(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109032
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】サーマルプリントヘッド、およびサーマルプリントヘッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/335 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
B41J2/335 101C
B41J2/335 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010399
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 吾郎
【テーマコード(参考)】
2C065
【Fターム(参考)】
2C065GA01
2C065GB01
2C065JC02
2C065JC07
2C065JC14
2C065JH05
2C065JH10
2C065JH14
(57)【要約】
【課題】 基板の蓄熱性能の向上を図ることにより、印字効率の低下を抑制することが可能なサーマルプリントヘッドおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 サーマルプリントヘッドA10は、第1方向zを向く主面11を有する基板1と、複数の発熱部31を含むとともに、主面11の上に配置された抵抗体層3と、複数の発熱部31に導通し、かつ抵抗体層3に接して形成された配線層4とを備える。基板1は、主面11を含む第1層101と、第1方向zにおいて第1層101を基準として抵抗体層3とは反対側に位置する第2層102と、第1層101と第2層102との間に位置する中間層103とを含む。中間層103の熱伝導率は、第1層101および第2層102の各々の熱伝導率よりも低い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向を向く主面を有する基板と、
前記第1方向に対して直交する第2方向に沿って配列された複数の発熱部を含むとともに、前記主面の上に配置された抵抗体層と、
前記複数の発熱部に導通し、かつ前記抵抗体層に接して配置された配線層と、を備え、
前記基板は、前記主面を含む第1層と、前記第1方向において前記第1層を基準として前記抵抗体層とは反対側に位置する第2層と、前記第1層と前記第2層との間に位置する中間層と、を含み、
前記中間層の熱伝導率は、前記第1層および前記第2層の各々の熱伝導率よりも低い、サーマルプリントヘッド。
【請求項2】
前記第1方向において前記主面から前記中間層に至る前記第1層の第1寸法は、前記第1方向における前記第2層の第2寸法と異なる、請求項1に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項3】
前記第2寸法は、前記第1寸法よりも大きい、請求項2に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項4】
前記第1方向における前記中間層の寸法は、前記第1寸法および前記第2寸法の各々よりも小さい、請求項2または3に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項5】
前記基板は、前記第1方向において前記第2層を基準として前記中間層とは反対側に位置する外部層をさらに含み、
前記外部層の熱伝導率は、前記第1層および前記第2層の各々の熱伝導率よりも低い、請求項1ないし4のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項6】
前記第1層および前記第2層の組成は、ケイ素を含む、請求項1ないし5のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項7】
前記中間層の組成は、二酸化ケイ素を含む、請求項6に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項8】
前記基板は、前記主面から突出し、かつ前記第2方向に延びる凸部を有し、
前記複数の発熱部は、前記凸部の上に位置しており、
前記凸部は、頂面、第1傾斜面および第2傾斜面を有し、
前記頂面は、前記第1方向を向き、かつ前記主面から離れて位置しており、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記主面と前記頂面との間に位置し、かつ前記主面に対して傾斜しており、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記第1方向および前記第2方向に対して直交する第3方向において互いに離れて位置しており、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記主面から前記頂面に向かうほど互いに近づく、請求項6または7に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項9】
前記凸部は、前記第3方向において前記頂面を基準として前記第1傾斜面と同じ側に位置し、かつ前記主面に対して傾斜した第3傾斜面を有し、
前記第3傾斜面は、前記第1傾斜面と前記頂面との間に位置しており、
前記主面に対する前記第3傾斜面の傾斜角は、前記主面に対する前記第1傾斜面の傾斜角よりも小さい、請求項8に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項10】
前記凸部は、前記第3方向において前記頂面を基準として前記第3傾斜面とは反対側に位置し、かつ前記主面に対して傾斜した第4傾斜面を有し、
前記第4傾斜面は、前記第2傾斜面と前記頂面との間に位置しており、
前記主面に対する前記第4傾斜面の傾斜角は、前記主面に対する前記第2傾斜面の傾斜角よりも小さい、請求項9に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項11】
前記主面および前記凸部を覆う絶縁層をさらに備え、
前記絶縁層は、前記第1層と前記抵抗体層との間に位置する、請求項8ないし10のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項12】
前記絶縁層の熱伝導率は、前記中間層の熱伝導率よりも高い、請求項11に記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項13】
前記複数の発熱部、および前記配線層を覆う保護層をさらに備える、請求項1ないし12のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項14】
前記配線層は、共通配線と、複数の個別配線と、を含み、
前記共通配線は、前記複数の発熱部に導通しており、
前記複数の個別配線は、前記複数の発熱部に個別に導通している、請求項1ないし13のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項15】
放熱部材をさらに備え、
前記基板は、前記第1方向において前記主面とは反対側を向く裏面を有し、
前記裏面は、前記放熱部材に接合されている、請求項1ないし14のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
【請求項16】
第1方向を向く主面を有する基材を形成する工程と、
前記第1方向に対して直交する第2方向に沿って配列された複数の発熱部を含む抵抗体層を前記主面の上に形成する工程と、
前記複数の発熱部に導通する配線層を前記抵抗体層に接して形成する工程と、を備え、
