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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108655
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】空間浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20230731BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20230731BHJP
   F24F 8/24 20210101ALI20230731BHJP
【FI】
A61L9/01 F
A61L9/16 Z
F24F8/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009807
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】山口 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真司
(72)【発明者】
【氏名】白田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】白井 伊久真
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA16
4C180CB05
4C180EA58X
4C180HH05
4C180KK03
4C180LL06
(57)【要約】
【課題】気液接触部に導入される空気の温湿度の変動に伴う、次亜塩素酸による除菌効果の低下を抑制することが可能な空間浄化装置を提供する。
【解決手段】空間浄化装置1は、内部に流入した空気が流通するように設けられた気液接触部26と、気液接触部26に導入される空気の流入温度及び流入湿度を取得する流入温湿度センサ42と、気液接触部26に次亜塩素酸水を通水する次亜塩素酸水供給装置2と、気液接触部26を流通した空気を対象空間に送風する送風機29と、を備える。そして、次亜塩素酸水供給装置2は、流入温湿度センサ42より得られる流入温度及び流入湿度に応じて、次亜塩素酸水の濃度を変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流入した空気が流通するように設けられた気液接触部と、
前記気液接触部に導入される空気の流入温度及び流入湿度を取得する流入温湿度センサと、
前記気液接触部に次亜塩素酸水を通水する次亜塩素酸水供給装置と、
前記気液接触部を流通した空気を対象空間に送風する送風機と、
を備え、
前記次亜塩素酸水供給装置は、前記流入温湿度センサより得られる前記流入温度及び前記流入湿度に応じて前記次亜塩素酸水の濃度を変更することを特徴とする空間浄化装置。
【請求項2】
前記次亜塩素酸水供給装置は、
前記流入温度が低いほど、前記次亜塩素酸水の濃度を高くすることを特徴とする請求項1に記載の空間浄化装置。
【請求項3】
前記次亜塩素酸水供給装置は、
前記流入湿度が高いほど、前記次亜塩素酸水の濃度を高くすることを特徴とする請求項1または2に記載の空間浄化装置。
【請求項4】
前記送風機が空気を送風する空間に空間湿度センサをさらに備え、
前記次亜塩素酸水供給装置は、前記空間湿度センサより得られる空間湿度が高いほど、前記次亜塩素酸水の濃度を高くすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の空間浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次亜塩素酸水を用いた空間浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空間浄化装置として、空調装置の空気通路の断面を覆うように気液接触部を設け、その気液接触部に対して殺菌水を供給して水膜を形成することで、空調空気と殺菌水とを接触させ、除菌を行う除菌空調システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特に殺菌水として次亜塩素酸水を用いた場合、空調空気に次亜塩素酸を含ませることで、空調空気自体に除菌効果を持たせられることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-227622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外気の温湿度及び空調装置の運転状態(暖房運転または冷房運転の状態)に応じて、気液接触部に流入する空気の温湿度が変化するため、気液接触部を流通する空気に含ませられる次亜塩素酸の量が変動し、空調空気の除菌効果が変動するという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、気液接触部に導入される空気の温湿度の変動に伴う、次亜塩素酸による除菌効果の変動を抑制することが可能な空間浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る空間浄化装置は、内部に流入した空気が流通するように設けられた気液接触部と、気液接触部に導入される空気の流入温度及び流入湿度を取得する流入温湿度センサと、気液接触部に次亜塩素酸水を通水する次亜塩素酸水供給装置と、気液接触部を流通した空気を対象空間に送風する送風機と、を備える。