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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108701
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】吊り足場用根太の端部材
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/22 20060101AFI20230731BHJP
   E04G 7/34 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
E04G7/22 Z
E04G7/34 303A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009878
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 一雅
(72)【発明者】
【氏名】野邊 季樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 橘平
(57)【要約】
【課題】吊り足場の大引きに根太を固定する作業や根太を大引きから外す作業を簡単にかつ短時間で行うことが可能な吊り足場用根太の端部材を提供する。
【解決手段】本端部材は、吊り下げ部材で吊り下げられる吊り足場の床部分を大引き12と共に構成する根太13の根太本体24の端部に配置され、大引きの内部に挿入される挿入部33を備えている端部材25である。大引きは、上向きに開口している開口部21に設けられた一対のリップ部22のそれぞれの先端が垂下部22bとなったリップ部付きチャンネル部材である。挿入部は、一対のリップ部の先端の2個の垂下部の間に挿入され、垂下部と平行又は略平行となって下方へ延びている第1延出部33aと、この第1延出部の下端から、2個の垂下部のうちの一方の垂下部の下側へ斜め下方に延びている第2延出部33bとを有し、この第2延出部は、挿入部等の弾性変形で一方の垂下部の下側に達する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げ部材により吊り下げられる吊り足場の床部分を大引きと共に構成する根太の根太本体の端部に配置され、前記大引きの内部に挿入される挿入部を備えている端部材であって、
前記大引きが、上向きに開口している開口部に互いに対向して設けられた一対のリップ部のそれぞれの先端が垂下部となっているリップ部付きチャンネル部材であるとともに、前記挿入部が、前記一対のリップ部の先端の2個の前記垂下部の間に挿入される吊り足場用根太の端部材において、
前記挿入部が、前記垂下部と平行又は略平行となって下方へ延びている第1延出部と、この第1延出部の下端から、前記2個の垂下部のうちの一方の垂下部の下側へ斜め下方に延びている第2延出部とを有するものとなっていることを特徴とする吊り足場用根太の端部材。
【請求項2】
請求項1に記載の吊り足場用根太の端部材において、前記挿入部は前記根太本体の幅方向に複数個あり、全部の前記挿入部が前記第1延出部と前記第2延出部とを有するものとなっていることを特徴とする吊り足場用根太の端部材。
【請求項3】
請求項2に記載の吊り足場用根太の端部材において、前記挿入部の個数は2個であり、これらの挿入部の間に、上向きに突出し、前記床部分に配置される床パネルの端面に当接してこの床パネルのずれを防止するための突片部が設けられていることを特徴とする吊り足場用根太の端部材。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の吊り足場用根太の端部材において、前記根太本体の端部に固着されて配置されていることを特徴とする吊り足場用根太の端部材。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の吊り足場用根太の端部材において、前記根太本体の端部に、上下方向を軸方向とする軸部材を中心に回動自在に配置されていることを特徴とする吊り足場用根太の端部材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の吊り足場用根太の端部材において、前記根太本体の長さは伸縮可能となっていることを特徴とする吊り足場用根太の端部材。
【請求項7】
請求項6に記載の吊り足場用根太の端部材において、前記根太本体は、角パイプからなる外筒の中に角パイプからなる内筒を一端側が前記外筒の中に挿入されるととともに他端側が前記外筒の外に突出する状態で移動自在に嵌合して構成され、
前記外筒は、一端側から他端側へ延びるスリットを有しているとともに、前記内筒が突出する端部において前記スリットを横切るストッパーを有し、
前記内筒は、前記スリットに入る凸体を有していることを特徴とする吊り足場用根太の端部材。
【請求項8】
請求項7に記載の吊り足場用根太の端部材において、さらに、前記外筒における前記内筒が突出する端部又は前記端部の近傍に設けられたロック機構を備え、
前記ロック機構は、前記外筒の内外を連通する貫通孔と、前記貫通孔に向けて開口するねじ孔を有するねじ座と、前記ねじ座に螺合して先端部が前記貫通孔に挿通されて前記内筒と対向するねじ部材とによって構成されていることを特徴とする吊り足場用根太の端部材。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の吊り足場用根太の端部材において、前記大引きは、前記一対のリップ部どうしを連結する補強部材を備え、
