(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108950
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】外壁構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/28 20060101AFI20230731BHJP
E06B 7/096 20060101ALI20230731BHJP
E06B 9/02 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
E06B9/28
E06B7/096
E06B9/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010279
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000107985
【氏名又は名称】セイコー産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390010951
【氏名又は名称】コーエイ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】小野村 寛
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知未
(72)【発明者】
【氏名】戸川 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】久田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】澤田 裕
【テーマコード(参考)】
2E036
2E043
【Fターム(参考)】
2E036JA02
2E036LA06
2E036LB02
2E036LB05
2E036MA00
2E036NA07
2E036NB01
2E036QA03
2E036QB01
2E043AA01
2E043AA04
2E043AB04
2E043BA01
2E043BD01
2E043BE13
(57)【要約】
【課題】窓枠の屋外側に複数のルーバー材が配置された外壁構造において、窓枠の屋内側でのウインドウトリートメントの設置に制限を設ける必要がなく、窓枠の屋内側からの簡単な操作で複数のルーバー材を回転させることを可能とする。
【解決手段】外壁構造1は、外壁2の開口部2Aに嵌め込まれた窓枠3の屋外側のルーバー枠51に取り付けられた複数のルーバー材52を回転させるルーバー作動機構6を備える。ルーバー作動機構6は、操作部7、分配部8及び伝達部9を含む。操作部7は、窓枠3よりも屋内側において窓用開口3Aの外側に配置され、複数のルーバー材52を回転させる操作力を受ける。分配部8は、ルーバー枠51に配置され、操作力を複数のルーバー材5に分配する。伝達部9は、窓枠3を貫通して設けられ、操作部7による操作力を分配部8に伝達する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された外壁と、
前記開口部に嵌め込まれているとともに、窓材の配置される窓用開口を有する窓枠と、
前記窓枠の屋外側に配置され、前記窓枠に対して固定されるルーバー枠と、
前記ルーバー枠に所定の配列方向に並ぶように取り付けられ、前記配列方向と直交するルーバー軸回りに第1回転方向と前記第1回転方向とは逆の第2回転方向とに回転可能な複数のルーバー材と、
前記複数のルーバー材をそれぞれ回転させるためのルーバー作動機構と、を備え、
前記ルーバー作動機構は、
前記窓枠よりも屋内側に配置され、前記複数のルーバー材を前記第1回転方向に回転させるための第1操作力と前記複数のルーバー材を前記第2回転方向に回転させるための第2操作力とを受ける操作部と、
前記ルーバー枠に配置され、前記第1操作力及び前記第2操作力を前記複数のルーバー材のそれぞれに分配する分配部と、
前記窓枠及び前記外壁の少なくとも一方を貫通して設けられ、前記操作部による前記第1操作力及び前記第2操作力を前記分配部に伝達する伝達部と、を含み、
前記操作部は、前記窓枠よりも屋内側において、前記窓用開口の外側に配置される、外壁構造。
【請求項2】
前記伝達部は、前記窓枠及び前記外壁の少なくとも一方を貫通して設けられる筒状のアウターケーブルと、前記アウターケーブルに挿通されたインナーケーブルと、を有し、
前記操作部は、前記第1操作力及び前記第2操作力を受ける操作体と、前記インナーケーブルの一端部が接続され、前記第1操作力及び前記第2操作力が前記アウターケーブルに対する前記インナーケーブルの押引方向の力として伝わるように操作動作を行う操作側動作体と、を有し、
前記分配部は、前記インナーケーブルの他端部が接続され、前記インナーケーブルの押引方向の力に応じて分配動作を行う分配側動作体と、前記分配側動作体の分配動作の力を前記複数のルーバー材のそれぞれに回転方向の力として分配する分配体と、を有する、請求項1に記載の外壁構造。
【請求項3】
前記アウターケーブルは、第1アウターケーブルと第2アウターケーブルとを有し、
前記インナーケーブルは、前記第1アウターケーブルに挿通された第1インナーケーブルと、前記第2アウターケーブルに挿通された第2インナーケーブルと、を有し、
前記操作側動作体は、前記第1インナーケーブル及び前記第2インナーケーブルの一端部がそれぞれ接続され、前記操作体が前記第1操作力を受けた場合に前記第1インナーケーブルを押込むとともに前記第2インナーケーブルを引張るように第1操作動作を行う一方、前記操作体が前記第2操作力を受けた場合には前記第1インナーケーブルを引張るとともに前記第2インナーケーブルを押込むように第2操作動作を行い、
前記分配側動作体は、前記第1インナーケーブル及び前記第2インナーケーブルの他端部がそれぞれ接続され、前記操作側動作体の前記第1操作動作に応じて前記第1インナーケーブルを引張るとともに前記第2インナーケーブルを押込むように第1分配動作を行う一方、前記操作側動作体の前記第2操作動作に応じて前記第1インナーケーブルを押込むとともに前記第2インナーケーブルを引張るように第2分配動作を行う、請求項2に記載の外壁構造。
【請求項4】
前記分配側動作体は、前記ルーバー枠において、前記複数のルーバー材の前記配列方向に直線移動可能に取り付けられ、
前記ルーバー枠は、前記インナーケーブルの前記分配側動作体から所定長さの部分が前記複数のルーバー材の前記配列方向に沿った押引方向に移動可能となるように、前記アウターケーブルを保持する保持部を有する、請求項2又は3に記載の外壁構造。
【請求項5】
前記操作体は、操作力受部と、前記操作力受部に固定される軸部とを有し、前記操作力受部が前記軸部回りに回転されることにより前記第1操作力及び前記第2操作力を受け、
前記操作側動作体は、前記軸部と平行な操作軸回りに回転可能であって、前記操作体が前記第1操作力を受けた場合に前記操作軸回りに第1操作動作方向に回転する一方、前記操作体が前記第2操作力を受けた場合には前記操作軸回りに前記第1操作動作方向とは逆の第2操作動作方向に回転する、請求項2~4のいずれか1項に記載の外壁構造。
【請求項6】
前記操作部は、前記操作体と前記操作側動作体との間に設けられ、前記操作体が受けた前記第1操作力及び前記第2操作力を前記操作側動作体に伝達する操作力伝達体を更に有する、請求項5に記載の外壁構造。
【請求項7】
前記操作力伝達体は、前記操作体の前記軸部に挿通された状態で当該軸部に固定された第1操作伝達ギアと、前記操作軸に挿通された状態で前記操作側動作体に固定され、前記第1操作伝達ギアと噛合される第2操作伝達ギアと、を有し、
前記第1操作伝達ギアの歯数は、前記第2操作伝達ギアの歯数よりも少ない、請求項6に記載の外壁構造。
【請求項8】
前記操作力伝達体は、前記第1操作伝達ギアとの噛合が可能な位置に配置されるロックギアを更に有し、
前記操作体は、前記第1操作伝達ギアと前記ロックギアとが噛合されて前記操作力受部の回転が規制される位置と、前記第1操作伝達ギアと前記ロックギアとの噛合が解除されて前記操作力受部の回転が許容される位置との間で変位可能に構成される、請求項7に記載の外壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁構造として、外壁の開口部に嵌め込まれた窓枠の屋外側に、ルーバー材を有するユニットが設けられた外壁構造が知られている。ルーバー材は、窓を介した屋内側への採光や通風の調整機能、或いは、屋外から屋内側が見えることを規制する防犯機能などを果たす。この種のルーバー材を有するユニットに適用可能なブラインド装置が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されるブラインド装置は、窓枠の屋外側に設けられた一対の縦枠間に並置された複数のルーバー材(スラット)と、複数のルーバー材を支持するリンク部材と、リンク部材に連結された直動自在部材と、直動自在部材に一端が連結されたベルトと、ベルトの他端が連結されたプーリと、プーリを回転させる滑車と、滑車に巻き付けられた玉チェーンと、を備える。このブラインド装置では、リンク部材及び直動自在部材は窓枠よりも屋外側の縦枠内に配置され、ベルト、プーリ及び滑車は縦枠の上端に接続される上枠内に配置され、玉チェーンは窓枠の屋内側に垂れ下げられている。
【0004】
特許文献1に開示されるブラインド装置では、玉チェーンの操作によって滑車が回転することによりプーリが回転し、当該プーリの回転に応じてベルトが巻き取り及び繰り出される。そして、ベルトの巻き取り及び繰り出しに伴って直動自在部材が上下動し、これに応じてリンク部材に連結された複数のルーバー材が回転する。このようにブラインド装置では、窓枠の屋内側における玉チェーンの操作によって、窓枠の屋外側に配置された複数のルーバー材を回転させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
