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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108806
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】埋め戻し方法及び埋め戻し補助具
(51)【国際特許分類】
   E04G 15/06 20060101AFI20230731BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
E04G15/06 B
F16L5/00 X
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010052
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松村 良太
(72)【発明者】
【氏名】池辺 竜司
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150HF09
2E150HF14
2E150HF27
2E150LA09
2E150MA12Z
(57)【要約】
【課題】貫通孔を埋め戻す充填材の漏れを確実に抑制できる埋め戻し方法及び埋め戻し補助具を提供する。
【解決手段】建築物の内外又は内部を区画する区画体Aに形成された鉛直方向に貫通する貫通孔に長尺体Bを挿通し、長尺体と貫通孔の内面との間を充填材Cで埋め戻すための埋め戻し方法であって、長尺体の外周面に当接し、外周面の周方向の略1周に亘って延びるように配置可能で、長尺体に配置した状態で圧縮可能で、長尺体に配置した状態で外径が貫通孔の内径よりも大きい筒状の受け材2を備える埋め戻し補助具を用い、受け材が長尺体の外周面に配置された状態で、受け材を貫通孔に挿入する挿入工程と、受け材のうち上方に配置される受け材の上面、貫通孔の内周面、及び、長尺体の外周面によって画定される空間に充填材を充填する充填工程と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の内外又は内部を区画する区画体に形成された鉛直方向に貫通する貫通孔に長尺体を挿通し、該長尺体と前記貫通孔の内面との間を充填材で埋め戻すための埋め戻し方法であって、
前記長尺体の外周面に当接し、該外周面の周方向の略1周に亘って延びるように配置可能で、該長尺体に配置した状態で圧縮可能で、前記長尺体に配置した状態で外径が前記貫通孔の内径よりも大きい筒状の受け材を備える埋め戻し補助具を用い、
前記受け材が前記長尺体の外周面に配置された状態で、前記受け材を貫通孔に挿入する挿入工程と、
前記受け材の上面、前記貫通孔の内周面、及び、前記長尺体の外周面によって画定される空間に前記充填材を充填する充填工程と、を備える埋め戻し方法。
【請求項2】
前記埋め戻し補助具は、前記受け材を複数備え、
前記挿入工程は、前記複数の受け材を、前記長尺体の軸線方向で隣り合った状態となるように前記貫通孔に挿入する工程であり、
鉛直方向上方に配置される一の受け材の下面、及び、該一の受け材の鉛直方向下方に配置される他の受け材の上面を当接させる受け材当接工程を備える請求項1に記載の埋め戻し方法。
【請求項3】
前記埋め戻し補助具は、前記受け材を複数備え、
前記挿入工程は、前記複数の受け材を、前記長尺体の軸線方向で隣り合った状態となるように前記貫通孔に挿入する工程であり、
鉛直方向上方に配置される一の受け材の下面、及び、該一の受け材の鉛直方向下方に配置される他の受け材の上面を離した状態で前記長尺体に固定する受け材離間工程を備える請求項1に記載の埋め戻し方法。
【請求項4】
前記埋め戻し補助具は、前記受け材を複数備え、
前記挿入工程は、前記複数の受け材を、前記長尺体の軸線方向で隣り合った状態となるように前記貫通孔に挿入する工程であり、
前記複数の受け材は、内縁から外縁まで延びる切込みが形成された切込み部を備え、
前記挿入工程の前に、前記複数の受け材を前記切込み部から前記長尺体の外周面に装着する受け材装着工程を備え、
前記受け材装着工程において、鉛直方向上方に配置される前記受け材の前記切込み部に対して鉛直方向下方に配置される前記受け材の前記切込み部を周方向でずらして配置する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の埋め戻し方法。
【請求項5】
建築物の内外又は内部を区画する区画体に形成された鉛直方向に貫通する貫通孔に長尺体を挿通し、該長尺体と前記貫通孔の内面との間を充填材で埋め戻すために用いられる埋め戻し補助具であって、
前記長尺体の外周面の周方向の略1周に亘って延びるように配置可能で、該長尺体に配置した状態で圧縮可能で、前記長尺体に配置した状態で外径が前記貫通孔の内径よりも大きい筒状の受け材を備え、
前記受け材の径方向の外周面は、上端部及び下端部が径外方に位置し、上下方向の中途部分が径内方に位置するように窪んだ形状であるように構成される埋め戻し補助具。
【請求項6】
