(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109038
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】動画出力装置、統合社会環境を実現する動画出力システム、動画出力方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20230731BHJP
G06T 7/11 20170101ALI20230731BHJP
【FI】
G06T1/00 500A
G06T7/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010405
(22)【出願日】2022-01-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年11月30日 「動絵画展」において出展、http://www.i-cubed.co.jp/tech/ap.20220111/ap-exhibit-20220111.html を通じて公開。
(71)【出願人】
【識別番号】509281519
【氏名又は名称】アイキューブド研究所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲二郎
【テーマコード(参考)】
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B057BA23
5B057BA24
5B057BA25
5B057BA26
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CE02
5B057CE08
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5B057CH07
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5B057DA17
5B057DB02
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5B057DB09
5B057DC01
5L096AA02
5L096BA08
5L096CA04
5L096DA01
5L096FA16
5L096GA19
5L096GA40
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】従来の動画出力装置においては、統合社会環境を実現できなかった。ここで統合社会環境とは、自然環境と社会環境とを統合することである。
【解決手段】2以上の画像を有する動画を取得する動画取得部21と、動画を構成する1以上の各画像に対して、超自然光景に変換する処理を行い、変換画像を取得する変換部31と、変換部31が取得した1以上の各変換画像を、順次、出力する画像出力部41とを具備する動画出力装置Aにより、超自然環境の動画を出力することで、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。ここで超自然環境とは、例えば、1000年に一度の自然環境である。また、例えば通常の自然環境を超えて感動を呼び起こすものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の画像を有する動画を取得する動画取得部と、
前記動画を構成する1以上の各画像に対して、超自然光景に変換する処理を行い、変換画像を取得する変換部と、
前記変換部が取得した1以上の各変換画像を、順次、出力する画像出力部とを具備する動画出力装置。
【請求項2】
1以上の第一画像の全部または当該第一画像の一部分である第一部分画像と、当該第一画像とは異なる第二画像の全部または当該第二画像の一部分である第二部分画像との対応を取るための2以上の対応情報を有する2以上のルックアップテーブルが格納されるLUT格納部と、
変換対象の画像または変換対象の部分画像である対象画像のクラスを識別するクラス識別子に対応付けられた情報であり、クラスに対応する1以上のルックアップテーブルの使用を特定する情報である2以上の制御情報が格納される制御情報格納部とをさらに具備し、
前記変換部は、
前記動画を構成する1以上の各画像を分割し、2以上の部分画像を取得する分割手段と、
前記分割手段が取得した2以上の各部分画像である対象画像から2以上の特徴量を取得し、当該2以上の特徴量を用いて、前記対象画像のクラス識別子を取得する分類手段と、
前記対象画像ごとに、前記分類手段が取得した前記クラス識別子に対応する制御情報を前記制御情報格納部から取得し、当該制御情報が特定する1以上のルックアップテーブルを用いて、前記対象画像を変換し、変換対象画像を取得する変換手段と、
前記変換手段が取得した2以上の変換対象画像を統合し、変換画像を取得する統合手段とを具備する請求項1記載の動画出力装置。
【請求項3】
ユーザからの入力を受け付ける入力受付部と、
前記入力に基づいて、前記2以上のクラス識別子のうちのいずれか1以上のクラス識別子に対応する制御情報を変更する制御変更部とをさらに具備する請求項2記載の動画出力装置。
【請求項4】
前記変換手段は、
前記制御情報が特定する1以上の各ルックアップテーブルごとに、前記分類手段が取得した2以上の特徴量に対応する対応情報を決定し、当該対応情報を用いて、前記対象画像を変換し、変換対象画像を取得する、請求項2または請求項3記載の動画出力装置。
【請求項5】
一の環境に設置された2以上の動画出力装置であり、請求項1から請求項4いずれか一項に記載の2以上の動画出力装置を具備し、前記2以上の動画出力装置の動画取得部が取得する動画は、前記一の環境とは異なる他の環境を撮影した動画である、統合社会環境を実現する動画出力システム。
【請求項6】
一の環境に設置された1以上の動画出力装置であり、請求項1から請求項4いずれか一項に記載の1以上の動画出力装置を具備し、
前記一の環境は、2以上の部屋に区切られ、各部屋間を人が移動できる環境である、
統合社会環境を実現する動画出力システム。
【請求項7】
一の環境に設置された1以上の動画出力装置であり、請求項1から請求項4いずれか一項に記載の1以上の動画出力装置を具備し、
前記1以上の各動画出力装置が具備する前記動画取得部は、
ユーザからの入力に基づいて、前記一の環境とは異なる2以上の他の環境を撮影した動画のうちから一の画像を切り替えて取得する、統合社会環境を実現する動画出力システム。
【請求項8】
一の環境に設置された動画出力装置であり、請求項1から請求項4いずれか一項に記載の動画出力装置と人工物とを具備し、
前記動画出力装置が具備する前記動画取得部は、
前記一の環境とは異なる他の環境を撮影した動画を取得し、
前記人工物は、
前記他の環境に存在する物の複製物である、統合社会環境を実現する動画出力システム。
【請求項9】
一の環境に設置された動画出力装置であり、請求項1から請求項4いずれか一項に記載の動画出力装置と人工物とを具備し、
前記動画出力装置が具備する前記動画取得部は、
前記一の環境とは異なる他の環境を撮影した動画を取得し、
前記人工物は、
前記動画に映る物に関係する物である、統合社会環境を実現する動画出力システム。
【請求項10】
一の環境に設置された動画出力装置であり、請求項1から請求項4いずれか一項に記載の動画出力装置と人工物を具備し、
前記動画出力装置が具備する前記動画取得部は、
前記一の環境に存在する前記人工物に関係する物が映った動画であり、前記一の環境とは異なる他の環境を撮影した動画を取得する、
統合社会環境を実現する動画出力システム。
【請求項11】
動画取得部と、変換部と、画像出力部とにより実現される動画出力方法であって、
前記動画取得部が、2以上の画像を有する動画を取得する動画取得ステップと、
前記変換部が、前記動画を構成する1以上の各画像に対して、超自然光景に変換する処理を行い、変換画像を取得する変換ステップと、
前記画像出力部が、前記変換ステップで取得された1以上の各変換画像を、順次、出力する画像出力ステップとを具備する動画出力方法。
【請求項12】
コンピュータを、
2以上の画像を有する動画を取得する動画取得部と、
前記動画を構成する1以上の各画像に対して、超自然光景に変換する処理を行い、変換画像を取得する変換部と、
前記変換部が取得した1以上の各変換画像を、順次、出力する画像出力部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画を出力する動画出力装置、統合社会環境を実現する動画出力システム、動画出力方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動画データの色彩補正を行なって画質を向上しようとする動画出力装置があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来は統合社会環境を実現することが出来なかった。これは、従来の動画出力装置においては、統合社会環境を実現する動画を出力できなかったためである。
