(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108658
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】膨張弁、車両用冷暖房装置およびバッテリ冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25B 41/33 20210101AFI20230731BHJP
F25B 41/345 20210101ALI20230731BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230731BHJP
B60H 1/32 20060101ALI20230731BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20230731BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20230731BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20230731BHJP
H01M 10/6569 20140101ALI20230731BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230731BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230731BHJP
【FI】
F25B41/33
F25B41/345
F25B1/00 321L
B60H1/32 613B
B60H1/22 651B
F16K31/06 335
H01M10/6556
H01M10/6569
H01M10/625
H01M10/613
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009813
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000133652
【氏名又は名称】株式会社テージーケー
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 真司
(72)【発明者】
【氏名】津川 徳巳
(72)【発明者】
【氏名】城之内 隆史
【テーマコード(参考)】
3H106
3L211
5H031
【Fターム(参考)】
3H106DA03
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD03
3H106FB11
3H106KK01
3H106KK31
3L211AA11
3L211BA14
3L211CA16
3L211DA23
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】下流側の冷媒の圧力である所定の出口側圧力を設定圧力に迅速に近づけられるとともに、その設定圧力を適宜変更可能な膨張弁を提供する。
【解決手段】ある態様の膨張弁1は、上流側から冷媒を導入するポート16と、下流側へ冷媒を導出するポート14と、ポート16とポート14とをつなぐ冷媒通路に設けられた弁孔20と、出口側圧力が導入される圧力感知室23と、を有するボディ5と、弁孔20との間に形成される弁部の開度を調整する弁体30と、圧力感知室23に設けられ、出口側圧力を感知して弁部の開閉方向の駆動力を発生し、出口側圧力が低下すると弁部の開弁方向に変位し、出口側圧力が上昇すると弁部の閉弁方向に変位する感圧部6と、供給電流値に応じた弁部の開閉方向の駆動力を発生するソレノイド3と、を備える。ソレノイド3への供給電流値を変化させることにより設定圧力が設定変更可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から導入された冷媒を減圧膨張させて下流側へ導出するとともに、下流側の冷媒の圧力である出口側圧力が設定圧力に近づくように冷媒流量を制御する膨張弁であって、
上流側から冷媒を導入する導入ポートと、下流側へ冷媒を導出する導出ポートと、前記導入ポートと前記導出ポートとをつなぐ冷媒通路に設けられた弁孔と、前記出口側圧力が導入される圧力感知室と、を有するボディと、
前記弁孔との間に形成される弁部の開度を調整する弁体と、
前記圧力感知室に設けられ、前記出口側圧力を感知して前記弁部の開閉方向の駆動力を発生し、前記出口側圧力が低下すると前記弁部の開弁方向に変位し、前記出口側圧力が上昇すると前記弁部の閉弁方向に変位する感圧部と、
供給電流値に応じた前記弁部の開閉方向の駆動力を発生するソレノイドと、
を備え、
前記ソレノイドへの供給電流値を変化させることにより前記設定圧力が設定変更可能であることを特徴とする膨張弁。
【請求項2】
前記導出ポートが、下流側熱交換器の入口に連通し、
前記圧力感知室が、前記下流側熱交換器の出口に連通することを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
【請求項3】
前記下流側熱交換器が蒸発器であることを特徴とする請求項2に記載の膨張弁。
【請求項4】
前記下流側熱交換器がバッテリ用熱交換器であることを特徴とする請求項2に記載の膨張弁。
【請求項5】
前記ソレノイドへの供給電流値を上昇させることにより、前記出口側圧力の大きさにかかわらず前記弁部を全開にすることが可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の膨張弁。
【請求項6】
前記感圧部は、感圧用ガスを封入する感圧部材を含み、前記下流側の冷媒の圧力と温度を感知して変位することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の膨張弁。
【請求項7】
前記冷媒通路と前記圧力感知室との隔壁を貫通し、一端側が前記感圧部と作動連結可能であり、他端側が前記ソレノイドと作動連結可能であり、前記冷媒通路において前記弁体が一体変位可能に設けられた弁駆動体をさらに備えることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の膨張弁。
【請求項8】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
車室外に配置され、冷房運転時に冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖
房運転時には冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、
車室内に配置されて冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、
前記室外熱交換器とは別に冷媒を放熱させる補助凝縮器と、
冷房運転時に前記圧縮機から吐出された冷媒が前記室外熱交換器および前記室内蒸発器を順次経由して前記圧縮機に戻るように循環可能な第1冷媒循環通路と、
暖房運転時に前記圧縮機から吐出された冷媒が前記補助凝縮器および前記室外熱交換器を順次経由して前記圧縮機に戻るように循環可能な第2冷媒循環通路と、
前記第1冷媒循環通路における前記室外熱交換器の下流側に設けられ、前記室内蒸発器へ供給される冷媒の流量を調整する第1の弁と、
