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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108943
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ねじ製造システム
(51)【国際特許分類】
   B21H 3/02 20060101AFI20230731BHJP
   B23G 1/02 20060101ALI20230731BHJP
   B23G 7/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
B21H3/02
B23G1/02 A
B23G7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010270
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】508207767
【氏名又は名称】テンクモ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399028986
【氏名又は名称】東洋電溶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】天雲 博樹
(72)【発明者】
【氏名】西山 要助
(72)【発明者】
【氏名】木村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】内海 孝
(57)【要約】
【課題】作業者の安全性の低下を抑制し、ねじ製造の効率を向上させることができるねじ製造システムを提供する。
【解決手段】ねじ製造システムは、転造によってねじを製造する転造装置と、切削によってねじを製造する切削装置と、製造されるねじの仕様情報を受け付け、受け付けた仕様情報に基づいて前記転造装置及び前記切削装置を制御する制御装置とを備える。好ましくは、前記制御装置は、前記仕様情報に基づいて加工条件を生成する生成部と、生成した加工条件を前記転造装置又は切削装置に送信する送信部とを有し、前記加工条件は、転造加工又は切削加工を示す情報を含み、前記送信部は、前記転造装置から前記加工条件を要求された場合、前記転造加工を示す情報に紐づけられた前記加工条件を前記転造装置に送信し、前記切削装置から前記加工条件を要求された場合、前記切削加工を示す情報に紐づけられた前記加工条件を前記転造装置に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転造によってねじを製造する転造装置と、
切削によってねじを製造する切削装置と、
製造されるねじの仕様情報を受け付け、受け付けた仕様情報に基づいて前記転造装置及び前記切削装置を制御する制御装置と
を備えるねじ製造システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記仕様情報に基づいて加工条件を生成する生成部と、
生成した加工条件を前記転造装置又は切削装置に送信する送信部と
を有し、
前記加工条件は、転造加工又は切削加工を示す情報を含み、
前記送信部は、
前記転造装置から前記加工条件を要求された場合、前記転造加工を示す情報に紐づけられた前記加工条件を前記転造装置に送信し、
前記切削装置から前記加工条件を要求された場合、前記切削加工を示す情報に紐づけられた前記加工条件を前記転造装置に送信する
請求項1に記載の製造システム。
【請求項3】
前記仕様情報は、ねじの直径を含み、
前記転造装置は、転造制御装置と、被加工材を転造する転造機と、前記転造機に対する前記被加工材の位置決めを行う転造位置決め機とを備え、
前記切削装置は、切削制御装置と、被加工材を切削する切削機と、前記切削機に対する前記被加工材の位置決めを行う切削位置決め機とを備え、
前記加工条件は、前記被加工材の直径に基づいて生成され、前記被加工材の位置と前記転造機の位置とを整合させる前記転造位置決め機の高さである転造高さと、前記被加工材の直径に基づいて生成され、前記被加工材の位置と前記切削機の位置とを整合させる前記切削位置決め機の高さである切削高さとを含み、
前記転造制御装置は、前記転造高さを受信した場合、前記転造高さになるように、前記転造位置決め機を上下方向に移動させ、
前記切削制御装置は、前記切削高さを受信した場合、前記切削高さになるように、前記切削位置決め機を上下方向に移動させる
請求項2に記載の製造システム。
【請求項4】
前記仕様情報は、前記被加工材の材質、ねじの長さ及びねじの規格を含み、
前記加工条件は、前記被加工材の材質、ねじの長さ及びねじの規格に基づいて生成される前記転造機の転造圧力と、前記被加工材の材質、ねじの長さ及びねじの規格に基づいて生成される前記切削機が前記被加工材をチャッキングするチャッキング圧力とを含み、
前記転造制御装置は、前記転造圧力を受信した場合、前記転造圧力によって前記転造機を駆動させ、
前記切削制御装置は、前記チャッキング圧力を受信した場合、前記チャッキング圧力によって前記切削機を駆動させる
請求項3に記載の製造システム。
【請求項5】
前記仕様情報は、前記被加工材の材質、ねじの長さ及びねじの規格を含み、
前記加工条件は、前記被加工材の材質、ねじの長さ及びねじの規格に基づいて生成される前記転造機の転造時間と、前記被加工材の材質、ねじの長さ及びねじの規格に基づいて生成される前記切削機の切削刃の回転速度、前記被加工材の送り速度及び前記被加工材の移動距離とを含み、
前記転造制御装置は、前記転造時間を受信した場合、前記転造時間によって前記転造機を駆動させ、