【0005】
なお、統合社会環境とは、実在の自然環境と人の脳内の世界である社会環境とを統合した環境である。自然環境とは、「人間の行動、生産と消費の生活に直接、間接の影響を与える自然的諸条件の総体」であり「自然環境を構成する要素は地質、地形、気候、土壌、陸水、海洋、植生、動物など」が挙げられる(ブリタニカ国際大百科事典小項目事典「自然環境」参照)。社会環境とは「人間の行動、生産から消費の生活に直接、間接の影響を与える社会的諸条件(組織、制度、階級、構造、慣習など)の総体」であり「個々の人間の行動や生活が、それが属する大小の集団によって規制され」ることである(ブリタニカ国際大百科事典小項目事典「社会環境」参照)。
【0006】
本来、人は自然環境の中で様々な影響を受けて、自身の社会環境の中での行動規範へとフィードバックしている(例えば、荘厳な風景を見て、自身を顧みて生活信条を改めるなど)。ただし、そのような自然環境を直接眼にすることは極めて稀である。
【0007】
また、遠隔地の自然環境を動画として見たときに、そのようなフィードバックを得ることはない。それは実際の自然環境を動画にした時点で、一視点から切り取った映像であり、なおかつ奥行感がない映像になってしまうからである。また、実物に比べると質感、透明感、壮大さなども及ばず、一方でノイズや異物が入ってしまうという問題もある。
【0008】
そこで、本発明では、このような動画から、あたかも実際にその自然環境を直接眼にしているような動画を提示することで、上述のように自身の社会環境の中での行動規範へとフィードバックすることを可能にすることを一つの目的とする。本発明によれば、動画を出力する際に、遠隔地の自然環境を出力することも可能であるし、例えば、1000年に一度といった稀にしか発生しない感動的な自然環境をいつでも何度でも出力することも可能であるし、複数の散在する自然環境を寄せ集めて統合して出力することも可能である。このような出力を超自然光景と言う。本発明は、このように時空間の制約を超えた超自然光景を出力することで、実在の自然環境と人の脳内の世界である社会環境とを統合した統合社会環境を実現するものである。また、この統合社会環境の実現により、人の行動規範が変化した結果として、ひいては自然環境が豊かになるものである(例えば、超自然光景を体験することで自然環境保全を意識した行動をとるようになる等)。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本第一の発明の動画出力装置は、2以上の画像を有する動画を取得する動画取得部と、動画を構成する1以上の各画像に対して、超自然光景に変換する処理を行い、変換画像を取得する変換部と、変換部が取得した1以上の各変換画像を、順次、出力する画像出力部とを具備する動画出力装置である。
【0010】
かかる構成により、動画に対して超自然光景に変換する処理を行うことにより、統合社会環境を実現する動画を出力できる。
【0011】
また、本第二の発明の動画出力装置は、第一の発明に対して、1以上の第一画像の全部または第一画像の一部分である第一部分画像と、第一画像とは異なる第二画像の全部または第二画像の一部分である第二部分画像との対応を取るための2以上の対応情報を有する2以上のルックアップテーブルが格納されるLUT格納部と、変換対象の画像または変換対象の部分画像である対象画像のクラスを識別するクラス識別子に対応付けられた情報であり、クラスに対応する1以上のルックアップテーブルの使用を特定する情報である2以上の制御情報が格納される制御情報格納部とをさらに具備し、変換部は、動画を構成する1以上の各画像を分割し、2以上の部分画像を取得する分割手段と、分割手段が取得した2以上の各部分画像である対象画像から2以上の特徴量を取得し、2以上の特徴量を用いて、対象画像のクラス識別子を取得する分類手段と、対象画像ごとに、分類手段が取得したクラス識別子に対応する制御情報を制御情報格納部から取得し、制御情報が特定する1以上のルックアップテーブルを用いて、対象画像を変換し、変換対象画像を取得する変換手段と、変換手段が取得した2以上の変換対象画像を統合し、変換画像を取得する統合手段とを具備する動画出力装置である。
【0012】
かかる構成により、動画に対する適切な変換処理を行える。
【0013】
また、本第三の発明の動画出力装置は、第二の発明に対して、ユーザからの入力を受け付ける入力受付部と、入力に基づいて、2以上のクラス識別子のうちのいずれか1以上のクラス識別子に対応する制御情報を変更する制御変更部とをさらに具備する動画出力装置である。
【0014】
かかる構成により、ユーザが価値を感じる画像への変換を行える。
【0015】
また、本第四の発明の動画出力装置は、第二または第三の発明に対して、変換手段は、制御情報が特定する1以上の各ルックアップテーブルごとに、分類手段が取得した2以上の特徴量に対応する対応情報を決定し、対応情報を用いて、対象画像を変換し、変換対象画像を取得する、動画出力装置である。
【0016】
かかる構成により、動画に対する適切な変換処理を行える。
【0017】
また、本第五の発明のシステムは、第一から第四いずれか1つの発明に対して、一の環境に設置された2以上の動画出力装置を具備し、2以上の動画出力装置の動画取得部が取得する動画は、一の環境とは異なる他の環境を撮影した動画である、統合社会環境を実現するシステムである。
【0018】
かかる構成により、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【0019】
また、本第六の発明のシステムは、第一から第四いずれか1つの発明に対して、一の環境に設置された1以上の動画出力装置を具備し、一の環境は、2以上の部屋に区切られ、各部屋間を人が移動できる環境である、統合社会環境を実現するシステムである。
【0020】
かかる構成により、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【0021】
また、本第七の発明のシステムは、第一から第四いずれか1つの発明に対して、一の環境に設置された1以上の動画出力装置を具備し、1以上の各動画出力装置が具備する動画取得部は、ユーザからの入力に基づいて、一の環境とは異なる2以上の他の環境を撮影した動画のうちから一の画像を切り替えて取得する、統合社会環境を実現するシステムである。
【0022】
かかる構成により、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【0023】
また、本第八の発明のシステムは、第一から第四いずれか1つの発明に対して、一の環境に設置された動画出力装置と人工物とを具備し、動画出力装置が具備する動画取得部は、一の環境とは異なる他の環境を撮影した動画を取得し、人工物は、他の環境に存在する物の複製物である、統合社会環境を実現するシステムである。
【0024】
かかる構成により、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【0025】
また、本第九の発明のシステムは、第一から第四いずれか1つの発明に対して、一の環境に設置された動画出力装置と人工物とを具備し、動画出力装置が具備する動画取得部は、一の環境とは異なる他の環境を撮影した動画を取得し、人工物は、動画に映る物に関係する物である、統合社会環境を実現するシステムである。
【0026】
かかる構成により、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【0027】
また、本第十の発明のシステムは、第一から第四いずれか1つの発明に対して、一の環境に設置された動画出力装置と人工物を具備し、動画出力装置が具備する動画取得部は、一の環境に存在する人工物に関係する物が映った動画であり、一の環境とは異なる他の環境を撮影した動画を取得する、統合社会環境を実現するシステムである。
【0028】
かかる構成により、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明による動画出力装置によれば、超自然環境の動画を出力することで、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施の形態1における動画出力装置Aのブロック図
【
図2】同動画出力装置Aの動作例について説明するフローチャート
【
図3】同変換処理の例について説明するフローチャート
【
図4】同制御情報変更処理の例について説明するフローチャート
【
図15】実施の形態2における同システムBのブロック図
【
図17】実施の形態3におけるシステムCの例を示す図
【
