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特開2023-108727トークン販売方法、トークン販売装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108727
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】トークン販売方法、トークン販売装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20230731BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009927
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】511083824
【氏名又は名称】ソニーフィナンシャルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝佳
(72)【発明者】
【氏名】豊島 顕
(72)【発明者】
【氏名】重谷 一樹
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 清吾
(72)【発明者】
【氏名】藤原 貴裕
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB26
(57)【要約】
【課題】利便性の高いセキュリティトークンオファリングを実現可能にするトークン販売方法、トークン販売装置、及びプログラムを提案する。
【解決手段】トークン販売方法は、起案者に関する起案者情報を取得する取得ステップと、前記起案者情報に基づいて前記起案者が将来的に得られるリターンを推定する推定ステップと、前記推定ステップでの推定結果に基づいてトークン価格を判定する判定ステップと、前記トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う販売処理ステップと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起案者に関する起案者情報を取得する取得ステップと、
前記起案者情報に基づいて前記起案者が将来的に得られるリターンを推定する推定ステップと、
前記推定ステップでの推定結果に基づいてトークン価格を判定する判定ステップと、
前記トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う販売処理ステップと、
を備えるトークン販売方法。
【請求項2】
前起案者が決定した起案内容のカテゴリに基づき決まる入力項目を表示する表示制御ステップ、を備え、
前記取得ステップは、表示された前記入力項目に入力された情報を前記起案者情報として取得する、
請求項1に記載のトークン販売方法。
【請求項3】
前記カテゴリには、起業、研究、スポーツ活動、音楽アーティスト活動、漫画アーティスト活動、及び美術アーティスト活動、の中の少なくとも1つのカテゴリが含まれる、
請求項2に記載のトークン販売方法。
【請求項4】
前記カテゴリには、少なくともスポーツ活動が含まれ、
前記表示制御ステップは、前記カテゴリとして前記スポーツ活動が選択された場合には、前記入力項目として、前記起案者の現在の契約金、試合の成績、及び健康状態、の中の少なくとも1つの項目を表示する、
請求項2に記載のトークン販売方法。
【請求項5】
前記カテゴリには、少なくとも起業が含まれ、
前記表示制御ステップは、前記カテゴリとして前記起業が選択された場合には、前記入力項目として、実現可能な最大の市場規模、経営収益、ユーザ一人あたりの収益、売上総利益、販売率、棚卸資産回転率、ネットワーク効果、バイラリティ、スケーラビリティ、登録ユーザ数、及びアクティブユーザ数、の中の少なくとも1つの項目を表示する、
請求項2に記載のトークン販売方法。
【請求項6】
前記カテゴリには、少なくとも漫画アーティスト活動が含まれ、
前記表示制御ステップは、前記カテゴリとして前記漫画アーティスト活動が選択された場合には、前記入力項目として、少なくとも漫画のジャンルの入力項目を表示するとともに、前記起案者がサンプル漫画を公開するための処理に関する表示を行う、
請求項2に記載のトークン販売方法。
【請求項7】
前記表示制御ステップは、前記入力項目の表示に加えて、前記起案者がサンプル漫画を公開するための処理に関する表示を行い、
前記取得ステップは、前記公開された前記サンプル漫画のビュー数、及び所定期間における前記ビュー数の伸び率の情報を取得し、
前記推定ステップは、前記サンプル漫画のビュー数、前記ビュー数の伸び率、及び前記漫画のジャンルの情報に基づいて、前記起案者が創作する漫画の将来のビュー数または将来の刊行数を推定し、前記将来のビュー数または前記将来の刊行数の情報に基づいて前記リターンを推定する、
請求項6に記載のトークン販売方法。
【請求項8】
前記推定ステップは、起案者情報とリターンとの関係を学習した学習モデルに基づいて前記起案者が将来的に得られると推定される前記リターンを推定する、
請求項1に記載のトークン販売方法。
【請求項9】
前記取得ステップは、前記起案者が設定した発行トークン数の情報を取得し、
前記判定ステップは、前記推定ステップで推定された前記リターンの情報と前記発行トークン数の情報と基づいてトークン価格を判定する、
請求項1に記載のトークン販売方法。
【請求項10】
前記取得ステップは、前記起案者が設定したトークン価格の情報を取得し、
前記販売処理ステップは、前記判定ステップで判定された前記トークン価格と、前記起案者が設定した前記販売価格と、の双方を表示する、
請求項1に記載のトークン販売方法。
【請求項11】
前記販売処理ステップは、前記起案者がトークンの前記販売価格を設定する場合に、前記トークン価格に基づいて、前記起案者が設定可能な前記販売価格の上限額を設定する、
請求項1に記載のトークン販売方法。
【請求項12】
前記販売処理ステップは、前記起案者がトークンの前記販売価格を設定する場合に、前記トークン価格に基づいて、前記起案者が設定可能な前記販売価格の下限額を設定する、
請求項1に記載のトークン販売方法。
【請求項13】
前記起案者情報に基づいて前記起案者から追加で情報が必要と判定された場合に、前記起案者に対し追加情報を要求する要求ステップ、を備え、
前記推定ステップは、前記起案者情報と前記追加情報とに基づいて前記リターンを推定する、
請求項1に記載のトークン販売方法。
【請求項14】
前記判定ステップは、前記起案者の入力した内容又は前記起案者の過去の経歴の情報に基づいて前記起案者の信頼度を算出し、前記推定ステップでの推定結果と前記起案者の前記信頼度とに基づいて前記リターンを推定する、
請求項1に記載のトークン販売方法。
【請求項15】
前記トークンの前記販売を含む前記トークンの取引を管理する管理ステップ、を備える、
請求項1に記載のトークン販売方法。
【請求項16】
前記管理ステップは、ブロックチェーン及びスマートコントラクトを用いて前記トークンの取引を管理する、
請求項15に記載のトークン販売方法。
【請求項17】
前記管理ステップは、前記起案者が起案時に提示した情報に虚偽があると判定した場合に前記トークンの運営に通報する、
請求項15に記載のトークン販売方法。
【請求項18】
前記取引には、前記トークンの転売が含まれる、
請求項15に記載のトークン販売方法。
【請求項19】
起案者に関する起案者情報を取得する取得部と、
前記起案者情報に基づいて前記起案者が将来的に得られるリターンを推定する推定部と、
前記推定部での推定結果に基づいてトークン価格を判定する判定部と、
前記トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う販売処理部と、
を備えるトークン販売装置。
【請求項20】
コンピュータを、
起案者に関する起案者情報を取得する取得部、
前記起案者情報に基づいて前記起案者が将来的に得られるリターンを推定する推定部、
前記推定部での推定結果に基づいてトークン価格を判定する判定部、
前記トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う販売処理部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トークン販売方法、トークン販売装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドファンディングとよばれるインターネット上にて出資を募るシステムの利用が増加している。クラウドファンディングでは、起案者(被支援者)は、支援者による出資に対してリターンを設定する。支援者は起案者への応援とリターンのために出資を行う。特許文献1では、このような仕組みを効率良く行うためのシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-101954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、セキュリティトークンオファリング(Security Token Offering)という考え方が知られるようになっている。セキュリティトークンオファリングとは、有価証券(セキュリティ)をトークンという形のデジタル証券として発行することで資金調達を行う考え方である。セキュリティトークンオファリングの使用方法として、例えば、ファンの多いアーティスト、作家、アスリート、又はスポーツチームが、自らトークンを発行して次の制作資金又は将来の活動資金を調達する使い方が想定される。
【0005】
