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特開2023-109039需要曲線推定装置、及び発注支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109039
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】需要曲線推定装置、及び発注支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0283 20230101AFI20230731BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20230731BHJP
【FI】
G06Q30/02 490
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010406
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘之
(72)【発明者】
【氏名】福田 修之
(72)【発明者】
【氏名】川上 博
(72)【発明者】
【氏名】高道 慧
(72)【発明者】
【氏名】前田 綾乃
(72)【発明者】
【氏名】門畑 祥子
(72)【発明者】
【氏名】西田 侑治
(72)【発明者】
【氏名】米谷 早織
(72)【発明者】
【氏名】法橋 渉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB04
5L049BB58
(57)【要約】      (修正有)
【課題】互いに異なる複数の販売価格の各々における商材の販売数量が十分に蓄積されていない状況下において粗利を最大化する需要曲線推定装置及び発注支援システムを提供する。
【解決手段】需要曲線推定装置10は、推定部111、取得部112及び補正部113を備える。推定部111は、商材についての需要曲線を商材の販売実績に基づいて推定する。取得部112は、第1の販売価格における第1の需要量及び第2の販売価格における第2の需要量を需要曲線から取得する。第1の販売価格よりも第2の販売価格が低く、且つ第2の需要量よりも第1の需要量が多い場合は、補正部113は、需要曲線を補正することにより第2の需要量を第1の需要量以上に引き上げる。第2の販売価格よりも第1の販売価格が低く、且つ第1の需要量よりも第2の需要量が多い場合は、補正部113は、需要曲線を補正することにより第2の需要量を第1の需要量以下に引き下げる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品又はサービスである商材の販売価格に対して期待される前記商材の需要量を示す需要曲線を、互いに異なる複数の価格の各々における前記商材の販売数量を示す販売実績に基づいて、推定する推定部と、
第1の販売価格について前記需要曲線から求まる第1の需要量と前記第1の販売価格とは異なる第2の販売価格について前記需要曲線から求まる第2の需要量とを取得する取得部と、
前記第1の販売価格よりも前記第2の販売価格が低く、且つ前記第2の需要量よりも前記第1の需要量が多い場合には、前記需要曲線を補正することにより前記第2の需要量を前記第1の需要量以上に引き上げ、前記第2の販売価格よりも前記第1の販売価格が低く、且つ前記第1の需要量よりも前記第2の需要量が多い場合には、前記需要曲線を補正することにより前記第2の需要量を前記第1の需要量以下に引き下げる補正部と、
を有する需要曲線推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて前記需要曲線を推定する、ことを特徴とする請求項1に記載の需要曲線推定装置。
【請求項3】
前記文脈付きバンディットアルゴリズムにより算出される前記商材の需要量に関する信頼区間の幅に基づいて、前記第1の販売価格を決定する決定部を備える、請求項2に記載の需要曲線推定装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記信頼区間の幅が最も狭い販売価格を前記第1の販売価格に決定する、請求項3に記載の需要曲線推定装置。
【請求項5】
商品又はサービスである商材の販売価格に対して期待される前記商材の需要量を示す需要曲線を、互いに異なる複数の価格の各々における前記商材の販売数量を示す販売実績に基づいて文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて推定する推定部と、
前記商材の販売価格毎に前記文脈付きバンディットアルゴリズムにより算出される前記商材の需要量に関する信頼区間の幅の統計量に応じて、前記需要曲線が示す各販売価格における需要量を補正する補正部と、
を有する需要曲線推定装置。
【請求項6】
前記補正部は、前記統計量に応じた値を前記需要曲線が示す各販売価格における需要量に加算する、又は前記需要曲線が示す各販売価格における需要量から前記値を減算する、請求項5に記載の需要曲線推定装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の需要曲線推定装置と、
店舗における前記商材の在庫量を取得し、取得した在庫量と前記需要曲線推定装置を用いて補正された需要曲線とに基づいて、前記商材の発注量を決定する発注量決定装置と、