前記挿入部の個数は、前記根太本体の幅方向に設けられた少なくとも2個となっており、2個の前記挿入部が前記一対のリップ部どうしの間で前記補強部材と隣接する位置に挿入されていることを特徴とする吊り足場用根太の端部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り足場の大引きに上方から組み合わせて連結される吊り足場用根太の端部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、橋や高速道路等の建造物における高所において、その建造物の補修や点検作業を行うときには、作業を行うための足場として吊り足場が用いられている。吊り足場は、作業場所の上方に位置する吊り足場支持部材としての建造物のH形鋼などに上端部が取付けられた吊り下げ部材と、この吊り下げ部材を介して吊り足場支持部材に支持された床部分などを備えている。
【0003】
床部分は、例えば特許文献1に記載されているように、上述した吊り下げ部材を介して吊り足場支持部材に支持されて水平方向に並ぶ複数の大引きと、これらの大引きの間に架け渡された複数の根太と、これらの根太の上に載せて固定された複数の床パネルなどによって構成されている。
特許文献1に開示されている大引きは、上向きに開口する開口部を有するチャンネル部材によって形成されている。大引きの開口部には、互いに対向する一対のリップ部が設けられている。これらのリップ部の先端は、チャンネル部材内で下方に延びる板状の垂下部となっている。すなわち、大引きを構成するチャンネル部材は、互いに平行な2個の垂下部が開口縁となるリップ部付きチャンネル部材である。
【0004】
根太は、大引きの長手方向とは直交する水平方向に延びる根太本体と、この根太本体の両端に設けられた端部材とによって構成されている。端部材は、大引きの開口部に上方から挿入される挿入部を備えている。この挿入部は、大引きの2個の垂下部の間に挿入される。
根太を大引きに取付ける際には、端部材の挿入部を大引きの開口部に挿入した状態で根太と大引きとを例えば番線で括って根太を大引きに固定している。なお、根太を大引きに固定するためには、番線を使用する他に、専用の固定金具を用いることもある。このように番線や固定金具を使用して根太が大引きに固定されている場合は、吊り足場を解体するときなどで根太を大引きから外すときに番線を切断したり固定金具を外す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3798591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように構成された従来の吊り足場においては、根太を大引きに固定する作業や根太を大引きから外す作業が煩雑であるという問題があった。また、高所で根太を大引きに固定したり根太を外す場合は、番線や固定金具が落下することがないように慎重に作業を行わなければならず、作業時間が長くなるという問題もある。
【0007】
本発明の目的は、吊り足場の大引きに根太を固定する作業や根太を大引きから外す作業を簡単にかつ短時間で行うことが可能な吊り足場用根太の端部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明に係る吊り足場用根太の端部材は、吊り下げ部材により吊り下げられる吊り足場の床部分を大引きと共に構成する根太の根太本体の端部に配置され、前記大引きの内部に挿入される挿入部を備えている端部材であって、前記大引きが、上向きに開口している開口部に互いに対向して設けられた一対のリップ部のそれぞれの先端が垂下部となっているリップ部付きチャンネル部材であるとともに、前記挿入部が、前記一対のリップ部の先端の2個の前記垂下部の間に挿入される吊り足場用根太の端部材において、前記挿入部が、前記垂下部と平行又は略平行となって下方へ延びている第1延出部と、この第1延出部の下端から、前記2個の垂下部のうちの一方の垂下部の下側へ斜め下方に延びている第2延出部とを有しているものである。
【0009】
本発明は、前記吊り足場用根太の端部材において、前記挿入部は前記根太本体の幅方向に複数個あり、全部の前記挿入部が前記第1延出部と前記第2延出部とを有するものとなっていてもよい。
【0010】
本発明は、前記吊り足場用根太の端部材において、前記挿入部の個数は2個であり、これらの挿入部の間に、上向きに突出し、前記床部分に配置される床パネルの端面に当接してこの床パネルのずれを防止するための突片部が設けられていてもよい。
【0011】
本発明は、前記吊り足場用根太の端部材において、前記根太本体の端部に固着されて配置されていてもよい。
【0012】
本発明は、前記足場用根太の端部材において、前記根太本体の端部に、上下方向を軸方向とする軸部材を中心に回動自在に配置されていてもよい。
【0013】
本発明は、前記吊り足場用根太の端部材において、前記根太本体の長さは伸縮可能となっていてもよい。
【0014】
本発明は、前記吊り足場用根太の端部材において、前記根太本体が伸縮可能とされる場合には、前記根太本体は、角パイプからなる外筒の中に角パイプからなる内筒を一端側が前記外筒の中に挿入されるととともに他端側が前記外筒の外に突出する状態で移動自在に嵌合して構成され、前記外筒は、一端側から他端側へ延びるスリットを有しているとともに、前記内筒が突出する端部において前記スリットを横切るストッパーを有し、前記内筒は、前記スリットに入る凸体を有していてもよい。
