(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108868
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】超音波診断装置、超音波診断システム及び超音波診断装置制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010150
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】生田目 富夫
(72)【発明者】
【氏名】杉尾 武
(72)【発明者】
【氏名】小澤 明日香
(72)【発明者】
【氏名】栗田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 修
(72)【発明者】
【氏名】望月 史生
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE22
4C601HH13
4C601HH14
4C601JB53
4C601KK12
4C601KK18
4C601KK42
4C601LL21
4C601LL23
(57)【要約】
【課題】ネットワークの通信状態が低下した場合であっても、遠隔地における超音波画像の使用に支障をきたすことがないようにする。
【解決手段】一実施形態の画像処理装置は、生成部と、変換部と、通信部とを備える。生成部は、被検体の超音波画像を所定のフレームレートで生成する。変換部は、前記超音波画像を、遠隔地に配信するための配信超音波画像に変換する。通信部は、前記配信超音波画像を、ネットワークを介して前記遠隔地に配信する。また、変換部は、前記被検体の検査種別及び診断部位の少なくとも一方に応じて、前記配信超音波画像のデータ量及び前記配信超音波画像のフレームレートの少なくとも一方を調整する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の超音波画像を所定のフレームレートで生成する生成部と、
前記超音波画像を、遠隔地に配信するための配信超音波画像に変換する変換部と、
前記配信超音波画像を、ネットワークを介して前記遠隔地に配信する通信部と、
を備え、
前記変換部は、前記被検体の検査種別及び診断部位の少なくとも一方に応じて、前記配信超音波画像のデータ量及び前記配信超音波画像のフレームレートの少なくとも一方を調整する、
超音波診断装置。
【請求項2】
前記変換部は、前記診断部位が所定の第1の部位である場合には、前記超音波画像の画質を維持しつつ、前記配信超音波画像のフレームレートが前記所定のフレームレートよりも低くなるように、前記超音波画像を前記配信超音波画像に変換する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記変換部は、前記診断部位が所定の第2の部位である場合には、前記所定のフレームレートを維持しつつ、前記配信超音波画像のデータ量が前記超音波画像のデータ量よりも減少するように、前記超音波画像を前記配信超音波画像に変換する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記変換部は、
前記診断部位が所定の第1の部位である場合には、前記超音波画像の画質を維持しつつ、前記配信超音波画像のフレームレートが前記所定のフレームレートよりも低くなるように、前記超音波画像を前記配信超音波画像に変換し、
前記診断部位が所定の第2の部位である場合には、前記所定のフレームレートを維持しつつ、前記配信超音波画像のデータ量が前記超音波画像のデータ量よりも減少するように、前記超音波画像を前記配信超音波画像に変換する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記超音波画像を前記所定のフレームレートでフレーム毎に保存するメモリ、をさらに備え
前記変換部は、前記診断部位が所定の第2の部位である場合には、前記メモリに保存された前記超音波画像を保存された順序で間引きすることなくフレーム毎に読み出すものの、前記所定のフレームレートよりも低い読出しレートで前記メモリから読み出すことで、前記配信超音波画像のフレームレートが前記所定のフレームレートよりも低くなるように、前記超音波画像を前記配信超音波画像に変換する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記所定の第1の部位は、前記所定の第2の部位よりも動きが少ない臓器、部位、または組織である、
請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記所定の第2の部位は心臓を含み、前記第1の部位は腹部を含む、
請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記変換部は、前記配信超音波画像の解像度を前記超音波画像の解像度よりも低くすることによって、前記配信超音波画像のデータ量を前記超音波画像のデータ量よりも減少させる、
請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記変換部は、前記配信超音波画像の圧縮率を前記超音波画像の圧縮率よりも高くすることによって、前記配信超音波画像のデータ量を前記超音波画像のデータ量よりも減少させる、