窓枠の屋内側に、当該窓枠の窓材が配置される窓用開口を覆うように窓回りを装飾するためのカーテンやロールスクリーンなどのウインドウトリートメントが設置される場合がある。特許文献1に開示されるブラインド装置が適用された窓枠に対してウインドウトリートメントを設置する場合、窓枠の屋内側には複数のルーバー材を回転させるときに操作される玉チェーンが垂れ下げられているので、この玉チェーンとの干渉を回避するようにウインドウトリートメントを設置する必要がある。また、窓枠の屋内側に玉チェーンが垂れ下げられている場合、屋内側に居る人、特に幼児や子供が玉チェーンに引っ掛かったりする虞がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外壁の開口部に嵌め込まれた窓枠の屋外側に複数のルーバー材が配置された外壁構造において、窓枠の屋内側でのウインドウトリートメントの設置に制限を設ける必要がなく、窓枠の屋内側からの簡単な操作で複数のルーバー材を回転させることを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る外壁構造は、開口部が形成された外壁と、前記開口部に嵌め込まれているとともに、窓材の配置される窓用開口を有する窓枠と、前記窓枠の屋外側に配置され、前記窓枠に対して固定されるルーバー枠と、前記ルーバー枠に所定の配列方向に並ぶように取り付けられ、前記配列方向と直交するルーバー軸回りに第1回転方向と前記第1回転方向とは逆の第2回転方向とに回転可能な複数のルーバー材と、前記複数のルーバー材をそれぞれ回転させるためのルーバー作動機構と、を備える。前記ルーバー作動機構は、前記窓枠よりも屋内側に配置され、前記複数のルーバー材を前記第1回転方向に回転させるための第1操作力と前記複数のルーバー材を前記第2回転方向に回転させるための第2操作力とを受ける操作部と、前記ルーバー枠に配置され、前記第1操作力及び前記第2操作力を前記複数のルーバー材のそれぞれに分配する分配部と、前記窓枠及び前記外壁の少なくとも一方を貫通して設けられ、前記操作部による前記第1操作力及び前記第2操作力を前記分配部に伝達する伝達部と、を含む。前記操作部は、前記窓枠よりも屋内側において、前記窓用開口の外側に配置される。
【0009】
この外壁構造によれば、外壁の開口部に嵌め込まれた窓枠の屋外側のルーバー枠に取り付けられた複数のルーバー材を回転させるルーバー作動機構を備える。ルーバー作動機構は、窓枠の屋内側に配置された操作部と、窓枠の屋外側のルーバー枠に配置された分配部と、窓枠及び外壁の少なくとも一方を貫通して設けられた伝達部と、を含む。ルーバー作動機構では、窓枠の屋内側に配置された操作部の受ける操作力が伝達部を介して屋外側のルーバー枠に配置された分配部に伝達される。分配部は、伝達された操作力を複数のルーバー材のそれぞれに分配する。これにより、窓枠の屋内側に配置された操作部が受ける操作力に基づいて、窓枠の屋外側のルーバー枠に配置された複数のルーバー材を回転させることができる。
【0010】
また、窓枠の屋内側に配置される操作部は、窓枠の屋内側において窓用開口の外側に配置される。これにより、窓枠の屋内側において窓用開口を覆うように窓回りを装飾するためのカーテンやロールスクリーンなどのウインドウトリートメントを設置する場合には、ウインドウトリートメントと操作部との干渉を回避することが可能である。このため、操作部との干渉を回避するためにウインドウトリートメントの設置に制限を設ける必要はない。また、窓枠の屋内側においてウインドウトリートメントを設置した状態では、操作部は、ウインドウトリートメントに覆われることなく露出することになる。このため、窓枠の屋外側のルーバー枠に取り付けられた複数のルーバー材を回転させるために屋内側から操作部を操作するときには、ウインドウトリートメントを開放するような面倒な操作を行う必要はない。このため、窓枠の屋内側における操作部に対する簡単な操作で複数のルーバー材を回転させることが可能となる。
【0011】
上記の外壁構造において、前記伝達部は、前記窓枠及び前記外壁の少なくとも一方を貫通して設けられる筒状のアウターケーブルと、前記アウターケーブルに挿通されたインナーケーブルと、を有する構成であってもよい。そして、前記操作部は、前記第1操作力及び前記第2操作力を受ける操作体と、前記インナーケーブルの一端部が接続され、前記第1操作力及び前記第2操作力が前記アウターケーブルに対する前記インナーケーブルの押引方向の力として伝わるように操作動作を行う操作側動作体と、を有する。また、前記分配部は、前記インナーケーブルの他端部が接続され、前記インナーケーブルの押引方向の力に応じて分配動作を行う分配側動作体と、前記分配側動作体の分配動作の力を前記複数のルーバー材のそれぞれに回転方向の力として分配する分配体と、を有する。
【0012】
この態様では、操作体の受けた操作力に基づく操作側動作体の操作動作に応じてインナーケーブルがアウターケーブルに沿って押引方向に移動することにより分配側動作体が分配動作を行い、その分配動作の力を分配体が複数のルーバー材のそれぞれに分配する。これにより、窓枠の屋内側に配置された操作体が受ける操作力に基づいて、窓枠の屋外側のルーバー枠に配置された複数のルーバー材を回転させることができる。また、伝達部は、アウターケーブルが窓枠及び外壁の少なくとも一方を貫通し、そのアウターケーブルにインナーケーブルが挿通された構造である。この場合、アウターケーブル及びインナーケーブルは、従来技術の玉チェーンのように窓枠の屋内側に垂れ下げられてはいない。このため、屋内側に居る人、特に幼児や子供がケーブルに引っ掛かったりすることはない。従って、ルーバー作動機構は、幼児や子供などの屋内側に居る人への安全性にも配慮した構造となる。
【0013】
上記の外壁構造において、前記アウターケーブルは、第1アウターケーブルと第2アウターケーブルとを有し、前記インナーケーブルは、前記第1アウターケーブルに挿通された第1インナーケーブルと、前記第2アウターケーブルに挿通された第2インナーケーブルと、を有する構成であってもよい。この場合、前記操作側動作体は、前記第1インナーケーブル及び前記第2インナーケーブルの一端部がそれぞれ接続され、前記操作体が前記第1操作力を受けた場合に前記第1インナーケーブルを押込むとともに前記第2インナーケーブルを引張るように第1操作動作を行う一方、前記操作体が前記第2操作力を受けた場合には前記第1インナーケーブルを引張るとともに前記第2インナーケーブルを押込むように第2操作動作を行う。また、前記分配側動作体は、前記第1インナーケーブル及び前記第2インナーケーブルの他端部がそれぞれ接続され、前記操作側動作体の前記第1操作動作に応じて前記第1インナーケーブルを引張るとともに前記第2インナーケーブルを押込むように第1分配動作を行う一方、前記操作側動作体の前記第2操作動作に応じて前記第1インナーケーブルを押込むとともに前記第2インナーケーブルを引張るように第2分配動作を行う。
【0014】
この態様では、操作体が第1操作力を受けた場合、操作側動作体は、第1インナーケーブルを押込むとともに第2インナーケーブルを引張るように第1操作動作を行う。この場合、分配側動作体は、第1インナーケーブルを引張るとともに第2インナーケーブルを押込むように第1分配動作を行う。一方、操作体が第2操作力を受けた場合、操作側動作体は、第1インナーケーブルを引張るとともに第2インナーケーブルを押込むように第2操作動作を行う。この場合、分配側動作体は、第1インナーケーブルを押込むとともに第2インナーケーブルを引張るように第2分配動作を行う。これにより、第1インナーケーブルは第1アウターケーブルに沿って押引方向に安定して移動することが可能であるとともに、第2インナーケーブルは第2アウターケーブルに沿って押引方向に安定して移動することが可能である。
【0015】
上記の外壁構造において、前記分配側動作体は、前記ルーバー枠において、前記複数のルーバー材の前記配列方向に直線移動可能に取り付けられる構成であってもよい。この場合、前記ルーバー枠は、前記インナーケーブルの前記分配側動作体から所定長さの部分が前記複数のルーバー材の前記配列方向に沿った押引方向に移動可能となるように、前記アウターケーブルを保持する保持部を有する。
【0016】
この態様では、インナーケーブルの分配側動作体から所定長さの部分が複数のルーバー材の配列方向に沿った押引方向に移動可能である。これにより、インナーケーブルの他端部が接続される分配側動作体の、複数のルーバー材の配列方向に沿った分配動作としての直線移動が安定する。このため、分配体が分配側動作体の分配動作の力を複数のルーバー材のそれぞれに分配することにより、複数のルーバー材を安定して回転させることができる。
【0017】
上記の外壁構造において、前記操作体は、操作力受部と、前記操作力受部に固定される軸部とを有し、前記操作力受部が前記軸部回りに回転されることにより前記第1操作力及び前記第2操作力を受ける構成であってもよい。そして、前記操作側動作体は、前記軸部と平行な操作軸回りに回転可能であって、前記操作体が前記第1操作力を受けた場合に前記操作軸回りに第1操作動作方向に回転する一方、前記操作体が前記第2操作力を受けた場合には前記操作軸回りに前記第1操作動作方向とは逆の第2操作動作方向に回転する。
【0018】
この態様では、操作側動作体は、操作体の受けた操作力に基づく操作動作として操作軸回りに回転する。操作軸回りに回転する操作側動作体では、直線移動する場合に比較して、操作軸に対して直交する方向における操作側動作体の操作動作の範囲を狭くすることができる。これにより、操作部の全体としての小型化が可能である。