【0015】
本発明は、前記吊り足場用根太の端部材において、さらに、前記外筒における前記内筒が突出する端部又は前記端部の近傍に設けられたロック機構を備え、前記ロック機構は、前記外筒の内外を連通する貫通孔と、前記貫通孔に向けて開口するねじ孔を有するねじ座と、前記ねじ座に螺合して先端部が前記貫通孔に挿通されて前記内筒と対向するねじ部材とによって構成されていてもよい。
【0016】
本発明は、前記吊り足場用根太の端部材において、前記大引きは、前記一対のリップ部どうしを連結する補強部材を備え、前記挿入部の個数は、前記根太本体の幅方向に設けられた少なくとも2個となっており、2個の前記挿入部が前記一対のリップ部どうしの間で前記補強部材と隣接する位置に挿入されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、吊り足場の大引きに根太を固定する作業と根太を大引きから外す作業を簡単にかつ短時間に行うことが可能な吊り足場用根太の端部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1の実施の形態による根太の端部材を使用した吊り足場の一部を示す斜視図である。
図2図2は、吊り足場の床部分の構成を示す斜視図である。
図3図3は、大引きと根太の連結部分を示す平面図である。
図4図4は、図3におけるIV-IV線断面図である。
図5図5は、図3におけるV-V線断面図である。
図6図6は、根太の端部材の斜め上方から見た分解斜視図である。
図7図7は、根太の端部材の斜め下方から見た分解斜視図である。
図8図8は、大引きに根太を取付ける過程における大引きと根太の端部材の断面図である。
図9図9は、補強部材を有する大引きの一部と取付前の根太の一部の斜視図である。
図10図10は、補強部材を有する大引きの一部と取付後の根太の一部の斜視図である。
図11図11は、第2の実施の形態による端部材を有する根太と大引きの一部を示す斜視図である。
図12図12は、大引きと根太の連結部分の斜視図である。
図13図13は、根太の端部材の回動範囲を説明するための平面図である。
図14図14は、大引きと根太の外筒との連結部分の断面図である。
図15図15は、大引きと根太の内筒との連結部分の断面図である。
図16図16は、大引きと根太の外筒との連結部分を斜め上方から見た分解斜視図である。
図17図17は、大引きと根太の外筒との連結部分を斜め下方から見た分解斜視図である。
図18図18は、根太本体の一部を破断して示す斜視断面図である。
図19図19は、第2の実施の形態による根太の端部材を有する根太の使用例を示す平面図である。
図20図20は、大引きに対して直角の根太の使用例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る吊り足場用根太の端部材の一実施の形態を図1図10を参照して詳細に説明する。
図1に示す吊り足場1は、図1において最も上に描かれている吊り足場支持部材2から下方に延びる複数の吊り下げ部材3と、吊り下げ部材3の下端部に取付けられた床部分4とを備えている。
【0020】
吊り足場支持部材2は、例えば、橋や高速道路等の建造物における高所を構成するH形鋼である。吊り下げ部材3は、この実施の形態においてはチェーンによって構成されており、吊り足場支持部材2の長手方向に所定の間隔をおいて並ぶ位置にそれぞれクランプ5を介して取付けられている。なお、吊り下げ部材3としては、チェーンの他にワイヤを使用することができる。
吊り下げ部材3の下端部は、床部分4に設けられた吊り金具6に通されており、吊り金具6を介して床部分4に接続されている。吊り下げ部材3は、床部分4を水平な状態に保つために、複数の吊り足場支持部材2にそれぞれ取付けられているとともに、各々の吊り足場支持部材2の長手方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の位置にそれぞれ取付けられている。
【0021】
床部分4は、吊り足場支持部材2の長手方向および長手方向とは直交する水平方向に並べられた複数の床パネル11と、これらの床パネル11を支持する複数の大引き12および根太13などを備えている。図1は、図1において最も手前側に位置する1枚の床パネル11を外した状態で描いてある。
床パネル11は、木製あるいは金属製の板材によって帯状に形成されている。この実施の形態による吊り足場1の床パネル11は、その長手方向が吊り足場支持部材2の長手方向とは直交する水平方向に延びる状態で使用されている。
【0022】
大引き12と根太13は、図2(A)~(C)に示すように組み合わせて使用されている。図2(A)は床部分4の一部を示す斜視図、図2(B)は大引き12および根太13から床パネル11を外した状態を示す分解斜視図、図2(C)は大引き12から根太13を外した状態を示す分解斜視図である。なお、図2(A)~(C)は、床部分4の構成を理解し易くするために、根太13の上に載せられた床パネル11の枚数を図1より減らして描いてある。また、図2に示す床パネル11は、構造を簡素化して描いてある。
【0023】
この実施の形態による大引き12は、床パネル11の長手方向(図2においては左下から右上に向かう方向)と平行に延びる状態で配置されている。根太13は、大引き12とは直角の水平方向に延びる状態で配置され、互いに隣り合う2本の大引き12の間に架け渡されている。
床パネル11は、大引き12と平行に延びる状態で根太13の上に載せられており、図示していない固定金具によって大引き12および根太13に対して固定されている。