前記切削制御装置は、前記切削機の切削刃の回転速度、前記被加工材の送り速度及び前記被加工材の移動距離を受信した場合、前記切削機の切削刃の回転速度、前記被加工材の送り速度及び前記被加工材の移動距離によって前記切削機を駆動させる
請求項3に記載の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ねじ、特に長尺のねじを製造するねじ製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転造によるねじ製造装置及びねじ切り(切削)によるねじ製造装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。作業者は受注票を確認し、転造による製造であるのか、又は切削による製造であるのかを確認し、被加工材を、転造によるねじ製造装置又は切削によるねじ製造装置に運搬する。作業者は被加工材を把持し、転造ダイス又は切削刃に接触させて、被加工材にねじを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭50-36358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、作業者が被加工材を把持してねじを製造する場合、作業者の安全性が低下するおそれがある。またねじ製造の効率を向上させることが難しい。また人的ミスの発生又は品質安定化の低下を招くおそれがある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、作業者の安全性の低下を抑制し、ねじ製造の効率を向上させ、人的ミスの発生及び品質安定化の低下を抑制することができるねじ製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係るねじ製造システムは、転造によってねじを製造する転造装置と、切削によってねじを製造する切削装置と、製造されるねじの仕様情報を受け付け、受け付けた仕様情報に基づいて前記転造装置及び前記切削装置を制御する制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態に係るねじ製造システムにあっては、製造されるねじの仕様情報に基づいて転造装置及び切削装置を制御して、ねじを製造するので、作業者は被加工材を把持する必要がなく、安全性の低下を抑制できる。また転造装置及び切削装置は、仕様情報に基づいて自動的にねじを製造するので、ねじ製造の効率を向上させることができ、人的ミスの発生及び品質安定化の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ねじ製造システムのブロック図である。
図2】転造装置の正面側斜視図である。
図3】転造装置の背面側斜視図である。
図4】転造装置の平面図である。
図5】取出機の斜視図である。
図6】取出機の動作を説明する右側面説明図である。
図7】搬送機の略示斜視図である。
図8】取出機、搬送機及び測長機の略示斜視図である。
図9】前側から視認した測長機の略示斜視図である。
図10】後側から視認した測長機の略示斜視図である。
図11】測長機及び転造位置決め機の略示斜視図である。
図12】転造位置決め機の略示斜視図である。
図13】測長機、転造位置決め機及び搬出コンベアの略示斜視図である。
図14】後側から視認した搬出コンベアの略示斜視図である。
図15】転造制御装置によるねじ製造処理を説明するフローチャートである。
図16】切削装置の略示斜視図である。
図17】切削装置の略示平面図である。
図18】除去機構による切粉の除去を説明する説明図である。
図19】除去機構による切粉の除去を説明する説明図である。
図20】除去機構による切粉の除去を説明する説明図である。
図21】除去機構による切粉の除去を説明する説明図である。
図22】除去機構による切粉の除去を説明する説明図である。
図23】除去機構による切粉の除去を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を実施の形態に係るねじ製造システム1を示す図面に基づいて説明する。図1は、ねじ製造システム1のブロック図である。
【0010】
ねじ製造システム1は、端末装置2と、サーバ3と、転造装置4と、切削装置7とを備える。端末装置2は、例えばパーソナルコンピュータである。端末装置2は、制御部2aと、記憶部2bと、受付部2dと、通信部2cとを備える。制御部2aは、例えばCPU又はMPUである。記憶部2bは書き換え可能に構成されており、例えば不揮発性メモリ又はハードディスクである。受付部2dは、例えばキーボード、マウス又はタッチパネル等であり、ユーザの操作を受け付ける。端末装置2は通信部2cを介してサーバ3と通信する。
【0011】
転造装置4は、転造制御装置5と、操作盤6とを備える。転造制御装置5は、制御部5aと、記憶部5bと、通信部5cとを備える。制御部5aは、例えばCPU又はMPUである。記憶部5bは書き換え可能に構成されており、例えば不揮発性メモリ又はハードディスクである。転造制御装置5は通信部5cを介してサーバ3と通信する。制御部5aは、記憶部5bに記憶したプログラムに基づいてねじ製造処理等を実行する。操作盤6は作業者の操作を受け付ける。操作盤6は、例えばキーボード、スイッチ等を有する。スイッチは、位置スイッチ及び開始スイッチを含む。操作盤6は表示部6aを備える。表示部6aは、例えばディスプレイであり、情報を表示する。表示部6aをタッチパネルで構成し、操作盤6と兼用してもよい。
【0012】
