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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108750
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】流量測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/00 20060101AFI20230731BHJP
   G01G 11/04 20060101ALI20230731BHJP
   B65G 65/40 20060101ALN20230731BHJP
【FI】
G01G11/00 L
G01G11/04
B65G65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009963
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】宮地 誠
【テーマコード(参考)】
3F075
【Fターム(参考)】
3F075AA08
3F075BA01
3F075CA06
3F075CA09
3F075CB04
3F075CD14
(57)【要約】
【課題】粉粒体を供給するための配管が複数存在し、粉粒体が連続的に流下することによって振動が発生する場合であっても、粉粒体の流量を高精度で計測し、連続的に流下される粉粒体の連続的な排出を実施することが可能な流量測定装置を提供する。
【解決手段】粉粒体を搬送するための複数の第一供給配管2…と、複数の第一供給配管2…の配管から分岐して設けた複数の第二供給配管3…と、複数の第二供給配管3…の下流側に設けられ、粉粒体を複数の第一供給配管2…に還流させるために設けた複数の第三供給配管4…と、複数の第二供給配管3…と複数の第三供給配管4…との間に配設した流量測定部5と、を備えた流量測定装置であって、流量測定部5の前段には、ホッパ部6を設けるとともに、流量測定部5の後段には、粉粒体を複数の第三供給配管4…のうち所定の配管に返還するための分配部7を設けた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を搬送するための複数の第一供給配管と、
前記複数の第一供給配管のそれぞれの配管から分岐して粉粒体の一部を採取するために設けた複数の第二供給配管と、
前記複数の第二供給配管のそれぞれの配管の下流側に設けられ、前記複数の第二供給配管により採取された粉粒体を前記複数の第一供給配管に還流させるために設けられた複数の第三供給配管と、
前記複数の第二供給配管と前記複数の第三供給配管との間に配設した流量測定部と、
を備えた流量測定装置であって、
前記流量測定部の前段には、前記複数の第二供給配管のいずれかから供給された粉粒体を前記流量測定部に供給するためのホッパ部を設けるとともに、
前記流量測定部の後段には、前記流量測定部により流量測定が終了した粉粒体を前記複数の第三供給配管のうち所定の配管に分配供給して返還するための分配部を設けたことを特徴とする流量測定装置。
【請求項2】
前記複数の第一供給配管と前記複数の第二供給配管とのそれぞれの分岐点近傍には、前記粉粒体の一部を採取して搬送方向を切り換えることが可能な搬送方向切換部を設けてなる請求項1記載の流量測定装置。
【請求項3】
前記複数の第三供給配管と前記複数の第一供給配管とのそれぞれの合流点近傍には、前記粉粒体を還流させるための搬送方向切換部を設けてなる請求項1又は2記載の流量測定装置。
【請求項4】
前記流量測定部は、上部に供給口、下部に排出口を有する貯留槽と、前記貯留槽内に設けられた計量槽と、を備え、
前記供給口の下方位置に、前記供給口と離間して前記計量槽の上部開口部が設けられ、前記排出口の上方位置に、前記排出口と離間して前記計量槽の下部開口部が設けられており、前記計量槽の下部開口部には、前記下部開口部を開閉する開閉シャッタを設けてなる請求項1から3のいずれかに記載の流量測定装置。
【請求項5】