前記基材は、前記主面を含むとともに、前記第1方向において前記主面とは反対側を向く第1面を有する第1基材と、前記第1面に対向する第2面を有する第2基材と、を含み、
前記基材を形成する工程は、前記第1面および前記第2面の少なくともいずれかを覆う被覆層を形成する工程と、前記被覆層を間に挟んで前記第1基材を前記第2基材に貼り合わせる工程と、を含み、
前記被覆層の熱伝導率は、前記第1基材および前記第2基材の各々の熱伝導率よりも低い、サーマルプリントヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記第1基材および前記第2基材の組成は、ケイ素を含み、
前記被覆層は、熱酸化法により形成される、請求項16に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
【請求項18】
前記基材を形成する工程は、前記第1基材を前記第2基材に貼り合わせる工程の後に、前記主面から突出し、かつ前記第2方向に延びる凸部を前記第1基材に形成する工程を含む、請求項17に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーマルプリントヘッドおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケイ素(シリコン)を含む材料からなる基板を備えるサーマルプリントヘッドが開示されている。当該サーマルプリントヘッドの基板は、主面と、主走査方向に延び、かつ主面から突出する凸部とを有する。特許文献1の
図6などに示すように、複数の発熱部は、凸部の上において主走査方向に沿って配列されている。このような構成によれば、複数の発熱部が配置された凸部に記録媒体を的確に接触させることができるため、印字品質の向上が期待できる。
【0003】
しかし、特許文献1に開示されているサーマルプリントヘッドの基板の熱伝導率は、窒化アルミニウムを含む基板と同程度の熱伝導率となっている。このため、当該サーマルプリントヘッドの基板においては、熱が伝導しやすい。したがって、寒冷地において当該サーマルプリントヘッドを使用する場合、凸部の上に主走査方向に沿って配列された複数の発熱部の温度が低下しやすくなる。これにより、印字速度が低下するため、印字効率が低下することが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は上述の事情に鑑み、基板の蓄熱性能の向上を図ることにより、印字効率の低下を抑制することが可能なサーマルプリントヘッドおよびその製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の側面によって提供されるサーマルプリントヘッドは、第1方向を向く主面を有する基板と、前記第1方向に対して直交する第2方向に沿って配列された複数の発熱部を含むとともに、前記主面の上に配置された抵抗体層と、前記複数の発熱部に導通し、かつ前記抵抗体層に接して配置された配線層と、を備え、前記基板は、前記主面を含む第1層と、前記第1方向において前記第1層を基準として前記抵抗体層とは反対側に位置する第2層と、前記第1層と前記第2層との間に位置する中間層と、を含み、前記中間層の熱伝導率は、前記第1層および前記第2層の各々の熱伝導率よりも低い。
【0007】
本開示の第2の側面によって提供されるサーマルプリントヘッドの製造方法は、第1方向を向く主面を有する基材を形成する工程と、前記第1方向に対して直交する第2方向に沿って配列された複数の発熱部を含む抵抗体層を前記主面の上に形成する工程と、前記複数の発熱部に導通する配線層を前記抵抗体層に接して形成する工程と、を備え、前記基材は、前記主面を含むとともに、前記第1方向において前記主面とは反対側を向く第1面を有する第1基材と、前記第1面に対向する第2面を有する第2基材と、を含み、前記基材を形成する工程は、前記第1面および前記第2面の少なくともいずれかを覆う被覆層を形成する工程と、前記被覆層を間に挟んで前記第1基材を前記第2基材に貼り合わせる工程と、を含み、前記被覆層の熱伝導率は、前記第1基材および前記第2基材の各々の熱伝導率よりも低い。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかるサーマルプリントヘッドおよびその製造方法によれば、基板の蓄熱性能の向上を図ることにより、印字効率の低下を抑制することが可能となる。
【0009】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態にかかるサーマルプリントヘッドの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の平面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の断面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図10】
図10は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図11】
図11は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図12】
図12は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図13】
図13は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図14】
図14は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図15】
図15は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図16】
図16は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図17】
図17は、
図1に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図18】
図18は、本開示の第2実施形態にかかるサーマルプリントヘッドの要部の断面図である。
【
図20】
図20は、
図18に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図21】
図21は、
図18に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図22】
図22は、本開示の第3実施形態にかかるサーマルプリントヘッドの要部の断面図である。
【
図23】
図23は、
図22に示すサーマルプリントヘッドの要部の製造工程を説明する断面図である。
【
図24】
図24は、本開示の第4実施形態にかかるサーマルプリントヘッドの要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1~
図6に基づき、本開示の第1実施形態にかかるサーマルプリントヘッドA10について説明する。サーマルプリントヘッドA10は、後述するサーマルプリンタB10の主要部をなす。サーマルプリントヘッドA10は、要部および付随部により構成される。サーマルプリントヘッドA10の要部は、基板1、絶縁層2、抵抗体層3、配線層4および保護層5を備える。サーマルプリントヘッドA10の付随部は、配線基板71、放熱部材72、複数の駆動素子73、複数の第1ワイヤ74、複数の第2ワイヤ75、封止樹脂76およびコネクタ77を備える。ここで、
図1においては、理解の便宜上、保護層5、複数の第1ワイヤ74、複数の第2ワイヤ75、および封止樹脂76の図示を省略している。
図2および
図3においては、理解の便宜上、保護層5の図示を省略している。
【0013】