請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記検査種別がカラードプラモードを含む検査であり、前記超音波画像がカラードプラ領域とBモード領域とを含む場合には、
前記変換部は、
前記カラードプラ領域の画像に対しては、a)前記所定のフレームレートの維持、及び、b)前記超音波画像の画質の維持、の少なくとも一方を行うと共に、
前記Bモード領域の画像に対しては、c)前記所定のフレームレートよりも低いフレームレートへの変換、及び、d)前記超音波画像の画質よりも低い画質への変換、の少なくとも一方を行って、前記超音波画像を前記配信超音波画像に変換する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記通信部は、前記遠隔地に設置された端末装置における前記配信超音波画像の受信側の通信品質に関する指標を、前記端末装置から受信し、
前記変換部は、前記受信側の通信品質に応じて、前記配信超音波画像のデータ量及び前記配信超音波画像のフレームレートの少なくとも一方をさらに調整する、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記通信部は、前記受信側の通信品質に関する指標を周期的に受信し、
前記変換部は、前記受信側の通信品質の変化に応じて、前記配信超音波画像のデータ量及び前記配信超音波画像のフレームレートの少なくとも一方を再調整する、
請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記通信部は、前記端末装置において、送信側の通信品質と前記受信側の通信品質とを比較できるように、前記端末装置に対して、前記送信側の通信品質に関する指標をさらに配信する、
請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
ディスプレイと、
前記ディスプレイに前記超音波画像を表示する表示制御部と、をさらに備え、
前記変換部は、前記受信側の通信品質が所定の基準値よりも低下した場合には、前記ディスプレイの表示画面の全体ではなく、前記表示画面のうちの前記超音波画像が表示されている領域を切り出し、切り出した前記領域を前記配信超音波画像とする、
請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記表示制御部は、前記領域の範囲を示す線図を前記ディスプレイに表示し、
前記通信部は、前記表示画面のうちの前記超音波画像が表示されている領域を切り出して配信していることを示す情報を、前記端末装置に送信する、
請求項14に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
ディスプレイと、
前記ディスプレイに前記超音波画像を表示する表示制御部と、をさらに備え、
前記表示制御部は、前記配信超音波画像であって、そのデータ量及びそのフレームレートの少なくとも一方が調整された前記配信超音波画像を、前記ディスプレイにさらに表示する、
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項17】
前記変換部の機能をユーザが変更または調整するためのユーザインタフェース、をさらに備える、
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項18】
前記変換部は、前記被検体の検査種別及び診断部位の少なくとも一方が、前記被検体の検査中に変更された場合には、その変更に応じて、前記配信超音波画像のデータ量及び前記配信超音波画像のフレームレートの少なくとも一方を再調整する、
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項19】
請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載の超音波診断装置と、
ネットワークを介して前記超音波診断装置と通信可能に接続される端末装置であって、前記配信超音波画像を表示するディスプレイを少なくとも備える端末装置と、
を備える超音波診断システム。
【請求項20】
被検体の超音波画像を所定のフレームレートで生成するステップと、
前記超音波画像を、遠隔地に配信するための配信超音波画像に変換するステップと、
前記配信超音波画像を、ネットワークを介して前記遠隔地に配信するステップと、
前記被検体の検査種別及び診断部位の少なくとも一方に応じて、前記配信超音波画像のデータ量及び前記配信超音波画像のフレームレートの少なくとも一方を調整するステップと、をコンピュータに実行させる超音波診断装置制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置、超音波診断システム及び超音波診断装置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された振動素子から発生する超音波パルスや超音波連続波を被検体内に放射し、被検体組織から超音波反射信号を振動素子により電気信号に変換して、被検体内の情報を非侵襲的に収集する装置である。超音波診断装置を用いた医療検査は、超音波プローブを体表に接触させる操作によって、被検体内部の断層画像や3次元画像などの医用画像を容易にかつ非侵襲で生成し、収集することができるため、臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