図18】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの概観図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、動画出力装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態において、動画を超自然光景に変換する処理を行い、出力する動画出力装置について説明する。なお、本明細書で述べる動画出力装置は、例えば、テレビ、動画再生装置、動画を出力できるコンピュータ、動画を出力できるタブレット端末、動画を出力できるスマートフォン等であり、その種類は問わない。また、映像が表示される面の周囲に意匠登録第1648658号のようなフレームを有することは好適である。
【0033】
なお、「超自然光景に変換する処理」とは、受け付けた動画を構成する1以上の各画像ごとに、画像を構成する1または2以上の各対象画像から2以上の特徴量を取得し、当該2以上の特徴量を用いて、各対象画像のクラスを決定し、LUT制御表から当該クラスに対応する1または2以上のルックアップテーブル(以下、適宜「LUT」と言う)を決定し、各対象画像に対して1以上のLUTを用いて変換し、統合した変換画像を取得する処理である。
【0034】
なお、本明細書の各実施の形態において、情報Aが情報Bに対応付いていることは、情報Aから情報Bを取得できること、または情報Bから情報Aを取得できることであり、その対応付けの方法は問わない。情報Aと情報Bとがリンク付いていても良いし、同じバッファに存在していても良いし、情報Aが情報Bに含まれていても良いし、情報Bが情報Aに含まれている等でも良い。
【0035】
図1は、本実施の形態における動画出力装置Aのブロック図である。動画出力装置Aは、格納部1、受付部2、処理部3、および出力部4を備える。格納部1は、LUT格納部11、および制御情報格納部12を備える。受付部2は、動画取得部21、および入力受付部22を備える。処理部3は、変換部31、および制御変更部32を備える。変換部31は、分割手段311、分類手段312、変換手段313、および統合手段314を備える。出力部4は、画像出力部41を備える。
【0036】
格納部1には、各種の情報が格納される。各種の情報は、例えば、LUT、制御情報、クラス管理表、1または2以上の動画である。格納部1には、予め超自然光景に変換する処理を行った動画が格納されていても良い。
【0037】
クラス管理表は、クラスを管理する表である。クラス管理表は、例えば、クラス識別子と特徴量ベクトルとを有する2以上のレコードを有する。クラス識別子は、対象画像のクラスを識別する情報である。対象画像は、変換対象の画像である。対象画像は、変換対象の画像または変換対象の部分画像である。対象画像は、通常、部分画像であるが、動画を構成する画像(フィールドやフレームと言っても良い)の全体でも良い。部分画像は、動画を構成する画像の一部の領域の画像である。なお、領域の形状やサイズは問わない。特徴量ベクトルは、対象画像から抽出した2以上の各特徴量を要素とするベクトルである。
【0038】
特徴量は、例えば、近傍特徴量、または全体特徴量である。近傍特徴量とは、画像の一部分の特徴量である。近傍特徴量は、例えば、輝度、画素値、画素の座標、アクティビティ、時空間相関、動きベクトル、周波数分布などがある。また、アクティビティとは、例えば、複数の画素の最大値および最小値、ダイナミックレンジ(DR)、複数の画素の間の差分値などである。複数の画素の間の差分値は、空間内の複数画素間の差分値でも良いし、時間方向の複数画素間の差分値でも良いし、空間内および時間方向の複数画素間の差分値でも良い。また、全体特徴量とは、画像全体の特徴量である。全体特徴量は、例えば、画像全体の画素値分布、画像全体の動きベクトル分布、1または2以上の画像全体の時空間相関、画像全体のノイズ量、画像フォーマット、1以上の画像であるコンテンツに関するコンテンツ情報、パターン検出結果(顔など)などである。ここで、コンテンツ情報とは、例えば、コンテンツの撮影場所、撮影日時、撮影時の気象、被写体の名称や種類、カメラパラメータ(レンズ絞りやシャッター速度など)等である。
【0039】
特徴量は、例えば、フレーム差分の大きさ、空間における平坦度合い、空間における中から高周波成分の多さ、空間における低周波成分の多さ、空間におけるボケ具合である。ボケ具合は、画素値の変化の滑らかさに関する特徴量である。なお、かかる特徴量の取得方法は公知技術であるので、かかる特徴量の取得方法の説明は省略する。なお、特徴量は上述した特徴量に限らないことは言うまでもない。
【0040】
格納部1の動画は、通常、動画識別子に対応付いている。動画識別子は、動画を識別する情報であり、例えば、動画のタイトル、ID、撮影場所、撮影日時、撮影時の気象、被写体の名称や種類、カメラパラメータ(レンズ絞りやシャッター速度など)である。
【0041】
LUT格納部11には、2以上のルックアップテーブルが格納される。通常、LUTは、LUTを識別するLUT識別子に対応付いている。LUT識別子は、例えば、ID、ルックアップテーブルの名称である。
【0042】
LUTは、1または2以上の対応情報を有する。対応情報は、第一画像または第一部分画像と、第二画像または第二部分画像との対応を取るための情報である。第一画像は、変換前の画像である。第二画像は、第一画像とは異なる画像であり、変換後の画像である。第一部分画像は、第一画像の一部分である。第二部分画像は、第二画像の一部分である。
【0043】
対応情報は、例えば、画像を変換する演算式、画像を変換する演算式に与える1以上のパラメータ群、画像を変換するための変換フィルタの1以上のパラメータ群、第一画像または第一部分画像に対応する第二画像または第二部分画像そのものである。対応情報は、例えば、時空間ブロックの画素値の中央値を算出する演算式でも良い。
【0044】
LUTが有する2以上の各対応情報は、例えば、2以上の特徴量に対応付いている。2以上の特徴量は、各特徴量を要素とする特徴量ベクトルと言っても良い。
【0045】
また、1以上の第一画像の全部または第一部分画像および1以上の第二画像の全部または第二部分画像は、出力される一画面の画像でも良いし、一画面の一部のブロックの画像でも良いし、一画素でも良いし、時間的に連続する複数画面でも良いし、時間的に連続する複数画面の空間上の一部分(後述する時空間ブロック)でも良いし、時間的に連続する複数画面の連続する一画素の集合などでも良い。つまり、第一画像および第二画像の情報量の単位は問わない。なお、時空間ブロックとは、通常、動画(映像と言っても良い)を、空間的、または時間的、または空間的かつ時間的に分割した一部分をいう。ただし、時空間ブロックは、画素の集合であれば良い。つまり、時空間ブロックは、矩形の連続領域とは限らない。時空間ブロックは、非矩形かつ不連続な画像の領域でも良い。また、画像を分割されて取得された複数の時空間ブロックは、一部に重複した画素を有するものでも良い。
【0046】
ここで、第一画像と第二画像とは、同一の対象についての異なる画像である。例えば、第一画像は歪の多い画像(例えば、カメラ撮影時に映像に混在するノイズの影響が大きい画像)であり、第二画像は第一画像より歪の少ない画像(例えば、カメラ撮影時に映像に混在するノイズの影響が少ない画像)である。かかる場合、ルックアップテーブルは、例えば、歪量の異なる二つの画像信号のブロック毎に符号化したものの相関を示すものである。また、第一画像は通常の自然環境を撮影した画像であり、第二画像は1000年に一度といった稀にしか発生しない自然環境を撮影した画像である。なお、かかる変換処理については後述する。
【0047】
2以上の各LUTは、達成できることが異なるLUTであることは好適である。2以上の各LUTは、例えば、動きの滑らかさを向上できるLUT、透明感を向上できるLUT、質感を向上できるLUT、壮大さを向上できるLUT、異物の除去ができるLUTなどである。
【0048】
制御情報格納部12には、2以上の制御情報が格納される。制御情報は、対象画像を変換する際に使用するLUTに関する情報である。制御情報は、1または2以上のLUTの使用を特定する情報である。制御情報は、クラス識別子に対応付けられた情報である。クラス識別子に対応付けられた情報は、特徴量ベクトルに対応付けられた情報と同意義であっても良い。クラス識別子は、対象画像のクラスを識別する情報である。制御情報が2以上のLUTの使用を特定する情報である場合、2以上のLUTの使用順序をも特定する情報であることは好適である。制御情報は、例えば、「LUT1,LUT2」である。かかる場合、制御情報は、例えば、対象画像に対して、「LUT1」で識別されるルックアップテーブルを用いて第一変換処理を行い、次に、当該第一変換処理の結果の画像に対して、「LUT2」で識別されるルックアップテーブルを用いて第二変換処理を行い、出力する画像である変換画像を取得することを示す情報である。
【0049】
受付部2は、各種の情報や指示を受け付ける。各種の情報や指示は、例えば、動画、ユーザからの入力である。各種の情報や指示の入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。受付部2は、タッチパネルやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
