(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001091
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】透過型ホログラフィック光記憶媒体及び装置、並びにホログラフィック光記憶媒体の両面読み書き方法
(51)【国際特許分類】
G11B 7/0065 20060101AFI20221222BHJP
G11B 7/24044 20130101ALI20221222BHJP
G11B 7/258 20130101ALI20221222BHJP
G11B 7/09 20060101ALI20221222BHJP
G03H 1/02 20060101ALI20221222BHJP
G03H 1/26 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
G11B7/0065
G11B7/24044
G11B7/258
G11B7/09 C
G11B7/09 B
G03H1/02
G03H1/26
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097885
(22)【出願日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】202110671800.6
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521001294
【氏名又は名称】アメシスタム ストレージ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Amethystum Storage Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】フ ドォジァオ
(72)【発明者】
【氏名】リォウ イチョン
(72)【発明者】
【氏名】ティエン ジュン
【テーマコード(参考)】
2K008
5D090
【Fターム(参考)】
2K008AA04
2K008BB04
2K008BB06
2K008CC01
2K008CC03
2K008HH01
2K008HH06
2K008HH13
2K008HH14
2K008HH17
5D090AA01
5D090BB16
5D090CC01
5D090CC04
5D090FF11
5D090KK12
5D090KK15
5D090LL02
5D090LL03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】透過型ホログラフィック光記憶媒体及び装置、並びにホログラフィック光記憶媒体の両面読み書き方法を提供する。
【解決手段】記憶媒体は、記録層はデータ情報を持つホログラムを記録し、第二基板の記録層に向く側の表面に、サーボ光ビームにより読み書き位置を位置決めするとともに、サーボレールロック機能を実現するための凹凸構造が刻まれる。ダイクロイック層はサーボ光ビームを反射し、読み書き光を透過させることができる。
【効果】記憶媒体は、外部環境の影響を受けにくく、従来の反射型ホログラフィック光記憶媒体に対してより安定する。また、本発明に係るホログラフィック光記憶媒体の第一基板、第二基板、記録層及びダイクロイック層の間に間隔が設計されず、記憶媒体の両側にそれぞれ記録層を設計することなく両面読み書きを実現することができ、その加工プロセスが簡単である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板、第二基板、記録層及びダイクロイック層を含み、記録層はデータ情報を持つホログラムを記録し、第二基板の記録層に向く側の表面に、サーボ光ビームにより読み書き位置を位置決めするとともに、サーボレールロック機能を実現するための凹凸構造が刻まれ、ダイクロイック層はサーボ光ビームを反射し、読み書き光を透過させることができることを特徴とする、透過型ホログラフィック光記憶媒体。
【請求項2】
前記ダイクロイック層は、第二基板の凹凸構造の表面に均一に塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の透過型ホログラフィック光記憶媒体。
【請求項3】
第一基板は記録層のダイクロイック層から離れた側に位置し、第二基板はダイクロイック層の記録層から離れた側に位置し、ホログラムを記録するとき、第一基板又は第二基板から入射された参照光と信号光が記録層で干渉し、記録層を露光してホログラムを生成し、ホログラム上のデータ情報を再生するとき、参照光は第一基板又は第二基板を透過して入射され、記録層及びダイクロイック層を透過し、最終的に第二基板又は第一基板を透過し、媒体の他側にホログラム情報の読み取りを実現することを特徴とする、請求項2に記載の透過型ホログラフィック光記憶媒体。