切削装置7は、切削制御装置8と、操作盤9とを備える。切削制御装置8は、制御部8aと、記憶部8bと、通信部8cとを備える。制御部8aは、例えばCPU又はMPUである。記憶部8bは書き換え可能に構成されており、例えば不揮発性メモリ又はハードディスクである。制御部8aは、記憶部8bに記憶したプログラムに基づいてねじ製造処理等を実行する。切削制御装置8は通信部8cを介してサーバ3と通信する。操作盤9は作業者の操作を受け付ける。操作盤9は、例えばキーボード、スイッチ等を有する。スイッチは、位置スイッチ及び開始スイッチを含む。操作盤9は表示部9aを備える。表示部9aは、例えばディスプレイであり、情報を表示する。表示部9aをタッチパネルで構成し、操作盤9と兼用してもよい。
【0013】
サーバ3は制御部3aと、記憶部3bと、通信部3cとを備える。制御部3aは、例えばCPU又はMPUである。記憶部3bは書き換え可能に構成されており、例えば不揮発性メモリ又はハードディスクである。サーバ3は通信部3cを介して端末装置2、転造制御装置5及び切削制御装置8と通信する。
【0014】
受注毎に、受注情報は受注データとしてサーバ3に蓄積されていく。受注データの中には、ねじの仕様情報も含まれる。ユーザは受付部2dを操作し、受注データの中から同じねじの加工グループを選択しサーバ3に送信する。サーバ3は加工グループ毎にねじの仕様情報を記憶部3bに記憶する。
【0015】
作業者は転造装置4の操作盤6を操作し、未処理の加工グループの送信要求を入力する。転造制御装置5はサーバ3に未処理の加工グループの送信を要求する。サーバ3は転造制御装置5に未処理の加工グループを送信する。転造制御装置5は表示部6aに未処理の加工グループを表示する。作業者は操作盤6を操作し、表示部6aに表示された未処理の加工グループを選択する。転造制御装置5は選択された未処理の加工グループを処理する。即ち、転造制御装置5は加工グループのねじの仕様情報に基づいて加工条件を生成し、生成された加工条件に基づき、被加工材100をねじに加工する。加工グループの処理が完了した場合、転造制御装置5はサーバ3に処理完了通知を送信する。処理完了通知を受信したサーバ3は処理完了フラグを加工グループに紐づけて記憶する。処理完了フラグが紐づけられた加工グループは処理済みの加工グループであり、処理完了フラグが紐づけられていない加工グループは未処理の加工グループである。
【0016】
作業者は切削装置7の操作盤9を操作し、未処理の加工グループの送信要求を入力する。切削制御装置8はサーバ3に未処理の加工グループの送信を要求する。サーバ3は切削制御装置8に未処理の加工グループを送信する。切削制御装置8は表示部9aに未処理の加工グループを表示する。作業者は操作盤9を操作し、表示部9aに表示された未処理の加工グループを選択する。切削制御装置8は選択された未処理の加工グループを実行する。即ち、切削制御装置8は加工グループのねじの仕様情報に基づいて加工条件を生成し、生成された加工条件に基づき、被加工材100をねじに加工する。加工グループの処理が完了した場合、切削制御装置8はサーバ3に処理完了通知を送信する。処理完了通知を受信したサーバ3は処理完了フラグを加工グループに紐づけて記憶する。処理完了フラグが紐づけられた加工グループは処理済みの加工グループであり、処理完了フラグが紐づけられていない加工グループは未処理の加工グループである。ユーザは端末装置2を介してサーバ3にアクセスし、加工グループが処理済みであるか未処理であるか確認できる。前処理が必要な加工グループについては、転造制御装置5及び切削制御装置8は前処理が完了したか否かも表示する。なおサーバ3が加工グループのねじの仕様情報に基づいて加工条件を生成し、加工条件を転造制御装置5及び切削制御装置8に送信してもよい。
【0017】
仕様情報について説明する。仕様情報は、転造又は切削を示す情報、被加工材100の情報、ねじの長さ、ねじの規格を含む。被加工材100の情報は材質、直径及び長さを含む。ねじの規格は、ねじピッチ、外径及び谷の径を含む。
【0018】
加工条件について説明する。加工条件は、転造又は切削を示す情報、後述する転造位置決め機50及び切削位置決め機94の高さ、後述する転造機80の転造圧力、後述する切削機96のチャッキング圧力、転造機80の転造時間、切削機96の切削刃231の回転速度、被加工材100の送り速度及び被加工材100の移動距離を含む。
【0019】
図2は、転造装置4の正面側斜視図、図3は、転造装置4の背面側斜視図、図4は、転造装置4の平面図である。以下の説明では図に示す上下前後左右を使用する。図に示す上下前後左右は一例であり、方向はこれに限定されない。転造装置4は、取出機10、搬送機20、測長機40、転造位置決め機50、転造機80、搬出コンベア60及び受け箱70を備える。取出機10の後側に搬送機20が配置される。搬送機20の後側に測長機40が配置される。測長機40の後側に転造位置決め機50が配置される。転造位置決め機50の左側に転造機80が配置される。転造機80の右側であって、転造位置決め機50の後側に搬出コンベア60が配置される。搬出コンベア60は左右に延びる。搬出コンベア60の前側であって、取出機10の右側に受け箱70が配置される。
【0020】
図5は、取出機10の斜視図、図6は、取出機10の動作を説明する右側面説明図である。取出機10は、被加工材100を投入する投入箱11を備える。投入箱11は後側に向かうに従って下降する底面部11aと、該底面部11aの前縁から略直角に突出した前面部11bと、底面部11aの左右縁それぞれから略直角に突出した側面部11cとを備える。投入箱11の上側及び後側は開放されている。投入箱11の後側に、底面部11aに略直角な第一固定板12aが設けられる。第一固定板12aは上側に延びる。第一固定板12aと底面部11aとの間には隙間、即ち第一隙間14aが設けられる。
【0021】