そして、次亜塩素酸水供給装置は、流入温湿度センサより得られる流入温度及び流入湿度に応じて、次亜塩素酸水の濃度を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、気液接触部に導入される空気の温湿度の変動に伴う、次亜塩素酸による除菌効果の低下を抑制することが可能な空間浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置の模式図である。
図2図2は、空間浄化装置における加湿制御部の構成を表すブロック図である。
図3図3は、空間浄化装置における加湿制御部の制御フローを表すフロー図である。
図4図4は、流入温度及び流入湿度に応じた通水する次亜塩素酸水の濃度出力値を説明するための図である。
図5図5は、空間湿度に応じた通水する次亜塩素酸水の濃度出力値の濃度補正値を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る空間浄化装置は、内部に流入した空気が流通するように設けられた気液接触部と、気液接触部に導入される空気の流入温度及び流入湿度を取得する流入温湿度センサと、気液接触部に次亜塩素酸水を通水する次亜塩素酸水供給装置と、気液接触部を流通した空気を対象空間に送風する送風機と、を備える。そして、次亜塩素酸水供給装置は、流入温湿度センサより得られる流入温度及び流入湿度に応じて、次亜塩素酸水の濃度を変更する。
【0010】
こうした構成によれば、次亜塩素酸が揮発しにくい流入温度及び流入湿度であっても、次亜塩素酸水の濃度を高くすることで、気液接触部を流通する空気に含ませられる次亜塩素酸の量の低下を抑制することができる。これにより、空間浄化装置は、気液接触部に導入される空気の温湿度の変動に伴う、次亜塩素酸による除菌効果の低下を抑制することができる。
【0011】
また、本発明に係る空間浄化装置では、次亜塩素酸水供給装置は、流入温度が低いほど、次亜塩素酸水の濃度を高くしてもよい。このようにすることで、流入温度が低く、次亜塩素酸の揮発量が少ない場合であっても、次亜塩素酸水の濃度を高くすることで、気液接触部を流通する空気に含ませられる次亜塩素酸の量の低下を抑制することができる。
【0012】
また、本発明に係る空間浄化装置では、次亜塩素酸水供給装置は、流入湿度が高いほど、次亜塩素酸水の濃度を高くしてもよい。このようにすることで、流入湿度が高く、加湿量が少ないために、次亜塩素酸の揮発量が少なくなる場合であっても、次亜塩素酸水の濃度を高くすることで、気液接触部を流通する空気に含ませられる次亜塩素酸の量の低下を抑制することができる。
【0013】
また、本発明に係る空間浄化装置は、送風機が空気を送風する空間に空間湿度センサをさらに備える。次亜塩素酸水供給装置は、空間湿度センサより得られる空間湿度が高いほど、次亜塩素酸水の濃度を高くしてもよい。このようにすることで、空間湿度が高く、空間における次亜塩素酸の減衰が大きくなる場合に、送風する空気に含ませる次亜塩素酸の量を増加させ、空間における次亜塩素酸濃度の低下を抑制することができる。これにより、空間浄化装置は、気液接触部に導入される空気の温湿度の変動に伴う、次亜塩素酸による除菌効果の低下をさらに抑制することができる。
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して説明を省略している。さらに、本発明に直接には関係しない各部の詳細については重複を避けるために、図面ごとの説明は省略している。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1を参照して、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る空間浄化装置1の模式図である。
【0017】
<全体構成>
空間浄化装置1は、外部から得られる市水である原水によって高濃度の次亜塩素酸水を希釈し、次亜塩素酸を含む除菌水(除菌水もまた次亜塩素酸水と言える)を生成した後、気液接触により空気中に次亜塩素酸を放出し、対象空間Sの除菌又は殺菌を行うシステムである。この際、空間浄化装置1では、ユーザにより設定された対象空間Sの設定湿度に関する情報(設定湿度情報)に基づいて、気液接触させる次亜塩素酸水の通水を制御する。
【0018】
具体的には、空間浄化装置1は、図1に示すように、次亜塩素酸水供給装置2と、空気調和装置20と、空間温湿度センサ40と、操作部41と、を備えて構成される。次亜塩素酸水供給装置2は、水供給部4と、次亜塩素酸水供給部7と、次亜塩素酸水制御部3と、を備えて構成される。また、空気調和装置20は、還気ダクト22と、フィルタ23と、温調部27と、流入温湿度センサ42と、気液接触部26と、送風機29と、給気ダクト30と、ドレンパン31と、排水流路32と、加湿制御部21と、を備えて構成される。また、温調部27は、空気冷却器24と、空気加熱器25と、熱源装置33と、複数の流路(流路34~流路37)と、を備えて構成される。