ここで、説明の便宜上、後述する基板1の主面11の法線方向を「第1方向z」と呼ぶ。サーマルプリントヘッドA10の主走査方向を「第2方向x」と呼ぶ。サーマルプリントヘッドA10の副走査方向を「第3方向y」と呼ぶ。第1方向zは、第2方向xおよび第3方向yに対して直交している。
【0014】
サーマルプリントヘッドA10においては、
図4に示すように、サーマルプリントヘッドA10の要部をなす基板1は、放熱部材72に接合されている。さらに、配線基板71は、第3方向yにおいて基板1の隣に位置する。配線基板71は、基板1と同じく放熱部材72に接合されている。基板1の上には、抵抗体層3の一部をなし、かつ第2方向xに沿って配列された複数の発熱部31(詳細は後述)が形成されている。複数の発熱部31は、配線基板71に搭載された複数の駆動素子73により選択的に発熱する。複数の駆動素子73は、コネクタ77を介して外部から送信される印字信号にしたがって駆動する。
【0015】
さらに、本開示にかかるサーマルプリンタB10は、
図4に示すように、サーマルプリントヘッドA10と、プラテンローラ79とを備える。サーマルプリンタB10において、プラテンローラ79は、感熱紙などの記録媒体を送り出すローラ状の機構である。プラテンローラ79が記録媒体を複数の発熱部31に押し当てることにより、当該複数の発熱部31が当該記録媒体に印字を行う。
【0016】
基板1は、
図1に示すように、第1方向zに視て第2方向xに延びる矩形状である。したがって、第2方向xが基板1の長辺方向に相当する。第3方向yが基板1の短辺方向に相当する。基板1は、半導体材料を含む。当該半導体材料は、ケイ素(Si)を組成とする単結晶材料を含む。
【0017】
図5に示すように、基板1は、第1層101、第2層102および中間層103を含む。第2層102は、第1方向zにおいて第1層101を基準として抵抗体層3とは反対側に位置する。第1層101および第2層102の組成は、ケイ素(Si)を含む。第1層101および第2層102のうち少なくとも第1層101は、ケイ素を組成とする単結晶の半導体材料を含む。中間層103は、第1方向zにおいて第1層101と第2層102との間に位置する。中間層103の組成は、二酸化ケイ素(SiO
2)を含む。これにより、中間層103の熱伝導率は、第1層101および第2層102の各々の熱伝導率よりも低い。さらに、中間層103は、第1層101および第2層102とは異なり、電気絶縁性を有する。
【0018】
図5に示すように、基板1は、第1方向zにおいて互いに反対側を向く主面11および裏面12を有する。第1層101は、主面11を含む。第2層102は、裏面12を含む。第1層101の結晶構造に基づく主面11の面方位は、(100)である。
図4に示すように、サーマルプリントヘッドA10においては、主面11がプラテンローラ79に対向し、かつ裏面12が配線基板71に対向する。
【0019】
図5に示すように、第1方向zにおいて主面11から中間層103に至る第1層101の第1寸法T1は、第1方向zにおける第2層102の第2寸法T2と異なる。サーマルプリントヘッドA10においては、第2寸法T2は、第1寸法T1よりも大きい。さらに第1方向zにおける中間層103の寸法tは、第1寸法T1および第2寸法T2の各々よりも小さい。
【0020】
図5に示すように、基板1は、凸部13を有する。凸部13は、第1層101に含まれる。凸部13は、主面11から第1方向zに突出している。
図1および
図2に示すように、凸部13は、第2方向xに延びている。
【0021】
図5および
図6に示すように、凸部13は、頂面130、第1傾斜面131および第2傾斜面132を有する。頂面130、第1傾斜面131および第2傾斜面132は、第2方向xに延びている。頂面130は、第1方向zを向き、かつ主面11から離れて位置する。第1傾斜面131および第2傾斜面132は、主面11と頂面130との間に位置する。サーマルプリントヘッドA10においては、第1傾斜面131および第2傾斜面132は、主面11および頂面130につながっている。第1傾斜面131および第2傾斜面132は、第3方向yにおいて互いに離れて位置する。第1傾斜面131および第2傾斜面132は、主面11に対して傾斜している。第1傾斜面131および第2傾斜面132は、主面11から頂面130に向かうほど互いに近づいている。主面11に対する第1傾斜面131および第2傾斜面132の各々の傾斜角αは、互いに等しい。
【0022】
絶縁層2は、
図5および
図6に示すように、基板1の主面11および凸部13を覆っている。絶縁層2は、基板1の第1層101と、抵抗体層3と間に位置する。絶縁層2により、基板1は、抵抗体層3および配線層4に対して電気絶縁されている。絶縁層2は、たとえば、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を原材料とした二酸化ケイ素からなる。絶縁層2の厚さの例は、1μm以上15μm以下である。絶縁層2の熱伝導率は、基板1の中間層103の熱伝導率よりも高い。
【0023】
抵抗体層3は、
図5および
図6に示すように、基板1の主面11および凸部13の上に配置されている。抵抗体層3は、絶縁層2に接している。これにより、サーマルプリントヘッドA10において、絶縁層2は、基板1と抵抗体層3との間に挟まれている。抵抗体層3は、たとえば窒化タンタル(TaN)からなる。抵抗体層3の厚さの例は、0.02μm以上0.1μm以下である。
【0024】
図2、
図3および
図6に示すように、抵抗体層3は、複数の発熱部31を含む。抵抗体層3において、複数の発熱部31は、配線層4から露出する部分である。複数の発熱部31に対して配線層4から選択的に通電されることによって、複数の発熱部31は、記録媒体を局所的に加熱する。複数の発熱部31は、第2方向xに沿って配列されている。複数の発熱部31のうち、第2方向xにおいて隣り合う2つの発熱部31は、互いに離れて位置する。複数の発熱部31は、絶縁層2に接して形成されている。サーマルプリントヘッドA10においては、複数の発熱部31は、基板1の凸部13の頂面130の上に形成されている。複数の発熱部31は、頂面130の第3方向yの中央に位置する。
図4に示すように、サーマルプリンタB10において、複数の発熱部31は、プラテンローラ79に対向している。
【0025】
配線層4は、
図5および
図6に示すように、抵抗体層3に接して配置されている。配線層4は、抵抗体層3の複数の発熱部31に導通している。配線層4の電気抵抗率は、抵抗体層3の電気抵抗率よりも低い。配線層4は、たとえば銅(Cu)からなる金属層である。配線層4の厚さの例は、0.3μm以上2.0μm以下である。この他、配線層4は、抵抗体層3の上に積層されたチタン(Ti)層と、当該チタン層の上に積層された銅層との2つの金属層からなる構成でもよい。この場合のチタン層の厚さの例は、0.1μm以上0.2μm以下である。
図1に示すように、配線層4は、基板1の主面11の周縁から離れて位置する。
【0026】
図1に示すように、配線層4は、共通配線41、および複数の個別配線42を含む。共通配線41は、第3方向yにおいて抵抗体層3の複数の発熱部31を基準として複数の駆動素子73とは反対側に位置する。複数の個別配線42は、第3方向yにおいて複数の発熱部31を基準として共通配線41とは反対側に位置する。共通配線41は、複数の発熱部31に導通している。複数の個別配線42は、複数の発熱部31に個別に導通している。
【0027】
図2および
図3に示すように、共通配線41は、基部411と、基部411につながる複数の延出部412とを有する。基部411は、第3方向yにおいて複数の延出部412を基準として抵抗体層3の複数の発熱部31とは反対側に位置する。基部411は、第2方向xに延びる帯状である。複数の延出部412は、基板1の凸部13に対向する基部411の端部から、複数の発熱部31に向けて第3方向yに延びる帯状である。複数の延出部412は、第2方向xに沿って配列されている。複数の延出部412の各々の一部は、凸部13の第2傾斜面132の上に位置する。共通配線41においては、基部411から複数の延出部412を介して複数の発熱部31に電流が流れる。