第一固定板12aの上側に、第一固定板12aに略平行な第二固定板12bが設けられる。第二固定板12bの下端の位置は第一固定板12aの上端と略同じである。第二固定板12bは第一固定板12aよりも後側に配置され、第二固定板12bと第一固定板12aとの間には隙間、即ち第二隙間14bが設けられる。第二固定板12bの上側に、第二固定板12bに略平行な第三固定板12cが設けられる。第三固定板12cの下端の位置は第二固定板12bの上端と略同じである。第三固定板12cは第二固定板12bよりも後側に配置され、第三固定板12cと第二固定板12bとの間には隙間、即ち第三隙間14cが設けられる。第三固定板12cの上面後縁からストッパ12dが上側に突出する。ストッパ12dは回転可能に構成されている。
【0022】
第一隙間14aに第一可動板13aが設けられ、第二隙間14bに第二可動板13bが設けられ、第三隙間14cに第三可動板13cが設けられる。第一~第三可動板13cは第一~第三固定板12cに略平行であり、第一~第三固定板12cに沿って昇降可能である。底面部11aの下側に昇降シリンダ15が設けてある。昇降シリンダ15のロッドは連結部材16(図示略)を介して第一~第三可動板13cに連結される。昇降シリンダ15のロッドは昇降し、第一~第三可動板13cは同時的に昇降する。図5及び図6Aに示す如く、初期状態において、第一可動板13aの上端の上下位置は第一固定板12aの下端と略同じであり、第二可動板13bの上端の上下位置は第二固定板12bの下端と略同じであり、第三可動板13cの上端の上下位置は第三固定板12cの下端と略同じである。
【0023】
図6Aに示すように、作業者は投入箱11に被加工材100を投入する。被加工材100の一つが底面部11aの傾斜によって、第一固定板12aまで転がり、第一可動板13aの上面にて停止する。図6Bに示すように、昇降シリンダ15のロッドが上昇して、第一~第三可動板13a~13cは上昇し、第一可動板13aの上面に配置された被加工材100も上昇する。図6Cに示すように、第一可動板13aの上端の上下位置と第一固定板12aの上端の上下位置が略同じになった場合、第一可動板13aの上面に配置された被加工材100は第一可動板13aの上面の傾斜によって、第二可動板13bまで転がり、第一固定板12aの上面にて停止する。次に図6Aに示すように、昇降シリンダ15のロッドは下降して、第一~第三可動板13a~13cは下降し、第一固定板12aの上面に配置された被加工材100は第二可動板13bの上面の傾斜によって、第二固定板12bまで転がり、第二可動板13bの上面にて停止する。このように、第一~第三可動板13cの昇降が繰り返されることによって、被加工材100は一つずつ順に第三固定板12cの上面まで運ばれ、ストッパ12dによって支持される。図6Cの破線で示すように、ストッパ12dは回転し、単数の被加工材100は測長位置P1(図7参照)に向けて移動する。即ち、取出機10は被加工材100を一つずつ取り出すことができる。図5に示すように、取出機10には、連結部材16を介して搬送機20が接続されている。
【0024】
図7は、搬送機20の略示斜視図である。搬送機20は、上下移動部20a、前後移動部20b、左右移動部20c、第一把持部34及び第二把持部35を備える。上下移動部20aは、二つの上下レール21と、二つの上下スライダ22と、上下移動枠23と、上下シリンダ24とを備える。二つの上下レール21は上下に延び、左右に所定距離離れ、連結部材16の後面に固定される。上下シリンダ24は二つの上下レール21の間にて連結部材16に固定される。上下シリンダ24は、下向きに突出し、昇降する上下ロッド24aを有する。上下移動枠23は、各上下スライダ22を介して各上下レール21に摺動可能に連結する。上下ロッド24aは上下移動枠23に連結し、上下ロッド24aの昇降によって上下移動枠23は昇降する。
【0025】
前後移動部20bは、二つの前後レール25と、レール支持部26と、前後シリンダ27と、第一支持板29aと、第二支持板29bと、連結軸28とを備える。レール支持部26は上下移動枠23の後側に固定される。レール支持部26は、左右に延びた棒と、該棒の左右両端部それぞれの下側に固定された摺動子とを備える。左右の摺動子はそれぞれ二つの前後レール25に摺動可能に連結する。二つの前後レール25は上下移動枠23の下側に配置される。二つの前後レール25は前後に延び、左右に所定距離離れる。前後レール25は前後移動可能である。前後シリンダ27は、二つの前後レール25の間にて、上下移動枠23の下側に固定される。前後シリンダ27は後向きに突出し、前後移動する前後ロッド27aを有する。第一支持板29aは、レール支持部26の後面に対向し、固定されている。前後ロッド27aの後端部は第一支持板29aに連結する。第一支持板29aの後側に第二支持板29bが対向配置されている。第一支持板29a及び第二支持板29bは、前後に延びる連結軸28によって連結される。第一支持板29aは後述する第一左右シリンダ30に固定される。第二支持板29bは後述する第二左右シリンダ31に固定される。二つの前後レール25の下側は第一左右シリンダ30及び第二左右シリンダ31に固定される。前後ロッド27aの前後移動によって、第一支持板29a、第二支持板29b、第一左右シリンダ30、第二左右シリンダ31及び前後レール25は前後動する。
【0026】
左右移動部20cは、第一左右シリンダ30、第二左右シリンダ31、第一左右レール32、第二左右レール33、第一左右スライダ、第二左右スライダ、第一把持部34及び第二把持部35を備える。第一左右シリンダ30は前後レール25の下側にて第一支持板29aに支持される。第一左右シリンダ30の下面に第一左右摺動子32aが固定される。第一左右摺動子32aには、第一左右レール32が摺動可能に連結する。第一左右レール32は左右に延びる。第一左右シリンダ30は右向きに突出し、左右移動する第一左右ロッド30aを有する。第一左右ロッド30aの先端部は連結部を介して第一左右レール32に連結する。第一左右ロッド30aの左右移動によって、第一左右レール32は左右に移動する。