【0019】
上記の外壁構造において、前記操作部は、前記操作体と前記操作側動作体との間に設けられ、前記操作体が受けた前記第1操作力及び前記第2操作力を前記操作側動作体に伝達する操作力伝達体を更に有する構成であってもよい。
【0020】
この態様では、操作体と操作側動作体との間に操作力伝達体が設けられているため、操作体の受けた操作力が操作力伝達体によって効率よく操作側動作体に伝達される。操作側動作体は、操作力伝達体によって伝達された操作力に基づいて操作動作を行うことができる。
【0021】
上記の外壁構造において、前記操作力伝達体は、前記操作体の前記軸部に挿通された状態で当該軸部に固定された第1操作伝達ギアと、前記操作軸に挿通された状態で前記操作側動作体に固定され、前記第1操作伝達ギアと噛合される第2操作伝達ギアと、を有する構成であってもよい。この場合、前記第1操作伝達ギアの歯数は、前記第2操作伝達ギアの歯数よりも少ない。
【0022】
この態様では、操作力伝達体を構成する第1操作伝達ギア及び第2操作伝達ギアにおいて、第1操作伝達ギアの歯数が第2操作伝達ギアの歯数よりも少ないので、第1操作伝達ギア及び第2操作伝達ギアの回転に連動して操作側動作体を操作軸回りに回転させるときに、操作体に与える操作力を低減することができる。
【0023】
上記の外壁構造において、前記操作力伝達体は、前記第1操作伝達ギアとの噛合が可能な位置に配置されるロックギアを更に有する構成であってもよい。この場合、前記操作体は、前記第1操作伝達ギアと前記ロックギアとが噛合されて前記操作力受部の回転が規制される位置と、前記第1操作伝達ギアと前記ロックギアとの噛合が解除されて前記操作力受部の回転が許容される位置との間で変位可能に構成される。
【0024】
この態様では、第1操作伝達ギアとロックギアとが噛合されたロック状態では、操作力受部の回転が規制される。これにより、ロック状態では、窓枠の屋外側のルーバー枠に配置された複数のルーバー材の回転を規制できる。ロック状態では、屋外側からルーバー材を回転させようとしても、ルーバー材の回転は規制されることから、屋内側に居る人に対する防犯、プライバシーを確保することができる。一方、第1操作伝達ギアとロックギアとの噛合が解除されたロック解除状態では、操作力受部の回転が許容される。これにより、ロック解除状態では、窓枠の屋外側のルーバー枠に配置された複数のルーバー材を回転させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、外壁の開口部に嵌め込まれた窓枠の屋外側に複数のルーバー材が配置された外壁構造において、窓枠の屋内側でのウインドウトリートメントの設置に制限を設ける必要がなく、窓枠の屋内側からの簡単な操作で複数のルーバー材を回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る外壁構造を屋外側から見た図である。
【
図3】
図2の外壁構造におけるルーバー作動機構の周辺を拡大して示す図である。
【
図6】ルーバー作動機構の作動によってルーバー材が第1回転方向に回転されて閉鎖姿勢を取った状態を示す図である。
【
図7】ルーバー作動機構の作動によってルーバー材が開放姿勢を取った状態を示す図である。
【
図8】ルーバー作動機構の作動によってルーバー材が第2回転方向に回転されて閉鎖姿勢を取った状態を示す図である。
【
図9】ルーバー作動機構を構成する操作部の斜視図である。
【
図10】操作部の操作ボックス内の構造を示す図である。
【
図11】操作部の断面図であって、第1操作伝達ギアとロックギアとが噛合されたロック状態を示す図である。
【
図12】操作部の断面図であって、第1操作伝達ギアとロックギアとの噛合が解除されたロック解除状態を示す図である。
【
図13】変形例に係る操作部の操作ボックス内の構造を示す図である。
【
図16】
図13の操作部において操作ボックスの軸支持部を取り除いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る外壁構造について、図面に基づいて説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X軸方向は水平面と平行な方向であり、Y軸方向は水平面上でX軸方向と直交する方向であり、Z軸方向はX、Y両方向に直交する上下方向である。また、X軸方向の一方向側を「+X側」と称し、X軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-X側」と称する。また、Y軸方向の一方向側を「+Y側」と称し、Y軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-Y側」と称する。また、Z軸方向の一方向側である上側を「+Z側」と称し、Z軸方向の一方向側とは反対の他方向側である下側を「-Z側」と称する。
【0028】
図1~
図5に示されるように、本実施形態に係る外壁構造1は、建物の外壁構造に適用される。外壁構造1は、矩形状の開口部2Aが形成された外壁2を備える。外壁2は、X軸方向及びZ軸方向に広がる外壁面を構成する複数の外壁パネル21と、各外壁パネル21を支持する柱22とを有する。複数の外壁パネル21によって構成される外壁面に直交する方向がY軸方向となり、Y軸方向の+Y側が建物の屋内側となる一方、Y軸方向の-Y側が建物の屋外側となる。柱22は、例えば、Z軸方向に延びる2本のC形鋼22A,22Bが接合された構造を有する。柱22は、各外壁パネル21を屋内側(+Y側)から支持する。また、柱22の屋内側(+Y側)には内装壁材23が配置される。内装壁材23は、外壁パネル21に対して屋内側(+Y側)から対向し、X軸方向及びZ軸方向に広がるように配置される。外壁パネル21と内装壁材23との間には、断熱材24が充填されていてもよい。
【0029】
外壁構造1は、外壁2の開口部2Aに嵌め込まれた窓枠3と、窓枠3の屋内側(+Y側)に配置される額縁4と、窓枠3の屋外側(-Y側)に配置されるルーバーユニット5と、ルーバー作動機構6と、を更に備える。
【0030】
窓枠3は、外壁2の開口部2Aに嵌め込まれているとともに、窓材35の配置される窓用開口3Aを有する枠状の部材である。窓枠3は、窓用開口3Aの範囲内においてX軸方向に移動可能に窓材35を支持する。窓枠3は、第1縦窓枠材31、第2縦窓枠材32、第1横窓枠材33、及び第2横窓枠材34が枠状に組み立てられた構造を有する。第1縦窓枠材31は、矩形状の開口部2Aの+X側の開口縁に沿ってZ軸方向に延びる枠材である。第2縦窓枠材32は、矩形状の開口部2Aの-X側の開口縁に沿ってZ軸方向に延びる枠材である。第1横窓枠材33は、矩形状の開口部2Aの+Z側の開口縁に沿ってX軸方向に延びる枠材である。第2横窓枠材34は、矩形状の開口部2Aの-Z側の開口縁に沿ってX軸方向に延びる枠材である。
【0031】
額縁4は、窓枠3の屋内側(+Y側)に配置され、窓枠3に対して固定される枠状の部材である。額縁4は、窓枠3と開口部2Aとの間を屋内側(+Y側)から覆うように窓枠3に固定される。窓枠3の屋内側(+Y側)において、窓材35の配置される窓用開口3Aを覆うように、例えば額縁4の範囲内で、窓回りを装飾するためのカーテンやロールスクリーンなどのウインドウトリートメントWTが設置される。
【0032】
ルーバーユニット5は、窓枠3の屋外側(-Y側)に配置され、ルーバー枠51と複数のルーバー材52とを含むユニットである。
【0033】
ルーバー枠51は、窓枠3の屋外側(-Y側)に配置され、窓枠3に対して固定される枠状の部材である。ルーバー枠51は、複数のルーバー材52を回転可能に支持する。ルーバー枠51は、第1縦ルーバー枠材511、第2縦ルーバー枠材512、第1横ルーバー枠材513、及び第2横ルーバー枠材514が枠状に組み立てられた構造を有する。第1縦ルーバー枠材511は、窓枠3の第1縦窓枠材31に対して屋外側(-Y側)から対向して配置され、Z軸方向に延びる枠材である。第2縦ルーバー枠材512は、窓枠3の第2縦窓枠材32に対して屋外側(-Y側)から対向して配置され、Z軸方向に延びる枠材である。第1横ルーバー枠材513は、窓枠3の第1横窓枠材33に対して屋外側(-Y側)から対向して配置され、X軸方向に延びる枠材である。第2横ルーバー枠材514は、窓枠3の第2横窓枠材34に対して屋外側(-Y側)から対向して配置され、X軸方向に延びる枠材である。
【0034】
複数のルーバー材52はそれぞれ、X軸方向に延びる板状の部材である。複数のルーバー材52は、ルーバー枠51に所定の配列方向(Z軸方向)に並ぶように取り付けられる。具体的には、複数のルーバー材52は、第1縦ルーバー枠材511と第2縦ルーバー枠材512との間においてZ軸方向に並ぶように配置される。
【0035】
図6~
図8に示されるように、複数のルーバー材52はそれぞれ、配列方向(Z軸方向)と直交するX軸方向に延びるルーバー軸521回りに、第1回転方向RR1(
図6)とそれとは逆の第2回転方向RR2(
図8)とに回転可能である。複数のルーバー材52の各々に対応した各ルーバー軸521は、X軸方向の一端部が第1縦ルーバー枠材511に支持されるとともに、X軸方向の他端部が第2縦ルーバー枠材512に支持される。複数のルーバー材52はそれぞれ、ルーバー軸521回りに回転することにより、窓枠3に支持された窓材35を覆う閉鎖姿勢(
図6、
図8)と、窓材35を開放する開放姿勢(
図7)との間で姿勢変更が可能である。複数のルーバー材52はそれぞれ、ルーバー軸521回りの回転に応じた姿勢変更によって、窓材35を介した屋内側(+Y側)への採光や通風の調整機能、或いは、屋外から屋内側が見えることを規制することで防犯機能や屋内側に居る人のプライバシーを確保する機能などを果たす。