しかし、従来のシステムは、セキュリティトークンオファリングを、必ずしも利便性の高い状態で運用できているとは言えない。例えば、セキュリティトークンオファリングでは、トークンの対象が、例えばスポーツ選手の将来の年棒など、様々な種類のものとなると想定される。そうすると、取引の先例が乏しいためにトークン価格がつけ難く、結果として、セキュリティトークンオファリングの導入が困難となると想定される。価格をつけることができたとしても、多くの場合、その価格設定はトークン発行者の思惑で決まってしまう。この場合、トークン価格を高値で維持するために、トークン発行者が自分に不利な情報を隠すことが十分に想定される。従来のセキュリティトークンオファリングの仕組みを単純に導入しただけでは、トークンの購入希望者が、十分な判断情報を得られないために、トークンの購入を躊躇することになると想定される。
【0006】
そこで、本開示では、利便性の高いセキュリティトークンオファリングを実現可能にするトークン販売方法、トークン販売装置、及びプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態のトークン販売方法は、起案者に関する起案者情報を取得する取得ステップと、前記起案者情報に基づいて前記起案者が将来的に得られるリターンを推定する推定ステップと、前記推定ステップでの推定結果に基づいてトークン価格を判定する判定ステップと、前記トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う販売処理ステップと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】トークンの販売ページの一例を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係るトークン販売システムの構成例を示す図である。
図3】本開示の実施形態に係るサーバの構成例を示す図である。
図4】本開示の実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
図5】本実施形態のトークン設定処理を示すフローチャートである。
図6】本実施形態のトークン販売処理を示すフローチャートである。
図7】本実施形態のトークン取引管理処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0010】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じてサーバ10、及び10のように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、サーバ10、及び10を特に区別する必要が無い場合には、単にサーバ10と称する。
【0011】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.本実施形態の概要
2.トークン販売システムの構成
2-1.サーバの構成
2-2.端末装置の構成
2-3.学習モデル
3.トークン販売システムの動作
3-1.動作の概要
3-2.カテゴリ毎の具体的動作例
3-3.トークン取引の管理
3-4.その他の機能
3-5.トークン設定処理
3-6.トークン販売処理
3-7.トークン取引管理処理
4.変形例
5.むすび
【0012】
<<1.本実施形態の概要>>
近年、クラウドファンディングとよばれるインターネット上にて出資を募るシステムの利用が増加している。クラウドファンディングでは、起案者(被支援者)は、支援者による出資に対してリターンを設定する。支援者は起案者への応援とリターンのために出資を行う。
【0013】
クラウドファンディングは一般的に起案者が支援者による金銭的支援(投資)を受けてその支援金をもとに活動を行い、その結果としての成果物(例えば新商品)をリターンとして起案者から支援者は受け取るタイプが多い。また、支援金による成果物ではなくお礼の品という形で支援者が起案者からリターンとして受け取る場合もある。
【0014】
しかしながら、この方式では、支援者側はリターン自体を他者に譲渡したり販売したりすることができない。また、受け取る成果物(新商品)などを割引価格で買えるメリットは、起案者にとっては原価ぎりぎりとなるために、負担となることが想定される。また、成果物を受け取るときには成果物が魅力的に思えなくなっていたり、成果物が初期説明よりも拙いものであったりと、支援者にとっても、思うような結果とならないことが想定される。さらに、新製品のような物理的な成果物が存在しないプロジェクトなどに対しては、支援が受けづらい面がある。すなわち、支援者にとってリターンの価値が変動することがある。
【0015】
そこでセキュリティトークンオファリングという考え方が提案されている。これは支援者が受け取るリターンをトークンとしてセキュリティ(有価証券)化することにより、支援者がトークンの販売なども行えるようにできる。これにより、支援者はリターンの価値が変動した場合にトークンを売買できるので投資リスクが低減される。
【0016】
例えば、サッカー選手、バスケットボール選手等のスポーツ選手が自身の3年後の契約金を受け取る権利をトークン化し、それを販売するとする。3年後に契約金として1000万円を受け取る想定であった場合は、トークン発行時はトークン1つの価値は1000万円÷トークン数で計算される。スポーツ選手はこのトークンを販売することにより、3年後に受け取る報酬を今受け取ることが可能となり、さらにそのトークン販売によって得た金額を使ってトレーニングを重ねることで3年後の契約金を上げることができる。スポーツ選手はトークン全てを販売するのではなく、半分だけを販売することで、金銭的リスクを分散しつつ契約金が上がったときも利益として受け取ることができる。
【0017】
支援者も、スポーツ選手の応援という意味だけでなく、投資という意味で行うことができる。例えば、スポーツ選手がまだ有名でないときにトークンを購入することでそのスポーツ選手を応援するだけでなく、金銭的投資も行うことでその選手の成長を促し、成長したときには大きなリターンを受け取るということが可能となる。
【0018】
しかしながら、従来のセキュリティトークンオファリングは、トークンの発行者(以下、起案者ともいう。)にとっても、トークンの購入希望者(以下、支援者ともいう。)にとっても、必ずしも、利便性の高い仕組みであったとは言えない。
【0019】
例えば、セキュリティトークンオファリングでは、トークンの対象が、例えばスポーツ選手の将来の年棒など、様々な種類のものとなると想定される。そうすると、取引の先例が乏しいために起案者はトークン価格をつけ難く、結果として、起案者がセキュリティトークンオファリングを導入することが困難となると想定される。
【0020】
仮に、起案者が価格をつけることが可能であったとしても、多くの場合、その価格設定はトークンの起案者の思惑で決まってしまう。この場合、トークン価格を高値で維持するために、起案者が自分に不利な情報を隠すことが十分に想定される。例えば、スポーツ選手が実は選手として致命的なケガをしていて、3年後には契約金がなくなることがすでに判明しているにも関わらず、起案者がそのケガの情報を隠してトークン価格を設定することが想定される。従来のセキュリティトークンオファリングの仕組みを単純に導入しただけでは、支援者が、十分な判断情報を得られないために、トークンの購入を躊躇することになると想定される。
【0021】
そこで本実施形態では、起案者にとっても支援者にとっても、利便性の高いセキュリティトークンオファリングを実現可能にする。具体的には、本実施形態のトークン販売システムは、起案者からトークン価格を推定するために必要な起案者情報を取得する。そして、トークン販売システムは、起案者情報に基づいて、起案者が将来的に得られる報酬(リターン)を推定し、推定結果に基づいてトークン価格を判定する。
【0022】
トークン販売システムは、判定されたトークン価格(以下、判定トークン価格ともいう。)に基づいて、トークンの販売に関する処理を行う。例えば、支援者等のユーザがトークンをWebサイト上で購入できるようにする。図1は、トークンの販売ページの一例を示す図である。図1の例では、サッカー選手A、テニス選手B、及び野球選手Cそれぞれの3年後の契約金をトークン対象となっている。そして、トークン販売システムは、支援者等のユーザに対し、判定トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を行っている。図1の例では、トークン販売システムは、サッカー選手A、テニス選手B、及び野球選手Cそれぞれが判定トークン価格に基づき設定した1トークンあたりの販売価格(図1の「値付」で示される¥30000、¥20000、¥80000)をWebページに表示している。
【0023】
なお、トークン販売システムは、起案者が設定した販売価格と、判定トークン価格と、の双方をWebページに表示してもよい。図1の例では、トークン販売システムは、「値付」で示される販売価格に加えて、判定トークン価格(図1の「相場」で示される¥25000)をWebページに表示している。
【0024】
これにより、起案者にとってはトークン価格の設定が容易になり、また、支援者とってはトークンの購入が容易になる。結果として、起案者にとっても、支援者にとっても、利便性の高いセキュリティトークンオファリングが実現する。
【0025】
なお、有価証券とは、財産的価値のある私権を表章する証券であり、権利の発生、移転、及び行使が当該証券に基づいてなされるもののことをいう。有価証券は、例えば小切手である。すなわち、本実施形態では、トークン生成時に権利が発生し、トークンの移転によって権利の移転が行われ、かつ、トークンの利用によって権利行使がなされる。トークンは、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されるもの)を有する有価証券である。
【0026】