【0027】
第二左右シリンダ31は前後レール25の下側にて第二支持板29bに支持される。第二左右シリンダ31の下面に第二左右摺動子33aが固定される。第二左右摺動子33aには、第二左右レール33が摺動可能に連結する。第二左右レール33は左右に延びる。第二左右シリンダ31は、右向きに突出し、左右移動する第二左右ロッド31aを有する。第二左右ロッド31aの先端部は連結部を介して第二左右レール33に連結する。第二左右ロッド31aの左右移動によって、第二左右レール33は左右に移動する。
【0028】
第一把持部34は第一左右レール32に連結される。第一把持部34は複数のフィンガ34aを備える。第二把持部35は第二左右レール33に連結される。第二把持部35は複数のフィンガ35aを備える。複数のフィンガ35aは左右方向に並び、前後方向に開閉可能である。各フィンガ34a、35aにはフィンガシリンダ34b、35bが設けてあり、フィンガシリンダ34b、35bの駆動によって、フィンガ34a、35aが開閉する。第一把持部34及び第二把持部35は上下移動部20aによって上下に移動し、前後移動部20bによって前後に移動し、左右移動部20cによって左右に移動する。
【0029】
搬送機20は、第一把持部34又は第二把持部35によって被加工材100又はねじを把持し、上下、前後又は左右に移動させて、測長位置P1、転造位置P2又は排出位置に搬送する。転造位置P2は測長位置P1よりも後側の位置であり、排出位置は転造位置P2よりも後側の位置である。測長位置P1と転造位置P2との間の前後距離は、第一把持部34と第二把持部35との間の前後距離に略等しい。転造位置P2と排出位置との間の前後距離は、第一把持部34と第二把持部35との間の前後距離に略等しい。
【0030】
図8は、取出機10、搬送機20及び測長機40の略示斜視図、図9は、前側から視認した測長機40の略示斜視図、図10は、後側から視認した測長機40の略示斜視図である。取出機10の後側であって、搬送機20の下側に測長機40が設けてある。測長機40は、枠体41、複数の受け部42、基準プレート43、押付プレート45、位置だし用モータ44及び押付用モータ46を備える。各受け部42は左右に延びる溝状をなす。複数の受け部42は左右方向に並び、枠体41に固定される。なお前記測長位置P1は、受け部42の前後位置である。最も左に位置する受け部42の左側に基準プレート43が設けられる。基準プレート43は左右方向に移動可能に構成され、位置だし用モータ44によって、左右方向に移動する。
【0031】
複数の受け部42の後側にて、左右に延びるレール49が枠体41に固定される。レール49には、摺動可能に押付プレート45が連結する。押付プレート45は右面視L形をなし、前後に延びる第一部分と、該第一部分の前端から下方に延びる第二部分とを備える。第一部分は受け部42よりも上側に位置し、第二部分は受け部42の内側に配置される。押付プレート45と基準プレート43は、左右方向に互いに対面するように配置される。チェーン48及び二つのスプロケット47がレール49の下側に配置される。二つのスプロケット47は、測長装置の左右端にそれぞれ配置され、前後方向を回転軸方向とする。二つのスプロケット47にチェーン48が掛けられる。チェーン48に押付プレート45が連結する。右側のスプロケット47は押付用モータ46によって回転する。押付用モータ46にエンコーダ46aが取り付けてある。押付用モータ46の駆動によって押付プレート45が左右に移動する。エンコーダ46aによって押付プレート45の移動量が検出される。基準プレート43の位置によって、被加工材100に形成されるねじの長さ(ねじ溝部分の長さ)が決定される。基準プレート43がより左側に位置するに従って、被加工材100のねじの長さがより長くなる。
【0032】
受け部42に被加工材100が設置された場合、センサ(図示略)によって被加工材100の存在が検出され、押付プレート45によって、被加工材100が基準プレート43に押し付けられる。基準プレート43への押付によって被加工材100が位置決めされる。エンコーダ46aにて検出された移動量に基づいて、転造制御装置5は、被加工材100の長さと、サーバ3から受信した受注データ(加工グループ)に含まれる被加工材100の長さが一致するか否か判定する。一致しない場合、エラー処理、例えばエラーメッセージの表示又は転造装置4の停止を実行する。
【0033】
図11は、測長機40及び転造位置決め機50の略示斜視図、図12は、転造位置決め機50の略示斜視図である。測長機40の後側に転造位置決め機50が配置される。転造位置決め機50は、上側に延びる枠体51と、二つのレール52と、スライダ53と、昇降用ボールねじ機構54と、基台55と、複数の支持体56とを備える。枠体51の後面に二本のレール52が取り付けられている。二本のレール52は上下に延び、左右方向に所定距離離れる。二本のレール52に、摺動可能にスライダ53が連結する。スライダ53には昇降用ボールねじ機構54のナットがスライダ53に連結される。昇降用ボールねじ機構54のモータ及びねじ軸は上下方向を回転軸方向とする。モータ及びねじ軸の回転によって、ナット及びスライダ53が上下動する。
【0034】
