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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108760
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】化粧料塗布具
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20230731BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A45D34/04 525A
A45D34/00 510Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009979
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】酒井 俊佑
(57)【要約】
【課題】化粧料が大きな粒子を含んでいても安定して化粧料を塗布できる化粧料塗布具を提供する。
【解決手段】軸体と、軸体先方に設けた繊維を束ねた毛筆と、軸体後方の空間内に配置された化粧料収容部と、化粧料を化粧料収容部から毛筆に誘導する誘導体と、軸体内部であって前記誘導体外周部に配置された外周面が櫛歯状のコレクタと、軸体先方部分に毛筆を支持する先軸と、を備え、前記誘導体の毛管力(25℃の環境下で精製水を用いて測定)が50~200(mm)であり、1(m)の化粧料液流出量を(A)(mg)とし、30(m)後での1(m)の化粧料液流出量を(B)(mg)とした際、(B)/(A)が0.8以上である化粧料塗布具。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、
軸体先方に設けた繊維を束ねた毛筆と、
軸体後方の空間内に配置された化粧料収容部と、
化粧料を化粧料収容部から毛筆に誘導する誘導体と、
軸体内部であって前記誘導体外周部に配置された外周面が櫛歯状のコレクタと、
軸体先方部分に毛筆を支持する先軸と、を備え、
前記誘導体の毛管力(25℃の環境下で精製水を用いて測定)が50~200(mm)であり、
1(m)の化粧料液流出量を(A)(mg)とし、30(m)後での1(m)の化粧料液流出量を(B)(mg)とした際、(B)/(A)が0.8以上であることを特徴とする化粧料塗布具。
【請求項2】
毛筆のフランジ部を除く最大径が2.5~4(mm)とし、先軸から先方に向けて突出した毛筆の長さ(L1)と、毛筆の全長(L)の比がL1/L=0.6~0.9であり、前記毛筆の全長(L)が、15(mm)以下であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料塗布具。
【請求項3】
先軸先端面より前方に誘導体先端面が位置すると共に、
毛筆内部の空間の断面積が毛筆の断面積の15(%)以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧料塗布具。
【請求項4】
前記化粧料が少なくとも、長軸の長さが10~30(μm)の光輝性粒子と、
長軸の長さが50~80(μm)の光輝性粒子と、水とを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの1項に記載の化粧料塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、化粧料を塗布する化粧料塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1、2には、先端から塗布体を突出させた先軸内に、塗布体に供給する化粧料等の塗布液を一時保溜する櫛歯状のコレクタを備え、先軸に後方から塗布液タンクを装着して塗布液タンク内の塗布液をコレクタ及び塗布体に流通可能にした塗布具が開示される。
【0003】
また、特許文献3には、平均粒子径5~100μmの平板状顔料を含む色材を用いたコレクタ式塗布具が開示される。この塗布具では、塗布部の筆が細筆となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-192242号公報
【特許文献2】特開2018-192673号公報
【特許文献3】特開2018-192794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の従来の塗布具においては、特定の化粧料(ラメ系)を用いた場合に毛筆内部で詰まりが発生する問題点がある。
【0006】
また、特許文献3でも、毛筆が細いことから、特定の化粧料では、詰まりが発生しやすい問題点がある。
【0007】
