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特開2023-108769レーザ加工機、レーザ加工方法及びレーザ加工プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108769
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】レーザ加工機、レーザ加工方法及びレーザ加工プログラム
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20230731BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20230731BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/082
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009989
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春宮 文陽
(72)【発明者】
【氏名】河原 千秋
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA00
4E168CB04
4E168DA02
4E168DA24
4E168DA26
4E168DA28
4E168DA29
4E168EA15
4E168EA17
4E168FB01
4E168KA18
(57)【要約】
【課題】読み取り精度の高い二次元コードを短時間で刻印可能なレーザ加工機、レーザ加工方法及びレーザ加工プログラム。
【解決手段】単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークの表面に刻印するレーザ加工機及びレーザ加工方法であって、前記第1のセルのそれぞれに対し、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に沿って前記レーザ光を照射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークの表面に刻印するレーザ加工機であって、
前記ワークにレーザ光を照射するレーザ加工ヘッドと、
前記レーザ加工ヘッドから照射される前記レーザ光を前記第1の方向及び前記第2の方向に移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御する制御部と
を備え、
前記第1のセルのそれぞれに対し、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に沿って前記レーザ光を照射する
レーザ加工機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1のセルに対し、前記第1の方向に沿って前記レーザ光を照射した後、前記第2の方向に沿って再度前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1に記載のレーザ加工機。
【請求項3】
前記マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、
前記制御部は、前記第1の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第1の逆方向に沿って前記第j列以外の列の前記第1のセルに前記レーザ光を照射し、前記第2の逆方向に沿って第i行(iは1以上n未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の順方向に沿って前記第i行以外の行の前記第1のセルに前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【請求項4】
前記マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、
前記制御部は、前記第1の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第1の順方向に沿って前記第j列以外の列の前記第1のセルに前記レーザ光を照射し、前記第2の逆方向に沿って第i行(iは1以上n未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の逆方向に沿って前記第i行以外の行の前記第1のセルに前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【請求項5】
前記マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、
前記制御部は、前記第1の方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の方向に沿って第i行(iは1以上n未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射し、前記第1の方向に沿って前記第j列以外の列の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の方向に沿って前記第i行以外の行の前記第1のセルに前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【請求項6】
前記マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、
前記制御部は、前記第1の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の順方向に沿って第i+1行(iは1以上n未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射し、前記第1の順方向に沿って第j+1列の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の順方向に沿ってi行の前記第1のセルに前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【請求項7】
前記マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、
前記制御部は、前記第1の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の順方向に沿って第i+1行(iは1以上n未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射し、前記第1の逆方向に沿って前記第j+1列の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の逆方向に沿って前記第i行の前記第1のセルに前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【請求項8】
ビーム振動機構を備え、
前記ビーム振動機構は、前記レーザ光を振動させるよう構成されており、
前記制御部は、前記移動機構によって前記レーザ光を前記第1の方向及び前記第2の方向のいずれか一方に沿って移動させながら、前記ビーム振動機構によって前記レーザ光を前記第1の方向及び前記第2の方向のいずれか他方に沿って振動させる
請求項1~7のいずれか1項に記載のレーザ加工機。
【請求項9】
前記ビーム振動機構は、前記レーザ光を前記レーザ光の移動方向と直交する方向に振動させる
請求項8に記載のレーザ加工機。
【請求項10】
前記ビーム振動機構は、前記レーザ光を前記レーザ光の移動方向と、前記レーザ光の移動方向と直交する方向とに振動させる
請求項8に記載のレーザ加工機。
【請求項11】
単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークの表面に刻印するレーザ加工方法であって、
前記第1のセルのそれぞれに対し、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に沿ってレーザ光を照射する
レーザ加工方法。
【請求項12】
前記第1のセルに対し、前記第1の方向に沿って前記レーザ光を照射した後、前記第2の方向に沿って再度前記レーザ光を照射する
請求項11に記載のレーザ加工方法。
【請求項13】
単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークの表面に刻印するレーザ加工プログラムであって、