前記分配部は、前記流量測定部により流量測定が終了した粉粒体を前記複数の第三供給配管のうち所定の配管に分配供給する分配管と、前記分配管を移動させるための駆動装置と、を備えてなる請求項1に記載の流量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体的な配置構造の精米工場や製粉工場で、原料タンクと精米機との間、または、精米機とシフタとの間、または、ピュリファイアと製粉用ロール機との間などに配設されるシュート配管において、特に、シュート配管内に流れる粉粒体の流量測定を行って適切な流量か否かを確認することのできる流量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管中に配管の一部となす計量槽を配設した流量測定装置が知られている(特許文献1参照)。このものは、入口開口と出口開口を有する計重容器と、計重容器に接続された重量測定手段と、前記計重容器の出口領域に配置されかつ前記計重容器の出口開口を開閉するように計重容器に連結された閉鎖部材と、前記閉鎖部材に接続された位置指示手段と、前記閉鎖部材を開閉駆動するための閉鎖部材駆動手段と、前記計重容器の上流に配置された配量部材と、前記閉鎖部材の位置や前記配量部材の位置を制御するための制御装置と、を備えて連続計量装置に構成してある。
【0003】
これにより、配量部材の位置の制御により計重容器内のマスフローを維持しながら、流動性材料の連続的な所望の流過量を、高い精度を保って自動的に測定して排出することができる。
【0004】
しかしながら、上記従来の連続計量装置にあっては、配管中に配管の一部となす計重容器に重量測定手段が接続され、粉粒体を流しながら重量を測定して流量を演算する方式であるため、重量の測定に誤差が生じて計量精度が低くなるといった懸念がある。すなわち、最初の衝撃やそれに続く過度の変動によって連続計量装置システム全体が振動するので、重量の測定誤差が生じて計量精度が低くなるのである。また、流入量と流出量とを同一にするように、スライドバルブを開閉制御しているが、流量が安定するまでには、長時間を要するといった問題がある。
そして、流量の安定化までに長時間を要すると、次工程への流量も変動するので、機械の運転、最終製品の品質の安定化に悪影響を及ぼす懸念もある。
加えて、上記従来の連続計量装置では、粉粒体を供給するための配管が複数存在する場合には、その配管数の計量槽などが必要となる、といった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2602819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点にかんがみ、粉粒体を供給するための配管が複数存在し、粉粒体が連続的に流下することによって振動が発生する場合であっても、粉粒体の流量を高精度で計測し、連続的に流下される粉粒体の連続的な排出を実施することが可能な流量測定装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の請求項1では、
粉粒体を搬送するための複数の第一供給配管と、
前記複数の第一供給配管のそれぞれの配管から分岐して粉粒体の一部を採取するために設けた複数の第二供給配管と、
前記複数の第二供給配管のそれぞれの配管の下流側に設けられ、前記複数の第二供給配管により採取された粉粒体を前記複数の第一供給配管に還流させるために設けられた複数の第三供給配管と、
前記複数の第二供給配管と前記複数の第三供給配管との間に配設した流量測定部と、
を備えた流量測定装置であって、
前記流量測定部の前段には、前記複数の第二供給配管のいずれかから供給された粉粒体を前記流量測定部に供給するためのホッパ部を設けるとともに、
前記流量測定部の後段には、前記流量測定部により流量測定が終了した粉粒体を前記複数の第三供給配管のうち所定の配管に分配供給して返還するための分配部を設けた
ことを特徴とする流量測定装置とした。
【0008】
また、本発明の請求項2では、前記複数の第一供給配管と前記複数の第二供給配管とのそれぞれの分岐点近傍に、前記粉粒体の一部を採取して搬送方向を切り換えることが可能な搬送方向切換部を設けることとした。
【0009】
そして、本発明の請求項3では、前記複数の第三供給配管と前記複数の第一供給配管とのそれぞれの合流点近傍に、前記粉粒体を還流させるための搬送方向切換部を設けることとした。
【0010】
さらに、本発明の請求項4では、前記流量測定部が、上部に供給口、下部に排出口を有する貯留槽と、前記貯留槽内に設けられた計量槽と、を備え、前記供給口の下方位置に、前記供給口と離間して前記計量槽の上部開口部が設けられ、前記排出口の上方位置に、前記排出口と離間して前記計量槽の下部開口部が設けられており、前記計量槽の下部開口部には、前記下部開口部を開閉する開閉シャッタを設けることとした。
【0011】