この開示は、斯かる実情に鑑み、化粧料が大きな粒子を含んでいても安定して化粧料を塗布できる化粧料塗布具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、軸体と、軸体先方に設けた繊維を束ねた毛筆と、軸体後方の空間内に配置された化粧料収容部と、化粧料を化粧料収容部から毛筆に誘導する誘導体と、軸体内部であって前記誘導体外周部に配置された外周面が櫛歯状のコレクタと、軸体先方部分に毛筆を支持する先軸と、を備え、前記誘導体の毛管力(25℃の環境下で精製水を用いて測定)が50~200(mm)であり、1(m)の化粧料液流出量を(A)(mg)とし、30(m)後での1(m)の化粧料液流出量を(B)(mg)とした際、(B)/(A)が0.8以上であることを特徴とする化粧料塗布具である。
【0009】
本発明において、毛筆のフランジ部を除く最大径が2.5~4(mm)とし、先軸から先方に向けて突出した毛筆の長さ(L1)と、毛筆の全長(L)の比がL1/L=0.6~0.9であり、前記毛筆の全長(L)が、15(mm)以下であることが好適である。
【0010】
本発明において、先軸先端面より前方に誘導体先端面が位置すると共に、毛筆内部の空間の断面積が毛筆の断面積の15(%)以上であることが好適である。
【0011】
本発明において、前記化粧料が、長軸の長さが10~30(μm)の光輝性粒子と、長軸の長さが50~80(μm)の光輝性粒子との組み合わせであることが好適である。さらに、粘度が25(mPa・s)未満である液体化粧料であることが好適である。なお粘度は、温度25℃で、コーンプレート型粘度計(TV-30型粘度計のうち、ELD型粘度計、標準コーンプレート、トキメック社製)を用いての所定のずり速度(100rpm:383S-1)における測定値である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、化粧料が大きな粒子を含んでいても安定して化粧料を塗布できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る化粧料塗布具についてキャップをはめた状態の説明図であって(a)が全体側面図、(b)が全体縦断面図である。
図2】同化粧料塗布具のキャップを外した状態の説明図であって、(a)が全体側面図、(b)が全体縦断面図、(c)が先軸の先方部における毛筆周りの詳細断面図である。
図3】先軸の部品図であった、(a)が前方からの斜視図、(b)が前方視図、(c)が側面視図、(d)が縦断面図、(e)が後方からの斜視図、(f)が後方視図である。
図4】誘導体の部品図であって、(a)が前方視図、(b)が斜視図、(c)が側面図、(d)が前方視の拡大図である。
図5】(a)、(b)は、先軸と毛筆の寸法関係について、比較例、実施例を比較した説明図である。
図6】実施形態と比較例との結果を示した図である。
図7図6で用いた誘導体の実施例と比較例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る化粧料塗布具の全体説明図、図2は化粧料塗布具のキャップを外した状態の説明図である。
【0016】
図1図2に示すように、化粧料塗布具は、先軸10及び外軸12からなる軸体100と、軸体100先方に設けた繊維を束ねた毛筆(塗布体)18と、軸体100後方部分の外軸12空間内に配置された化粧料収容部14と、化粧料を化粧料収容部14から毛筆18に誘導する誘導体22と、軸体100内部であって誘導体22外周部に配置された、外周面が櫛歯状のコレクタ16と、軸体100先方部分で毛筆18を支持する先軸10と、を備え、誘導体22の毛管力(25℃の環境下で精製水を用いて測定)が50~200(mm)であり、1(m)の化粧料液流出量を[A](mg)とし、30(m)後での1(m)の化粧料液流出量を[B](mg)とした際、[B]/[A]が0.8以上である化粧料塗布具である。
【0017】
軸体100においては、先軸10の後部側外周に外軸12が嵌合する構造を有し、先軸10内に枚葉部が軸方向に複数配列された態様の櫛歯状に形成されたコレクタ16が配置される。
【0018】
また、化粧料塗布具では、毛筆18の後部が先軸10の内部に配置され、先部が先軸10の先端開口10fから突出して配置される。
【0019】
外軸12内に内軸として化粧料を収容する化粧料収容部14が着脱可能に装着される。
【0020】
化粧料収容部14は、先軸10の後部内に嵌合してコレクタ16の後部に連通している。その化粧料が収容される化粧料収容部14は、外軸12と別体の二重管構造であって、化粧料塗布具はコレクタ式の化粧料塗布具である。
【0021】