超音波診断装置で生成された超音波画像は、この超音波診断装置が設置されている医療機関における診断に用いられるほか、遠隔地にリアルタイムで配信される場合がある。配信された超音波画像は、例えば、遠隔地にいる医師や技師等のユーザによる診断や読影に用いられる。或いは、遠隔地での教育に配信された超音波画像が用いられることもある。
【0004】
超音波画像をリアルタイムで遠隔地に配信するために、超音波診断装置が設置されている医療機関と遠隔地との間を接続する様々なネットワークが用いられる。このようなネットワークには、例えば、インターネットや携帯電話回線などの公衆ネットワークや、有線LAN(local area network)や無線LANを含む専用ネットワーク等の種々のネットワークが含まれる。
【0005】
これらのネットワークでは、通信環境によってデータ速度等の通信品質が変動しうる。このため、遠隔地に配信される超音波画像のフレームレートの低下や画質の低下が発生し、遠隔地における超音波画像の使用に支障をきたす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の1つは、ネットワークの通信状態が低下した場合であっても、遠隔地における超音波画像の使用に支障をきたすことがないようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の画像処理装置は、生成部と、変換部と、通信部とを備える。生成部は、被検体の超音波画像を所定のフレームレートで生成する。変換部は、前記超音波画像を、遠隔地に配信するための配信超音波画像に変換する。通信部は、前記配信超音波画像を、ネットワークを介して前記遠隔地に配信する。また、変換部は、前記被検体の検査種別及び診断部位の少なくとも一方に応じて、前記配信超音波画像のデータ量及び前記配信超音波画像のフレームレートの少なくとも一方を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る超音波診断装置を含む超音波診断システムの構成例を示す図。
【
図3】実施形態に係る超音波診断装置の外観の一例を示す斜視図。
【
図4】第1の実施形態に係る超音波診断装置の機能構成例を示すブロック図。
【
図5】第1の実施形態に係る超音波診断装置の動作例を示すフローチャート。
【
図6】配信超音波画像の第1の生成処理例の概念を説明する図。
【
図7】配信超音波画像の第2の生成処理例の概念を説明する図。
【
図8】配信超音波画像の第3の生成処理例の概念を説明する図。
【
図9】配信超音波画像の第4の生成処理例の概念を説明する図。
【
図10】第2の実施形態に係る超音波診断装置の機能構成例を示すブロック図。
【
図11】第2の実施形態に係る超音波診断装置の動作例を示すフローチャート。
【
図12】配信超音波画像の第5の生成処理例の概念を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る超音波診断装置1を含む超音波診断システム500の構成例を示す図である。超音波診断システム500は、超音波診断装置1と、1つまたは複数の端末装置510とを備えて構成される。超音波診断装置1と各端末装置510とは、ネットワーク600を介して接続される。
【0011】
端末装置510は、超音波診断装置1で生成された超音波画像を表示可能なディスプレイ520(
図4参照)を備える情報処理装置である。端末装置510は、例えば、タブレット端末510a、スマートフォン510b、パーソナルコンピューター510c等の情報処理装置である。
【0012】
ネットワーク600は、超音波診断装置1と端末装置510とを接続する通信回線であり、その種類を限定するものではない。ネットワーク600は、例えば、インターネットや携帯電話回線などの公衆ネットワークでもよいし、有線LAN(local area network)や無線LANを含む専用ネットワークでもよいし、公衆ネットワークと専用ネットワークとを組み合わせてもよく、種々のネットワークを含み得る。
【0013】
図2は、従来の課題を模式的に示す図である。
図2(a)に示すように、ネットワーク600の通信環境が良好な場合には、配信元である超音波診断装置1から送り出したときの超音波画像のフレームレートや解像度などの画質は、配信先である端末装置510(例えば、タブレット端末510a)においても維持される。
【0014】
これに対して、
図2(b)に示すように、ネットワーク600の通信環境が不良の場合には、超音波診断装置1から送り出したときの超音波画像のフレームレートや解像度などの画質は配信先において低下することが起こり得る。この場合、端末装置510では、例えば、コマ落ちやフリーズ等が発生した超音波画像や、解像度が低下した、或いは、領域の一部が破壊された超音波画像が表示されることになる。実施形態の超音波診断装置1は、このような課題を解決するものである。
【0015】
図3は、実施形態に係る超音波診断装置1の外観の一例を示す斜視図である。