前記受け材は、内縁から外縁まで延びる切込みが形成された切込み部を備え、前記切込み部は鉤型に形成されるよう構成される請求項5に記載の埋め戻し補助具。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の埋め戻し方法において使用される埋め戻し補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の内外又は内部を区画する区画体に形成された鉛直方向に貫通する貫通孔に長尺体を挿通し、該長尺体と貫通孔の内面との間を充填材で埋め戻すための埋め戻し方法及び埋め戻し補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、区画体に形成された鉛直方向に貫通する貫通孔に長尺体を挿通し、該長尺体と貫通孔の内面との間を充填材で埋め戻すための方法として、特許文献1に記載のコンクリート床穴埋め工事材を用いたコンクリート床の穴埋め方法が知られている。コンクリート床穴埋め工事材は、区画体としてのコンクリート床に形成された穴に挿通された配管を配管の径外方から挟んで突き合わせられる一対の板部材を備え、一対の板部材は、突き合せられた状態で解離可能に嵌合する嵌合部と、配管に対して係合して、一対の板部材を配管に固定可能な配管係合部と、を備える。
【0003】
上記のようなコンクリート床穴埋め工事材を用いたコンクリート床の穴埋め方法では、コンクリート床の下方において、一対の板部材をコンクリート床の下面に当接させて、配管に固定し、その後にコンクリート床の上方において、配管の外周面、板部材、及び穴の内周面によって画定された空間内に充填材としてのコンクリートを流し込むことで、コンクリート床の穴埋めをすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-131487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなコンクリート床の穴埋め方法では、流し込んだ充填材の重みなどでコンクリート床の下面と板部材の間に隙間が生じた場合に充填材が板部材から下方に漏れ出す恐れがあった。
【0006】
そこで本発明は、貫通孔を埋め戻す充填材の漏れを確実に抑制できる埋め戻し方法及び埋め戻し補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の埋め戻し方法は、建築物の内外又は内部を区画する区画体に形成された鉛直方向に貫通する貫通孔に長尺体を挿通し、該長尺体と前記貫通孔の内面との間を充填材で埋め戻すための埋め戻し方法であって、前記長尺体の外周面に当接し、該外周面の周方向の略1周に亘って延びるように配置可能で、該長尺体に配置した状態で圧縮可能で、前記長尺体に配置した状態で外径が前記貫通孔の内径よりも大きい筒状の受け材を備える埋め戻し補助具を用い、前記受け材が前記長尺体の外周面に配置された状態で、前記受け材を貫通孔に挿入する挿入工程と、前記受け材の上面、前記貫通孔の内周面、及び、前記長尺体の外周面によって画定される空間に前記充填材を充填する充填工程と、を備える。
【0008】
かかる構成によれば、受け材の上部に充填材が充填されることで、充填材の重さで上下方向において圧縮されるので、圧縮によって受け材が径方向に延び、受け材と長尺体の外周面及び貫通孔の内周面との密着度が高まることで、充填材が受け材よりも下方に漏れることを抑制できる。よって、充填材の漏れを確実に抑制できる。
【0009】
また、前記埋め戻し補助具は、前記受け材を複数備え、前記挿入工程は、前記複数の受け材を、前記長尺体の軸線方向で隣り合った状態となるように前記貫通孔に挿入する工程であり、鉛直方向上方に配置される一の受け材の下面、及び、該一の受け材の鉛直方向下方に配置される他の受け材の上面を当接させる受け材当接工程を備えることもできる。
【0010】
かかる構成によれば、充填材の重みにより、一の受け材が上方から押されつつ、下面が他の受け材に接することで一の受け材が少なくとも鉛直方向で圧縮されるので、一の受け材が確実に径方向に延びるため、一の受け材からの充填材の漏れを抑制でき、かつ、一の受け材から下方に充填材が漏れたとしても、漏れた充填材を他の受け材で受けることができる。よって、充填材の漏れを確実に抑制できる。
【0011】
また、前記埋め戻し補助具は、前記受け材を複数備え、前記挿入工程は、前記複数の受け材を、前記長尺体の軸線方向で隣り合った状態となるように前記貫通孔に挿入する工程であり、鉛直方向上方に配置される一の受け材の下面、及び、該一の受け材の鉛直方向下方に配置される他の受け材の上面を離した状態で前記長尺体に固定する受け材離間工程を備えることもできる。
【0012】
かかる構成によれば、一の受け材の上方から下方に充填材が漏れ出した場合に、漏れた充填材を他の受け材で受けることができ、かつ、他の受け材が一の受け材と離間して配置されているので、充填材の下方への移動を一の受け材と他の受け材の間で断つことができる。よって、充填材の漏れを確実に抑制できる。
【0013】
