IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎エナジーシステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-樹脂組成物及び電線・ケーブル 図1
  • 特開-樹脂組成物及び電線・ケーブル 図2
  • 特開-樹脂組成物及び電線・ケーブル 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109082
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】樹脂組成物及び電線・ケーブル
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/02 20060101AFI20230731BHJP
   C08K 3/016 20180101ALI20230731BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20230731BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20230731BHJP
   H01B 7/295 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
C08L23/02
C08K3/016
C08K3/22
C08L83/04
H01B7/295
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010473
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】加茂 司
【テーマコード(参考)】
4J002
5G315
【Fターム(参考)】
4J002BB021
4J002BB072
4J002CP033
4J002CP034
4J002DE066
4J002DE076
4J002DE146
4J002EJ067
4J002FD077
4J002FD134
4J002FD136
4J002FD173
4J002GQ01
5G315CA03
5G315CB02
5G315CB06
5G315CD04
5G315CD06
5G315CD14
(57)【要約】
【課題】難燃性を発揮しながら施工性(例えば、軽量化、皮むき性、通線性)を向上し得るノンハロゲン系の樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた電線・ケーブルを提供すること。
【解決手段】無極性オレフィン系樹脂35~75質量%と極性を有するオレフィン系樹脂25~65質量%とを含むベース樹脂と、前記ベース樹脂100質量部に対し、0.5~3.0質量部の分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物と、0.5~3.5質量部の分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物と、15~55質量部の難燃剤と、0.1~0.7質量部の酸化防止剤とを含有する樹脂組成物とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無極性オレフィン系樹脂35~75質量%と極性を有するオレフィン系樹脂25~65質量%とを含むベース樹脂と、
前記ベース樹脂100質量部に対し、
0.5~3.0質量部の分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物と、
0.5~3.5質量部の分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物と、
15~55質量部の難燃剤と、
0.1~0.7質量部の酸化防止剤と
を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記難燃剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属水酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記無極性オレフィン系樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン-プロピレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記極性を有するオレフィン系樹脂が、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-メチルアクリレート共重合体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つのノンハロゲン系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記ベース樹脂が、前記無極性オレフィン系樹脂を40~70質量%含み、前記極性を有するオレフィン系樹脂を30~60質量%含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記難燃剤の含有量が、前記ベース樹脂100質量部に対し、20~50質量部であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
密度が1.14g/cm以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
電線又はケーブルの被覆用であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
導体と前記導体の外側に形成された少なくとも1層の被覆層を有し、
前記被覆層が請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された層を含むことを特徴とする電線・ケーブル。
【請求項11】
前記被覆層が2層以上の層からなり、前記被覆層の少なくとも最外層が請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成されることを特徴とする請求項10に記載の電線・ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物及び電線・ケーブルに関し、さらに詳しくは、ノンハロゲン系の樹脂組成物及び該樹脂組成物を含む被覆層を備えた電線・ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への関心が世界的に高まっており、電線・ケーブルにおいても焼却時に有害なハロゲンガスなどを発生させないノンハロゲンの組成物を用いたものが普及しつつある。また、ノンハロゲン組成物を用いた電線・ケーブルについて様々な提案がなされている。