そして、本発明の請求項5では、前記分配部が、前記流量測定部により流量測定が終了した粉粒体を前記複数の第三供給配管のうち所定の配管に分配供給する分配管と、前記分配管を移動させるための駆動装置と、を備えて構成されることとした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、粉粒体が連続流下されることによって振動が発生する場合であっても、主管となる前記複数の第一供給配管から分離された、枝管となる前記複数の第二供給配管の下流側に前記流量測定部が設けられているので、流量測定中は粉粒体の衝撃による振動発生を懸念する必要がなく、粉粒体の計量又は粉粒体の流量を演算する場合も高精度で計測することが可能である。
【0013】
また、粉粒体を供給するための配管が複数存在する場合であっても、流量測定部の前段にホッパ部を設け、流量測定部の後段に分配部を設けてあるから、従来のように、各配管に流量測定部を設ける必要はなく、複数の配管であっても集約化して単一の流量測定部で各配管の流量測定を行うことができる。よって、流量測定部の設置台数を削減することができ、イニシャルコストの削減と設置スペースの削減を図ることができるメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】製粉機器を立体的に配置した製粉工場の概略説明図である。
図2】本発明の実施の形態における流量測定装置を設置するための配管図である。
図3】本発明の実施の形態における流量測定装置の概略説明図である。
図4】流量測定装置の後段に配置した分配部を底面から見たときの概略模式図である。
図5】流量測定装置の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、製粉機器を立体的に配置した製粉工場の概略図である。本発明の流量測定装置1は図1のような製粉工場の生産ラインに設けられる。
【0016】
図1を参照して製粉工場の概略を説明する。製粉工場100は(図1(a)参照)、原料受け入れ部101と、原料を貯留する貯蔵サイロ102と、異物や夾雑物を除去する粗選工程103と、製粉前に製粉に適した状態に加水等を行うとともに、加水後にタンク内で放置してテンパリング(調質)を行う調質工程104と、正常な小麦粒とその他のものを分離除去する精選工程105と、精選工程にて精選した小麦粒を挽砕するとともに、粒径差による篩い分けや比重差による風選によって分離・純化して篩い分けを行う挽砕工程106と、希望する品質、等級の小麦粉となるよう篩から出てくる上がり粉を組み合わせて数種類の小麦粉を作る採り分け工程107と、出荷工程108と、そのほかの工程とから構成される。
【0017】
上記のような製粉工場100にあっては、原料小麦や中間製品(ストック)及び小麦粉を一度高所に持ち上げてから、重力を利用して上から下の機械へ順次搬送するために、立体的な配置構造となっている。小麦やストックを高所に持ち上げるエレベータとしては、バケット式のものと、空気流に乗せて上に運ぶニューマチック式とがあるが、ニューマチック式のほうが、衛生的かつ安全であり、製粉工場ではこちらが主流となっている。そして、重力を利用して上から下の機械へ順次搬送するために、上の機械と下の機械との間には、多数のシュート配管が配設されている。
【0018】
前記シュート配管が多数配設されている一例を図1の挽砕工程106を参照して説明する。図1(a)の例では、製粉工場の上段にシフタ109が、中段にピュリファイア110が、下段に複数の製粉用ロール機111a,111b,111cが設けられる。前記ピュリファイア110と前記複数の製粉用ロール機111a,111b,111cとの間に着目すれば(図1(b)参照)、前記ピュリファイア110と前記複数の製粉用ロール機111a,111b,111cとの間には、複数のシュート配管112a,112b,112cが配設されている。
【0019】
前記シュート配管112a~112c内に流れる粉粒体の流量測定を行い、各シュート配管112a~112cの流量がそれぞれ適正流量か否かの確認が可能となれば、前段に設けられたシフタ109や、ピュリファイア110、又は、前段の精選工程105のうち、異常流量が出現したものについて、具体的にどの機械に異常が存在するのか否かの異常箇所の特定が可能となる。
【0020】
しかしながら、図1(a)、図1(b)に示すように製粉工場には多数のシュート配管が複雑に絡み合って配設されているので、できるだけ集約化して流量測定することができる装置を提供することが好ましい。これにより、設置費用や設置スペースを節約化し、既存の製粉工場であっても、流量測定することができる装置を、大きな改造を施すことなく新規に設置することが可能となる。