【0024】
大引き12は、図2(A)~(C)に示すように、リップ部付きチャンネル部材によって構成されている。
この実施の形態による大引き12は、端部にジョイント14(図1参照)を介して他の大引き12が連結されて1本の組立体となる状態で使用されている。上述した吊り金具6は、この大引き12に取付けられている。吊り足場支持部材2の長手方向に並ぶ複数の大引き12の間隔は、間隔設定部材15によって所定の間隔に規定されている。この間隔は、互いに隣り合う2本の大引き12の間に所定の枚数だけ床パネル11を敷き詰めることが可能な間隔である。
【0025】
間隔設定部材15は、丸パイプによって形成され、大引き12に取付けられた支持用クランプ16に固定されている。大引き12毎に設けられた複数の支持用クランプ16に1本の間隔設定部材15を固定することにより、2本の大引き12どうしの間隔が規定される。間隔設定部材15は、上述したように大引き12どうしの間隔を決める機能の他に、床パネル11に下方から風圧が加えられたときなどで床パネル11が上方に浮き上がることを防ぐ機能をも有している。
【0026】
大引き12を構成するリップ部付きチャンネル部材は、図3および図4に示すように、上方に向けて開口する開口部21を有するチャンネル部材であって、開口部21に一対のリップ部22が設けられているものである。詳述すると、大引き12は、上方に向けて解放される断面コ字状の本体部23と、本体部の上端部分に設けられた一対のリップ部22とによって構成されている。リップ部22は、本体部23の上端から大引き12の幅方向中央に向けて水平方向に延びる水平部22aと、水平部22aの先端から下方に延びる垂下部22bとによって形成されている。一方のリップ部22の垂下部22bと、他方のリップ部22の垂下部22bとの間が開口部21となる。
【0027】
大引き12と共に床部分4を構成する根太13は、図2(B),(C)に示すように、角パイプからなる根太本体24と、根太本体24の両端部にそれぞれ設けられた端部材25とによって構成されている。この実施の形態による端部材25は、根太本体24の端部に溶接により固着されて配置されている。根太13は、端部材25を大引き12の一方のリップ部22に上方から重ねることによって、大引き12に取付けられる。
端部材25は、金属製の板材を所定の形状に曲げて形成されており、大引き12の一方のリップ部22に上方から着脱可能に係合する構造が採られている。この実施の形態による端部材25は、図3図7に示すように、根太本体24に溶接により固着される平板からなる固着部31と、固着部31の上端から根太本体24とは反対側に水平に延びる載置部32と、載置部32の先端から下方に延びる挿入部33と、載置部32の先端から上方に向けて延びる突片部34とによって形成されている。
【0028】
固着部31は、上下方向に対して傾斜している。固着部31が傾斜する方向は、下に向かうにしたがって次第に大引き12から離れる方向である。固着部31の下端部には、図6および図7に示すように切り欠き35が形成されている。
挿入部33は、端部材25を大引き12に取付ける際に大引き12の2個の垂下部22bの間に挿入されてリップ部22に係合する構成が採られている。
【0029】
詳述すると、この挿入部33は、垂下部22bと平行又は略平行となって載置部32から下方へ延びる第1延出部33aと、この第1延出部33aの下端から、2個の垂下部22bのうちの根太本体24に近接する一方の垂下部22bの下側へ斜め下方に延びる第2延出部33bとを有している。第2延出部33bが実質的に係合部として機能する。以下においては、2個の垂下部22bのうちの根太本体24に近接する一方の垂下部22bを単に「係合用垂下部22b」という。
【0030】
この実施の形態による挿入部33は、根太本体24の幅方向(大引き12の長手方向)において載置部32の複数の箇所にそれぞれ設けられている。この実施の形態の挿入部33の個数は2個である。すなわち、この実施の形態による端部材25は、複数の(2個の)挿入部33を有し、全部の挿入部33が第1延出部33aと第2延出部33bとを有している。この実施の形態による2個の挿入部33は、根太本体24の幅方向において載置部32の両端部に位置付けられている。
【0031】
第1延出部33aは、設置状態にある大引き12の係合用垂下部22bと重なる位置に位置付けられている。ここでいう設置状態とは、根太13によって連結される2本の大引き12に上述した間隔設定部材15が取付けられた状態であって、これら2本の大引き12の間隔を変えることができない状態をいう。
第2延出部33bの先端部分は、図4に示すように端部材25が大引き12に取付けられた状態において、下方から見て係合用垂下部22bと重なっている。
【0032】
突片部34は、2個の挿入部33の間に設けられている。この実施の形態による突片部34は、載置部32の中央部を部分的に切り起こすことによって形成されている。この突片部34は、図5に示すように、床部分4に配置される床パネル11の端面11aに当接し、この床パネル11が根太13の長手方向であって大引き12に向かう方向にずれることを規制する。
【0033】
このように構成された吊り足場1を組み立てるためには、先ず、吊り足場支持部材2に吊り下げ部材3を介して複数の大引き12を吊り下げ、その後、これらの大引き12に複数の根太13を大引き12の長手方向に所定の間隔を開けて取付ける。根太13を大引き12に取付ける際には、根太13の端部材25を大引き12に上方から重ねて行う。この作業は、端部材25の挿入部33を大引き12の2個の垂下部22bの間に上方から挿入して行う。このように挿入部33が2個の垂下部22bの間に挿入されることにより、第2延出部33bが係合用垂下部22bの下方に入り込んで係合用垂下部22bに係合する。