を備える発注支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、需要曲線推定装置、及び発注支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダイナミックプライシングが注目を集めている。ダイナミックプライシングとは、商品又はサービスといった商材の販売価格と商材に対する需要量の推定値に基づいて粗利を最大化する販売価格を定めることをいう。互いに異なる複数の販売価格の各々における商材の販売数量が十分に蓄積されていない状況下においてダイナミックプライシングを行う場合、「探索」と「活用」とのバランスを取りつつ、価格を更新することが必要となる。「探索」とは、粗利が不明瞭な価格を設定して販売実績を蓄積することをいう。「活用」とは、粗利が最大となる価格を設定することをいう。「探索」と「活用」とのバランスを取りつつ価格を更新するため、種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて需要曲線を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-163047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文脈付きバンディットアルゴリズムは、web広告を出稿する場合にweb記事の閲覧者の特徴に応じて最も広告効果の高いweb記事を推定する等、広告の分野において用いられてきたアルゴリズムである。需要曲線の推定に文脈付きバンディットアルゴリズムを適用した場合、不適切な需要曲線が推定されるといった不具合があった。不適切な需要曲線の具体例としては、複数の販売価格の各々に対して全体的に過大又は過小な需要量を表す需要曲線、又は右肩下がりではない需要曲線が挙げられる。需要曲線が不適切であると、粗利を最大化はできない。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたものであり、互いに異なる複数の販売価格の各々における商材の販売数量が十分に蓄積されていない状況下において粗利を最大化することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る需要曲線推定装置は、推定部と、取得部と、補正部と、を備える。推定部は、商品又はサービスである商材の販売価格に対して期待される前記商材の需要量を示す需要曲線を、互いに異なる複数の価格の各々における前記商材の販売数量を示す販売実績に基づいて、推定する。取得部は、第1の販売価格について前記需要曲線から求まる第1の需要量と前記第1の販売価格とは異なる第2の販売価格について前記需要曲線から求まる第2の需要量とを取得する。補正部は、前記第1の販売価格よりも前記第2の販売価格が低く、且つ前記第2の需要量よりも前記第1の需要量が多い場合には、前記需要曲線を補正することにより前記第2の需要量を前記第1の需要量以上に引き上げ、前記第2の販売価格よりも前記第1の販売価格が低く、且つ前記第1の需要量よりも前記第2の需要量が多い場合には、前記需要曲線を補正することにより前記第2の需要量を前記第1の需要量以下に引き下げる。
【0007】
本開示の一態様に係る発注支援システムは、上記需要曲線推定装置と、発注量決定装置とを含む。発注量決定装置は、店舗における前記商材の在庫量を取得する。発注量決定装置は、取得した在庫量と需要曲線推定装置を用いて補正された需要曲線とに基づいて、商材の発注量を決定する。本態様の発注支援システムによれば、互いに異なる複数の販売価格の各々における商材の販売数量が十分に蓄積されていない状況下において粗利が最大化される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、互いに異なる複数の販売価格の各々における商材の販売数量が十分に蓄積されていない状況下において粗利の最大化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による発注支援システム1の構成例を示す図である。
図2】需要曲線推定装置10の構成例を示す図である。
図3】推定部111により推定される需要曲線GYの一例を示す図である。
図4A】推定部111により推定される需要曲線GYA1の一例を示す図である。
図4B】推定部111により推定される需要曲線GYA2の一例を示す図である。
図5】需要曲線GYと各販売価格における信頼区間上限値との関係を示す図である。
図6A】補正部114が実行する第1補正処理を説明するための図である。
図6B】補正部114が実行する第2補正処理を説明するための図である。
図7】補正部114が実行する第3補正処理を説明するための図である。
図8】処理装置110がプログラムPに従って実行する需要曲線推定方法の流れを示すフローチャートである。
図9】発注支援システム1において実行される発注量決定方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<A.実施形態>
図1は、本開示の一実施形態による発注支援システム1の構成例を示す図である。発注支援システム1は、店舗40A及び店舗40Bにおいて販売される商材の発注を支援するための情報システムである。図1に示されるように、発注支援システム1は、需要曲線推定装置10と発注量決定装置20とを含む。図1に示されるように、需要曲線推定装置10及び発注量決定装置20の各々は、例えばインターネット等の通信網30に接続される。
【0011】
本実施形態における店舗40A及び店舗40Bの各々は、コンビニエンスストア等の小売店である。店舗40Aでは、例えば菓子等の商材Xが販売される。一方、店舗40Bでは、商材Xと、例えば清涼飲料等の商材Yと、が販売される。図1に示されるように、店舗40Aには端末装置41Aが設置される。店舗40Bには端末装置41Bが設置される。端末装置41A及び端末装置41Bの各々は通信網30に接続される。端末装置41A及び端末装置41Bの各々は、通信網30を介して発注量決定装置20と通信する通信機能を有する。
【0012】