【0028】
図2および
図3に示すように、複数の個別配線42の各々は、基部421と、基部421につながる延出部422を有する。基部421は、第3方向yにおいて延出部422を基準として抵抗体層3の複数の発熱部31とは反対側に位置する。複数の個別配線42の各々の基部421は、第3方向yにおいて互いに離れた2つの列をなす。当該2つの列の各々は、第2方向xに沿って配列されている。当該2つの列のうち複数の発熱部31から最も近くに位置する列においては、隣り合う2つの基部421の間に延出部422が位置する。
【0029】
図2および
図3に示すように、延出部422は、基板1の凸部13に対向する基部421の端部から、複数の発熱部31に向けて第3方向yに延びる帯状である。複数の個別配線42の各々の延出部422は、第2方向xに沿って配列されている。複数の個別配線42の各々の延出部422の一部は、凸部13の第1傾斜面131の上に位置する。複数の個別配線42の各々においては、複数の発熱部31のいずれかから延出部422を介して基部421に電流が流れる。第1方向zに視て、複数の発熱部31の各々は、複数の個別配線42のいずれかの延出部422と、共通配線41の複数の延出部412のいずれかとに挟まれている。
図2および
図3に示す配線層4、および複数の発熱部31の構成は一例である。したがって、本開示における配線層4、および複数の発熱部31の構成は、
図2および
図3に示す構成に限定されない。
【0030】
保護層5は、
図5に示すように、絶縁層2の一部、抵抗体層3の複数の発熱部31、および配線層4を覆っている。保護層5は、電気絶縁性を有する。保護層5の組成は、ケイ素を含む。保護層5は、たとえば、二酸化ケイ素および窒化ケイ素(Si
3N
4)のいずれかからなる。あるいは、保護層5は、これらの物質のうち複数種類からなる積層体でもよい。サーマルプリンタB10においては、
図4に示すプラテンローラ79によって、複数の発熱部31を覆う保護層5の部位に記録媒体が押し当てられる。
【0031】
図5に示すように、保護層5は、配線開口51を有する。配線開口51は、第1方向zに保護層5を貫通している。配線開口51から、複数の個別配線42の各々の基部421と、複数の個別配線42の各々の延出部422一部とが露出している。
【0032】
配線基板71は、
図4に示すように、第3方向yにおいて基板1の隣に位置する。
図1に示すように、第1方向zに視て、複数の個別配線42は、第3方向yにおいて抵抗体層3の複数の発熱部31と、配線基板71との間に位置する。第1方向zに視て、配線基板71の面積は、基板1の面積よりも大である。さらに、第1方向zに視て、配線基板71は、第2方向xを長手方向とする矩形状である。配線基板71は、たとえばPCB基板である。配線基板71には、複数の駆動素子73、およびコネクタ77が搭載されている。
【0033】
放熱部材72は、
図4に示すように、基板1の裏面12と対向している。裏面12は、放熱部材72に接合されている。配線基板71は、ねじなどの締結部材により放熱部材72に接合されている。サーマルプリントヘッドA10の使用時において、抵抗体層3の複数の発熱部31から発生した熱の一部は、基板1を介して放熱部材72に伝導される。放熱部材72に伝導された熱は、外部へと放熱される。放熱部材72は、たとえばアルミニウム(Al)からなる。
【0034】
複数の駆動素子73は、
図1および
図4に示すように、電気絶縁性を有するダイボンディング材(図示略)を介して配線基板71に搭載されている。複数の駆動素子73は、種々の回路が構成された半導体素子である。複数の駆動素子73には、複数の第1ワイヤ74の一端と、複数の第2ワイヤ75の一端とが導電接合されている。複数の第1ワイヤ74の他端は、複数の個別配線42の各々の基部421に個別に導電接合されている。複数の第2ワイヤ75の他端は、配線基板71に設けられ、かつコネクタ77に導通する配線(図示略)に導電接合されている。
【0035】
上述により、印字にかかる電気信号と、複数の駆動素子73の制御にかかる電気信号とが、外部からコネクタ77を介して複数の駆動素子73に入力される。複数の駆動素子73は、これらの電気信号に基づき、複数の個別配線42に電圧を選択的に印加させる。さらに、外部からコネクタ77を介して共通配線41に定電圧が印加される。この場合において、共通配線41と、複数の個別配線42のいずれかとの間に電位差が生じることによって、抵抗体層3の複数の発熱部31が選択的に発熱する。
【0036】
封止樹脂76は、
図4に示すように、複数の駆動素子73、複数の第1ワイヤ74、および複数の第2ワイヤ75を覆っている。さらに封止樹脂76は、絶縁層2および配線基板71の各々の一部と、複数の個別配線42の各々の一部とを覆っている。封止樹脂76は、電気絶縁性を有する。封止樹脂76は、たとえばアンダーフィルに用いられる黒色かつ軟質の合成樹脂である。この他、封止樹脂76は、黒色かつ硬質の合成樹脂でもよい。
【0037】
コネクタ77は、
図1および
図4に示すように、配線基板71の第3方向yの一端に取り付けられている。コネクタ77は、サーマルプリンタB10に接続される。コネクタ77は、複数のピン(図示略)を有する。当該複数のピンの一部は、配線基板71において、複数の第2ワイヤ75が導電接合された配線(図示略)に導通している。さらに、当該複数のピンの別の一部は、配線基板71において、共通配線41の基部411に導通する配線(図示略)に導通している。これにより、外部からコネクタ77を介して共通配線41に定電圧が印加される。
【0038】
次に、
図7~
図17に基づき、サーマルプリントヘッドA10の製造方法の一例について説明する。ここで、
図7~
図17の断面位置は、サーマルプリントヘッドA10の要部を示す
図5の断面位置と同一である。
【0039】
最初に、
図7~
図11に示すように、主面11を有する基材81を形成する。第1方向zに対して直交する方向において、複数の基板1にそれぞれ相当する領域が複数個連なったものが、基材81に相当する。基材81を形成する工程は、
図7に示す被覆層813を形成する工程と、
図8に示す第1基材811を第2基材812に貼り合わせる工程と、
図9および
図10に示す第1基材811にマスク層89を形成する工程と、
図11に示す凸部13を第1基材811に形成する工程とを含む。
【0040】
まず、
図7に示すように、第1基材811の第1面81A、および第2基材812の第2面81Bの少なくともいずれかを覆う被覆層813を形成する。基材81は、第1基材811および第2基材812を含む。第1基材811および第2基材812の組成は、ケイ素を含む。第1基材811および第2基材812は、シリコンウエハである。第1基材811および第2基材812のうち少なくとも第1基材811は、ケイ素を組成とする単結晶材料を含む。第1基材811は、第1方向zにおいて互いに反対側を向く第1面81Aおよび第3面81Cを有する。第1基材811の結晶構造に基づく第1面81Aおよび第3面81Cの面方位は、ともに(100面)である。第2基材812は、第1方向zにおいて互いに反対側を向く第2面81Bおよび第4面81Dを有する。第2面81Bは、第1面81Aに対向する。サーマルプリントヘッドA10の製造においては、被覆層813は、第2面81Bおよび第4面81Dを覆うように形成する。したがって、被覆層813は、第2基材812の表面のみを覆う。被覆層813は、熱酸化法により形成される。
【0041】
次いで、