また、前記埋め戻し補助具は、前記受け材を複数備え、前記挿入工程は、前記複数の受け材を、前記長尺体の軸線方向で隣り合った状態となるように前記貫通孔に挿入する工程であり、前記複数の受け材は、内縁から外縁まで延びる切込みが形成された切込み部を備え、前記挿入工程の前に、前記複数の受け材を前記切込み部から前記長尺体の外周面に装着する受け材装着工程を備え、前記受け材装着工程において、鉛直方向上方に配置される前記受け材の前記切込み部に対して鉛直方向下方に配置される前記受け材の前記切込み部を周方向でずらして配置することもできる。
【0014】
かかる構成によれば、切込み部によって、長尺体の長さ方向の途中の位置でも長尺体に受け材を配置して、受け材を貫通孔に挿入することができる。さらに、複数の受け材の切込み部が周方向でずらして配置されるので、充填材が一の受け材の切込み部から下方に漏れ出した場合であっても、他の受け材の切込みが形成されていない部分で漏れ出した充填材を受けることができるので、充填材の漏れを確実に抑制できる。
【0015】
また、本発明の埋め戻し補助具は、建築物の内外又は内部を区画する区画体に形成された鉛直方向に貫通する貫通孔に長尺体を挿通し、該長尺体と前記貫通孔の内面との間を充填材で埋め戻すために用いられる埋め戻し補助具であって、前記長尺体の外周面の周方向の略1周に亘って延びるように配置可能で、該長尺体に配置した状態で圧縮可能で、前記長尺体に配置した状態で外径が前記貫通孔の内径よりも大きい筒状の受け材を備え、前記受け材の径方向の外周面は、上端部及び下端部が径外方に位置し、上下方向の中途部分が径内方に位置するように窪んだ形状であるように構成される。
【0016】
かかる構成によれば、受け材の外周面の上端部及び下端部が中途部分に比べて径外方に位置しているので、貫通孔の内周面に、貫通孔を形成する際に生じた起伏等があったとしても上端部と下端部が確実に貫通孔の内周面に当接できる。よって、受け材の上端部と下端部の少なくとも2か所で充填材を受けることができるので、充填材の漏れを確実に抑制できる。
【0017】
また、前記受け材は、内縁から外縁まで延びる切込みが形成された切込み部を備え、前記切込み部は鉤型に形成されるよう構成することもできる。
【0018】
かかる構成によれば、切込み部が鉤型に形成されるので、切込み部が受け材の周方向で一方側と他方側に離間することを抑制できる。よって、切込み部に隙間が生じることを抑制できるので、充填材の漏れを確実に抑制できる。
【0019】
また、本発明の埋め戻し補助具は、前記埋め戻し方法において使用される埋め戻し補助具である。
【0020】
かかる構成によれば、受け材の上部に充填材が充填されることで、充填材の重さで上下方向において圧縮されるので、圧縮によって受け材が径方向に延び、受け材と長尺体の外周面及び貫通孔の内周面との密着度が高まることで、充填材が受け材よりも下方に漏れることを抑制できる。よって、充填材の漏れを確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、貫通孔を埋め戻す充填材の漏れを確実に抑制できる埋め戻し方法及び埋め戻し補助具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第一実施形態に係る埋め戻し補助具の斜視図である。
図2】同埋め戻し補助具の平面図である。
図3】同埋め戻し補助具の正面図である。
図4】同埋め戻し補助具を用いた埋め戻し方法における受け材装着工程を示す図である。
図5図4に示すV-V断面図である。
図6】同埋め戻し方法の挿入工程及び受け材当接工程を示す図である。
図7】同埋め戻し方法の充填工程を示す図である。
図8】本発明の第二実施形態に係る埋め戻し方法を示す概略図である、
図9】本発明の他の実施形態に係る埋め戻し方法の確認工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第一実施形態に係る埋め戻し方法及び埋め戻し補助具1について、図1乃至図7を参照して説明する。説明の便宜上、上下方向は、埋め戻しの際の上下方向を基準に説明する。なお、説明のため、図では一部を誇張して記載している。
【0024】
まず、本発明の埋め戻し補助具1について図1乃至図3を参照して説明する。
【0025】
埋め戻し補助具1は、建築物の内外又は内部を区画する区画体Aに形成された鉛直方向に貫通する貫通孔に長尺体Bを挿通し、該長尺体Bと前記貫通孔の内面との間を充填材Cで埋め戻すために用いられる。具体的に埋め戻し補助具1は、例えば、区画体Aとしての床スラブに形成された上下方向に貫通する貫通孔に、給排水等に用いられる配管や配電等に用いられるケーブルのような長尺体Bを挿通し、長尺体Bと貫通孔の内面との間の隙間をモルタルなどの流動性があり経時的に硬化する充填材Cで埋め戻すために用いられる。
【0026】
図1乃至図3に示すように、埋め戻し補助具1は、長尺体Bの外周面に当接し、該外周面の周方向の略1周に亘って延びるように配置可能な円筒状の受け材2を備える。また、本実施形態の埋め戻し補助具1は、複数の受け材2を備える。
【0027】