前記第2冷媒循環通路における前記補助凝縮器の下流側に設けられ、前記室外熱交換器へ供給される冷媒の流量を調整する第2の弁と、
を備え、
前記第1の弁および前記第2の弁が、上流側から導入された冷媒を減圧膨張させて下流側へ導出するとともに、下流側の冷媒の圧力である出口側圧力が設定圧力に近づくように冷媒流量を制御する膨張弁であり、
前記膨張弁は、
上流側から冷媒を導入する導入ポートと、下流側へ冷媒を導出する導出ポートと、前記導入ポートと前記導出ポートとをつなぐ冷媒通路に設けられた弁孔と、前記出口側圧力が導入される圧力感知室と、を有するボディと、
前記弁孔との間に形成される弁部の開度を調整する弁体と、
前記圧力感知室に設けられ、前記出口側圧力を感知して前記弁部の開閉方向の駆動力を発生し、前記出口側圧力が低下すると前記弁部の開弁方向に変位し、前記出口側圧力が上昇すると前記弁部の閉弁方向に変位する感圧部と、
供給電流値に応じた前記弁部の開閉方向の駆動力を発生するソレノイドと、
を含み、
前記ソレノイドへの供給電流値を変化させることにより前記設定圧力が設定変更可能であることを特徴とする車両用冷暖房装置。
【請求項9】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
室外熱交換器と、
前記圧縮機から吐出された冷媒が前記室外熱交換器を経由して前記圧縮機に戻るように循環可能な冷媒循環通路と、
前記冷媒循環通路における前記室外熱交換器と前記圧縮機との間に設けられたバッテリ用熱交換器と、
前記冷媒循環通路における前記室外熱交換器と前記バッテリ用熱交換器との間に設けられ、前記室外熱交換器からの冷媒を減圧膨張させて前記バッテリ用熱交換器へ供給するとともに、下流側の冷媒の圧力である出口側圧力が設定圧力に近づくように冷媒流量を制御する膨張弁と、
を備え、
前記膨張弁は、
上流側から冷媒を導入する導入ポートと、下流側へ冷媒を導出する導出ポートと、前記導入ポートと前記導出ポートとをつなぐ冷媒通路に設けられた弁孔と、前記出口側圧力が導入される圧力感知室と、を有するボディと、
前記弁孔との間に形成される弁部の開度を調整する弁体と、
前記圧力感知室に設けられ、前記出口側圧力を感知して前記弁部の開閉方向の駆動力を発生し、前記出口側圧力が低下すると前記弁部の開弁方向に変位し、前記出口側圧力が上昇すると前記弁部の閉弁方向に変位する感圧部と、
供給電流値に応じた前記弁部の開閉方向の駆動力を発生するソレノイドと、
を含み、
前記ソレノイドへの供給電流値を変化させることにより前記設定圧力が設定変更可能であることを特徴とするバッテリ冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒を減圧膨張させる膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用空調装置は、一般に、圧縮機、凝縮器、膨張装置、蒸発器等を冷凍サイクルに配置して構成される。冷凍サイクルには、膨張装置としての膨張弁など、冷媒の流れを制御するために各種制御弁が設けられている。膨張弁は、下流側の蒸発器にて冷媒が蒸発し易くなるよう、上流側からの液冷媒を絞り膨張させ、霧状にして下流側へ送出する。
【0003】
従来、このような膨張弁として、蒸発器から導出される冷媒が所定の過熱度を有するように、蒸発器の出口側の冷媒の温度および圧力を感知して弁開度を調整し、蒸発器へ送出する冷媒の流量を制御する温度式膨張弁が知られている(例えば特許文献1参照)。しかし、このような膨張弁は、機械的構造のみによって弁部が自律的に動作するため、感知する圧力と弁開度との関係、言い換えれば、膨張弁により調整される蒸発器の出口圧力の設定値(「設定圧力」ともいう)が単一となる。このため、冷凍サイクルに要求される制御状態が変化した場合などにその設定圧力を変更できない点で改善の余地があった。
【0004】
一方、近年の電気自動車等の普及に伴い、駆動部にモータを備える電動膨張弁が広く採用されつつある。電気自動車では内燃機関による熱源そのものがないため、冷房のみならず暖房にも冷媒を用いたサイクル運転を行い、車室内を除湿暖房可能なヒートポンプ式の車両用冷暖房装置が採用される(例えば特許文献2参照)。電動膨張弁であれば、外部制御により弁開度を自由に変更できるため、蒸発器の出口圧力についても任意に設定変更できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-242129号公報
【特許文献2】特開2015-105715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような電動膨張弁は、圧力を感知する部分がないため、蒸発器の出口圧力を感知してフィードバックできない。このため、設定圧力への調整に関して応答性を高め難いといった問題があった。なお、このような問題は、自動車以外の空調装置や冷却装置に膨張弁を適用する場合にも同様に生じ得る。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、下流側の冷媒の圧力である所定の出口側圧力を設定圧力に迅速に近づけられるとともに、その設定圧力を適宜変更可能な膨張弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、上流側から導入された冷媒を減圧膨張させて下流側へ導出するとともに、下流側の冷媒の圧力である出口側圧力が設定圧力に近づくように冷媒流量を制御する膨張弁である。この膨張弁は、上流側から冷媒を導入する導入ポートと、下流側へ冷媒を導出する導出ポートと、導入ポートと導出ポートとをつなぐ冷媒通路に設けられた弁孔と、出口側圧力が導入される圧力感知室と、を有するボディと、弁孔との間に形成される弁部の開度を調整する弁体と、圧力感知室に設けられ、出口側圧力を感知して弁部の開閉方向の駆動力を発生し、出口側圧力が低下すると弁部の開弁方向に変位し、出口側圧力が上昇すると弁部の閉弁方向に変位する感圧部と、供給電流値に応じた弁部の開閉方向の駆動力を発生するソレノイドと、を備える。ソレノイドへの供給電流値を変化させることにより設定圧力が設定変更可能である。
【0009】
この態様によると、膨張弁の制御状態において感圧部が出口側圧力を感知して弁部を開閉方向に駆動する。このため、出口側圧力を設定圧力に迅速に近づけることができる。また、ソレノイドへの供給電流値を変化させることで、その設定圧力を任意に変更できる。
【0010】
本発明の別の態様は車両用冷暖房装置である。この冷暖房装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室外に配置され、冷房運転時に冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、車室内に配置されて冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、室外熱交換器とは別に冷媒を放熱させる補助凝縮器と、冷房運転時に圧縮機から吐出された冷媒が室外熱交換器および室内蒸発器を順次経由して圧縮機に戻るように循環可能な第1冷媒循環通路と、暖房運転時に圧縮機から吐出された冷媒が補助凝縮器および室外熱交換器を順次経由して圧縮機に戻るように循環可能な第2冷媒循環通路と、第1冷媒循環通路における室外熱交換器の下流側に設けられ、室内蒸発器へ供給される冷媒の流量を調整する第1の弁と、第2冷媒循環通路における補助凝縮器の下流側に設けられ、室外熱交換器へ供給される冷媒の流量を調整する第2の弁と、を備える。第1の弁および第2の弁が、上流側から導入された冷媒を減圧膨張させて下流側へ導出するとともに、下流側の冷媒の圧力である出口側圧力が設定圧力に近づくように冷媒流量を制御する膨張弁である。