前記第1のセルのそれぞれに対し、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に沿ってレーザ光を照射する刻印処理
を制御部に実行させる
レーザ加工プログラム。
【請求項14】
前記第1のセルに対し、前記第1の方向に沿って前記レーザ光を照射した後、前記第2の方向に沿って再度前記レーザ光を照射する2度加工処理
を制御部に実行させる
請求項13に記載のレーザ加工プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機、レーザ加工方法及びレーザ加工プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとを所望の配列パターンでマトリックス状に配置してなる二次元コードを、ワークの表面にマーキングするレーザマーキング装置において、レーザ光を出射するレーザ光源と、前記各第1のセルを前記ワークにマーキングするためのマーキングデータを、前記各第1のセルに対応した前記マトリックスの縦横の番地に基づく順序で出力するマーキング順序制御手段と、前記マーキングデータを順次に受けて、前記各第1のセルを順次に前記ワークの表面にマーキングするガルバノスキャナとを備えるレーザマーキング装置が知られている(特許文献1等)。
【0003】
特許文献1のレーザマーキング装置において、前記マーキング順序制御手段は、複数の前記第1のセルが、前記マトリックスの縦又は横のいずれかで隣接した場合に、それら隣接した第1のセルを連続してマーキングしない順序で、前記第1のセルのマーキングデータを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-232848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のレーザマーキング装置は、レーザ光の照射径よりも大きいセルをマーキングする場合、例えば、第1のセルの内部で渦巻き状に蛇行ながらレーザ光を照射して第1のセルをマーキングするため、各第1のセルをマーキングするために長時間を要するという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、読み取り精度の高い二次元コードを短時間で刻印可能なレーザ加工機、レーザ加工方法及びレーザ加工プログラムである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るレーザ加工機は、単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークの表面に刻印するレーザ加工機であって、前記ワークにレーザ光を照射するレーザ加工ヘッドと、前記レーザ加工ヘッドから照射される前記レーザ光を前記第1の方向及び前記第2の方向に移動させる移動機構と、前記移動機構を制御する制御部とを備え、前記第1のセルのそれぞれに対し、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に沿って前記レーザ光を照射する。
【0008】
本発明の一態様に係るレーザ加工方法は、単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークの表面に刻印するレーザ加工方法であって、前記第1のセルのそれぞれに対し、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に沿ってレーザ光を照射する。
【0009】
本発明の一態様に係るレーザ加工プログラムは、単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークの表面に刻印するレーザ加工プログラムであって、前記第1のセルのそれぞれに対し、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に沿ってレーザ光を照射する刻印処理を制御部に実行させる。
【0010】
本発明の一態様によるレーザ加工機、レーザ加工方法及びレーザ加工プログラムによれば、第1のセルに第1の方向と第2の方向の双方に沿ってレーザ光を照射するため、読み取り精度の高い二次元コードを短時間で刻印できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係るレーザ加工機、レーザ加工方法及びレーザ加工プログラムによれば、読み取り精度の高い二次元コードを短時間で刻印できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係るレーザ加工機を示す概略図である。
図2図2は、本実施形態のレーザ加工ヘッドを示す概略図である。
図3図3は、本実施形態の制御装置を概略的に示す機能ブロック図である。
図4図4は、本実施形態のマトリクス型二次元コードの各セルの行列配置を示す図である。
図5図5は、本実施形態のレーザ加工機による第1の加工方法を示す図である。
図6図6は、本実施形態のレーザ加工機による第1の加工方法を示す図である。
図7図7は、本実施形態のレーザ加工機による第2の加工方法を示す図である。
図8図8は、本実施形態のレーザ加工機による第2の加工方法を示す図である。
図9図9は、本実施形態のレーザ加工機による第3の加工方法を示す図である。
図10図10は、本実施形態のレーザ加工機による第3の加工方法を示す図である。
図11図11は、本実施形態のレーザ加工機による第4の加工方法を示す図である。
図12図12は、本実施形態のレーザ加工機による変形例1のレーザ加工方法を示す図である。
図13図13は、本実施形態のレーザ加工機による変形例3のレーザ加工方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
[本実施形態に係るレーザ加工機の全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係るレーザ加工機を示す概略図である。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るレーザ加工機1を概説する。本実施形態に係るレーザ加工機1は、単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークWの表面に刻印するレーザ加工機である。
【0015】
なお、本実施形態において、第1の方向は、図1のY軸方向であり、第2の方向は、図1のX軸方向であるが、これに限定されない。
【0016】
マトリクス型二次元コードは、正方形の第1のセル及び第2のセルが任意の配列で複数配置されたn行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有する二次元コードである。マトリクス型二次元コードは、具体的には、QRコード(登録商標)、Data Matrix等の正方形又は長方形の二次元コードである。
【0017】
レーザ加工機1は、ワークWにレーザ光Lを照射するレーザ加工ヘッド30と、レーザ加工ヘッド30から照射されるレーザ光Lを第1の方向及び第2の方向に移動させる移動機構20とを備え、第1のセルのそれぞれに対し、第1の方向と第2の方向の双方に沿ってレーザ光Lを照射する。また、レーザ加工機1は、レーザ光Lを生成して射出するレーザ発振器10と、レーザ発振器10より射出されたレーザ光Lをレーザ加工ヘッド30へと伝送するプロセスファイバ12と、ワークWを載置する加工テーブル21と、制御装置50と、アシストガス供給装置(図示せず)とを備える。
【0018】
レーザ発振器10は、レーザ光Lを生成し、プロセスファイバ12を介してレーザ光Lをレーザ加工ヘッド30に供給する。レーザ発振器10としては、例えば、レーザダイオードより発せられる種光が共振器でYbなどを励起させ増幅させて所定の波長のレーザ光Lを射出するタイプ、又はレーザダイオードより発せられるレーザ光Lを直接利用するタイプのレーザ発振器が好適に用いられる。レーザ発振器10は、例えば固体レーザ発振器としてはファイバレーザ発振器、YAGレーザ発振器、ディスクレーザ発振器、DDL発振器等が挙げられる。
【0019】
レーザ発振器10は、波長900nm~1100nmの1μm帯のレーザ光Lを射出する。例えば、DDL発振器は、波長910nm~950nmのレーザ光Lを射出し、ファイバレーザ発振器は、波長1060nm~1080nmのレーザ光Lを射出する。
【0020】