【請求項4】
第一基板の記録層から離れた側に反射防止層が設けられるとともに、第二基板の記録層から離れた側に反射防止層が設けられることを特徴とする、請求項3に記載の透過型ホログラフィック光記憶媒体。
【請求項5】
サーボ光ビームは赤色レーザであり、読み書き光は青色レーザであることを特徴とする、請求項1に記載の透過型ホログラフィック光記憶媒体。
【請求項6】
サーボ光ビームは赤色レーザであり、読み書き光は緑色レーザであることを特徴とする、請求項1に記載の透過型ホログラフィック光記憶媒体。
【請求項7】
請求項1に記載の透過型ホログラフィック光記憶媒体を含み、
サーボ光ビームを出力するサーボモジュールと、
読み書き光を出力する光源モジュールと、
入力された読み書き光を、直交する偏光方向を有する同軸の信号光ビーム及び参照光ビームに変換するビーム結合モジュールと、
入力された直交する偏光方向を有する同軸の信号光ビーム及び参照光ビームを非同軸に変換し、読み書き光とサーボ光ビームをビーム結合し、サーボ光ビームの位置決め作用で、信号光ビームと参照光ビームが記録層で直接干渉してホログラムを形成するか、又はダイクロイック層を透過してから記録層で干渉してホログラムを形成する光ヘッドモジュールと、情報を読み取るとき、サーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で入力された参照光ビームから再生信号光ビームを回折し、信号光ビームがダイクロイック層を透過し、参照光ビームの入射された記憶媒体の他側に情報の読み取りを実現する信号出力モジュールとをさらに含むことを特徴とする、透過型ホログラフィック光記憶装置。
【請求項8】
請求項1に記載のホログラフィック光記憶媒体又は請求項7に記載のホログラフィック光記憶装置を応用するホログラフィック光記憶媒体の両面読み書き方法であって、
ホログラムを記録するとき、記憶媒体の一側に信号光ビーム及び参照光ビームを入力し、同時にサーボ光ビームを入力し、サーボ光ビームをダイクロイック層により反射し、信号処理によりアドレス情報を取得し、記録層におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で信号光ビームと参照光ビームが直接干渉してホログラムを形成するか、又はダイクロイック層を透過してから記録層におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で干渉してホログラムを形成するステップと、
ホログラムを再生するとき、同じ側に参照光ビーム及びサーボ光ビームを入力し、サーボ光ビームをダイクロイック層により反射し、信号処理によりアドレス情報を取得し、記録層におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で参照光ビームから信号光ビームを回折し、信号光ビームがダイクロイック層を透過し、記憶媒体の他側に情報を再生するステップとを含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学記憶の技術分野に関し、より具体的には、透過型ホログラフィック光記憶媒体及び装置、並びにホログラフィック光記憶媒体の両面読み書き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック光記憶は、データを3次元でホログラフィック光記憶媒体に記録する大容量、高速の記憶方式であり、21世紀の大規模データ記憶に必要な性能を満たすことができ、従来の光学記憶技術を置き換え、次世代の大量データ記憶の主な方式となる。
【0003】
ホログラフィックの記録又は読み取りの位置を正確に位置決めするために、一般的にサーボ光ビーム経路を設計し、ホログラフィック光記憶媒体にアドレスを設定し、サーボ光ビームがアドレス層から反射されて4象限検出器により捕捉され、信号処理を行って、アドレス情報を取得し、サーボ光ビームの読み書き位置に対する位置決めを実現する。
【0004】
光路を介してアクセスすることによりホログラフィック光記憶における情報を読み出す、青色レーザ又は緑色レーザは参照光ビームであり、赤色レーザはサーボ光ビームである。青色レーザ又は緑色レーザは記録材料中の格子縞に照射されて、信号光ビームを回折し、信号光ビームが結像されてカメラにより捕捉される。赤色レーザがアドレス層から反射されて4象限検出器により捕捉され、信号処理を行って、アドレス情報を取得する。
【0005】