【0011】
この膨張弁は、上流側から冷媒を導入する導入ポートと、下流側へ冷媒を導出する導出ポートと、導入ポートと導出ポートとをつなぐ冷媒通路に設けられた弁孔と、出口側圧力が導入される圧力感知室と、を有するボディと、弁孔との間に形成される弁部の開度を調整する弁体と、圧力感知室に設けられ、出口側圧力を感知して弁部の開閉方向の駆動力を発生し、出口側圧力が低下すると弁部の開弁方向に変位し、出口側圧力が上昇すると弁部の閉弁方向に変位する感圧部と、供給電流値に応じた弁部の開閉方向の駆動力を発生するソレノイドと、を含む。ソレノイドへの供給電流値を変化させることにより設定圧力が設定変更可能である。
【0012】
この態様によると、冷暖房装置の制御状態において膨張弁の感圧部が蒸発器の出口側圧力を感知し、弁部を開閉方向に駆動する。このため、蒸発器の出口側圧力を設定圧力に迅速に近づけることができ、冷暖房能力を維持できる。また、膨張弁のソレノイドへの供給電流値を変化させることで、その設定圧力を任意に変更できる。
【0013】
本発明のさらに別の態様はバッテリ冷却装置である。このバッテリ冷却装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、室外熱交換器と、圧縮機から吐出された冷媒が室外熱交換器を経由して圧縮機に戻るように循環可能な冷媒循環通路と、冷媒循環通路における室外熱交換器と圧縮機との間に設けられたバッテリ用熱交換器と、冷媒循環通路における室外熱交換器とバッテリ用熱交換器との間に設けられ、室外熱交換器からの冷媒を減圧膨張させてバッテリ用熱交換器へ供給するとともに、下流側の冷媒の圧力である出口側圧力が設定圧力に近づくように冷媒流量を制御する膨張弁と、を備える。
【0014】
この膨張弁は、上流側から冷媒を導入する導入ポートと、下流側へ冷媒を導出する導出ポートと、導入ポートと導出ポートとをつなぐ冷媒通路に設けられた弁孔と、出口側圧力が導入される圧力感知室と、を有するボディと、弁孔との間に形成される弁部の開度を調整する弁体と、圧力感知室に設けられ、出口側圧力を感知して弁部の開閉方向の駆動力を発生し、出口側圧力が低下すると弁部の開弁方向に変位し、出口側圧力が上昇すると弁部の閉弁方向に変位する感圧部と、供給電流値に応じた弁部の開閉方向の駆動力を発生するソレノイドと、を含む。ソレノイドへの供給電流値を変化させることにより設定圧力が設定変更可能である。
【0015】
この態様によると、バッテリ冷却装置の作動状態において膨張弁の感圧部がバッテリ冷却装置の出口側圧力を感知し、弁部を開閉方向に駆動する。このため、バッテリ冷却装置の出口側圧力を設定圧力に迅速に近づけ、冷却温度を維持できる。また、膨張弁のソレノイドへの供給電流値を変化させることで、その設定圧力を任意に変更できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、下流側の冷媒の圧力である所定の出口側圧力を設定圧力に迅速に近づけられるとともに、その設定圧力を適宜変更可能な膨張弁を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成図である。
【
図5】
図4の上半部に対応する部分拡大断面図である。
【
図9】変形例1に係る膨張弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。
【
図11】変形例2に係る膨張弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。
【
図12】変形例3に係る膨張弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。
【
図13】変形例4に係る膨張弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。また、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0019】
図1は、実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成図である。
冷暖房装置100は、圧縮機102、補助凝縮器104(室内凝縮器)、室外熱交換器106、受液器108、蒸発器110およびアキュムレータ112を配管にて接続した冷凍サイクル(冷媒循環回路)を備える。冷暖房装置100は、電気自動車に適用され、HFC-134a(代替フロン)、HFO-1234yfなどの冷媒が冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する過程で、その冷媒の熱を利用して車室内の空調を行うヒートポンプ式冷暖房装置として構成されている。
【0020】
圧縮機102、室外熱交換器106および受液器108は、車室外(エンジンルーム)に設けられている。一方、車室内には空気の熱交換が行われるダクト114が設けられ、ダクト114における空気の流れ方向上流側に蒸発器110が配設され、下流側に補助凝縮器104が配設されている。補助凝縮器104は、室内凝縮器として構成されている。
【0021】
冷暖房装置100は、冷房運転時と暖房運転時とで複数の冷媒循環通路を切り替えるように運転される。この冷凍サイクルは、補助凝縮器104と室外熱交換器106とが凝縮器として直列に動作可能に構成され、また、蒸発器110と室外熱交換器106とが蒸発器として切り替え可能に構成されている。冷房運転時に冷媒が循環する第1冷媒循環通路と、暖房運転時に冷媒が循環する第2冷媒循環通路が形成される。
【0022】
第1冷媒循環通路は、圧縮機102→補助凝縮器104→室外熱交換器106→受液器108→蒸発器110→アキュムレータ112→圧縮機102のように冷媒が循環する通路である。第2冷媒循環通路は、圧縮機102→補助凝縮器104→室外熱交換器106→受液器108→アキュムレータ112→圧縮機102のように冷媒が循環する通路である。すなわち、第2冷媒循環通路は、蒸発器110を迂回する通路とされている。
【0023】
具体的には、圧縮機102の吐出室は第1通路121を介して補助凝縮器104の入口に接続され、補助凝縮器104の出口は第2通路122を介して室外熱交換器106の入口に接続されている。室外熱交換器106の出口は、第3通路123における受液器108を介して蒸発器110の入口に接続され、蒸発器110の出口は第4通路124(戻り通路)を介してアキュムレータ112の入口に接続されている。
【0024】
第3通路123の中途には分岐点が設けられ、蒸発器110を迂回するようにアキュムレータ112の入口につながるバイパス通路125が設けられている。第1通路121、第2通路122、第3通路123および第4通路124により第1冷媒循環通路が形成される。第1通路121、第2通路122、第3通路123およびバイパス通路125により第2冷媒循環通路が形成される。
【0025】