以上、本実施形態の概要を述べたが、以下、本実施形態に係るトークン販売システム1を詳細に説明する。
【0027】
<<2.トークン販売システムの構成>>
まず、トークン販売システム1の全体の構成を説明する。
【0028】
図2は、本開示の実施形態に係るトークン販売システム1の構成例を示す図である。トークン販売システム1は、トークンの販売及び管理ための処理を行う情報処理システムである。トークン販売システム1は、サーバ10と、端末装置20と、を備える。なお、図中の装置は、論理的な意味での装置と考えてもよい。つまり、同図の装置の一部が仮想マシン(VM:Virtual Machine)、コンテナ(Container)、ドッカー(Docker)などで実現され、それらが物理的に同一のハードウェア上で実装されてもよい。
【0029】
サーバ10、及び端末装置20は、それぞれ通信機能を備え、ネットワークNを介して接続されている。サーバ10、及び端末装置20は、通信装置と言い換えることが可能である。なお、図2の例では、ネットワークNが1つしか示されていないが、ネットワークNは複数存在していてもよい。
【0030】
ここで、ネットワークNは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、セルラーネットワーク、固定電話網、地域IP(Internet Protocol)網、インターネット等の通信ネットワークである。ネットワークNには、有線ネットワークが含まれていてもよいし、無線ネットワークが含まれていてもよい。また、ネットワークNには、コアネットワークが含まれていてもよい。コアネットワークは、例えば、EPC(Evolved Packet Core)や5GC(5G Core network)である。また、ネットワークNには、コアネットワーク以外のデータネットワークが含まれていてもよい。データネットワークは、通信事業者のサービスネットワーク、例えば、IMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークであってもよい。また、データネットワークは、企業内ネットワーク等、プライベートなネットワークであってもよい。
【0031】
サーバ10、及び端末装置20は、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、等の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を使ってネットワークN又は他の通信装置と接続するよう構成されていてもよい。このとき、通信装置は、異なる無線アクセス技術を使用可能に構成されていてもよい。例えば、通信装置は、NRとWi-Fiを使用可能に構成されていてもよい。また、通信装置は、異なるセルラー通信技術(例えば、LTEとNR)を使用可能に構成されていてもよい。LTE及びNRは、セルラー通信技術の一種であり、基地局がカバーするエリアをセル状に複数配置することで、通信装置の移動通信を可能にする。その他、サーバ10、及び端末装置20は、LTE、NR、Wi-Fi、Bluetooth以外の無線アクセス技術を使ってネットワークN又は他の通信装置に接続可能であってもよい。
【0032】
以下、トークン販売システム1を構成する各装置の構成を具体的に説明する。なお、以下に示す各装置の構成はあくまで一例である。各装置の構成は、以下に示す構成とは異なっていてもよい。
【0033】
<2-1.サーバの構成>
最初に、サーバ10の構成を説明する。
【0034】
サーバ10は、トークンの販売及び管理に関する処理を行う情報処理装置(コンピュータ)である。例えば、サーバ10は、トークンを発行するための処理、発行されたトークンの取引に関する処理を行う。トークンの取引には、発行されたトークンの販売(一次取引)のみならず、販売されたトークンの転売(二次取引)も含まれる。これらの処理は、1のサーバ10が行ってもよいし、異なるサーバ10が行ってもよい。
【0035】
サーバ10には、あらゆる形態のコンピュータを採用可能である。例えば、サーバ10は、PCサーバであってもよいし、ミッドレンジサーバであってもよいし、メインフレームサーバであってもよい。また、サーバ10は、ユーザや端末の近くでのデータ処理(エッジ処理)を行う情報処理装置であってもよい。例えば、サーバ10は、基地局に併設又は内蔵された情報処理装置(コンピュータ)であってもよい。勿論、サーバ10は、クラウドコンピューティングを行う情報処理装置であってもよい。
【0036】
図3は、本開示の実施形態に係るサーバ10の構成例を示す図である。サーバ10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。なお、図3に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、サーバ10の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。例えば、サーバ10は、複数のサーバ装置により構成されていてもよい。
【0037】
通信部11は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースである。通信部11は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部11は、制御部13の制御に従って端末装置20等と通信する。
【0038】
記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部12は、サーバ10の記憶手段として機能する。記憶部12は、例えば、起案者情報、トークン価格情報、及び学習モデル等の各種情報を記憶する。これらの情報については後述する。
【0039】
制御部13は、サーバ10の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部13は、サーバ10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、GPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0040】
制御部13は、取得部131と、推定部132と、判定部133と、販売処理部134と、表示制御部135と、要求部136と、管理部137と、を備える。制御部13を構成する各ブロック(取得部131~管理部137)はそれぞれ制御部13の機能を示す機能ブロックである。これら機能ブロックはソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。例えば、上述の機能ブロックが、それぞれ、ソフトウェア(マイクロプログラムを含む。)で実現される1つのソフトウェアモジュールであってもよいし、半導体チップ(ダイ)上の1つの回路ブロックであってもよい。勿論、各機能ブロックがそれぞれ1つのプロセッサ又は1つの集積回路であってもよい。制御部13は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。機能ブロックの構成方法は任意である。
【0041】
なお、制御部13は上述の機能ブロックとは異なる機能単位で構成されていてもよい。また、制御部13を構成する各ブロック(取得部131~管理部137)の一部又は全部の動作を、他の装置が行ってもよい。例えば、制御部13を構成する各ブロックの一部又は全部の動作を、端末装置20の制御部23が行ってもよい。制御部13を構成する各ブロックの動作は後述する。
【0042】
<2-2.端末装置の構成>
次に、端末装置20の構成を説明する。
【0043】
端末装置20は、ユーザが所持する情報処理装置(コンピュータ)である。端末装置20は、サーバ10とネットワークNを介して通信可能に構成されている。ユーザは、端末装置20を使ってトークンに関する処理を行う。例えば、ユーザは、端末装置20を使って、トークンの販売、トークンの取引、又はトークンに関する各種設定を行う。
【0044】
端末装置20には、あらゆる形態のコンピュータを採用可能である。端末装置20は、携帯電話、スマートデバイス(スマートフォン、又はタブレット)、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC等のモバイル端末であってもよい。また、端末装置20は、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスであってもよい。また、端末装置20は、AR(Augmented Reality)デバイス、VR(Virtual Reality)デバイス、MR(Mixed Reality)デバイス等のxRデバイスであってもよい。その他、端末装置20は、持ち運び可能なIoT(Internet of Things)デバイスであってもよい。
【0045】
図4は、本開示の実施形態に係る端末装置20の構成例を示す図である。端末装置20は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、入力部24と、出力部25と、を備える。なお、図4に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、端末装置20の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0046】