図3に示すように、超音波診断装置1は、装置本体20、ディスプレイ30、ユーザインタフェース40、及び、複数の超音波プローブ100(以下、単にプローブ100と呼ぶ)を備えている。
【0016】
装置本体20は、プローブ100で収集した超音波信号から超音波画像データを生成する。また、装置本体20は、生成した超音波画像データに基づく超音波画像をディスプレイ30に表示させたり、装置本体20の内部に保存したりする。
【0017】
装置本体20は、
図3に示すように、例えば4つのキャスターを有する本体ケースに収納されている。ユーザは、移動ハンドル(
図3において、ディスプレイ30の後ろに見えるハンドル)を把持しながら、超音波診断装置1を移動させることができる。
【0018】
ディスプレイ30は、装置本体20で生成された超音波画像データに基づいて、Bモード画像やカラードプラ画像等の各種の超音波画像を表示する。また、ディスプレイ30には、超音波画像や本装置の動作に関連する各種の情報やデータも表示される。ディスプレイ30は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)を備えて構成される。
【0019】
ユーザインタフェース40は、超音波診断装置1の各種の動作の設定やデータの入力を行うためのデバイスである。ユーザインタフェース40は、
図3に例示するように、例えば、スイッチパネルとタッチパネルとを備える。スイッチパネルには、トラックボールや各種のスイッチやダイアルが配置される。また、タッチパネルは、パネル面をユーザがタッチすることにより、パネル面の表示内容に応じた各種のデータや情報を入力できるように構成されている。
【0020】
(第1の実施形態)
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の機能構成例を示すブロック図である。超音波診断装置1は、ネットワーク600を介して外部の端末装置510に接続されている。端末装置510は、ディスプレイ520を備えており、超音波診断装置1から配信される超音波画像(以下、配信超音波画像と呼ぶ場合がある)をディスプレイ520に表示することができる。
【0021】
端末装置510は、超音波診断装置1の設置場所と離れた場所(例えば、遠隔地)に配置され、ディスプレイ520に表示される配信超音波画像によって、医師や超音波技師等の診断や読影に供されたり、教育に用いられたりする。
【0022】
超音波診断装置1は、前述したように、例えば、プローブ100、装置本体20、ディスプレイ30、及び、ユーザインタフェース40を有している。また、装置本体20は、例えば、送信回路201、ビームフォーマ202、走査制御回路203、信号処理回路204、画像形成回路205、制御回路206、記憶回路207、変換回路208、通信回路209、及び、表示制御回路210を備えている。
【0023】
プローブ100は、送信回路201で生成された超音波パルスを被検体に向けて送信すると共に、被検体からの反射波を受信する。ビームフォーマ202は、超音波プローブ100で受信された反射波に対して重みづけ加算処理等を行うことにより、受信ビームを形成する。また、ビームフォーマ202は、走査制御回路203からの制御信号によって受信ビームを走査する。ビームの走査は、1次元アレイのプローブ100を用いた2次元走査でもよいし、2次元アレイのプローブ100を用いた3次元走査でもよい。
信号処理回路204は、ビーム形成処理された受信信号に対して、対数検波処理、相関処理、ドプラ処理等の信号処理を行う。
画像形成回路205は、信号処理後の信号と走査角等の情報に基づいて、Bモード画像やカラードプラ画像等の超音波画像を生成する。
【0024】
表示制御回路210は、画像形成回路205で生成された超音波画像に基づいて、ディスプレイ30に表示するための表示超音波画像を生成する。例えば、表示制御回路210は、超音波画像の座標情報を示す目盛り、Bモード画像における信号強度を示す濃淡バー、カラードプラ画像における血流の速度や流れの方向を示すカラーバー等の付帯情報を示す画像と、超音波画像とを合成して、表示超音波画像を生成する。
【0025】
制御回路206は、ユーザインタフェース40を介して設定された各種の撮影モードや動作パラメータに基づいて、超音波診断装置1の全体の制御を行う。また、制御回路206は、ユーザインタフェース40を介して設定された被検体の検査種別や診断部位に関する情報を変換回路208に出力する。
【0026】
変換回路208は、画像形成回路205で生成された超音波画像、或いは、表示制御回路210で生成された表示超音波画像を、遠隔地の端末装置510に配信するための超音波画像、即ち、配信超音波画像に変換する。また、変換回路208は、配信超音波画像を変換するとき、被検体の検査種別及び診断部位の少なくとも一方に応じて、配信超音波画像のデータ量及び配信超音波画像のフレームレートの少なくとも一方を調整する。
通信回路209は、変換回路208で生成された配信超音波画像を、所定の通信方式で端末装置510に配信するための処理を行う。
【0027】
図5は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の動作例を示すフローチャートである。まず、ステップST100で、ユーザの操作によって撮影が開始される。