店舗40Bにおいて店員(以下、店員B)は、商材の販売を契機として、販売した商材の種類及び数を示す情報を端末装置41Bへ入力する。端末装置41Bは、店員Bによる入力に応じて、販売した商材の種類及び販売数量を示す販売実績情報と店舗40Bを示す第2識別子とを発注量決定装置20へ送信する。販売数量は販売した商材の数である。店舗40Aにおいても同様に、店舗40Aの店員(以下、店員A)は、商材の販売を契機として、販売した商材の種類及び数を示す情報を端末装置41Bへ入力する。端末装置41Aは、店員Aによる入力に応じて、販売実績情報と店舗40Aを示す第2識別子とを発注量決定装置20へ送信する。
【0013】
発注量決定装置20は、店舗40A及び店舗40Bの各々に対応付けて、商材の種類毎に商材の発注量(換言すれば、各店舗への仕入れ量)を記憶する。また、発注量決定装置20は、通信網30を介して店舗40A及び店舗40Bの各々から受信した販売実績情報を記憶する。本実施形態では、発注量決定装置20に記憶された販売実績情報に基づいて店舗毎に、各商材の需要曲線が需要曲線推定装置10によって推定される。
【0014】
需要曲線とは、商材の販売価格に対して販売し得ると期待される商材の数(需要量)を示す曲線である。本実施形態では、例えば店舗40A及び店舗40Bの一日における営業の終了後の所定の時刻に需要曲線推定装置10による需要曲線の推定が行われる。また、発注量決定装置20は、需要曲線推定装置10により推定された需要曲線及び商材の在庫量に基づいて、粗利を最大化する仕入れ量及び販売価格を決定する。粗利とは、売り上げ金額から仕入れ代金等の販売原価を減算した値である。在庫量とは、前回の仕入れ量から一日分の販売実績の示す販売数量を減算した値である。
【0015】
前述したように、店舗40Aでは商材Yは販売されていないため、店舗40Aにおいて新たに商材Yの販売を開始する場合には店舗40Bにおける商材Yの販売実績を用いて需要曲線の推定が行われる。しかし、店舗40Bにおける商材Yの販売開始から店舗40Aにおける商材Yの販売開始までの期間が短いと、商材Yに関する販売実績が十分に蓄積されていない場合がある。本実施形態では、需要曲線推定装置10に本開示の特徴を顕著に示す需要曲線推定方法を実行させることにより、販売実績が十分に蓄積されていない場合であっても、適切な需要曲線が得られる。
【0016】
図2は、需要曲線推定装置10の構成例を示す図である。図2に示されるように、需要曲線推定装置10は、処理装置110、通信装置120、及び記憶装置130を備える。処理装置110は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理装置110は、不揮発性記憶装置132に記憶されているプログラムに従って作動することにより、需要曲線推定装置10における制御中枢として機能する。通信装置120は、通信網30を介して発注量決定装置20と通信する装置である。
【0017】
記憶装置130は、図2に示されるように、揮発性記憶装置131と、不揮発性記憶装置132と、を含む。揮発性記憶装置131は例えばRAM(Random Access Memory)である。揮発性記憶装置131は、プログラムを実行するためのワークエリアとして処理装置110によって利用される。不揮発性記憶装置132は、例えばフラッシュROM(Read Only Memory)である。不揮発性記憶装置132には、各種プログラムが記憶される。不揮発性記憶装置132に記憶されるプログラムの具体例としては、カーネルプログラム及びプログラムPが挙げられる。カーネルプログラムはOS(Operating System)を処理装置110に実現させるプログラムである。図2ではカーネルプログラムの図示は省略されている。プログラムPは、本開示の特徴を顕著に示す需要曲線推定方法を処理装置110に実現させるプログラムである。
【0018】
需要曲線推定装置10の電源(図2では図示略)が投入されると、処理装置110は、カーネルプログラムを不揮発性記憶装置132から揮発性記憶装置131へ読み出す。処理装置110は、揮発性記憶装置131へ読み出したカーネルプログラムの実行を開始する。カーネルプログラムに従って作動している処理装置110はOSを実現する。OSを実現している状態の処理装置110は、前述の所定の時刻に至ったことを契機としてプログラムPを不揮発性記憶装置132から揮発性記憶装置131へ読み出す。そして、処理装置110は、揮発性記憶装置131へ読み出したプログラムPの実行を開始する。プログラムPに従って作動している処理装置110は、図2に示されるように、推定部111、決定部112、取得部113、及び補正部114として機能する。推定部111、決定部112、取得部113、及び補正部114の各々の機能は次の通りである。
【0019】
推定部111は、店舗毎及び商材毎に商材の販売実績に基づいて需要曲線を推定する。より具体的には、推定部111は、店舗40Aにおける商材Xについての需要曲線を、店舗40Aにおける商材Xの販売実績に基づいて推定する。推定部111は、店舗40Bにおける商材Xについての需要曲線を、店舗40Bにおける商材Xの販売実績に基づいて推定する。推定部111は、店舗40Bにおける商材Yについての需要曲線を、店舗40Bにおける商材Yの販売実績に基づいて推定する。また、推定部111は、店舗40Aにおける商材Yについての需要曲線を、店舗40Bにおける商材Yの販売実績に基づいて推定する。
【0020】
推定部111が複数の店舗の各々における商材Yの販売実績を取得できる場合には、それら複数の店舗の各々における販売実績に基づいて店舗40Aにおける商材Yについての需要曲線を推定してもよい。また、推定部111は、複数の店舗のうち、店舗の規模、立地及び顧客層のうちの少なくとも一つが店舗40Aと同一又は類似する店舗における商材Yの販売実績に基づいて、店舗40Aにおける商材Yについての需要曲線を推定してもよい。この推定によって、需要曲線の精度が向上する。