ここで、化粧料塗布具の不使用時には図2に示すようにキャップ20を先軸10の先部に外嵌して毛筆18の乾燥を防止し、一方、使用時にはキャップ20を外して毛筆18を露出させる。
【0022】
〔外軸12〕
外軸12は、尾端が閉鎖された筒状である。閉鎖された尾端と、先軸10の後部及びコレクタ16後端とで挟まれた外軸12空間内に化粧料収容部14が配設されている。
【0023】
〔化粧料収容部14〕
この化粧料収容部14内には、中綿等の含浸体を配置せず、直接液状の化粧用が収容される(直液式)共に、塗布液の攪拌をするための攪拌体14aが配置されている。
【0024】
コレクタ16は、先軸10内であって毛筆の後方に位置して覆われて保持される構造である。
【0025】
先軸10、外軸12、化粧料収容部14、コレクタ16、キャップ20等は樹脂成形品とすることができる。また、攪拌体14aは、金属製、樹脂製等の円柱材を用いることができる。収容部14内の収容空間14b内に攪拌体14aが収容される。
【0026】
〔毛筆18〕
先軸10の先端部の開口10fから、先細のテーパ状を呈した毛束からなる毛筆18が突出して配置される。毛筆18を覆うキャップ20が前記先軸10に着脱自在に嵌合する構造である。前記先軸10はほぼ円錐側面形状を呈して先細く形成されており、該先軸10の先端角度は、毛筆18の先端角度と略同角度に形成することが望ましい。
【0027】
毛筆18の後端部にフランジ18aが拡径して形成されている。毛筆18は、フランジ18aの中心部から先端部に向けて毛筆18のほぼ2/3以上の長さまで毛筆18内部に空間18bがあり、空間18b内に誘導体22の先端部22aが差し込まれて臨在している。
【0028】
毛筆18は、樹脂繊維、天然繊維束が多数収束した毛束(繊維束)等からなるブラシ状(筆状)に構成されている。毛筆18は、後端部がフランジ状に拡径し、内部に空間18bが有するフランジ18aを有する。この拡径したフランジ18aが先軸10先端部内のリブ10eの先端10e1に非面当たりで係合して抜け止めされている。なお、毛筆18は、筆体が好適であるが、その他、塗布液を塗布する各種毛筆を使用することができる。
【0029】
〔先軸10〕
図1図3に示すように、先軸10の先方には、先端開口10fから毛筆18が突出しており、コレクタ16内に誘導体(中継芯)22が貫通して毛筆18内まで配置されている。
【0030】
先軸10の外周面には、前端部がテーパ形状で、中央部にキャップ20嵌着時の位置決め用のフランジ10aが外径方向に突出形成され、フランジ10aの前方にキャップ20嵌着用の突部10b1が、後方に外軸12嵌着用の突部10b2が2つ膨出形成されている。また、先軸10の突部10b1の前方には、周面を内外に貫通する空気置換孔10cが穿設形成されている。
【0031】
具体的には、図3に示すように、先軸10の先端部の通気孔10cから後方の、中央部付近に、フランジ10aが拡径して構成される。フランジ10aから後方部が筒状に延在し、その後方部の外周面に突部10b2が、フランジ10aの後端面から後部の半分程度の箇所に形成される。突部10b2は、2か所形成される。
【0032】
図3に示すように、先軸10の筒状の後端部の内周面に周方向長いリブ状の内部突起10dが周方向に配列され、内部突起10dによって、化粧料収容部14の外周面に係合する構造となっている。
【0033】
また、先軸10の先端側の内部には、図3に示すように、先軸10には、後部の内周面に後方向きの三角形状の突出した頂部10e1を有するリブ10eが形成されている。毛筆18のフランジ18aを有するので、組み付け時に先軸10内に毛筆18を装着する際に、リブ10eの頂部10e1がフランジ18aに当接して非面当たりになる。
【0034】
〔キャップ20〕
図1に示すように、キャップ20内には、毛筆18の気密性を高めるため覆うカップ状のインナーキャップ20aが前後動可能に配置され、このインナーキャップ20aを後方に付勢するスプリング20bが配置されている。
【0035】
〔誘導体22〕
中空の先細く形成された先軸10の内部には、毛筆18の後方に蛇腹状のコレクタ16が配設されており、このコレクタ16の筒部16d内に誘導体22が貫通して配置されている。
【0036】
図4に示すように、誘導体22は、内部に流通孔22bが複数、横断面視(図4参照)で放射状に配列された樹脂繊維束、天然繊維束、樹脂製多孔質体等の毛管部材から構成された樹脂成形芯である。誘導体22は、先端部22a(先端面)が先細のテーパ形状に形成されており、先端部22aには、内部の流通孔22bが露出する。また、図2に示すように、先端部22aの先端位置が先軸10の先端面部10f1の位置と概略同じとなっている。
【0037】