【0050】
動画取得部21は、2以上の画像を有する動画を取得する。動画取得部21は、例えば、図示しない放送装置から動画を受信する。動画取得部21は、例えば、図示しない動画管理装置(サーバ)から動画を取得する。動画取得部21は、例えば、格納部1に格納されている動画を読み出す。
【0051】
入力受付部22は、ユーザからの入力を受け付ける。入力は、例えば、出力指示、動画切替指示、動画識別子、特性識別子、領域識別子、LUT、LUTの変更指示、制御情報、制御情報の変更指示である。
【0052】
出力指示は、動画を出力する指示であり、動画を特定する情報(例えば、動画識別子)が含まれることは好適である。動画切替指示は、出力中の動画を切り替える指示であり、切り替える動画を特定する情報(例えば、動画識別子)が含まれることは好適である。特性識別子は、動画の特性を識別する情報であり、例えば、「動きの滑らかさ」「透明感」「質感」「壮大さ」「異物除去」等である。領域識別子は、領域を特定する情報である。領域は、例えば、ユーザが指示する矩形の領域であるが、非矩形の領域であったりオブジェクトであってもよい。
【0053】
ここで、受け付けとは、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付け、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどを含む概念である。
【0054】
処理部3は、各種の処理を行う。各種の処理は、例えば、変換部31、制御変更部32が行う処理である。
【0055】
入力受付部22がLUTを受け付けた場合、処理部3は、当該LUTをLUT格納部11に蓄積する。また、入力受付部22がLUTの変更指示を受け付けた場合、処理部3は、当該変更指示に従って、LUTを変更する。
【0056】
入力受付部22が制御情報を受け付けた場合、処理部3は、当該制御情報を制御情報格納部12に蓄積する。また、入力受付部22が制御情報の変更指示を受け付けた場合、処理部3は、当該変更指示に従って、制御情報を変更する。
【0057】
変換部31は、動画を構成する1以上の各画像に対して、超自然光景に変換する処理を行い、変換画像を取得する。かかる処理を変換処理と言う。
【0058】
分割手段311は、動画を構成する1以上の各画像を分割し、2以上の部分画像を取得する。分割手段311は、通常、動画を構成する全ての画像(静止画)に対して、分割する処理を行うが、一部の画像に対してのみ、分割する処理を行っても良い。
【0059】
分割手段311は、例えば、動画を構成する各画像を同じサイズの部分画像に分割する。分割手段311は、例えば、動画を構成する画像を、縦X、横Yのサイズの部分画像に分割する。分割手段311は、動画を構成する各画像を異なるサイズの同じ形状(例えば、矩形)の部分画像に分割しても良い。
【0060】
分割手段311は、例えば、動画を構成する各画像から1または2以上のオブジェクトを抽出し、1以上の各オブジェクトと背景とを、部分画像として取得する。分割手段311は、例えば、動画を構成する各画像から2以上のオブジェクトを抽出し、2以上の各オブジェクトを、部分画像として取得する。なお、画像に対してオブジェクトを抽出する技術は公知技術であるので、詳細な説明を省略する。
【0061】
分類手段312は、例えば、まず、対象画像から2以上の特徴量を取得する。対象画像は、例えば、分割手段311が取得した部分画像である。対象画像は、例えば、動画取得部21が取得した画像である。動画取得部21が取得した画像は、第一画像と言っても良い。動画取得部21が取得した画像は、変換前の画像である。
【0062】
次に、分類手段312は、2以上の特徴量を用いて、当該対象画像のクラス識別子を取得する。分類手段312は、例えば、対象画像から2以上の特徴量を取得し、当該2以上の特徴量を用いて特徴量ベクトルを構成し、当該特徴量ベクトルに最も近似する特徴量ベクトルと対になるクラス識別子を決定する。なお、クラス識別子を決定することは、通常、格納部1のクラス管理表から取得することである。クラス識別子を決定することは、クラス識別子を取得することでも良い。
【0063】
変換手段313は、対象画像ごとに、分類手段312が決定したクラス識別子に対応する制御情報を制御情報格納部12から取得する。次に、変換手段313は、対象画像ごとに、取得した制御情報が特定する1以上のルックアップテーブルを用いて、対象画像を変換し、変換対象画像を取得する。
【0064】
変換手段313は、例えば、対象画像ごとに、制御情報が特定する1以上の各ルックアップテーブルごとに、分類手段312が取得した2以上の特徴量(特徴量ベクトル)に対応する対応情報を決定し、当該対応情報を用いて、対象画像を変換し、変換対象画像を取得する。
【0065】
なお、分類手段312が取得した特徴量ベクトルに対応する対応情報を決定する処理は、例えば、分類手段312が取得した特徴量ベクトルに最も近似する特徴量ベクトルに対応する対応情報を決定する処理である。
【0066】
統合手段314は、変換手段313が取得した2以上の変換対象画像を統合し、変換画像を取得する。2以上の変換対象画像を統合することは合成することである、と考えても良い。2以上の変換対象画像を統合することは、2以上の変換対象画像を含む画像を構成することである。
【0067】
統合手段314は、通常、2以上の変換対象画像の元になった2以上の対象画像の位置関係を変更しないように、2以上の変換対象画像を合成し、変換後の動画を構成する変換画像を構成する。
【0068】
制御変更部32は、入力受付部22が受け付けた入力に基づいて、2以上のクラス識別子のうちのいずれか1以上のクラス識別子に対応する制御情報を変更する。
【0069】
制御変更部32は、例えば、まず、変更する1以上の制御情報を決定する。次に、制御変更部32は、変更対象の制御情報を変更する。制御変更部32は、すべての制御情報を変更しても良い。
【0070】
変更する制御情報を決定することは、例えば、変更する対象のクラスのクラス識別子を取得することである。例えば、入力受付部22が受け付けた入力が不足する特性を特定する特性識別子である場合、制御変更部32は、当該特性識別子に対応するLUTのLUT識別子を有さない1以上の制御情報を、変更する対象の制御情報であるとして決定する。制御変更部32は、例えば、入力受付部22が受け付けた入力に対応する動画であり、出力された1以上の画像において、分類手段312が、頻度条件を満たすほど高い頻度で決定した1以上のクラス識別子に対応する制御情報を、変更する対象の制御情報であるとして決定する。なお、特性識別子は、LUTの特性を特定する情報であり、例えば、LUTが向上できる効果を識別する情報であり、例えば、「動きの滑らかさ」「透明感」「質感」「壮大さ」「異物除去」等である。また、頻度条件は、決定した回数が閾値以上または閾値より多いクラス識別子であること、決定された回数が最大のクラス識別子であること、決定された回数が上位N(Nは2以上の自然数)までのクラス識別子であることである。
【0071】
入力受付部22が受け付けた入力が不足する特性を特定する特性識別子である場合、制御変更部32は、当該特性識別子に対応するLUTのLUT識別子を制御情報に加える。当該LUT識別子を加える対象の制御情報は、制御変更部32が変更する制御情報として決定した制御情報であることは好適である。ただし、制御変更部32は、全ての制御情報に当該LUT識別子を加えても良い。
【0072】
例えば、入力受付部22が受け付けた入力が不足する特性を特定する特性識別子と領域を示す情報である場合、制御変更部32は、当該領域を示す情報に対応する1または2以上の部分画像を決定し、当該1以上の各部分画像から2以上の特徴量を取得し、当該2以上の特徴量に対応するクラス識別子を取得する。そして、制御変更部32は、取得した1以上の各クラス識別子に対応する1以上の制御情報を、変更する対象の制御情報であるとして決定する。次に、制御変更部32は、変更する対象の制御情報に、入力受付部22が受け付けた特性識別子に対応するLUTのLUT識別子を制御情報に加える。
【0073】
出力部4は、各種の情報を出力する。各種の情報は、例えば、変換画像である。
【0074】
ここで、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影であるが、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。なお、出力を図示しない蓄積部に記録し、再生指示に従って出力してもよい。
【0075】
画像出力部41は、変換部31が取得した1以上の各変換画像を、順次、出力する。画像出力部41は、変換された動画を出力する。
【0076】
格納部1、LUT格納部11、および制御情報格納部12は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0077】