【0034】
2本の大引き12の間に複数の根太13を組み付けた後、根太13の上に複数の床パネル11を載せて固定する。床パネル11を根太13に載せるときは、床パネル11の端面11aを端部材25の突片部34に当てて床パネル11の位置を決める。
2本の大引き12の間に複数の床パネル11が敷き詰められた後、これら2本の大引き12に間隔設定部材15が取付けられる。このように大引き12に間隔設定部材15が取付けられることにより、一方の大引き12に対して他方の大引き12が移動することが規制される。
【0035】
間隔設定部材15で間隔が決められた2本の大引き12に更に根太13を追加する場合には、端部材25を上方から大引き12に載せると、図8に示すように第2延出部33bがリップ部22の水平部22aの先端部分に当たるようになる。このような場合は、端部材25を下方に押し込むことにより、第2延出部33bの先端が水平部22aと係合用垂下部22bとの境界部分に沿って滑り、挿入部33が固着部31から離れる方向に弾性変形しながら下がる。また、係合用垂下部22bも弾性変形し、挿入部33が弾性変形した状態で端部材25を更に押し下げることにより、図4に示すように、第2延出部33bが係合用垂下部22bの下方に入り込んで係合用垂下部22bに係合するとともに第1延出部33aが係合用垂下部22bと重なり、端部材25の載置部32がリップ部22の水平部22aと重なる。このように第2延出部33bが係合用垂下部22bに係合することは、間隔設定部材15によって間隔が設定される以前の2本の大引き12に架け渡された根太13についても生ずる。
【0036】
このように根太13が大引き12に取付けられた状態においては、例えば風圧で根太13が上方に押されて端部材25が大引き12に対して上に移動することがあったとしても、第2延出部33bが係合用垂下部22bに下方から当たり、端部材25がそれ以上移動することは規制される。このため、この実施の形態においては、端部材25の第2延出部33bが根太13の外れ止めとして機能するから、根太13を大引き12に取付けた後に、従来実施されていた番線や固定金具で根太13を大引き12に固定する作業が不要になる。
【0037】
吊り足場を解体するときに根太13を大引き12から取外す場合は、大引き12に対して端部材25を上方に引き上げる。この作業により、端部材25の挿入部33が撓みながら第2延出部33bが係合用垂下部22bに沿って上に移動し、端部材25が大引き12から上方に外れる。このため、根太13を簡単に大引き12から外すことができる。
したがって、この実施の形態によれば、吊り足場の大引き12に根太13を固定する作業と、根太13を大引き12から外す作業とを簡単にかつ短時間に行うことが可能な吊り足場用根太の端部材を提供することができる。
【0038】
この実施の形態による端部材25の挿入部33は、根太本体24の幅方向に複数個あり、全部の挿入部33が第1延出部33aと第2延出部33bとを有している。このため、大引き12から端部材25が外れることを複数の第2延出部33bで防ぐことができるから、端部材25の外れ防止を図る上で信頼性が高くなる。
【0039】
この実施の形態による端部材25の挿入部33の個数は2個である。これらの挿入部33の間に、上向きに突出し、床部分4に配置される床パネル11の端面11aに当接してこの床パネル11のずれを防止するための突片部34が設けられている。このため、床パネル11を根太13に載せるときに床パネル11の端面11aを突片部34に当てることにより床パネル11を所定の位置に簡単に載置することができるから、大引き12に簡単に固定できるだけでなく、床パネル11を簡単に設置することが可能な吊り足場用根太の端部材を提供することができる。
また、この実施の形態による端部材25は、根太本体24の端部に固着されて配置されている。このため、この実施の形態による根太13は、簡単に製造することが可能である。
【0040】
(大引きの変形例)
大引きは、図9および図10に示すように構成することができる。図9および図10において、図1図8によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
図9および図10に示す大引き12は、開口部21が形成されている大引き12の上端部を補強する補強板36を備えている。この補強板36が本発明でいう「補強部材」に相当する。補強板36は、金属製の平板からなり、その主面が大引き12の長手方向と直角になって上下方向に延びる姿勢で一対のリップ部22どうしの間に架け渡されている。補強板の一側部は、一方の垂下部22bに溶接され、他側部は、他方の垂下部22bに溶接されている。
補強板36が一対の垂下部22bに溶接されることにより、リップ部22どうしの間隔拡がり難くなるから、大引き12の上端部(開口側端部)を補強することができる。
【0041】