【0021】
集約化して流量測定することについて図2を参照して具体的に説明する。図2は、本発明の実施の形態における流量測定装置を設置するための配管図である。図2に示すように、本発明の実施の形態における流量測定装置1は、例えば、前工程のピュリファイア110から排出された粉粒体を、次工程の製粉用ロール機111a,111b,111cに搬送するための第一供給配管(主管)2a,2b,2cと、前記第一供給配管2a,2b,2cのそれぞれの配管から分岐して粉粒体の一部を採取するために設けた第二供給配管(枝管)3a,3b,3cと、前記第二供給配管3a,3b,3cのそれぞれの配管の下流側に設けられ、前記第二供給配管3a,3b,3cにより採取された粉粒体を前記第一供給配管(主管)2a,2b,2cに戻すためにそれぞれの配管を合流させるように設けられた第三供給配管(枝管)4a,4b,4cと、が備えられている。
【0022】
そして、前記第二供給配管3a,3b,3cと前記第三供給配管4a,4b,4cとの間には、前記第二供給配管3a,3b,3cから粉粒体を流入させて流量測定を開始し、流量測定が終了したら前記第三供給配管4a,4b,4cに粉粒体を返還させる構成の流量測定部5が設けられている。なお、前記流量測定部5の前段には、前記第二供給管3a,3b,3cのいずれかから供給された粉粒体を一つの前記流量測定部5に供給するためのホッパ部6が設けられ、前記流量測定部6の後段には、前記流量測定部5により流量測定が終了した粉粒体を前記第三供給配管4a,4b,4cのいずれかに分配供給して返還するための分配部7が設けられる。
【0023】
また、前記複数の第一供給配管2a,2b,2cと前記複数の第二供給配管3a,3b,3cとのそれぞれの分岐点近傍には、前記粉粒体の一部を採取して搬送方向を切り換えることが可能な搬送方向切換部8a,8b,8cが設けられる。さらに、前記複数の第三供給配管4a,4b,4cと前記複数の第一供給配管2a,2b,2cとの合流点近傍には、前記粉粒体を返還するための搬送方向切換部9a,9b,9cが設けられる。
【0024】
ここで、前記流量測定部5の前段に設けたホッパ部6、流量測定部5、および、前記流量測定部5の後段に設けた分配部7について、その詳細構造を図3を参照して説明する。図3は本発明の実施の形態における流量測定装置の概略説明図である。前述したように、前記ホッパ部6は前記第二供給管3a,3b,3cのいずれの供給管からでも粒状体を前記流量測定部5に供給することができるよう、複数の供給管を集約して一つの供給部6aとして適用される、いわゆる、漏斗状、または、ホッパ状に形成されている。
【0025】
前記流量測定部5は、上部に供給口10、下部に排出口11を有する貯留槽12と、前記貯留槽12内に設けられた計量槽13と、を備えて構成される。前記貯留槽12の供給口10の下方位置には、前記供給口10と離間した前記計量槽13が内装されている。計量槽13は、ロードセル14によって前記貯留槽12の内壁に支持されている。前記計量槽13の上部には上部開口部13aが設けられる。また、前記計量槽13の下部には下部開口部13bが設けられる。前記下部開口部13bには、当該開口部13bを開閉することのできる門型の開閉シャッタ15が設けられる。そして、この開閉シャッタ15には、前記下部開口部13bの開閉を行うためのサーボモータ16が備え付けられている。
さらに、ロードセル14、サーボモータ16など駆動制御するとともに、CPU、記憶装置及びタイマーなどを内装した制御部17が設けられている。
【0026】
前記分配部7は、前記貯留槽12の排出口11の中心に設けられたジョイント管18と、前記ジョイント管18と連絡した分配管19と、前記分配管19を水平方向に回転自在に支持するための回転座20と、前記分配管19を回転させるための駆動装置21と、を備えて構成される。符号22は、前記分配部7の全体を覆う筐体である。そして、筐体22内には、前記分配管19の下方にあって、前記貯留槽12の排出口11を中心とした半径方向に、前記複数の第三供給配管4a,4b,4cが互いに等間隔の距離を保持して配設されている(図4は、前記分配部7の筐体22を底面から見たときの概略模式図である。この場合、前記複数の第三供給配管4a,4b,4cは、前記排出口9を中心に放射状に配置されていることになる。)。
【0027】