図8に示すように、被覆層813を間に挟んで第1基材811を第2基材812に貼り合わせる。本工程においては、まず、第1基材811と、被覆層813に覆われた第2基材812とを洗浄する。洗浄にあたっては、超音波振動が与えられた洗浄液を用いる。当該洗浄液は、たとえば純水である。当該超音波の周波数は、メガヘルツ帯である。その後、被覆層813に第1基材811の第1面81Aを接触させた後、第1基材811の第3面81Cにピンを用いて衝撃を与える。これにより、第1面81Aにおける結晶と、被覆層813の表面における結晶とが結合する。以上により、被覆層813を間に挟んで第1基材811および第2基材812が一体となった基材81が得られる。本工程により、被覆層813は、基材81の一要素となる。
【0042】
次いで、
図9および
図10に示すように、第1基材811にマスク層89を形成する。マスク層89の形成にあたっては、まず、
図9に示すように、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により基材81の第3面81Cの全体を覆うマスク層89を形成する。マスク層89は、窒化ケイ素の薄膜、および二酸化ケイ素の薄膜のいずれかである。その後、
図11に示すように、リソグラフィパターニングと、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)とにより、第3面81Cの全体を覆うマスク層89を部分除去する。以上により、マスク層89の形成が完了する。マスク層89は、被覆部891および開口部892を有する。被覆部891は、第3面81Cを覆っている。開口部892からは、第3面81Cが露出している。
【0043】
次いで、
図11に示すように、異方性エッチングにより主面11および凸部13を第1基材811に形成した後、マスク層89を除去する。主面11は、第1方向zにおいて第1基材811の第3面81Cと同じ向きを向くとともに、第3面81Cと被覆層813との間に位置する。凸部13は、主面11から第1方向zに突出し、かつ第2方向xに延びている。主面11および凸部13は、マスク層89の開口部892から露出した第3面81Cに対して異方性エッチングを行うことにより、第1基材811に主面11および凸部13が形成される。異方性エッチングに用いられるエッチング液は、たとえば水酸化カリウム(KOH)水溶液である。その後、フッ化水素酸を用いたウェットエッチングによりマスク層89と、被覆層813のうち第2基材812の第4面81Dを覆う部位とを除去する。以上により、主面11を有する基材81が得られるとともに、第1基材811に凸部13が形成される。さらに、第4面81Dは、基板1の裏面12となる。マスク層89の被覆部891に覆われていた第3面81Cの領域が、凸部13の頂面130となる。凸部13が異方性エッチングにより形成されるため、主面11に対する凸部13の第1傾斜面131および第2傾斜面132の各々の傾斜角αは互いに等しくなる。
【0044】
次いで、
図12に示すように、基材81の主面11および凸部13を覆う絶縁層2を形成する。絶縁層2は、プラズマCVDによりオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を原料ガスとして形成された二酸化ケイ素の薄膜を複数回にわたって積層させることによって形成される。
【0045】
次いで、
図13~
図15に示すように、抵抗体層3および配線層4を形成する。抵抗体層3は、第2方向xに沿って配列された複数の発熱部31を含む。配線層4は、複数の発熱部31に導通する。さらに、配線層4を形成する工程では、共通配線41、および複数の個別配線42を形成する工程を含む。基材81において、共通配線41は、
図17に示す抵抗体層3の複数の発熱部31に対して第3方向yの一方側に位置する。基材81において、複数の個別配線42は、第3方向yにおいて
図17に示す複数の発熱部31を基準として共通配線41とは反対側に位置する。
【0046】
まず、
図13に示すように、基材81の主面11および凸部13の上に抵抗体膜82を形成する。抵抗体膜82は、絶縁層2の全面を覆うように形成される。抵抗体膜82は、スパッタリング法により窒化タンタルの薄膜を絶縁層2に積層させることによって形成される。
【0047】
次いで、
図14に示すように、抵抗体膜82の全面を覆う導電層83を形成する。導電層83は、スパッタリング法により銅の薄膜を複数回にわたって抵抗体膜82に積層させることによって形成される。この他、導電層83の形成にあたっては、スパッタリング法によりチタンの薄膜を抵抗体膜82に積層させた後、当該チタンの薄膜に対してスパッタリング法により銅の薄膜を複数回にわたって積層させる手法を採ってもよい。
【0048】
次いで、
図15に示すように、導電層83に対してリソグラフィパターニングを施した後、導電層83の一部を除去する。当該除去は、硫酸(H
2SO
4)および過酸化水素(H
2O
2)の混合溶液を用いたウェットエッチングにより行われる。これにより、共通配線41、および複数の個別配線42が、抵抗体膜82に接して形成される。あわせて、基材81の凸部13の頂面130の上に形成された抵抗体膜82の領域が配線層4から露出する。その後、抵抗体膜82および配線層4に対してリソグラフィパターニングを施した後、抵抗体膜82の一部を除去する。当該除去は、反応性イオンエッチングにより行われる。これにより、抵抗体層3が、基材81の主面11および凸部13の上に形成される。基材81の頂面130の上には、複数の発熱部31が現れる。
【0049】
次いで、
図16に示すように、絶縁層2の一部と、抵抗体層3の複数の発熱部31、および配線層4とを覆う保護層5を形成する。保護層5は、プラズマCVDにより窒化ケイ素の薄膜を複数積層させることによって形成される。この他、保護層5は、スパッタリング法により二酸化ケイ素の薄膜を複数積層させることによっても形成可能である。
【0050】
次いで、
図17に示すように、保護層5を第1方向zに貫通する配線開口51を形成する。配線開口51は、保護層5に対してリソグラフィパターニングを施した後、保護層5の一部を除去することにより形成される。当該除去は、反応性イオンエッチングにより行われる。これにより、配線開口51から複数の個別配線42の各々の一部が露出する。配線開口51から露出する複数の個別配線42の各々の一部とは、
図5に示す複数の個別配線42の各々の基部421と、
図5に示す複数の個別配線42の各々の延出部422の一部とである。配線開口51から露出する複数の個別配線42の各々の一部には、めっきにより金などの金属層を積層してもよい。
【0051】
次いで、第2方向xおよび第3方向yに沿って基材81を厚さ方向に切断する。これにより得られた個片が、基板1を含むサーマルプリントヘッドA10の要部となる。基材81の切断装置の一例としてダイシングソーが挙げられる。基材81の切断線は、基材81の凸部13から離れた位置に設定する。これにより、切断装置の刃が凸部13に接触しないようにする。本工程により、第1基材811は、基板1の第1層101となる。第2基材812は、基板1の第2層102となる。被覆層813は、基板1の中間層103となる。
【0052】
次いで、配線基板71に複数の駆動素子73を搭載する。次いで、基板1の裏面12、および配線基板71を放熱部材72に接合させる。次いで、配線基板71、複数の駆動素子73、および複数の個別配線42の各々の基部421に対して、複数の第1ワイヤ74、および複数の第2ワイヤ75の導電接合を行う。最後に、複数の駆動素子73、複数の第1ワイヤ74、および複数の第2ワイヤ75を覆う封止樹脂76の形成を行う。最後に、配線基板71にコネクタ77を取り付ける。以上の工程を経ることによって、サーマルプリントヘッドA10が得られる。
【0053】
次に、サーマルプリントヘッドA10の作用効果について説明する。