受け材2は、円形の外縁及び該外縁よりも径内側の円形の内縁を有する円環状の上面と、上面と同じ形状の下面と、上面と下面の外縁同士を上下方向で連結する外周面と、上面と下面の内縁同士を上下方向で連結する内周面と、を備える円筒体である。また、受け材2は、上面及び下面が平坦な形状に構成され、内周面及び外周面が上下方向に沿って延びるように構成された、外径及び内径が上下方向に亘って略一定の円筒体である。本実施形態の受け材2は、上面を含む受け面部3と、内周面を含む長尺体当接部4と、外周面を含む孔当接部5と、受け材2の径方向の内縁から外縁まで延びる切込み6aが形成された切込み部6と、を備える。このような受け材2は、弾性体で構成されており、具体的には、例えば、発泡ウレタンのような弾性樹脂で構成される独立気泡を有する発泡体である。即ち、受け材2は、多数の気泡を有しているが、これらの気泡は下面まで連通していない。よって、受け材2は、少なくとも上下方向に圧縮された場合に上下方向に液体を透過させない、非透水性を有している。本実施形態の受け材2は、後述する切込み部6を除いて、上下方向の中心を基準として上下対称かつ、受け材2の軸心を基準に回転対称となる形状である。
【0028】
受け面部3は、前記上面を含み、径方向中央に上下方向に貫通する孔が形成された円環状の部位である。具体的に、受け面部3は、内径が長尺体Bの外径よりも小さく、外径が貫通孔の内径よりも大きく構成されている。
【0029】
長尺体当接部4は、前記内周面を含み、該内周面が上下方向に亘って略一定の内径となるように円筒状に形成された部位である。本実施形態の長尺体当接部4は、長尺体Bの外径よりも内径が小さく構成されている。
【0030】
孔当接部5は、受け材2の前記外周面を含み、外周面が上下方向に亘って略一定の外径を有する円筒状に形成された部位である。また、図3に示すように、孔当接部5は、上端部と、下端部と、上下方向で上端部及び下端部の間の中途部分と、を有し、上端部及び下端部が中途部分よりも径外方に位置した延出部7として構成されている。即ち、孔当接部5は上下方向で、両延出部7同士の間の部分が延出部7よりも径内方に位置するような窪んだ形状となっている。本実施形態では、前記外周面は、上下方向の中央部が径内方に、上端部及び下端部が径外方に位置するように径内方へ凹となる湾曲面となっている。よって、上側の延出部7は、孔当接部5における上下中央部から上側になるほど径外方に位置する形状であり、下側の延出部7は、孔当接部5における上下中央部から下側になるほど径外方に位置する形状である。また、延出部7において、最も径外側に位置する最大径部(本実施形態では上端部又は下端部)は、径外方に向いた尖端形状となっている。また、延出部7の外径は、弾性変形していない自然状態で貫通孔の内径よりも大きく構成されている。延出部7の延出寸法は、受け材2の内径や外径によって種々設定されるが、例えば1mm程度に設定可能である。
【0031】
切込み部6は、受け材2の内縁(長尺体当接部4)から外縁(孔当接部5)までにわたって延びる切込み6aが形成された部位である。この切込み部6は、受け材2の円環形状を周方向で分断している。即ち、受け材2は、切込み部6として、切込み6aを介して対向する一対の分断端部を有している。本実施形態では、一対の分断端部が、切込み6aが開かないように互いに周方向で係止する第一鉤部8、第二鉤部9として形成されることで切込み部が鉤型に形成されている。
【0032】
第一鉤部8は、径外方に凸となる第一嵌合部11と、該第一嵌合部11に対して周方向に連続し、第一嵌合部11よりは径内方に凹となる第一被嵌合部12と、を有する径方向外向きの鉤型状に構成されている。また、第一鉤部8は、第二鉤部9が突き当てられる突き当て面を有し、第一鉤部8の周方向基端部を構成する第一突き当て部10Aを備える。第一突き当て部10Aは、第一被嵌合部12に対して周方向で第一嵌合部11と反対側に位置する。即ち、周方向において、第一被嵌合部12の基端側に第一突き当て部10Aが、先端側に第一嵌合部11が、配置されている。
【0033】
第一嵌合部11は、第一被嵌合部12に対して周方向で連続し、径内側に位置する第一嵌合連結部111と、第一嵌合連結部111の径外側に連続し、第一被嵌合部12よりも径外方に位置する第一嵌合突出部112と、を備える。また、第一嵌合部11は、受け材2の内周面の一部を形成する第一嵌合内面11aと、第一嵌合内面11aに対して径外に位置する第一嵌合外面11bと、第一嵌合内面11a及び第一嵌合外面11bを連結する面であって、周方向の先端側に位置する第一嵌合先端面11cと、第一嵌合内面11a及び第一嵌合外面11bを連結する面であって、第一嵌合先端面11cに対して周方向基端側に位置する第一嵌合基端面11dと、を備える。このような第一嵌合部11には、第一嵌合外面11bと第一嵌合基端面11dとによって構成される段である第一段部8aが形成されている。
【0034】
第一被嵌合部12は、受け材2の内周面の一部を構成する第一被嵌合内面12aと、第一被嵌合内面12aに対して径外方に位置する第一被嵌合外面12bと、を備える。第一被嵌合内面12aは、第一嵌合部11の第一嵌合内面11aに対して段差なく連続する面である。第一被嵌合外面12bは、第一嵌合部11の第一嵌合外面11bよりも径内側に位置する面である。