【0021】
本実施形態では、推定部111は、文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて需要曲線を推定する。文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて需要曲線を推定する具体的な方法については、特許文献1に開示の技術等の既存技術が適宜用いられればよい。
【0022】
需要曲線は商材の販売価格に対する商材の需要量を示す。従って、図3に示される需要曲線GYのように、需要曲線は右肩下がりになることが経済学における大原則である。需要曲線が右肩下がりであるとは、図3に示されるように、ある販売価格に対して需要曲線が示す需要量が、この販売価格よりも高額な販売価格に対して需要曲線が示す需要量よりも多いことをいう。図3に示される例では、販売価格P1に対する需要量D1は販売価格P2(販売価格P1<販売価格P2)に対する需要量D2よりも多い。また、図3に示される例では、販売価格P2に対する需要量D2は販売価格P3(販売価格P2<販売価格P3)に対する需要量D3よりも多い。なお、図3において販売価格Pminは例えば商材について設定し得る販売価格の下限値(例えば、仕入れ単価)であり、販売価格Pmaxは商材について設定し得る販売価格の上限値である。
【0023】
前述したように、文脈付きバンディットアルゴリズムは広告効果を推定するためのアルゴリズムであるため、推定部111により推定される需要曲線は右肩下がりとならない場合がある。例えば、図4Aに示される需要曲線GYA1、又は図4Bに示される需要曲線GYA2が推定部111によって推定される場合がある。図4Aに示されるように、販売価格P1のときに需要曲線GYA1が示す需要量D1は、販売価格P2、及び販売価格P3の各々に対して需要曲線GYが示す需要量D2及び需要量D3の何れよりも少なく、需要量D2は需要量D3よりも少ない。つまり、需要曲線GYA1は右肩上がりである。需要曲線GYA1は右肩上がりである点において不適切である。図4Bに示される需要曲線GYA2は、販売価格Pminと販売価格Pmaxとの関係では右肩下がりであるが、需要量D2が需要量D1よりも多い点において不適切である。
【0024】
文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて需要曲線を推定する従来技術の一態様としては、各販売価格における需要量に関する信頼区間の上限値を各販売価格における需要量とする態様が挙げられる。需要量に関する信頼区間とは、実際の需要量の平均値が属することを90%等の所定の確率で信頼し得る需要量の範囲のことをいう。図5には、各販売価格における需要量に関する信頼区間の上限値を各販売価格における需要量とする態様が示されている。図5では、各販売価格における需要量に関する信頼区間が矢印で示されてる。文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて需要曲線を推定する他の態様としては、トンプソンサンプリングを用いて各販売価格において期待される需要量を求める態様が挙げられる。本実施形態では、前者の態様、即ち、各販売価格における需要量に関する信頼区間の上限値を各販売価格における需要量とする態様が採用されている。つまり、推定部111は、各販売価格における需要量に関する信頼区間の上限値を各販売価格における需要量とする。各販売価格における需要量に関する信頼区間の上限値を各販売価格における需要量とする態様では、何れの販売価格においても、推定された需要曲線の表す需要量は過大となり得る。なお、各販売価格における需要量に関する信頼区間の下限値を各販売価格における需要量とする態様も考えられる。各販売価格における需要量に関する信頼区間の下限値を各販売価格における需要量とする態様では、何れの販売価格においても、推定された需要曲線の表す需要量は過小となり得る。
【0025】
決定部112、取得部113、及び補正部114は、推定部111により推定される需要曲線を補正する役割を担う。
【0026】
決定部112は、推定部111により推定された需要曲線を補正するときの基準となる販売価格を決定する。以下では、決定部112により決定される販売価格は「基準価格」と称される。本実施形態では、決定部112は、推定部111において販売価格毎に算出される需要量に関する信頼区間の幅に基づいて基準価格を決定する。より具体的には、決定部112は、信頼区間の幅が最も狭い販売価格を基準価格に決定する。また、決定部112は、販売価格の下限値から販売価格の上限値までの各価格のうち、基準価格以外の各販売価格を未処理価格とする。基準価格は本開示における第1の販売価格の一例である。各未処理価格は本開示における第2の販売価格の一例である。
【0027】
取得部113は、推定部111により推定された需要曲線を参照することにより、基準価格における需要量を取得する。基準価格における需要量は本開示における第1の需要量の一例である。また、取得部113は、推定部111により推定された需要曲線を参照することにより、未処理価格における需要量を取得する。未処理価格における需要量は本開示における第2の需要量の一例である。
【0028】
補正部114は、第1補正処理、第2補正処理、及び第3補正処理を実行する。詳細については後述するが、第1補正処理及び第2補正処理は、右肩下がりではない需要曲線を右肩下がりの需要曲線に補正する処理である。第3補正処理は、各販売価格に対して過大な需要量を表す需要曲線を補正する処理である。
【0029】