【0036】
ルーバー作動機構6は、複数のルーバー材52をそれぞれ回転させるための機構である。ルーバー作動機構6は、操作部7と、分配部8と、伝達部9とを含む。
【0037】
操作部7は、窓枠3よりも屋内側(+Y側)において、窓枠3の窓材35が配置される窓用開口3Aの外側に配置される。本実施形態では、操作部7は、窓枠3よりも屋内側(+Y側)において、額縁4から開口部2Aとは反対側に離間した位置に配置される。具体的には、操作部7は、窓枠3よりも屋内側(+Y側)でX軸方向及びZ軸方向に広がる内装壁材23において、額縁4から開口部2Aとは反対側の+X側に離間した位置に配置される。操作部7は、複数のルーバー材52をルーバー軸521回りの第1回転方向RR1に回転させるための第1操作力と、複数のルーバー材52をルーバー軸521回りの第2回転方向RR2に回転させるための第2操作力とを受ける。
【0038】
伝達部9は、窓枠3及び外壁2の少なくとも一方を貫通して設けられる。伝達部9が外壁2を貫通して設けられる場合、伝達部9は、柱22を構成する2本のC形鋼22A,22Bの間を通るとともに、隣接する外壁パネル21の間における目地を通るように設けられる。本実施形態では、伝達部9は、窓枠3を貫通して設けられる。具体的には、伝達部9は、窓枠3の第1縦窓枠材31を貫通して設けられる。伝達部9は、操作部7が受けた第1操作力及び第2操作力を分配部8に伝達する。
【0039】
分配部8は、窓枠3の屋外側(-Y側)に固定されたルーバー枠51に配置される。分配部8は、伝達部9により伝達された第1操作力及び第2操作力を複数のルーバー材52のそれぞれに分配する。
【0040】
ルーバー作動機構6では、窓枠3の屋内側(+Y側)に配置された操作部7の受ける第1操作力及び第2操作力が伝達部9を介して屋外側(-Y側)のルーバー枠51に配置された分配部8に伝達される。分配部8は、伝達された第1操作力及び第2操作力を複数のルーバー材52のそれぞれに分配する。これにより、窓枠3の屋内側(+Y側)に配置された操作部7が受ける第1操作力及び第2操作力に基づいて、窓枠3の屋外側(-Y側)のルーバー枠51に配置された複数のルーバー材52をルーバー軸521回りの第1回転方向RR1及び第2回転方向RR2に回転させることができる。
【0041】
また、窓枠3の屋内側(+Y側)に配置される操作部7は、窓枠3の屋内側において窓用開口3Aの外側であって、窓枠3に固定される額縁4から開口部2Aとは反対側に離間した位置に配置される。これにより、窓枠3の屋内側において額縁4の範囲内で窓用開口3Aを覆うように窓回りを装飾するためのウインドウトリートメントWTを設置する場合には、ウインドウトリートメントWTと操作部7との干渉を回避することが可能である。このため、操作部7との干渉を回避するためにウインドウトリートメントWTの設置に制限を設ける必要はない。また、窓枠3の屋内側において額縁4の範囲内でウインドウトリートメントWTを設置した状態では、操作部7は、ウインドウトリートメントWTに覆われることなく露出することになる。このため、窓枠3の屋外側のルーバー枠51に取り付けられた複数のルーバー材52を回転させるために屋内側から操作部7を操作するときには、ウインドウトリートメントWTを開放するような面倒な操作を行う必要はない。このため、窓枠3の屋内側における操作部7に対する簡単な操作で複数のルーバー材52を回転させることが可能となる。
【0042】
本実施形態に係るルーバー作動機構6について、
図2~
図8に加えて
図9~
図12を参照しながらより詳細に説明する。
【0043】
図9~
図12に示されるように、操作部7は、操作ボックス71と、操作体72と、操作側動作体73と、操作力伝達体74とを有する。
【0044】
操作ボックス71は、窓枠3よりも屋内側(+Y側)において、窓用開口3Aの外側に配置される。例えば、操作ボックス71は、窓枠3よりも屋内側(+Y側)の内装壁材23において、額縁4から開口部2Aとは反対側の+X側に離間した位置に取り付けられる。操作ボックス71は、内部空間を有する箱形に形成されるボックス本体711と、ボックス本体711に取り付けられた軸支持部712及びケーブル支持部713と、を含む。軸支持部712は、ボックス本体711の-Y側の部分にX軸方向に延びるように取り付けられる板状の部材である。ケーブル支持部713は、ボックス本体711の-Y側の部分において、軸支持部712から-Z側に離間した位置に取り付けられる。軸支持部712及びケーブル支持部713の詳細については後述する。
【0045】
操作体72は、ボックス本体711の+Y側の外面に対して取り付けられ、複数のルーバー材52をルーバー軸521回りに回転させるための第1操作力及び第2操作力を受ける。操作体72は、第1操作力及び第2操作力を受ける操作力受部721と、Y軸方向に延びた状態で操作力受部721に固定される軸部722と、を有する。操作体72は、操作力受部721が軸部722回りの第1操作方向R11に回転されることにより第1操作力を受ける一方、操作力受部721が軸部722回りの第1操作方向R11とは逆の第2操作方向R12に回転されることにより第2操作力を受ける。
【0046】
また、操作力受部721は、Y軸方向に見る平面視において、ボックス本体711の範囲内に収まる円形状に形成される。この場合、窓枠3の屋内側(+Y側)に居る人が操作力受部721を操作するときに、屋内側に垂れ下げられる従来技術の玉チェーンのように絡まったり、引っ掛かったりすることがない。なお、駆動モーターなどの駆動源の駆動力に基づいて操作力受部721を軸部722回りに回転させるようにしてもよい。
【0047】
操作側動作体73は、ボックス本体711内に配置される。操作側動作体73は、操作体72が第1操作力を受けた場合に第1操作動作を行う一方、操作体72が第2操作力を受けた場合には第1操作動作とは異なる第2操作動作を行う。
【0048】
本実施形態では、操作側動作体73は、ボックス本体711内において軸部722と平行なY軸方向に延びた状態で固定された操作軸731回りに回転可能な回転部材732によって構成される。回転部材732は、操作体72が第1操作力を受けた場合に第1操作動作として操作軸731回りの第1操作動作方向R21に回転する一方、操作体72が第2操作力を受けた場合には第2操作動作として操作軸731回りに第1操作動作方向R21とは逆の第2操作動作方向R22に回転する。操作側動作体73においては、第1操作動作及び第2操作動作として回転部材732が操作軸731回りに回転するため、直線移動する場合に比較して、操作軸731に対して直交するX軸方向及びZ軸方向における操作側動作体73の操作動作の範囲を狭くすることができる。これにより、操作部7の全体としての小型化が可能である。
【0049】
回転部材732は、Y軸方向に見る平面視において円形状に形成された回転本体7321と、回転本体7321の-Y側の面に突設された回転調整突起7323とを有する。
【0050】
操作軸731及び回転部材732が収容されるボックス本体711の-Y側の部分には、既述の通り、軸支持部712が取り付けられている。軸支持部712は、回転部材732の回転軸となる操作軸731を支持する。軸支持部712は、操作軸731が挿通される軸挿通孔7121と、回転部材732の回転調整突起7323の係合を許容する第1切欠き7122及び第2切欠き7123と、を有する。軸挿通孔7121に挿通された操作軸731回りに回転部材732が回転する際において、回転調整突起7323は、第1切欠き7122との係合によって回転部材732の第1操作動作方向R21への回転の回転角を調整する一方、第2切欠き7123との係合によって回転部材732の第2操作動作方向R22への回転の回転角を調整する。回転部材732は、軸支持部712に支持された操作軸731回りに、回転調整突起7323が第1切欠き7122に係合するまで第1操作動作方向R21への回転が可能である(
図10(A)参照)。また、回転部材732は、軸支持部712に支持された操作軸731回りに、回転調整突起7323が第2切欠き7123に係合するまで第2操作動作方向R22への回転が可能である(
図10(C)参照)。
【0051】
操作力伝達体74は、ボックス本体711内において操作体72と操作側動作体73との間に設けられる。操作力伝達体74は、操作体72が受けた第1操作力及び第2操作力を操作側動作体73に伝達する。操作体72と操作側動作体73との間に操作力伝達体74が設けられているため、操作体72の受けた第1操作力及び第2操作力が操作力伝達体74によって効率よく操作側動作体73に伝達される。操作側動作体73を構成する回転部材732は、操作力伝達体74によって伝達された第1操作力及び第2操作力に基づいて、第1操作動作及び第2操作動作として操作軸731回りに回転することができる。
【0052】
操作力伝達体74は、第1操作伝達ギア741と、第2操作伝達ギア742と、ロックギア743とを有する。第1操作伝達ギア741は、操作体72の軸部722に挿通された状態で当該軸部722に固定され、複数の歯部が円周上に並んで配置されたギアである。第2操作伝達ギア742は、操作軸731に挿通された状態で回転部材732の回転本体7321に固定され、複数の歯部が円周上に並んで配置されたギアである。第2操作伝達ギア742は、第1操作伝達ギア741と噛合される。ロックギア743は、第1操作伝達ギア741の-Z側において、第1操作伝達ギア741との噛合が可能な位置にボックス本体711に固定され、複数の歯部がX軸方向に並んで配置されたラックギアである。
【0053】
図11及び