誘導体22においては、コレクタ16の後端部から収容部14内の収容空間14b内に誘導体22が突出していない(図1図2参照)。コレクタ16の後端面に誘導体22の後端面がほぼ一致している。誘導体22を一致させることで、収容空間14b内に誘導体22の後端が突出することがなく、収容空間14b内の容積を確保することができる。また、収容空間14b内に誘導体22の後端が突出することがないので、攪拌体14aが収容空間14b内に設けた場合、攪拌体14aが収容空間14b内で動いても誘導体22に衝突せず誘導体22を変形させることないので、十分に塗布液を浸透することができる。
【0038】
〔コレクタ16〕
図1図3に示すように、コレクタ16は、軸方向の前部には、前端に椀状部16aが形成される。また、コレクタ16において、該軸方向の前部から中央部には、複数の櫛歯状のフィンが間隙を置いて配列された前側の一時貯留部16b、後側の一時貯留部16cが形成される。前側の一時貯留部16b及び後側の一時貯留部16cによって塗布液の一時貯留用のフィンを形成する。
【0039】
また、コレクタ16内には誘導体22が挿入される。実施形態では、コレクタ16の軸中心付近に筒部(又は壁部)16dが形成され、その筒部16d中心を貫通して誘導体22が配置される。この筒部16dの外周に塗布液一時貯留用のフィン(前側一時貯留部16b及び後側一時貯留部16c)が外径方向に展開する複数の薄板状に形成された枚葉体である。
【0040】
また、コレクタ16には、前側一時貯留部16bから後側一時貯留部16cにかけて、塗布液をフィン間隙内に誘導するための前記のインク縦溝(スリット)16eが、後端部に露出して(収容部14の収容空間14b内に露出可能に)形成されている。また、前側一時貯留部16b及び後側一時貯留部16cの複数枚毎のフィン同士の間には、先軸10の内面に当接する厚肉の支持壁で適宜に仕切られている。
【0041】
〔本発明の実施形態と比較例との対比〕
本実施形態においては、毛筆18のフランジ18aを除く最大径が2.5~4(mm)とし、先軸から先方に向けて突出した毛筆の長さ(L1)と、毛筆の全長(L)の比がL1/L=0.6~0.9であり、前記毛筆の全長(L)が、15(mm)以下である。
【0042】
また、化粧料塗布具は、先軸10の先端面部10f1より前方に誘導体22の先端部22aが位置すると共に、毛筆18内部の空間18bの断面積が毛筆18の断面積の15(%)以上である。
【0043】
図5の(a)、(b)は、比較例、実施形態の化粧料塗布具の寸法を比較して示す。なお、比較例では実施形態と同様箇所について、同様符号に「’」を付して区別している。
【0044】
図5(a)に示すように、比較例の化粧料塗布具は、先軸10’の開口10f’から毛筆18’が突出配置されており、毛筆18’がキャップ20’で覆われた、不使用状態としている。先軸10’内のコレクタ16’誘導体22’が挿通されている。
【0045】
この化粧料塗布具の一例として、毛筆18’のフランジ18a’を除く最大径φが2.9(mm)、先軸10’から先方に向けて突出した毛筆18’長さ(L1)が8(mm)、毛筆の全長(L)が16(mm)であり、それらの比がL1/L=8/16=0.5である。内部の空間18b’の長さが5.4(mm)である。内部の空間18b’の最大内径が1.2(mm)である。
【0046】
毛筆18’の断面積S1=(2.9/2)×(2.9/2)×π=2.10π
内部の空間18b’の断面積S2=(1.2/2)×(1.2/2)×π=0.36π
S2/S1=0.36π/2.10π=0.17
【0047】
したがって、比較例の化粧料塗布具は、毛筆18’内部の空間18b’の断面積が毛筆18’の断面積の17(%)(実施例に対しては-8%の関係)である。
【0048】
これに対して、図5(b)に示す実施形態の化粧料塗布具の一例として、毛筆18のフランジ18aを除いた径最大径φが2.9(mm)とし、先軸10から先方に向けて突出した毛筆18の長さ(L1)が10(mm)と、毛筆18の全長(L)が14(mm)であり、それらの比がL1/L=10/14=0.71である。前記毛筆の全長(L)が14(mm)となり、15(mm)以下である。また、内部の空間18bの長さが4.6(mm)である。空間18bの最大内径が1.45(mm)である。
【0049】
毛筆18の断面積S1=(2.9/2)×(2.9/2)×π=2.10π
内部の空間18bの断面積S2=(1.45/2)×(1.45/2)×π=0.53π
S2/S1=0.53π/2.10π=0.25
【0050】
したがって、実施形態の化粧料塗布具は、毛筆18内部の空間18bの断面積が毛筆18の断面積の15(%)以上の25(%)である。
【0051】
実施形態の化粧料塗布具では、先軸10の先端面からの塗布部内部の空間18bを拡大することで、化粧料の詰まりを防ぐことができる。