スライダ53の上端に、左右に延びる基台55が設けてある。基台55の上面に複数の支持体56が左右方向に並ぶ。各支持体56の上端には二つのローラ57が回転可能に設けてある。二つのローラ57は前後に並ぶ。ローラ57の回転軸方向は左右方向である。前後方向における二つのローラ57の間の中央位置は、前記転造位置P2である。基台55の左端に近接センサ58が設けられる。測長機40にて測長が完了した被加工材100は第一把持部34によって、前記測長位置P1から各支持体56の上端に設けられた二つのローラ57の間、即ち転造位置P2に搬送される。
【0035】
転造位置P2にて、被加工材100の左端部は、転造機80における複数の転造ダイスの間に配置される(図4参照)。近接センサ58によって、被加工材100が検出された場合、複数の転造ダイスは被加工材100に接近し、被加工材100に転造加工がなされ、被加工材100の左端部に雄ねじが形成される。即ち、ねじが製造される。転造機80によって製造されたねじは、第二把持部35に把持され、搬出コンベア60に搬送される。なお、第二把持部35がねじを把持したとき、同時に第一把持部34は測長位置P1の被加工材100を把持する。第二把持部35がねじを搬出位置P3に搬送したとき、同時に第一把持部34は被加工材100を転造位置P2に搬送する。
【0036】
図13は、測長機40、転造位置決め機50及び搬出コンベア60の略示斜視図、図14は、後側から視認した搬出コンベア60の略示斜視図である。搬出コンベア60は、枠体61と、無端状のベルト63と、二つのプーリ62と、搬送モータ64と、キッカー65と、キッカーシリンダ68とを備える。二つのプーリ62は前後方向を回転軸方向とし、枠体61上面の左右両端部に設けられる。二つのプーリ62の間にベルト63が掛けられている。右側のプーリ62は搬送モータ64によって回転し、ベルト63の上面は左から右に移動する。二つのプーリ62の間の左右寸法は、測長機40及び転造位置決め機50それぞれの左右寸法よりも長い。左右方向において、測長機40、転造位置決め機50及び搬出コンベア60の左端部の位置は略同じであり、搬出コンベア60の右部分は測長機40及び転造位置決め機50よりも右側に突出している。
【0037】
搬出コンベア60の右部分にキッカー65が設けてある。キッカー65はベルト63の上面よりも若干上側に配置される。キッカー65は、左右方向に延び、プーリ62の回転軸に略直角な板部66と、該板部66の両端部それぞれに設けられたアーチ部67とを有する。アーチ部67の下側は開放されている。板部66の後側にキッカーシリンダ68が設けられる。キッカーシリンダ68のロッドは板部66の後面に連結する。前記ロッドの前後移動によって、板部66及びアーチ部67も前後移動する。
【0038】
搬出コンベア60の右部分であって、ベルト63よりも前側に複数のすべり板69が設けられる。複数のすべり板69は、測長機40及び転造位置決め機50よりも右側において、左右方向に並ぶ。すべり板69は前側に向かうに従って下降するように傾斜する。すべり板69の前側に受け箱70が配置される(図2図4参照)。
【0039】
第二把持部35によってベルト63上面の左側部分にねじが置かれる。なおベルト63上面の前後位置は、前記搬出位置P3である。ねじは右側に搬送され、アーチ部67の内側を通り、キッカー65の前側に配置される。ねじの両端部は二つのアーチ部67の内側に位置し、ねじの中途部は板部66の前側に位置する。キッカーシリンダ68のロッドはキッカー65を前側に押す。ねじはキッカー65に押され、前側に移動し、すべり板69の上を滑って、受け箱70に至る。
【0040】
前述したねじの仕様情報は、被加工材100の直径及び材質、ねじの長さ及びねじの規格を含む。端末装置2は、被加工材100の直径に基づいて、被加工材100の位置と転造機80の位置とを整合させる転造位置決め機50の高さである転造高さを生成する。またサーバ3は、被加工材100の材質、ねじの長さ及びねじの規格(ねじピッチ、外径及び谷の径)に基づいて、転造機80の転造圧力及び転造時間を生成する。例えば、被加工材100の材質、ねじの長さ、ねじの規格をパラメータとして、転造圧力を演算する。
【0041】
また、被加工材100の材質、ねじの長さ及びねじの規格をパラメータとして、転造時間を演算する。詳細には、被加工材100の材質、ねじの長さ及びねじの規格に基づいて、ころがり回数を算出する。ころがり回数は転造ダイスでその回数だけ素材を回転させるとねじ山が出来る回数である。例えば被加工材100の材質がSNR490Bであり、ねじの規格がM20であり、ねじの長さが100mmである場合、ころがり回数として9.1が求まる。転造時間は、「ころがり回数」÷((主軸回転数)/60)*「ダイス口数」によって求まる。ダイス口数は転造ダイスが1回転したに被加工材100が回転する回数である。主軸回転数は転造ダイスの回転数である。例えば、ダイス口数が9.0であり、主軸回転数が26.5rpmである場合、転造時間は、9.1/((26.5/60)*9.0)=2.28sとなる。なお前述の式で求まった転造時間を手動で補正し、補正後の時間を転造時間にしてもよい。端末装置2は、転造高さ、転造圧力及び転造時間をサーバ3に送信し、サーバ3は転造制御装置5に送信する。転造高さ、転造圧力及び転造時間は加工条件に含まれる。
【0042】
図15は、転造制御装置5によるねじ製造処理を説明するフローチャートである。なお初期状態において、作業者は未処理の加工グループを選択済みであり、転造制御装置5は、選択された加工グループに対して、ねじ製造処理を実行する。転造制御装置5の制御部5aは、位置スイッチがオンになったか否か判定する(S1)。作業者は、表示部6aに表示された直径、長さ等に適合する被加工材100を投入箱11に投入し、操作盤6の位置スイッチをオンにする。なお被加工材100の投入前に、表示部6aに表示されたねじの規格に応じて、転造ダイスを交換してもよい。位置スイッチがオンになっていない場合(S1:NO)、制御部5aはステップS1に処理を戻す。