第1補正処理は、基準価格よりも高い未処理価格に対して実行される処理である。第1補正処理では、補正部114は、基準価格に対する需要量よりも未処理価格に対する需要量が多い場合、推定部111により推定された需要曲線を補正することにより後者の需要量を前者の需要量以下に引き下げる。未処理価格に対する需要量が基準価格に対する需要量以下の場合、第1補正処理では、補正部114は、未処理価格に対する需要量の補正を行わない。補正部114は、第1補正処理を実行済の未処理価格を処理済価格に変更する。
【0030】
第1補正処理における需要量の引き下げ幅は、基準価格と未処理価格の差を変数とする関数である。当該関数は、基準価格と未処理価格の差が大きいほど大きな値を示す。例えば、基準価格との差がΔ1である第1の未処理価格における需要量の引き上げ幅W1は、基準価格との差がΔ2(Δ2>Δ1)である第2の未処理価格における需要量の引き下げ幅W2よりも小さい。例えば、図4Aに示される需要曲線GYA1が補正対象であり、且つ販売価格P1が基準価格PBである場合、需要曲線GYA1のうち基準価格PBよりも高額な販売価格について第1補正処理が実行される。基準価格PBよりも高額な部分に対して第1補正処理が実行される結果、需要曲線GYA1のうち基準価格PBよりも高額な部分は図6Aに示される需要曲線GYB1に補正される。
【0031】
第2補正処理は、基準価格よりも低い未処理価格に対して実行される処理である。第2補正処理では、補正部114は、未処理価格に対する需要量よりも基準価格に対する需要量が多い場合、推定部111により推定された需要曲線を補正することにより前者の需要量を後者の需要量以上に引き上げる。未処理価格に対する需要量が基準価格に対する需要量以上の場合、第2補正処理では、補正部114は、未処理価格に対する需要量の補正を行わない。補正部114は、第2補正処理を実行済の未処理価格を処理済価格に変更する。
【0032】
第2補正処理における未処理価格に対する需要量の引き下げ幅も、基準価格と未処理価格の差を変数とする関数である。当該関数も、基準価格と未処理価格の差が大きいほど大きな値を示す。例えば、図4Aに示される需要曲線GYA1が補正対象であり、且つ販売価格P1が基準価格PBである場合、需要曲線GYA1のうち基準価格PBよりも低額な販売価格について第2補正処理が実行される。基準価格PBよりも低額な部分に対して第2補正処理が実行される結果、需要曲線GYA1のうち基準価格PBよりも低額な部分は図6Bに示される需要曲線GYB2に補正される。
【0033】
第3補正処理は、推定部111により各販売価格について算出された信頼区間の幅の統計量に基づいて、需要曲線を補正する処理である。本実施形態における統計量は、各信頼区間の幅の平均値であるが、信頼区間の幅の最大値、最小値、中央値、再頻出値又は標準偏差であってもよい。第3補正処理では、補正部114は、第1補正処理及び第2補正処理により補正された需要曲線の表す各販売価格における需要量から上記統計量に応じた値WMを減算することにより、需要曲線を更に補正する。本実施形態では値WMは信頼区間の幅の平均値×1/2であるが、値WMは信頼区間の幅の統計量を変数とする関数により求まる値であればよく、例えば当該統計量の平方根であってもよい。例えば、第1補正処理及び第2補正処理により図7に示される需要曲線GYBが得られた場合、この需要曲線GYBは、第3補正処理により、図7に示される需要曲線GYCに補正される。
【0034】
また、プログラムPに従って作動している処理装置110は、図8に示される需要曲線推定方法を店舗毎及び商材毎に実行する。図8に示されるように、本実施形態における需要曲線推定方法は、ステップSA110~ステップSA170の各処理を含む。
【0035】
ステップSA110では、処理装置110は、推定部111として機能する。ステップSA110では、処理装置110は、販売実績情報を発注量決定装置20から取得する。次いで、処理装置110は、取得した販売実績情報に基づいて需要曲線を推定する。また、処理装置110は、需要曲線を推定する過程において、各販売価格における信頼区間の幅を算出する。
【0036】
ステップSA110に後続するステップSA120では、処理装置110は、決定部112として機能する。ステップSA120では、処理装置110は、ステップSA110にて算出した各販売価格における需要量の信頼区間の幅に基づいて基準価格及び未処理価格を決定する。
【0037】
ステップSA120に後続するステップSA130では、処理装置110は、基準価格よりも高い未処理価格があるか否かを判定する。ステップSA130の判定結果が“Yes”である場合、処理装置110は、ステップSA140の処理を実行した後にステップSA150の処理を実行する。ステップSA140では、処理装置110は、取得部113及び補正部114として機能する。ステップSA140では、処理装置110は、基準価格よりも高額な未処理価格について第1補正処理を実行する。ステップSA130の判定結果が“No”である場合、処理装置110は、ステップSA140の処理を実行することなく、ステップSA150の処理を実行する。
【0038】
例えば、ステップSA110にて図4Aに示される需要曲線GYA1が推定されたとする。そして、ステップSA120において、図4Aにおける販売価格P1が基準価格PBに決定されたする。図4Aに示されるように、販売価格P2、販売価格P3、及び販売価格Pmaxは、何れも販売価格P1よりも高額な未処理価格であるため、ステップSA130の判定結果は“Yes”となる。従って、需要曲線GYA1のうち販売価格P1よりも高額な未処理価格について第1補正処理が実行される。この結果、需要曲線GYA1のうち販売価格P1よりも高額な部分は図6Aに示される曲線GYB1に補正される。
【0039】