通信部21は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。例えば、通信部21は、NIC等のLANインタフェースである。なお、通信部21は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部21が無線インタフェースを備える場合、通信部21は、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、等の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を使ってネットワークN又は他の通信装置と接続するよう構成されていてもよい。通信部21は、制御部23の制御に従ってサーバ10等と通信する。
【0047】
記憶部22は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部22は、端末装置20の記憶手段として機能する。
【0048】
制御部23は、端末装置20の各部を制御するコントローラである。制御部23は、例えば、CPU、MPU、GPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部23は、端末装置20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部23は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、GPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0049】
入力部24は、外部から各種入力を受け付ける入力装置である。例えば、入力部24は、キーボードやマウスや操作キー等、ユーザが各種操作を行うための操作装置である。なお、端末装置20にタッチパネルが採用される場合には、タッチパネルも入力部24に含まれる。この場合、ユーザは、指やスタイラスで画面をタッチすることにより各種操作を行う。
【0050】
出力部25は、音、光、振動、画像等、外部に各種出力を行う装置である。出力部25は、各種情報を表示する表示装置を備える。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。なお、端末装置20にタッチパネルが採用される場合には、表示装置は入力部24と一体の装置であってもよい。出力部25は、制御部23の制御に従って、ユーザに各種出力を行う。
【0051】
<2-3.学習モデル>
次に、学習モデルについて説明する。
【0052】
上述したように、サーバ10の記憶部12は、学習モデルを記憶する。学習モデルは、例えば、起案者情報と起案者が将来的に得られると推定されるリターンとの関係を学習した学習済みモデルである。そして、サーバ10は、当該学習モデルを使用して、例えば、起案者が将来的に得られると推定されるリターンを推定する。
【0053】
学習モデルは、例えば、ニューラルネットワークモデル等の機械学習モデルである。ニューラルネットワークモデルは、複数のノードを含む入力層、中間層(又は、隠れ層)、出力層と呼ばれる層から構成され、各ノードはエッジを介して接続される。各層は、活性化関数と呼ばれる関数を持ち、各エッジは重み付けされる。学習モデルは、1又は複数の中間層(又は、隠れ層)を有する。学習モデルをニューラルネットワークモデルとする場合、学習モデルの学習とは、例えば、中間層(又は、隠れ層)の層数、各層のノード数、又は各エッジの重み等を設定することを意味する。
【0054】
ここで、ニューラルネットワークモデルは、ディープラーニングによるモデルであってもよい。この場合、ニューラルネットワークモデルは、DNN(Deep Neural Network)と呼ばれる形態のモデルであってもよい。また、ニューラルネットワークモデルは、CNN(Convolution Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、又はLSTM(Long Short-Term Memory)と呼ばれる形態のモデルであってもよい。勿論、ニューラルネットワークモデルはこれらの形態のモデルに限定されない。
【0055】
また、学習モデルは、ニューラルネットワークモデルに限定されない。例えば、学習モデルは、強化学習によるモデルであってもよい。強化学習では、試行錯誤を通じて価値が最大化するような行動(設定)が学習される。その他、学習モデルは、ロジスティック回帰モデルであってもよい。
【0056】
なお、学習モデルは、複数のモデルで構成されていてもよい。例えば、学習モデルは、複数のニューラルネットワークモデルから構成されていてもよい。より具体的には、学習モデルは、例えば、CNN、RNN、及び、LSTMの中から選択される複数のニューラルネットワークモデルから構成されていてもよい。学習モデルが複数のニューラルネットワークモデルから構成される場合、これら複数のニューラルネットワークモデルは、従属関係にあってもよいし、並列関係にあってもよい。
【0057】
上述したように、サーバ10の記憶部12は、学習モデルを記憶する。学習モデルは、後述のトークン設定処理で使用される。トークン設定処理は、トークンに関する各種設定を行うための処理である。トークン設定処理では、トークン価格の判定や、起案者が将来的に得られると推定されるリターンの推定等が行われる。以下、学習モデルについて詳細に説明する。
【0058】
学習モデルは、起案者情報と起案者が将来的に得られると推定されるリターンとの関係を学習した学習済みモデルである。例えば、学習モデルは、トークンの発行のための起案者情報を入力とし、起案者が将来的に得られると推定されるリターンの情報(以下、単にリターン情報という。)を出力とするモデルである。
【0059】
なお、図3では、記憶部12に記憶される情報として、「学習モデル」といった文字情報を記載したが、実際には、記憶部12には、モデルの構造や接続係数を示す文字列や数値等が記憶される。
【0060】
学習モデルは、起案者情報とリターン情報との組のデータを学習データとして、起案者情報を入力した時に、起案者が将来的に得られると推定されるリターンの情報を出力するよう学習したモデルであってもよい。この場合、第1の学習モデルは、起案者情報を入力する入力層と、リターン情報を出力する出力層と、入力層から出力層までのいずれかの層であって出力層以外の層に属する第1要素と、第1要素と第1要素の重みとに基づいて値が算出される第2要素と、を含み、入力層に入力された情報に対し、出力層以外の各層に属する各要素を第1要素として、第1要素と第1要素の重み(すなわち、接続係数)とに基づく演算を行うことにより、入力層に入力されたスケジュール情報じて、ストレス情報を出力層から出力するよう、コンピュータを機能させるためのモデルであってもよい。
【0061】
ここで、学習モデルが、DNN等、1つまたは複数の中間層を有するニューラルネットワークで実現されるとする。この場合、学習モデルが含む第1要素は、入力層または中間層が有するいずれかのノードに対応する。また、第2要素は、第1要素と対応するノードから値が伝達されるノードである次段のノードに対応する。また、第1要素の重みは、第1要素と対応するノードから第2要素と対応するノードに伝達される値に対して考慮される重みである接続係数に対応する。
【0062】
また、学習モデルが「y=a1*x1+a2*x2+・・・+ai*xi」で示す回帰モデルで実現されるとする。この場合、学習モデルが含む第1要素は、x1やx2等といった入力データ(xi)に対応する。また、第1要素の重みは、xiに対応する係数aiに対応する。ここで、回帰モデルは、入力層と出力層とを有する単純パーセプトロンと見做すことができる。各モデルを単純パーセプトロンと見做した場合、第1要素は、入力層が有するいずれかのノードに対応し、第2要素は、出力層が有するノードと見做すことができる。
【0063】
サーバ10は、ニューラルネットワークや回帰モデル等、任意の構造を有するモデルを用いて、出力する情報の算出を行う。具体的には、第1の学習モデルは、スケジュール情報が入力された場合に、ストレス情報を出力するように係数が設定される。例えば、サーバ10は、第1の実測データと、スケジュール情報を学習モデルに入力して得られる値と、の類似度に基づいて係数を設定する。サーバ10は、このような学習モデルを用いて、スケジュール情報からストレス情報を生成する。
【0064】
なお、上述の例では、学習モデルの一例として、起案者情報が入力された場合に、当リターン情報を出力するモデルを示した。しかし、実施形態に係る学習モデルは、学習モデルにデータの入出力を繰り返すことで得られる結果に基づいて生成されるモデルであってもよい。
【0065】
また、サーバ10がGAN(Generative Adversarial Networks)を用いた学習或いは出力情報の生成を行う場合、学習モデルは、GANの一部を構成するモデルであってもよい。
【0066】
なお、学習モデル(例えば、学習モデル)の学習を行う学習装置は、サーバ10であってもよいし、他の情報処理装置であってもよい。例えば、サーバ10が学習モデルの学習を行うとする。この場合、サーバ10は、学習モデルの学習を行い、学習した学習モデルを記憶部12に格納する。より具体的には、サーバ10は、起案者情報を学習モデルに入力した際に、学習モデルがリターン情報を出力するように、学習モデルの接続係数の設定を行う。
【0067】
例えば、サーバ10は、学習モデルが有する入力層のノードに起案者情報を入力し、各中間層を辿って学習モデルの出力層までデータを伝播させることで、リターン情報を出力させる。そして、サーバ10は、学習モデルが実際に出力した起案者情報と、リターン情報との差に基づいて、学習モデルの接続係数を修正する。例えば、サーバ10は、バックプロパゲーション等の手法を用いて、接続係数の修正を行ってもよい。このとき、サーバ10は、第1の実測データを示すベクトルと、学習モデルが実際に出力した値を示すベクトルとのコサイン類似度に基づいて、接続係数の修正を行ってもよい。
【0068】