図12に示されるように、操作体72の軸部722には、コイルばねから成る付勢部材723が挿入されている。付勢部材723は、操作力受部721を+Y側に付勢する。操作体72は、操作力受部721が付勢部材723によって付勢されて軸部722に固定された第1操作伝達ギア741とロックギア743とが噛合されたロック状態となる位置(
図11参照)と、操作力受部721が付勢部材723の付勢力に抗して-Y側に押圧されて軸部722に固定された第1操作伝達ギア741とロックギア743との噛合が解除されたロック解除状態となる位置(
図12参照)との間で変位可能である。
【0054】
第1操作伝達ギア741とロックギア743とが噛合されたロック状態では、操作力受部721が軸部722回りに回転されることが規制される。これにより、ロック状態では、窓枠3の屋外側(-Y側)のルーバー枠51に配置された複数のルーバー材52の回転を規制できる。ロック状態では、屋外側からルーバー材52を回転させようとしても、ルーバー材52の回転は規制されることから、屋内側に居る人に対する防犯、プライバシーを確保することができる。
【0055】
一方、第1操作伝達ギア741とロックギア743との噛合が解除されたロック解除状態では、操作力受部721が軸部722回りに回転されることが許容される。ロック解除状態で操作力受部721が軸部722回りに回転されると、軸部722に固定された第1操作伝達ギア741が回転し、第1操作伝達ギア741と噛み合う第2操作伝達ギア742も回転する。第2操作伝達ギア742が回転すると、当該第2操作伝達ギア742が固定された回転部材732の回転本体7321が回転する。このようにして回転部材732は、操作力受部721が軸部722回りの回転に応じた第1操作力及び第2操作力を受けた場合に、第1操作伝達ギア741及び第2操作伝達ギア742の回転と連動して、操作軸731回りに回転する。これにより、ロック解除状態では、窓枠3の屋外側(-Y側)のルーバー枠51に配置された複数のルーバー材52を回転させることができる。
【0056】
なお、第1操作伝達ギア741の歯部の数(歯数)は、第2操作伝達ギア742の歯部の数(歯数)よりも少ない。これにより、第1操作伝達ギア741及び第2操作伝達ギア742の回転に連動して回転部材732を操作軸731回りに回転させるときに、操作体72の操作力受部721に与える第1操作力及び第2操作力を低減することができる。
【0057】
次に、
図4~
図8を参照しながら分配部8について説明する。分配部8は、分配側動作体81と、分配体82と、分配動作力伝達体83とを有する。
【0058】
分配側動作体81は、ルーバー枠51の第1縦ルーバー枠材511の-Z側の端部に配置される。分配側動作体81は、操作側動作体73の第1操作動作としての第1操作動作方向R21への回転に対応した第1分配動作と、操作側動作体73の第2操作動作としての第2操作動作方向R22への回転に対応した第2分配動作と、を行う。
【0059】
本実施形態では、分配側動作体81は、第1縦ルーバー枠材511において、複数のルーバー材52の配列方向となるZ軸方向に直線移動可能な第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812によって構成される。第1分配側移動部材811は、複数の歯部8111がZ軸方向に並んで配置され、Z軸方向に延びるラックギアによって構成される。同様に、第2分配側移動部材812は、複数の歯部8121がZ軸方向に並んで配置され、Z軸方向に延びるラックギアによって構成される。第1分配側移動部材811と第2分配側移動部材812とは、Y軸方向において、第1縦ルーバー枠材511に支持されたルーバー軸521の一端部を挟んで歯部8111,8121同士が対向するように、配置される。
【0060】
操作側動作体73が第1操作動作方向R21に回転した場合、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812は、第1分配動作としてZ軸方向に沿った第1分配動作方向HH1に直線移動する(
図6参照)。一方、操作側動作体73が第2操作動作方向R22に回転した場合、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812は、第2分配動作として第1分配動作方向HH1とは逆の第2分配動作方向HH2に直線移動する(
図8参照)。この際、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812は、Z軸方向に互いに逆向きに直線移動することにより、第1分配動作と第2分配動作とを行う。つまり、第1分配側移動部材811が第1分配動作として直線移動する際の第1分配動作方向HH1は-Z側から+Z側へ向かう方向であるのに対し、第2分配側移動部材812が第1分配動作として直線移動する際の第1分配動作方向HH1は+Z側から-Z側へ向かう方向である。同様に、第1分配側移動部材811が第2分配動作として直線移動する際の第2分配動作方向HH2は+Z側から-Z側へ向かう方向であるのに対し、第2分配側移動部材812が第2分配動作として直線移動する際の第2分配動作方向HH2は-Z側から+Z側へ向かう方向である。
【0061】
図5に示されるように、分配体82は、ルーバー枠51の第2縦ルーバー枠材512に配置される。分配体82は、分配側動作体81の第1分配動作及び第2分配動作の力を複数のルーバー材52のそれぞれに、第1回転方向RR1及び第2回転方向RR2に回転する力として分配する。具体的には、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812が第1分配動作として第1分配動作方向HH1へ直線移動した場合、分配体82は、当該第1分配動作方向HH1への直線移動の力を複数のルーバー材52のぞれぞれに分配する。一方、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812が第2分配動作として第2分配動作方向HH2へ直線移動した場合、分配体82は、当該第2分配動作方向HH2への直線移動の力を複数のルーバー材52のぞれぞれに分配する。
【0062】
本実施形態では、分配体82は、第2縦ルーバー枠材512において、複数のルーバー材52の配列方向となるZ軸方向に直線移動可能に配置される。分配体82は、複数の歯部821がZ軸方向に並んで配置され、Z軸方向に延びるラックギアによって構成される。第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812が第1分配動作として第1分配動作方向HH1へ直線移動した場合、分配体82は、-Z側から+Z側へ向かう方向に直線移動することにより、第1分配動作方向HH1への直線移動の力を複数のルーバー材52のぞれぞれに分配する。これにより、複数のルーバー材52はそれぞれ、ルーバー軸521回りの第1回転方向RR1に回転する。一方、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812が第2分配動作として第2分配動作方向HH2へ直線移動した場合、分配体82は、+Z側から-Z側へ向かう方向に直線移動することにより、第2分配動作方向HH2への直線移動の力を複数のルーバー材52のぞれぞれに分配する。これにより、複数のルーバー材52はそれぞれ、ルーバー軸521回りの第2回転方向RR2に回転する。
【0063】
分配動作力伝達体83は、ルーバー枠51において分配側動作体81と分配体82との間に設けられる。分配動作力伝達体83は、分配側動作体81の第1分配動作及び第2分配動作の力を分配体82に伝達する。分配側動作体81と分配体82との間に分配動作力伝達体83が設けられているため、分配側動作体81の第1分配動作及び第2分配動作の力が分配動作力伝達体83によって効率よく分配体82に伝達される。分配体82は、分配動作力伝達体83によって伝達された第1分配動作及び第2分配動作の力を複数のルーバー材52のそれぞれに分配することにより、各ルーバー材52をルーバー軸521回りに回転させることができる。
【0064】
分配動作力伝達体83は、第1分配伝達ギア831(
図6~
図8)と、複数の第2分配伝達ギア832(
図5)とを有する。第1分配伝達ギア831は、第1縦ルーバー枠材511において、複数のルーバー材52のうちの1つのルーバー材52のルーバー軸521のX軸方向一端部に挿通された状態で当該ルーバー軸521に固定され、複数の歯部が円周上に並んで配置されたギアである。第1分配伝達ギア831は、第1分配側移動部材811の歯部8111と噛み合うとともに、第2分配側移動部材812の歯部8121と噛み合う。複数の第2分配伝達ギア832はそれぞれ、第2縦ルーバー枠材512において、複数のルーバー材52のそれぞれの各ルーバー軸521のX軸方向他端部に挿通された状態で各ルーバー軸521に固定され、複数の歯部が円周上に並んで配置されたギアである。複数の第2分配伝達ギア832はそれぞれ、分配体82の歯部821と噛み合う。
【0065】
第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812が第1分配動作として第1分配動作方向HH1へ直線移動すると、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812の各歯部8111,8121と噛み合う第1分配伝達ギア831が回転し、第1分配伝達ギア831の固定されたルーバー軸521も回転する。第1分配伝達ギア831の固定されたルーバー軸521が回転すると、当該ルーバー軸521のX軸方向他端部に固定された第2分配伝達ギア832が回転し、当該第2分配伝達ギア832と噛み合う歯部821を有する分配体82がZ軸方向に直線移動する。分配体82がZ軸方向に直線移動すると、分配体82の歯部821と噛み合う各第2分配伝達ギア832の固定された各ルーバー軸521が回転する。各ルーバー軸521が回転することにより、各ルーバー材52が回転する。