【0035】
第二鉤部9は、径内方に凸となる第二嵌合部13と、第二嵌合部13に対して周方向に連続し、第二嵌合部13よりは径外方に凹となる第二被嵌合部14と、を有する径方向内向きの鉤型状に構成されている。また、第二鉤部9は、第一鉤部8が突き当てられる突き当て面を有し、第二鉤部9の周方向基端部を構成する第二突き当て部10Bを備える。第二突き当て部10Bは、第二被嵌合部14に対して周方向で第二嵌合部13と反対側に位置する。即ち、周方向において、第二被嵌合部14の基端側に第二突き当て部10Bが、先端側に第二嵌合部13が、配置されている。
【0036】
第二嵌合部13は、第二被嵌合部14に対して周方向で連続し、径内側に位置する第二嵌合連結部131と、第二嵌合連結部131の径外側に連続し、第二被嵌合部14よりも径内方に位置する第二嵌合突出部132と、を備える。また、第二嵌合部13は、受け材2に外周面の一部を構成する第二嵌合外面13aと、第二嵌合外面13aに対して径内に位置する第二嵌合内面13bと、第二嵌合外面13a及び第二嵌合内面13bを連結する面であって、周方向の先端側に位置する第二嵌合先端面13cと、第二嵌合外面13a及び第二嵌合内面13bを連結する面であって、第二嵌合先端面13cに対して周方向基端側に位置する第二嵌合基端面13dと、を備える。このような第二嵌合部13には、第二嵌合内面13bと第二嵌合基端面13dとによって構成される段である第二段部9aが形成されている。
【0037】
第二被嵌合部14は、受け材2の外周面の一部を構成する第二被嵌合外面14aと、第二被嵌合外面14aに対して径内方に位置する第二被嵌合内面14bと、を備える。第二被嵌合外面14aは、第二嵌合部13の第二嵌合外面13aに対して段差なく連続する面である。第二被嵌合内面14bは、第二嵌合部13の第二嵌合内面13bよりも径外側に位置する面である。
【0038】
このような第二鉤部9は、第一鉤部8に対して径外方に隣り合って配置されている。具体的に、第一鉤部8が第二突き当て部10Bに突き当てられ、第二鉤部9が第一突き当て部10Aに突き当てられた状態で、第一嵌合部11は、第二被嵌合部14に対して嵌合可能であり、第二嵌合部13は、第一被嵌合部12に対して嵌合可能である。第一鉤部8と第二鉤部9の嵌合によって、受け材2の分断端部の周方向への移動が規制される。
【0039】
以上のような埋め戻し補助具1を用いた埋め戻し方法について図4乃至図7を参照して説明する。
【0040】
埋め戻し方法は、(1)受け材装着工程と、(2)挿入工程と、(3)受け材当接工程と、(4)充填工程と、を備える。
【0041】
図4及び図5に示すように、受け材装着工程は、受け材2を長尺体Bに装着する工程である。本実施形態の受け材装着工程では、1対の受け材2を上下に離間した状態で、受け材2の軸線方向と長尺体Bの軸線方向を合わせて長尺体Bに装着する。具体的に、受け材装着工程では、第一鉤部8及び第二鉤部9の嵌合を解除して、切込み6aを開き、開いた切込み6aから長尺体Bを受け材2の内側に入れ、第一鉤部8及び第二鉤部9を嵌合させる。ここで、長尺体Bの外径は、受け材2の内径よりも大きいので、第一鉤部8及び第二鉤部9を嵌合させる際に、受け材2全体を周方向で延ばすように弾性変形させつつ第一鉤部8及び第二鉤部9を嵌合させる。これにより、第一鉤部8及び第二鉤部9を嵌合させる際には、受け材2全体を弾性変形させ、内周面(長尺体当接部4)を長尺体Bの外周面に密着させることができ、この密着状態を第一鉤部8及び第二鉤部9の嵌合によって保持できる。
【0042】
第一鉤部8及び第二鉤部9が嵌合すると、切込み6aが開くことが規制される。具体的に、第一嵌合部11は第二被嵌合部14に嵌合し、第二嵌合部13は第一被嵌合部12に嵌合することで、第一鉤部8の第一段部8aと第二鉤部9の第二段部9aとが当接し、第一鉤部8と第二鉤部9が周方向で係止した状態となる。よって、切込み6aが開くことが規制され、受け材2を長尺体Bに当接(密着)させて装着することができる。特に、使用時(貫通孔に挿入した状態の時)には、長尺体当接部4が長尺体Bの外周面に当接し、孔当接部5が貫通孔の内壁に当接するので、第一鉤部8及び第二鉤部9の径方向への移動が規制され、切込み6aの開きを確実に規制できる。よって、充填材Cが切込み6aから下方に漏れることを抑制できる。
【0043】
また、本実施形態の受け材装着工程では、貫通孔に挿通した状態の長尺体Bに対して一対の受け材2を上下方向に離間した状態で装着する。また、上下方向に隣り合って配置される受け材2は、それぞれの切込み部6を周方向でずらした状態で長尺体Bに配置される。具体的には、上下方向で隣り合う受け材2(上方受け材2U及び下方受け材2D)の切込み部6を上下方向に重ならない程度に周方向にずらす。
【0044】