【0003】
電線・ケーブルに用いるノンハロゲン組成物としては、ポリオレフィン系樹脂を用いた樹脂組成物がある。ポリオレフィン系樹脂は燃焼時にハロゲンガスが発生しないため焼却処分が可能であるが、耐燃特性に劣るため電線又はケーブルの被覆用樹脂組成物とする際には難燃剤を含有させることがなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、難燃剤として含水無機化合物を5重量部以上50重量部未満、および密度が1.5g/cm未満で、かつ燃焼によって殻状の断熱層を形成する作用と高温により発泡して水蒸気を閉じこめる作用の一方または両方の作用を有する難燃補助剤を1重量部以上55重量部以下混合してなり、比重が1.14以下、酸素指数が24以上で、重金属の含有量が0.1重量%未満であるノンハロゲン難燃性樹脂組成物であって、前記難燃補助剤として、分子量30万~100万のガム状シリコーンオイル、シリコーンパウダー、およびシリコーン変性ポリマーからなる群から選ばれる1種以上を用いてなるノンハロゲン難燃性樹脂組成物が開示されている。引用文献1には、含水無機化合物として、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3193017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
難燃剤として用いられる水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の金属水酸化物は組成物の摩擦抵抗を高めるため、従来のノンハロゲン組成物で被覆された電線・ケーブルは滑り性が不足し、施工性が悪くなる傾向にあった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、難燃性を発揮しながら施工性(例えば、軽量化、皮むき性、通線性)を向上し得るノンハロゲン系の樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた電線・ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る樹脂組成物は、下記を特徴としている。
無極性オレフィン系樹脂35~75質量%と極性を有するオレフィン系樹脂25~65質量%とを含むベース樹脂と、前記ベース樹脂100質量部に対し、0.5~3.0質量部の分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物と、0.5~3.5質量部の分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物と、15~55質量部の難燃剤と、0.1~0.7質量部の酸化防止剤とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
【0009】
また、前述した目的を達成するために、本発明に係る電線・ケーブルは、下記を特徴としている。
導体と前記導体の外側に形成された少なくとも1層の被覆層を有し、前記被覆層が上記樹脂組成物から形成された層を含むことを特徴とする電線・ケーブル。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る樹脂組成物によれば、難燃性を発揮しつつ、シリコーンや酸化防止剤のブリードを防止し、さらに滑り性を確保できる。よって、本発明の樹脂組成物を被覆層として備えた電線・ケーブルは、工事の際の施工性が向上し、施工者の負担を削減できる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電線の概略断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るケーブルの概略断面図である。
図3図3は、本発明の他の実施形態に係るケーブルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る樹脂組成物及び電線・ケーブルの実施形態について説明する。
【0014】
本発明の樹脂組成物は、オレフィン系樹脂を含むベース樹脂、難燃剤及び酸化防止剤を含有し、さらに滑剤としての分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物と難燃補助剤としての分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物を含有する。
【0015】
ベース樹脂は、無極性オレフィン系樹脂35~75質量%と極性を有するオレフィン系樹脂25~65質量%とを含む。
無極性オレフィン系樹脂は、分子中に酸素、窒素、硫黄、ハロゲンのいずれも含まず、分子内で電子的に分極がほとんど発生しないオレフィン系樹脂を指す。また、極性を有するオレフィン系樹脂は、極性を有する官能基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等)を含むオレフィン系樹脂である。
本発明において、オレフィン系樹脂として無極性オレフィン系樹脂と極性を有するオレフィン系樹脂を併用することにより、ケーブル特性を最適化できる。
【0016】
無極性オレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(L-LDPE)、超低密度ポリエチレン(V-LDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体(EPR)、ポリイソプレン(PI)、ポリブテン(PB)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリブタジエン(BR)等が挙げられる。極性を有するオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン-ブチルアクリレート共重合体(EBA)等が挙げられる。無極性オレフィン系樹脂及び極性を有するオレフィン系樹脂はそれぞれ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、無極性オレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン-プロピレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましく、極性を有するオレフィン系樹脂は、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-メチルアクリレート共重合体からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0017】
