアイコンを選択する手段と、
受信者の端末での受信メール一覧表示の画面に、前記メールと前記アイコンとを一覧表示させる手段とを機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メールシステムに係り、特に、受信メールの安全性を確保しつつ、受信メールの送信者の感情等を表示するメールシステム及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来のメールシステムにおいて、受信メールの安全性を確保するために、様々な工夫が為されていた。
また、受信メールの内容によって報知形態を変更するものがあった。
[関連技術]
【0003】
尚、関連する先行技術文献として、特許第5064579号公報「通信機器及び通信方法」(特許文献1)、特開2011-130358号公報「電子メールシステム及び…」(特許文献2)、特開2011-237979号公報「ウェブサイト判定端末、…」(特許文献3)、特許第4953461号公報「スパムメール判定サーバ、…」(特許文献4)、特開2003-234784号公報「迷惑電子メールのブロック方法及び受信サーバ」(特許文献5)、特表2012-528528号公報「非ウェブメールクライアントのコンテキストにおけるフィッシングの可能性があるメッセージの管理」(特許文献6)、特許第5000655号公報「拡張された電子メールフォルダセキュリティ」(特許文献7)、特開2019-008727号公報「中継装置および電子メール中継方法」(特許文献8)がある。
【0004】
特許文献1には、通信機器が、受信文字メッセージを音声報知するものであり、文字メッセージを分析して、重要度合い又は感情度合いにより報知形態を変更することが記載されている。
特許文献2には、送信許可リストを備え、逆引きDNS機能を用いて迷惑メールを判別する電子メールシステムが記載されている。
【0005】
特許文献3には、DNSサーバに対してドメイン名の正引き及び逆引きを行い、悪意のあるウェブサイトを判別する判定端末が記載されている。
特許文献4には、電子メールを特定画面に視覚的に表示し、予め記憶された視覚的パターンと比較してスパムメールを判別する判定サーバが記載されている。
【0006】
特許文献5には、受信サーバが、電子メールが同時に送信された宛先に不明なものを大量に含む場合、受信許可していないアドレスの場合等に電子メールを送り返すことが記載されている。
特許文献6には、サービスプロバイダーが、フィッシングの可能性のある電子メールのコンテンツを警告メッセージに置き換え、またURLを書き換えることが記載されている。
【0007】
特許文献7には、スパムメール又はフィッシングメールと判定された場合には、URLを不可視又は無効にして表示することが記載されている。
特許文献8には、中継装置が、パスワード付き添付ファイルを開封し、ウイルスチェックを行い、添付ファイルの開封を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5064579号公報
【特許文献2】特開2011-130358号公報
【特許文献3】特開2011-237979号公報
【特許文献4】特許第4953461号公報
【特許文献5】特開2003-234784号公報
【特許文献6】特表2012-528528号公報
【特許文献7】特許第5000655号公報
【特許文献8】特開2019-008727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のメールシステムでは、受信メール内容を分析し、送信者の感情等や受信メールの安全性を把握して業務効率を向上させるものとはなっていないという問題点があった。
【0010】
尚、特許文献1~8には、受信メール内容を分析し、送信者の感情等や受信メールの安全性を把握して業務効率を向上させる構成についての記載がない。
【0011】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、受信メールの内容を分析し、感情の程度や安全性に問題があることをアイコンで一覧表示し、受信メールを個別に開く前に送信者の状況を把握できるメールシステム及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、電子メールの送受信を行うメールシステムであって、送信者の端末から送信された電子メールについて当該メールの文面を分析して特定の事象の状態を数値化し、当該数値に対応するアイコンを選択し、受信者の端末での受信メール一覧表示の画面に、メールとアイコンとを一覧表示させるメール処理サーバを有することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記メールシステムにおいて、特定