この補強板36を有する大引き12に根太13を取付ける場合は、図10に示すように、端部材25の挿入部33をリップ部22どうしの間の補強板36と隣接する位置に挿入して行う。すなわち、この実施の形態による端部材25は、根太本体24の幅方向に設けられた2個の挿入部33を備えているから、これらの2個の挿入部33の間に補強板36を挿入し、これにより、それぞれの挿入部33をリップ部22どうしの間の補強板36と隣接する位置に挿入する。このように端部材25を大引き12に取付けることにより、挿入部33の第2延出部33bが補強板36の近傍で垂下部22bに係合することになる。このため、根太13が例えば風圧で上に押し上げられて挿入部33の第2延出部33bが垂下部22bを上に押したときに、垂下部22bが撓んで第2延出部33bとの係合状態が解消されることを確実に防ぐことができるから、根太13がより一層外れ難くなる。
【0042】
(第2の実施の形態)
本発明に係る吊り足場用根太の端部材は、図11(A),(B)~図19に示すように構成することができる。これらの図において、図1図8によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。図11(A)は根太本体を伸張させた状態を示す斜視図、図11(B)は根太本体を収縮させた状態を示す斜視図である。
図11(A),(B)に示す根太41の端部材25は、第1の実施の形態の端部材25よりも根太本体24の幅方向の寸法が大きくなっているとともに、根太本体24の端部に、上下方向を軸方向とする軸部材42を中心に回動自在に配置されている。この実施の形態による根太41の根太本体24は、角パイプからなる外筒43と、角パイプからなる内筒44とを使用して形成されている。内筒44は、その一端側が外筒43の中に挿入されるとともに、他端側が外筒43の外に突出する状態で外筒43に移動自在に嵌合している。内筒44が外筒43から引き出されることにより図11(A)に示すように根太本体24の全長が長くなり、内筒44が外筒43の中に挿入されることにより図11(B)に示すように根太本体24の全長が短くなる。
【0043】
この実施の形態による根太41は、根太本体24の両端部に配置されているそれぞれの端部材25について、図12および図15に示すように、端部材25側の可動ブラケット45と、根太本体24側の固定ブラケット46と、これらの可動ブラケット45と固定ブラケット46とを上下方向に貫通する軸部材42とからなる連結構造47を有している。
可動ブラケット45は、図14および図15に示すように、端部材25の固着部31と平行な板からなるベース板45aと、ベース板45aの上下方向の両端から固定ブラケット46の側へ水平に延びる一対の連結片45b,45cとを有している。可動ブラケット45は、ベース板45aが端部材25の固着部31に溶接されることによって、端部材25と一体的に形成されている。この実施の形態による端部材25の固着部31は、載置部32から直角下向きに延びる形状に形成されている。一対の連結片45b,45cには、軸部材42が挿通される第1および第2の貫通孔48,49が形成されている。下側の連結片45cには、軸部材42が螺着されるナット部材50が溶接されている。
【0044】
固定ブラケット46は、図16および図17に示すように、下方に向けて開放されるチャンネル部材を用いて形成されている。チャンネル部材の下方に向けて開放される部分は、水平方向に延びるリップ部51を有している。リップ部51の下面には、金属製の板からなるスペーサ52が溶接されている。スペーサ52には軸部材42を通すための第3の貫通孔53が形成されている。
【0045】
また、固定ブラケット46の上端部には、軸部材42が挿通される第4の貫通孔54と、切欠き55とが形成されている。可動ブラケット45と固定ブラケット46との連結は、可動ブラケット45の一対の連結片45b,45cの間に固定ブラケット46が挿入された状態でこれらの部材の貫通孔(第1~第4の貫通孔48,49,53,54)に軸部材42を通して行われる。軸部材42は、ボルトによって構成されており、上側の連結片45bの第1の貫通孔48→固定ブラケット46の第4の貫通孔54→リップ部51間の空間→スペーサ52の第3の貫通孔53→下側の連結片45cの第2の貫通孔49という順番で通され、可動ブラケット45の下側の連結片45cに溶接されたナット部材50に螺着されている。
【0046】
固定ブラケット46の上端部に形成された切欠き55は、図16に示すように、固定ブラケット46の端部材25とは反対側に形成されており、固定ブラケット46の2つの側壁46a,46bとリップ部51のみが残る形状に形成されている。
外筒43と端部材25との間に設けられる固定ブラケット46の2つの側壁46a,46bの間には、図14に示すように、外筒43の先端部に溶接された筒体56が挿入される。筒体56は、外形が内筒44と同一となるもので、固定ブラケット46の2つの側壁46a,46bの間に挿入されるとともにリップ部51の上に載せられた状態で固定ブラケット46に溶接されている。
【0047】
図11で示されている内筒44と端部材25との間にも図15で示すように固定ブラケット46が配置され、この固定ブラケット46の2つの側壁46a,46bの間には、図15に示すように、内筒44が挿入される。内筒44は、2つの側壁46a,46bの間に挿入されるとともにリップ部51の上に載せられた状態で固定ブラケット46に溶接されている。このため、根太本体24の一端側が外筒43によって形成されるとともに他端側が内筒44によって形成されているにもかかわらず、1種類の可動ブラケット45と固定ブラケット46とを使用して根太本体24の両端部にそれぞれ端部材25を回動自在に取付けることができる。
【0048】