第2通路122は、その主通路126から分岐する分岐通路127が設けられている。主通路126に開閉弁130が設けられ、分岐通路127に膨張弁140(「第2の弁」として機能する)が設けられている。開閉弁130は、主通路126を開放又は遮断する。第3通路123におけるバイパス通路125との分岐点には、冷媒の流路を切り替えるための切替弁132が設けられている。第3通路123における切替弁132と蒸発器110との間には、膨張弁142(「第1の弁」として機能する)が設けられている。
【0026】
開閉弁130は、本実施形態ではソレノイド駆動の電磁弁であるが、モータ駆動の電動弁としてもよい。膨張弁140は、ソレノイド駆動の電磁弁である。開閉弁130は、ソレノイドへの非通電状態で弁部を全開とする常開弁である。冷房運転時には開閉弁130を開いて主通路126における冷媒流量を確保する一方、膨張弁140を閉弁状態に保つ。暖房運転時には開閉弁130を閉じて膨張弁140を開くことにより冷媒を絞り膨張させる。
【0027】
切替弁132は、第3通路123を開閉する第1弁部と、バイパス通路125を開閉する第2弁部と、各弁部を駆動する三方弁からなる。第1弁部の開閉により、室外熱交換器106から蒸発器110への冷媒の流れが許容又は遮断される。第2弁部の開閉により、室外熱交換器106からアキュムレータ112へ直接向かう冷媒の流れが許容又は遮断される。すなわち、第1弁部が開かれ、第2弁部が閉じられることにより、第1冷媒循環通路が開放され、第2冷媒循環通路が遮断される。第1弁部が閉じられ、第2弁部が開かれることにより、第1冷媒循環通路が遮断され、第2冷媒循環通路が開放される。なお、本実施形態ではソレノイド駆動の電磁弁であるが、モータ駆動の電動弁としてもよい。
【0028】
膨張弁142は、第1冷媒循環通路に設けられている。膨張弁142は、冷房運転時に室外熱交換器106(室外凝縮器)から導出された冷媒を絞り膨張させて蒸発器110へ供給する。膨張弁142は、蒸発器110から圧縮機102へ向かう冷媒の圧力を感知して自律的に動作し、室外熱交換器106から蒸発器110へ向かう冷媒の流量を調整する。膨張弁142の詳細については後述する。
【0029】
ダクト114には、空気の流れ方向上流側から図示略の室内送風機、蒸発器110、補助凝縮器104が配設されている。補助凝縮器104の上流側には、エアミックスドア116が回動自在に設けられ、補助凝縮器104を通過する風量と補助凝縮器104を迂回する風量との比率が調節される。また、室外熱交換器106に対向するように図示略の室外送風機が配置されている。
【0030】
圧縮機102は、ハウジング内にモータと圧縮機構を収容する電動圧縮機として構成され、図示略のバッテリからの供給電流により駆動され、モータの回転数に応じて冷媒の吐出容量が変化する。なお、電動圧縮機そのものは公知であるため、その説明を省略する。
【0031】
補助凝縮器104は、車室内に設けられ、室外熱交換器106とは別に冷媒を放熱させる室内凝縮器として機能する。すなわち、圧縮機102から吐出された高温・高圧の冷媒が補助凝縮器104を通過する際に放熱する。エアミックスドア116の開度に応じて振り分けられた空気は、補助凝縮器104を通過する過程でその熱交換が行われる。
【0032】
室外熱交換器106は、冷房運転時に内部を通過する冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には内部を通過する冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する。室外熱交換器106は、外気と冷媒との間で熱交換をさせる。
【0033】
蒸発器110は、車室内に配置され、内部を通過する冷媒を蒸発させる室内蒸発器として機能する。膨張弁142の通過により低温・低圧となった冷媒は、蒸発器110を通過する際に蒸発する。ダクト114の上流側から導入された空気は、その蒸発潜熱によって冷却される。このとき冷却・除湿された空気は、エアミックスドア116の開度に応じて補助凝縮器104を通過するものと、補助凝縮器104を迂回するものとに振り分けられる。補助凝縮器104を通過する空気は、その通過過程で加熱される。補助凝縮器104を通過した空気と迂回した空気とが補助凝縮器104の下流側にて混合されて目標の温度に調整され、図示しない吹出口から車内に供給される。
【0034】
また、本実施形態では、冷暖房装置100の冷却機能を利用したバッテリ冷却装置150が設けられている。すなわち、冷暖房装置100は、車両用冷暖房装置であるとともに図示略のバッテリを冷却する冷却装置でもある。このバッテリは、上述のように圧縮機102の駆動電源を供給するとともに、電気自動車の各部へ電源を供給する。
【0035】
蒸発器110を迂回するように第3通路123と第4通路124とをつなぐバイパス通路128が設けられ、そのバイパス通路128にバッテリ用熱交換器152が設けられている。バッテリ冷却用の冷媒循環路として、圧縮機102→補助凝縮器104→室外熱交換器106→受液器108→バッテリ用熱交換器152→アキュムレータ112→圧縮機102のように冷媒が循環する通路(第3冷媒循環通路)が設けられている。バッテリ用熱交換器152は、バイパス通路128を構成する冷媒配管を含み、その冷媒配管を低温の冷媒が通過する際にバッテリとの間で熱交換が行われる。より詳細には、バッテリを冷却する図示しないクーラントが循環しており、このクーラントと冷媒との間で熱交換がなされる。バイパス通路128におけるバッテリ用熱交換器152の上流側に膨張弁144が設けられている。
【0036】
以上のように構成された冷暖房装置100は、制御部160により制御される。制御部160は、車両の乗員によりセットされた室温を実現するために各アクチュエータの制御量を演算し、各アクチュエータの駆動回路に制御信号を出力する。制御部160は、車室内外の温度、蒸発器の吹き出し空気温度等、各種センサにて検出された所定の外部情報に基づいて各制御弁の制御量(開閉状態)や圧縮機102の駆動量等を決定し、それらを駆動させるための制御電流を供給する。これにより、圧縮機102は、その吸入室を介して吸入圧力Psの冷媒を導入し、これを圧縮して吐出圧力Pdの冷媒として吐出する。
【0037】
図2および
図3は、冷暖房装置100の動作を表す図である。
図2(A)は冷房運転、
図2(B)はバッテリ冷却運転、
図2(C)は冷房とバッテリ冷却の同時運転をそれぞれ示す。
図3(A)は暖房運転、
図3(B)は除湿暖房運転、
図3(C)は除湿暖房とバッテリ冷却の同時運転をそれぞれ示す。図中の太線および矢印が冷媒の流れを示し、「×」は冷媒の流れが遮断されていることを示している。
【0038】
(冷房運転)
図2(A)に示すように、冷房運転時においては、開閉弁130が開弁状態とされ、膨張弁140が閉弁状態とされる。一方、切替弁132において第1弁部が開弁状態とされ、第2弁部が閉弁状態とされる。それにより、第1冷媒循環通路が開放され、第2冷媒循環通路は遮断される。このため、圧縮機102から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、補助凝縮器104および室外熱交換器106を経ることで凝縮される。このとき、室外熱交換器106は室外凝縮器として機能する。
【0039】