【0043】
位置スイッチがオンになった場合(S1:YES)、制御部5aは、ローラ57の上下位置が転造高さになるように、転造位置決め機50を駆動させる(S2)。制御部5aは開始スイッチがオンになったか否か判定する(S3)。開始スイッチがオンになっていない場合(S3:NO)、制御部5aはステップS3に処理を戻す。開始スイッチがオンになった場合(S3:YES)、取出機10を駆動させ、被加工材100を測長機40、即ち測長位置P1に搬送させる(S4)。制御部5aは測長機40に位置決め及び被加工材100の長さの測定を行わせる(S5)。
【0044】
制御部5aは、測長が完了した被加工材100を、搬送機20に転造位置決め機50のローラ57まで搬送させる(S6)。制御部5aは、近接センサ58の検出信号を取り込み、被加工材100を検出したか否か判定する(S7)。被加工材100を検出していない場合(S7:NO)、制御部5aはステップS7に処理を戻す。被加工材100を検出した場合(S7:YES)、制御部5aは、転造機80に被加工材100を転造させてねじを製造する(S8)。制御部5aは、搬送機20にねじを搬出コンベア60に搬送させ、搬出コンベア60にねじを受け箱70まで搬出させる(S9)。制御部5aは、製造予定の全本数のねじの製造が完了したか否か判定する(S10)。全本数の製造が完了していない場合(S10:NO)、制御部5aはステップS4に処理を戻す。全本数の製造が完了した場合(S10:YES)、制御部5aは転造装置4でのねじ製造処理を終了する。
【0045】
図16は、切削装置7の略示斜視図、図17は、切削装置7の略示平面図である。切削装置7は、クレーン90、取出機91、搬送機92、測長機93、切削位置決め機94、切削機96、搬出コンベア95及び受け箱97を備える。取出機91、搬送機92、測長機93、切削位置決め機94、搬出コンベア95及び受け箱97は、転造装置4の取出機10、搬送機20、測長機40、転造位置決め機50、搬出コンベア60及び受け箱70と同様な構成であり、その詳細な説明を省略する。
【0046】
作業者はクレーン90を使用して、被加工材100を取出機91の投入箱に投入することができ、また受け箱97内のねじを搬出させることができる。切削機96は切削位置決め機94の左側に配置される。切削機96は、被加工材100をチャッキングするチャッキング部(図示略)、被加工材100を切削する切削刃231、切削刃231を回転させる回転機構230、被加工材100を切削刃231に向けて送る送り機構(図示略)、切粉を除去する除去機構200等を備える。
【0047】
端末装置2は、被加工材100の直径に基づいて、被加工材100の位置と切削機96の位置とを整合させる切削位置決め機94の高さである切削高さを生成する。また端末装置2は、被加工材100の材質、ねじの長さ及びねじの規格(ねじピッチ、外径及び谷の径)に基づいて、切削機96のチャッキング圧力を生成する。チャッキング圧力はチャッキング部が被加工材をチャッキングする圧力である。例えば、被加工材100の材質、ねじの長さ、ねじの規格をパラメータとして、チャッキング圧力を演算する。
【0048】
また端末装置2は、被加工材100の材質、ねじの長さ及びねじの規格に基づいて、切削刃の回転速度、被加工材の送り速度及び被加工材の移動距離を生成する。切削刃の回転速度は後述する回転機構230の回転速度である。被加工材の送り速度は、チャッキングされた被加工材を切削刃に向けて送る速度である。被加工材の移動距離は、切削時に被加工材を軸方向に移動させる距離である。サーバ3は、切削高さ、チャッキング圧力、切削刃の回転速度、被加工材の送り速度及び被加工材の移動距離を演算し、切削制御装置8に送信する。切削高さ、チャッキング圧力、切削刃の回転速度、被加工材の送り速度及び被加工材の移動距離は加工条件に含まれる。
【0049】
切削制御装置8は、転造制御装置5によるねじ製造処理(図15参照)と同様に、ねじ製造処理を実行する。図15において、制御部5aに代えて制御部8aを使用し、ステップS2において、転造位置決め機50に代えて切削位置決め機94を使用し、ステップS8において、転造に代えて切削でねじを製造する。なお切削機96は被加工材100の端部位置を検出するセンサを備える。切削制御装置8は、送り機構による送り量と、回転機構230による回転数とを同期させて、所望のピッチのねじを形成する。従来刃数の異なる送り用のギアを複数用意し、また複数の刃を有する切削刃であって、ピッチの異なる複数種類の切削刃を用意し、一の切削刃のピッチに合わせてギアを選択していたが、サーボ機構によって回転数と送り量を同期させるので、この調整は不要となった。切削制御装置8は、検出された前記端部位置及び切削刃の間の距離とねじ長さとの合計距離分、被加工材100を切削刃に向けて移動させて、ねじを形成する。
【0050】
図18図23は、除去機構200による切粉150の除去を説明する説明図である。除去機構200は立柱201を備える。立柱201に、左右に延びる枢軸202が設けられる。枢軸202に、回転アーム203が回転可能に設けられる。回転アーム203の先端部に支持台204が設けられる。支持台204は左右に延びる支持面を有し、該支持面に複数のスライダ205が設けられる。スライダ205に、左右に延びるレール206が摺動可能に設けられる。スライダ205にクランプシフト用シリンダ208が連結する。クランプシフト用シリンダ208は右側に突出するロッドを有し、レール206の右端部に連結板207を介してロッドが連結する。ロッドは左右方向に移動する。ロッドの左右移動によってレール206は左右移動する。
【0051】