【0028】
次に、ステップST101で、ユーザの操作によって、検査種別及び診断部位の少なくとも一方が設定される。ステップST101の処理はステップST100の処理の前に行ってもよい。
【0029】
検査種別としては種々の分類方法が考えられるが、ここでの検査種別は、例えば、動作モードによって区別される検査の種別である。この場合、検査種別には、例えば、Bモードによる検査、カラードプラモードによる検査、Bモードとカラードプラモードとを併用する検査(言い換えると、カラードプラモードを含む検査)、パルスドプラモードを含む検査等が含まれる。
【0030】
診断部位としては、頭部、胸部、腹部、脚部といった人体部位を診断部位としてもよいし、心臓、胃、肝臓等の臓器(又は器官)や、腱、関節、靱帯、血管、筋肉等の組織を診断部位としてもよい。
【0031】
検査種別や診断部位の設定は、ユーザインタフェース40を介したユーザ操作によって行われる。設定された検査種別や診断部位に関する情報は制御回路206に入力される。そして、制御回路206は、検査種別や診断部位に対応する動作モードに応じて、送信回路201、ビームフォーマ202、走査制御回路203、信号処理回路204、画像形成回路205、及び、表示制御回路210の各部を制御する。
【0032】
ステップST102では、設定された検査種別や診断部位に応じた撮影によって収集された超音波信号から超音波画像が生成され、更に、この超音波画像に深度や走査角範囲を示す目盛りや各種の情報が付加されて表示超音波画像が生成される。
【0033】
ステップST102における超音波画像の生成処理は、送信回路201、プローブ100、ビームフォーマ202、走査制御回路203、信号処理回路204、及び、画像形成回路205の夫々の機能によってリアルタイムに行われる。また、ステップST102における表示超音波画像の生成処理は表示制御回路210によって行われ、この処理もリアルタイムに行われる。
ステップST103からステップST105の処理は、遠隔地の端末装置510に配信するための超音波画像、即ち、配信超音波画像を生成する処理である。
【0034】
ステップST103では、ステップST101で設定された検査種別や診断部位に関する情報を取得する。具体的には、変換回路208または表示制御回路210が、ステップST101で設定された検査種別や診断部位に関する情報を、ユーザインタフェース40
または制御回路206から取得する。
【0035】
ステップST104では、検査種別及び診断部位の少なくとも一方に応じて、超音波画像のデータ量及びフレームレートの少なくとも一方を調整して、配信超音波画像を生成する。例えば、検査種別及び診断部位の少なくとも一方に応じて、超音波画像のデータ量を低減する処理、及び、フレームレートを低下させる処理、の少なくとも一方を行って配信超音波画像を生成する。ステップST104の処理は、変換回路208が行う。
【0036】
図6乃至
図9は、ステップST104で行ういくつかの処理例、即ち、配信超音波画像の生成処理例の概念を説明する図である。特に、
図6乃至
図8は、診断部位に応じて、超音波画像のデータ量を低減する処理及びフレームレートを低下させる処理の少なくとも一方を行って配信超音波画像を生成する処理の概念を説明する図である。
【0037】
図6は、診断部位が腹部を含む心臓以外の臓器または組織の場合、例えば、診断部位が腹部の場合における配信超音波画像の生成処理例の概念を説明する図である。診断部位が腹部の場合は、ディスプレイ30に表示する表示超音波画像のフレームレートよりも配信超音波画像のフレームレートが低減されるように表示超音波画像が変換されて配信超音波画像が生成される。その一方で、配信超音波画像の解像度等のデータ量は維持される。
【0038】
診断部位が腹部のように動きが少ない部位の場合には、フレームレート、或いは時間分解能を低減しても、診断上それ程影響を受けないと考えられるからである。
【0039】
表示超音波画像のフレームレートは、画像形成回路205で生成される超音波画像のフレームレートと実質的に同じであるため、配信超音波画像のフレームレートは超音波画像のフレームレートに対して低減されることになる。
【0040】
一方、配信超音波画像のフレーム画像のデータ量は低減されることなく、表示超音波画像のフレーム画像のデータ量が維持されるように配信超音波画像は生成される。ここで、表示超音波画像のフレーム画像は、動画としての表示超音波画像を構成する1つ1つの各画像、即ち、1つ1つの静止画のことである。同様に、配信超音波画像のフレーム画像は、動画としての配信超音波画像を構成する1つ1つの各画像、即ち、1つ1つの静止画のことである。
【0041】
本明細書で、超音波画像のデータ量、表示超音波画像のデータ量、又は、配信超音波画像のデータ量という場合は、夫々の画像のフレーム画像のデータ量のことを意味している。また、フレーム画像のデータ量は、フレーム画像の解像度、或いは、ピクセル数によって規定される。また、超音波画像又は表示超音波画像に対して何らかの圧縮処理を行って配信超音波画像を生成している場合には、配信超音波画像のフレーム画像のデータ量は、圧縮率にも依存して規定される。フレーム画像のデータ量を低減するためには、例えば、フレーム画像の解像度を低減する、或いは、圧縮処理を行っている場合にはその圧縮率を高くすることによって行われる。