格納部1等に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が格納部1等で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が格納部1等で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が格納部1等で記憶されるようになってもよい。
【0078】
受付部2、動画取得部21、および入力受付部22は、例えば、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段、タッチパネルやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現されても良い。
【0079】
処理部3、変換部31、制御変更部32、分割手段311、分類手段312、変換手段313、および統合手段314は、通常、プロセッサやメモリ等から実現され得る。処理部3等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、プロセッサは、CPU、MPU、GPU等であり、その種類は問わない。
【0080】
出力部4、および画像出力部41は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部4等は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0081】
次に、動画出力装置Aの動作例について、
図2のフローチャートを用いて説明する。
【0082】
(ステップS201)受付部2は、動画の出力指示を受け付けたか否かを判断する。出力指示を受け付けた場合はステップS202に行き、出力指示を受け付けなかった場合はステップS201に戻る。
【0083】
(ステップS202)動画取得部21は、出力指示に対応する動画から、順次、画像を取得する。そして、動画取得部21は、画像を取得した否かを判断する。画像を取得した場合はステップS203に行き、画像を取得しなかった場合はステップS205に行く。
【0084】
(ステップS203)変換部31は、ステップS202で取得された画像に対して、変換処理を行い、変換画像を取得する。変換処理の例について、
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0085】
(ステップS204)画像出力部41は、ステップS203で取得された変換画像を出力する。ステップS202に戻る。
【0086】
(ステップS205)入力受付部22は、入力を受け付けたか否かを判断する。入力を受け付けた場合はステップS206に行き、入力を受け付けなかった場合はステップS207に行く。
【0087】
(ステップS206)制御変更部32は、制御情報変更処理を行う。ステップS202に戻る。制御情報変更処理の例について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0088】
(ステップS207)処理部3は、処理を終了するか否かを判断する。処理を終了する場合はステップS201に戻り、処理を終了しない場合はステップS202に戻る。なお、処理を終了する場合は、例えば、動画の最後の画像に対応する変換画像が出力された場合、終了指示が受け付けられた場合である。ただし、処理の終了のトリガーは問わない。
【0089】
なお、
図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0090】
次に、ステップS203の変換処理の例について、
図3のフローチャートを用いて説明する。
【0091】
(ステップS301)分割手段311は、画像を分割し、1以上の部分画像を取得する。部分画像は、変換対象の対象画像である。
【0092】
(ステップS302)分類手段312は、カウンタiに1を代入する。
【0093】
(ステップS303)分類手段312は、i番目の対象画像が存在するか否かを判断する。
【0094】
(ステップS304)分類手段312は、分割手段311により分割され、取得されたi番目の対象画像を取得する。
【0095】
(ステップS305)統合手段314は、対象画像の位置情報を取得する。なお、位置情報は、i番目の対象画像の画像における相対的な位置を示す情報であり、通常、1以上の(x,y)である。対象画像が矩形の場合、例えば、位置情報は、当該矩形の左上座標と右下座標である。対象画像がオブジェクトである場合、例えば、位置情報は、当該オブジェクトの重心座標、または当該オブジェクトの輪郭を示す3以上の座標の集合である。
【0096】
(ステップS306)分類手段312は、i番目の対象画像の2以上の特徴量(特徴量ベクトル)を取得する。
【0097】
(ステップS307)分類手段312は、ステップS306で取得した特徴量ベクトルに最も近似する特徴量ベクトルを、格納部1のクラス管理表が有する特徴量ベクトルから決定する。次に、分類手段312は、当該決定した特徴量ベクトルと対になるクラス識別子をクラス管理表から取得する。
【0098】
(ステップS308)変換手段313は、ステップS307で取得されたクラス識別子と対になる制御情報を制御情報格納部12から取得する。
【0099】
(ステップS309)カウンタjに1を代入する。
【0100】
(ステップS310)変換手段313は、ステップS308で取得した制御情報の中に、j番目に使用するべきLUT識別子が存在するか否かを判断する。j番目のLUT識別子が存在する場合はステップS311に行き、存在しない場合はステップS314に行く。
【0101】
(ステップS311)変換手段313は、j番目のLUT識別子で識別されるLUTが有する対応情報の中から、ステップS306で取得された特徴量ベクトルに最も近似する特徴量ベクトルを決定し、当該特徴量ベクトルに対応する対応情報を決定する。
【0102】
(ステップS312)変換手段313は、ステップS311で決定した対応情報を用いて、変換対象の画像を変換する。なお、変換対象の画像は、i番目の対象画像または、直前のループ処理においてステップS312で変換して、取得した画像である。なお、対応情報を用いて画像を変換する処理は、例えば、公開特許公報(特開2012-252687、特開2014-154046)に開示されている。
【0103】
(ステップS313)カウンタjを1、インクリメントする。ステップS310に戻る。
【0104】
(ステップS314)統合手段314は、最終的にステップS312で取得された画像である変換対象画像を、ステップS305で取得した位置情報が示す位置に配置する。
【0105】
(ステップS315)分類手段312は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS303に戻る。
【0106】
次に、ステップS206の制御情報変更処理の例について、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0107】
(ステップS401)制御変更部32は、変更する1以上の制御情報を決定する。
【0108】
(ステップS402)制御変更部32は、カウンタiに1を代入する。
【0109】
(ステップS403)制御変更部32は、i番目の変更対象の制御情報が存在するか否かを判断する。i番目の変更対象の制御情報が存在する場合はステップS404に行き、存在しない場合は上位処理にリターンする。
【0110】
(ステップS404)制御変更部32は、i番目の変更対象の制御情報を取得する。
【0111】
(ステップS405)制御変更部32は、変更後の制御情報を取得する。
【0112】
(ステップS406)制御変更部32は、i番目の変更対象の制御情報を、ステップS405で取得した変更後の制御情報に書き換える。
【0113】
(ステップS407)制御変更部32は、カウンタiを1、インクリメントする。ステップS403に戻る。
【0114】
以下、本実施の形態における動画出力装置Aの具体的な動作例について説明する。以下、2つの具体例を説明する。具体例1は、動画に対して超自然光景に変換する処理を行うことにより、統合社会環境を実現する動画を出力する場合である。具体例2は、制御情報が変更される場合である。
【0115】
ここでの具体例において、動画出力装置AのLUT格納部11には、
図5に示す5つのLUTを含む多数のLUTが格納されている、とする。また、LUTの構造の例は、
図6である。
図6のLUTは、多数の対応情報を有する。また、対応情報は、ここでは、特徴量ベクトルとフィルタ係数とを有する。
図6において「特徴量ベクトル」は、1以上の全体特徴量(例えば、「A
1=(V
1,V
2,V
3,V
4)」)と1以上の近傍特徴量(例えば、「α
01=(p
01-1,p
01-2,p
01-3,p
01-4)」とを有するベクトルである。なお、画像からかかる全体特徴量と近傍特徴量とを取得する処理は、公知技術であり、例えば、公開特許公報(特開2012-252687)に開示されている。また、フィルタ係数は、画像の変換フィルタが使用する係数である。対応情報が有する「フィルタ係数」(例えば、「F