ステップSA150では、処理装置110は、基準価格よりも低い未処理価格があるか否かを判定する。ステップSA150の判定結果が“Yes”である場合、処理装置110は、ステップSA160の処理を実行した後にステップSA170の処理を実行する。ステップSA160では、処理装置110は、取得部113及び補正部114として機能する。ステップSA160では、処理装置110は、基準価格PBよりも低額な未処理価格について第2補正処理を実行する。ステップSA150の判定結果が“No”である場合、処理装置110は、ステップSA160の処理を実行することなく、ステップSA170の処理を実行する。
【0040】
ステップSA110にて図4Aに示される需要曲線GYA1が推定され、且つ販売価格P1が基準価格PBであった場合、基準価格PBよりも低額な未処理価格として販売価格Pminが存在する。このため、ステップSA150の判定結果は“Yes”となり、ステップSA160の処理が実行される。ステップSA160では、需要曲線GYA1のうち基準価格PBよりも低額な部分について第2補正処理が実行される。この結果、需要曲線GYA1のうち基準価格PBよりも低額な部分は図6Bに示される曲線GYB2に補正される。
【0041】
ステップSA170の実行時点では、ステップSA110にて推定された需要曲線は右肩下がりの需要曲線に補正されている。ステップSA170では、処理装置110は、補正部114として機能する。ステップSA170では、処理装置110は、右肩下がりに補正された需要曲線に対して第3補正処理を施す。ステップSA170の処理を施すことにより、需要曲線の表す各販売価格における需要量は、信頼区間の幅の統計量に応じた分だけ引き下げられる。例えば、ステップSA170の実行時点の需要曲線が図7における需要曲線GYBである場合、需要曲線GYBは、第3補正処理により、図7に示される需要曲線GYCに補正される。
【0042】
本実施形態の需要曲線推定装置10によれば、右肩下がりの需要曲線が生成される。また、需要曲線推定装置10により生成された需要曲線により表される各販売価格における需要量が過大となることもない。
【0043】
図9は、発注支援システム1において実行される発注量決定方法の流れを示すフローチャートである。図9に示されるように、発注量決定方法は、ステップSB110及びステップSB120の各処理を含む。ステップSB110は、需要曲線推定装置10にて実行される処理である。ステップSB110では、需要曲線推定装置10は、店舗40A及び店舗40Bの各々について商材毎に図8に示される需要曲線推定方法を実行することにより、店舗毎及び商材毎に需要曲線を生成する。ステップSB120は、発注量決定装置20にて実行される処理である。ステップSB120では、発注量決定装置20は、店舗における商材の在庫量とステップSB120にて生成された需要曲線とに基づいて店舗毎に、粗利を最大化する各商材の発注量及び販売価格を決定する。
【0044】
以上説明したように本実施形態によれば、文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて需要曲線が推定されるので、商材の販売実績が十分に蓄積されていない状況下でも需要曲線の推定に支障は生じない。また、文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて推定された需要曲線が不適切な需要曲線であっても、需要曲線推定装置10において適切な需要曲線に補正される。発注支援システム1では、適切な需要曲線に基づいて商材の発注量が決定されるので、過剰在庫の発生が回避される。過剰在庫の発生が回避されるので、粗利の最大化ができる。
【0045】
<B.変形>
以上本開示の一実施形態について説明したが、この実施形態は以下のように変形されてもよい。
(1)上記実施形態では、信頼区間の幅が最も狭い販売価格が基準価格として決定されたが、商材の販売価格の下限値又は上限値が基準価格であってもよい。商材の販売価格の下限値又は上限値を基準価格とする態様では、決定部112は省略されてもよい。また、決定部112を省略する態様では、未処理販売価格として販売価格の上限値が選択されるまで、販売価格の下限値から昇順に基準価格と未処理価格とを順次選択して第1補正処理が実行されてもよい。この態様では第2補正処理は省略可能である。同様に、未処理販売価格として販売価格の下限値が選択されるまで、販売価格の上限値から降順に基準価格と未処理価格とを順次選択して第2補正処理が実行されてもよい。この態様では第1補正処理は省略可能である。
【0046】
(2)上記実施形態における推定部111は、文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて需要曲線を推定したが、他のアルゴリズムを用いて需要曲線を推定してもよい。また、上記実施形態では、補正部114は、第1補正処理、第2補正処理、及び第3補正処理を実行したが、第3補正処理の実行を省略して第1補正処理及び第2補正処理のみを実行してもよく、逆に第3補正処理のみを実行してもよい。補正部114が第3補正処理のみを実行する態様では、決定部112及び取得部113は省略されてもよく、補正部114は、推定部111により推定された需要曲線に第3補正処理を施せばよい。
【0047】
(3)上記実施形態における第3補正処理は、推定部111により各販売価格について算出された信頼区間の幅の統計量に応じた値を、第1補正処理及び第2補正処理により補正された需要曲線の表す各販売価格における需要量から減算する処理であった。しかし、推定部111において各販売価格における信頼区間の下限値に基づいて需要曲線が生成されてもよい。この態様における第3補正処理は、信頼区間の幅の統計量に応じた値を、第1補正処理及び第2補正処理により補正された需要曲線の表す各販売価格における需要量に加算する処理であってもよい。この態様によれば、各販売価格に対して過小な需要量を表す不適切な需要曲線が適切な需要量を表す需要曲線に補正され、品切れによる機会損失の発生が回避される。