一方、配信超音波画像のフレームレートの低減は、例えば、時系列に出力される表示超音波画像の一連のフレーム画像を、所定の割合で間引くことによって行われる。
【0042】
一方、配信超音波画像のフレーム画像のデータ量の維持は、表示超音波画像のフレーム画像の解像度を維持することによって行われる。また、配信超音波画像を表示超音波画像に対して圧縮処理を行って生成している場合には、配信超音波画像のフレーム画像のデータ量の維持は、表示超音波画像のフレーム画像の圧縮率を維持することによっても行われる。
【0043】
配信超音波画像のフレームレートを低減することによって、超音波診断装置1から送出するデータの通信速度、或いは、単位時間当たりの通信容量を診断に影響のない範囲で低減することができる。この結果、超音波診断装置1と端末装置510との間の通信状態が低下した場合であっても、遠隔地における超音波画像の使用に支障をきたすことがないようにすることができる。
【0044】
図7は、診断部位が動きを伴う部位、例えば、診断部位が心臓の場合における配信超音波画像の第1の生成処理の概念を説明する図である。診断部位が心臓の場合は、配信超音波画像のフレームレートは表示超音波画像のフレームレートと同じとなるように維持される。
診断部位が心臓のように動きが大きな部位の場合には、フレームレート、或いは時間分解能が、診断上、重要と考えられるからである。
【0045】
その一方で、配信超音波画像の解像度を、表示超音波画像の解像度よりも低減することによってデータ量を低減する。また、表示超音波画像に対して圧縮処理を行って配信超音波画像を生成している場合には、圧縮率を増大することによってデータ量を低減してもよい。
【0046】
配信超音波画像のデータ量を低減することによって、超音波診断装置1から送出するデータの通信速度、或いは、単位時間当たりの通信容量を診断に影響のない範囲で低減することができる。この結果、超音波診断装置1と端末装置510との間の通信状態が低下した場合であっても、遠隔地における超音波画像の使用に支障をきたすことがないようにすることができる。
【0047】
図8は、診断部位が動きを伴う部位、例えば、診断部位が心臓の場合における配信超音波画像の第2の生成処理の概念を説明する図である。前述したように、診断部位が心臓の場合は、配信超音波画像のフレームレート、或いは時間分解能が、診断上、重要である。また、同時に、配信超音波画像のフレーム画像の解像度等の品質も重要である場合も多い。
【0048】
第2の生成処理では、超音波画像又は表示超音波画像を、画像形成回路205で生成される所定のフレームレートで、記憶回路207等の適宜のメモリにフレーム毎に一旦保存する。そして、変換回路208は、メモリに保存された超音波画像、又は、表示超音波画像を、保存された順序で間引きすることなくフレーム毎に読み出すものの、上記の所定のフレームレートよりも低い読出しレートでメモリから読み出すことで、配信超音波画像のフレームレートが上記の所定のフレームレートよりも低くなるように、超音波画像又は表示超音波画像を前記配信超音波画像に変換する。
【0049】
一方、配信超音波画像のフレーム画像のデータ量は低減されることなく、表示超音波画像のフレーム画像のデータ量が維持されるように配信超音波画像は生成される。具体的には、配信超音波画像のフレーム画像の解像度は低減されることなく、表示超音波画像のフレーム画像の解像度が維持されるように配信超音波画像が生成される。また、配信超音波画像を表示超音波画像に対して圧縮処理を行って生成している場合には、配信超音波画像のフレーム画像の圧縮率は維持される。
【0050】
診断部位が心臓の場合における配信超音波画像の第2の生成処理では、配信超音波画像のフレームレートを、フレーム画像を間引きすることなく低減することによって、超音波診断装置1から送出するデータの通信速度、或いは、単位時間当たりの通信容量を低減している。
【0051】
この結果、超音波診断装置1と端末装置510との間の通信状態が低下した場合であっても、遠隔地における超音波画像の使用に支障をきたすことがないようにすることができる。
【0052】
その一方で、配信超音波画像の個々のフレーム画像は間引きされることなく、超音波診断装置1のディスプレイで表示されている表示超音波画像と同じ画像が、端末装置510のディスプレイ520では、謂わば、スローモーションのように表示される。また、配信超音波画像の個々のフレーム画像の解像度も超音波診断装置1のディスプレイで表示されている表示超音波画像と同じ解像度が維持される。
この結果、超音波診断装置1の表示超音波画像と実質的に同じ品質の超音波画像を端末装置510に提供することが可能となる。
【0053】
図9は、検査種別に応じて、超音波画像のデータ量を低減する処理及びフレームレートを低下させる処理の少なくとも一方を行って配信超音波画像を生成する処理の概念を説明する図である。
【0054】
具体的には、
図9は、検査種別がカラードプラモードを含む検査の場合における配信超音波画像の生成処理の概念を説明する図である。カラードプラモードは、Bモードと併用されるのが一般的であり、Bモード画像領域の一部にカラードプラモード画像領域が設定される。例えば、