移動機構20は、レーザ加工ヘッド30及び加工テーブル21の少なくとも一方を駆動し、レーザ加工ヘッド30と加工テーブル21とを相対的に移動させるよう構成されている。具体的には、移動機構20は、X軸キャリッジ22と、Y軸キャリッジ23とを含む。X軸キャリッジ22は、門型に構成されており、加工テーブル21を跨ぐように配置されると共に、加工テーブル21上でX軸方向に移動自在に構成されている。Y軸キャリッジ23は、X軸キャリッジ22に取り付けられており、X軸に垂直なY軸方向に移動自在に構成されている。また、Y軸キャリッジ23の端部には、レーザ加工ヘッド30が取り付けられている。移動機構20は、このような構成を備えることにより、レーザ加工ヘッド30を加工テーブル21上に載置されたワークWの表面に沿って、X軸方向、Y軸方向、又は、X軸とY軸との任意の合成方向に移動させるよう構成されている。
【0021】
なお、移動機構20は、レーザ加工ヘッド30をワークWの表面に沿って移動させる代わりに、レーザ加工ヘッド30の位置が固定されており、ワークWがレーザ加工ヘッド30に対して相対的に移動するように構成されていてもよい。
【0022】
図2は、本実施形態のレーザ加工ヘッドを示す概略図である。
レーザ加工ヘッド30は、レーザ発振器10からプロセスファイバ12を介して伝送されたレーザ光Lを加工テーブル21上のワークWに照射する。具体的には、レーザ加工ヘッド30は、図2に示すように、レーザ光Lの照射中心軸を含むハウジング30aを含み、このハウジング30aの内部に、プロセスファイバ12の出射端から射出されたレーザ光Lが入射されるコリメータレンズ31と、ビーム振動機構として機能するガルバノスキャナユニット32と、ガルバノスキャナユニット32から射出されたレーザ光LをX軸及びY軸に垂直なZ軸方向の下方に向けて反射させるベンドミラー35とを含む。また、レーザ加工ヘッド30は、ベンドミラー35で反射したレーザ光Lを集束させる集光レンズ36を含んでいる。
【0023】
ハウジング30aの先端部分には、レーザ光LをワークWに照射するための円形の開口部を有するノズル30bが設けられている。このノズル30bは、溶融したワークWを除去するために、アシストガス供給装置から供給されるガス流をレーザ光Lと同軸でワークWに向けるためのノズル機能を有し、ハウジング30aに対して着脱自在に設けられる。
【0024】
集光レンズ36は、レーザ光Lの焦点位置を調整するために、図示していない駆動部及び移動機構によって、ワークWに接近する方向及びワークWから離間する方向に移動自在に構成されている。
【0025】
ガルバノスキャナユニット32は、第1スキャン部33と、第2スキャン部34とを有し、レーザ光Lを振動させるよう構成されている。第1スキャン部33は、コリメータレンズ31より射出されたレーザ光Lを反射する第1スキャンミラー33aと、第1スキャンミラー33aを所定の角度となるように回転させる第1駆動部33bとを有する。第2スキャン部34は、第1スキャンミラー33aから射出されたレーザ光Lを反射する第2スキャンミラー34aと、第2スキャンミラー34aを所定の角度となるように回転させる第2駆動部34bとを有する。
【0026】
第1駆動部33b及び第2駆動部34bは、制御装置50による制御に基づき、それぞれ、第1スキャンミラー33a及び第2スキャンミラー34aを所定の角度範囲で往復振動させることができる。ガルバノスキャナユニット32は、このような構成を備えることにより、第1スキャンミラー33aと第2スキャンミラー34aのいずれか一方、又は、双方を往復振動させることで、レーザ加工ヘッド30からワークWに照射されるレーザ光Lを振動させることができる。
【0027】
ガルバノスキャナユニット32は、例えば、レーザ光Lをレーザ光Lの移動方向と直交する方向に振動させてもよいし、レーザ光Lをレーザ光Lの移動方向と、レーザ光Lの移動方向と直交する方向とに振動させてもよい。
【0028】
なお、ガルバノスキャナユニット32はビーム振動機構の一例であり、ビーム振動機構は第1スキャン部33及び第2スキャン部34を含むガルバノスキャナユニット32に限定されない。
【0029】
図3は、本実施形態の制御装置を概略的に示す機能ブロック図である。
制御装置50は、レーザ加工機1の各部を制御する制御装置の一例である。制御装置50は、図3に示すように、入力部51と、表示部52と、制御部53と、記憶部54とを含む。
【0030】
入力部51は、例えば、キーボード、マウス、押しボタンスイッチ等の入力デバイスにより構成されており、入力部51を操作することにより、レーザ加工機1において通常必要とされる情報入力の機能に加え、例えば、記憶部54の後述するレーザ加工プログラムの選択等の操作をすることができる。
【0031】
表示部52は、表示装置としてのディスプレイを有しており、レーザ加工機1において通常必要とされる画面表示の機能に加え、例えば、レーザ加工プログラムを選択するための選択画面等を表示する。また、表示部52は、入力部51の機能を有するタッチパネルで構成され得る。表示部52がタッチパネルで構成された場合は、ユーザは、例えば表示部52を操作することにより、レーザ加工プログラムの選択等の各種の情報を制御装置50に対して入力可能となる。
【0032】
なお、入力部51及び表示部52の構成は、上述した構成に限定されず、これら入力部51及び表示部52に代わり同等の機能を有する構成であれば(例えば、遠隔から利用可能な表示手段や入力手段等)、これに限定されるものではない。
【0033】
制御部53は、移動機構20を制御する移動制御部53aと、レーザ制御部53bとを含む。移動制御部53aは、移動機構20のX軸キャリッジ22及びY軸キャリッジ23の移動動作を制御可能に構成されている。レーザ制御部53bは、レーザ加工ヘッド30から照射されるレーザ光Lの出力、強度及び焦点調整と、レーザ加工ヘッド30のガルバノスキャナユニット32の第1駆動部33b及び第2駆動部34bの駆動とを制御可能に構成されている。
【0034】
このような構成を備える制御部53は、移動機構20によってレーザ光Lを第1の方向及び第2の方向のいずれか一方に沿って移動させながら、ガルバノスキャナユニット32によってレーザ光Lを第1の方向及び第2の方向のいずれか他方に沿って振動させる。また、制御部53は、第1のセルに対し、第1の方向に沿ってレーザ光Lを照射した後、第2の方向に沿って再度レーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。
【0035】
具体的には、制御部53は、同一の行及び列のいずれか一方に配置された各第1のセルに第1の方向に沿って連続してレーザ光Lを照射した後、同一の行及び列のいずれか他方に配置された各第1のセルに第2の方向に沿って連続してレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。
【0036】
記憶部54は、RAM、ROM、HDD、SSD等の記憶媒体を有すると共に、様々なデータを読み書き可能に記憶する。記憶部54は、制御装置50の各部の制御に必要なプログラムを格納する。また、記憶部54は、制御部53にレーザ加工機1の制御を実行させるためのレーザ加工プログラムを格納する。レーザ加工プログラムは、第1のセルのそれぞれに対し、第1の方向と第2の方向の双方に沿ってレーザ光Lを照射する刻印処理を制御部53に実行させるよう構成されている。
【0037】
また、レーザ加工プログラムは、第1のセルに対し、第1の方向に沿ってレーザ光Lを照射した後、第2の方向に沿って再度レーザ光Lを照射する2度加工処理を制御部53に実行させるよう構成されている。
【0038】
以上の構成を備えるレーザ加工機1は、移動機構20によってレーザ加工ヘッド30をワークWに対して相対的に移動させると共に、レーザ加工ヘッド30のガルバノスキャナユニット32(ビーム振動機構)によってワークWに照射するレーザ光Lを振動させることで、ワークW上に識別力の高いマトリクス型二次元コードを短時間で刻印することができる。
【0039】
[本実施形態に係るレーザ加工方法]
本実施形態に係るレーザ加工機1によるマトリクス型二次元コードのレーザ加工方法について説明する。本実施形態に係るレーザ加工方法は、概略的には、第1のセルのそれぞれに対し、第1の方向と第2の方向の双方に沿ってレーザ光Lを照射するレーザ加工方法である。本実施形態に係るレーザ加工方法は、第1のセルに対し、第1の方向に沿ってレーザ光Lを照射した後、第2の方向に沿って再度レーザ光Lを照射する。
【0040】
次に、本実施形態に係るレーザ加工方法について詳述する。なお、本実施形態に係るレーザ加工機1は、以下に示す第1乃至第4のレーザ加工方法以外の方法でマトリクス型二次元コードを刻印することも可能である。
【0041】
[第1のレーザ加工方法]