【0054】
サーマルプリントヘッドA10は、第1層101、第2層102および中間層103を含む基板1を備える。第1層101は、主面11を含む。主面11の上には、抵抗体層3が配置されている。第2層102は、第1方向zにおいて第1層101を基準として抵抗体層3とは反対側に位置する。中間層103は、第1層101と第2層102との間に位置する。中間層103の熱伝導率は、第1層101および第2層102の各々の熱伝導率よりも低い。本構成をとることにより、抵抗体層3から第1層101に伝導した熱は、中間層103により第2層102には即時に伝導しにくくなる。これにより、第1層101から熱が即時に放出されない構成となるため、基板1の蓄熱性能が向上する。したがって、サーマルプリントヘッドA10によれば、基板1の蓄熱性能の向上を図ることにより、印字効率の低下を抑制することが可能となる。
【0055】
第1方向zにおいて主面11から中間層103に至る第1層101の第1寸法T1は、第1方向zにおける第2層102の第2寸法T2と異なる。本構成をとることにより、第1層101の蓄熱性能を自在に調整することができる。たとえば、第1寸法T1を第2寸法T2よりも小さくすると、第1層101の第1方向zにおける熱抵抗が増加するため、第1層101の蓄熱性能をより向上させることができる。
【0056】
上述の場合において、第2層102の第2寸法T2は、第1層101の第1寸法T1よりも大きい。本構成をとることにより、第1寸法T1をできるだけ小さく設定した場合であっても、基板1の曲げ破壊を防止することが可能である。ここで、基板1が凸部13を具備する構成とするためには、少なくとも第1層101が単結晶の半導体材料を含むことが必須となることから、第1寸法T1が大きくなるほど基板1のコストが増大する。そこで、第1寸法T1をできるだけ小さく設定することにより、基板1のコスト縮減を図ることができる。
【0057】
第1方向zにおける中間層103の寸法tは、第1層101の第1寸法T1、および第2層102の第2寸法T2の各々よりも小さい。本構成をとることにより、中間層103の第1方向zにおける熱抵抗が増加するため、第1層101の蓄熱性能をより向上させることができる。
【0058】
基板1は、主面11から第1方向zに突出する凸部13を有する。抵抗体層3の複数の発熱部31は、凸部13の上に形成されている。本構成をとることにより、
図4に示す記録媒体への印字の際、サーマルプリントヘッドA10に対する記録媒体の接触面積を最小限に抑えつつ、複数の発熱部31からの熱を記録媒体に伝えることができる。これにより、記録媒体への印字品位の向上が図られる。
【0059】
サーマルプリントヘッドA10は、基板1の主面11および凸部13を覆う絶縁層2をさらに備える。絶縁層2は、第1層101と抵抗体層3との間に位置する。本構成をとることにより、第1層101が半導体材料を含むものであっても、基板1と、抵抗体層3および配線層4との電気絶縁を図ることができる。さらに、絶縁層2の熱伝導率は、中間層103の熱伝導率よりも高い。本構成をとることにより、複数の発熱部31からの熱を速やかに第1層101に伝導させることができる。
【0060】
サーマルプリントヘッドA10は、抵抗体層3の複数の発熱部31と、配線層4とを覆う保護層5をさらに備える。これにより、複数の発熱部31、および配線層4が保護層5により保護されるとともに、サーマルプリントヘッドA10に対する記録媒体の接触がより円滑となる。
【0061】
サーマルプリントヘッドA10は、放熱部材72をさらに備える。基板1の裏面12は、放熱部材72に接合されている。本構成をとることにより、中間層103から第2層102に伝導した熱は、放熱部材72を介して速やかに外部に放出される。これにより、基板1の蓄熱性能の過度な向上を抑制できる。
【0062】
〔第2実施形態〕
図18および
図19に基づき、本開示の第2実施形態にかかるサーマルプリントヘッドA20について説明する。これらの図において、先述したサーマルプリントヘッドA10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図18の断面位置は、サーマルプリントヘッドA10の要部を示す
図5の断面位置と同一である。
【0063】
サーマルプリントヘッドA20においては、基板1の中間層103の構成がサーマルプリントヘッドA10の当該構成と異なる。
【0064】
図18および
図19に示すように、中間層103は、第1中間層103Aと、第1中間層103Aに積層された第2中間層103Bとを含む。第1中間層103Aは、基板1の第1層101に接している。第2中間層103Bは、基板1の第2層102に接している。第1方向zにおける第2中間層103Bの寸法は、第1方向zにおける第1中間層103Aの寸法に略等しい。
【0065】
次に、
図20および
図21に基づき、サーマルプリントヘッドA20の製造方法の一例について説明する。ここで、
図20および
図21の断面位置は、サーマルプリントヘッドA20の要部を示す
図18の断面位置と同一である。
【0066】
最初に、
図20に示すように、第1基材811の第1面81A、および第2基材812の第2面81Bの少なくともいずれかを覆う被覆層813を形成する。サーマルプリントヘッドA20の製造においては、被覆層813は、第1被覆層813Aおよび第2被覆層813Bを含む。第1被覆層813Aは、第1面81Aと、第1基材811の第3面81Cとを覆う。第2被覆層813Bは、第2面81Bと、第1基材811の第4面81Dとを覆う。第1基材811および第2基材812は、熱酸化法により形成される。
【0067】
次いで、
図21に示すように、被覆層813を間に挟んで第1基材811を第2基材812に貼り合わせる。本構成においては、第1被覆層813Aに覆われた第1基材811と、第2被覆層813Bに覆われた第2基材812とをサーマルプリントヘッドA10の製造と同一方法により洗浄する。第1被覆層813Aを第2被覆層813Bに第1方向zに接触させた後、第1基材811の第3面81Cを覆う第1被覆層813Aの部位にピンを用いて衝撃を与える。これにより、第1被覆層813Aと第2被覆層813Bとの界面において、第1被覆層813Aの結晶と、第2被覆層813Bの結晶とが結合する。最後に、反応性イオンエッチングにより第3面81Cを覆う第1被覆層813Aの部位の全体を除去する。以上により、第1被覆層813Aおよび第2被覆層813Bを間に挟んで第1基材811および第2基材812が一体となった基材81が得られる。これより後の工程は、サーマルプリントヘッドA10の製造にかかる工程と同様である。したがって、第1基材811にマスク層89を形成する工程(
図9および
図10参照)から以後の工程におけるサーマルプリントヘッドA20の製造方法の説明は省略する。
【0068】
次に、サーマルプリントヘッドA20の作用効果について説明する。
【0069】
サーマルプリントヘッドA20は、第1層101、第2層102および中間層103を含む基板1を備える。第1層101は、主面11を含む。主面11の上には、抵抗体層3が配置されている。第2層102は、第1方向zにおいて第1層101を基準として抵抗体層3とは反対側に位置する。中間層103は、第1層101と第2層102との間に位置する。中間層103の熱伝導率は、第1層101および第2層102の各々の熱伝導率よりも低い。したがって、サーマルプリントヘッドA20によっても、基板1の蓄熱性能の向上を図ることにより、印字効率の低下を抑制することが可能となる。さらにサーマルプリントヘッドA20は、サーマルプリントヘッドA10と共通する構成を具備することにより、サーマルプリントヘッドA10と同等の作用効果を奏する。
【0070】