そして、室外熱交換器106から導出された冷媒が受液器108にて気液分離され、その液冷媒が下流側に供給される。この液冷媒は、膨張弁142で絞り膨張され、低温・低圧の霧状の冷媒となって蒸発器110に導入される。その冷媒が蒸発器110を通過する過程で蒸発し、車室内の空気を冷却する。蒸発器110から導出された冷媒は、膨張弁142の内部通路(後述する「圧力感知室23」)を通過し、アキュムレータ112を経由して圧縮機102に戻される。膨張弁144が閉弁状態とされるため、バッテリ用熱交換器152は機能しない。
【0040】
図2(B)に示すように、バッテリ冷却運転においては、膨張弁142が閉弁状態とされ、膨張弁144が開弁状態とされる。このとき、膨張弁144を経た低温・低圧の冷媒がバッテリ用熱交換器152を通過する。それによりバッテリが冷却される。
図2(C)に示すように、膨張弁142および膨張弁144の双方が開弁状態とされると、冷房運転状態においてバッテリの冷却が行われる。
【0041】
(暖房運転)
図3(A)に示すように、暖房運転時においては、開閉弁130が閉弁状態とされ、膨張弁140が開弁状態とされる。一方、切替弁132において第1弁部が閉弁状態とされ、第2弁部が開弁状態とされる。それにより、第1冷媒循環通路が遮断され、第2冷媒循環通路が開放される。このため、冷媒は蒸発器110を通過せず、蒸発器110は実質的に機能しなくなる。室外熱交換器106のみが蒸発器(室外蒸発器)として機能する。
【0042】
圧縮機102から吐出された冷媒は、補助凝縮器104を経ることで凝縮される。その冷媒は、膨張弁140にて絞り膨張され、低温・低圧の霧状の冷媒となって室外熱交換器106に導入される。その冷媒が室外熱交換器106を通過する過程で蒸発し、外部から熱量を吸収する。室外熱交換器106から導出された冷媒は、バイパス通路125を通過し、アキュムレータ112を経由して圧縮機102に戻される。
【0043】
図3(B)に示すように、除湿暖房運転においては、膨張弁140の開弁状態を維持しつつ、切替弁132において第2弁部を閉じて第1弁部を開く。それにより、冷媒は、室外熱交換器106(室外蒸発器)および蒸発器110(室内蒸発器)を通過する。すなわち、循環する冷媒について、室外熱交換器106と蒸発器110における蒸発比率が調整される。その際、蒸発器110による除湿機能が作用する。この除湿暖房運転中においても、
図3(C)に示すように、膨張弁144を開弁させることで、バッテリ用熱交換器152を機能させることができ、バッテリを冷却できる。
【0044】
次に、膨張弁の構成について詳細に説明する。
冷暖房装置100に適用される膨張弁140,142,144は、いずれもソレノイド駆動の電磁弁であり、本実施形態では同様の構成を有する。このため、以下ではこれらを「膨張弁1」としてその詳細を説明する。
【0045】
図4は、膨張弁1の構成を表す断面図である。
膨張弁1は、上流側から導入された冷媒を減圧膨張(絞り膨張)させて下流側へ導出するとともに、下流側の冷媒の圧力である出口側圧力、具体的には下流側熱交換器の出口圧力Peが設定圧力Psetに近づくように冷媒流量を制御する。ここで、「下流側熱交換器」とは、膨張弁140については室外熱交換器106、膨張弁142については蒸発器110、膨張弁144についてはバッテリ用熱交換器152がそれぞれ該当する。
【0046】
膨張弁1は、弁本体2とソレノイド3とを軸線方向に組み付けて構成される。弁本体2は、段付円筒状のボディ5(バルブボディ)を有し、そのボディ5内にパワーエレメント6を収容する。パワーエレメント6は「感圧部」として機能し、出口圧力Peを感知して弁部の開閉方向の駆動力(以下「感圧駆動力」ともいう)を発生する。ボディ5は、ソレノイド3のボディ7(ソレノイドボディ)と同軸状に組み付けられる。
【0047】
一方、ポート12bは、下流側熱交換器のさらに下流側に位置する下流側機器の入口に連通する。ここで、「下流側機器」とは、膨張弁140については受液器108ひいては圧縮機102、膨張弁142および144についてはアキュムレータ112ひいては圧縮機102がそれぞれ該当する。
【0048】
ボディ5の上端開口部を閉じるように端部材13が固定されている。ボディ5の下部とソレノイド3の上部とが、接続部材51を介して連結され固定されている。
【0049】
ボディ5内には、ポート16とポート14とを連通させる冷媒通路に弁孔20が設けられ、弁孔20の上流側開口端に弁座22が設けられている。後述の弁体30が弁座22に着脱することにより弁部を開閉する。膨張弁1は、一端側からパワーエレメント6、弁部、ソレノイド3が順に配置される構成を有する。
【0050】
ボディ5の上部には圧力感知室23が区画されており、圧力感知室23にパワーエレメント6が設けられている。ポート12aは、下流側熱交換器の出口と圧力感知室23とを連通させる。一方、ポート12bは、下流側機器の入口と圧力感知室23とを連通させる。ポート16は上流側から上流側圧力Pinの冷媒を導入する。膨張弁140について、上流側圧力Pinは補助凝縮器104(室内凝縮器)の下流側の圧力となる。膨張弁142および144について、上流側圧力Pinは室外熱交換器106(室外凝縮器)の下流側の圧力となる。
【0051】
ポート16と弁孔20との間には弁室24が設けられている。弁孔20は開口端近傍がやや拡径されたテーパ形状となっており、そのテーパ面に弁座22が形成されている。ポート14は、弁部を経由して下流側圧力Poutとなった冷媒を下流側熱交換器の入口へ向けて導出する。下流側熱交換器を経由して出口圧力Peとなった冷媒は、ポート12aを介して圧力感知室23に導入された後、ポート12bを介して下流側機器へ向けて導出される。パワーエレメント6は、圧力感知室23の出口圧力Peを感知して動作する。
【0052】
ポート14,16には、円筒状のフィルタ部材15,17がそれぞれ取り付けられている。フィルタ部材15,17は、ボディ5の内部への異物の侵入を抑制するためのメッシュを含む。
【0053】
ポート14と弁孔20との間に下流側圧力室25が形成されている。弁室24、弁孔20および下流側圧力室25は、ポート16とポート14とをつなぐ冷媒通路を形成する。圧力感知室23と弁室24との間にガイド孔26が設けられ、ボディ5の下部(弁室24に対する弁孔20とは反対側)にはガイド孔27が設けられている。ガイド孔26とガイド孔27とは同軸状に形成されている。ボディ5の軸線に沿って弁駆動体29が挿通されている。弁駆動体29は、上下のガイド孔26,ガイド孔27により軸線方向に摺動可能に支持されている。弁駆動体29は、下流側圧力室25と圧力感知室23との隔壁37を貫通し、パワーエレメント6に作動連結される。
【0054】
弁駆動体29は、有底段付円筒状をなし、軸線方向に延びる内部通路35を有する。弁駆動体29の上端部が閉じた状態で縮径され、パワーエレメント6と作動連結可能となっている。弁駆動体29の下端がソレノイド3に向けて開放されている。弁駆動体29の上部には、圧力感知室23と内部通路35とを連通させる連通孔28が設けられている。
【0055】
弁駆動体29の中間部に形成された段部が、弁体30となっている。弁体30が弁室24側から弁座22に着脱して弁部を開閉する。また、弁体30が弁孔20に接離して弁部の開度を調整する。それにより、上流側から下流側へ流れる冷媒流量を調整する。弁駆動体29の下端部には、ソレノイド3のプランジャ62が一体に組み付けられている。
【0056】
