(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108890
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】壁面撮影システム
(51)【国際特許分類】
E21F 17/00 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
E21F17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010186
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】畑 浩二
(57)【要約】
【課題】
短時間に無人でコンクリート壁面の画像を取得することができる壁面撮影システムを提供する。
【解決手段】トンネルのコンクリート壁面を撮影する壁面撮影システムであって、コンクリート壁面に取り付けられた走行レール2と、走行レール2に沿って走行して反対側のコンクリート壁面を撮影する走行体3と、を具備し、走行レール2の端部には、停止指示部として停止片が設けられていると共に、走行体3は、走行体3の走行をオンオフする電源スイッチ(電源操作片331)を備え、走行体3は、停止片が設けられた走行レール2の端部に到達すると、停止片によって電源スイッチ(電源操作片331)がオンからオフに切り換えられて停止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルのコンクリート壁面を撮影する壁面撮影システムであって、
前記コンクリート壁面に取り付けられた走行レールと、
前記走行レールに沿って走行して反対側の前記コンクリート壁面を撮影する走行体と、を具備し、
前記走行レールの端部には、停止指示部が設けられていると共に、前記走行体は、前記走行体の走行をオンオフする電源スイッチを備え、
前記走行体は、前記停止指示部が設けられた前記走行レールの端部に到達すると、前記停止指示部によって前記電源スイッチがオンからオフに切り換えられて停止することを特徴とする壁面撮影システム。
【請求項2】
前記走行レールの端部には、転回指示部が設けられていると共に、前記走行体は、前記走行体の走行方向を切り換える方向スイッチを備え、
前記走行体は、前記転回指示部が設けられた前記走行レールの端部に到達すると、前記転回指示部によって前記方向スイッチが切り換えられて逆方向に走行することを特徴とする請求項1記載の壁面撮影システム。
【請求項3】
前記走行体は、前記走行体を走行させるモータのロックや空回りを検出すると、前記モータの回転方向を切り換えて前記走行体を逆方向に走行させる回転検出部を具備することを特徴とする請求項2記載の壁面撮影システム。
【請求項4】
両側の前記コンクリート壁面にそれぞれ取り付けられた前記走行レールの端部間を接続する接続レールを備え、
前記接続レールは、道路の車両限界の外側を通り、前記トンネルの内もしくは外で前記道路を横断するように設置されていることを特徴とする請求項2又は3記載の壁面撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルのコンクリート壁面を撮影する壁面撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル竣工後のコンクリート壁面の安全確認は、定期的に人間による目視観察が行われてきた。目視観察では、多人数で人海戦術的に実施していた。その方法では、上向き観
察は作業員の負担が大きく、観察速度は遅かった。
【0003】
そこで、自動車にレーザーやカメラを搭載し、撮影・計測する技術が開発され、現在は、概ねこの方法が採用されることが多い。また、最近では、ドローン調査も施行されつつある。
【0004】
さらに、道路に沿ってトンネル内に施設された案内レール上を移動する移動式テレビカメラも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、自動車を用いる方法では、50~80km/h程度の運行速度で壁面画像を入手することが可能であるが、特殊車両となり高価であると共に、手軽に作業が行える状況ではない。一方、ドローンを利用した撮影も施行される機運であるが、操作パイロット、安全監視員と複数の作業員が必要となる。作業時間の制限もある。
【0007】