【0019】
空間温湿度センサ40は、対象空間Sに設けられる。そして、空間温湿度センサ40は、対象空間Sの空気の温度(以下、空間温度)及び湿度(以下、空間湿度)を検出し、加湿制御部21に空間温度情報及び空間湿度情報として出力する。なお、空間温湿度センサ40は、請求項の「空間湿度センサ」に相当する。
【0020】
操作部41は、対象空間Sに設けられる。操作部41は、加湿運転の開始/終了に関する情報(運転情報)と、ユーザにより設定された設定湿度情報とを加湿制御部21に出力する。
【0021】
<次亜塩素酸水供給装置>
次亜塩素酸水供給装置2は、次亜塩素酸水供給部7から供給される次亜塩素酸水に、水供給部4から供給される水を混合して希釈し、希釈された次亜塩素酸水を除菌水として気液接触部26に通水する装置である。
【0022】
水供給部4は、外部の設備給水管(図示せず)から流入する市水を、空気調和装置20の気液接触部26に供給する部材である。水供給部4は、水道管5と、水道弁6とを有して構成される。水道管5は、外部の設備給水管と空気調和装置20の気液接触部26との間を連通接続する配管である。水道弁6は、水道管5に備えられている。水道弁6は、無線又は有線により次亜塩素酸水制御部3と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部3からの信号により開閉される。これにより、気液接触部26に水道水を導入したり停止したりすることができる。水道弁6は、電磁弁を用いることができる。
【0023】
次亜塩素酸水供給部7は、内部に貯留する高濃度の次亜塩素酸水を、水供給部4の水道管5内に送出する部材である。次亜塩素酸水供給部7は、送水管8と、止水弁9と、送水ポンプ10と、次亜塩素酸水タンク11とを有して構成される。
【0024】
送水管8は、水供給部4の水道管5の所定の位置において、水道管5と次亜塩素酸水タンク11とを連通接続し、次亜塩素酸水タンク11に貯留される次亜塩素酸水を水道管5内に送水するための配管である。
【0025】
止水弁9は、送水管8に備えられている。止水弁9は、無線又は有線により次亜塩素酸水制御部3と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部3からの信号により開閉される。止水弁9は、電磁弁を用いることができる。
【0026】
送水ポンプ10は、送水管8に備えられている。送水ポンプ10は、次亜塩素酸水タンク11から送水管8に次亜塩素酸水を送水する際に、止水弁9が「開」の状態で、送水管8に次亜塩素酸水を流通させる機器である。送水ポンプ10は、無線又は有線により次亜塩素酸水制御部3と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部3からの信号により動作する。止水弁9と送水ポンプ10とが連動して動作することにより、送水管8内に次亜塩素酸水タンク11からの次亜塩素酸水を導入したり停止したりすることができる。
【0027】
次亜塩素酸水タンク11は、内部に次亜塩素酸水を貯留する容器である。次亜塩素酸水タンク11には、水供給部4によって希釈する前の状態の高濃度の次亜塩素酸水(次亜塩素酸水原液とも言える)が貯留される。
【0028】
次亜塩素酸水制御部3は、後述する加湿制御部21からの信号に基づいて、空気調和装置20への送水を行うように次亜塩素酸水供給装置2を制御する。次亜塩素酸水制御部3は、無線又は有線により加湿制御部21と通信可能に接続される。
【0029】
次亜塩素酸水供給装置2は、次亜塩素酸水制御部3からの信号に基づいて、次亜塩素酸水供給部7からの次亜塩素酸水の供給と、水供給部4からの水の供給とを実行し、それぞれを配管内で混合して希釈し、除菌水として気液接触部26に通水する。この際、配管内で混合希釈された次亜塩素酸水の濃度は、流入温湿度センサ42より得られる流入温湿度(流入温度、流入湿度)によって異なり、次亜塩素酸水制御部3からの信号に基づいて決定される。次亜塩素酸水供給装置2における次亜塩素酸水の濃度の具体的な制御方法については後述する。
【0030】
<空気調和装置>
空気調和装置20は、外部及び対象空間Sから取り込んだ空気の温度及び湿度の調節を行い、次亜塩素酸水供給装置2から送出される次亜塩素酸水に含まれる次亜塩素酸を気化させ、対象空間Sに放出することにより、対象空間Sの除菌又は殺菌を行う。空気調和装置20は、上述した通り、還気ダクト22と、フィルタ23と、温調部27と、流入温湿度センサ42と、気液接触部26と、送風機29と、給気ダクト30と、ドレンパン31と、排水流路32と、加湿制御部21とを備える。空気調和装置20に導入された空気は、還気ダクト22、フィルタ23、温調部27、気液接触部26、及び送風機29の順に通風され、給気ダクト30により、装置外の対象空間Sに排出される。
【0031】
還気ダクト22は、空気調和装置20内に空気を導入するための開口である。還気ダクト22により導入された空気から、フィルタ23により、塵及び埃等の不純物が除去される。
【0032】
フィルタ23は、導入された空気から塵及び埃等の不純物を除去する。フィルタ23を通過した空気は、温調部27へと通風される。