01」)は、フィルタ係数の集合である。なお、LUTの構造は種々考えられ、問わないことは、上述した通りである。
【0116】
また、制御情報格納部12には、
図7に示す制御情報管理表が格納されている。制御情報管理表は、制御情報を管理する表である。制御情報管理表は、「クラス識別子」「特徴量ベクトル」「制御情報」を有する2以上のレコードを有する。制御情報管理表の「特徴量ベクトル」は、1以上の全体特徴量(例えば、「a
1=(v
1,v
2,v
3,v
4)」)と1以上の近傍特徴量(例えば、「β
01=(P
01-1,P
01-2,P
01-3,P
01-4)」とを有するベクトルである。
【0117】
(具体例1)
かかる状況において、出力指示が動画出力装置Aに与えられた、とする。次に、動画出力装置Aの受付部2は、動画の出力指示を受け付ける。
【0118】
次に、動画取得部21は、出力指示に対応する動画から、順次、画像を取得する。例えば、動画取得部21は、
図8の801の画像(富士山の画像)を取得する。
【0119】
変換部31は、画像801に対して、以下のような変換処理を行い、変換画像を取得する。つまり、変換部31を構成する分割手段311は、画像801を時空間ブロックに分割して部分画像を取得する。次に、分類手段312は、各部分画像の特徴量ベクトル(例えば、「鳥の位置の部分画像に対する特徴量ベクトル:(8,0,・・・,3,0,0)」)を取得する。また、統合手段314は、各時空間ブロック(対象画像)の位置情報を取得する。なお、分割手段311は、画像801を時空間ブロックに分割することに代えて、画像801に対してオブジェクト認識処理を行い、鳥、空、山、虫の各々の部分画像を取得しても良い。
【0120】
次に、分類手段312は、対象画像ごとに、取得した特徴量ベクトルに最も近似する特徴量ベクトルを、
図7の制御情報管理表の特徴量ベクトルから決定する。そして、分類手段312は、対象画像「鳥」に対してクラス識別子「C1」、対象画像「空」に対してクラス識別子「C2」、対象画像「山」に対してクラス識別子「C3」、対象画像「虫」に対してクラス識別子「C4」を取得した、とする。
【0121】
次に、変換手段313は、各対象画像に対して、クラス識別子と対になる制御情報を取得する。つまり、例えば、変換手段313は、対象画像「鳥」に対して制御情報「LUT1,LUT3」を取得する。また、変換手段313は、対象画像「空」に対して制御情報「LUT2」を取得する。また、変換手段313は、対象画像「山」に対して制御情報「LUT4」を取得する。さらに、変換手段313は、対象画像「虫」に対して制御情報「LUT5」を取得する。
【0122】
次に、変換手段313は、各対象画像に対して、1または2以上の各LUTを順番に適用し、変換画像を取得する。つまり、変換手段313は、対象画像「鳥」に対して、LUT1を用いて画像変換を行い、動きの滑らかさが向上した画像を取得する。次に、変換手段313は、当該変換結果の画像に対して、LUT3を用いて画像変換を行い、質感が向上した変換対象画像を取得する。次に、統合手段314は、当該変換対象画像を、対象画像「鳥」に対して取得した位置情報が示す位置に配置する。
【0123】
また、変換手段313は、対象画像「空」に対して、LUT2を用いて画像変換を行い、透明感が向上した変換対象画像を取得する。次に、統合手段314は、当該変換対象画像を、対象画像「空」に対して取得した位置情報が示す位置に配置する。
【0124】
また、変換手段313は、対象画像「山」に対して、LUT4を用いて画像変換を行い、壮大さが向上した変換対象画像を取得する。次に、統合手段314は、当該変換対象画像を、対象画像「山」に対して取得した位置情報が示す位置に配置する。
【0125】
さらに、変換手段313は、対象画像「虫」に対して、LUT5を用いて画像変換を行い、異物(虫)が除去された変換対象画像を取得する。次に、統合手段314は、当該変換対象画像を、対象画像「虫」に対して取得した位置情報が示す位置に配置する。以上の処理により、変換画像が取得された。
【0126】
次に、画像出力部41は、当該変換画像(802)を出力する。以上の処理を、出力指示が特定する動画を構成する各画像に対して行うことにより、変換処理が行われた2以上の変換画像が順次出力される。その結果、動画の視聴者は、超自然光景に変換する処理が行われることにより、統合社会環境を実現する動画を視聴できる。
【0127】
(具体例2)
視聴者が、具体例1において出力された富士山の動画(802参照)を見ながら、
図9の出力に対して、視聴者は、特性「質感」が不足していると思い、「質感」ボタン901と質感が不足している「領域」902とを指示した、とする。
【0128】
次に、入力受付部22は、「質感」ボタン901に対応するLUT識別子「LUT3」を、格納部1から取得する。なお、格納部1には、
図9の各ボタンに対応する1以上のLUT識別子が格納されている、とする。
【0129】
次に、分類手段312は指示された領域に含まれる部分画像の2以上の特徴量を取得し、当該2以上の特徴量を有する特徴量ベクトルと対になるクラス識別子を決定する。ここでは、例えばクラス識別子「C3」が該当したとする。
【0130】
なお、領域内に複数の部分画像が含まれる場合は、それら全てに対してクラス識別子を決定してもよい(すなわちクラス識別子は複数になる)し、それらの特徴量ベクトルの重心に対して1つのクラス識別子を決定してもよい。
【0131】
次に、制御変更部32は該当したクラス識別子(ここでは例えばクラス識別子「C3」)に対応する制御情報に、入力受付部が取得したLUT識別子「LUT3」を付加する(
図10参照)。なお、ここでは図示しない手段でLUTの順序を指示してもよい。
【0132】
以後、変換部31は、更新された制御情報管理表を用いて、画像を変換し、変換画像を取得する(
図11参照)。また、画像出力部41は、かかる変換画像を出力する。
【0133】
さらに、視聴者が、画像出力部41から出力された変換画像を見て、空の部分の「透明感」が不足していると思い、透明感が不足している「領域」1201(空の一部分)を指定し、「透明感」ボタン1202を指示したとする(
図12参照)。
【0134】
次に、入力受付部22は、「透明感」ボタンに対応するLUT識別子「LUT2」を、格納部1から取得する。
【0135】
次に、分類手段312は指示された領域に含まれる部分画像の特徴量を求め、当該特徴量ベクトルと対になるクラス識別子を決定する。ここでは、例えばクラス識別子「C2」が該当したとする。
【0136】
次に、制御変更部32は該当したクラス識別子(ここでは例えばクラス識別子「C2」)に対応する制御情報に、入力受付部が取得したLUT識別子「LUT2」を付加する(
図13参照)。ここで、同一のLUTが2回選択されてもよい。
【0137】
以後、変換部31は、更新された制御情報管理表を用いて、画像を変換し、変換画像を取得する(
図14参照)。また、画像出力部41は、かかる変換画像を出力する。
【0138】
以上の処理により、動画の視聴中にでも、富士山の質感が向上し、なおかつ空の透明感がさらに向上した画像への変換を行える。これを繰り返すことで、従来の処理では得られない、視聴者がより価値を感じる映像を容易に出力することが可能となる。
【0139】
以上、本実施の形態によれば、視聴者は、超自然光景に変換する処理が行われることにより、統合社会環境を実現する動画を視聴できる。
【0140】
また、本実施の形態によれば、視聴者からの入力に基づいて、視聴者がより価値を感じる動画への変換を行える。
【0141】
なお、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD-ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態における情報処理装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、2以上の画像を有する動画を取得する動画取得部と、前記動画を構成する1以上の各画像に対して、超自然光景に変換する処理を行い、変換画像を取得する変換部と、前記変換部が取得した1以上の各変換画像を、順次、出力する画像出力部として機能させるためのプログラムである。
【0142】
(実施の形態2)
本実施の形態において、統合社会環境を実現するシステムBについて説明する。
図15は、システムBのブロック図である。かかるシステムBは、1または2以上の動画出力装置5を具備する。システムBは、動画出力システムと言っても良い。なお、システムBは、2以上の動画出力装置5を有することは好適である。
【0143】
動画出力装置5は、動画出力装置Aと同じ装置であることは好適であるが、他の動画出力装置でも良い。動画出力装置5は、動画取得部21が取得した動画を、変換せずに、出力しても良い。