また、特許文献1の技術では、移動式テレビカメラの撮影及び移動を制御する制御装置が必要となるため、制御装置を設置するためのコストが高くなってしまう。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消し、短時間に無人でコンクリート壁面の画像を取得することができる壁面撮影システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の壁面撮影システムは、トンネルのコンクリート壁面を撮影する壁面撮影システムであって、前記コンクリート壁面に取り付けられた走行レールと、前記走行レールに沿って走行して反対側の前記コンクリート壁面を撮影する走行体と、を具備し、前記走行レールの端部には、停止指示部が設けられていると共に、前記走行体は、前記走行体の走行をオンオフする電源スイッチを備え、前記走行体は、前記停止指示部が設けられた前記走行レールの端部に到達すると、前記停止指示部によって前記電源スイッチがオンからオフに切り換えられて停止することを特徴とする。
さらに、本発明の壁面撮影システムにおいて、前記走行レールの端部には、転回指示部が設けられていると共に、前記走行体は、前記走行体の走行方向を切り換える方向スイッチを備え、前記走行体は、前記転回指示部が設けられた前記走行レールの端部に到達すると、前記転回指示部によって前記方向スイッチが切り換えられて逆方向に走行しても良い。
さらに、本発明の壁面撮影システムにおいて、前記走行体は、前記走行体を走行させるモータのロックや空回りを検出すると、前記モータの回転方向を切り換えて前記走行体を逆方向に走行させる回転検出部を備えていても良い。
さらに、本発明の壁面撮影システムにおいて、両側の前記コンクリート壁面にそれぞれ取り付けられた前記走行レールの端部間を接続する接続レールを備え、前記接続レールは、道路の車両限界の外側を通り、前記トンネルの内もしくは外で前記道路を横断するように設置されていても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業員が走行体を走行レールに装着して電源スイッチをオンさせるだけで、走行体がトンネル内を自動走行して停止片が設けられている走行レールの端部で停止するため、短時間に無人でコンクリート壁面の画像を取得することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る壁面撮影システムの実施形態の構成を示す側面図である。
【
図2】
図1に示す壁面撮影システムの断面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示す走行レールの取り付け例を示す図である。
【
図4】
図1及び
図2に示す走行体の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図4に示す電源スイッチの動作を説明する説明図である。
【
図6】
図4に示す方向スイッチの動作を説明する説明図である。
【
図7】
図1及び
図2に示す走行レールの他の取り付け例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
本実施形態の壁面撮影システムは、トンネル竣工後にコンクリート壁面1を撮影するシステムであり、
図1及び
図2を参照すると、コンクリート壁面1に取り付けられた走行レール2と、走行レール2に沿って走行してコンクリート壁面1を撮影する走行体3とを備えている。
図1は、道路(軌道も含む)側から走行レール2を走行する走行体3を見た図である。
図2は、
図1に示すX-X断面図及びY-Y断面図である。
【0013】
走行レール2は、ブラケット等の取り付け具11を用いてコンクリート壁面1に取り付けられており、コンクリート壁面1との間に、走行する走行体3がコンクリート壁面1に接触しない所定の間隔が確保されている。また、走行レール2と走行する走行体3とは、トンネル内の道路の車両限界の外側に配置される。
【0014】
取り付け具11には、その取り付け具11(トンネル内の取り付け位置)を特定する固有情報12が道路側から目視可能な状態で表記されている。例えば、固有情報12として取り付け具11にナンバリングを付して、取り付け具11を予め設定された間隔で設けた場合、取り付け具11に表記された固有情報12によって、トンネル内の位置が把握される。
【0015】
走行レール2は、
図3に示すように、トンネル両側のコンクリート壁面1に一方の坑口付近から他方の坑口付近まで連続してそれぞれ取り付けられている。走行レール2の取り付け高さは、後述する撮影範囲が確保できる範囲であれば、特に制限はなく、必ずしも水平である必要はない。
【0016】