前記分配管19は図3に示すようにS字状になっており、前記貯留槽12の排出口11を中心にして水平方向に回転自在になっている。前記駆動装置21は、可変速のモータやギアモータなどを使用してあり、適宜な伝達機構23を介して回転力が前記分配管19に伝達される。そして、前記駆動装置21には、分配管19の排出口19aと、前記複数の第三供給配管4a,4b,4cの各受口4a1,4b1,4c1とが、それぞれ合致するよう、前記駆動装置21と連動するエンコーダやリミットスイッチや位置制御部など(いずれも図示せず。)が設けられ、分配管19の回転角度が制御されるようになっている。
【0028】
次に、上記構成の流量測定装置の制御構成につき、図5を参照しながら説明する。図5は流量測定装置の制御を示すフローチャートである。図5においてステップS100から制御がスタートする。通常、生産ライン上では、複数の第一供給配管2a,2b,2cに粉粒体が送出されており、それぞれの配管では粉粒体の種類が異なっている。ステップS101では、複数の第一供給配管2a,2b,2cのうち、所望する一つの配管を指定する(制御部17には、直接又は遠隔で指令を出せるインプット機構が備えてある)。この一つの特定の配管を指定することで、当該配管を流れる流量を知ることができる。ステップS102では、ステップS101により指定された配管について、これに該当する切換弁を選択し、第一供給配管2から第二供給配管3への流路の切り換えが行われる。これを図2も参照して説明すると、例えば、図5のステップS101で第一供給配管2aを指定したとすれば、図2の符号8aに示す搬送方向切換部8a(三方切換弁)が作動し、第一供給配管2aから第二供給配管3aへの流路の切り換えが行われることとなる。
【0029】
粉粒体が、第2供給配管3aに搬送されると、ホッパ部6から流量測定部5の計量槽13に粉粒体が貯留されることとなる。計量槽13に粉粒体が供給されると、その容積重がロードセル14によって測定されることとなる。このとき、ロードセル14が荷重を検知すると同時に、タイマーを作動させることにより、計量槽13が満量となる時間を計測すれば流量の測定が可能となる。この場合、粉粒体の成分や品質(穀粒であれば、品種や産地が同じもの)が一定であって含有される水分の変動がなく、密度がほぼ一定で変動しないという条件のもとでの流量測定を想定している。
【0030】
このようなロードセル14による荷重を検知する手法に限らず、計量槽13に設けた下限レベル計、中間レベル計及び上限レベル計(いずれも図示せず)により貯留量を検知することと、タイマーを作動させて各レベル計に到達した時間を測定することにより、流量の算出を行うこともできる。
【0031】
この場合、ロードセル14により荷重を検知する必要がないので、粉粒体の供給時の衝撃による振動発生を懸念する必要はない。よって、計量精度の低下を惹き起こすおそれはなく、高精度な流量の算出が可能となる。
【0032】
図5に戻り、ロードセル14により荷重を検知する手法の事例を説明する。図5のステップS103では、ロードセル14の計量値が、目標値の例えば90%に到達したか否かを判断する。計量目標値の90%に到達したとすれば、今度は逆に、第二供給配管3aに送出されていた粉粒体を、第一供給配管2aに送出するよう、搬送方向切換部8a(三方切換弁)を作動させる(図5のステップS104)。これにより、第二供給配管3a内において流下途中の粉粒体が計量槽13内に流入するため、ロードセル14の計量値は徐徐に増大していく。やがて粉粒体の流入がなくなるのでロードセル14の計量値が安定する。この時点で計量を行うと同時にタイマーの計時をストップして流量を算出し、制御部17の記憶部に記憶する(図5のステップS105)。
【0033】
ここで、粉粒体の排出のために分配部7の分配管19が正しい位置にあるか否かの確認が行われる(図5のステップS106)。この確認は、例えば、ステップS101で第一供給配管2aを指定した際に、排出の際に使う第三供給配管4aに対応した位置に分配管19が設定されているか否かの対応付けを、あらかじめエンコーダやリミットスイッチや位置制御部などで設定しておくことが考えられる。
【0034】
ステップS106で分配管19が正しい位置にある場合はステップS108に至る。分配管19が正しい位置にない場合はステップS107に至る。ステップS107では、前記駆動装置21と連動するエンコーダやリミットスイッチや位置制御部などにより、分配管19が正しい位置となるように回転角度が制御される。
【0035】
そして、ステップS108では第三供給配管4aを第一供給配管2aに合流させるよう、搬送方向切換部9a(三方切換弁)を作動させ、第三供給配管4aから第一供給配管2aへの流路の切り換えを行っておく。