【0052】
誘導体22は、図7に示すように、実施例1~3によって、効果的であった。繊維束を束ねた比較例は束ねたものであった。
【0053】
〔液体化粧料〕
誘導体22の毛管力(25℃の環境下で精製水を用いて測定)が50~200(mm)であり、1(m)の化粧料液流出量を(A)(mg)とし、30(m)後での1(m)の化粧料液流出量を(B)(mg)とした際、(B)/(A)が0.8以上である。
【0054】
化粧料が少なくとも、長軸の長さが10~30(μm)の光輝性粒子と、長軸の長さが50~80(μm)の光輝性粒子と、水と、を含み、粘度が25(mPa・s)未満である。
【0055】
収容部14内の液体化粧料組成物の詳細を説明する
光輝性粒子は、化合物を表面に被覆された板状顔料であり、例えば、パール顔料、アルミニウムフレーク顔料(アルミニウム粉顔料)、金属または金属酸化物コーティングガラスフレーク、及びアルミコーティングポリエステルフィルムなどの板状顔料に加え、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン等の化合物を上記板状顔料の表面に被覆したものが挙げられる。長軸の長さが10~30(μm)の光輝性粒子を0.5~2%と、長軸の長さが50~80(μm)の光輝性粒子を2~5%が組み合わされ、複数の光輝性粒子を組み合わせることで、より鮮明な光輝性の塗膜が容易に得られる。上記の数値範囲を下回る場合、塗布の際に十分な光輝性を得にくくなり、越える場合は液流出量での評価が厳しくなる。
【0056】
また、固着性と分散安定性の点から、アクリル系共重合体を用いるのが好ましい。
用いるアクリル系共重合体としては、例えば、アクリル酸アルキル共重合体、アクリレーツコポリマー、アクリレーツコポリマーアンモニウム、アクリル樹脂アルカノールアミン液、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)共重合体、シリコーン変性アクリル共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸共重合体のうち、少なくとも一種を含むものである。
【0057】
使用するアクリル系共重合体は、更に発揮せしめる点、固着性を向上させる点から、アクリルアルキル共重合体又はアクリレーツコポリマーなどが好ましい。アクリル酸アルキル共重合体としては、例えば、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー(商品名「アンフォマー」:粉体)、アクリル酸アルキルコポリマーアンモニウム(商品名「ヨドゾールGH800F」:固形分45%)などを挙げることができる。
なお、中和には、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリエタノールアミン、L-アルギニン、アンモニア水、水酸化ナトリウム等を用いることができ、特に好ましいものは、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールである。
これらのアクリル系共重合体の含有量は、組成物全量に対して、固形分量で1~20%とすることが好ましい。
このアクリル系共重合体の含有量が1%未満であると、本発明の効果を発揮することが難しくなり、一方、20%を超えると、増粘作用が著しくなり、塗布部からの吐出性、良好な塗布等が行えないこととなる。
【0058】
液体化粧料組成物には、上記各成分の他、残部は溶媒となる水(精製水、イオン交換水、蒸留水、純水等)で調製される。
更に、保湿剤、防菌剤、また、消泡剤、無機顔料や有機顔料、染料、界面活性剤、水溶性有機溶剤などを分散系に支障をもたらさず、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有せしめることができる。
【0059】
用いることができる保湿剤としては、例えば、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の水に可溶なグリコール類が挙げられる。
これらの保湿剤の含有量は、組成物全量に対して、好ましくは、1~30%、更に好ましくは、5~20%の範囲で使用される。
【0060】
用いることができる防菌剤としては、パラベン類、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノールなどが挙げられる。なお、本発明の防菌剤には防腐剤を含むものであり、防腐剤であるパラベン類としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル等を適宜量用いることができる。