クランプシフト用シリンダ208の上側且つ後側において、回転シリンダ209が立柱201に設けられる。回転シリンダ209のロッドはレール206に交差する方向に延び、クランプシフト用シリンダ208の側面に連結する。前記ロッドの伸縮によって、クランプシフト用シリンダ208、レール206、スライダ205及び回転アーム203は枢軸202回りに回転する。
【0052】
レール206の左端部にクランプユニット210が設けられる。クランプユニット210は支持枠211を有し、支持枠211の右側面部はレール206の左端部に固定される。支持枠211にリンク214が設けられる。リンク214に前爪212及び後爪213が連結する。支持枠211にクランプ用シリンダ215が設けてある。クランプ用シリンダ215のロッドは前側に突出する。ロッドはリンク214に連結し、ロッドが伸びることによって、前爪212及び後爪213は互いに接近し、ロッドが縮むことによって、前爪212及び後爪213は互いに離れる。
【0053】
立柱201の左側に叩きユニット217が設けられる。叩きユニット217は連結部材216を介して立柱201に連結する。叩きユニット217はリンク機構218と、叩き用シリンダ220と、切粉叩き219とを備える(図18図20参照)。リンク機構218は連結部材216に固定される。リンク機構218の上部に切粉叩き219が連結する。リンク機構218の下部に叩き用シリンダ220が連結する。叩き用シリンダ220のロッドは上側に突出し、ロッドの上下移動によって、切粉叩き219は、切粉除去プレート223に接近する方向及び切粉除去プレート223から離れる方向に移動する。
【0054】
立柱201に、左右方向に直交する切粉除去プレート223が設けられる。切粉除去プレート223は左右に貫通した穴223aを備える。立柱201にガイドパイプ用シリンダ221が設けられる。ガイドパイプ用シリンダ221のロッドは左方向に突出する。ロッドの先端部は、左右方向に交差する方向に延びるガイド板222に連結する。ガイド板222に左右方向に貫通した貫通穴222aが形成される。貫通穴222aから左側にガイドパイプ222bが突出する。ガイドパイプ222b及び貫通穴222aの内部空間は連なる。ガイドパイプ用シリンダ221のロッドが伸びた場合、ガイドパイプ222bは右側から穴223aに挿入される。ガイドパイプ用シリンダ221のロッドが縮んだ場合、ガイドパイプ222bは穴223aから抜け出し、右側に移動する。初期状態において、ガイドパイプ222bは穴223aに挿入されている。切粉除去プレート223の左側に切削刃231及び回転機構230が設けられる。切削刃231は回転機構230に設けられ、回転機構230によって、左右方向を回転軸方向として回転する。
【0055】
図18に示すように、被加工材100はガイドパイプ222bに右側から挿入され、回転する切削刃231によって加工され、ねじ101が製造される。切削刃231による切削によって、被加工材100から螺旋状の切粉150が発生する。切粉150はガイドパイプ222bに絡みつく。なお切削機96は、切削刃231を被加工材100に対して接近させるか又は離れさせる機構(図示略)を有する。切削制御装置8は切削中に前記機構によって切削刃231を被加工材100から微小時間離れさせて、切粉150を薄くさせて切粉150の発生を止める。その後、切削刃231を微小時間分、逆回転させて切削を再開し、これを繰り返す。図19に示すように、切削が終了した場合、回転シリンダ209が駆動し、レール206及びクランプユニット210が枢軸202回りに回転し、前爪212がガイドパイプ222bの前側に配置され、後爪213がガイドパイプ222bの後側に配置される。クランプ用シリンダ215のロッドが伸び、前爪212及び後爪213は切粉150を押さえる。
【0056】
図20に示すようにクランプシフト用シリンダ208からロッドが右方向に伸び、レール206及びクランプユニット210が右側に移動する。前爪212及び後爪213は切粉150を切粉除去プレート223側に移動させる。図21に示すように、クランプ用シリンダ215のロッドが縮み、前爪212及び後爪213は切粉150から離れる。チャッキング部が右方向に移動し、ねじ101はガイドパイプ222bから抜ける。
【0057】
図22に示すように、ガイドパイプ用シリンダ221のロッドは縮み、ガイドパイプ222bは穴223aから抜け出る。ガイドパイプ222bに絡みついた切粉150は切粉除去プレート223によって、ガイドパイプ222bからこそぎ落とされ、落下する。図23に示すように、叩き用シリンダ220が駆動し、切粉叩き219は、切粉除去プレート223に接近する。切粉除去プレート223の残留した切粉150は切粉叩き219によって下側に落とされる。また回転シリンダ209が駆動し、クランプユニット210が元の位置に戻る。切粉150を除去することによって、切削刃231に切粉150が残り、被加工材100の切削に悪影響を与えることを防止することができる。
【0058】
なおガイドパイプ222bを設けずに、被加工材100又はねじ101に絡みついた切粉150を切粉除去プレート223によってこそぎ落としてもよい。
【0059】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
1 ねじ製造システム 2 端末装置 3 サーバ 4 転造装置 5 転造制御装置 7 切削装置 8 切削制御装置 10 取出機 20 搬送機 40 測長機 50 転造位置決め機 80 転造機 60 搬出コンベア 70 受け箱 90 クレーン 91 取出機 92 搬送機 93 測長機 94 切削位置決め機 96 切削機 95 搬出コンベア 97 受け箱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23