第1の加工方法において、制御装置50の制御部53は、概略的には、第1の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第1の逆方向に沿って第j列以外の列の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第2の逆方向に沿って第i行(iは1以上n未満の整数)の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の順方向に沿って第i行以外の行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。
【0042】
図4は、本実施形態のマトリクス型二次元コードの各領域を示す図である。
図5は、本実施形態のレーザ加工機による第1の加工方法を示す図である。図5の矢印は、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)の移動方向を示している。
まず、レーザ加工機1は、図4及び図5に示すように、第1の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第1の逆方向に沿って第2列のセルCn,2からセルC1,2まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第m列まで繰り返す。
【0043】
図6は、本実施形態のレーザ加工機による第1の加工方法を示す図である。図6の矢印は、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)の移動方向を示している。
その後、レーザ加工機1は、図4及び図6に示すように、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)が最後に通過したセルを含む行から順に第2の逆方向及び順方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、マトリクス型二次元コードの列数が奇数の場合(mが奇数)、レーザ加工機1は、第2の逆方向に沿って第n行のセルCn,mからセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第n-1行のセルCn-1,1からセルCn-1,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第1行まで繰り返すことでマトリクス型二次元コードをワークWに刻印する。
【0044】
また、マトリクス型二次元コードの列数が偶数の場合(mが偶数)、レーザ加工機1は、第2の逆方向に沿って第1行のセルC1,mからセルC1,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第2行のセルC2,1からセルC2,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第n行まで繰り返すことでマトリクス型二次元コードをワークWに刻印する。以上の工程により、本実施形態に係るレーザ加工機1による第1のレーザ加工方法が実行される。
【0045】
[第2のレーザ加工方法]
第2の加工方法において、制御装置50の制御部53は、概略的には、第1の順方向に沿って第j列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第1の順方向に沿って第j列以外の列の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第2の逆方向に沿って第i行の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の逆方向に沿って第i行以外の行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。
【0046】
図7は、本実施形態のレーザ加工機による第2の加工方法を示す図である。図7の矢印は、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)の移動方向を示している。
まず、レーザ加工機1は、図4及び図7に示すように、第1の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第2列のセルC1,2からセルCn,2まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第m列まで繰り返す。
【0047】
図8は、本実施形態のレーザ加工機による第2の加工方法を示す図である。図8の矢印は、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)の移動方向を示している。
その後、レーザ加工機1は、図4及び図8に示すように、第2の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第2の逆方向に沿って第n行のセルCn,mからセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の逆方向に沿って第n-1行のセルCn1-,mからセルCn-1,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n-1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第1行まで繰り返すことでマトリクス型二次元コードをワークWに刻印する。以上の工程により、本実施形態に係るレーザ加工機1による第2のレーザ加工方法が実行される。
【0048】
第3の加工方法及び第4の加工方法は、概略的には、第1の方向と第2の方向から交互に第1のセルにレーザ光Lを照射するレーザ加工方法である。制御装置50の制御部53は、例えば、第1の方向に沿って第j列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の方向に沿って第i行の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第1の方向に沿って第j列以外の列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の方向に沿って第i行以外の行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。以下、第3の加工方法及び第4の加工方法について詳述する。
【0049】
[第3のレーザ加工方法]
図9は、本実施形態のレーザ加工機による第3の加工方法を示す図である。図9矢印は、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)の移動方向を示している。
第3の加工方法において、制御装置50の制御部53は、概略的には、図4及び図9に示すように、第1の順方向に沿って第j列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の順方向に沿って第i+1行の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第1の順方向に沿って第j+1列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の順方向に沿ってi行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。
【0050】
図10は、本実施形態のレーザ加工機による第1の加工方法を示す図である。図10の矢印は、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)の移動方向を示している。
まず、レーザ加工機1は、図4及び図10に示すように、第1の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第n行のセルCn,1からセルCn,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0051】
続いて、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第2列のセルC1,2からセルCn,2まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。その後、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第n-1行のセルCn―1,1からセルCn―1,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n-1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0052】