パワーエレメント6は、出口圧力Peを感知して変位するベローズ45を含み、そのベローズ45の変位により感圧駆動力を発生させる。この感圧駆動力は、弁駆動体29ひいては弁体30に伝達される。
【0057】
一方、ソレノイド3は、ボディ7の内方に駆動機構を収容して構成される。ボディ7は、上端部が縮径された段付円筒状のケース50と、ケース50の上端部に同軸状に圧入された段付筒状の接続部材51と、ケース50内に収容された円筒状のボビン52と、ボビン52に巻回された電磁コイル54と、ボビン52の内方に挿通された円筒状のスリーブ56と、ケース50の下端開口部を概ね封止するように設けられた端部材58と、ボビン52の下方にて端部材58に埋設されたカラー59を備える。スリーブ56は、非磁性材料からなる。ケース50、接続部材51およびカラー59は、磁性材料からなり、ソレノイド3の「ヨーク」を構成する。
【0058】
ボディ7の内方に形成される作動空間60にプランジャ62およびコア64が配設されている。スリーブ56は、その上端部が接続部材51に挿入され、同軸状に固定されている。コア64は、上部の外径がやや小径化された有底円筒状をなし、その上部がスリーブ56の下部に挿通されるように組み付けられている。コア64は、スリーブ56と同軸状に固定され、下方から作動空間60を閉じている。
【0059】
プランジャ62は、段付円筒状をなし、コア64と軸線方向に対向する。弁駆動体29の下端中央部が円ボス状に突出し、プランジャ62の上端開口部に圧入されている。それにより、弁駆動体29とプランジャ62とが同軸状に固定されている。コア64の内方にスプリング68(「付勢部材」として機能する)が収容されている。スプリング68は、コア64の底部とプランジャ62の底部との間に介装され、プランジャ62を閉弁方向に付勢する。コア64は、プランジャ62を支持する部材としてスプリング68のみを挿通する。出口圧力Peは、弁駆動体29の内部通路35を通って作動空間60に導かれる。
【0060】
コア64とプランジャ62との吸引力であるソレノイド3の駆動力(「ソレノイド力」ともいう)は、弁駆動体29ひいては弁体30に伝達される。すなわち、膨張弁1の制御状態においては、ソレノイド力と感圧駆動力とにより調整された力が弁体30に作用し、弁部の開度を適切に制御する。
【0061】
プランジャ62の側面には軸線に平行な連通溝66が設けられ、プランジャ62の上部には内外を連通する連通孔67が設けられている。このような構成により、出口圧力Peがプランジャ62とスリーブ56との間隙にも導かれる。
【0062】
ボビン52からは電磁コイル54につながる一対の接続端子72が延出し、それぞれ端部材58を貫通して外部に引き出されている。同図には説明の便宜上、その一対の片方のみが表示されている。端部材58は、ケース50に内包されるソレノイド3内の構造物全体を下方から覆うように取り付けられている。端部材58は、耐食性を有する樹脂材のモールド成形(射出成形)により形成されている。端部材58からは接続端子72の先端部が引き出されており、図示しない外部電源に接続される。
【0063】
図5は、
図4の上半部に対応する部分拡大断面図である。
弁駆動体29のガイド孔27との摺動面には環状溝73が周設され、Oリング74(シール部材)が嵌着されている。それにより、両者の間隙を介した冷媒の流通が防止されている。弁駆動体29にプランジャ62が一体に設けられているため、ソレノイド力を弁体30に直接的に伝達できる。
【0064】
パワーエレメント6は、ベローズ45の上端開口部を第1ストッパ82により閉止し、下端開口部を第2ストッパ84により閉止して構成されている。ベローズ45は「感圧部材」として機能する。第1ストッパ82は、端部材13と一体成形されている。第2ストッパ84は、金属材をプレス成形して有底円筒状に構成されており、その下端開口部に半径方向外向きに延出するフランジ部86を有する。ベローズ45は、蛇腹状の本体の上端部が端部材13の下面に気密に溶接され、その本体の下端開口部がフランジ部86の上面に気密に溶接されている。ベローズ45の内部は密閉された基準圧力室Sとなっており、ベローズ45の内方には、端部材13とフランジ部86との間に、ベローズ45を伸長方向に付勢するスプリング88が介装されている。基準圧力室Sは、真空状態とされている。スプリング68の荷重はスプリング88の荷重よりも十分に大きい。なお、ソレノイド3をオフにしたときの弁開度は、スプリング68,88の荷重に加え、ベローズ45が出口圧力Peを受圧することによって生じる閉弁方向の荷重(以下「受圧荷重」ともいう)も関係する。このため、スプリング68の荷重とベローズ45の受圧荷重が、ソレノイド3のオフ時において常にスプリング88の荷重に打ち勝つようにベローズ45の受圧面積を設定しておけばよい。その場合、スプリング68の荷重とスプリング88の荷重との大小関係は特に問われない。
【0065】
端部材13は、パワーエレメント6の固定端となっている。端部材13のボディ5への圧入量を調整することにより、パワーエレメント6の設定荷重(スプリング88の設定荷重)を調整できる。なお、第1ストッパ82の中央部がベローズ45の内方に向けて下方に延在し、第2ストッパ84の中央部がベローズ45の内方に向けて上方に延在し、それらがベローズ45の軸芯を形成している。
【0066】
ベローズ45は、圧力感知室23の出口圧力Peと基準圧力室Sの基準圧力との差圧に応じて軸線方向(各弁の開閉方向)に伸長または収縮する。その差圧が小さくなってベローズ45が伸長するに応じて、弁駆動体29に開弁方向の感圧駆動力が付与される。出口圧力Peが低下するほどベローズ45が伸長し、開弁方向の感圧駆動力が大きくなる。一方、出口圧力Peが上昇すると、ベローズ45が収縮して閉弁方向に変位する。その結果、弁駆動体29ひいては弁体30が閉弁方向に作動する。このとき、出口圧力Peが上昇して弁体30が弁座22に着座すると、弁駆動体29は停止する。その際、弁駆動体29が停止してもなおベローズ45が収縮すると、弁駆動体29の上端部がフランジ部86から離脱し、弁駆動体29とパワーエレメント6との作動連結が解除される。ただし、ベローズ45が所定量収縮すると、第2ストッパ84が第1ストッパ82に当接して係止されるため、その収縮は規制される。
【0067】
ソレノイド力の調整により、パワーエレメント6の感圧駆動力とのバランスを調整でき、それにより出口圧力Peの設定値(設定圧力Pset)を調整できる。すなわち、膨張弁1は、ソレノイド3への供給電流値が一定である限り、出口圧力Peがその供給電流値に対応した設定圧力Psetとなるように自律的に弁部の開度を調整する。このことは、言い換えればソレノイド3への供給電流値を変化させることにより設定圧力Psetを設定変更可能であることを意味する。また、ソレノイド3への供給電流値を上昇させてソレノイド力を大きくすると、パワーエレメント6の作動状態にかかわらず、弁駆動体29ひいては弁体30を強制的に開弁方向に作動させ、弁部を全開状態とすることができる。
【0068】
また、プランジャ62が弁駆動体29に固定された状態でソレノイド力を弁体30に直接的に伝達することができ、弁体30を開弁方向に大きな力で付勢することができる。この構成は、弁駆動体29とガイド孔26との摺動部への異物の噛み込みにより弁体30の作動がロックした場合に、それを解除するロック解除機構として機能する。
【0069】