【0048】
(4)上記実施形態における店舗40A及び店舗40Bは、コンビニエンスストア等の小売店であったが、商材の無人販売を行うマイクロ店舗であってもよい。マイクロ店舗とは、商材が陳列される棚、検知装置、通信装置、及び決済装置を含む装置である。マイクロ店舗における検知装置は、利用者により棚から取り出された商材の種類及び数を検知する。通信装置は、通信網30に接続される。通信装置は、検知装置による検知結果に応じた販売実績情報を発注量決定装置20へ送信する。決済装置は、検知装置による検知結果に応じた決済処理を行う装置である。また、上記実施形態における商材は商品であったが、サービスであってもよい。
【0049】
<C:その他>
(1)上記実施形態及び変形例においては、不揮発性記憶装置132は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、CD-ROM(Compact Disc-ROM)、レジスタ、リムーバブルディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ、データベース、サーバその他の適切な記憶媒体を含んでもよい。また、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0050】
(2)上記実施形態及び変形例の各々は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0051】
(3)上記実施形態及び変形例の各々において説明した情報などは、様々な異なる技術の何れかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、情報などは、電圧、電流、電磁波、磁界、磁性粒子、光場、光子、又はこれらの任意の組み合わせにて表されてもよい。
なお、本明細書において説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語は、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えられてもよい。
【0052】
(4)上記実施形態及び変形例の各々において、入出力された情報等は特定の場所(例えば、揮発性記憶装置131)に保存されてもよいし、管理テーブルによって管理されてもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0053】
(5)上記実施形態及び変形例の各々において、判定は、1ビットによって表される値(0か1か)に基づいて行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)に基づいて行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)に基づいて行われてもよい。
【0054】
(6)上記実施形態及び変形例の各々において例示した処理手順、シーケンス、又はフローチャート等は、矛盾のない限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書において説明した方法については、例示的な順序において様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0055】
(7)図2に例示された各機能は、ハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能の実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能は、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。何れも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0056】
(8)上記実施形態及び変形例の各々において例示したプログラムは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード又はハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称によって呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順又は機能等を意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、又は命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0057】
(9)需要曲線推定装置10は移動局でもよい。移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語を用いて称される場合もある。
【0058】
(10)上記実施形態及び変形例の各々において、「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0059】
(11)上記実施形態及び変形例の各々において、「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0060】
(12)上記実施形態及び変形例の各々において「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。更に、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0061】
(13)本願の全体において、例えば、英語におけるa、an及びtheのように、翻訳によって冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数を含む。