同様に、第1の順方向に沿って第j列の各第1のセルにレーザ光Lを照射し、第2の順方向に沿って第i+1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。また、第1の順方向に沿って第j+1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射し、第2の順方向に沿ってi行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。またさらに、第1の順方向に沿って第j+1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射していき、全ての行及び列の各第1のセルにレーザ光Lを照射していくことでマトリクス型二次元コードをワークWに刻印する。以上の工程により、本実施形態に係るレーザ加工機1による第3のレーザ加工方法が実施される。
【0053】
なお、第3のレーザ加工方法は、上述した例に限定されない。例えば、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第1行のセルC1,1からセルC1,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0054】
続いて、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第2列のセルC1,2からセルCn,2まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。その後、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第2行のセルC2,1からセルC2,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0055】
また、第3のレーザ加工方法は、以下の例でもよい。例えば、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第n行のセルCn,1からセルCn,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0056】
続いて、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第m列のセルC1,mからセルCn,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第m列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。その後、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第n-1行のセルCn-1,1からセルCn-1,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n-1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0057】
[第4のレーザ加工方法]
第4の加工方法において、制御装置50の制御部53は、概略的には、第1の順方向に沿って第j列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の順方向に沿って第i+1行の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第1の逆方向に沿って第j+1列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の逆方向に沿って第i行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。
【0058】
図11は、本実施形態のレーザ加工機による第4の加工方法を示す図である。図11の矢印は、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)の移動方向を示している。
まず、レーザ加工機1は、図4及び図11に示すように、第1の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第n行のセルCn,1からセルCn,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0059】
続いて、レーザ加工機1は、第1の逆方向に沿って第2列のセルCn,2からセルC1,2まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。その後、レーザ加工機1は、第2の逆方向に沿って第n-1行のセルCn―1,mからセルCn―1,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n-1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0060】
同様に、第1の順方向に沿って第j-1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射し、第2の順方向に沿って第i行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。また、第1の逆方向に沿って第j列の各第1のセルにレーザ光Lを照射し、第2の逆方向に沿ってi-1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。またさらに、第1の順方向に沿って第j+1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射していき、全ての行及び列の各第1のセルにレーザ光Lを照射していくことでマトリクス型二次元コードをワークWに刻印する。以上の工程により、本実施形態に係るレーザ加工機1による第4のレーザ加工方法が実施される。
【0061】
なお、第4のレーザ加工方法は、上述した例に限定されない。例えば、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第n行のセルCn,1からセルCn,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0062】
続いて、レーザ加工機1は、第1の逆方向に沿って第m-1列のセルCn,m-1からセルC1,m-1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第m-1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。その後、レーザ加工機1は、第2の逆方向に沿って第2行のセルC2,mからセルC2,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0063】
また、第4のレーザ加工方法は、以下の例でもよい。例えば、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第n-1行のセルCn-1,1からセルCn-1,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n-1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0064】
続いて、レーザ加工機1は、第1の逆方向に沿って第m-1列のセルCn,m-1からセルC1,m-1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第m-1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。その後、レーザ加工機1は、第2の逆方向に沿って第1行のセルC1,mからセルC1,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。
【0065】
[本実施形態に係るレーザ加工機の利点]
以上説明したように、本実施形態に係るレーザ加工機1は、単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークWの表面に刻印するレーザ加工機であって、ワークWにレーザ光Lを照射するレーザ加工ヘッド30と、レーザ加工ヘッド30から照射されるレーザ光Lを第1の方向及び第2の方向に移動させる移動機構20と、移動機構20を制御する制御部53とを備え、第1のセルのそれぞれに対し、第1の方向と第2の方向の双方に沿ってレーザ光Lを照射する。
【0066】
そして、本実施形態に係るレーザ加工機1は、このような構成を備えることにより、第1のセルに第1の方向と第2の方向の双方に沿ってレーザ光Lを照射するため、読み取り精度の高い二次元コードを短時間で刻印できるという利点を有している。