挿入工程は、長尺体Bに装着した受け材2を貫通孔に挿入する工程である。具体的に、挿入工程は、長尺体Bの外周面と貫通孔の内壁の間に画定される空間に受け材2を挿入する工程である。また、本実施形態で、受け材2を貫通孔の上方から下方に向かって挿入する。具体的に、挿入工程では、長尺体Bにおける、貫通孔よりも上方の部分に装着された受け材2を、長尺体Bの外周面に沿って下方に移動させて貫通孔に挿入する。即ち、本実施形態の挿入工程では、受け材2を長尺体Bに対して下方に相対移動させて貫通孔に挿入する。本実施形態の挿入工程では、長尺体Bの外周面と受け材2の内周面との間で発生する摩擦力及び貫通孔の内周面と受け材2の外周面との間で発生する摩擦力に抗って受け材2を貫通孔内に押し込むことで、受け材2を貫通孔に挿入する。また、受け材2の外径は貫通孔の内径よりも大きいので、貫通孔に挿入された受け材2の外縁部分は、摩擦力により他の部分と比べて上方に位置した状態となる。よって、貫通孔に挿入された受け材2は、外縁部分が盛り上がり、他の部分が下方に窪んだ形状となる。
【0045】
本実施形態の挿入工程では、後述する充填工程で充填材を充填された際に、受け材2のうち、最も上方に位置する受け材2である上方受け材2Uの上面と貫通孔の上端との距離が、挿入されたすべての受け材2の厚みの合計以上となるように受け材2を貫通孔に挿入する。具体的に、上方受け材2Uの上面のうち、最も上方に位置する部分(例えば外縁部分)と貫通孔の上端との距離(図7に示す距離L1)が、充填材Cによって上下方向に圧縮された際のすべての受け材2の合計の厚み(図7に示す厚みT1)よりも大きくなるように挿入される。
【0046】
受け材当接工程は、長尺体Bに装着された軸線方向で隣り合う受け材2同士を当接させる工程である。具体的に、受け材当接工程では、上方受け材2Uの下面と上方受け材2Uの下方かつ軸線方向で隣り合って位置する下方受け材2Dの上面とを当接させる。また、受け材当接工程では、複数の受け材2のうち、少なくとも、最も上方に位置する受け材2の下面と最も上方に位置する受け材2に軸線方向で隣り合って配置される下方の受け材2の上面とを当接させる。
【0047】
本実施形態で、受け材当接工程は、挿入工程と共に実行される。即ち、本実施形態では、上下方向に離間して長尺体Bに装着された受け材2同士を当接させながら貫通孔に挿入する。具体的に、挿入工程及び受け材当接工程では、長尺体Bに装着された一対の受け材2について、上方受け材2Uを長尺体Bに沿って下方に移動させて下方受け材2Dに当接させる。そして、受け材2同士が当接した状態で、さらに上方受け材2Uを下方に押し込み、当接した状態の一対の受け材2を貫通孔に挿入する。
【0048】
また、挿入工程及び受け材当接工程では、受け材2を貫通孔内に押し込むことができる挿入治具(図示しない)を使用することもできる。挿入治具は、上面視C字状の板状体であり、下端面を受け材2の上面に当接させ、受け材2を下方に押し込むことができるように構成されている。このような挿入治具は、例えば、受け材2を梱包する梱包材によって構成されることができる。即ち、受け材2を梱包する梱包材をC字状に変形させて、挿入治具とすることもできる。挿入治具の下端面が平坦な面であれば、受け材2を長尺体Bの軸線方向に沿って移動させやすいため、貫通孔内で受け材2がずれ、貫通孔の内周面と受け材2の間に隙間ができることを抑制できる。また、挿入治具の下端面からの距離を示す目盛りを設けることもできる。このような構成によれば、受け材2の挿入深さを簡単に測定できる。
【0049】
挿入工程及び受け材当接工程が完了した受け材2は図6に示す状態となる。具体的に、一対の受け材2は、上方受け材2Uの下面と下方受け材2Dの上面が当接した状態で貫通孔の内部に位置する。
【0050】
また、図6に示すように、貫通孔の内周面には、区画体Aに貫通孔を形成する際に生じた凹凸がある。このような凹凸があった場合であっても、受け材2の外径は貫通孔の内径よりも大きいので、受け材2の外周面が貫通孔の内周面に確実に当接できる。また、本実施形態の受け材2は、上端部及び下端部に径外方に延出した延出部7を備えるので、少なくとも2か所の延出部7が貫通孔の内壁に当接することができる。
【0051】
充填工程は、貫通孔に充填材を充填する工程である。具体的に、充填工程では、上方受け材2Uの上面、貫通孔の内周面、及び、長尺体Bの外周面によって画定される空間に充填材Cを充填する。充填工程で、充填材Cは、上下方向の厚みが挿入されたすべての受け材2の厚みの合計以上となるように充填される。本実施形態の充填工程では、上方受け材2Uの上面から貫通孔の上端部分まで充填材を充填する。
【0052】