なお、サーバ10は、いかなる学習アルゴリズムを用いて学習モデルを学習してもよい。例えば、サーバ10は、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(support vector machine)、クラスタリング、強化学習等の学習アルゴリズムを用いて、学習モデルを学習してもよい。
【0069】
<<3.トークン販売システムの動作>>
以上、トークン販売システム1の構成について述べたが、次に、トークン販売システム1の動作を説明する。
【0070】
<3-1.動作の概要>
まず、トークン販売システム1の動作の概要を説明する。
【0071】
トークン販売システム1は、トークンの販売に関する処理を行う。この処理は、サーバ10により行われる。ユーザ(起案者及び/又は支援者)は、端末装置20を介して、サーバ10がトークンの販売に関する処理を行うための情報(例えば、起案者情報等の各種設定情報)を送信する。
【0072】
サーバ10は、ユーザ(起案者及び/又は支援者)がWebサイトを使ってトークンに関する情報のやり取りを行えるよう構成されていてもよい。なお、トークンに関する情報のやり取りするための手段は、Webサイトに限られない。例えば、サーバ10は、ユーザが専用アプリを使ってトークンに関する情報のやり取りを行えるよう構成されていてもよい。以下の説明では、一例として、ユーザはWebサイトを使ってサーバ10をトークンに関する情報のやり取りを行うものとする。
【0073】
トークン販売システム1が実行する処理は以下の(1)~(5)に大別される。
(1)起案内容のカテゴリの情報の取得
(2)起案者情報の取得
(3)起案者が将来的に得られるリターンの推定
(4)トークン価格の判定
(5)トークンの販売
【0074】
以下、上記(1)~(5)をそれぞれ説明する。
【0075】
(1)起案内容のカテゴリの情報の取得
起案者が端末装置20を使ってトークンの起案のためのWebサイトにアクセスすると、サーバ10は、起案内容のカテゴリの入力するためのWebページを起案者の端末装置20に送信する。起案内容は、例えば、起案者がどういうプロジェクトを行うのかを示す内容である。また、カテゴリは、起案内容の概要を示す符号であり、例えば起業、研究、スポーツ活動、音楽アーティスト活動、漫画アーティスト活動、美術アーティスト活動、である。起案者は、Webページに起案内容のカテゴリを入力する。なお、起案者がカテゴリを選択しやすくするため、Webページは、ユーザがカテゴリをプルダウンメニュー等で選択できるよう構成されていてもよい。起案者の端末装置20は、起案者が選択した起案内容のカテゴリの情報をサーバ10に送信する。サーバ10は、起案者の端末装置20からカテゴリの情報を取得する。
【0076】
(2)起案者情報の取得
サーバ10は、ユーザ(起案者)が決定したカテゴリに基づいて、起案者が入力しなければならない項目をユーザの端末装置20に表示する。具体的には、サーバ10は、取得したカテゴリの情報に基づき決まる入力項目をWebページに表示するようネットワークNを介して端末装置20の表示制御を行う。カテゴリがスポーツ活動なのであれば、入力項目としては、例えば、現在の契約金(年棒)、試合の成績、健康状態等が想定される。起案者はこれらの入力項目に情報を入力する。これら入力項目に入力された情報が起案者情報である。起案者の端末装置20は、起案者情報をサーバ10に送信する。サーバ10は、端末装置20から起案者情報を取得する。
【0077】
(3)起案者が将来的に得られるリターンの推定
サーバ10は、起案者情報に基づいて起案者が将来的に得られるリターンを推定する。このとき、サーバ10は、起案者情報とリターンとの関係を学習した学習モデルに基づいてリターン推定を推定してもよい。例えば、学習モデルの開発者は、事前に起案者情報とリターンが紐づいた学習データを複数用意する。そして、開発者は、複数の学習データ(学習データ群)を学習モデル(例えば多層ニューラルネットワーク構造を有する機械学習モデルやロジスティック回帰モデル)に入力することでパラメータを生成する。このとき、開発者は、学習データ群を起案者カテゴリごとに用意し、パラメータを起案者カテゴリごとに生成してもよい。これにより、起案者カテゴリごとにリターン推定のための学習モデルが生成される。サーバ10は、起案者が入力したカテゴリに基づいて、そのカテゴリに紐づく学習モデルを選択する。そして、サーバ10は、選択した学習モデルに起案者情報を入力することでリターンを推定する。
【0078】
(4)トークン価格の判定
サーバ10は、リターンの推定結果(以下、推定リターンという。)に基づいてトークン価格を判定する。具体的には、サーバ10は、推定リターンと発行トークン数に基づいてトークン価格を判定する。このとき、サーバ10は、推定リターンを発行トークン数で割った価格をトークン価格として判定してもよい。或いは、サーバ10は、推定リターンに一定の料金(例えば、トークン販売サービスの使用料や仲介業者の手数料等)を付加した金額を発行トークン数で割った価格をトークン価格として判定してもよい。なお、発行トークン数は起案者が設定したものであってもよい。
【0079】
(5)トークンの販売
サーバ10は、トークンの販売に関する処理を行う。サーバ10は、ユーザ(支援者)に、例えば図1に示すようなトークンの販売のためのWebページを送信する。このとき、サーバ10は、Webページに、判定したトークン価格に基づき設定される販売価格を表示してもよい。販売価格は、トークン価格と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、サーバ10は、起案者が販売価格を設定できるよう構成されていてもよい。このとき、サーバ10は、支援者に判断材料を与えるため、サーバ10が判定されたトークン価格と、起案者が設定した販売価格と、の双方をWebページに表示してもよい。図1の例では、例えば「値付」で示される価格が販売価格であり、例えば「相場」で示される価格が推定されたトークン価格である。支援者が所望のトークンを選択し、例えばWebページの購入ボタンを押すと、サーバ10は、支援者にトークンを販売するための処理を行う。トークンの販売のための処理については、後述の<3-3.トークン取引の管理>で詳しく述べる。
【0080】
<3-2.カテゴリ毎の具体的動作例>
以上、トークン販売システム1の動作の概要を説明したが、次に、カテゴリ毎のトークン販売システム1の具体的動作例を説明する。以下では、カテゴリの例として、スポーツ活動と、起業と、漫画アーティスト活動と、を挙げる。
【0081】
(1)スポーツ活動
「スポーツ活動」は、例えば、スポーツ活動に係る資金調達のためのカテゴリである。起案者がカテゴリとして「スポーツ活動」を選択した場合、サーバ10は、起案者情報の入力ページに、入力項目として、「起案者の現在の契約金」、「試合の成績」、及び「健康状態」、の中の少なくとも1つの入力項目を表示する。サーバ10は、入力項目に入力された情報を起案者情報として取得する。
【0082】
そして、サーバ10は、選択されたカテゴリに係る学習モデルを記憶部12から取得するとともに、入力項目に入力された情報の少なくとも1つを当該学習モデルに入力することで起案者が将来的に得られるリターンを推定する。サーバ10は、これらの情報の少なくとも1つを起案者情報として取得する。そして、サーバ10は、取得した情報の少なくとも1つを当該学習モデルに入力することで起案者が将来的に得られるリターンを推定する。そして、サーバ10は、推定結果に基づいてトークン価格を判定するともに、当該トークン価格に基づき設定される価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う。
【0083】
(2)起業
「起業」は、例えば、起業前又は起業後の資金調達のためのカテゴリである。起案者がカテゴリとして「起業」を選択した場合、サーバ10は、起案者情報の入力ページに、入力項目として、「実現可能な最大の市場規模」、「経営収益」、「ユーザ一人あたりの収益」、「売上総利益」、「販売率」、「棚卸資産回転率」、「ネットワーク効果」、「バイラリティ(口コミ効果の伝搬速度)」、「スケーラビリティ(生産量増大に伴う収益率変化)」、「登録ユーザ数」、及び「アクティブユーザ数」、の中の少なくとも1つの入力項目を表示する。サーバ10は、入力項目に入力された情報を起案者情報として取得する。
【0084】
そして、サーバ10は、選択されたカテゴリに係る学習モデルを記憶部12から取得するとともに、入力項目に入力された取得した情報の少なくとも1つを当該学習モデルに入力することで起案者が将来的に得られるリターンを推定する。サーバ10は、これらの情報の少なくとも1つを起案者情報として取得する。そして、サーバ10は、取得した情報の少なくとも1つを当該学習モデルに入力することで起案者が将来的に得られるリターンを推定する。そして、サーバ10は、推定結果に基づいてトークン価格を判定するともに、当該トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う。
【0085】
(3)漫画アーティスト活動
「漫画アーティスト活動」は、例えば、漫画アーティスト活動に係る資金調達のためのカテゴリである。カテゴリとして「漫画アーティスト活動」が選択された場合には、サーバ10は、起案者情報の入力ページに、少なくとも「漫画のジャンル」の入力項目を表示する。サーバ10は、入力項目に入力された情報を起案者情報として取得する。また、サーバ10は、当該ページに、起案者がサンプル漫画を公開するための処理に関する表示を行ってもよい。サンプル漫画を公開するための処理は、例えば、起案者が、サンプル漫画の閲覧のためのサイトにサンプル漫画をアップロードするための処理である。この場合、サーバ10は、起案者情報の入力ページに、当該サイトへのリンクを表示してもよいし、アップロードのためのユーザインタフェース(例えば、ファイルアップロード画面)を表示してもよい。サンプル漫画の閲覧のためのサイトはサーバ10が管理してもよいし、サーバ10以外のサーバが管理してもよい。