【0066】
次に、
図3、
図6~
図8及び
図10を参照しながら伝達部9について説明する。伝達部9は、第1伝達ケーブル91と第2伝達ケーブル92とによって構成される。
【0067】
第1伝達ケーブル91は、第1アウターケーブル911と第1インナーケーブル912とを有する。第1アウターケーブル911は、窓枠3の第1縦窓枠材31を貫通して設けられる円筒状の線材である。第1アウターケーブル911は、第1縦窓枠材31を貫通した状態で、一端部が操作ボックス71に接続固定されるとともに、他端部がルーバー枠51の第1縦ルーバー枠材511に形成された第1ケーブル他端保持部5111に固定されて保持される。なお、第1アウターケーブル911は、第1インナーケーブル912に対して外装されていればよい。つまり、第1アウターケーブル911は、一端部が操作ボックス71に固定されていなくてもよく、他端部が第1ケーブル他端保持部5111に固定されていなくてもよい。
【0068】
第1インナーケーブル912は、第1アウターケーブル911に挿通された状態で、操作側動作体73を構成する回転部材732と分配側動作体81を構成する第1分配側移動部材811とに接続される線材である。具体的には、第1インナーケーブル912は、第1アウターケーブル911に挿通された状態で、一端部がケーブル固定部材7322によって回転部材732の回転本体7321に接続固定されるとともに、他端部が第1分配側移動部材811のケーブル端固定部8112に接続固定される。
【0069】
第1インナーケーブル912の一端部が接続される回転部材732は、操作体72の受けた第1操作力及び第2操作力が第1アウターケーブル911に対する第1インナーケーブル912の押引方向の力として伝わるように、第1操作力に応じて操作軸731回りの第1操作動作方向R21に回転する一方、第2操作力に応じて操作軸731回りの第2操作動作方向R22に回転する。第1インナーケーブル912の他端部が接続される第1分配側移動部材811は、第1インナーケーブル912の押引方向の力に応じて第1分配動作方向HH1及び第2分配動作方向HH2に移動する。
【0070】
具体的には、操作体72が第1操作力を受けた場合には、回転部材732は、第1アウターケーブル911に対して第1インナーケーブル912を押込むように操作軸731回りの第1操作動作方向R21に回転する。この場合、第1インナーケーブル912は、第1アウターケーブル911に沿って操作ボックス71側から第1縦ルーバー枠材511側へ移動する。第1インナーケーブル912が押込まれて操作ボックス71側から第1縦ルーバー枠材511側へ移動すると、第1インナーケーブル912の移動の力に応じて第1分配側移動部材811が第1分配動作方向HH1に移動する。
【0071】
一方、操作体72が第2操作力を受けた場合には、回転部材732は、第1アウターケーブル911に対して第1インナーケーブル912を引張るように操作軸731回りの第2操作動作方向R22に回転する。この場合、第1インナーケーブル912は、第1アウターケーブル911に沿って第1縦ルーバー枠材511側から操作ボックス71側へ移動する。第1インナーケーブル912が引張られて第1縦ルーバー枠材511側から操作ボックス71側へ移動すると、第1インナーケーブル912の移動の力に応じて第1分配側移動部材811が第2分配動作方向HH2に移動する。
【0072】
第2伝達ケーブル92は、第2アウターケーブル921と第2インナーケーブル922とを有する。第2アウターケーブル921は、窓枠3の第1縦窓枠材31を貫通して設けられる円筒状の線材である。第2アウターケーブル921は、第1縦窓枠材31を貫通した状態で、一端部が操作ボックス71に接続固定されるとともに、他端部がルーバー枠51の第1縦ルーバー枠材511に形成された第2ケーブル他端保持部5112に固定されて保持される。なお、第2アウターケーブル921は、第2インナーケーブル922に対して外装されていればよい。つまり、第2アウターケーブル921は、一端部が操作ボックス71に固定されていなくてもよく、他端部が第2ケーブル他端保持部5112に固定されていなくてもよい。
【0073】
第2インナーケーブル922は、第2アウターケーブル921に挿通された状態で、操作側動作体73を構成する回転部材732と分配側動作体81を構成する第2分配側移動部材812とに接続される線材である。具体的には、第2インナーケーブル922は、第2アウターケーブル921に挿通された状態で、一端部がケーブル固定部材7322によって回転部材732の回転本体7321に接続固定されるとともに、他端部が第2分配側移動部材812のケーブル端固定部8122に接続固定される。
【0074】
第2インナーケーブル922の一端部が接続される回転部材732は、操作体72の受けた第1操作力及び第2操作力が第2アウターケーブル921に対する第2インナーケーブル922の押引方向の力として伝わるように、第1操作力に応じて操作軸731回りの第1操作動作方向R21に回転する一方、第2操作力に応じて操作軸731回りの第2操作動作方向R22に回転する。第2インナーケーブル922の他端部が接続される第2分配側移動部材812は、第2インナーケーブル922の押引方向の力に応じて第1分配動作方向HH1及び第2分配動作方向HH2に移動する。
【0075】
具体的には、操作体72が第1操作力を受けた場合には、回転部材732は、第2アウターケーブル921に対して第2インナーケーブル922を引張るように操作軸731回りの第1操作動作方向R21に回転する。この場合、第2インナーケーブル922は、第2アウターケーブル921に沿って第1インナーケーブル912とは逆向きの第1縦ルーバー枠材511側から操作ボックス71側へ移動する。第2インナーケーブル922が引張られて第1縦ルーバー枠材511側から操作ボックス71側へ移動すると、第2インナーケーブル922の移動の力に応じて第2分配側移動部材812が第1分配動作方向HH1に移動する。
【0076】
一方、操作体72が第2操作力を受けた場合には、回転部材732は、第2アウターケーブル921に対して第2インナーケーブル922を押込むように操作軸731回りの第2操作動作方向R22に回転する。この場合、第2インナーケーブル922は、第2アウターケーブル921に沿って第1インナーケーブル912とは逆向きの操作ボックス71側から第1縦ルーバー枠材511側へ移動する。第2インナーケーブル922が押込まれて操作ボックス71側から第1縦ルーバー枠材511側へ移動すると、第2インナーケーブル922の移動の力に応じて第2分配側移動部材812が第2分配動作方向HH2に移動する。
【0077】
第1伝達ケーブル91と第2伝達ケーブル92とを含む構成の伝達部9では、第1インナーケーブル912及び第2インナーケーブル922は、回転部材732、第1分配側移動部材811、第2分配側移動部材812、及び第1分配伝達ギア831を介してループ状となるように、各一端部が回転部材732にそれぞれ接続されるとともに各他端部が第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812にそれぞれ接続される。
【0078】
操作体72が第1操作力を受けた場合、回転部材732は、第1アウターケーブル911に対して第1インナーケーブル912を押込むとともに、第2アウターケーブル921に対して第2インナーケーブル922を引張るように、操作軸731回りの第1操作動作方向R21に回転する。この場合、第1分配側移動部材811が第1インナーケーブル912を引張るように第1分配動作方向HH1に移動するとともに、第2分配側移動部材812が第2インナーケーブル922を押込むように第1分配動作方向HH1に移動する。一方、操作体72が第2操作力を受けた場合、回転部材732は、第1アウターケーブル911に対して第1インナーケーブル912を引張るとともに、第2アウターケーブル921に対して第2インナーケーブル922を押込むように、操作軸731回りの第2操作動作方向R22に回転する。この場合、第1分配側移動部材811が第1インナーケーブル912を押込むように第2分配動作方向HH2に移動するとともに、第2分配側移動部材812が第2インナーケーブル922を引張るように第2分配動作方向HH2に移動する。これにより、第1インナーケーブル912は第1アウターケーブル911に沿って押引方向に安定して移動することが可能であるとともに、第2インナーケーブル922は第2アウターケーブル921に沿って押引方向に安定して移動することが可能である。
【0079】
また、第1インナーケーブル912は、一端部に操作側露出部分9121を有するとともに、他端部に分配側露出部分9122を有する。第1インナーケーブル912の操作側露出部分9121は、第1インナーケーブル912の回転部材732から所定長さの部分であって、第1アウターケーブル911の一端部の端面から回転部材732までの間で、第1アウターケーブル911から露出する部分である(
図10~
図12参照)。第1インナーケーブル912の操作側露出部分9121は、操作ボックス71のケーブル支持部713に形成された第1ケーブル一端支持部7131に、移動可能に支持される。一方、第1インナーケーブル912の分配側露出部分9122は、第1インナーケーブル912の第1分配側移動部材811から所定長さの部分であって、第1縦ルーバー枠材511の第1ケーブル他端保持部5111に保持される第1アウターケーブル911の他端部の端面から第1分配側移動部材811までの間で、第1アウターケーブル911から露出する部分である(
図6~