【0033】
温調部27は、上述した通り、空気冷却器24と、空気加熱器25と、熱源装置33と、複数の流路(流路34~流路37)と、を備えて構成される。温調部27は、温調部27へと通風された空気の温調を行う。温調部27へと通風された空気は、空気冷却器24及び空気加熱器25を通風し、空気冷却器24による冷却または空気加熱器25による加熱によって温度の調整がなされる。
【0034】
空気冷却器24は、通過する空気の冷却を行うユニットである。空気冷却器24は、流路34及び流路35により熱源装置33と連通接続されている。空気冷却器24には、熱源装置33から流路34を流通して冷水が流入し、冷水は、空気冷却器24内を通水する。流入した冷水と、空気冷却器24を通過する空気との間で熱交換が行われ、通過した空気の冷却が行われる。熱交換が行われた冷水は、流路34を流通し、熱源装置33へと送水される。この時、結露により発生する水は、ドレンパン31により回収される。空気冷却器24を通過した空気は、空気加熱器25へと通風される。
【0035】
空気加熱器25は、通過する空気の加熱を行うユニットである。空気加熱器25は、流路36及び流路37により熱源装置33と連通接続されている。空気加熱器25には、熱源装置33から流路36を流通して温水が流入し、温水は、空気加熱器25内を通水する。流入した温水と、空気加熱器25を通過する空気との間で熱交換が行われ、通過した空気の加熱が行われる。熱交換が行われた温水は、流路37を流通し、熱源装置33へと送水される。空気加熱器25を通過した空気は、気液接触部26へと通風される。
【0036】
熱源装置33は、水の冷却及び加熱を行い、空気冷却器24に供給するための冷水及び空気加熱器25に供給する温水とする装置である。
【0037】
流路34は、熱源装置33により冷却された水を、熱源装置33から空気冷却器24へ送水する流路である。
【0038】
流路35は、空気冷却器24に通水した水を熱源装置33へ送水する流路である。
【0039】
流路36は、熱源装置33により加熱された水を、熱源装置33から空気加熱器25へ送水する流路である。
【0040】
流路37は、空気加熱器25に通水した水を熱源装置33へ送水する流路である。
【0041】
以上のように、温調部27は、各部材によって構成される。
【0042】
温調部27は、無線又は有線により加湿制御部21と通信可能に接続され、加湿制御部21により制御される。温調部27の動作状態としては、暖房運転及び冷房運転の二通の状態があり、操作部41によって選択された動作状態が加湿制御部21に記憶される。加湿制御部21は、記憶された動作状態に基づいて温調部27の制御を行う。
【0043】
暖房運転は、温調部27を通過する空気の昇温を行う動作状態である。この場合、熱源装置33では、水の加熱を行い、空気加熱器25に温水の供給を行う。
【0044】
冷房運転は、温調部27を通過する空気の冷却を行う動作状態である。この場合、熱源装置33では、水の冷却を行い、空気冷却器24に冷水の供給を行う。
【0045】
加湿制御部21は、温調部27の各動作を制御するとともに、無線又は有線により次亜塩素酸水制御部3と通信可能に接続され、次亜塩素酸水制御部3の各動作も制御する。次亜塩素酸水制御部3の具体的な制御方法については後述する。
【0046】
流入温湿度センサ42は、温調部27の後段、且つ、気液接触部26の前段に設けられる。つまり、流入温湿度センサ42は、温調部27と気液接触部26の間における風路上に設けられている。そして、流入温湿度センサ42は、温調部27を通過した空気の温度及び湿度、言い換えれば気液接触部26に導入される空気の温度(以下、流入温度)及び湿度(以下、流入湿度)を検出する。そして、流入温湿度センサ42は、検出した温度及び湿度を加湿制御部21に流入温度情報及び流入湿度情報として出力する。詳細は後述する。
【0047】
気液接触部26は、内部に取り入れた空気を加湿するユニットであり、加湿の際に、空気中に次亜塩素酸水(次亜塩素酸水供給装置2から送出される次亜塩素酸水)を含ませる。気液接触部26は、水供給部4の水道管5を介して次亜塩素酸水供給装置2(次亜塩素酸水供給部7の送水管8)と連通接続されている。気液接触部26は、次亜塩素酸水供給装置2から送出される次亜塩素酸水を含有することが可能な構造(例えば、気化フィルタ)を有する。気液接触部26は、平板形状であり、多くの繊維を備え、繊維と繊維との間に水を保水することができる。気液接触部26は、還気ダクト22と気液接触部26の平面部(空気の流通面)が対向するように設けられている。そして、次亜塩素酸水供給装置2から送出される次亜塩素酸水は、気液接触部26の平面部の上方から供給される。そのため、気液接触部26を通過する空気に、次亜塩素酸水を含有させることが可能となる。つまり、気液接触部26は、次亜塩素酸水を平面部の上方から下方に流して気化させる。そして、次亜塩素酸水を含んだ空気が気化することにより、対象空間S内に次亜塩素酸が放出され、対象空間Sの除菌又は殺菌が行われる。なお、次亜塩素酸水供給装置2の動作中には、気液接触部26に次亜塩素酸水が常時供給されるため、気液接触部26が含有しきれなかった次亜塩素酸水は、下方に流れ落ちてドレンパン31によって回収される。