【0086】
サーバ10は、サンプル漫画の閲覧のためのサイトからビュー数等の情報を取得可能である。サーバ10は、起案者情報の入力ページの入力項目に入力された情報を起案者情報として取得する。また、サーバ10は、サンプル漫画が公開されてから一定の期間の後、公開された前記サンプル漫画のビュー数、及び所定期間における前記ビュー数の伸び率の情報を当該サイトから取得する。
【0087】
そして、サーバ10は、サンプル漫画のビュー数、ビュー数の伸び率、及び前記漫画のジャンルの情報の少なくとも1つの情報に基づいて、起案者が創作する漫画の将来のビュー数または将来の刊行数を推定する。例えば、サーバ10は、サンプル漫画のビュー数と所定期間におけるビュー数の伸び率、及び漫画のジャンルの情報に基づいてロジスティック回帰等の機械学習により、将来のビュー数または将来の刊行数を推定する。そして、サーバ10は、将来のビュー数または将来の刊行数の情報に基づいて、起案者が将来的に得られるリターンを推定する。例えば、サーバ10は、漫画のジャンルに基づいて設定可能な広告を推定するともに、将来のビュー数または将来の刊行数の情報に基づいて、当該広告から得られる収入を推定することで、将来のリターンを推定する。そして、サーバ10は、推定結果に基づいてトークン価格を判定するともに、当該トークン価格に基づき設定される価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う。
【0088】
<3-3.トークン取引の管理>
以上、カテゴリ毎の具体的動作例を説明したが、サーバ10によるトークン取引の管理について説明する。
【0089】
サーバ10は、トークンの取引の管理に関する処理を行うよう構成されている。なお、トークンの取引の管理には、トークンの販売(一次取引)の管理のみならず、トークンの転売(二次取引)の管理も含まれる。サーバ10は、ブロックチェーン及びスマートコントラクトを用いてトークンの取引を管理してもよい。
【0090】
(トークン取引の管理の概要)
サーバ10は、トークンを起案者が設定した数だけ発行する。このとき、サーバ10は、上述のようにトークン価格を判定し、起案者がトークンの価格を設定する際に起案者に価格をレコメンドしてもよい。これにより、起案者がトークン価格を推定値よりも大幅に増減させて市場を混乱させる懸念が解消される。なお、サーバ10は、判定されたトークン価格に基づいて、起案者が設定可能な販売価格の上限額及び/又は下限額を設定してもよい。例えば、サーバ10は、起案者がトークン価格を、判定されたトークン価格より±20%以内にしか設定できないよう構成されていてもよい。
【0091】
サーバ10は、ユーザ(例えば、支援者)によって操作される端末装置20の要求に応じてトークンを発行する。このとき、サーバ10は、要求元のユーザの識別情報として、例えば、ウォレットアドレスを取得してもよい。なお、サーバ10は、トークンの取引にスマートコントラクトを使用してもよい。このとき、サーバ10は、発行したトークンのスマートコントラクトに、同一の発行者からトークンの発行履歴のあるユーザ間でのみ当該トークンの取引を成立させるように設定してもよい。サーバ10は、決済後、トークンの所有権をユーザに移転する。
【0092】
そして、サーバ10は、ユーザ(例えば、転売者/購入者)によって操作される端末装置20の要求に応じてトークンの転売の管理に係る処理を実行する。このとき、サーバ10は、トークンのスマートコントラクトに設定された条件に従って、ユーザのウォレットアドレスを取得し、当該ウォレットアドレスが同一の発行者からトークンの発行履歴があるユーザのウォレットアドレスであるか確認する。サーバ10は、条件を満たした場合のみトークンの取引を成立させる。
【0093】
なお、サーバ10は、取引履歴が分散管理されるブロックチェーン技術を用いてトークンを発行し、管理してもよい。ブロックチェーン技術を用いたプラットフォームとしてはビットコイン、NEM、イーサリアム等が挙げられる。サーバ10は、トークンの取引の管理に当たり、ブロックチェーンに限らず分散型台帳技術を用いたプラットフォームを使用してもよい。なお、トークンの転売の取引(二次流通における取引)とは、取引対象としてのトークンの価格をユーザ間で決定し、決定した価格でトークンの所有権を他者に委譲する一連の流れのことをいう。これにより、ユーザは、トークンを発行した後に、そのトークンの将来価値を考慮して転売することが可能となる。これによりトークンが有価証券として機能する。
【0094】
(トークン取引の管理の詳細)
サーバ10は、トークンの発行要求を受け付けると、発行者情報に基づいて発行者を設定してトークンを発行する。発行者情報は、トークンの発行者が特定の発行者であることを証明する情報である。サーバ10は、決済後、発行したトークンの所有権を要求元のユーザに移転する。なお、サーバ10は、決済時の対価としてユーザに仮想通貨や法定通貨を請求するよう構成されていてもよい。
【0095】
サーバ10は、ユーザの識別情報の一例としてトークンの発行要求元のユーザのウォレットアドレスを取得する。なお、サーバ10がウォレットアドレスを取得するタイミングは、トークンの発行時に限られない。サーバ10は、トークンの発行前に予めウォレットアドレスを取得してもよい。なお、サーバ10が提供するサービスと連携する他のサービスに対して、ユーザがウォレットアドレスを登録しているのであれば、サーバ10は、これをトークンの取引に係るウォレットアドレスとして取得してもよい。また、サーバ10は、トークンの発行後にウォレットアドレスを取得してもよい。サーバ10は、遅くともトークンが転売されるまでにウォレットアドレスを取得すればよい。また、ユーザの識別情報は、ユーザを識別できればウォレットアドレスに限られず、独自に発行したIDであってもよい。
【0096】
サーバ10は、トークンの発行要求元のユーザのウォレットアドレスと、同一の発行者により発行されたことのあるユーザのウォレットアドレスと、の間でのみ当該トークンの取引を成立させるように指示する指示情報を作成する。そして、サーバ10は、作成した指示情報を発行したトークンのスマートコントラクトとして設定する。なお、サーバ10は、スマートコントラクトの設定をトークン発行時に行ってもよいし、発行後に行ってもよい。サーバ10は、遅くともトークンが転売されるまでにスマートコントラクトを設定すればよい。
【0097】
以上により、取引執行が可能となり、トークンの売買が可能となる。
【0098】
<3-4.その他の機能>
以上、トークン取引の管理について述べたが、次に、トークン販売システム1のその他の機能について説明する。
【0099】
(1)追加情報の要求
サーバ10は、起案者情報に基づいて起案者から追加で情報が必要か否かを判定してもよい。そして、サーバ10は、追加で情報が必要と判定した場合には、起案者から追加で取得すべき情報を判定するとともに、起案者に対し追加情報を要求してもよい。例えば、サーバ10は、起案者が入力した項目を解析し、所定の単語などが使用された場合に追加の入力が必要としてユーザに追加情報を求めてもよい。例えば、起案者が健康状態の入力項目に肥満と記載した場合に、BMI(Body Mass Index)の数値を追加情報として要求してもよい。そして、サーバ10は、起案者情報と追加情報とに基づいて、起案者が将来的に得られるリターンを推定する。これにより、リターンの推定精度を高めることができる。
【0100】
(2)情報の修正の制限
サーバ10は、起案者が起案時に提示した情報の修正の制限をするよう構成されていてもよい。例えば、サーバ10は、起案者が起案時に提示した情報を、トークン取引サービスの運営者側の審査承認がなければ修正ができないように構成されていてもよい。これにより、投資者側の判断材料が途中で変更されることを防ぐことができる。また、サーバ10は、修正があった場合には、トークンの所有者に対して修正があった旨を通知するよう構成されていてもよい。例えばブロックチェーンを使用してトークンが管理されている場合は、サーバ10は、現トークン所有者のウォレットに紐づくメールアドレスに修正があった旨を通知する。これにより、サーバ10は、信頼性の高い取引を実現できる。
【0101】
(3)運営への通報
サーバ10は、起案者が起案時に提示した情報に虚偽があると判定した場合にトークンの運営(トークン取引サービスの運営者)に通報するよう構成されていてもよい。サーバ10は、例えば、トークン取引サービスの運営者が虚偽の程度が大きいと判断した場合には、トークンの所有者に対して、起案者が提示した情報に虚偽があった旨を通知するよう構成されていてもよい。例えばブロックチェーンを使用してトークンが管理されている場合には、サーバ10は、現トークン所有者のウォレットに紐づくメールアドレスに起案者が提示した情報に虚偽があった旨を通知する。これにより、サーバ10は、信頼性の高い取引を実現できる。
【0102】
(4)起案者の信頼度の算出
サーバ10は、起案者の入力した内容又は起案者の過去の経歴の情報に基づいて、起案者の信頼度を算出するよう構成されていてもよい。信頼度の算出には機械学習の技術が使用されてもよい。そして、サーバ10は、推定されたリターンと起案者の信頼度とに基づいてトークン価格を推定してもよい。例えば、サーバ10は、信頼度に応じたトークン価格の減額率又は増額率を算出し、減額率又は増額率に基づいてトークン価格を推定する。これにより、サーバ10は、信頼性の高い取引を実現できる。
【0103】
(5)トークン価格の変化予測