【0067】
また、本実施形態に係るレーザ加工機1において、制御部53は、第1のセルに対し、第1の方向に沿ってレーザ光Lを照射した後、第2の方向に沿って再度レーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。このような構成を備えることにより、同一の行及び列のいずれか一方に配置された各第1のセルに第1の方向に沿って連続してレーザ光Lを照射した後、同一の行及び列のいずれか他方に配置された各第1のセルに第2の方向に沿って連続してレーザ光Lを照射するため、加工時間が短いという利点を有している。
【0068】
さらに、本実施形態に係るレーザ加工機1において、マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、制御部53は、第1の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第1の逆方向に沿って第j列以外の列の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第2の逆方向に沿って第i行(iは1以上n未満の整数)の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の順方向に沿って第i行以外の行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。このような構成を備えることにより、行又は列を折り返すかたちでレーザ加工ヘッド30が移動するため、加工時間をさらに短くできるという利点を有している。
【0069】
またさらに、本実施形態に係るレーザ加工機1において、マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、制御部53は、第1の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第1の順方向に沿って第j列以外の列の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第2の逆方向に沿って第i行(iは1以上n未満の整数)の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の逆方向に沿って第i行以外の行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。このような構成を備えることにより、全ての第1のセルに対し、同一方向からレーザ光Lを照射するため、各第1のセルの反射光の輝度ムラを抑えることができるという利点を有している。
【0070】
また、本実施形態に係るレーザ加工機1において、マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、制御部53は、第1の方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の方向に沿って第i行(iは1以上n未満の整数)の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第1の方向に沿って第j列以外の列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の方向に沿って第i行以外の行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。このような構成を備えることにより、第1の方向と第2の方向から交互加工することで、他の行または列に移動する際のレーザ加工ヘッド30の移動距離が短くなり、加工時間の短縮することができるという利点を有している。
【0071】
さらに、本実施形態に係るレーザ加工機1において、マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、制御部53は、第1の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の順方向に沿って第i+1行(iは1以上n未満の整数)の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第1の順方向に沿って第j+1列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の順方向に沿ってi行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。このような構成を備えることにより、レーザ加工ヘッド30の総移動距離を短くすると共に、全ての第1のセルに対し、同一方向からレーザ光Lを照射するため、加工時間を短縮しつつ、各第1のセルの反射光の輝度ムラを抑えることができるという利点を有している。
【0072】
また、本実施形態に係るレーザ加工機1は、ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)を備え、ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)は、レーザ光Lを振動させるよう構成されており、制御部53は、移動機構20によってレーザ光Lを第1の方向及び第2の方向のいずれか一方に沿って移動させながら、ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)によってレーザ光Lを第1の方向及び第2の方向のいずれか他方に沿って振動させる。このような構成を備えることにより、一度のレーザ照射で広い範囲を加工することができるという利点を有している。
【0073】
さらに、本実施形態に係るレーザ加工機1において、ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)は、レーザ光Lをレーザ光Lの移動方向と直交する方向に振動させる。このような構成を備えることにより、第1のセルを塗りつぶすように加工することができるという利点を有している。
【0074】
またさらに、本実施形態に係るレーザ加工機1において、ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)は、レーザ光Lをレーザ光Lの移動方向と、レーザ光Lの移動方向と直交する方向とに振動させる。このような構成を備えることにより、レーザ光Lの移動方向の周囲を均等に加工することができ、第1のセルの反射光の輝度ムラを抑えることができるという利点を有している。
【0075】
[変形例]
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上述した実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0076】
例えば、上述した実施形態において、制御部53は、同一の行及び列のいずれか一方に配置された各第1のセルに第1の方向に沿って連続してレーザ光Lを照射した後、同一の行及び列のいずれか他方に配置された各第1のセルに第2の方向に沿って連続してレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御するものとして説明したが、これに限定されない。制御部53は、第1のセル毎に、第1の方向に沿ってレーザ光Lを照射した後、第2の方向に沿って再度レーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御しなくてもよい。
【0077】
上述した実施形態において、制御部53は、第1乃至第4のレーザ加工方法で第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御するものとして説明したが、これに限定されず、第1乃至第4のレーザ加工方法以外のレーザ加工方法で第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御してもよい。第1乃至第4のレーザ加工方法以外のレーザ加工方法としては、例えば、以下の第1乃至第4の変形例が挙げられる。
【0078】
[レーザ加工方法の第1の変形例]
制御装置50の制御部53は、概略的には、第1の順方向に沿って第j列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第1の逆方向に沿って第j列以外の列の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第2の順方向に沿って第i行の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の逆方向に沿って第i行以外の行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。