図8参照)。
【0080】
操作ボックス71の第1ケーブル一端支持部7131は、第1インナーケーブル912の操作側露出部分9121が複数のルーバー材52の配列方向となるZ軸方向に沿った押引方向に移動可能となるように、操作側露出部分9121を支持する。また、第1縦ルーバー枠材511の第1ケーブル他端保持部5111は、第1インナーケーブル912の分配側露出部分9122がZ軸方向に沿った押引方向に移動可能となるように、第1アウターケーブル911の他端部を固定して保持する。この場合、第1インナーケーブル912の操作側露出部分9121及び分配側露出部分9122は、回転部材732の回転に応じて、複数のルーバー材52の配列方向となるZ軸方向に沿って安定して移動する。これにより、第1インナーケーブル912の分配側露出部分9122に接続される第1分配側移動部材811の、第1インナーケーブル912の移動に応じたZ軸方向の直線移動が安定する。このため、分配体82が第1分配側移動部材811の直線移動の力を複数のルーバー材52のそれぞれに分配することにより、複数のルーバー材52を安定して回転させることができる。
【0081】
同様に、第2インナーケーブル922は、一端部に操作側露出部分9221を有するとともに、他端部に分配側露出部分9222を有する。第2インナーケーブル922の操作側露出部分9221は、第2インナーケーブル922の回転部材732から所定長さの部分であって、第2アウターケーブル921の一端部の端面から回転部材732までの間で、第2アウターケーブル921から露出する部分である(
図10参照)。第2インナーケーブル922の操作側露出部分9221は、操作ボックス71のケーブル支持部713に形成された第2ケーブル一端支持部7132に、移動可能に支持される。一方、第2インナーケーブル922の分配側露出部分9222は、第2インナーケーブル922の第2分配側移動部材812から所定長さの部分であって、第1縦ルーバー枠材511の第2ケーブル他端保持部5112に保持される第2アウターケーブル921の他端部の端面から第2分配側移動部材812までの間で、第2アウターケーブル921から露出する部分である(
図6~
図8参照)。
【0082】
操作ボックス71の第2ケーブル一端支持部7132は、第2インナーケーブル922の操作側露出部分9221が複数のルーバー材52の配列方向となるZ軸方向に沿った押引方向に移動可能となるように、操作側露出部分9221を支持する。また、第1縦ルーバー枠材511の第2ケーブル他端保持部5112は、第2インナーケーブル922の分配側露出部分9222がZ軸方向に沿った押引方向に移動可能となるように、第2アウターケーブル921の他端部を固定して保持する。この場合、第2インナーケーブル922の操作側露出部分9221及び分配側露出部分9222は、回転部材732の回転に応じて、複数のルーバー材52の配列方向となるZ軸方向に沿って安定して移動する。これにより、第2インナーケーブル922の分配側露出部分9222に接続される第2分配側移動部材812の、第2インナーケーブル922の移動に応じたZ軸方向の直線移動が安定する。このため、分配体82が第2分配側移動部材812の直線移動の力を複数のルーバー材52のそれぞれに分配することにより、複数のルーバー材52を安定して回転させることができる。
【0083】
上記構成の操作部7、分配部8及び伝達部9を含むルーバー作動機構6では、操作体72の受けた第1操作力及び第2操作力に基づく回転部材732の回転に応じて、第1インナーケーブル912が第1アウターケーブル911に沿って押引方向に移動するとともに、第2インナーケーブル922が第2アウターケーブル921に沿って押引方向に移動する。更に、第1インナーケーブル912の移動に応じて第1分配側移動部材811が直線移動するとともに、第2インナーケーブル922の移動に応じて第2分配側移動部材812が直線移動する。そして、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812の直線移動の力を分配体82が複数のルーバー材52のそれぞれに分配する。これにより、窓枠3の屋内側に配置された操作ボックス71に取り付けられた操作体72が受ける第1操作力及び第2操作力に基づいて、窓枠3の屋外側のルーバー枠51に配置された複数のルーバー材52を回転させることができる。
【0084】
また、ルーバー作動機構6において伝達部9は、第1伝達ケーブル91及び第2伝達ケーブル92によって構成される。第1伝達ケーブル91及び第2伝達ケーブル92では、第1アウターケーブル911及び第2アウターケーブル921が窓枠3及び外壁2の少なくとも一方を貫通し、その第1アウターケーブル911及び第2アウターケーブル921に第1インナーケーブル912及び第2インナーケーブル922がそれぞれ挿通されている。この場合、第1伝達ケーブル91及び第2伝達ケーブル92は、従来技術の玉チェーンのように窓枠3の屋内側に垂れ下げられてはいない。このため、屋内側に居る人、特に幼児や子供が第1伝達ケーブル91及び第2伝達ケーブル92に引っ掛かったりすることはない。従って、ルーバー作動機構6は、幼児や子供などの屋内側に居る人への安全性にも配慮した構造となる。
【0085】
なお、第1アウターケーブル911及び第2アウターケーブル921が貫通される窓枠3の第1縦窓枠材31には、第1アウターケーブル911の貫通を許容する第1貫通孔と、第2アウターケーブル921の貫通を許容する第2貫通孔とが形成される。この場合、第1アウターケーブル911と第1貫通孔との隙間と、第2アウターケーブル921と第2貫通孔との隙間には、シーリング材やコーキング材、パッキン材などの封止材が充填されてもよい。これにより、雨水などが各隙間を通じて屋外から屋内側に浸入することを防止することができる。
【0086】
また、窓枠3の屋外側(-Y側)に配置されたルーバーユニット5をメンテナンスするとき、或いは、新たなルーバーユニット5に交換するときには、以下に示す作業が行われる。
【0087】
まず、第1縦ルーバー枠材511の第1ケーブル他端保持部5111及び第2ケーブル他端保持部5112に対する第1アウターケーブル911及び第2アウターケーブル921の他端部の固定を解除する作業が行われるとともに、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812に対する第1インナーケーブル912及び第2インナーケーブル922の他端部の固定を解除する作業が行われる。この際、第1アウターケーブル911及び第2アウターケーブル921は、第1縦窓枠材31に対する貫通状態が維持されるとともに、操作ボックス71に対する一端部の固定状態が維持される。また、第1インナーケーブル912及び第2インナーケーブル922は、第1アウターケーブル911及び第2アウターケーブル921に対する挿通状態が維持されるとともに、回転部材732に対する一端部の固定状態が維持される。
【0088】
上記の状態でルーバーユニット5を窓枠3から取り外し、ルーバーユニット5に対するメンテナンスなどの作業が行われる。その後、再度、ルーバーユニット5を窓枠3に対して配置する場合には、第1縦ルーバー枠材511の第1ケーブル他端保持部5111及び第2ケーブル他端保持部5112に対して第1アウターケーブル911及び第2アウターケーブル921の他端部を固定する作業が行われるとともに、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812に対して第1インナーケーブル912及び第2インナーケーブル922の他端部を固定する作業が行われる。このような簡単な作業でルーバーユニット5を窓枠3に対して再配置することが可能である。
【0089】
なお、ルーバーユニット5の交換作業を行う場合には、第1インナーケーブル912及び第2インナーケーブル922は、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812に対する他端部の固定状態が維持され、回転部材732に対する一端部の固定が解除されてもよい。この場合、ルーバーユニット5を窓枠3から取り外した際に、ルーバーユニット5とともに第1インナーケーブル912及び第2インナーケーブル922を、第1アウターケーブル911及び第2アウターケーブル921から抜き取ることができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態に係る外壁構造1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0091】
上記の実施形態では、操作側動作体73が回転部材732によって構成された操作部7について説明したが、これに限定されない。操作部7に代えて、
図13~
図16に示される操作部7Aをルーバー作動機構6に適用してもよい。
【0092】
図13~
図16に示される操作部7Aは、操作ボックス71Aと、操作体72Aと、操作側動作体73Aと、操作力伝達体74Aとを有する。
【0093】
操作ボックス71Aは、窓枠3よりも屋内側(+Y側)において、窓用開口3Aの外側に配置される。例えば、操作ボックス71Aは、窓枠3よりも屋内側(+Y側)の内装壁材23において、額縁4から開口部2Aとは反対側の+X側に離間した位置に取り付けられる。操作ボックス71Aは、内部空間を有する箱形に形成されるボックス本体711Aと、ボックス本体711Aに取り付けられた軸支持部712A及びケーブル支持部713Aと、を含む。ケーブル支持部713Aは、第1ケーブル一端支持部7131と第2ケーブル一端支持部7132とを有する。第1ケーブル一端支持部7131は、第1インナーケーブル912の操作側露出部分9121がZ軸方向に沿って移動可能となるように、操作側露出部分9121を支持する。第2ケーブル一端支持部7132は、第2インナーケーブル922の操作側露出部分9221がZ軸方向に沿って移動可能となるように、操作側露出部分9221を支持する。