走行レール2は、下面の長手方向にスリットSが形成された中空の角形レールであり、中空部におけるスリットSの両側下面が駆動輪4及び従動輪5(スライド部材でも良い)の走行面となる。駆動輪4と走行体3とは、スリットSを通る動力伝達軸41によって連結され、従動輪5と走行体3とは、スリットSを通る連結具51によって連結されている。なお、本実施の形態では、動力伝達軸41を用いたギア伝達でモータ31の回転を駆動輪4に伝達する構成を採用したが、ベルト伝達やチェーン伝達を用いても良い。また、駆動輪4とモータ31とを一体化した車両として走行レール2の中空部を走行するように構成しても良い。この場合、動力伝達軸41が省略され、走行体3からモータ31には、電源供給が行われる。
【0017】
走行レール2の形状やスリットSの形成位置は、駆動輪4及び従動輪5が走行可能であれば、特に制限はない。しかし、本実施の形態のように、駆動輪4及び従動輪5の走行面を走行レール2の中空部とし、スリットSを下面が形成することで、走行レール2の中空部に埃や塵が侵入しにくくなり、埃や塵が走行面に堆積することを抑制できる。
【0018】
走行体3は、円筒状の筐体を備え、3対の従動輪5及び連結具51によって走行レール2に吊り下げられた状態で、駆動輪4の回転によって走行レール2に沿って走行する。筐体の形状には、特に制限はない。
【0019】
走行体3は、
図4を参照すると、モータ31と、第1カメラ32aと、第2カメラ32bと、第3カメラ32cと、電源スイッチ33と、方向スイッチ34と、回転検出部35
記憶部36と、電源部37と、を備えている。
【0020】
モータ31は、例えば、DCモータによって構成され、電源スイッチ33によってオンオフされると共に、方向スイッチ34によって指示された方向に回転する。電源スイッチ33によってモータ31がオンされて回転が開始されると、モータ31の回転が動力伝達軸41によって駆動輪4に伝達され、走行体3の走行レール2に沿った走行が開始される。
【0021】
第1カメラ32a、第2カメラ32b及び第3カメラ32cは、映像を撮影するビデオカメラや所定の時間間隔で画像を撮影するスチルカメラで構成され、電源スイッチ33によってオンされると、撮影を開始する。すなわち、第1カメラ32a、第2カメラ32b及び第3カメラ32cの撮影は、走行体3の走行と連動している。また、第1カメラ32a、第2カメラ32b及び第3カメラ32cは、トンネル内の光度でも反対側のコンクリート壁面を撮影可能なものが好ましい。撮影に際して光度が不足している場合、反対側のコンクリート壁面を照らすLED等の照明を走行体3に設けても良い。
【0022】
第1カメラ32a、第2カメラ32b及び第3カメラ32cは、
図3に示すように、天頂部を含む反対側のコンクリート壁面が撮影範囲となるように配置されている。この撮影範囲をカバー可能であれば、カメラは、1台であっても良い。
【0023】
電源スイッチ33は、モータ31と、第1カメラ32a、第2カメラ32b及び第3カメラ32cとのオンオフする物理スイッチである。電源スイッチ33は、走行レール2の方向に突出した電源操作片331を備えている。走行する走行体3は、
図5に示すように、走行レール2に停止指示部として設けられた停止片21に電源操作片331が当接することで、電源スイッチ33がオンからオフに切り換えられ、停止する。なお、
図5において、(a)は側面図であり、(b)は停止片21が設けられた走行レールの端部側から見た図である。また、本実施形態では、停止片21によって物理的に電源スイッチ33を切り換える構成を採用したが、停止指示部を電子回路や通信回路で構成し、電気的もしくは通信によって電源スイッチ33を切り換えても良い。
【0024】
方向スイッチ34は、モータ31の回転方向を切り換える物理スイッチである。方向スイッチ34は、電源スイッチ33とは異なる走行レーンで走行レール2の方向に突出した方向操作片341を備えている。走行する走行体3は、
図6に示すように、走行レール2に転回指示部として設けられた転回片22に方向操作片341が当接することで、方向スイッチ34が正転から逆転に切り換えられ、逆方向に(戻る方向に)走行する。なお、
図5において、(a)は側面図であり、(b)は転回片22が設けられた走行レールの端部側から見た図である。また、本実施形態では、転回片22によって物理的に方向スイッチ34を切り換える構成を採用したが、転回指示部を電子回路や通信回路で構成し、電気的もしくは通信によって方向スイッチ34を切り換えても良い。
【0025】