【0061】
また、用いることができる消泡剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン(シメチコン)が挙げられる。このポリジメチルシロキサンは、末端がトリメチルシロキシ単位でブロックされメチル化された線状シロキサンポリマーの混合物からなるシリコーン油である。
【0062】
液体化粧料組成物のpHは、皮膚刺激抑制の点から、6~9の範囲とすることが好ましい。なお、pHの調整は、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリエタノールアミン、L-アルギニン、アンモニア水、水酸化ナトリウム、クエン酸溶液等のpH調整剤を用いることができる。
【0063】
図6は、比較例の化粧料塗布具と、本発明実施例の化粧料塗布具に各種の化粧料を収容して塗布した長さを比較した例を示す。この場合、図5に示す構造の比較例と実施例について30(m)の距離に塗布した場合に塗布が不能になるまでの距離を比較している。塗布性の評価の測定は、JIS P3201を満たす紙面上に、化粧料塗布具を垂直に立てて、毛筆の先端(塗布部)を撓ませて1~2mmの塗布幅、速度0.4m/minを時計回りに直径30mmの円を塗布し、1周の塗布後に手動による5回の攪拌動作を行い、5m毎に塗布量の測定を行った後、30m後の塗布性能を評価した。評価基準は、最初の1(m)の化粧料液流出量を(A)(mg)とし、30(m)後での1(m)の化粧料液流出量を(B)(mg)として(B)/(A)の結果から以下の通りとする。なお、各例につきn=3の平均値とした。
評価A:(B)/(A)が0.8以上
評価B:(B)/(A)が0.5以上
評価C:(B)/(A)が0.5未満
【0064】
使用した化粧料の配合は、以下の通りである。
保湿剤:1.3-ブチレングリコール 8.0%
防腐剤 1.2%
pH調整剤:5%クエン酸 0.4%
固着剤:ヨドゾールGH800F 17.2%
着色樹脂粒子:LR-226-25 15.0%
光輝性粒子:Crystal SL(東洋アルミニウム株式会社製) 平均粒子径20μm 1.0%
光輝性粒子:Frost SL(東洋アルミニウム株式会社製)に結晶セルロース〔セオラスRC-591(旭化成社製)〕をスプレードライで表面処理したもの 平均粒子径64μm 4.0%
精製水 残部
【0065】
本発明で規定する「平均粒子径」は、粒子径分布解析装置HRA9320-X100(日機装株式会社性)を用いて、体積基準により算出されたD50の値である。
使用した化粧料の粘度は、4.0mPa・sである。
【0066】
比較例では、いずれも30(m)に満たずに塗布切れを起こした(評価C)。実施例1~4では、30(m)の塗付が完了して良好であった(評価A)。
【0067】
図7は上記評価で用いた誘導体の種類を示す。仕様は以下の通りである。
誘導体a:外径φが1.8(mm)で毛管力94(mm)の成形芯、
誘導体b:外径φが1.5(mm)で毛管力の113(mm)の成形芯、
誘導体c:外径φが2.0(mm)で毛管力の199(mm)の繊維束芯で、気孔率61%、
誘導体d:外径φが1.8(mm) で毛管力218(mm)の繊維束で気孔率が74%、
誘導体e:外径φが1.5(mm) で毛管力平均454(mm)の繊維束で気孔率が48%
【0068】
毛管力は温度25℃、湿度60%の環境下で精製水を用いて、各実施例にてn=3を2回測定した平均値とした。気孔率は、既知の質量及び見掛け体積を有する誘導体を精製水中に浸し、十分に精製水を浸み込ませた後、精製水中から取り出した状態で質量を測定する。測定した質量から、誘導体に浸み込ませた水の体積が導出される。この精製水の体積を誘導体の気孔体積と同一として、下記式から、気孔率を算出した。開口面積比率は電子顕微鏡の径方向断面の撮影画像による測定とした。
気孔率(単位:%)=(精製水の体積)/(誘導体の見掛け体積)×100
【0069】
以上の実施形態は、本発明の一例であり、本発明の範囲内で変形実施したものも技術的範囲内であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の塗布具は、塗布液の塗布具に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 先軸
10f 先端開口
10f1 先端面部
12 外軸
14 化粧料収容部
16 コレクタ
18 毛筆
18a フランジ
18b 空間(内部空間)
22 誘導体
22a 誘導体の先端部
22b 誘導体の流通孔
100 軸体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7