【0048】
送風機29は、気液接触部26の後段、且つ、給気ダクト30の前段に設けられる。送風機29は、空気調和装置20内の空気を外部に排出することにより、還気ダクト22から給気ダクト30へ向かう空気の流れを生成する。これにより、除菌又は殺菌のための空気を空気調和装置20内に流入させることができる。送風機29により、次亜塩素酸を含む空気が対象空間Sに放出され、対象空間Sの除菌又は殺菌を行うことが可能となる。また、送風機29は、加湿制御部21と無線又は有線により通信可能に接続され、加湿制御部21により制御される。
【0049】
給気ダクト30は、空気調和装置20内の空気を対象空間Sに放出するための開口である。給気ダクト30から、次亜塩素酸を含む空気が対象空間Sに放出され、空間の除菌又は殺菌を行うことが可能となる。
【0050】
ドレンパン31は、空気調和装置20内の水を集めるための受け皿である。ドレンパン31は、空気冷却器24、空気加熱器25、及び気液接触部26の下部に設けられ、少なくとも空気冷却器24及び気液接触部26から流出する水を回収する。
【0051】
排水流路32は、空気調和装置20内に溜まった水を排水するための流路である。排水流路32は、ドレンパン31と接続され、ドレンパン31により集められた水(次亜塩素酸水を含む)を装置外に排出する。
【0052】
<空間浄化処理>
次に、空間浄化装置1による空間浄化処理について説明する。
【0053】
空間浄化処理は、次亜塩素酸水供給装置2から送出された次亜塩素酸水を、空気調和装置20によって気化させ、対象空間Sに放出する処理である。
【0054】
まず、加湿制御部21は、空間浄化処理の開始に伴い、送風機29を起動する。これにより、空気調和装置20内の空気が対象空間Sに排出され、還気ダクト22から空気(例えば、対象空間Sの空気)が導入される。導入された空気は、フィルタ23により不純物(例えば、塵埃)の除去が行われる。その後、空気冷却器24又は空気加熱器25によって熱交換され、調温された空気となる。調温された空気は、気液接触部26を通過することにより、後述する加湿制御部21の制御に応じて空気の加湿が行われる。加湿が行われる際には、気液接触部26を通過した空気は、次亜塩素酸水供給装置2によって濃度調整された次亜塩素酸水から揮発した次亜塩素酸を含有する。次亜塩素酸を含む空気は、送風機29により給気ダクト30から対象空間Sに放出され、対象空間Sの除菌又は殺菌が行われる。
【0055】
<加湿制御>
加湿制御部21は、空間温湿度センサ40より得られた空間温度情報と、操作部41より入力された温度設定値(ユーザにより設定された対象空間Sの設定温度)とを用いて温調部27の動作を制御する。また、空間温湿度センサ40より得られた空間湿度情報と、流入温湿度センサ42より得られた流入温度情報及び流入湿度情報と、操作部41より入力された湿度設定値(ユーザにより設定された対象空間Sの設定湿度)とを用いて気液接触部26への通水制御を行う。
【0056】
加湿制御部21における、気液接触部26への通水制御について、図2を参照して説明する。図2は、空間浄化装置1における加湿制御部21の構成を表すブロック図である。
【0057】
加湿制御部21は、次亜塩素酸水制御部3の運転動作を制御する。具体的には、加湿制御部21は、図2に示す通り、入力部21aと、処理部21bと、出力部21cと、記憶部21dとを有している。
【0058】
入力部21aは、操作部41から出力される運転情報と、設定湿度情報と、空間温湿度センサ40から出力された空間湿度情報と、流入温湿度センサ42から出力された流入温度情報及び流入湿度情報とを受け付け、処理部21bに出力する。
【0059】
設定湿度情報には、第一湿度情報と第二湿度情報とが含まれる。第一湿度情報より得られる第一湿度は、対象空間Sの湿度が低すぎるかどうかを判定するための湿度であり、対象空間Sの湿度が第一湿度より低い場合には気液接触部26への通水が行われる。つまり、次亜塩素酸水供給装置2による次亜塩素酸水の供給が行われる。第一湿度情報は、例えば、40%という値に設定される。第二湿度情報より得られる第二湿度は、対象空間Sの湿度が高すぎるかどうかを判定するための湿度であり、対象空間Sの湿度が第二湿度より高い場合には気液接触部26への通水が停止される。つまり、次亜塩素酸水供給装置2による次亜塩素酸水の供給が停止される。第二湿度情報は、例えば、45%という値に設定される。
【0060】
記憶部21dは、設定湿度情報と、過去の通水出力値とを記憶する。記憶した情報は、処理部21bからの要求に応じて、記憶部21dから処理部21bに出力される。
【0061】
処理部21bは、記憶部21dから出力される設定湿度情報と、過去の通水出力値と、入力部21aから出力される空間湿度情報と、流入温度情報と、流入湿度情報とを用いて、対象空間Sの湿度を第一湿度と第二湿度の間に維持するための通水出力値(次亜塩素酸水の通水動作のオン/オフに関する出力値)と、空気に含ませる次亜塩素酸ガスの量の変動を抑えるための濃度出力値(通水する次亜塩素酸水の濃度に関する出力値)とを決定し、出力部21cに出力する。なお、通水出力値及び濃度出力値の詳細については後述する。