本実施形態においては、弁体30の弁部における有効受圧径A(シール部径)と、弁駆動体29のガイド孔26における摺動部径Bと、弁駆動体29のガイド孔27における摺動部径Cとが等しくされる。なお、ここでいう「等しい」とは、完全に等しい概念はもちろん、ほぼ等しい(実質的に等しい)概念を含めてよい。そして、出口圧力Peを弁駆動体29の内部通路35を介してソレノイド3の作動空間60にも導入する。このため、弁体30に作用する上流側圧力Pin、下流側圧力Poutおよび出口圧力Peの影響がキャンセルされる(圧力キャンセル構造)。その結果、膨張弁1の制御状態において、弁体30は、パワーエレメント6が圧力感知室23にて受ける出口圧力Peに基づいて弁部の開閉方向に動作することになる。
【0070】
弁駆動体29とプランジャ62との結合体の前後(図では上下)の圧力を同じ圧力(出口圧力Pe)とすることができ、それにより圧力キャンセルが実現される。これにより、ベローズ45の有効受圧径Dに依存することなく各弁体の径を設定することもでき、設計自由度が高い。本実施形態では、ベローズ45の径Dを径A,B,Cと等しくしているが、径A,B,Cより大きくしてもよいし、小さくしてもよい。
【0071】
本実施形態では、厳密には弁駆動体29のガイド孔26における摺動部径Bが弁体30の有効受圧径Aよりもやや小さくされ、下流側圧力Poutと出口圧力Peとの差圧(Pout-Pe)が弁駆動体29に対して開弁方向に作用する。なお、このように摺動部径Bが有効受圧径Aよりもやや小さくされることで、弁駆動体29をボディ5に組み付ける際、弁駆動体29の上部(パワーエレメント6との連結部)をボディ5の下方から弁孔20に通すことができる。すなわち、本実施形態のように弁駆動体29を一体部品(単一部品)で構成したとしても、ボディ5に組み付けることができる。
【0072】
なお、変形例においては、弁駆動体29のガイド孔26における摺動部径Bと、弁体30の有効受圧径Aとを完全に等しくしてもよい。その場合、ガイド孔26に摺動可能に支持される第1部材と、ガイド孔27に摺動可能に支持される第2部材とを軸線方向に同軸状に組み付けて弁駆動体29を構成してもよい。
【0073】
次に、膨張弁1の動作について説明する。
本実施形態では、ソレノイド3への通電制御にPWM方式(Pulse Width Modulation )が採用される。このPWM制御は、所定のデューティ比に設定した400Hz程度のパルス電流を供給して制御を行うものであり、制御部160により実行される。制御部160は、指定したデューティ比のパルス信号を出力するPWM出力部を有するが、その構成には公知のものが採用されるため、詳細な説明を省略する。
【0074】
図6~
図8は、膨張弁1の動作を表す図である。
図6は弁開度の制御状態を示し、
図7は弁部の全開状態を示す。既に説明した
図5は閉弁状態を示す。
図8(A)は
図5のX部拡大図、
図8(B)は
図6のX部拡大図、
図8(C)は
図7のX部拡大図である。以下では
図4に基づき、適宜
図5~
図8を参照しつつ説明する。
【0075】
膨張弁1を閉弁させるときには、ソレノイド3を非通電(オフ)にする。このとき、コア64とプランジャ62との間に吸引力が作用しない。一方、スプリング68により弁駆動体29が上方に押し下げられる。その結果、
図5に示すように、弁体30が弁座22に着座して閉弁状態となる(
図8(A)参照)。
【0076】
一方、膨張弁1を機能させるときには、ソレノイド3に通電する。このときの供給電流値は、出口圧力Peの設定圧力Psetに対応した値とする。それにより、
図6に示すように、出口圧力Peが供給電流値により設定された設定圧力Psetとなるように弁部の開度が自律的に調整される(
図8(B)参照)。この供給電流値を変更することにより設定圧力Psetを変更することもできる。
【0077】
膨張弁1に最大流量の冷媒を流したいときには、膨張弁1を全開にするために予め定めた大きさの電流(「全開電流」ともいう)をソレノイド3へ供給する。このときの供給電流値を「全開電流値」とも称す。それにより、
図7に示すように、膨張弁1を全開状態とすることができる(
図8(C)参照)。
【0078】
以上に説明したように、本実施形態では、冷暖房装置100の運転状態において、各膨張弁1により下流側の出口圧力Peを設定圧力Psetに迅速に近づけられるとともに、その設定圧力Psetを適宜変更できる。
【0079】
冷房運転時においては、膨張弁142において、パワーエレメント6が蒸発器110の出口圧力Peを感知して弁部を開閉方向に駆動し、その出口圧力Peを冷房に適切な設定圧力Psetに迅速に近づけることができる。暖房運転時においては、膨張弁140において、パワーエレメント6が室外熱交換器106の出口圧力Peを感知して弁部を開閉方向に駆動し、その出口圧力Peを暖房に適切な設定圧力Psetに迅速に近づけることができ。さらに、バッテリ冷却運転においては、膨張弁144において、パワーエレメント6がバッテリ用熱交換器152の出口圧力Peを感知して弁部を開閉方向に駆動し、その出口圧力Peをバッテリ冷却に適切な設定圧力Psetに迅速に近づけることができる。
【0080】
本実施形態によれば、ソレノイド3への供給電流値を変化させることで、その設定圧力Psetを任意に変更できる。このため、冷房、暖房、除湿、バッテリ冷却といった各運転状態においてそれぞれ最適な設定圧力Psetを設定しやすく、その設定変更も迅速に行うことができる。
【0081】
また、膨張弁1がソレノイド駆動の電気駆動弁でありながら、出口圧力Peのフィードバック機能を有するため、下流側熱交換器が蒸発器である場合には空調装置の吹き出し温度を制御しやすい。
【0082】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0083】
[変形例]
図9は、変形例1に係る膨張弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。
図10は
図9のX部拡大図である。
図10(A)は閉弁状態、
図10(B)は制御状態、
図10(C)は全開状態をそれぞれ示す。
【0084】
図9に示すように、本変形例の膨張弁201は、いわゆるスプール弁として構成されている。ボディ205には、段付円孔状の弁孔220が形成されている。弁体30が弁孔220に挿抜されることにより弁部を開閉する。
【0085】
ただし、閉弁状態においても弁体30は弁孔220内で着座はせず、弁体30との間に所定のクリアランスCLを形成する(
図10(A))。弁孔220の開口端には、微小に拡径したテーパ状の流調部222が設けられており、膨張弁201の制御状態において、弁体30が流調部222に差し掛かることで、冷媒流量を変化させる(つまり流量を調整する)ことができる(
図10(B))。ソレノイド3に全開電流を供給することで、膨張弁201を全開状態とすることもできる(
図10(C))。
【0086】
本変形例においても、パワーエレメント6が出口圧力Peを感知することで、出口圧力Peを設定圧力Psetに迅速に近づけることができるとともに、ソレノイド3への供給電流値を変更することで設定圧力Psetを適宜変更できる。さらに、弁部をスプール構造とすることで、弁部の微小開度においてPWM制御により弁体30が振動したとしても、弁体30が弁座に打ち付けることを防止又は抑制でき、弁部からの異音の発生を抑制できる。