中国国内外で報告されているホログラフィック光記憶媒体の多くは反射型ホログラフィック光記憶媒体であり、例えば中国実用新案第207517357号明細書に開示された、色分離反射に基づくホログラフィック光記憶装置は、主にダイクロイック層及びアドレス層を利用して参照光ビームとサーボ光ビームをそれぞれ反射することにより、情報を取得する。反射型記憶媒体のダイクロイック層とアドレス層が分離されることが多く、それらの中間に分離層が設けられ、反射型記憶媒体は該複雑な構造のため、加工プロセスの難易度を増やす。また、反射型記憶媒体において、反射されたサーボ光ビームと反射された読み書き光ビームが同じ側にあるため、相互に干渉しやすく、読み書き光の波長、入射角度の変化等の外部要因の影響を受けやすい。また、反射型ホログラフィック光記憶媒体が両面読み書きを実現するために、記憶媒体の両側にそれぞれ記録層を設ける必要があるが、さらに加工の難易度及び情報読み書きの不安定さを増やす。
【0006】
したがって、データ情報を持つホログラムの記録及び読み取りをより安定させ、加工の難易度を増やさないホログラフィック光記憶媒体を設計する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上記従来技術の少なくとも1つの欠点(短所)を克服し、情報読み書きの安定さの課題を解決する、透過型ホログラフィック光記憶媒体及び装置、並びにホログラフィック光記憶媒体の両面読み書き方法を提供することを目的とする。
【0008】
一態様において、本発明に係る透過型ホログラフィック光記憶媒体は、第一基板、第二基板、記録層及びダイクロイック層を含み、記録層はデータ情報を持つホログラムを記録し、第二基板の記録層に向く側の表面に、サーボ光ビームにより読み書き位置を位置決めするとともに、サーボレールロック機能を実現するための凹凸構造が刻まれ、ダイクロイック層はサーボ光ビームを反射し、読み書き光を透過させることができる。データを記録するとき、参照光と信号光は記録層の内部で干渉し、記録層を感光させて、データ情報を持つホログラムを記録する。データを読み取るとき、参照光は記録層内に再生信号光を回折する。
【0009】
反射型ホログラフィック光記憶媒体はダイクロイック層の作用で読み書き光を反射し、このようにして、反射型ホログラフィック光記憶媒体における格子方向は主に媒体の表面に平行であり、情報読み取り過程において波長、媒体の変形及び光路の不安定さの影響を受けやすく、外部要因に対してより敏感であり、記録と読み取りは同じ側で行われる。方向の異なる格子については、環境干渉による影響が異なり、格子が媒体の表面に垂直なホログラムについて、その情報読み取り過程において波長、媒体の変形及び光路の不安定さによる影響が小さい。本発明が採用する透過型ホログラフィック光記憶において、その格子方向が主に媒体の表面に垂直であり、読み書きと記録が異なる側で行われる。したがって、本発明における情報読み取り過程において外部環境の影響を受けにくく、従来の反射型ホログラフィック光記憶媒体に対してより安定する。また、本発明に係るホログラフィック光記憶媒体の第一基板、第二基板、記録層及びダイクロイック層の間に間隔が設計されず、記憶媒体の両側にそれぞれ記録層を設計することなく両面読み書きを実現することができ、その加工プロセスが簡単である。前記読み書き光は参照光ビーム及び/又は信号光ビームである。第二基板の記録層に向く側の表面に凹凸構造が刻まれ、該凹凸構造は、サーボ光ビームにより読み書き位置を位置決めし、信号光又は参照光をサーボシステムの作用で一定の軌跡に応じて移動させ、サーボレールロック機能を実現するために用いられる。
【0010】
具体的には、前記ダイクロイック層は第二基板の凹凸構造の表面に均一に塗布される。
【0011】
上記技術手段に対して、前記記憶媒体は、第一基板が記録層のダイクロイック層から離れた側に位置し、第二基板がダイクロイック層の記録層から離れた側に位置する。第一基板、記録層、ダイクロイック層及び第二基板は、順に積層して設けられる。ホログラムを記録するとき、第一基板又は第二基板から入射された参照光と信号光が記録層で干渉し、記録層を露光してホログラムを生成し、ホログラム上のデータ情報を再生するとき、参照光は第一基板又は第二基板を透過して入射され、記録層及びダイクロイック層を透過し、最終的に第二基板又は第一基板を透過し、媒体の他側にデータ情報を持つホログラム情報の読み取りを実現する。
【0012】
この手段における第二基板の表面の凹凸構造は、種々の構造を含んでもよい。第一基板及び第二基板の設置により、記録層及び第二基板の表面の凹凸構造を損傷しないように保護することができる。
【0013】
本技術手段における第二基板の表面の凹凸構造は、サーボ光ビームにより読み書き位置を位置決めするとともに、サーボレールロック機能を実現するために用いることができ、一層のアドレス層を個別に設けず、記憶媒体の製造プロセスを大幅に簡略化することができる。
【0014】
別の好ましい手段において、第一基板の記録層から離れた側に反射防止層が設けられるとともに、第二基板の記録層から離れた側に反射防止層が設けられることにより、読み書き光又はサーボ光ビームの第一基板及び第二基板を透過するときの反射を減らし、それにより読み書き光又はサーボ光ビームの全てができるだけ第一基板及び第二基板を透過することができる。