【0062】
出力部21cは、処理部21bから受け付けた通水出力値及び濃度出力値を次亜塩素酸水制御部3に出力する。次亜塩素酸水制御部3は、入力された情報(通水出力値及び濃度出力値)に基づいて、水道弁6、止水弁9、及び送水ポンプ10の動作状態を切り替え、次亜塩素酸水の通水を制御する。
【0063】
ここで、加湿制御部21は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムがコントローラとして機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているとしたが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0064】
加湿制御部21は、操作部41より入力された湿度設定値と空間温湿度センサ40より入力された空間湿度情報とを比較して、通水出力値をオンにするかオフにするか決定する。加湿制御部21で決定された通水出力値は、加湿制御部21の出力部21cによって次亜塩素酸水供給装置2に出力される。そして、次亜塩素酸水供給装置2は、通水出力値がオンの場合に次亜塩素酸水の通水動作をオンにし、通水出力値がオフの場合に次亜塩素酸水の通水動作をオフにする。また、加湿制御部21は、流入温湿度センサ42より入力された流入温度情報及び流入湿度情報に基づいて、濃度出力値を決定する。加湿制御部21で決定された濃度出力値は、加湿制御部21の出力部21cによって次亜塩素酸水供給装置2に出力される。そして、次亜塩素酸水供給装置2は、濃度出力値の値に応じて通水する次亜塩素酸水の濃度を決定する。例えば、濃度出力値が「20」の場合には、次亜塩素酸水供給装置2は、通水する次亜塩素酸水の濃度を20ppmとなるようにする。ここで、次亜塩素酸水供給装置2は、流入温度情報の値が低いほど、通水する次亜塩素酸水の濃度を高くする。また、次亜塩素酸水供給装置2は、流入湿度情報の値が高いほど、通水する次亜塩素酸水の濃度を高くする。
【0065】
次に、加湿制御部21が行う具体的な制御フローについて説明する。
【0066】
まず、図3を参照して、空間浄化装置1における加湿制御部21が行う処理の具体的なフローチャートについて説明する。図3は、空間浄化装置1における加湿制御部21の制御フローを表すフロー図である。ここで、フローチャートでは「S」を頭文字にして番号を割り振った。例えば「S01」などは、処理ステップを指す。但し、処理ステップを示す数値の大小と処理順序は関係しない。
【0067】
加湿制御部21が行う処理は、図3に示す通り、主に3つのステップ(ステップS01、ステップS02、ステップS03)で構成され、入力部21aに入力された加湿運転の開始信号に応じて処理を開始する。
【0068】
ステップS01は、通水出力値を決定するステップであり、5つのステップ(ステップS01a~S01e)で構成される。まず、処理部21bは、記憶部21dから出力された第一湿度情報(例えば、第一湿度40%)と、入力部21aから出力された空間温湿度センサ40の空間湿度情報とを比較し(ステップS01a)、空間湿度情報に含まれる空間湿度が第一湿度以下の場合には、通水出力値をオンとする(ステップS01b)。そして、出力部21cは、処理部21bから出力された通水出力値のオン情報を次亜塩素酸水供給装置2に出力する。これにより、次亜塩素酸水供給装置2では、次亜塩素酸水の通水動作がオンとなる。なお、本実施の形態では、次亜塩素酸水供給装置2による次亜塩素酸水の通水動作がオンになると、その後は出力部21cから出力される通水出力値のオフ情報を受け付けるまで、気液接触部26に対して常に次亜塩素酸水を一定の量で供給し続ける。
【0069】
また、空間湿度が第一湿度より大きい場合には、記憶部21dから出力された第二湿度情報(例えば、第二湿度45%)と、入力部21aから出力された空間温湿度センサ40の空間湿度情報とを比較し(ステップS01c)、空間温湿度センサ40の空間湿度が第二湿度以上の場合には、通水出力値をオフとする(ステップS01d)。そして、出力部21cは、処理部21bから出力された通水出力値のオフ情報を次亜塩素酸水供給装置2に出力する。これにより、次亜塩素酸水供給装置2では、次亜塩素酸水の通水動作がオフとなる。
【0070】
さらに、空間湿度がこのどちらにも当てはまらず、空間湿度が第一湿度と第二湿度との間(例えば、40%~45%の間)にある場合には、通水出力値を記憶部21dに記憶された過去の通水出力値のままとする(ステップS01e)。
【0071】
このようにして、加湿制御部21は、空間湿度を第一湿度と第二湿度との間に保つように通水出力値を決定し、次亜塩素酸水供給装置2による次亜塩素酸水の通水動作を制御している。
【0072】
ステップS02は、濃度出力値を決定するステップである。まず、処理部21bは、ステップS01で決定された通水出力値がオンかオフかを判定し(ステップS02a)、オンの場合に濃度出力値の計算を行う(ステップS02b)。濃度出力値は、流入温湿度センサ42より得られる流入温度に応じて決定され、流入温度が低いほど、濃度出力値は高い値となる。言い換えれば、流入温度が高いほど、濃度出力値は小さい値となる。また、濃度出力値は、流入温湿度センサ42より得られる流入湿度に応じて決定され、流入湿度が高いほど、濃度出力値は高い値となる。言い換えれば、流入湿度が小さいほど、濃度出力値は小さい値となる。詳細は後述する。