無極性オレフィン系樹脂及び極性を有するオレフィン系樹脂はそれぞれ、密度が0.900~0.970g/cmであることが好ましく、0.910~0.960g/cmがより好ましい。前記範囲の密度のオレフィン系樹脂を用いることで、機械的特性をさらに向上させることができる。また、オレフィン系樹脂は、溶融粘度(MFR)が0.3~5.0g/10分であることが好ましく、0.3~3.0g/10分がより好ましい。オレフィン系樹脂の溶融温度が前記範囲であると、押出加工性が向上する。
【0018】
なお、本発明でいう密度は、JIS K7112(1999年)に準拠して測定される値であり、MFRは、JIS K7210(2014年)に準拠し、190℃、2.16kgf荷重にて測定される値である。
【0019】
無極性オレフィン系樹脂は、ベース樹脂中に35~75質量%含まれる。ベース樹脂中に無極性オレフィン系樹脂の含有量が35質量%以上であると電線・ケーブルの滑り性を確保しやすくなり、75質量%以下であると難燃剤を十分添加できる。無極性オレフィン系樹脂は、ベース樹脂中に40~70質量%含まれるのが好ましい。
【0020】
極性を有するオレフィン系樹脂は、ベース樹脂中に25~65質量%含まれる。ベース樹脂中に極性を有するオレフィン系樹脂の含有量が25質量%以上であるとシリコーンや酸化防止剤のブリードアウトを抑制でき、極性を有するオレフィン系樹脂の含有量が多過ぎるとコストアップに繋がる虞がある。極性を有するオレフィン系樹脂は、ベース樹脂中に30~60質量%含まれるのが好ましい。
【0021】
ベース樹脂には、本発明の効果を阻害しない限り、その他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としては、例えば、ゴム成分等が挙げられる。
【0022】
ゴム成分としては、例えば、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。
【0023】
難燃剤としては、電線・ケーブルに使用可能な難燃剤を適宜選択して使用することができ、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト類等の金属水酸化物のような無機系難燃剤;芳香族縮合リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、メラミンリン酸塩等のリン酸系難燃剤;ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸アンモニウム、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等のイントメッセント系難燃剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
中でも、本発明の効果が得られやすく、コストや入手容易性の観点から、金属水酸化物を使用するのが好ましく、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムがより好ましい。
【0024】
難燃剤の含有量は、ベース樹脂100質量部に対し15~55質量部とする。難燃剤の含有量がベース樹脂100質量部に対し15質量部以上であると、樹脂組成物が難燃性を十分に備えることができる。難燃剤の含有量が多くなり過ぎると樹脂組成物の密度が1.14g/cmよりも大きくなり、廃棄処理の際にポリ塩化ビニル(PVC)との密度分別がし難くなるが、55質量部以下で含有することで樹脂組成物の密度を1.14g/cm以下に調整しやすい。
難燃剤は、ベース樹脂100質量部に対し20~50質量部の範囲で含まれるのが好ましい。
【0025】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等のノンハロゲン系酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオン、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。アミン系酸化防止剤としては、例えば、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、フェニル-1-ナフチレン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、p-(p-トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニルジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、1,3-ベンゼンジカルボン酸ビス[2-(1-オキソ-2-フェノキシプロピル)ヒドラジド]、2’,3-ビス[[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、3-(N-サリチロイルアミノ)-1H-1,2,4-トリアゾール、ドデカン二酸ビス[N2-(2-ヒドロキシベンゾイル)ヒドラド]等が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、例えば、トリイソデシルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
中でも、優れた酸化防止効果が得られやすいという観点から、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤がより好ましい。
【0026】
酸化防止剤の含有量は、ベース樹脂100質量部に対し0.1~0.7質量部とする。酸化防止剤の含有量がベース樹脂100質量部に対し0.1質量部以上であると、耐熱性を長期に亘って保持でき、酸化防止剤の含有量が多くなり過ぎるとブリードアウトする虞があるため0.7質量部以下で含有する。