の事象とは、送信者の感情の程度、文書の正確さの程度又はメールの危険の程度であることを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記メールシステムにおいて、メール処理サーバが、送信者の感情の程度、文書の正確さの程度又はメールの危険の程度の数値を受信メール一覧表示画面でメール毎に表示させ、若しくは、受信メールのメールヘッダーに記述することを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記メールシステムにおいて、メール処理サーバが、受信者の端末に表示されるアイコンが選択されると、送信者の感情の程度、文書の正確さの程度又はメールの危険の程度の数値を表示させることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記メールシステムにおいて、メール処理サーバが、アイコンに対応するコードをメールヘッダー又は送信者の氏名に組み込んで、受信者の端末の受信メール一覧表示画面で当該コードをアイコンに変換して表示することを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記メールシステムにおいて、メール処理サーバが、受信者の端末で受信されたコードが組み込まれたメールを返信する場合には、コードを取り除くことを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記メールシステムにおいて、メール処理サーバが、送信者の端末から送信されたメールに記載されたリンク先がフィッシングサイトである場合に、当該リンクを書き換え無効にすることを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記メールシステムにおいて、メール処理サーバが、送信者の端末から送信されたメールにZIP形式のファイルが添付されている場合に、当該ファイルを解凍して安全性を確認し、受信者の端末に当該安全性を通知することを特徴とする。
【0020】
本発明は、電子メールの送受信について処理を行うメール処理サーバで動作するプログラムであって、送信者の端末から送信されたメールの文面を分析する手段と、分析により送信者の感情の程度、文面の文書の正確さの程度又はメールの危険の程度の状態を数値化し、当該数値に対応するアイコンを選択する手段と、受信者の端末での受信メール一覧表示の画面に、メールとアイコンとを一覧表示させる手段とを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、送信者の端末から送信された電子メールについて当該メールの文面を分析して特定の事象の状態を数値化し、当該数値に対応するアイコンを選択し、受信者の端末での受信メール一覧表示の画面に、メールとアイコンとを一覧表示させるメール処理サーバを有するメールシステムとしているので、個別の受信メールを開く前に、送信者の状況を把握でき、業務の効率化を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】本システムでの受信メール一覧表示を示す説明図である。
【
図4】別のシステムでの受信メール一覧表示を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るメールシステム(本システム)は、メール処理サーバが、受信メールの安全性と送信者の感情の状態(程度)を判定し、メール受信者(ユーザ)のパソコン(ユーザ端末)で受信メールを一覧表示する際に、送信者の感情の程度、受信メールの安全性の程度、文書の正確さの程度をアイコンで一覧表示するものであり、個別の受信メールを開く前に、送信者の状況を把握でき、業務の効率化を図ることができるものである。
【0024】
更に、本システムは、受信メールを特定期間経過後に自動削除するものであって、安全性の程度によって受信メールを自動削除する期間が変更されるようにしているので、安全性の低い受信メールが早期に削除することができ、メールを受信したユーザ端末の安全性を確保できるものである。
【0025】
また、本システムは、ユーザ端末からの送信メールの内容を分析し、送信者の感情の程度を送信前のメールにアイコン表示させて、送信メールの品質向上を図ることができるものである。
【0026】
[本システム:
図1]
本システムについて
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの概略構成図である。
本システムは、
図1に示すように、利用者(ユーザ)が利用するメールサーバ1と、ユーザが保有し、電子メール(以下、単に「メール」)を送受信するユーザ端末2と、メールをユーザ端末2に送信する送信者端末3とがネットワーク4によって接続され、更に本実施の形態の特徴部分であるメール処理サーバ5がネットワーク4に接続している。