図9に例示したように、Bモード画像領域の中央部の一部領域が、カラードプラモード画像領域として設定される。
【0055】
カラードプラモードを含む検査では、血流の速度や血流方向が重要視される。したがって、カラードプラモード画像領域の画像の品質の方が、その外側のBモード画像領域の画像の品質よりも優先される。
【0056】
そこで、検査種別がカラードプラモードを含む検査の場合には、カラードプラモード画像領域の画像の品質を維持しつつ、Bモード画像領域の画像の品質はある程度低減するように、超音波画像又は表示超音波画像を変換して配信超音波画像を生成するようにしている。
【0057】
具体的には、検査種別がカラードプラモードを含む検査の場合には、変換回路208は、カラードプラモード画像領域、即ち、カラー領域の画像の対しては、超音波画像又は表示超音波画像のフレームレートを維持するように配信超音波画像を生成すると共に、超音波画像又は表示超音波画像の画質或いはデータ量を維持する、即ち、解像度や圧縮率を維持するように配信超音波画像を生成するようにしている。
【0058】
一方、検査種別がカラードプラモードを含む検査の場合には、変換回路208は、Bモード画像領域、即ち、モノクロ領域の画像に対しては、a)超音波画像又は表示超音波画像のフレームレートを低減する処理、及び、b)超音波画像又は表示超音波画像の画質の低下或いはデータ量を削減する処理(即ち、解像度を低減する処理、又は、圧縮処理をしている場合は圧縮率を高める処理)、の少なくとも一方を行うことにより、超音波画像又は表示超音波画像を変換して配信超音波画像を生成するようにしている。
【0059】
上述した処理によって、検査種別がカラードプラモードを含む検査の場合において、カラードプラモード画像領域の画像の品質を維持しつつ、Bモード画像領域の画像の品質をある程度低減することにより、配信超音波画像の通信速度、或いは、単位時間当たりの通信容量を低減することが可能となる。この結果、超音波診断装置1と端末装置510との間の通信状態が低下した場合であっても、遠隔地における超音波画像の使用に支障をきたすことがないようにすることができる。
【0060】
以上、
図6乃至
図9を用いて、ステップST104で行ういくつかの配信超音波画像の生成処理例について説明してきた。ステップST104の処理は、主に、変換回路208が行う。
【0061】
図5に戻り、ステップST105では、ステップST104で生成された配信超音波画像を、ネットワーク600を介して、遠隔地にある端末装置510に配信する。ステップST105の処理は通信回路209が行う。
【0062】
超音波診断装置1の動作中においては、ユーザの操作によって、検査種別や診断部位が変更されることはしばしば起こり得る。そこで、ステップST106では、検査種別と診断部位のどちらか一方、或いは、検査種別と診断部位の両方が変更されたか否かをモニタし、変更されたと判断された場合にはステップST103に戻る。そして、ステップST103乃至ステップST105において、変更された検査種別や診断部位に応じて、配信超音波画像のデータ量に関連付けられる解像度や圧縮率、及び、配信超音波画像のフレームレートの少なくとも一方を再調整する。
【0063】
なお、超音波診断装置1のディスプレイ30に、表示超音波画像に加えて、表示超音波画像から変換された配信超音波画像をさらに表示するようにしてもよい。例えば、ディスプレイ30に、表示超音波画像と配信超音波画像とを並べて表示してもよい。配信超音波画像を超音波診断装置1のディスプレイ30に表示することにより、画像のデータ量やフレームレートが低減された画像を配信元のユーザに確認させることが可能となる。
【0064】
また、上述したフローチャートに示した処理では、検査種別や診断部位を制御回路206や変換回路208が検出し、配信超音波画像のフレームレートやデータ量を低減する処理を自動で行うものとしていた。また、フレームレートの低減率等の低減の程度や、データ量の低減率等の低減の程度(即ち、解像度の低減率や圧縮率の増加率等)は、事前に決定された値を参照して、例えば、事前に決定されたルックアップテーブルを参照して決定するものとしている。
【0065】
このような自動的な処理に替えて、手動による動作を選択できるようにしても良い。例えば、配信超音波画像のフレームレートやデータ量を低減する処理を自動で行うか否かを手動で選択できるようにユーザインタフェース40を構成してもよい。また、超音波画像又は表示超音波画像を変換して配信超音波画像を生成する際に、個々のフレーム画像の画質を優先するのか、或いは、フレームレートを優先するのかを選択できるようにユーザインタフェース40を構成してもよい。また、配信超音波画像のフレームレートやデータ量を低減する処理が選択された場合において、フレームレートの低減率や、フレーム画像のデータ量の低減率等のパラメータを手動で設定できるように、ユーザインタフェース40を構成してもよい。
【0066】
なお、
図6乃至
図9で説明した処理の他、表示超音波画像の一部の領域を切り取って配信超音波画像を生成することにより、配信超音波画像のデータ量を低減する処理も考えられる。このような処理を実施する場合において、ディスプレイ30上の表示超音波画像に対して、切り取る領域の範囲、位置、大きさ等を指定できるようにユーザインタフェース40を構成してもよい。