回転検出部35は、モータ電流等を検知することでモータ31のロック(駆動輪4の停止)や空回り(駆動輪4の空回り)を検出し、モータ31のロックや空回りが検出されると、モータ31の回転方向を切り換える。例えば、回転検出部35は、モータ電流が予め設定された閾値を超えると、モータ31のロック(駆動輪4の停止)を検出する。また、回転検出部35は、モータ電流が予め設定された閾値を下回ると、モータ31の空回り(駆動輪4の空回り)を検出する。
【0026】
記憶部36は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体で構成され、第1カメラ32a、第2カメラ32b及び第3カメラ32cによって撮影された映像や画像が記憶される。そして、記憶部36に記憶された映像や画像を読み出して解析することで、コンクリート壁面の安全確認を行うことができる。
【0027】
電源部37は、バッテリ等の蓄電部を備え、蓄電部の電力をモータ31、第1カメラ32a、第2カメラ32b、第3カメラ32c、回転検出部35及び記憶部36に電源として供給する。
【0028】
本実施の形態の壁面撮影システムによるコンクリート壁面の撮影手順について詳細に説明する。
図3に示すように、走行レール2の一方の端部に停止片21を設けておくと共に、走行レール2の他方の端部に転回片22を設けておく。
図3に示す例では、左側のコンクリート壁面に取り付けられた走行レール2において、手前側端部に停止片21が、奥側端部に転回片22がそれぞれ設けられている。また、右側のコンクリート壁面に取り付けられた走行レール2において、奥側端部に停止片21が、手前側端部に転回片22がそれぞれ設けられている。
【0029】
作業員は、走行体3を停止片21が設けられた走行レール2の一方の端部に装着する。走行体3の装着は、例えば、走行レール2の端部から駆動輪4及び従動輪5を中空部に挿入する。また、走行レール2の側面に駆動輪4及び従動輪5を挿入するための開口を設けても良い。さらに、走行レール2の中空部に備え付けた駆動輪4及び従動輪5に、動力伝達軸41及び連結具51を連結しても良い。
【0030】
次に、操作者は、方向スイッチ34が正転にセットした状態で、電源操作片331を操作して電源スイッチ33をオンさせる。これにより、走行体3は、走行を開始すると共に、第1カメラ32a、第2カメラ32b及び第3カメラ32cは、反対側のコンクリート壁面の撮影を開始する。そして、走行体3は、
図3に示す矢印A1、B1のように、走行レール2に沿って転回片22が設けられた他方の端部まで走行し、反対側のコンクリート壁面がトンネル全長に亘って撮影される。なお、撮影データには、取り付け具11の固有情報12が映り込むため、簡単にトンネル内の位置を把握できる。
【0031】
次に、走行レール2の他方の端部には、転回片22が設けられているため、転回片22に方向操作片341が当接することで、方向スイッチ34が正転から逆転に切り換えられる。これにより、走行体3は、逆方向への走行を開始し、
図3に示す矢印A2、B2のように、走行レール2に沿って停止片21が設けられた一方の端部まで走行する。なお、モータ31の逆回転時には、第1カメラ32a、第2カメラ32b及び第3カメラ32cの撮影を停止させても良い。
【0032】
次に、走行レール2の一方の端部には、停止片21が設けられているため、停止片21に電源操作片331が当接することで、電源スイッチ33がオフされ、走行体3は、走行を停止すると共に、第1カメラ32a、第2カメラ32b及び第3カメラ32cも撮影を停止する。このように、作業員は、走行体3を走行レール2に装着して電源スイッチ33をオンさせるだけで、走行体3がトンネル内を自動走行し、短時間に無人でコンクリート壁面の画像を取得することができる。そして、撮影後は、装着した位置に走行体3が停止しているため、回収も簡単に行うことができ、走行体3の装着、回収までを一人で作業可能である。さらに、走行レール2に沿わせて走行体3を運行させるため、自動車運行、ドローン飛行に比べて安全運行時間の制約がない(例えば、ドローンでは一般車両の進入を一時停止する必要がある)。
【0033】
走行レール2の途中で外的要因(例えば、走行レール2の変形や過剰な埃の堆積等)によって走行体3の走行が妨げられてしまった場合、回転検出部35は、モータ31のロック(駆動輪4の停止)や空回り(駆動輪4の空回り)を検出してモータ31の回転方向を切り換える。これにより、走行体3の逆方向に走行し、装着位置に戻って停止することになり、走行レール2の途中での走行体3の停止を防止できる。なお、回転検出部35によってモータ31のロックや空回りが検出された場合、撮影が完了していないことになる。従って、撮影が完了していないことを報知するLED等の報知部を設けると良い。