【0027】
尚、本システムにおいては、ユーザ端末2、送信者端末3はネットワーク4に複数接続するものであり、メールサーバ1もユーザの利用に応じてネットワーク4に複数接続するものである。
【0028】
図1では、メール処理サーバ5が、ユーザ端末2に対してWebメールを提供するものである。Webメールは、ブラウザ上でメールの送受信が表示されるもので、メール一覧の表示をメール処理サーバ5で設計・設定できるもので、ユーザ端末2での利便性を向上させることができるものである。
【0029】
[本システムの各部の構成]
次に、本システムの各部を説明する。
[メールサーバ1]
メールサーバ1は、ユーザ端末2が利用するメールサーバであり、送信者端末3から送信されたメールを受信し、ユーザの設定によりメール処理サーバ5に転送するようになっている。
また、メールサーバ1は、ユーザ端末2がメール処理サーバ5を経由して送信したメールを宛先に端末に送信する。
【0030】
[ユーザ端末2]
ユーザ端末2は、メール処理サーバ5が提供するWebブラウザ利用メール(Webメール)の画面に従ってメールの送受信するものである。当該Webメールの画面に表示されるメール一覧が特徴的なものとなっている。その詳細は後述する。
【0031】
[送信者端末3]
送信者端末3は、ユーザ端末2宛にメールの送信を行うもので、メールサーバ1で一旦受信されたメールがメール処理サーバ5に転送され、メール処理サーバ5が提供するWebメールの画面上でユーザ端末2がメールを受信するものである。
[ネットワーク4]
ネットワーク4は、インターネットである。
【0032】
[メール処理サーバ5]
メール処理サーバ5は、制御部、記憶部、インタフェース部を備えた情報処理装置であり、記憶部に記憶された処理プログラムが制御部で実行されることで特徴的な機能を実現している。制御部で実行される処理については後述する。
【0033】
また、記憶部にはユーザ端末2の送受信したメールデータ等が記憶される。メールデータ等は、外部のデータベースに記憶するようにしてもよい。また、インタフェース部は、ネットワーク4に接続するための接続部である。
【0034】
[処理内容]
メール処理サーバ5で実行される処理について説明する。当該処理は、メール処理サーバ5の制御部で実現される処理手段で行われるものである。
【0035】
[送信メール転送処理]
本システムにおいて、送信者端末3からユーザ端末2のユーザにメールが送信されると、当該メールはメールサーバ1に受信される。
そして、本システムでは、メールサーバ1で受信したユーザ宛のメールがメール処理サーバ5に転送さるようユーザにより設定されており、メール処理サーバ5は、メールサーバ1から転送されたメールを受信する。
【0036】
[転送メールの安全性・感情等の判定処理]
メール処理サーバ5は、転送されたメールがスパムメール又はウイルスに感染したメール(スパム・ウイルスメール)か否かを判定してメールの安全性の程度を識別し、更にスパム・ウイルスメールの可能性が低いと判定されたメールについてメール本文(メール内容)を分析し、送信者の感情の状態(程度)又は文書の正確さの程度を識別する。
尚、スパム・ウイルスメールの判定とメール本文の分析を同時に行ってもよい。
【0037】
感情の状態(感情の程度)としては、本文内容を分析した結果が例えば「大いに満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「大いに不満」(怒っている)等の範疇を判別して感情の程度(満足度)を決定(設定)する。
【0038】
そして、メール処理サーバ5は、安全性の程度及び感情の程度をアイコンに変換し、転送メールに当該アイコンを付与してユーザ端末2のWebメールの画面に表示させる。
尚、アイコンのデザインは、メール処理サーバ5で一方的に決めてもよいが、ユーザ端末2からの設定で複数の候補から選択させるようにしてもよい。
【0039】
文書の正確さの程度として、本文内容を分析した結果、「文書が分かりやすい」「文書の内容は普通」「文書が分かりにくい」「文書が不明」「文書が未完成」等の範疇を判別して文書の正確さの程度を決定する。尚、文書の正確さは、文の構文を解析して判定してもよい。
【0040】
[ユーザ端末2での受信メール一覧表示:
図2]
次に、ユーザ端末2で表示される受信メール一覧の画面について
図2を参照しながら説明する。
図2は、本システムでの受信メール一覧の画面を示す説明図である。
ユーザ端末2は、メール処理サーバ5が提供するWebメール画面で
図2に示すように一覧表示する。
【0041】
図2では、メール一覧の最上段に「すべて」「安全」「やや安全」「注意」「危険」「スパム」の種類のタブが表示され、そのタブには該当するメールの件数が表示される。当該タブを選択するとその種類に該当するメールが選択的に表示される。