サーマルプリントヘッドA20においては、中間層103は、第1中間層103Aと、第1中間層103Aに積層された第2中間層103Bとを含む。本構成をとることにより、第1方向zにおける中間層103の寸法tをより大きく設定できる。これにより、第1層101の蓄熱性能をさらに向上させることが可能となる。
【0071】
〔第3実施形態〕
図22に基づき、本開示の第3実施形態にかかるサーマルプリントヘッドA30について説明する。これらの図において、先述したサーマルプリントヘッドA10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図22の断面位置は、サーマルプリントヘッドA10の要部を示す
図5の断面位置と同一である。
【0072】
サーマルプリントヘッドA30においては、基板1の構成がサーマルプリントヘッドA10の当該構成と異なる。
【0073】
図22に示すように、基板1は、外部層104をさらに含む。外部層104は、第1方向zにおいて第2層102を基準として中間層103とは反対側に位置する。外部層104は、裏面12を含む。外部層104の組成は、二酸化ケイ素を含む。これにより、外部層104の熱伝導率は、第1層101および第2層102の各々の熱伝導率よりも低い。第1方向zにおける外部層104の寸法t2は、第1方向zにおける中間層103の寸法t1(サーマルプリントヘッドA10においては寸法tと等価)に略等しい。
【0074】
次に、
図23に基づき、サーマルプリントヘッドA30の製造方法の一例について説明する。ここで、
図23の断面位置は、サーマルプリントヘッドA30の要部を示す
図22の断面位置と同一である。
【0075】
図23は、異方性エッチングにより主面11および凸部13を基材81の第1基材811に形成した後の状態を示している。主面11および凸部13を第1基材811に形成する前までの工程は、サーマルプリントヘッドA10の製造にかかる工程と同様である。主面11および凸部13の形成をした後、反応性イオンエッチングによりマスク層89を除去する。この際、第2基材812の第4面81Dを覆う被覆層813の部位を除去しない。これにより、当該部位が基板1の外部層104となる。これより後の工程は、サーマルプリントヘッドA10の製造にかかる工程と同様である。したがって、絶縁層2を形成する工程(
図12参照)から以後の工程におけるサーマルプリントヘッドA30の製造方法の説明は省略する。
【0076】
次に、サーマルプリントヘッドA30の作用効果について説明する。
【0077】
サーマルプリントヘッドA30は、第1層101、第2層102および中間層103を含む基板1を備える。第1層101は、主面11を含む。主面11の上には、抵抗体層3が配置されている。第2層102は、第1方向zにおいて第1層101を基準として抵抗体層3とは反対側に位置する。中間層103は、第1層101と第2層102との間に位置する。中間層103の熱伝導率は、第1層101および第2層102の各々の熱伝導率よりも低い。したがって、サーマルプリントヘッドA30によっても、基板1の蓄熱性能の向上を図ることにより、印字効率の低下を抑制することが可能となる。さらにサーマルプリントヘッドA30は、サーマルプリントヘッドA10と共通する構成を具備することにより、サーマルプリントヘッドA10と同等の作用効果を奏する。
【0078】
サーマルプリントヘッドA30においては、基板1は、外部層104をさらに含む。外部層104は、第1方向zにおいて第2層102を基準として中間層103とは反対側に位置する。外部層104の熱伝導率は、第1層101および第2層102の各々の熱伝導率よりも低い。本構成をとることにより、中間層103から第2層102に伝導した熱が即時に外部に放出されないため、第1層101に加えて第2層102の蓄熱性能も向上させることができる。
【0079】
〔第4実施形態〕
図24および
図25に基づき、本開示の第4実施形態にかかるサーマルプリントヘッドA40について説明する。これらの図において、先述したサーマルプリントヘッドA10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図24の断面位置は、サーマルプリントヘッドA10の要部を示す
図5の断面位置と同一である。
【0080】
サーマルプリントヘッドA40においては、基板1の凸部13の構成と、抵抗体層3の複数の発熱部31の構成とが、サーマルプリントヘッドA10の当該構成と異なる。
【0081】
図24および
図25に示すように、凸部13は、第3傾斜面133および第4傾斜面134を有する。第3傾斜面133および第4傾斜面134は、凸部13の頂面130につながり、かつ基板1の主面11、および頂面130に対して傾斜している。第3傾斜面133は、第3方向yにおいて頂面130を基準として第1傾斜面131が位置する側に位置する。第4傾斜面134は、第3方向yにおいて頂面130を基準として第3傾斜面133とは反対側に位置する。第3傾斜面133および第4傾斜面134は、主面11から頂面130に向かうほど互いに近づいている。
【0082】
図25に示すように、主面11に対する第3傾斜面133および第4傾斜面134の各々の傾斜角γは、互いに等しい。第3傾斜面133の傾斜角γは、主面11に対する第1傾斜面131の傾斜角αよりも小さい。第4傾斜面134の傾斜角γは、主面11に対する第2傾斜面132の傾斜角αよりも小さい。第3傾斜面133および第4傾斜面134は、サーマルプリントヘッドA10の製造にかかる
図11に示す工程と
図12に示す工程との間に次の工程を行うことにより形成することができる。この工程は、頂面130と第1傾斜面131との境界と、頂面130と第2傾斜面132との境界とに、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液を用いたウェットエッチングを施すものである。
【0083】
図25に示すように、抵抗体層3の複数の発熱部31は、凸部13の頂面130、第4傾斜面134および第2傾斜面132の上に形成されている。この他、複数の発熱部31は、凸部13の頂面130、第3傾斜面133および第1傾斜面131の上に形成される構成でもよい。
【0084】
次に、サーマルプリントヘッドA40の作用効果について説明する。
【0085】
サーマルプリントヘッドA40は、第1層101、第2層102および中間層103を含む基板1を備える。第1層101は、主面11を含む。主面11の上には、抵抗体層3が配置されている。第2層102は、第1方向zにおいて第1層101を基準として抵抗体層3とは反対側に位置する。中間層103は、第1層101と第2層102との間に位置する。中間層103の熱伝導率は、第1層101および第2層102の各々の熱伝導率よりも低い。したがって、サーマルプリントヘッドA40によっても、基板1の蓄熱性能の向上を図ることにより、印字効率の低下を抑制することが可能となる。さらにサーマルプリントヘッドA40は、サーマルプリントヘッドA10と共通する構成を具備することにより、サーマルプリントヘッドA10と同等の作用効果を奏する。
【0086】
サーマルプリントヘッドA40においては、凸部13は、第3傾斜面133および第4傾斜面134を有する。第3傾斜面133および第4傾斜面134は、凸部13の頂面130につながり、かつ基板1の主面11、および頂面130に対して傾斜している。第3傾斜面133の傾斜角γは、主面11に対する第1傾斜面131の傾斜角αよりも小さい。第4傾斜面134の傾斜角γは、主面11に対する第2傾斜面132の傾斜角αよりも小さい。本構成をとることにより、凸部13に沿って形成された配線層4の一部の形状が、より滑らかなものとなる。あわせて、凸部13に沿って形成された配線層4において、配線パターンの欠損や断線などの発生が抑制される。
【0087】
本開示は、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0088】