【0094】
操作体72Aは、ボックス本体711Aの+Y側の外面に対して取り付けられ、複数のルーバー材52をルーバー軸521回りに回転させるための第1操作力及び第2操作力を受ける。操作体72Aは、第1操作力及び第2操作力を受ける操作力受部721と、Y軸方向に延びた状態で操作力受部721に固定される軸部722と、を有する。軸部722は、操作ボックス71Aの軸支持部712Aに支持される。操作体72Aは、操作力受部721が軸部722回りの第1操作方向に回転されることにより第1操作力を受ける一方、操作力受部721が軸部722回りの第1操作方向とは逆の第2操作方向に回転されることにより第2操作力を受ける。
【0095】
操作側動作体73Aは、ボックス本体711A内に配置される。操作側動作体73Aは、操作体72Aが第1操作力を受けた場合に第1操作動作を行う一方、操作体72Aが第2操作力を受けた場合には第1操作動作とは異なる第2操作動作を行う。
【0096】
変形実施形態に係る操作部7Aでは、操作側動作体73Aは、ボックス本体711A内において、複数のルーバー材52の配列方向となるZ軸方向に沿って直線移動可能な第1操作側移動部材73A1及び第2操作側移動部材73A2によって構成される。第1操作側移動部材73A1と第2操作側移動部材73A2とは、X軸方向において、操作体72Aの軸部722を挟んで対向するように配置される。第1操作側移動部材73A1には第1インナーケーブル912の一端部が接続固定され、第2操作側移動部材73A2には第2インナーケーブル922の一端部が接続固定される。
【0097】
操作体72Aが第1操作力を受けた場合、第1操作側移動部材73A1及び第2操作側移動部材73A2は、第1操作動作としてZ軸方向に沿った第1操作動作方向H21に直線移動する。一方、操作体72Aが第2操作力を受けた場合、第1操作側移動部材73A1及び第2操作側移動部材73A2は、第2操作動作として第1操作動作方向H21とは逆の第2操作動作方向H22に直線移動する。この際、第1操作側移動部材73A1及び第2操作側移動部材73A2は、Z軸方向に互いに逆向きに直線移動することにより、第1操作動作と第2操作動作とを行う。つまり、第1操作側移動部材73A1が第1操作動作として直線移動する際の第1操作動作方向H21は+Z側から-Z側へ向かう方向であるのに対し、第2操作側移動部材73A2が第1操作動作として直線移動する際の第1操作動作方向H21は-Z側から+Z側へ向かう方向である。同様に、第1操作側移動部材73A1が第2操作動作として直線移動する際の第2操作動作方向H22は-Z側から+Z側へ向かう方向であるのに対し、第2操作側移動部材73A2が第2操作動作として直線移動する際の第2操作動作方向H22は+Z側から-Z側へ向かう方向である。
【0098】
操作力伝達体74Aは、ボックス本体711A内において操作体72Aと操作側動作体73Aとの間に設けられる。操作力伝達体74Aは、操作体72Aが受けた第1操作力及び第2操作力を操作側動作体73Aに伝達する。操作側動作体73Aを構成する第1操作側移動部材73A1及び第2操作側移動部材73A2は、操作力伝達体74Aによって伝達された第1操作力及び第2操作力に基づいて、第1操作動作及び第2操作動作としてZ軸方向に沿って直線移動することができる。
【0099】
操作力伝達体74Aは、第1操作伝達ギア74A1と、第2操作伝達ギア74A2と、第3操作伝達ギア74A3と、ロックギア74A4とを有する。第1操作伝達ギア74A1は、操作体72Aの軸部722に挿通された状態で当該軸部722に固定され、複数の歯部が円周上に並んで配置されたギアである。第2操作伝達ギア74A2は、第1操作側移動部材73A1に固定され、複数の歯部がZ軸方向に並んで配置されたラックギアである。第2操作伝達ギア74A2は、第1操作伝達ギア74A1と噛合される。第3操作伝達ギア74A3は、第2操作側移動部材73A2に固定され、複数の歯部がZ軸方向に並んで配置されたラックギアである。第3操作伝達ギア74A3は、第1操作伝達ギア74A1と噛合される。ロックギア74A4は、第1操作伝達ギア74A1の-Z側においてボックス本体711Aに固定され、複数の歯部がX軸横行に並んで配置されたラックギアである。
【0100】
図14及び
図15に示されるように、操作体72Aの軸部722には、コイルばねから成る付勢部材723が挿入されている。付勢部材723は、操作力受部721を+Y側に付勢する。操作力受部721が付勢部材723によって付勢された状態では、軸部722に固定された第1操作伝達ギア74A1とロックギア74A4とが噛合されたロック状態となる。このロック状態では、操作力受部721が軸部722回りに回転されることが規制される。一方、操作力受部721が付勢部材723の付勢力に抗して-Y側に押圧された状態では、軸部722に固定された第1操作伝達ギア74A1とロックギア74A4との噛合が解除されたロック解除状態となる。このロック解除状態では、操作力受部721が軸部722回りに回転されることが許容される。
【0101】
ロック解除状態で操作力受部721が軸部722回りに回転されると、軸部722に固定された第1操作伝達ギア74A1が回転する。第1操作伝達ギア74A1が回転すると、第1操作伝達ギア74A1と噛み合う第2操作伝達ギア74A2の固定された第1操作側移動部材73A1が直線移動するとともに、第1操作伝達ギア74A1と噛み合う第3操作伝達ギア74A3の固定された第2操作側移動部材73A2が直線移動する。このようにして第1操作側移動部材73A1及び第2操作側移動部材73A2は、操作力受部721が軸部722回りの回転に応じた第1操作力及び第2操作力を受けた場合に、Z軸方向に沿って直線移動する。
【0102】
操作部7A、分配部8及び伝達部9を含むルーバー作動機構6では、操作体72Aの受けた第1操作力及び第2操作力に基づく第1操作側移動部材73A1及び第2操作側移動部材73A2の直線移動に応じて、第1インナーケーブル912が第1アウターケーブル911に沿って移動するとともに、第2インナーケーブル922が第2アウターケーブル921に沿って移動する。更に、第1インナーケーブル912の移動に応じて第1分配側移動部材811が直線移動するとともに、第2インナーケーブル922の移動に応じて第2分配側移動部材812が直線移動する。そして、第1分配側移動部材811及び第2分配側移動部材812の直線移動の力を分配体82が複数のルーバー材52のそれぞれに分配する。これにより、窓枠3の屋内側に配置された操作ボックス71Aに取り付けられた操作体72Aが受ける第1操作力及び第2操作力に基づいて、窓枠3の屋外側のルーバー枠51に配置された複数のルーバー材52を回転させることができる。
【0103】
また、上記の実施形態では、伝達部9が第1伝達ケーブル91と第2伝達ケーブル92との2つの伝達ケーブルによって構成されることについて説明したが、これに限定されない。伝達部9は、アウターケーブルとインナーケーブルとを有する1つの伝達ケーブルによって構成されていてもよい。
【0104】
また、上記の実施形態では、操作部7及び操作部7Aが、窓枠3よりも屋内側において、窓枠3の窓用開口3Aの外側の内装壁材23に配置される構成について説明したが、これに限定されない。操作部7及び操作部7Aは、窓枠3の窓用開口3Aの外側に配置されていればよく、例えば、額縁4の縦枠などに配置されてもよい。この場合、例えば操作部7Aは、第1操作側移動部材73A1及び第2操作側移動部材73A2がY軸方向に沿って直線移動することが可能となるように、額縁4の縦枠などに配置される。
【0105】
また、上記の実施形態では、操作部7が、第1操作力及び第2操作力を受ける操作体72と、アウターケーブル911,921に対してインナーケーブル912,922を移動させる操作側動作体73と、を有する構成について説明したが、これに限定されない。操作部7は、第1操作力及び第2操作力がアウターケーブル911,921に対するインナーケーブル912,922の押引方向の力として伝わるように構成されていればよく、例えば、ハンドル形、つまみ形、レバー形のいずれの構成であってもよい。
【0106】
また、上記の実施形態では、ルーバーユニット5が1つの窓枠3に対して取り付けられる構成について説明したが、これに限定されない。例えば、X軸方向に並んで配置される複数の窓枠3のそれぞれにルーバーユニット5が取り付けられてもよい。この場合、ルーバー作動機構6では、各ルーバーユニット5に対応して複数の分配部8が配置され、屋内側に1つの操作部7が配置される。そして、伝達ケーブル91,92を、途中で複数に分岐された分岐構造を有するケーブルとする。この分岐構造を有するケーブルによって、1つの操作部7と複数の分配部8のそれぞれとの間の伝達経路を構成すればよい。これにより、複数のルーバーユニット5のそれぞれのルーバー材52を同時に作動させることができる。
【符号の説明】
【0107】
1 外壁構造
2 外壁
2A 開口部
3 窓枠
3A 窓用開口
5 ルーバーユニット
51 ルーバー枠
52 ルーバー材
521 ルーバー軸
6 ルーバー作動機構
7,7A 操作部
71,71A 操作ボックス
72,72A 操作体
73,73A 操作側動作体
731 操作軸
732 回転部材
74,74A 操作力伝達体
8 分配部
81 分配側動作体
82 分配体
83 分配動作力伝達体
9 伝達部
91 第1伝達ケーブル
911 第1アウターケーブル
912 第1インナーケーブル
92 第2伝達ケーブル
921 第2アウターケーブル
922 第2インナーケーブル