酸化防止剤は、ベース樹脂100質量部に対し0.2~0.7質量部の範囲で含まれるのが好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物には、滑剤として分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物を含有する。分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物とは、1,000~100,000の分子量範囲のシリコーンポリマーの集合体を主に含む組成物を指す。樹脂組成物中に分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物を含有することで滑り性を向上させることができるので、電線の施工性が向上する。
【0028】
分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物としては、市販品で入手できるものを使用でき、例えば、信越化学工業株式会社製「KF-96-350cs」(商品名)、デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製「SH200 Fluid 1,000cSt」、「SH200 Fluid 3,000cSt」(いずれも商品名)等が挙げられる。分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物の含有量は、ベース樹脂100質量部に対し0.5~3.0質量部とする。分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物の含有量がベース樹脂100質量部に対し0.5質量部以上であると、樹脂組成物の滑り性が向上するので、該樹脂組成物で被覆された電線又はケーブルは施工がしやすくなる。分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物の含有量が多くなり過ぎるとブリードアウトする虞があるため3.0質量部以下で含有する。
分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物は、ベース樹脂100質量部に対し0.5~2.5質量部の範囲で含まれるのが好ましい。
【0030】
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物以外の滑剤を含んでいてもよい。その他の滑剤としては、例えば、低分子ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤;ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸、又はヒドロキシステアリン酸のようなオキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;カルナバワックス、キャンデリワックス等の天然ワックス系滑剤等が挙げられる。
【0031】
また、本発明の樹脂組成物には、難燃補助剤として分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物を含有する。分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物とは、300,000~600,000の分子量範囲のシリコーンポリマーの集合体を主に含む組成物を指す。樹脂組成物中に分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物を含有することで樹脂組成物の難燃性を向上させることができ、難燃剤の含有量を低減させて、これにより樹脂組成物の密度を低く(1.14g/cm以下に)調整しやすくできる。
【0032】
分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物としては、市販品で入手できるものを使用でき、例えば、デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製「DC4-7081」(商品名)等が挙げられる。分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物の含有量は、ベース樹脂100質量部に対し0.5~3.5質量部とする。分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物の含有量がベース樹脂100質量部に対し0.5質量部以上であると、樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物の含有量が多くなり過ぎるとブリードアウトする虞があるため3.5質量部以下で含有する。
分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物は、ベース樹脂100質量部に対し1.0~3.0質量部の範囲で含まれるのが好ましい。
【0034】
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物以外の難燃補助剤を含んでいてもよい。
【0035】
本発明の樹脂組成物には、前記した難燃剤、酸化防止剤、滑剤、難燃補助剤以外にも、必要に応じて、充填剤、加工助剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、分散剤等の公知の各種添加剤を配合することもできる。
【0036】
充填剤としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、マイカ、ペントナイト、ゼオライト、消石灰、カオリン、及びけいそう土等が挙げられる。
【0037】
加工助剤としては、例えば、パラフィン系油、アロマチック系油、及びナフテン系油等の石油系油等が挙げられる。
【0038】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチレート系化合物、置換トリル系化合物、及び金属キレート系化合物等が挙げられる。
【0039】
顔料としては、「顔料便覧(日本顔料技術協会編)」に記載されている一般的な無機顔料や有機顔料を用いることができる。例えば、無機顔料としては、チタンイエロー等のチタンを含む(複合)金属酸化物、酸化亜鉛、酸化鉄、硫化亜鉛、及び三酸化アンチモン等が挙げられる。有機顔料はフタロシアニン系、アンスラキノン系、キナクリドン系、アゾ系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ペリノン系、及びペリレン系等の顔料が挙げられる。
【0040】
帯電防止剤としては、例えば、アルキルリン酸エステル、及びケイ酸化合物等が挙げられる。
【0041】
分散剤としては、例えば、アクリル系分散剤、脂肪酸エステル系分散剤、ポリエチレングリコール系分散剤、非イオン性界面活性剤、両親媒性トリフェニレン誘導体、及びピレン誘導体等が挙げられる。
【0042】