【0073】
そして、出力部21cは、処理部21bから出力された濃度出力値に関する情報を次亜塩素酸水供給装置2の次亜塩素酸水制御部3に出力する。これにより、次亜塩素酸水供給装置2では、次亜塩素酸水の通水濃度が調整される。
【0074】
ステップS03は、通水制御の終了を判定するステップである。処理部21bは、操作部41より得られる加湿運転の開始/終了に関する情報を確認し、加湿運転の終了情報が得られた場合に、通水制御処理を終了する。
【0075】
次に、図4を参照して、通水する次亜塩素酸水の濃度の具体的な算出方法について説明する。図4は、流入温度及び流入湿度に応じた通水する次亜塩素酸水の濃度出力値を説明するための図である。ここで、図4の横軸は、流入温度情報を表し、右に行くほど流入温度が大きいことを意味する。また、図4の縦軸は、通水する次亜塩素酸水の次亜塩素酸濃度を表し、上に行くほど通水する次亜塩素酸水の次亜塩素酸濃度(濃度出力値)を高く設定することを意味する。通水する次亜塩素酸水の濃度の算出には、流入する空気の流入温度に基づいて、例えば53.08÷exp(17.27×T÷(T+237.3))×(1+(H-50)÷100)という式が用いられる。なお、expは底がeである指数関数を表し、Tは流入温度を表す。なお、図4には、流入する空気の流入湿度が30%の場合、50%の場合、及び70%の場合のグラフを図示している。
【0076】
具体的な値を例示すると、例えば流入温度が24℃、流入湿度が50%という場合には、濃度出力値として「11」という値が計算され、次亜塩素酸水供給装置2は、通水する次亜塩素酸水の濃度を11ppmに設定する。この式は、実際に流入温度と流入湿度を変化させて気液接触部26へ次亜塩素酸水を通水させたときに、流通した空気の次亜塩素酸濃度が20ppmになる次亜塩素酸水の濃度をプロットすることで得られ、気液接触部26の厚み及び大きさ、構造によって異なる式となる。
【0077】
図4に示す通り、同じ流入湿度であれば、流入温度が大きいほど濃度出力値は小さい値を取る。例えば、流入湿度が50%であり、流入温度が18℃である場合、濃度出力値は「16」という値を取る。つまり、次亜塩素酸水供給装置2は、通水する次亜塩素酸水の濃度を16ppmとなるようにする。一方、流入湿度が同じ50%であっても、流入温度が18℃より大きい30℃の場合には、濃度出力値は「16」より小さい「8」という値を取る。つまり、次亜塩素酸水供給装置2は、通水する次亜塩素酸水の濃度を8ppmとなるようにする。また、同じ流入温度であれば、流入湿度が大きいほど濃度出力値は大きい値を取る。例えば、流入温度が24℃であり、流入温度が30%である場合、濃度出力値は「14」という値を取る。つまり、次亜塩素酸水供給装置2は、通水する次亜塩素酸水の濃度を114ppmとなるようにする。一方、流入温度が同じ24℃であっても、流入湿度が30%より大きい70%の場合には、濃度出力値は「14」より小さい「9」という値を取る。つまり、次亜塩素酸水供給装置2は、通水する次亜塩素酸水の濃度を9ppmとなるようにする。
【0078】
以上のようにして、空間浄化装置1では、加湿制御部21によって次亜塩素酸水供給装置2による次亜塩素酸水の通水処理の制御(通水濃度の制御を含む)及び空気調和装置20による加湿処理の制御が行われ、空間浄化処理として対象空間Sの除菌又は殺菌が実行される。
【0079】
以上、本実施の形態1に係る空間浄化装置1によれば、以下の効果を享受することができる。
【0080】
(1)空間浄化装置1は、内部に流入した空気が流通するように設けられた気液接触部26と、気液接触部26に導入される空気の流入温度及び流入湿度を取得する流入温湿度センサ42と、気液接触部26に次亜塩素酸水を通水する次亜塩素酸水供給装置2と、気液接触部26を流通した空気を対象空間に送風する送風機29と、を備える。そして、次亜塩素酸水供給装置2は、流入温湿度センサ42より得られる流入温度及び流入湿度に応じて、次亜塩素酸水の濃度を変更するようにした。
【0081】
こうした構成によれば、次亜塩素酸が揮発しにくい流入温度及び流入湿度であっても、次亜塩素酸水の濃度を高くすることで、気液接触部26を流通する空気に含ませられる次亜塩素酸の量の低下を抑制することができる。これにより、空間浄化装置1は、気液接触部に導入される空気の温湿度の変動に伴う、次亜塩素酸による除菌効果の低下を抑制することができる。
【0082】
(2)空間浄化装置1では、次亜塩素酸水供給装置2は、流入温度が低いほど、次亜塩素酸水の濃度を高くするようにした。このようにすることで、流入温度が低く、次亜塩素酸の揮発量が少ない場合であっても、次亜塩素酸水の濃度を高くすることで、気液接触部26を流通する空気に含ませられる次亜塩素酸の量の低下を抑制することができる。
【0083】
(3)空間浄化装置1では、次亜塩素酸水供給装置2は、流入湿度が高いほど、次亜塩素酸水の濃度を高くするようにした。このようにすることで、流入湿度が高く、加湿量が少ないために、次亜塩素酸の揮発量が少なくなる場合であっても、次亜塩素酸水の濃度を高くすることで、気液接触部26を流通する空気に含ませられる次亜塩素酸の量の低下を抑制することができる。