【0062】
(14)本明細書において、「部」という用語は、回路、デバイス又はユニット等の他の用語に読み替えられてもよい。同様に「装置」という用語は、回路、デバイス又はユニット等の他の用語に読み替えられてもよい。
【0063】
(15)本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0064】
(16)本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0065】
(17)本開示が本明細書中に説明した実施形態に限定されないことは当業者にとって明白である。本開示は、特許請求の範囲の記載に基づいて定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施できる。従って、本明細書の記載は、例示的な説明を目的とし、本開示に対して何ら制限的な意味を有さない。また、本明細書に例示した態様から選択された複数の態様を組み合わせてもよい。
【0066】
<D:上述の形態又は変形例から把握される態様>
上述の形態又は変形例の少なくとも1つから以下の態様が把握される。
第1態様に係る需要曲線推定装置は、推定部と、第1取得部と、補正部と、を備える。推定部は、商品又はサービスである商材の販売価格に対して期待される前記商材の需要量を示す需要曲線を、互いに異なる複数の価格の各々における前記商材の販売数量を示す販売実績に基づいて、推定する。第1取得部は、第1の販売価格について前記需要曲線から求まる第1の需要量と前記第1の販売価格とは異なる第2の販売価格について前記需要曲線から求まる第2の需要量とを取得する。補正部は、前記第1の販売価格よりも前記第2の販売価格が低く、且つ前記第2の需要量よりも前記第1の需要量が多い場合には、前記需要曲線を補正することにより前記第2の需要量を前記第1の需要量以上に引き上げる。また、補正部は、前記第2の販売価格よりも前記第1の販売価格が低く、且つ前記第1の需要量よりも前記第2の需要量が多い場合には、前記需要曲線を補正することにより前記第2の需要量を前記第1の需要量以下に引き下げる。第1態様の需要曲線推定装置によれば、販売実績から推定された需要曲線が、販売価格が高いほど需要量が少ないことを示す需要曲線、即ち右肩下がりの需要曲線、に補正される。
【0067】
第1態様の例(第2態様)において、推定部は、文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて前記需要曲線を推定してもよい。第2態様の需要曲線推定装置によれば、文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて推定した需要曲線が、右肩下がりの需要曲線に補正される。
【0068】
第2態様の例(第3態様)における需要曲線推定装置は、前記文脈付きバンディットアルゴリズムにより算出される前記商材の需要量に関する信頼区間の幅に基づいて、前記第1の販売価格を決定する決定部を備えてもよい。第3態様に需要曲線推定装置によれば、販売実績に基づいて文脈付きバンディットアルゴリズムに従って推定された需要曲線を補正するときの基準点となる第1の販売価格が、信頼区間の幅に基づいて選択される。
【0069】
第3態様の例(第4態様)において、前記決定部は、前記信頼区間の幅が最も狭い販売価格を前記第1の販売価格に決定してもよい。第4態様の需要曲線推定装置によれば、第1の販売価格として信頼区間の幅が最も狭い価格、即ち需要量の精度が最も高いと推定される価格が選択されるので、補正後の需要曲線が表す各販売価格における需要量の精度が向上する。
【0070】
第5の態様に係る需要曲線推定装置は、推定部と、補正部と、を備える。推定部は、商品又はサービスである商材の販売価格に対して期待される前記商材の需要量を示す需要曲線を、互いに異なる複数の価格の各々における前記商材の販売数量を示す販売実績に基づいて文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて推定する。補正部は、前記商材の販売価格毎に前記文脈付きバンディットアルゴリズムにより算出される前記商材の需要量に関する信頼区間の幅の統計量に応じて、前記需要曲線が示す各販売価格における需要量を補正する。第5態様の需要曲線推定装置によれば、文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて推定された需要曲線の表す各販売価格に対する需要量が過大又は過小である場合のリスクを低減できる。
【0071】
第5態様の例(第6態様)において、前記補正部は、前記統計量に応じた値を前記需要曲線が示す各販売価格における需要量に加算する、又は前記需要曲線が示す各販売価格における需要量から前記値を減算してもよい。第6態様の需要曲線推定装置によれば、文脈付きバンディットアルゴリズムを用いて推定された需要曲線が、需要量を示す座標軸に沿って平行移動する。
【0072】
第7態様に係る発注支援システムは、第1態様から第6態様の何れかの態様に係る需要曲線推定装置と、発注量推定装置とを備える。発注量推定装置は、店舗における前記商材の在庫量を取得し、取得した在庫量と前記需要曲線推定装置を用いて補正された需要曲線とに基づいて、前記商材の発注量を決定する。
【符号の説明】
【0073】
1…発注支援システム、10…需要曲線推定装置、20…発注量決定装置、30…通信網、40A、40B…店舗、110…処理装置、111…推定部、112…決定部、113…取得部、114…補正部、120…通信装置、130…記憶装置、131…揮発性記憶装置、132…不揮発性記憶装置、P…プログラム。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9