本発明の樹脂組成物は、上記した各種成分を混合することにより得られ、樹脂組成物を押出機等により押出し成形することで導体の外側に本発明の樹脂組成物からなる被覆層を形成できる。
【0043】
本発明の樹脂組成物は、その密度が1.14g/cm以下であるのが好ましい。本発明の樹脂組成物は、ノンハロゲン系樹脂組成物であるため焼却処分が可能であるが、その際はポリ塩化ビニル(PVC)等のハロゲンガスを発生させる材料と分別をすることが必要となる。この分別には一般的に材料の密度を利用して行われ、本発明の樹脂組成物の密度が1.14g/cm以下であると、廃棄処理の際にポリ塩化ビニルとの密度分別がし易くなる。なお、密度の下限値は特に限定されない。
【0044】
なお、樹脂組成物の密度は、押出成形機等を用いて成型体を形成したときの密度を、JIS K7112 5.1 A法(水中置換法)に準拠して測定することにより求める。
【0045】
本発明の樹脂組成物の難燃性は、JIS C3005(4.26)に準拠した燃焼試験に基づき、60秒以内の消炎性を有することが好ましい。また、滑り性は静摩擦係数が0.60以下(ASTM D1894準拠)であることが好ましい。このような難燃性及び滑り性を満たすことにより、電線及びケーブルの絶縁体やシースとして使用した場合でも、耐燃特性を維持しながら施工性を向上させることができる。
【0046】
次に、本発明の樹脂組成物を用いた電線及びケーブルについて説明する。本発明の樹脂組成物は、絶縁体やシースなどの導体の被覆材として用いることにより、難燃性及び滑り性に優れた電線やケーブルを得ることができる。
【0047】
本発明の電線・ケーブルは、導体と該導体の外側に形成された少なくとも1層の被覆層を有し、この被覆層が本発明の樹脂組成物から形成された層を含む。
【0048】
図1は、本発明の実施形態に係る電線(絶縁電線)の概略断面図であり、図2及び図3は、本発明の実施形態に係るケーブル(絶縁ケーブル)の概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態における電線1は、導体10と、該導体10の周縁を覆う、被覆層5としての絶縁体11とを備える。また、図2に示したように、本実施形態におけるケーブル2は、束ねられた複数の電線1(1a,1b,1c)と、束ねられた複数の電線1の周縁を覆う、被覆層5としてのシース21とを備える。なお、ケーブル2は、必ずしも複数の電線1を束ねている必要はなく、図3に示すように、導体10の周縁を絶縁体11とシース21からなる被覆層5で覆ったものとしてもよい。
【0049】
導体10は、1本の素線のみであってもよく、複数本の素線を束ねて形成したものであってもよい。導体10の材料としては、例えば、銅、メッキされた銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性金属を用いることができる。
【0050】
本発明において、被覆層5は少なくとも一層からなり、被覆層5を形成する層のうちの少なくとも一層が本発明の樹脂組成物から形成される。本発明において、被覆層5の少なくとも最外層が本発明の樹脂組成物から形成されるのが好ましい。すなわち、図1においては、絶縁体11が本発明の樹脂組成物より形成され、図2及び図3においては、少なくともシース21が本発明の樹脂組成物より形成される。なお、図2及び図3における絶縁体11も本発明の樹脂組成物より形成されていても構わない。少なくとも最外層の層を本発明の樹脂組成物で形成することで、電線又はケーブルの滑り性が向上するので、施工性を向上できる。
【0051】
本発明の電線1及びケーブル2において、本発明の樹脂組成物により形成された絶縁体11及びシース21の密度は、1.14g/cm以下であることが好ましい。このような密度によれば、電線1又はケーブル2の軽量化が達成され、運搬コストや取扱い性を高めることができる。なお、該密度は、ベースポリマー種類、難燃剤及びその他の配合物の種類や配合部数によって調節することができる。
【0052】
本発明の電線1及びケーブル2において、本発明の樹脂組成物から形成される絶縁体の厚みは、絶縁性の観点から0.70~1.5mmであることが好ましい。本発明の樹脂組成物から形成されるシースの厚みは、保護層としての観点から1.3~2.2mmであることが好ましい。
【0053】
電線・ケーブルの作製方法は、公知の方法に従い行うことができ、例えば、一般的な押出成形法を採用することができる。
例えば、導体10を構成する銅等の素線上に、単軸押出機や二軸押出機等の押出機により本発明の樹脂組成物を押出被覆して絶縁体11を形成することにより電線1が得られる。ケーブル2は、このようにして得られた電線1を1本ないしは複数本束ねて、それらの外部に本発明の樹脂組成物を押出被覆してシース21を形成することにより得られる。
【実施例0054】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されない。
【0055】
実施例、比較例に使用した各成分は以下の通りである。
・無極性ポリオレフィン系樹脂:ポリエチレン(PE)、株式会社ENEOS NUC製「NUCG-9301」(商品名、密度0.920g/cm、MFR0.7g/10分)
・極性を有するポリオレフィン系樹脂:エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、株式会社ENEOS NUC製「NUC-6520」(商品名、密度0.94g/cm、MFR1.6g/10分)
・滑剤:分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物、信越化学工業株式会社製「KF-96-350cs」(商品名、ジメチルシリコーン、粘度350cPs)
・難燃補助剤:分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物、デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル株式会社製「DC4-7081」(商品名、ジメチルシリコーン)
・難燃剤:水酸化マグネシウム、新鉱工業株式会社製「マグラックスST」(商品名)
・酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤、BASFジャパン株式会社「Irganox 1010」(商品名、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート])
【0056】
下記表1~3に記載の材料および配合量に基づき、各成分を温度200℃のニーダーにて混練し、樹脂組成物を作製した。