【0087】
図11は、変形例2に係る膨張弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。
本変形例の膨張弁221は、ガイド孔26の内周面に環状溝273が設けられており、Oリング74(シール部材)が嵌着されている。このような構成により、弁駆動体29とガイド孔26との間隙を介した冷媒の漏洩を防止できる。なお、変形例においては本実施形態とは逆に、弁駆動体29の外周面に環状溝を設け、Oリング等のシール部材を嵌着させてもよい。
【0088】
図12は、変形例3に係る膨張弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。
本変形例の膨張弁231は、出口圧力Peをソレノイド3に導入する内部通路が設けられていない。ボディ235に形成されるガイド孔26の内径は、弁孔20の径よりも十分に小さい。弁駆動体229の上端部から延出する縮径部230がガイド孔26を摺動可能に貫通し、パワーエレメント6と作動連結される。
【0089】
弁体30の有効受圧径Aと、弁駆動体229のガイド孔27における摺動部径Cとは等しいが、弁駆動体229のガイド孔26における摺動部径Bはこれらより小さい。ソレノイド3の作動空間60(
図4参照)と下流側圧力室25とが、弁駆動体229の内部通路253および連通孔28を介して連通している。このため、下流側圧力Poutが作動空間60に導入される。
【0090】
このような構成により、弁駆動体229ひいては弁体30に作用する冷媒圧力は概ねキャンセルされるものの、縮径部230の前後において、下流側圧力Poutと出口圧力Peとの差圧(Pout-Pe)が閉弁方向に作用することになる。しかし、縮径部230の径が小さいため、その影響も小さい。本変形例によれば、ガイド孔26を小さくすることで、弁駆動体229とガイド孔26との隙間の断面積を小さくできる。それにより、ガイド孔26への異物の侵入を抑制できる。
【0091】
図13は、変形例4に係る膨張弁の上半部に対応する部分拡大断面図である。
本変形例の膨張弁241は、変形例3の膨張弁231と比較してパワーエレメント246の構造がやや異なる。パワーエレメント246は、防振ばね250による防振構造を有する。
【0092】
防振ばね250は、円環状のベース部252と、ベース部252の周縁に沿って等間隔で設けられた複数のばね部254を有する。ベース部252は、ベローズ45の底面とフランジ部86の上面との間に介装される態様で固定されている。各ばね部254は、上方に向かうほどベローズ45との間隔を広げるように斜め上方に延出する。ばね部254の先端部には、その外側に向けて半球状の膨出部256が突設され、その膨出部256が一定の付勢力をもって圧力感知室23の内壁に当接する。
【0093】
このような構成により、ベローズ45が伸縮する際には、ばね部254がボディ235の内周面に沿って摺動する。このため、PWM制御による弁駆動体229の振動がパワーエレメント246に伝達されても、その振動を緩和できる。また、上流側圧力Pin、下流側圧力Poutおよび出口圧力Peのいずれかの圧力で脈動が生じたとしても、防振ばね250によりこの脈動に伴う弁体30の振動を緩和できる。
【0094】
[その他の変形例]
上記実施形態では、膨張弁1においてポート12aが下流側熱交換器の出口に連通し、ポート12bが下流側機器の入口に連通する例を示した。変形例においては、ポート12aおよびポート12bともに下流側熱交換器の出口に連通し、圧力感知室23に出口圧力Peを導入してもよい。そのポートの数は複数あってもよいし、単一であってもよい。すなわち、圧力感知室23は冷媒の圧力を導入する圧力室に留まり、上記実施形態のように冷媒を通過させる内部通路を構成しなくてもよい。
【0095】
上記実施形態では、膨張弁の下流側の冷媒の圧力である出口側圧力として、下流側熱交換器の出口圧力Peを感知する構成を例示した。変形例においては、導出ポート(ポート14)から導出する下流側圧力Poutを「出口側圧力」として感知してもよい。
【0096】
上記実施形態では、プランジャ62をコア64に対して弁駆動体29と同じ側に配置し、ソレノイド3が供給電流値に応じた開弁方向の駆動力を発生する構成を例示した。すなわち、膨張弁1を常閉弁とし、ソレノイド3への通電をオフにすると閉弁する構成を例示した。変形例においては、膨張弁を常開弁としてもよい。具体的には、プランジャをコアに対して弁駆動体を反対側に配置し、ソレノイドが供給電流値に応じた閉弁方向の駆動力を発生するようにする。それにより、ソレノイド3への通電をオフにすると開弁する構成を実現してもよい。膨張弁をこのような常開弁としても、弁開度の制御中にソレノイドへの供給電流値を変更することで、出口圧力Peの設定圧力を適宜変更できる。
【0097】
上記実施形態では、感圧部材としてベローズ45を例示したが、ダイヤフラムを採用してもよい。
【0098】
上記実施形態では述べなかったが、パワーエレメント6の基準圧力室Sに感圧用ガスを封入し、膨張弁の下流側の冷媒圧力(出口側圧力)と温度を感知して変位するように構成してもよい。それにより、蒸発器から導出される冷媒が所定の過熱度(スーパーヒート)となる制御を実現してもよい。それにより、空調性能(効率)を高めることができる。様々な運転モードにおいて、最適な過熱度を得ることができる。
【0099】
上記実施形態では、付勢部材をスプリングとしたが、ゴム等その他の付勢部材を採用してもよい。
【0100】
上記実施形態では、ヒートポンプ式冷暖房装置を例示したが、内燃機関エンジンを利用した通常の冷凍サイクルを備えた冷暖房装置であってもよい。上記冷暖房装置は電気自動車に限らず、内燃機関エンジンを備える自動車やハイブリッド自動車に適用することもできる。また、上記膨張弁は、車両に限らず住宅設備その他の空調装置にも適用できる。
【0101】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 膨張弁、2 弁本体、3 ソレノイド、5 ボディ、6 パワーエレメント、7 ボディ、12a ポート、12b ポート、14 ポート、16 ポート、20 弁孔、22 弁座、23 圧力感知室、24 弁室、25 下流側圧力室、26 ガイド孔、27 ガイド孔、29 弁駆動体、30 弁体、35 内部通路、45 ベローズ、50 ケース、54 電磁コイル、56 スリーブ、60 作動空間、62 プランジャ、64 コア、68 スプリング、73 環状溝、74 Oリング、88 スプリング、100 冷暖房装置、102 圧縮機、104 補助凝縮器、106 室外熱交換器、108 受液器、110 蒸発器、112 アキュムレータ、121 第1通路、122 第2通路、123 第3通路、124 第4通路、125 バイパス通路、126 主通路、127 分岐通路、128 バイパス通路、130 開閉弁、132 切替弁、140 膨張弁、142 膨張弁、144 膨張弁、150 バッテリ冷却装置、152 バッテリ用熱交換器、160 制御部、201 膨張弁、205 ボディ、220 弁孔、221 膨張弁、222 流調部、229 弁駆動体、230 縮径部、231 膨張弁、235 ボディ、241 膨張弁、246 パワーエレメント、250 防振ばね、252 ベース部、254 ばね部、256 膨出部、273 環状溝、253 内部通路、S 基準圧力室。