本開示によって提供されるサーマルプリントヘッドおよびその製造方法の技術的構成について、以下に付記する。
[付記1]
第1方向を向く主面を有する基板と、
前記第1方向に対して直交する第2方向に沿って配列された複数の発熱部を含むとともに、前記主面の上に配置された抵抗体層と、
前記複数の発熱部に導通し、かつ前記抵抗体層に接して配置された配線層と、を備え、
前記基板は、前記主面を含む第1層と、前記第1方向において前記第1層を基準として前記抵抗体層とは反対側に位置する第2層と、前記第1層と前記第2層との間に位置する中間層と、を含み、
前記中間層の熱伝導率は、前記第1層および前記第2層の各々の熱伝導率よりも低い、サーマルプリントヘッド。
[付記2]
前記第1方向において前記主面から前記中間層に至る前記第1層の第1寸法は、前記第1方向における前記第2層の第2寸法と異なる、付記1に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記3]
前記第2寸法は、前記第1寸法よりも大きい、付記2に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記4]
前記第1方向における前記中間層の寸法は、前記第1寸法および前記第2寸法の各々よりも小さい、付記2または3に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記5]
前記基板は、前記第1方向において前記第2層を基準として前記中間層とは反対側に位置する外部層をさらに含み、
前記外部層の熱伝導率は、前記第1層および前記第2層の各々の熱伝導率よりも低い、付記1ないし4のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記6]
前記第1層および前記第2層の組成は、ケイ素を含む、付記1ないし5のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記7]
前記中間層の組成は、二酸化ケイ素を含む、付記6に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記8]
前記基板は、前記主面から突出し、かつ前記第2方向に延びる凸部を有し、
前記複数の発熱部は、前記凸部の上に位置しており、
前記凸部は、頂面、第1傾斜面および第2傾斜面を有し、
前記頂面は、前記第1方向を向き、かつ前記主面から離れて位置しており、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記主面と前記頂面との間に位置し、かつ前記主面に対して傾斜しており、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記第1方向および前記第2方向に対して直交する第3方向において互いに離れて位置しており、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記主面から前記頂面に向かうほど互いに近づく、付記6または7に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記9]
前記凸部は、前記第3方向において前記頂面を基準として前記第1傾斜面と同じ側に位置し、かつ前記主面に対して傾斜した第3傾斜面を有し、
前記第3傾斜面は、前記第1傾斜面と前記頂面との間に位置しており、
前記主面に対する前記第3傾斜面の傾斜角は、前記主面に対する前記第1傾斜面の傾斜角よりも小さい、付記8に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記10]
前記凸部は、前記第3方向において前記頂面を基準として前記第3傾斜面とは反対側に位置し、かつ前記主面に対して傾斜した第4傾斜面を有し、
前記第4傾斜面は、前記第2傾斜面と前記頂面との間に位置しており、
前記主面に対する前記第4傾斜面の傾斜角は、前記主面に対する前記第2傾斜面の傾斜角よりも小さい、付記9に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記11]
前記主面および前記凸部を覆う絶縁層をさらに備え、
前記絶縁層は、前記第1層と前記抵抗体層との間に位置する、付記8ないし10のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記12]
前記絶縁層の熱伝導率は、前記中間層の熱伝導率よりも高い、付記11に記載のサーマルプリントヘッド。
[付記13]
前記複数の発熱部、および前記配線層を覆う保護層をさらに備える、付記1ないし12のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記14]
前記配線層は、共通配線と、複数の個別配線と、を含み、
前記共通配線は、前記複数の発熱部に導通しており、
前記複数の個別配線は、前記複数の発熱部に個別に導通している、付記1ないし13のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記15]
放熱部材をさらに備え、
前記基板は、前記第1方向において前記主面とは反対側を向く裏面を有し、
前記裏面は、前記放熱部材に接合されている、付記1ないし14のいずれかに記載のサーマルプリントヘッド。
[付記16]
第1方向を向く主面を有する基材を形成する工程と、
前記第1方向に対して直交する第2方向に沿って配列された複数の発熱部を含む抵抗体層を前記主面の上に形成する工程と、
前記複数の発熱部に導通する配線層を前記抵抗体層に接して形成する工程と、を備え、
前記基材は、前記主面を含むとともに、前記第1方向において前記主面とは反対側を向く第1面を有する第1基材と、前記第1面に対向する第2面を有する第2基材と、を含み、
前記基材を形成する工程は、前記第1面および前記第2面の少なくともいずれかを覆う被覆層を形成する工程と、前記被覆層を間に挟んで前記第1基材を前記第2基材に貼り合わせる工程と、を含み、
前記被覆層の熱伝導率は、前記第1基材および前記第2基材の各々の熱伝導率よりも低い、サーマルプリントヘッドの製造方法。
[付記17]
前記第1基材および前記第2基材の組成は、ケイ素を含み、
前記被覆層は、熱酸化法により形成される、付記16に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
[付記18]
前記基材を形成する工程は、前記第1基材を前記第2基材に貼り合わせる工程の後に、前記主面から突出し、かつ前記第2方向に延びる凸部を前記第1基材に形成する工程を含む、付記17に記載のサーマルプリントヘッドの製造方法。
【符号の説明】
【0089】
A10,A20,A30,A40:サーマルプリントヘッド
B10:サーマルプリンタ
1:基板
101:第1層
102:第2層
103:中間層
103A:第1中間層
103B:第2中間層
104:外部層
11:主面
12:裏面
13:凸部
130:頂面
131:第1傾斜面
132:第2傾斜面
133:第3傾斜面
134:第4傾斜面
2:絶縁層
3:抵抗体層
31:発熱部
4:配線層
41:共通配線
411:基部
412:延出部
42:個別配線
421:基部
422:延出部
5:保護層
51:配線開口
71:配線基板
72:放熱部材
73:駆動素子
74:第1ワイヤ
75:第2ワイヤ
76:封止樹脂
77:コネクタ
79:プラテンローラ
81:基材
811:第1基材
812:第2基材
813:被覆層
813A:第1被覆層
813B:第2被覆層
81A:第1面
81B:第2面
81C:第3面
81D:第4面
82:抵抗体膜
83:導電層
89:マスク層
891:被覆部
892:開口部
z:第1方向
x:第2方向
y:第3方向