【0036】
以上のように、粉粒体サンプルの排出の可能な状態にセットしておいて、ステップS109では、開閉シャッタ15(図3参照)を開放する。これにより、計量槽13に溜まっていた粉粒体サンプルは、排出口11、S字管19及び第三供給配管4aを経て第一供給配管2aへと還流されることとなる(ステップS110)。そして、第一供給配管2aから粉粒体が製粉用ロール機111aに供給される。
【0037】
流量の測定が終了すると、ステップS111に至り、再びサンプリングを行うか否かの確認が行われる。サンプリングを行わない場合はステップS112に至り終了となり、再度サンプリングを行う場合はステップS101にリターンする。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、粉粒体を搬送するための複数の第一供給配管2a,2b,2cと、前記複数の第一供給配管2a,2b,2cのそれぞれの配管から分岐して粉粒体の一部を採取するために設けた複数の第二供給配管3a,3b,3cと、前記複数の第二供給配管3a,3b,3cのそれぞれの配管の下流側に設けられ、前記複数の第二供給配管3a,3b,3cにより採取された粉粒体を前記複数の第一供給配管2a,2b,2cに還流させるために設けられた複数の第三供給配管4a,4b,4cと、前記複数の第二供給配管3a,3b,3cと前記複数の第三供給配管4a,4b,4cとの間に、単一の流量測定部5を備え、
前記単一の流量測定部5の前段には、前記複数の第二供給管3a,3b,3cのいずれかから供給された粒状体を前記単一の流量測定部5に供給するためのホッパ部6を設けるとともに、前記単一の流量測定部6の後段には、前記単一の流量測定部5により流量測定が終了した粒状体を前記複数の第三供給配管4a,4b,4cのいずれかに分配供給して返還するための分配部7を設けたものであるので、
粉粒体が複数の第一供給配管2a,2b,2cに連続流下されることによって振動が発生する場合であっても、主管となる前記複数の第一供給配管2a,2b,2cのそれぞれの配管から分岐して粉粒体の一部を採取するために設けた、枝管となる複数の第二供給配管3a,3b,3cが設けられ、この配管の下流側に流量測定部5が設けられるので、流量測定中の振動発生の懸念がなく、粉粒体の流量を高精度で計測することが可能である。
【0039】
また、粉粒体を供給するための配管が複数存在する場合であっても、流量測定部5の前段にホッパ部6を設け、流量測定部5の後段に分配部7を設けてあるから、従来のように、各配管に流量測定部5を設ける必要はなく、複数の配管であっても集約化して単一の流量測定部5で各配管の流量測定を行うことができる。よって、流量測定部の設置台数を削減することができ、イニシャルコストの削減と設置スペースの削減を図ることができるメリットがある。
【0040】
また、搬送方向切換部8a,8b,8cが設けられているから、流量測定時には、主管となる第一供給配管2a,2b,2c側に切り換えられているので、流量測定中は粉粒体の衝撃による振動発生を懸念する必要がなく、また、粉粒体の計量又は粉粒体の流量を演算する場合も高精度で計測することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上記の説明では、粉粒体の例として精米工場や製粉工場で処理される米や麦などの穀粒を挙げているが、これに限られず、麦、粟、豆などの任意の穀粒を対象としてもよい。さらには、粉粒体であれば、穀物以外の農水産物、薬品、さらには産業用資材などを対象とすることもできる。例えば、ナッツ、豆類、穀粒、樹脂、石、ガラス、木材、薬品等の粉粒体があげられる。
【符号の説明】
【0042】
1 流量測定装置
2 第一供給配管(主管)
3 第二供給配管(枝管)
4 第三供給配管(枝管)
5 流量測定部
6 ホッパ部
7 分配部
8 搬送方向切換部
9 搬送方向切換部
10 供給口
11 排出口
12 貯留槽
13 計量槽
14 ロードセル
15 開閉シャッタ
16 サーボモータ
17 制御部
18 ジョイント管
19 分配管
20 回転座
21 駆動装置
22 筐体
23 伝達機構
100 製粉工場
101 原料受け入れ部
102 貯蔵サイロ
103 粗選工程
104 調質工程
105 精選工程
106 挽砕工程
107 採り分け工程
108 出荷工程
109 シフタ
110 ピュリファイア
111 製粉用ロール機
112 シュート配管
図1
図2
図3
図4
図5