【0042】
また、タブの横に、上記種類を1つ又は複数選択するチェックボックスが設けられている。複数のチェックボックスにチェックを入れて選択すると、選択された複数の種類のメールがまとめて表示される。
【0043】
当該のタブの下には、「スパム」「日付」「感情」「タイトル」「削除」「添付」「差出人」の項目が表示される。
「スパム」の項目は、当該メールがスパム・ウイルスメールである可能性(安全性の程度[安全度])を「0」~「100」の数値で表すものである。ここで、数値が低い方が安全性は高く、数値が高い方が安全性は低い(危険性の程度[危険度]が高い)。
「日付」の項目は、メール受信の日時の情報が表示される。
【0044】
「感情」の項目は、メール処理サーバ5で変換された安全性の程度及び感情の程度を示すアイコンが表示される。ここでは、顔マークのアイコンで感情及び安全性を表現している。尚、顔マークのアイコンは、コード化されており、当該コードを用いてアイコン表示を行う。
顔マークが笑っているのは満足度が高く、顔マークが怒っているのは不満度が高い。また、安全性については、危険性が高い受信メールは、ウイルス形状のトゲトゲの顔マークになっている。
【0045】
「タイトル」の項目は、受信メールのタイトルが表示される。
「削除」の項目は、メールを自動削除する期間(削除日数)を示している。削除日数は、ユーザが任意に設定でき、変更できるようになっている。尚、削除日数は、安全性の低いメール程、削除日数が短くなるよう設定されている。安全性の低い受信メールを早期に自動削除する方が安心である。
尚、削除対象のメールをZIP形式に圧縮してユーザ端末2に保存するようにしてもよい。
【0046】
「添付」の項目は、添付ファイルがある場合には、添付ファイルの種類が表示される。
添付ファイルについては、メール処理サーバ5が、ウイルスチェックを行い、ZIPファイルの場合は解凍してウイルスチェックを行うようになっている。
「差出人」の項目は、差出人のメールアドレスを表示し、安全でないと認定された発信国又は中継国からのメールの場合、差出人の横に注意マーク(注マーク)を表示する。
【0047】
また、タブにより分類された「すべて」「安全」「やや安全」「注意」「危険」「スパム」のメール一覧を受信メール単位に異なる色で表示するようにしてもよい。
【0048】
[グループメール機能]
尚、本システムにおいて、Webブラウザ利用のメーラーであれば、一つのメールボックスを複数人で利用できるグループメール機能を搭載することができ、当該グループ単位でメールの送受信の処理を行うようにしてもよい。
【0049】
[別のシステム:
図3]
次に、メールシステムが、Webブラウザ利用のメーラーではない別のメールシステム(別のシステム)について
図3を参照しながら説明する。
図3は、別のシステムの概略構成図である。
別のシステムは、
図3に示すように、構成は
図1と同様であるが、メールの送受信の処理内容と表示方法が異なる。処理内容及び表示方法を以下説明する。
【0050】
[別のシステムでの処理]
送信者端末3からの送信メールがメールサーバ1で受信され、そしてメール処理サーバ5に転送されるまでは本システムと同様である。
メール処理サーバ5は、転送されたメールについて安全性と感情等の判定を行い、該当する感情等の程度に相当するアイコンのコードを取得し、転送されたメールのヘッダー又は差出人名に当該コードを付加して、メールサーバ1を介してユーザ端末2に送信し、ユーザ端末2で送信者端末3からのメールが受信される。
【0051】
また、ユーザ端末2で受信したメールにはアイコンのコードが付与されているので、そのメールを返信する場合には、メール処理サーバ5は、当該コードを削除して送信処理を行う。
【0052】
[別のシステムでのユーザ端末2での受信メール一覧表示:
図4]
次に、別のシステムにおけるユーザ端末2での受信メール一覧表示について
図4を参照しながら説明する。
図4は、別のシステムでの受信メール一覧表示を示す説明図である。
ユーザ端末2では、タイトルの前にアイコンの顔マークを表示するよう、メールのタイトルの前に顔マークのコードを埋め込んでいる。
また、タイトルの前ではなく、差出人の後に顔マークを表示させるよう、差出人の情報の後に顔マークのコードを埋め込むようにしてもよい。
【0053】
但し、
図2のWebメールの画面とは異なり、メールサーバ1からメール配信されるので、タブやチェックボックスを設けることはできず、メールの危険度の数値を表示させることができない。また、自動のメール削除機能もユーザ端末2で利用可能であれば、ユーザが利用するメーラーで個別に設定してもらうことになる。