【0067】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1の機能構成例を示すブロック図である。第2の実施形態は、超音波診断装置1の構成自体は第1の実施形態(
図4)と同じであるが、通信回路209が端末装置510から通信品質に関する指標を受信し、変換回路208が、受信した通信品質に応じて、配信超音波画像のデータ量及び配信超音波画像のフレームレートの少なくとも一方をさらに調整するように構成されている点において、第1の実施形態と異なっている。
【0068】
図11は、第2の実施形態に係る超音波診断装置1の動作例を示すフローチャートである。第1の実施形態の動作例(
図5参照)との相違点は、ステップST200、ステップST201、及び、ステップST202が付加されている点である。
【0069】
ステップST200では、配信先の通信品質に関する指標を取得する。具体的には、配信先である端末装置510において、配信先の通信品質に関する指標として、例えば、端末装置510の受信時の通信速度を測定し、測定した配信先の通信品質に関する指標を、端末装置510から超音波診断装置1に送信する。そして、超音波診断装置1の通信回路209は、受信した通信品質を変換回路208に送る。
【0070】
ステップST201では、検査種別、診断部位、及び、配信先の通信品質の少なくとも1つに応じて、超音波画像のデータ量、及び、フレームレートの少なくとも一方を調整して配信超音波画像を生成する。
【0071】
例えば、配信先の通信品質が、超音波診断装置1の画像形成回路205で生成された超音波画像、又は、ディスプレイ30に表示される表示超音波画像を、これらと同じフレームレートで、かつ、同じ画質で配信できる程度に高いと判定される場合には、変換回路208は、これらのフレームレートや画質を低減することなく、超音波画像や表示超音波画像と同じフレームレート、同じ画質の配信超音波画像を生成する。
【0072】
逆に、配信先の通信品質が、超音波画像または表示超音波画像を、これらと同じフレームレート、同じ画質で配信できない程度に劣化していると判定される場合には、第1の実施形態で説明した種々の方法により、フレームレートや画質を低減させた配信超音波画像を生成する。
【0073】
ステップST202では、配信先の通信品質を、例えば周期的にモニタし、配信先の通信品質が変化したか否かを判定する。配信先の通信品質が変化したと判定された場合には、ステップST103に戻り、変化後の配信先の通信品質に基づいて配信超音波画像のデータ量やフレームレートを調整する。
【0074】
図12は、
図6乃至
図9に例示した方法とは異なる方法で配信超音波画像のデータ量を低減する処理の概念を示す図である。
図12では、配信先の通信品質、例えば、端末装置510の受信時の通信速度が所定値よりも低下したと判断される場合に、超音波診断装置1のディスプレイ30に表示される表示超音波画像の全体ではなく、表示超音波画像のうちの超音波画像が表示されている領域(例えば、扇型の領域)を抽出し、抽出した領域の画像を配信超音波画像に変換する処理例を示している。
【0075】
図12に示す処理例によっても、配信超音波画像のデータ量を低減することが可能となり、超音波診断装置1と端末装置510との間の通信状態が低下した場合であっても、遠隔地における超音波画像の使用に支障をきたすことがないようにすることができる。
【0076】
なお、
図12の処理の実施時において、超音波診断装置1のディスプレイ30に、端末装置510に配信している画像の領域の範囲を示す線図を表示してもよい。また、超音波診断装置1の変換回路208は、端末装置510に送っている配信超音波画像は、表示超音波画像の全体ではなく、一部の領域を切り出して配信していることを示す情報を、端末装置510に対して送信するようにしてもよい。
【0077】
この他、超音波診断装置1の変換回路208又は通信回路209は、端末装置510において送信側の通信品質(即ち、超音波診断装置1が送り出すときの通信品質)と受信側の通信品質(端末装置510が受信するときの通信品質)を比較できるように、端末装置510に対して、送信側の通信品質に関する指標(例えば、通信速度)を、配信超音波画像に加えて配信するようにしてもよい。
【0078】
なお、本実施形態の記載における画像形成回路、記憶回路、変換回路、表示制御回路、及び、通信回路は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の生成部、メモリ、変換部、表示制御部、及び、通信部の一例である。
【0079】
以上説明してきたように、各実施形態の超音波診断装置、超音波診断システム、及び、超音波診断装置制御プログラムによれば、ネットワークの通信状態が低下した場合であっても、遠隔地における超音波画像の使用に支障をきたすことがないようにすることができる。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 超音波診断装置
20 装置本体
30 ディスプレイ
40 ユーザインタフェース
205 画像形成回路
206 制御回路
208 変換回路
209 通信回路
210 表示制御回路
500 超音波診断システム
510 端末装置
600 ネットワーク