サーバ10は、トークン価格推定後の起案者に関する経緯情報に基づいて、トークン価格を変動させてもよい。例えば、サーバ10は、トークン価格推定後のチームの勝敗や現時点の売上などの情報に基づいて、トークン価格を変動させてもよい。すなわち、サーバ10は、起案者情報によってトークン価格を推定した後、経緯情報に基づいてトークン価格の再推定を行う。これらは機械学習では難しい。そのため、サーバ10は、予め起案内容のカテゴリに基づく計算式に基づいて、数理的に計算してもよい。これにより、サーバ10は、信頼性の高い取引を実現できる。
【0104】
(6)不祥事対処
起案者の不祥事が発覚した場合は、トークン価格が暴落することが想定される。そのため、サーバ10は、トークン価格が所定の変化量よりも大きい変化があった場合に、トークン価格とともに「購入瑕疵あり」と表示してもよい。これにより、購入検討者に注意喚起を行えるので、サーバ10は、信頼性の高い取引を実現できる。
【0105】
<3-5.トークン設定処理>
以上、トークン販売システム1が有する機能を説明したが、次に、フローチャートを使用して、トークン販売システム1の動作を説明する。
【0106】
まず、トークン設定処理について説明する。トークン設定処理は、ユーザ(起案者)がトークンに係る設定(起案)を行うための処理である。図5は、本実施形態のトークン設定処理を示すフローチャートである。ユーザが端末装置20を使用して、トークンに係る起案開始のための操作を行うと、サーバ10の制御部13は、トークン設定処理を開始する。以下、図5のフローチャートを参照しながら、トークン設定処理を説明する。
【0107】
サーバ10の取得部131は、起案者から起案内容のカテゴリの情報を取得する(ステップS101)。例えば、サーバ10の表示制御部135は、起案内容のカテゴリを入力するためのWebページを起案者が所持する端末装置20に表示する。そして、取得部131は、Webページに入力されたカテゴリの情報を、端末装置20から取得する。
【0108】
サーバ10の表示制御部135は、起案者が入力すべき入力欄を含むWebページを端末装置20に表示する(ステップS102)。入力欄には、起案者が決定した起案内容のカテゴリに基づき決まる入力項目が表示されている。サーバ10の取得部131は、表示された入力項目に入力された情報(入力項目に基づき起案者が入力した情報)を起案者情報として取得する(ステップS103)。
【0109】
サーバ10の要求部136は、追加情報が必要か判別する(ステップS104)。例えば、起案者が健康状態の入力項目に肥満と記載した場合に、BMI(Body Mass Index)の数値が加情報として必要であると判別する。追加情報の必要がない場合(ステップS104:No)、要求部136は、ステップS107に処理を進める。
【0110】
追加情報の必要がある場合(ステップS104:Yes)、要求部136は、起案者に追加情報を要求する(ステップS105)。例えば、サーバ10の表示制御部135は、追加情報を入力するためのWebページを起案者が所持する端末装置20に表示する。そして、サーバ10の取得部131は、Webページに入力された追加情報を、端末装置20から取得する(ステップS106)。なお、追加情報は起案者情報の一部とみなすことが可能である。
【0111】
サーバ10の推定部132は、ステップS103で取得した起案者情報に基づいて、起案者が将来的に得られるリターンを推定する(ステップS107)。例えば、推定部132は、起案者情報とリターンとの関係を学習した学習モデルに起案者情報を入力することでリターンを推定する。なお、ステップS105で追加情報を取得しているのであれば、推定部132は、起案者情報と追加情報とに基づいてリターンを推定してもよい。なお、追加情報を起案者情報の一部とみなしてもよい。
【0112】
サーバ10の判定部133は、ステップS107での推定結果に基づいて、トークン価格を判定する(ステップS108)。例えば、サーバ10は、ステップS107で推定されたリターンを、起案者が設定した発行トークン数で割った価格をトークン価格として判定してもよい。
【0113】
サーバ10の判定部133は、判定したトークン価格を記憶部12に記録する(ステップS109)。なお、判定部133は、トークン価格に基づき設定されるトークンの販売価格を記憶部12に記録してもよい。このとき、販売価格は、サーバ10が、例えば、トークン価格に一定の金額を付加する等により決定した価格であってもよい。また、販売価格は、起案者がトークン価格に基づき決定した価格であってもよい。このとき、サーバ10の販売処理部134は、起案者が設定可能な販売価格の上限額及び/又は下限額を設定してもよい。
【0114】
トークン価格の記録が完了したら、サーバ10の制御部13は、トークン設定処理を終了する。
【0115】
<3-6.トークン販売処理>
次に、トークン販売処理について説明する。トークン販売処理は、ユーザ(トークン購入希望者)にトークンを販売するための処理である。図6は、本実施形態のトークン販売処理を示すフローチャートである。ユーザ(例えば、支援者)が端末装置20を使用して、トークンの購入のための操作を行うと、サーバ10の制御部13は、トークン販売処理を開始する。以下、図6のフローチャートを参照しながら、トークン販売処理を説明する。
【0116】
サーバ10の表示制御部135は、ユーザの端末装置20に、トークンの販売ページを表示する(ステップS201)。例えば、表示制御部135は、ユーザの端末装置20に、図1に示すような販売ページを表示する。
【0117】
サーバ10の販売処理部134は、販売ページ上で、ユーザがトークンの購入に係る操作を実行したか判別する(ステップS202)。図1の例であれば、販売処理部134は、ユーザが購入ボタンを押したか否か判別する。ユーザが購入操作を実行していない場合(ステップS202:No)、販売処理部134は、ユーザが購入操作を行うまでステップS202を繰り返す。
【0118】
ユーザが購入操作を実行した場合(ステップS202:Yes)、サーバ10の販売処理部134は、トークンの販売に係る処理を実行する(ステップS203)。この処理にあたり、サーバ10は、上述の<3-3.トークン取引の管理>で示したように、ブロックチェーン及びスマートコントラクトを用いてもよい。
【0119】
ステップS203の処理が完了したら、サーバ10の制御部13は、トークン販売処理を終了する。
【0120】
<3-7.トークン取引管理処理>
次に、トークン販売処理について説明する。トークン販売処理は、ユーザ同士のトークン取引(二次取引)を管理するための処理である。
【0121】
図7は、本実施形態のトークン取引管理処理を示すフローチャートである。ユーザが端末装置20を使用して、トークンの取引のための操作を行うと、サーバ10の制御部13は、トークン販売処理を開始する。なお、以下のフローチャートの説明では、一例として、取引はトークンの二次取引(トークンの転売)であるものとするが、取引という概念には、トークンの二次取引のみならず、トークンの一次取引も含まれる。以下、図7のフローチャートを参照しながら、トークン取引管理処理を説明する。
【0122】
サーバ10の表示制御部135は、トークンの取引ページを表示する(ステップS301)。そして、サーバ10の管理部137は、取引ページ上で、ユーザがトークンの取引に係る操作を実行したか判別する(ステップS302)。取引操作を実行していない場合(ステップS302:No)、管理部137は、ユーザが購入操作を行うまでステップS302を繰り返す。ユーザが購入操作を実行した場合(ステップS202:Yes)、サーバ10の管理部137は、トークンの取引のための処理を実行する(ステップS303)。ステップS303の処理が完了したら、サーバ10の制御部13は、トークン販売処理を終了する。
【0123】
<<4.変形例>>
上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0124】
例えば、上述の実施形態では、スポーツ選手等のトークン対象者が起案者であるものとしたが、起案者はトークン対象者に限られない。例えば、スポーツ選手のマネージャー(例えば、マネージメント会社)等、トークン対象者の関係者が起案者でであってもよい。
【0125】
また、トークンの購入者も必ずしも支援者でなくてもよい。トークン購入者は、支援者でない一般の投資家であってもよい。上述の実施形態中の「支援者」の記載は、「投資家」等、トークンの購入希望者/購入検討者を示す他のワードに置き換え可能である。
【0126】
上述の実施形態では、サーバ10は、起案者情報を学習モデルに入力することで起案者が将来的に得られるリターンを推定し、そして、サーバ10は、その推定結果に基づいてトークン価格を判定した。しかし、サーバ10は、起案者情報とトークン価格との関係を学習した学習モデルに起案者情報を入力することで、直接、トークン価格を判定してもよい。この場合、学習モデルは、カテゴリ毎に用意されていてもよい。
【0127】
本実施形態のサーバ10、又は端末装置20を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステムにより実現してもよいし、汎用のコンピュータシステムによって実現してもよい。
【0128】
例えば、上述の動作を実行するための通信プログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布する。そして、例えば、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成する。このとき、制御装置は、サーバ10、又は端末装置20の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよい。また、制御装置は、サーバ10、又は端末装置20の内部の装置(例えば、制御部13、又は制御部23)であってもよい。