この実施の形態による可動ブラケット45と固定ブラケット46は、図14および図15に示すように、固定ブラケット46のリップ部51に筒体56あるいは内筒44が載せられた状態において、可動ブラケット45の上側の連結片45bが筒体56の上壁56aあるいは内筒44の上壁44aより下に位置付けられる構成が採られている。この構成を採ることにより、図13に示すように、可動ブラケット45が軸部材42を中心にして固定ブラケット46に対して回動したときに、可動ブラケット45の上側の連結片45bの一部が筒体56あるいは内筒44の内部に入ることになって可動範囲を広く確保することができる。
【0049】
この実施の形態による可動ブラケット45は、図13に示すように、上側の連結片45bが筒体56あるいは内筒44に当たるまで固定ブラケット46に対して回動することができる。可動ブラケット45は、根太本体24の長手方向とは直交する方向に延びる大引き12に端部材25が連結される初期位置から、角度θ1だけ上方から見て時計方向に回ることができ、また、初期位置から角度θ2だけ上方から見て反時計方向に回ることができる。角度θ1+角度θ2は約120度である。このように可動ブラケット45の回動可能な角度を180度より小さく制限することにより、端部材25の挿入部33を大引き12の内部に挿入する作業が容易になる。
【0050】
この実施の形態による根太本体24の全長は、内筒44が外筒43に対して外筒43内に入る方向に移動したり、外筒43から出る方向に移動することによって変わる。すなわち、根太本体24の長さは伸縮可能となっている。
外筒43は、図17に示すように、一端側から他端側へ延びるスリット61を有しているとともに、内筒44が突出する端部43aにおいてスリット61を横切るストッパー62を有している。スリット61は外筒43の下壁63に形成されている。このスリット61が形成された外筒43は、いわゆるリップ部付きチャンネル部材を構成するものとなる。ストッパー62は、金属製の板材を所定の形状に曲げて形成され、スリット61を跨いで横切る状態で外筒43の下壁63に溶接されている。
【0051】
内筒44は、外筒43のスリット61に挿入される凸体64を有している。この実施の形態による凸体64は、図18に示すようにボルト65とナット66などによって構成されている。ナット66は、内筒44に形成された第5の貫通孔67と同一軸線上に位置付けられて内筒44の外面に溶接されている。ボルト65は、ばね座金68と平座金69とを貫通する状態でナット66に螺着されている。ボルト65の先端部は、第5の貫通孔67に挿入されている。外筒43のストッパー62は、凸体64が内筒44とともに外筒43に対して移動するときの凸体64の移動経路を横切っている。
【0052】
このように外筒43にスリット61とストッパー62が設けられ、スリット61に内筒44の凸体64が挿入されていることにより、内筒44が外筒43に対して外筒43から出る方向に移動する行程で内筒44が外筒43から外れる以前に凸体64がストッパー62に当たり、それ以上の内筒44の移動が規制される。
内筒44の長手方向における凸体64が取付けられる位置は、外筒43内に収容された内筒44の一端から予め定めた距離だけ離れた位置である。この距離は、凸体64がストッパー62に当たるまで根太本体24が伸びた状態であっても、根太本体24に加えられた曲げ荷重に対して充分な強度が得られる距離である。
【0053】
外筒43は、図17および図18に示すように、内筒44が突出する端部43a又はこの端部43aの近傍にロック機構71を備えている。ロック機構71は、外筒43の内外を連通する第6の貫通孔72と、この第6の貫通孔72に向けて開口するねじ孔73を有するねじ座としてのナット部材74と、ナット部材74に螺合して先端部が第6の貫通孔72に挿通されて内筒44と対向するねじ部材75とによって構成されている。ナット部材74は、外筒43の側壁76に突設されたブラケット77に溶接されており、外筒43の側壁76から所定の距離だけ離れて配置されている。ねじ部材75は、ちょうボルトである。ねじ部材75のナット部材74より先端側には、抜け止めピン78が交差して張り出す状態で固着されている。
【0054】
このロック機構71においては、ねじ部材75をナット部材74に締め込み、ねじ部材75の先端部を第6の貫通孔72を通して内筒44に押し付けることにより、内筒44が外筒43に対して移動することができなくなる。このため、根太本体24を所定の長さとなるように調節した状態でロック機構71によって内筒44の移動を規制することにより、根太本体24を所定の長さとした状態に保つことができる。
【0055】
この実施の形態による根太41の端部材25は、根太本体24の端部に、上下方向を軸方向とする軸部材42を中心に回動自在に配置されているから、図19に示すように、根太本体24に対して軸部材42を中心にして傾斜させることができる。このため、この端部材25を有する根太41は、大引き12に対して傾斜した状態で設置することができる。図19に示す2本の大引き12は、第1の実施の形態で示した根太13、すなわち大引き12に対して直角の根太13を取付けることが可能な間隔で配置されている。
【0056】
この実施の形態による根太41に用いる根太本体24の長さは伸縮可能である。このため、この実施の形態による根太41は、大引き12に対して直角の根太13によって連結された2本の大引き12の間に傾斜した状態で設置することができる。
図19に示す2本の大引き12のうち、図19における下側に位置する大引き12は、上側の大引き12より図19において左側に突出している。このように下側の大引き12が上側の大引き12より突出していることにより、吊り足場1の側方に位置する、例えば障害物81に床パネル11を可及的に近付けることができる。