【0144】
動画出力装置5は、例えば、格納部51、受付部2、処理部53、出力部54を具備する。受付部2は、動画取得部21を具備する。
【0145】
格納部51には、例えば、1または2以上の動画が格納されている。格納部51には、予め超自然光景に変換する処理を行った動画が格納されていても良い。
【0146】
処理部53は、例えば、動画取得部21が取得した動画を出力部54に渡す。なお、出力される動画は、格納部51から取得されても良いし、図示しない放送装置やサーバ等から受信されても良い。
【0147】
出力部54は、処理部53から渡された動画を出力する。出力部54は、画像出力部41と同じでも良い。
【0148】
格納部51は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0149】
格納部51に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が格納部51で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が格納部51で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が格納部51で記憶されるようになってもよい。
【0150】
処理部53は、通常、プロセッサやメモリ等から実現され得る。処理部53の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、プロセッサは、CPU、MPU、GPU等であり、その種類は問わない。
【0151】
出力部54は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部4等は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0152】
システムBを構成する2以上の動画出力装置5は、予め決められた位置関係に配置されていることは好適である。システムBを構成する2以上の動画出力装置5は、横に並んでいることは好適である。2以上の動画出力装置5は、水平な床に対して、同じ高さの位置に横に並んでいることは好適である。2以上の動画出力装置5は、同じ画面サイズであることは好適である。なお、システムBを構成する2以上の動画出力装置5は、縦に並んでいても良い。
【0153】
システムBにおいて、2以上の各動画出力装置5は、同じ環境(一の環境)に設置されていることは好適である。ここでの環境とは、空間、部屋、地点等である。一の環境とは、例えば、同じ部屋、同じ空間である。また、2以上の動画出力装置5の動画取得部21が取得する動画は、他の環境を撮影した動画であることは好適である。他の環境は、動画出力装置5が設置される一の環境とは異なる環境である。
【0154】
2以上の各動画出力装置5で出力される動画は、同期が取れた動画であることは好適である。2以上の各動画出力装置5で出力される動画は、2以上の各動画出力装置5が一の環境に設置される際の位置関係と同じ位置関係にある2以上のカメラで、他の環境を撮影した動画であることは好適である。
【0155】
なお、2以上の各動画出力装置5において、動画を出力する際の同期の取り方は問わない。同期が取れた各画像を、2以上の各動画出力装置5が同時に出力を開始するようにしても良い。一の動画出力装置5が他の動画出力装置5に指示を送信し、同じタイミング情報に対応する画像を出力するようにしても良い。また、図示しないサーバから2以上の各動画出力装置5にタイミング情報を送信し、同じタイミングで、各動画出力装置5において、同期が取れた画像を出力するようにしても良い。
【0156】
システムBの具体例を、
図16に示す。
図16において、システムBは、2以上(ここでは、3つ)の動画出力装置5を有する。
図16において、3つの動画出力装置5は、一の環境に配置されている。一の環境は、屋内空間(例えば、部屋)である。一の環境は、例えば、都会(例えば、東京都の23区内)のマンションまたは家屋の一室である。
図16において、3台のカメラを用いて、一の環境とは異なる環境である海で撮影された異なる動画を、3つの各動画出力装置5は出力している。3台のカメラは、各々、他の環境における異なる領域を撮影したカメラである。また、3つの各動画における3つの各領域は、同じ高さの領域である。そして、
図16において、3つの各動画は、海岸から海を撮影した動画である。
【0157】
そして、
図16の3つの動画出力装置5は、各々、離れているが、一の環境に居る視聴者が、
図16の3つの動画出力装置5を見ると、脳内で、3つの動画を連結し、3つの窓から海が見えているような感覚を得られる。つまり、視聴者は、一の環境にあるマンションまたは家屋が、海の直ぐ近くに存在するかのような感覚を得られる。
【0158】
以上、本実施の形態によれば、2以上の動画出力装置5を用いて、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【0159】
なお、本実施の形態によれば、システムBは、2以上の動画出力装置5が設置された部屋、2以上の動画出力装置5が設置された家屋、2以上の動画出力装置5が設置されたマンション等でも良い。
【0160】
(実施の形態3)
本実施の形態において、1または2以上の動画出力装置5を備えるシステムCについて説明する。1以上の動画出力装置5は、一の環境に設置された装置である。また、当該一の環境は、2以上の部屋に区切られ、各部屋間を人が移動できる環境である。なお、システムCは、動画出力システムと言っても良い。
【0161】
かかるシステムCの例を、
図17に示す。
図17において、システムCを構成する1701は、動画出力装置5である。1702は、部屋を区切るパーティションである。パーティション1702により、空間が複数の区画に分割されている。パーティション1702の材質は問わないが、ガラス等の透明素材であることは好適である。また、各パーティションの一部は全自動ドアになっていて、これにより、ユーザは、区画の間を自由に出入りできる、とする。また、パーティション1702により区切られた個々の個室部屋には、換気および温度調整する個別空調制御装置が存在する。また、天井裏には、個別空調制御配管1703が存在する。また、床下には、個別空調制御配管1704が存在する。
図17では、個別空調制御配管1703および個別空調制御配管1704は一部の個別部屋への配管のみを図示しているが、実際には全ての個別部屋に配管されている。さらに、空間内に居る人を検知する俯瞰カメラ1705が存在する。また、システムCは、個室部屋間で音声を透過させるためのマイク・スピーカを有することは好適である。さらに、システムCは、人が触れた場所を消毒する軌跡追跡消毒ロボット1706を有することは好適である。
【0162】
軌跡追跡消毒ロボット1706は、例えば、俯瞰カメラ1705で撮影した画像から、人が移動した軌跡および人が触れた物体を検知し、当該検知した情報に基づいて、床面および物体に対して消毒液を噴霧しながら移動する。
【0163】
なお、システムCは、パーティション1702、1または2以上の個別空調制御装置、個別空調制御配管1703、個別空調制御配管1704、マイク・スピーカのうちの1以上の部材を有しても良い。
【0164】
以上、本実施の形態によれば、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【0165】
さらに具体的には、
図17によれば、人がいる区画に安全な空調風を供給できる。また、
図17において、人が移動しようとすることを俯瞰カメラ1705で検知して、全自動ドアを開閉することは好適である。この時、人が物を持っていて手がふさがっていても、全自動ドアのため問題なく移動することが可能である。また、人ではなくロボット(軌跡追跡消毒ロボット1706でもよいし、図示しない運搬用ロボットでもよい)が移動する場合も同様に全自動ドアが開閉する。また、
図17において、人が移動しようとする先が危険な場合(先の個室部屋に既に人がいる、まだウィルスが残存している可能性があるなど)は、ドアを開かないように制御することは好適である。この際に、別途保持する順路情報によって全自動ドアの開閉制御を行ってもよい。さらに、人が移動した後の個室部屋は密閉して換気および消毒を行うことは好適である。なお、消毒は、軌跡追跡消毒ロボット1706が行うことは好適である。また、部屋の内外の状況(温度、湿度、二酸化炭素濃度、気象状況等)を俯瞰カメラ1705および図示しないセンサでモニタリングして、全自動ドアの開閉の制御、空調の制御に使ってもよいし、モニタリングした結果を図示しないディスプレイによって人に対して通知してもよい。
【0166】
また、本実施の形態において、システムCは、1台のみの動画出力装置5を具備しても良い。かかる場合でも、視聴者は、複数の区切られた空間の中を移動しながら、いずれかの空間から、距離・角度を変えて、動画出力装置5で出力する動画を楽しむことができる。また、空間が区切られていることにより複数の視聴者が異なる空間で動画を視聴する場合でも、ウィルスの観点からも、安全に多視点から動画を見ることができる。