充填工程で充填材Cが充填されると、充填材Cの重さが受け材2にかかり、受け材2が上下方向で圧縮される。具体的に、受け材2は、充填材Cの重さにより上下方向で圧縮され、径方向に延びるように弾性変形する。特に、本実施形態で、上方受け材2Uは、上方から充填材Cの重さがかかるので、充填材Cと下方受け材2Dによって挟まれる。よって、上方受け材2Uが径方向に延びるように変形する。また、上方受け材2Uは、径方向に延びるように変形することで、長尺体Bの外周面及び貫通孔の内周面に密着する。本実施形態の上方受け材2Uの孔当接部5は、弾性変形していない自然状態で外径が貫通孔の内径よりも大きいので、受け材2が上下方向に圧縮されていない状態においても、貫通孔の内周面に当接可能であり、長尺体当接部4は長尺体Bの外周面に当接可能である。さらに、上方受け材2Uの孔当接部5は、充填材Cにより上下方向で圧縮された状態で、上下方向で部分的に又は全体的に貫通孔の内周面に当接し、長尺体当接部4は長尺体Bの外周面に当接する。なお、本実施形態の孔当接部5は、貫通孔に挿入され、かつ、圧縮される前であっても、上下方向で全体的に貫通孔の内周面に当接する。受け材2は、長尺体Bの外周面及び貫通孔の内周面に密着することで、長尺体Bの外周面及び貫通孔の内周面から受ける摩擦力が大きくなるため、充填材Cの重みによって下方に移動することを抑制できる。
【0053】
受け材2は、少なくとも上下方向に圧縮された状態では透水性を有さないように構成されるので、充填材Cによって圧縮された受け材2は、上下方向に液体を透過させない。よって、受け面部3の上に充填された充填材Cが、受け材2から下方に漏れることを抑制できる。
【0054】
以上のような埋め戻し方法によれば、外径が貫通孔の内径よりも大きい受け材2を貫通孔の上方から貫通孔に挿入し、貫通孔の上方から充填材Cを充填するので、貫通孔の上方からの作業のみで貫通孔を埋め戻すことができる。
【0055】
しかも、上方受け材2Uが圧縮されることで、上方受け材2Uの密度が高まるので、充填材Cが上方受け材2Uから下方に移動することを抑制できる。また、受け材2が、長尺体Bと貫通孔の内壁によって径方向において圧縮されることで、第一鉤部8の外面(第一嵌合外面11b及び第一被嵌合外面12b)と第二鉤部9の内面(第二嵌合内面13b及び第二被嵌合内面14b)とが密着する。さらに、受け材2が径方向で圧縮されることで周方向において延びるように変形し、第一鉤部8の径方向に延びる面(第一嵌合先端面11c、第一嵌合基端面11d、及び、第一突き当て部10Aにおける突き当て面)と第二鉤部9の径方向に延びる面(第二嵌合先端面13c、第二嵌合基端面13d、及び、第二突き当て部10Bにおける突き当て面)とが密着する。よって、切込み6aが塞がれ、切込み6aから下方に充填材Cが漏れることを抑制できる。
【0056】
また、挿入工程で、受け材2を貫通孔の上方から挿入するので、受け材2は、長尺体B及び貫通孔との摩擦力によって、外縁部分及び内縁部分が上方に位置し、他の部分が下方に窪んだ状態となる。よって窪んだ部分にも充填材Cを充填できるため、充填材Cを充填できる量が増える。
【0057】
さらに、本実施形態の埋め戻し方法では、受け材装着工程、挿入工程、受け材当接工程、及び、充填工程をすべて貫通孔の上方から行うため、埋め戻しのために貫通孔の上方と下方の両方で作業をする必要がなくなる。よって、埋め戻しにかかる手間を軽減できる。
【0058】
次に、本発明の第二実施形態の埋め戻し方法について図8を参照して説明する。第一実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0059】
第二実施形態の埋め戻し方法は、受け材当接工程を備えず、受け材離間工程を備える点で第一実施形態と異なる。具体的に、本実施形態の埋め戻し方法は、(1)受け材装着工程と、(2)挿入工程と、(3)受け材離間工程と、(4)充填工程と、を備える。
【0060】
受け材離間工程は、上方受け材2Uの下面と下方受け材2Dの上面とを離間した状態で両受け材2を固定する工程である。具体的に、受け材離間工程は、貫通孔の内部において、一対の受け材2を上下方向に離間した位置で固定する工程である。本実施形態の受け材2離間工程では、受け材2を、長尺体B及び貫通孔の内周面と受け材2の間に生じる摩擦力によって受け材2を固定する。
【0061】
本実施形態で、受け材離間工程は挿入工程と同時に実行される。本実施形態では、まず、下方受け材2Dを貫通孔の内部に挿入する。ここで、下方受け材2Dは、貫通孔の下端部まで挿入される。また、下方受け材2Dは、外径が貫通孔の内径よりも大きいので、貫通孔に挿入された状態で、外周面が貫通孔の内壁に当接し、内径が長尺体Bの外径よりも小さいので、内周面が長尺体Bの外周面に当接する。よって、下方受け材2Dは、貫通孔及び長尺体Bから摩擦力を受け、該摩擦力によって長尺体Bに固定される。
【0062】
下方受け材2Dを長尺体Bに固定してから、上方受け材2Uを貫通孔の内部に挿入する。ここで、上方受け材2Uは下方受け材2Dから上方に離間した位置まで挿入される。具体的に、上方受け材2Uの貫通孔への挿入は、上方受け材2Uの下面が下方受け材2Dの上面に当接する手前まで行われる。また、上方受け材2Uは、外径が貫通孔の内径よりも大きいので、貫通孔に挿入された状態で、外周面が貫通孔の内壁に当接し、内径が長尺体Bの外径よりも小さいので、内周面が長尺体Bの外周面に当接する。よって、上方受け材2Uは、貫通孔及び長尺体Bから摩擦力を受け、該摩擦力によって長尺体Bに固定される。以上の工程により、本実施形態の挿入工程及び受け材離間工程は完了する。
【0063】
なお、本実施形態の受け材2は、摩擦力によって長尺体Bに固定されるが、このような構成に限らず、接着剤等を用いて受け材2を長尺体Bに固定することもできる。