【0079】
まず、レーザ加工機1は、図4及び図5に示すように、第1の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第1の逆方向に沿って第2列のセルCn,2からセルC1,2まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第m列まで繰り返す。
【0080】
図12は、本実施形態のレーザ加工機によるレーザ加工方法の第1の変形例を示す図である。図12の矢印は、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)の移動方向を示している。
その後、レーザ加工機1は、図4及び図12に示すように、第2の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第1行のセルC1,1からセルC1,mまで 移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の逆方向に沿って第2行のセルC2,mからセルC2,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第n行まで繰り返すことでマトリクス型二次元コードをワークWに刻印する。以上の工程により、本実施形態に係るレーザ加工機1によるレーザ加工方法の第1の変形例が実行される。
【0081】
[レーザ加工方法の第2の変形例]
制御装置50の制御部53は、概略的には、第1の順方向に沿って第j列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第1の逆方向に沿って第j列以外の列の第1のセルにレーザ光Lを照射し、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)が最後に通過したセルを含む行から順に第2の順方向に沿って第i行の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の逆方向に沿って第i行以外の行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。
【0082】
まず、レーザ加工機1は、変形例1と同様に、第1の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第1の逆方向に沿って第2列のセルCn,2からセルC1,2まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第m列まで繰り返す。
【0083】
その後、レーザ加工機1は、マトリクス型二次元コードの列数が奇数の場合、第2の順方向に沿って第n行のセルCn,1からセルCn,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の逆方向に沿って第n-1行のセルCn-1,mからセルCn-1,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n-1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第1行まで繰り返すことでマトリクス型二次元コードをワークWに刻印する。
【0084】
また、マトリクス型二次元コードの列数が偶数の場合、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第1行のセルC1,1からセルC1,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の逆方向に沿って第2行のセルC2,mからセルC2,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第n行まで繰り返すことでマトリクス型二次元コードをワークWに刻印する。以上の工程により、本実施形態に係るレーザ加工機1によるレーザ加工方法の第2の変形例が実行される。
【0085】
[レーザ加工方法の第3の変形例]
制御装置50の制御部53は、概略的には、第1の順方向に沿って第j列の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第1の順方向に沿って第j列以外の列の第1のセルにレーザ光Lを照射し、第2の順方向に沿って第i行の第1のセルにレーザ光Lを照射後、第2の順方向に沿って第i行以外の行の第1のセルにレーザ光Lを照射するよう移動機構20を制御する。
【0086】
まず、レーザ加工機1は、図4及び図7に示すように、第1の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第2列のセルC1,2からセルCn,2まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第m列まで繰り返す。
【0087】
図13は、本実施形態のレーザ加工機によるレーザ加工方法の第3の変形例を示す図である。図13の矢印は、レーザ加工ヘッド30(レーザ光L)の移動方向を示している。
その後、レーザ加工機1は、図4及び図13に示すように、第2の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第1行のセルC1,1からセルC1,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第2行のセルC2,1からセルC2,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第n行まで繰り返すことでマトリクス型二次元コードをワークWに刻印する。以上の工程により、本実施形態に係るレーザ加工機1によるレーザ加工方法の第3の変形例が実行される。
【0088】
[レーザ加工方法の第4の変形例]
まず、レーザ加工機1は、第3の変形例と同様に、第1の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第1列のセルC1,1からセルCn,1まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第1の順方向に沿って第2列のセルC1,2からセルCn,2まで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第2列の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第m列まで繰り返す。
【0089】
その後、レーザ加工機1は、第2の方向から第1のセルにレーザ光Lを照射する。具体的には、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第n行のセルCn,1からセルCn,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。次に、レーザ加工機1は、第2の順方向に沿って第ん-1行のセルCn-1,1からセルCn-1,mまで移動機構20によりレーザ加工ヘッド30を移動させると共に、第n-1行の各第1のセルにレーザ光Lを照射する。同様に、第1行まで繰り返すことでマトリクス型二次元コードをワークWに刻印する。以上の工程により、本実施形態に係るレーザ加工機1によるレーザ加工方法の第4の変形例が実行される。
【0090】
上述した実施形態において、レーザ加工機1は、ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)を備え、ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)は、レーザ光Lを振動させるよう構成されており、制御部53は、移動機構20によってレーザ光Lを第1の方向及び第2の方向のいずれか一方に沿って移動させながら、ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)によってレーザ光Lを第1の方向及び第2の方向のいずれか他方に沿って振動させるものとして説明したが、これに限定されない。レーザ加工機1は、ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)を備えなくてもよい。
【0091】
上述した実施形態において、ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)は、レーザ光Lをレーザ光Lの移動方向と直交する方向、又は、レーザ光Lの移動方向と、レーザ光Lの移動方向と直交する方向とに振動させるものとして説明したが、これに限定されない。ビーム振動機構(ガルバノスキャナユニット32)は、レーザ光Lをレーザ光Lの移動方向に振動させてもよい。