【0015】
記録層及び第二基板の表面の凹凸構造をよりよく保護するために、第一基板及び第二基板は好ましくは、記録層及び第二基板の表面の凹凸構造に収縮等の変形を引き起こさない透明な熱可塑性プラスチックである。
【0016】
赤色光、青色光及び緑色光の特性に鑑み、サーボ光ビームは好ましくは赤色レーザであり、読み書き光は好ましくは青色レーザ又は緑色レーザである。
【0017】
本発明の別の態様に係る透過型ホログラフィック光記憶装置は、前記透過型ホログラフィック光記憶媒体を含み、サーボ光ビームを出力するサーボモジュールと、読み書き光を出力する光源モジュールと、入力された読み書き光を、直交する偏光方向を有する同軸の信号光ビーム及び参照光ビームに変換するビーム結合モジュールと、入力された直交する偏光方向を有する同軸の信号光ビーム及び参照光ビームを非同軸に変換し、読み書き光とサーボ光ビームをビーム結合し、サーボ光ビームの位置決め作用で、信号光ビームと参照光ビームが記録層で直接干渉してホログラムを形成するか、又はダイクロイック層を透過してから記録層で干渉してホログラムを形成する光ヘッドモジュールと、情報を読み取るとき、サーボ光ビームにより位置決めされた位置で入力された参照光ビームから再生信号光ビームを回折し、再生信号光ビームがダイクロイック層を透過し、参照光ビームの入射された記憶媒体の他側に情報の読み取りを実現する信号出力モジュールとをさらに含む。サーボモジュールにおいて、サーボ光ビームをダイクロイック層により反射し、アドレス情報を取得し、読み書き光の読み書き位置を位置決めするとともに、読み書き光に対してサーボレールロックを行うことにより、読み書き光が特定の軌跡に応じて移動する。
【0018】
本発明のさらなる態様に係る、前記透過型ホログラフィック光記憶媒体又はホログラフィック光記憶装置を応用するホログラフィック光記憶媒体の両面読み書き方法は、
ホログラムを記録するとき、記憶媒体の一側に信号光ビーム及び参照光ビームを入力し、同時にサーボ光ビームを入力し、サーボ光ビームをダイクロイック層により反射し、信号処理によりアドレス情報を取得し、記録層におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で信号光ビームと参照光ビームが直接干渉してホログラムを形成するか、又はダイクロイック層を透過してから記録層におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で干渉してホログラムを形成するステップと、
ホログラムを再生するとき、同じ側に参照光ビーム及びサーボ光ビームを入力し、サーボ光ビームをダイクロイック層により反射し、信号処理によりアドレス情報を取得し、記録層におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で参照光ビームから信号光ビームを回折し、信号光ビームがダイクロイック層を透過し、記憶媒体の他側に情報を再生するステップとを含む。
【0019】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。本発明に係る記憶媒体は、外部環境の影響を受けにくく、従来の反射型ホログラフィック光記憶媒体に対してより安定し、第一基板、第二基板、記録層及びダイクロイック層の間に間隔が設計されず、記憶媒体の両側にそれぞれ記録層を設計することなく両面読み書きを実現することができ、加工プロセスが簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】光ビームが第一基板側から入射された透過型ホログラフィック光記憶媒体の構造概略図である。
【
図2】光ビームが第二基板側から入射された透過型ホログラフィック光記憶媒体の構造概略図である。
【
図3】透過型ホログラフィック光記憶装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の図面は、例示的な説明のみに用いられるが、本発明を限定するものとして理解されるべきでない。以下の実施例をよりよく説明するために、図面のいくつかの部材は、省略、拡大又は縮小され、実際の製品のサイズを表すものではなく、図面におけるいくつかの周知の構造及びその説明が省略され得ることは、当業者であれば理解できるであろう。
【0022】
(実施例1)
図1に示すように、本実施例に係る透過型ホログラフィック光記憶媒体600には、上から下へ順に第一基板1、記録層2、ダイクロイック層3及び第二基板4が設けられる。記録層は、読み書き光5によりホログラムを記録し、第二基板4の記録層に向く側の表面に、サーボ光ビームにより読み書き位置を位置決めするとともに、サーボレールロック機能を実現するための凹凸構造が刻まれる。ダイクロイック層は第二基板の凹凸構造の表面に均一に塗布され、ダイクロイック層はサーボ光を反射し、読み書き光を透過させることができる。