【0129】
また、上記通信プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0130】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0131】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0132】
また、上述の実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、上述の実施形態のフローチャートに示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【0133】
また、例えば、本実施形態は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
【0134】
なお、本実施形態において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0135】
また、例えば、本実施形態は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0136】
<<5.むすび>>
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、トークン販売システム1は、起案者に関する起案者情報に基づいて起案者が将来的に得られるリターンを推定し、その推定結果に基づいてトークン価格を判定する。そして、トークン販売システム1は、トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う。これにより、トークン価格の設定や購入が容易になるので、利便性の高いセキュリティトークンオファリングが実現する。
【0137】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0138】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0139】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
起案者に関する起案者情報を取得する取得ステップと、
前記起案者情報に基づいて前記起案者が将来的に得られるリターンを推定する推定ステップと、
前記推定ステップでの推定結果に基づいてトークン価格を判定する判定ステップと、
前記トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う販売処理ステップと、
を備えるトークン販売方法。
(2)
前起案者が決定した起案内容のカテゴリに基づき決まる入力項目を表示する表示制御ステップ、を備え、
前記取得ステップは、表示された前記入力項目に入力された情報を前記起案者情報として取得する、
前記(1)に記載のトークン販売方法。
(3)
前記カテゴリには、起業、研究、スポーツ活動、音楽アーティスト活動、漫画アーティスト活動、及び美術アーティスト活動、の中の少なくとも1つのカテゴリが含まれる、
前記(2)に記載のトークン販売方法。
(4)
前記カテゴリには、少なくともスポーツ活動が含まれ、
前記表示制御ステップは、前記カテゴリとして前記スポーツ活動が選択された場合には、前記入力項目として、前記起案者の現在の契約金、試合の成績、及び健康状態、の中の少なくとも1つの項目を表示する、
前記(2)又は(3)に記載のトークン販売方法。
(5)
前記カテゴリには、少なくとも起業が含まれ、
前記表示制御ステップは、前記カテゴリとして前記起業が選択された場合には、前記入力項目として、実現可能な最大の市場規模、経営収益、ユーザ一人あたりの収益、売上総利益、販売率、棚卸資産回転率、ネットワーク効果、バイラリティ、スケーラビリティ、登録ユーザ数、及びアクティブユーザ数、の中の少なくとも1つの項目を表示する、
前記(2)~(4)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(6)
前記カテゴリには、少なくとも漫画アーティスト活動が含まれ、
前記表示制御ステップは、前記カテゴリとして前記漫画アーティスト活動が選択された場合には、前記入力項目として、少なくとも漫画のジャンルの入力項目を表示するとともに、前記起案者がサンプル漫画を公開するための処理に関する表示を行う、
前記(2)~(5)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(7)
前記表示制御ステップは、前記入力項目の表示に加えて、前記起案者がサンプル漫画を公開するための処理に関する表示を行い、
前記取得ステップは、前記公開された前記サンプル漫画のビュー数、及び所定期間における前記ビュー数の伸び率の情報を取得し、
前記推定ステップは、前記サンプル漫画のビュー数、前記ビュー数の伸び率、及び前記漫画のジャンルの情報に基づいて、前記起案者が創作する漫画の将来のビュー数または将来の刊行数を推定し、前記将来のビュー数または前記将来の刊行数の情報に基づいて前記リターンを推定する、
前記(6)に記載のトークン販売方法。
(8)
前記推定ステップは、起案者情報とリターンとの関係を学習した学習モデルに基づいて前記起案者が将来的に得られると推定される前記リターンを推定する、
前記(1)~(7)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(9)
前記取得ステップは、前記起案者が設定した発行トークン数の情報を取得し、
前記判定ステップは、前記推定ステップで推定された前記リターンの情報と前記発行トークン数の情報と基づいてトークン価格を判定する、
前記(1)~(8)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(10)
前記取得ステップは、前記起案者が設定したトークン価格の情報を取得し、
前記販売処理ステップは、前記判定ステップで判定された前記トークン価格と、前記起案者が設定した前記販売価格と、の双方を表示する、
前記(1)~(9)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(11)
前記販売処理ステップは、前記起案者がトークンの前記販売価格を設定する場合に、前記トークン価格に基づいて、前記起案者が設定可能な前記販売価格の上限額を設定する、
前記(1)~(10)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(12)
前記販売処理ステップは、前記起案者がトークンの前記販売価格を設定する場合に、前記トークン価格に基づいて、前記起案者が設定可能な前記販売価格の下限額を設定する、
前記(1)~(11)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(13)
前記起案者情報に基づいて前記起案者から追加で情報が必要と判定された場合に、前記起案者に対し追加情報を要求する要求ステップ、を備え、
前記推定ステップは、前記起案者情報と前記追加情報とに基づいて前記リターンを推定する、
前記(1)~(12)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(14)
前記判定ステップは、前記起案者の入力した内容又は前記起案者の過去の経歴の情報に基づいて前記起案者の信頼度を算出し、前記推定ステップでの推定結果と前記起案者の前記信頼度とに基づいて前記リターンを推定する、
前記(1)~(13)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(15)
前記トークンの前記販売を含む前記トークンの取引を管理する管理ステップ、を備える、
前記(1)~(14)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(16)
前記管理ステップは、ブロックチェーン及びスマートコントラクトを用いて前記トークンの取引を管理する、
前記(15)に記載のトークン販売方法。
(17)
前記管理ステップは、前記起案者が起案時に提示した情報に虚偽があると判定した場合に前記トークンの運営に通報する、
前記(15)又は(16)に記載のトークン販売方法。
(18)
前記取引には、前記トークンの転売が含まれる、
前記(15)~(17)のいずれかに記載のトークン販売方法。
(19)
起案者に関する起案者情報を取得する取得部と、
前記起案者情報に基づいて前記起案者が将来的に得られるリターンを推定する推定部と、
前記推定部での推定結果に基づいてトークン価格を判定する判定部と、
前記トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う販売処理部と、
を備えるトークン販売装置。
(20)
コンピュータを、
起案者に関する起案者情報を取得する取得部、
前記起案者情報に基づいて前記起案者が将来的に得られるリターンを推定する推定部、
前記推定部での推定結果に基づいてトークン価格を判定する判定部、
前記トークン価格に基づき設定される販売価格の表示を含むトークンの販売に関する処理を行う販売処理部、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0140】
1 トークン販売システム
10 サーバ
20 端末装置
11、21 通信部
12、22 記憶部
13、23 制御部
24 入力部
25 出力部
131 取得部
132 推定部
133 判定部
134 販売処理部
135 表示制御部
136 要求部
137 管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7