【0064】
以上のような埋め戻し方法によれば、上方受け材2Uの上方から下方に充填材Cが漏れ出した場合に、下方受け材2Dが上方受け材2Uと離間して配置されているので、充填材Cの下方への移動を上方受け材2Uと下方受け材2Dの間で断つことができる。よって、充填材Cの漏れを確実に抑制できる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0066】
例えば、受け材2は一対を一組として用いられる場合について説明したが、このような場合に限らず、3以上の受け材2を一組として用いることもできるし、受け材2を単体で用いることもできる。
【0067】
また、予め貫通孔に挿通された長尺体Bに受け材2を装着する場合について説明したが、このような場合に限らず、受け材2を予め長尺体Bに装着し、受け材2及び長尺体Bを同時に貫通孔に挿入するように構成することもできる。
【0068】
さらに、第一鉤部8及び第二鉤部9が嵌合して切込み6aが周方向に開くのを規制する場合について説明したが、このような場合に限らず、例えば、一対の分断端部同士を接着などの手段によって固定するように構成することもできるし、受け材2と長尺体Bとの摩擦力により分断端部同士が周方向に開くのを規制するように構成することもできる。
【0069】
また、受け材当接工程で受け材2同士を当接させたうえで充填材Cを充填する場合について説明したが、このような場合に限らず、充填材Cの重みで上方受け材2Uが下方に移動して上方受け材2Uと下方受け材2Dが当接するように構成することもできる。
【0070】
さらに、受け材装着工程において、切込み部6を周方向でずらして配置する場合について説明したが、このような場合に限らず、切込み部6が軸線方向で上下に並ぶように配置することもできる。また、切込み部6に防水シートなどを被せ、切込み部6から下方への充填材Cの漏れを抑制することもできる。
【0071】
また、貫通孔は軸心が鉛直方向に延びるように形成される場合について図示したが、このような場合に限らず、軸心が鉛直方向及び水平方向に交差するように延びるように形成することもできる。
【0072】
さらに、図9に示すように、受け材挿入工程において、受け材2を貫通孔に対して挿入した深さを確認する確認工程を備えることもできる。確認工程では、受け材2に挿し込み可能な軸部16と、軸部16の上端部に設けられる目印部17と、目印部17から下方に離間して配置され、軸部16から径外方に突出した鍔部18と、を備える確認治具15を用いる。また、鍔部18は、受け材2の上面を貫通孔の上端部から離間するべき距離だけ目印部17から離れた位置に設けられる。本実施形態では、目印部17の下端部から鍔部18までの距離が受け材2の上面を貫通孔の上端部から離間するべき距離に相当する長さである。さらに、本実施形態の目印部17は、旗である。具体的に、確認工程では、貫通孔に挿入した受け材2に、受け材2の上面に鍔部18が当接するまで軸部16を挿し込み、目印部17が貫通孔の上端部の高さ以下の位置に位置しているかどうかを確認する。目印部17が貫通孔の上端面の高さ以下の位置に位置していると、貫通孔の上端部から受け材2の上面までの距離が離すべき距離だけ離れていることを確認できる。また、充填材Cを充填する際にも確認治具15を受け材2に挿し込んだ状態としておき、充填材Cを充填する高さの目印として用い、例えば充填材Cを目印部17の高さまで充填する。
【0073】
また、充填工程において、上方受け材2Uのみが圧縮される場合について説明したが、このような構成に限らず、上方受け材2U及び下方受け材2Dの両方が上下方向で圧縮されるように構成することもできる。
【0074】
さらに、埋め戻し方法の工程順について、一例を挙げて説明したが、上記工程順に限らず、埋め戻し方法では、上記(1)から(4)を工程順に備えることも、例えば(1)受け材装着工程と(2)挿入工程を同時に実行したり、(3)受け材当接工程と(4)充填工程を同時に実行したりすることも、(3)受け材当接工程を実行してから(2)挿入工程を実行することもできる。また、(3)受け材当接工程では、上方受け材2Uと下方受け材2Dを同時に下方に移動させるとして説明したが、このような構成に限らず下方受け材2Dを予め貫通孔内に挿入しておき、上方受け材2Uのみを下方受け材2Dに当接するまで下方に移動させることもできる。
【符号の説明】
【0075】
1…埋め戻し補助具、2…受け材、3…受け面部、4…長尺体当接部、5…孔当接部、6…切込み部、6a…切込み、7…延出部、8…第一鉤部、9…第二鉤部、10A…第一突き当て部、10B…第二突き当て部、11…第一嵌合部、111…第一嵌合連結部、112…第一嵌合突出部、12…第一被嵌合部、13…第二嵌合部、131…第二嵌合連結部、132…第二嵌合突出部、14…第二被嵌合部、15…確認治具、16…軸部、17…目印部、18…鍔部、A…区画体、B…長尺体、C…充填材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9