【0034】
図7に示すように、両側のコンクリート壁面にそれぞれ取り付けた走行レール2の端部間を坑口付近で接続する接続レール2aを設けると、より撮影効率が良くなる。接続レール2aは、コンクリート壁面を徐々に上昇し、道路の車両限界の外側を通り、トンネルの内もしくは外で道路を横断するように設置される。なお、
図7の接続レール2aは、道路の車両限界の上側を通り、トンネルの外で道路を横断する例が示されている。
【0035】
接続レール2aを設けた場合、
図7に示すように、同じ坑口に走行レール2の一方の端部と他方の端部とが配置されることになる。従って、
図7(a)に示すように、一方の端部に停止片21を、他方の端部に転回片22を設けることで、走行体3が
図7(a)に示す矢印C―1~C-6のように走行し、1回の撮影作業で両側のコンクリート壁面の画像を取得することができる。この場合でも、撮影後は、装着した位置に走行体3が停止しているため、回収も簡単に行うことができる。
【0036】
なお、撮影後の走行体3の回収を他方の端部で行っても良い場合、
図7(b)に示すように、他方の端部のみに停止片21を設けると良い。この場合、走行体3の走行は、
図7(b)に示す矢印D―1~D-3のように片道走行になり、撮影時間をより短縮することができると共に、方向スイッチ34を省略できる。
【0037】
さらに、両方の坑口のそれぞれで、接続レール2aによって走行レール2の端部間を接続しても良い。この場合には、停止片21を設けられた箇所に走行体3を装着すれば、走行体3は、片道走行でも撮影後に装着した位置に戻って停止するため、回収が容易になる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態は、トンネルのコンクリート壁面1を撮影する壁面撮影システムであって、コンクリート壁面1に取り付けられた走行レール2と、走行レール2に沿って走行して反対側のコンクリート壁面1を撮影する走行体3と、を具備し、走行レール2の端部には、停止指示部として停止片21が設けられていると共に、走行体3は、走行体3の走行をオンオフする電源スイッチ33を備え、走行体3は、停止片21が設けられた走行レール2の端部に到達すると、停止片21によって電源スイッチ33がオンからオフに切り換えられて停止する。
この構成により、作業員が走行体3を走行レール2に装着して電源スイッチ33をオンさせるだけで、走行体3がトンネル内を自動走行して停止片21が設けられている走行レール2の端部で停止するため、短時間に無人でコンクリート壁面の画像を取得することができる。
【0039】
さらに、本実施形態において、走行レール2の端部には、転回指示部として転回片22が設けられていると共に、走行体3は、走行体3の走行方向を切り換える方向スイッチ34を備え、走行体3は、転回片22が設けられた走行レール2の端部に到達すると、転回片22によって方向スイッチ34が切り換えられて逆方向に走行する。
この構成により、撮影後は、装着した位置に走行体3が停止しているため、回収も簡単に行うことができ、走行体3の装着、回収までを一人で作業可能である。
【0040】
さらに、本実施形態において、走行体3は、走行体3を走行させるモータ31のロックや空回りを検出すると、モータ31の回転方向を切り換えて走行体3を逆方向に走行させる回転検出部35を具備する。
この構成により、走行レール2の途中での走行体3の停止を防止できる。
【0041】
さらに、本実施形態において、両側のコンクリート壁面1にそれぞれ取り付けられた前記走行レールの端部間を接続する接続レールを備え、前記接続レールは、道路の車両限界の外側を通り、トンネルの内もしくは外で前記道路を横断するように設置される。
この構成により、1回の撮影作業で両側のコンクリート壁面の画像を取得することができる。
【0042】
以上、実施形態をもとに本発明を説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせ等にいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0043】
1 コンクリート壁面
2 走行レール
2a 接続レール
3 走行体
4 駆動輪
5 従動輪
11 取り付け具
12 固有情報
21 停止片
22 転回片
31 モータ
32a 第1カメラ
32b 第2カメラ
32c 第3カメラ
33 電源スイッチ
34 方向スイッチ
35 回転検出部
36 記憶部
37 電源部
41 動力伝達軸
51 連結具
331 電源操作片
341 方向操作片
S スリット