次に、直径2.0mmの銅線上に、押出成形機を用いて樹脂組成物を押出し、厚み0.8mmの被覆層を有する試験電線を作製した。
【0057】
得られた試験電線に対し、次の項目を測定した。
1.難燃性
JIS K7201(2007)に従い、酸素指数を算出した。酸素指数が20以上であると、難燃性に優れると判断できる。
また、JIS C3005(2014)に従い、60°傾斜方法試験を行った。60°傾斜方法試験にて、着火後、60秒以内に自然に炎が消えたものを「合格」、60秒を超えて炎が消えたものを「不合格」と判断した。
【0058】
2.滲み出し(ブリード)
作製した試験電線に手で触れた際、手にシリコーン又は酸化防止剤が付着するか否かを調べた。試験電線に圧力をかけずに指先で触れ、目視で付着物の有無を確認し、付着のない場合を滲み出しが「無し」と評価し、付着が確認された場合を滲み出しが「有り」と評価した。
【0059】
3.静摩擦係数
ASTM D1894(2014)に従い、トリニティーラボ社製静摩擦測定器(TL102型)を用い、静摩擦係数を測定した。静摩擦係数が0.60以下であると、十分な滑り性を有し、施工性に優れると判断した。
【0060】
4.密度
JIS K7112 5.1 A法(水中置換法)に従い密度を測定した。密度が1.14g/cm以下であると、廃棄処理の際にポリ塩化ビニルとの密度分別がし易くなる。
【0061】
5.長期耐熱性
試験電線を75℃の恒温槽に静置し、40,000時間保存した。
次に、JIS C3005(2014年)に従い、引張伸び率を測定した。75℃保存前の引張伸び率に対し保存後の引張伸び率が50%以上であったものを「合格」、50%未満であったものを「不合格」と判断した。
【0062】
結果を表1~3に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
表1~3の結果から、実施例1~24はいずれも優れた難燃性を有し、シリコーンや酸化防止剤の滲み出しもなく、滑り性にも優れていた。
これに対し、比較例1、2、5、6、11及び12は、60°傾斜方法の規格に合格することが出来ず、電線・ケーブル被覆材として使用するには不十分であった。
比較例1、2、10及び12は静摩擦係数が0.60を超え、施工時に電線・ケーブルが引っかかる虞があり、施工性が不十分であった。
比較例3及び4はシリコーンの滲み出しが見られ、電線・ケーブル被覆材として使用するには不十分であった。
比較例7は密度が1.14g/cmを超え、密度分別ができないものであった。
比較例8は長期耐熱性の規格に合格できず、電線・ケーブル被覆材として使用するには不十分であった。
比較例9は酸化防止剤の滲み出しが見られ、電線・ケーブル被覆材として使用するには不十分であった。
【0067】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0068】
ここで、上述した本発明に係る樹脂組成物及び電線・ケーブルの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[11]に簡潔に纏めて列記する。
【0069】
[1]
無極性オレフィン系樹脂35~75質量%と極性を有するオレフィン系樹脂25~65質量%とを含むベース樹脂と、
前記ベース樹脂100質量部に対し、
0.5~3.0質量部の分子量が1,000~100,000のシリコーン化合物と、
0.5~3.5質量部の分子量が300,000~600,000のシリコーン化合物と、
15~55質量部の難燃剤と、
0.1~0.7質量部の酸化防止剤と
を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【0070】
[2]
前記難燃剤が、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属水酸化物であることを特徴とする上記[1]に記載の樹脂組成物。
【0071】
[3]
前記無極性オレフィン系樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン-プロピレン共重合体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
【0072】
[4]
前記極性を有するオレフィン系樹脂が、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-メチルアクリレート共重合体からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
【0073】
[5]
前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1つのノンハロゲン系酸化防止剤であることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
【0074】
[6]
前記ベース樹脂が、前記無極性オレフィン系樹脂を40~70質量%含み、前記極性を有するオレフィン系樹脂を30~60質量%含むことを特徴とする上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
【0075】
[7]
前記難燃剤の含有量が、前記ベース樹脂100質量部に対し、20~50質量部であることを特徴とする上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
【0076】
[8]
密度が1.14g/cm以下であることを特徴とする上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
【0077】
[9]
電線又はケーブルの被覆用であることを特徴とする上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
【0078】
[10]
導体と前記導体の外側に形成された少なくとも1層の被覆層を有し、
前記被覆層が上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された層を含むことを特徴とする電線・ケーブル。
【0079】
[11]
前記被覆層が2層以上の層からなり、前記被覆層の少なくとも最外層が上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成されることを特徴とする上記[10]に記載の電線・ケーブル。
【符号の説明】
【0080】
1 電線
2 ケーブル
5 被覆層
10 導体
11 絶縁体
21 シース
1a,1b,1c 電線
図1
図2
図3