別のシステムでは、本システムに比べて機能が少ないが、既にメーラーを利用しているユーザにとって大幅な変更とはならず利便性が高い。
【0054】
[セキュリティ対策]
また、本システム及び別のシステムのメール処理サーバ5は、以下の安全性確保のための処理を行う。
[メール発信国及び中継国チェック]
メール処理サーバ5は、メールの発信国及び中継国のチェックを行う。チェックは、メールサーバ1のIPアドレスの所在国で判別することができ、スパムメールやフィッシングメールの多い国の場合、ユーザ端末2でのメール受信の際に、注意を促す表示を行う。
差出人の情報の後に注意マーク(「注」マーク)を付加して表示するようにしてもよい。
【0055】
[DNS逆引きチェック]
メール処理サーバ5は、メールアドレスのサーバが正式にDNSサーバに登録されているかを確認するために、DNS逆引きチェックを行う。
【0056】
[フィッシングサイト判定/リンク無効化]
メール処理サーバ5は、メール内のリンク先のURLクリックし、フィッシングサイトか否かを判定し、フィッシングサイトである場合にはリンクのURLを書き換えて無効化する。
【0057】
[URL学習]
メール処理サーバ5は、上記判定したフィッシングサイトのURLを蓄積してAI(Artificial Intelligence)等を用いて学習し、上記判定に利用する。これにより、判定の精度が向上する。
【0058】
[添付ファイルのウイルスチェック]
メール処理サーバ5は、添付ファイルがある場合に、そのウイルスチェックを行い、ウイルスファイルであれば、削除し、ユーザ端末2に通知する。
また、添付ファイルが、ZIP形式のファイルであれば、自動解凍してウイルスチェックを行う。
【0059】
[暗号ZIPファイルの対応]
メール処理サーバ5は、添付ファイルが暗号化されたZIP形式のファイル(暗号化ZIPファイル)の場合、ユーザ端末2から予め登録されたパスワード(PW)を用いて自動復号し、更に起動解凍してウイルスチェックを行う。ウイルスファイルであれば、削除し、ユーザ端末2に通知する。
【0060】
[応用例]
[その他の事象]
本システム及び別のシステムでは、メール本文、添付ファイルからメールの危険度の程度を事象の状態として数値化して判別するようにしているが、送信者の感情の程度、文書の正確さの程度の事象の状態も数値化して判別し、受信メール一覧表示画面でメール毎にその数値を表示させるようにしてもよい。また、これら特定の事象の状態以外に、文面の簡潔さの程度、愛情の程度等のその他の事象の状態にも応用してもよい。
【0061】
[個々の送信者の状況を反映]
本システム及び別のシステムでは、メールの本文(文面)から感情等の程度の状態を数値化しているが、数値化したデータを送信者毎に蓄積して合計点を算出し、当該合計点から平均点を求め、当該平均点を基に感情等の程度を判別するようにしてもよい。
尚、合計点は、過去3カ月のように期間を決めて最新の値に更新することが望ましい。
【0062】
上記方法は、個々の送信者の状況、特に性格、癖等を反映させるもので、普段穏やかな方が怒っているとか、普段ぶっきらぼうな方が満足されているとかの微妙な感情の変化を把握できるものである。
【0063】
[メール対応の評価]
本システム及び別のシステムのメール処理サーバ5では、感情の程度をアイコンに変換しているが、感情の程度を判別した場合に、「大いに満足」を高得点とし、「大いに不満」を低得点として数値化し、当該数値の集計により、メール管理者は、ユーザのメール対応を評価することができ、更に、集計された数値の分析によりユーザの業務改善をサポートすることができる。
【0064】
[送信メールの改善]
本システム及び別のシステムのメール処理サーバ5での感情の程度の判定機能又は文書の正確さの程度の判定機能を利用して、ユーザ端末2から送信しようとするメールの感情等の程度を予め判定し、ユーザに送信メールの改善を促すことができる。
【0065】
[メールヘッダーに記述]
上記では、メール処理サーバ5が、メールヘッダーにアイコンに対応したコードを付加して送信するようになっていたが、メールヘッダーに感情判定の数値、安全性の数値を記述して、アイコンの根拠を示すようにしてもよい。
【0066】
メールヘッダーは、メールのソースを表示させる処理で閲覧することができ、メールの詳細情報が記述された部分で、具体的には、メールが配送された経路や時間、経由したサーバ等の情報が記述されている。
そして、メールヘッダーには「X-」から始まる任意の情報を追加して記述することができ、感情判定のプログラム(感情判定のフィルタ)使用を「X-Emotion-Filter: Yes」と、その結果を「X-Emotion-Score:数値」と記述し、安全性の判定のプログラム(安全性判定のフィルタ)使用を「X-Doubt-Filter: Yes」と、その結果を「X-Doubt-Score:数値」と記述するものである。