【0023】
格子方向の異なるホログラムについて、その情報読み取り過程において環境干渉による影響が異なり、格子が媒体の表面に垂直なホログラムについて、その情報読み取り過程において環境による影響が小さい。本実施例が採用する透過型ホログラフィック光記憶において、その格子方向が主に媒体の表面に垂直であり、読み書きと記録が異なる側で行われる。したがって、本実施例に係る情報読み取り過程において、外部環境の影響を受けにくく、従来の反射型ホログラフィック光記憶媒体に対してより安定する。第一基板、第二基板、記録層2及びダイクロイック層3の間に間隔が設計されず、記憶媒体の両側にそれぞれ記録層2を設計することなく両面読み書きを実現することができ、加工プロセスが簡単である。本実施例に係る読み書き光5は、参照光ビーム及び/又は信号光ビームである。
【0024】
上記記憶媒体はカード型記憶媒体であってもディスク型記憶媒体であってもよい。本実施例に係る記憶媒体はディスク型記憶媒体である。
【0025】
第二基板の表面の凹凸構造は、溝又はリッジで構成され、該構造の設計は、ホログラム画像が記録層に書き込まれる位置を決定する。凹凸構造はその他の形状であってもよい。
【0026】
本実施例に係る透過型ホログラフィック光記憶媒体は、第一基板1が記録層2のダイクロイック層3から離れた側に位置し、第二基板4がダイクロイック層の記録層から離れた側に位置し、第二基板4の内側の表面に凹凸構造が刻まれる。ホログラムを記録するとき、第一基板又は第二基板から入射された参照光と信号光が記録層で干渉し、記録層を露光してホログラムを生成し、ホログラム上のデータ情報を再生するとき、参照光は第一基板又は第二基板を透過して入射され、記録層及びダイクロイック層を透過し、最終的に第二基板又は第一基板を透過し、媒体の他側にデータ情報を持つホログラム情報の読み取りを実現する。第一基板1又は第二基板4の設置により、記録層及び/又は凹凸構造を損傷しないように保護することができる。本技術手段における第二基板の表面の凹凸構造はサーボ光ビームにより読み書き位置を位置決めするとともに、サーボレールロック機能を実現するために用いることができ、一層のアドレス層を個別に設けず、製造プロセスを簡略化することができる。
【0027】
本実施例における第一基板1及び第二基板4は好ましくは、記録層2及び第二基板の凹凸構造に収縮等の変形を引き起こさない透明な熱可塑性プラスチックであり、情報読み書きの安定さをさらに高めることができる。
【0028】
読み書き光5又はサーボ光ビーム7の第一基板1及び第二基板4を透過するときの反射を減らし、光の透過率を高めることにより、読み書き光又はサーボ光ビームの全てができるだけ第一基板1及び第二基板4を透過するために、第一基板1の記録層2から離れた側に反射防止層8が設けられ、第二基板4の記録層から離れた側に反射防止層9が設けられる。
【0029】
赤色光、青色光及び緑色光の特性に基づいて、本実施例におけるサーボ光ビーム7は好ましくは赤色レーザであり、読み書き光5は好ましくは青色レーザ又は緑色レーザである。必要に応じて、他の波長の光をサーボ光ビーム7及び読み書き光5として使用してもよい。
【0030】
即ち、本実施例における記録層2は、上表面が第一基板1により覆われ、下表面がダイクロイック層3と接触し、第二基板4の上表面に凹凸構造が設けられ、凹凸構造の表面にダイクロイック層3が均一に塗布され、第一基板1の記録層から離れた側と第二基板4の記録層から離れた側にそれぞれ反射防止層8、9が均一に塗布され、それにより読み書き光5及びサーボ光ビーム7の第一基板1及び第二基板4での透過率を高める。ダイクロイック層3は、読み書き光5を透過させ、サーボ光ビーム7を反射することができるように設計され、それによりデータ情報を持つホログラムへの透過型読み取りを実現し、一層の記録層だけで記憶媒体の両面読み取りを実現することができる。
【0031】
図1に戻ると、ホログラムを記録するとき、青色又は緑色の読み書き光5と赤色のサーボ光ビーム7がそれぞれ第一基板1側から入射されるとき、サーボ光ビーム7は反射防止層8、第一基板1及び記録層2を順に透過してダイクロイック層3に到達し、アドレス情報を取得してダイクロイック層3により反射され、読み書き光5が信号光ビーム及び参照光ビームであり、信号光ビーム及び参照光ビームは反射防止層8及び第一基板1を透過し、記録層2におけるサーボ光ビーム7により位置決めされた位置の周囲領域で干渉してホログラムを形成する。ホログラムを再生するとき、同じ側に参照光ビーム5及びサーボ光ビーム7が入力され、サーボ光ビーム7はダイクロイック層3により反射され、記録層2、第一基板1及び反射防止層8を順に透過し、収集されて信号処理を行ってアドレス情報を取得し、参照光ビーム5は反射防止層8及び第一基板1を透過し、記録層2におけるサーボ光ビーム7により位置決めされた位置の周囲領域で再生信号光ビームを回折し、再生信号光ビームは順にダイクロイック層3、第二基板4及び反射防止層9を透過し、光ビームの入射された他側、即ち第二基板4側に、データ情報を持つホログラムを再生する。