【0084】
(変形例)
図5を参照して、空間浄化装置1における通水制御の変形例について説明する。図5は、空間湿度に応じた通水する次亜塩素酸水の濃度出力値の濃度補正値を説明するための図である。ここで、図5の横軸は、空間湿度を表し、右に行くほど空間湿度が大きいことを意味する。また、図5の縦軸は、通水する次亜塩素酸水の次亜塩素酸濃度を補正するための濃度補正値Kを表し、上に行くほど濃度補正値を高く設定することを意味する。濃度補正値は、通水する次亜塩素酸水の濃度を補正するための値である。
【0085】
空間浄化装置1における通水制御の変形例では、図5に示す濃度補正値に基づいて、空間温湿度センサ40より得られる対象空間Sの空間湿度が高いほど、次亜塩素酸水供給装置2から供給される次亜塩素酸水の濃度を高くするように制御がなされる。
【0086】
具体的には、変形例の通水制御では、実施の形態1の加湿制御部21によって得られた濃度出力値に対して、濃度補正値を掛け合わせることによって、新たな濃度出力値として出力する。これにより、対象空間Sの空間湿度が高い場合に、濃度出力値に濃度補正値を掛け合わせた新たな濃度出力値も大きくすることができる。つまり、対象空間Sの空間湿度が高く、次亜塩素酸ガスの減衰が大きい場合に、通水する次亜塩素酸水の濃度を高く設定することができ、次亜塩素酸による除菌効果の低下をさらに抑制することができる。
【0087】
具体的な式としては、例えば、K=1(0≦H≦60)またはK=(H-60)÷40+1(60≦H<100)という値を取る。例えば、空間温湿度センサ40より得られる空間湿度が60%の場合には、濃度補正値は「1」という値を取り、濃度出力値は「1」を掛け合わされるため、変化しない。一方、空間湿度が80%の場合には、濃度補正値は「1.5」という値を取り、濃度出力値は「1.5」を掛け合わされるため、濃度出力値は1.5倍の値となる。なお、図5は、空間湿度を変化させたときに、対象空間Sの次亜塩素酸濃度が一定になるように、次亜塩素酸水の濃度を補正することで得られる。
【0088】
以上、本実施の形態1に係る空間浄化装置1における通水制御の変形例によれば、以下の効果を享受することができる。
【0089】
(4)空間浄化装置1は、送風機29が空気を送風する空間に空間温湿度センサ40を備える。次亜塩素酸水供給装置2は、空間温湿度センサ40より得られる空間湿度が高いほど、次亜塩素酸水の濃度を高くするようにした。これにより、空間湿度が高く、空間における次亜塩素酸の減衰が大きくなる場合に、送風する空気に含ませる次亜塩素酸の量を増加させ、対象空間Sにおける次亜塩素酸濃度の低下を抑制することができる。これにより、空間浄化装置1は、気液接触部26に導入される空気の温湿度の変動に伴う、次亜塩素酸による除菌効果の低下をさらに抑制することができる。
【0090】
以上、本発明に関して実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されているところである。
【0091】
本実施の形態1に係る空間浄化装置1では、次亜塩素酸水供給装置2から設定濃度に希釈した次亜塩素酸水を気液接触部26に通水するようにしたが、これに限られない。例えば、次亜塩素酸水供給装置2は、塩酸あるいはリン酸塩水等のpH調整剤を混合し、次亜塩素酸水のpH値を調整するように構成してもよい。これにより、気液接触部26から放出される空気に含ませる次亜塩素酸の濃度の制御範囲を広げることができる。
【0092】
また、本実施の形態1に係る空間浄化装置1では、次亜塩素酸水供給装置2は、水供給部4から供給される水と、次亜塩素酸水供給部7から供給される次亜塩素酸水とを、配管内において混合希釈するように構成したが、これに限られない。例えば、次亜塩素酸水供給装置2は、混合槽を設け、次亜塩素酸水供給部7から供給される次亜塩素酸水と水供給部4から供給される水とを混合槽内で混合希釈した上で、気液接触部26に混合希釈した次亜塩素酸水を供給するようにしてもよい。このようにしても、少なくとも上述した効果(1)~(4)を享受することができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係る空間浄化装置は、気液接触部を流通する空気に次亜塩素酸を含ませる場合に、年間を通して次亜塩素酸を安定して付与可能な構成となっており、対象空間の空気を除菌又は殺菌するシステムとして有用である。
【符号の説明】
【0094】
1 空間浄化装置
2 次亜塩素酸水供給装置
3 次亜塩素酸水制御部
4 水供給部
5 水道管
6 水道弁
7 次亜塩素酸水供給部
8 送水管
9 止水弁
10 送水ポンプ
11 次亜塩素酸水タンク
20 空気調和装置
21 加湿制御部
22 還気ダクト
23 フィルタ
24 空気冷却器
25 空気加熱器
26 気液接触部
27 温調部
29 送風機
30 給気ダクト
31 ドレンパン
32 排水流路
33 熱源装置
34 流路
35 流路
36 流路
37 流路
40 空間温湿度センサ
41 操作部
42 流入温湿度センサ
図1
図2
図3
図4
図5