【0067】
感情判定の結果:「X-Emotion-Score:数値」は、数値が低ければ、満足度が低く不満足度が高くなり、数値が高ければ、不満足度が低く満足度が高くなるものである。
これら数値は、転送メールの感情判定処理において算出される。
また、安全性の判定結果:「X-Doubt-Score:数値」は、数値が低ければ、安全性が高くなり、数値が高ければ、疑わしいメールとなり、安全性が低くなるものである。
これら数値は、転送メールの安全性判定処理において算出される。
【0068】
ここで、メールヘッダーに感情判定及び安全性判定の具体的な記述例について説明する。
安全性判定のフィルタ(ダウトフィルタ)を通過させた場合には、「X-Doubt-Filter: Yes」と記述し、その下に例えば「X-Doubt-Score:40」と記述して、安全性の判定数値を記述する。
また、感情判定のフィルタ(感情フィルタ)を通過させた場合には、「X-Emotion-Filter: Yes」と記述し、その下に、感情の数値(スコア)をポジティブスコア(数値),ニュートラルスコア(数値),ネガティブスコア(数値)の3種類で例えば「X-Emotion-Score:21.53,1.33,1.21」と記述する。この例では、スコアを小数点第2位まで計算したものを示したが、小数点第何位まで計算するかは任意である。
【0069】
メールヘッダーに感情判定の結果の数値、安全性判定の結果の数値を記述したことにより、メール受信者は、メールの感情の程度、安全性の程度を表すアイコンについて、メールヘッダーを参照すれば、その根拠となった数値を確認できるものである。
【0070】
特に、アイコンの種類が少なくても、数値では更に細かく記述できる。具体的には、安全性の危険アイコンが3つである場合に、数値「0」で安全で危険アイコン表示なしとし、数値「1~3」で危険アイコン1を表示し、数値「4~6」で危険アイコン2を表示し、数値「7~9」で危険アイコン3を表示することができる。
つまり、アイコンで状況の概略を認識し、更にメールヘッダーの数値で詳細な状況を把握できるようになっている。
【0071】
[アイコンタッチで数値表示]
転送されたメールについて、送信者の感情等と安全性を表示したアイコンを、受信側のユーザがユーザ端末2でマウスのポインタで触る(タッチする/アイコンの上にポインタを置く)と、感情判定の数値又は安全判定の数値を表示させるようにしてもよい。
【0072】
具体的には、転送メールをHTML(Hyper Text Markup Language)形式で記述し、当該アイコンに数値を埋め込んでおくようプログラムしておけば、受信側のユーザ端末2でアイコンを選択することで、感情判定の数値又は安全性の数値を確認できる。
この場合、メールヘッダーに数値を記述してもよいが、メールヘッダーに数値を記述せず、アイコンタッチだけで数値を表示するようにしてもよい。
【0073】
尚、メールにおける感情のアイコン表示、感情判定の数字表示は、近年増加するテレワーク環境での社員の精神的な状況変化をいち早く管理職が認識できるものとなり、今後、社内でのメールの送受信にその利用が期待される。
【0074】
[実施の形態の効果]
本システム及び別のシステムによれば、メール処理サーバ5が、送信者端末3から送信されたメールを、メールサーバ1を介して受信し、当該受信メールを分析し、受信メールの安全性と感情等の程度を判定し、メール受信者のユーザ端末2で受信メールを一覧表示する際に、送信者の感情等の程度、安全性の程度をアイコンで表示するものとしているので、個別の受信メールを開く前の一覧表示の段階で、送信者の感情等の状況を把握でき、業務の効率化を図ることができる効果がある。
【0075】
また、本システム及び別のシステムのメール処理サーバ5では、感情の程度をアイコンに変換しているが、感情の程度を判別した場合に、「大いに満足」を高得点とし、「大いに不満」を低得点として数値化し、当該数値の集計により、メール管理者は、ユーザのメール対応を評価することができ、当該数値の分析によりユーザの業務改善をサポートできる効果がある。
【0076】
また、本システム及び別のシステムのメール処理サーバ5での感情判定機能を利用して、ユーザ端末2から送信しようとするメールの感情の程度を予め判定し、ユーザに送信メールの改善を促すようにすることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、受信メールの内容を分析し、感情の程度や安全性に問題があることをアイコンで一覧表示し、受信メールを個別に開く前に送信者の状況を把握できるメールシステムに好適である。
【符号の説明】
【0078】
1…メールサーバ、 2…ユーザ端末、 3…送信者端末、 4…ネットワーク、 5…メール処理サーバ