【0032】
図2に示すように、青色又は緑色の読み書き光5及び赤色のサーボ光ビーム7がそれぞれ第二基板4側から入射されるとき、サーボ光ビーム7は反射防止層9及び第二基板4を順に透過し、ダイクロイック層3により反射され、第二基板4及び反射防止層9を順に透過し、収集されて信号処理を行ってアドレス情報を取得し、信号光ビーム及び参照光ビームは反射防止層9、第二基板4及びダイクロイック層3を順に透過し、記録層2におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で干渉してホログラムを形成する。ホログラムを再生するとき、同じ側に参照光ビーム5及びサーボ光ビーム7が入力され、サーボ光ビーム7は反射防止層9及び第二基板4を透過してダイクロイック層3により反射され、次に第二基板4及び反射防止層9を透過し、収集されて信号処理を行ってアドレス情報を取得し、参照光ビーム5は反射防止層9、第二基板4及びダイクロイック層3を透過し、記録層2におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で再生信号光ビームを回折し、再生信号光ビームは第一基板1及び反射防止層8を透過し、光ビームの入射された他側、即ち第一基板1側に、データ情報を持つホログラムを再生する。
【0033】
本実施例に係る記憶媒体は、媒体の表面に垂直な格子を生成するため、情報読み取り過程において外部環境の影響を受けにくく、従来の反射型ホログラフィック光記憶媒体に対してより安定し、第一基板、第二基板、記録層及びダイクロイック層の間に間隔が設計されず、記憶媒体の両側にそれぞれ記録層を設計することなく両面読み書きを実現することができ、加工の難易度を増やさない。
【0034】
(実施例2)
図3に示すように、本実施例に係る透過型ホログラフィック光記憶装置は、実施例1に記載の透過型ホログラフィック光記憶媒体600を含み、サーボ光ビームを出力するサーボモジュール300と、読み書き光を出力する光源モジュール100と、入力された読み書き光を、直交する偏光方向を有する同軸の信号光ビーム及び参照光ビームに変換するビーム結合モジュール200と、入力された直交する偏光方向を有する同軸の信号光ビーム及び参照光ビームを非同軸に変換し、読み書き光とサーボ光ビームをビーム結合し、サーボ光ビームの位置決め作用で、信号光ビームと参照光ビームが記録層2で直接干渉し露光してホログラムを形成するか、又はダイクロイック層3を透過してから記録層2で干渉し露光してホログラムを形成する光ヘッドモジュール400と、情報を読み取るとき、サーボ光ビームにより位置決めされた位置で入力された参照光ビームから再生信号光ビームを回折し、再生信号光ビームがダイクロイック層3を透過し、参照光ビームの入射された記憶媒体の他側に情報の読み取りを実現する信号出力モジュール500とをさらに含む。
【0035】
本実施例が採用する光路構造における信号光路と参照光路は1つに合わせられ、シングルアーム構造であり、信号光路と参照光路がダブルアーム構造である光路構造についても同様である。
【0036】
(実施例3)
本実施例に係る、実施例1に記載の透過型ホログラフィック光記憶媒体又は実施例2に記載のホログラフィック光記憶装置を応用するホログラフィック光記憶媒体の両面読み書き方法は、
記憶媒体の一側に信号光ビーム及び参照光ビームを入力し、同時にサーボ光ビームを入力し、サーボ光ビームをダイクロイック層により反射し、信号処理によりアドレス情報を取得し、記録層におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で信号光ビームと参照光ビームが直接干渉してホログラムを形成するか、又はダイクロイック層を透過してから記録層におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で干渉してホログラムを形成するステップと、
ホログラムを再生するとき、同じ側に参照光ビーム及びサーボ光ビームを入力し、サーボ光ビームをダイクロイック層により反射し、信号処理によりアドレス情報を取得し、記録層におけるサーボ光ビームにより位置決めされた位置の周囲領域で参照光ビームから信号光ビームを回折し、信号光ビームが記憶媒体の他側に再生されたデータ情報を投射するステップとを含む。
【0037】
明らかに、本発明の上記実施例は、本発明の技術手段を明確に説明するための例に過ぎず、本発明の具体的な実施形態を限定するためのものではない。本発明の特許請求の範囲の精神及び原則の範囲内で行われたいかなる修正、同等の代替、改良などは、本発明の特許請求の範囲の保護の範囲に含まれるべきである。