【0092】
上述した実施形態において、移動機構20は、レーザ加工ヘッド30及び加工テーブル21の少なくとも一方を駆動し、レーザ加工ヘッド30と加工テーブル21とを相対的に移動させるよう構成されているものとして説明したが、これに限定されない。例えば、レーザ加工ヘッド30と加工テーブル21は、共に固定されており、ガルバノスキャナユニット32がレーザ加工ヘッド30から照射されるレーザ光Lを第1の方向及び第2の方向に移動させることで移動機構20として機能してもよい。移動機構20がレーザ加工ヘッド30及び加工テーブル21の少なくとも一方を駆動し、レーザ加工ヘッド30と加工テーブル21とを相対的に移動させるよう構成されている場合、ガルバノスキャナユニット32の可動範囲よりも大きいマトリクス型二次元コードを刻印することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 レーザ加工機
10 レーザ発振器
12 プロセスファイバ
20 移動機構
21 加工テーブル
22 X軸キャリッジ
23 Y軸キャリッジ
30 レーザ加工ヘッド
30a ハウジング
30b ノズル
31 コリメータレンズ
32 ガルバノスキャナユニット(ビーム振動機構)
33 第1スキャン部
33a 第1スキャンミラー
33b 第1駆動部
34 第2スキャン部
34a 第2スキャンミラー
34b 第2駆動部
35 ベンドミラー
36 集光レンズ
50 制御装置
51 入力部
52 表示部
53 制御部
53a 移動制御部
53b レーザ制御部
54 記憶部
L レーザ光
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークの表面に刻印するレーザ加工機であって、
前記ワークにレーザ光を照射するレーザ加工ヘッドと、
前記レーザ加工ヘッドから照射される前記レーザ光を前記第1の方向及び前記第2の方向に移動させる移動機構と、
前記移動機構を制御する制御部と
を備え、
前記第1のセルのそれぞれに対し、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に沿って前記レーザ光を照射する
レーザ加工機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1のセルに対し、前記第1の方向に沿って前記レーザ光を照射した後、前記第2の方向に沿って再度前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1に記載のレーザ加工機。
【請求項3】
前記マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、
前記制御部は、前記第1の方向の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第1の方向の逆方向に沿って前記第j列以外の列の前記第1のセルに前記レーザ光を照射し、前記第2の方向の逆方向に沿って第i行(iは1以上n未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の方向の順方向に沿って前記第i行以外の行の前記第1のセルに前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【請求項4】
前記マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、
前記制御部は、前記第1の方向の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第1の方向の前記順方向に沿って前記第j列以外の列の前記第1のセルに前記レーザ光を照射し、前記第2の方向の逆方向に沿って第i行(iは1以上n未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の方向の前記逆方向に沿って前記第i行以外の行の前記第1のセルに前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【請求項5】
前記マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、
前記制御部は、前記第1の方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の方向に沿って第i行(iは1以上n未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射し、前記第1の方向に沿って前記第j列以外の列の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の方向に沿って前記第i行以外の行の前記第1のセルに前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【請求項6】
前記マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、
前記制御部は、前記第1の方向の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の方向の順方向に沿って第i+1行(iは1以上n未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射し、前記第1の方向の前記順方向に沿って第j+1列の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の方向の前記順方向に沿ってi行の前記第1のセルに前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【請求項7】
前記マトリクス型二次元コードは、n行m列(n及びmは2以上の整数)の配列パターンを有し、
前記制御部は、前記第1の方向の順方向に沿って第j列(jは1以上m未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の方向の順方向に沿って第i+1行(iは1以上n未満の整数)の前記第1のセルに前記レーザ光を照射し、前記第1の方向の逆方向に沿って第j+1列の前記第1のセルに前記レーザ光を照射後、前記第2の方向の逆方向に沿って第i行の前記第1のセルに前記レーザ光を照射するよう前記移動機構を制御する
請求項1又は2に記載のレーザ加工機。
【請求項8】
ビーム振動機構を備え、
前記ビーム振動機構は、前記レーザ光を振動させるよう構成されており、
前記制御部は、前記移動機構によって前記レーザ光を前記第1の方向及び前記第2の方向のいずれか一方に沿って移動させながら、前記ビーム振動機構によって前記レーザ光を前記第1の方向及び前記第2の方向のいずれか他方に沿って振動させる
請求項1~7のいずれか1項に記載のレーザ加工機。
【請求項9】
前記ビーム振動機構は、前記レーザ光を前記レーザ光の移動方向と直交する方向に振動させる
請求項8に記載のレーザ加工機。
【請求項10】
前記ビーム振動機構は、前記レーザ光を前記レーザ光の移動方向と、前記レーザ光の移動方向と直交する方向とに振動させる
請求項8に記載のレーザ加工機。
【請求項11】
単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークの表面に刻印するレーザ加工方法であって、
前記第1のセルのそれぞれに対し、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に沿ってレーザ光を照射する
レーザ加工方法。
【請求項12】
前記第1のセルに対し、前記第1の方向に沿って前記レーザ光を照射した後、前記第2の方向に沿って再度前記レーザ光を照射する
請求項11に記載のレーザ加工方法。
【請求項13】
単位照射領域としての第1のセルと、単位非照射領域としての第2のセルとが、第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに所望の配列パターンで配置されたマトリクス型二次元コードをワークの表面に刻印するレーザ加工プログラムであって、
前記第1のセルのそれぞれに対し、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に沿ってレーザ光を照射する刻印処理
を制御部に実行させる
レーザ加工プログラム。
【請求項14】
前記第1のセルに対し、前記第1の方向に沿って前記レーザ光を照射した後、前記第2の方向に沿って再度前記レーザ光を照射する2度加工処理
を制御部に実行させる
請求項13に記載のレーザ加工プログラム。