【0167】
(実施の形態4)
本実施の形態において、ユーザからの入力によって、複数の環境を撮影した動画を切り替えて出力するシステムDについて説明する。なお、システムDは、動画出力システムと言っても良い。
【0168】
システムDは、1または2以上の動画出力装置5を具備する。1以上の各動画出力装置5は、ユーザの指示に基づいて、異なる2以上の動画のうちのいずれかの動画を出力する。なお、動画出力装置5は、動画出力装置Aでも良い。
【0169】
また、2以上の各動画は、動画出力装置5が設置されている一の環境とは異なる他の環境である景勝地を撮影した動画であることは好適である。異なる2以上の動画は、各々、異なる景勝地を撮影した動画であることは好適である。
【0170】
また、各動画はそれぞれの自然環境が最もよい条件で撮影されたもの(例えば、雲1つない晴天、空気の透明度が高い時、夕焼けの瞬間、雲海が発生している状況など)であることは好適である。
【0171】
以上、本実施の形態によれば、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【0172】
さらに具体的には、散在する複数の景勝地の、それぞれ最高の瞬間を一か所にいながらに見ることが可能になることで、日常の生活では得られないような感動を覚え、自身の社会環境の中での行動規範へとフィードバックすることができる(例えば、自身を顧みて生活信条を改める、その景勝地に行ってみようと決心するなど)。
【0173】
(実施の形態5)
本実施の形態において、システムEは、1または2以上の動画出力装置5と1または2以上の人工物6とを有する。動画出力装置5は、動画出力装置Aでも良い。なお、システムEは、動画出力システムと言っても良い。
【0174】
動画出力装置5は、一の環境に設置された装置である。動画出力装置5は、動画取得部21を具備する。ここでの動画取得部21は、一の環境とは異なる他の環境を撮影した動画を取得する。
【0175】
人工物6は、他の環境に存在する物の複製物である。複製物とは、正確に複製した物であることまでは要せず、他の環境に存在する物を模した物で良い。
【0176】
動画出力装置5が設置された一の環境は、例えば、マンションまたは家屋である。また、他の環境は、マンションや家屋には持ち込めない自然物が存在する環境である。他の環境は、例えば、富士山が見える外界である。また、人工物6は、例えば、富士山を見るための展望台または展望台を模した物である。かかるシステムEの構成を採用することにより、動画出力装置5の視聴者は、あたかも他の環境(富士山を見るための展望台、またはその付近)に居るように感じることができる。
【0177】
また、他の環境は、例えば、リゾートホテルにある海の見えるマッサージルームである。自然物は持ち込めない物、すなわち海辺の風景である。人工物はマッサージの施術台である。かかる構成により、視聴者はあたかもリゾートホテルでマッサージを受ける感覚で、マッサージを受けることが出来る。
【0178】
以上、本実施の形態によれば、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【0179】
(実施の形態6)
本実施の形態において、システムFは、1または2以上の動画出力装置5と1または2以上の人工物7とを有する。なお、システムFは、動画出力システムと言っても良い。
【0180】
動画出力装置5は、一の環境に設置された装置である。動画出力装置5は、動画取得部21を具備する。
【0181】
動画取得部21が取得する動画は、一の環境とは異なる他の環境を撮影した動画である。動画取得部21が取得する動画は、一の環境に存在する人工物7に関係する物が映った動画であることは好適である。一の環境に存在する人工物7に関係する物が映った動画とは、例えば人工物7と同質のものを生産、加工、運搬、販売、使用している様を撮影した動画である。人工物7と同質のものとは、人工物7と同一物体でもよいし、人工物7と類似のものでもよい。
【0182】
人工物7は、自然物ではなく、人が作成可能な物である。
【0183】
動画出力装置5が設置された一の環境は、例えば、店舗である。店舗は、例えば、レストランである。レストランは、イタリアンレストラン、フレンチレストラン、日本料理屋等、その種類は問わない。この場合、人工物は料理であり、他の環境は、他の人が調理をする環境である。他の人は、有名シェフであることは好適である。かかることにより、一の環境であるレストランの客は、有名シェフが調理した料理を食している感覚になる。また、他の環境は料理の原材料を生産している環境でもよい。原材料はある土地の名産・特産品であることは好適である。かかることにより、一の環境であるレストランの客は、他の環境の名産をより味わうことができる。
【0184】
以上、本実施の形態によれば、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【0185】
なお、
図18は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した種々の実施の形態の動画出力装置A等を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。
図18は、このコンピュータシステム300の概観図であり、
図19は、システム300のブロック図である。
【0186】
図18において、コンピュータシステム300は、CD-ROMドライブを含むコンピュータ301と、キーボード302と、マウス303と、モニタ304とを含む。
【0187】
図19において、コンピュータ301は、CD-ROMドライブ3012に加えて、MPU3013と、CD-ROMドライブ3012等に接続されたバス3014と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM3015と、MPU3013に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM3016と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク3017とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ301は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでも良い。
【0188】
コンピュータシステム300に、上述した実施の形態の動画出力装置A等の機能を実行させるプログラムは、CD-ROM3101に記憶されて、CD-ROMドライブ3012に挿入され、さらにハードディスク3017に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ301に送信され、ハードディスク3017に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM3016にロードされる。プログラムは、CD-ROM3101またはネットワークから直接、ロードされても良い。
【0189】
プログラムは、コンピュータ301に、上述した実施の形態の動画出力装置A等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム300がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0190】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信するステップや、情報を受信するステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0191】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0192】
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
【0193】
また、上記各実施の形態において、各処理は、単一の装置によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0194】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0195】
以上のように、本発明にかかる動画出力装置は、超自然環境の動画を出力することで、統合社会環境を実現するシステムを提供できる。
【符号の説明】
【0196】
1、51 格納部
2 受付部
3、53 処理部
4、54 出力部
5 動画出力装置
6、7 人工物
11 LUT格納部
12 制御情報格納部
21 動画取得部
22 入力受付部
31 変換部
32 制御変更部
41 画像出力部
311 分割手段
312 分類手段
313 変換手段
314 統合手段