【0057】
障害物81は、例えば建築物の傾斜した壁や橋脚などである。この障害物81は、大引き12の長手方向に対して傾斜する壁面81aを有している。この壁面81aに床パネル11を可及的接近させて配置するために、障害物81と隣り合う位置に根太41が傾斜した状態で設置され、障害物81に沿わせられている。また、障害物81と隣り合う根太41と、大引き12に対して直角の根太13との間には、複数の根太41が設置角度と全長とをそれぞれ変えて配置されている。
【0058】
根太41の設置角度は、障害物81から離れるにしたがって次第に大引き12に対して直角の根太13の設置角度に近くなる。また、根太41の全長は、障害物81から離れるにしたがって次第に短くなる。このように複数の根太41を設置角度と長さとを変えて設置することにより、床部分4の端部が大引き12とは直角の方向に対して傾斜しているにもかかわらず、床部分4の全域に床パネル11を配置でき、床パネル11に加えられた荷重を複数の根太41に分散させることが可能になる。
【0059】
大引き12に対して直角に延びる根太13のみを使用して上述したような障害物81の近傍に吊り足場1を作ると、図20に示すように、障害物81の傾斜した壁面81aと床部分4との間に空間Sが形成される。図20に示す空間Sは、複数の床パネル11の合計幅に相当する一辺を有する三角形の空間である。すなわち、第2の実施の形態を採ることにより、大引き12に対して傾斜した障害物81の壁面81aに床部分4を接近させて足場を作ることができないという問題を解決することができる。
【0060】
この実施の形態による根太本体24は、角パイプからなる外筒43の中に角パイプからなる内筒44を一端側が外筒43の中に挿入されるととともに他端側が外筒43の外に突出する状態で移動自在に嵌合して構成されている。また、外筒43は、一端側から他端側へ延びるスリット61を有しているとともに、内筒44が突出する端部43aにおいてスリット61を横切るストッパー62を有している。内筒44は、外筒43のスリット61に入る凸体64を有している。このため、凸体64が内筒44とともに外筒43に対して移動することによりストッパー62に当たるから、内筒44が外筒43から不用意に外れることを確実に防ぐことができる。
【0061】
この実施の形態による根太本体24は、外筒43における内筒44が突出する端部43a又は端部43aの近傍に設けられたロック機構71を備えている。このロック機構71は、外筒43の内外を連通する第6の貫通孔72と、この第6の貫通孔72に向けて開口するねじ孔73を有するナット部材74(ねじ座)と、ナット部材74に螺合して先端部が第6の貫通孔72に挿通されて内筒44と対向するねじ部材75とによって構成されている。このため、ねじ部材75を締め込むことにより外筒43に対する内筒44の移動を規制することができるから、伸縮可能であるにもかかわらず、一定の長さを維持することが可能な根太を得ることができる。
【0062】
図19に示す根太41は、大引き12に対して傾斜する状態で使用されている。しかし、この実施の形態による根太41は、大引き12に対して直角になる状態で使用することもできる。この場合は、複数の根太41を全ての根太41において同じ長さになるように形成し、これらの同一長さの複数の根太41を2本の大引き12に直角となる状態で架け渡すことによって、これら2本の大引き12が互いに平行になる状態を保ちながら、大引き12どうしの間隔を任意の間隔とすることが可能になる。このことは、2本の大引き12の間隔が異なる複数の現場において、同じ根太41を共通して使用することが可能になることを意味する。
【0063】
図11図19に示す第2の実施の形態を採るにあたっても、図9および図10に示す補強板36を備えた大引き12を使用することができる。この場合であっても、2個の挿入部33の間に補強板36が挿入される状態で、これらの挿入部33を大引き12のリップ部22どうしの間の補強板36と隣接する位置に挿入してもよい。
また、第2の実施の形態においては、挿入部33に第2延出部33bが設けられている端部材25を使用する例を示した。しかし、端部材25を根太本体24の端部に上下方向を軸方向とする軸部材42を中心に回動自在に配置する構成や、端部材25を伸縮可能な根太本体24の端部に取付けるという構成を採るにあたっては、第2延出部33bを有していない端部材を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、床パネルが載せられる根太を大引きに着脱可能に取付けるための吊り足場用根太の端部材に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…吊り足場、3…吊り下げ部材、4…床部分、12…大引き、13,41…根太、24…根太本体、21…開口部、22…リップ部、22b…垂下部、25…端部材、33…挿入部、33a…第1延出部、33b…第2延出部、34…突片部、36…補強部材である補強板、42…軸部材、43…外筒、44…内筒、61…スリット、62…ストッパー、64…凸体、71…ロック機構、72…貫通孔である第6の貫通孔、73…ねじ孔、74…ねじ座であるナット部材、75…ねじ部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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