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特開2023-109121荷重計測装置、荷重計測装置装着方法、及び荷重指示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109121
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】荷重計測装置、荷重計測装置装着方法、及び荷重指示装置
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/00 20060101AFI20230731BHJP
   A43B 3/44 20220101ALI20230731BHJP
   A43B 3/48 20220101ALI20230731BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A43B7/00
A43B3/44
A43B3/48
A61B5/11 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022010551
(22)【出願日】2022-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】597065329
【氏名又は名称】学校法人 龍谷大学
(71)【出願人】
【識別番号】300074101
【氏名又は名称】株式会社レイマック
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】辻上 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 守
(72)【発明者】
【氏名】今堀 勇三
(72)【発明者】
【氏名】小谷 正光
【テーマコード(参考)】
4C038
4F050
【Fターム(参考)】
4C038VA11
4C038VB14
4C038VC20
4F050EA01
4F050GA30
4F050JA30
(57)【要約】
【課題】自然な歩行の妨げになり難い荷重計測装置を提供する。
【解決手段】この荷重計測装置1は、インソールとして履物4の中底に装着され歩行時の荷重を感知する荷重センサー部2と、履物4の履き口外側部4cに装着され荷重センサー部2に電圧を印加しそれが感知した荷重に対応する信号を処理して無線で送信する電気回路部本体31を有する電気回路部3と、を備え、電気回路部3は、電気回路部本体31に固定された細長い外側細長部と細長く内側面が湾曲して凹んだ内側細長部とそれらを結合する結合部を有し、該結合部の弾性力により履き口外側部4cを前記外側細長部と前記内側細長部で挟み込む装着具32を2個有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インソールとして履物の中底に装着され歩行時の荷重を感知する荷重センサー部と、
前記履物の履き口外側部に装着され前記荷重センサー部に電圧を印加しそれが感知した荷重に対応する信号を処理して無線で送信する電気回路部本体を有する電気回路部と、
を備え、
前記電気回路部は、前記電気回路部本体に固定された細長い外側細長部と細長く内側面が湾曲して凹んだ内側細長部とそれらを結合する結合部を有し、該結合部の弾性力により前記履き口外側部を前記外側細長部と前記内側細長部で挟み込む装着具を2個有している荷重計測装置。
【請求項2】
請求項1に記載された荷重計測装置において、
足の少なくとも外側に振動を与える振動部材を有する荷重指示部を更に備え、
前記電気回路部の電気回路部本体は、無線で受信した信号に応じて前記振動部材を制御する荷重計測装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された荷重計測装置を前記履物に装着する荷重計測装置装着方法であって、
前記履物は、履き口前側部が左右に開かれることができ、閉じられるときは左右がオーバラップして留め部材により留められることができるものであり、
前記履き口前側部が左右に開かれて前記荷重センサー部が装着されその上に足が置かれ、その後、前記履き口前側部の左右がオーバラップされて閉じられて前記留め部材により留められ、
前記足が置かれる前又は前記留め部材により留められた後に、前記電気回路部が前記履き口外側部に装着される荷重計測装置装着方法。
【請求項4】
足の少なくとも外側に振動を与える振動部材を有する荷重指示部と、
前記履物の履き口外側部に装着され無線で受信した信号に応じて前記振動部材を制御する電気回路部本体を有する電気回路部と、を備え、
前記電気回路部は、前記電気回路部本体に固定された細長い外側細長部と細長く内側面が湾曲して凹んだ内側細長部とそれらを結合する結合部を有し、該結合部の弾性力により前記履き口外側部を前記外側細長部と前記内側細長部で挟み込む装着具を2個有している荷重指示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行時の荷重を計測する荷重計測装置及び荷重計測装置装着方法に関し、また、歩行時の荷重のかけ方を指示する荷重指示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下肢の運動機能の検査のために、履物の中底に歩行時の荷重を感知する荷重センサー部が設けられた荷重計測装置が知られている。このような荷重計測装置においては、荷重センサー部に感知のための電圧を印加したりそれが感知した荷重に対応する信号を処理して無線で送信したりする電気回路部が設けられたものが有る。電気回路部からの信号により、履物から離れた見易い位置で荷重が表示されたり解析されたりする。
【0003】
例えば、特許文献1には、荷重センサー部に相当する複数個の可変容量式圧力センサーと電気回路部に相当する光信号伝送器が開示されており、光信号伝送器は、複数個の可変容量式圧力センサーが感知した各々の荷重に対応する電気信号を光信号に変換して送信するものであり、例えば、人の足首に装着される。
【0004】
また、特許文献2には、荷重センサー部と電気回路部が開示されており、電気回路部は、荷重センサー部に感知のための交流電圧を印加しそれが感知した荷重に対応する信号を処理して無線で送信することができるものであり、例えば、荷重センサー部の下部に配置される。また、特許文献3には荷重センサー部に相当する複数個の荷重センサーの部分と電気回路部に相当する回路基板及びバッテリーの部分が開示されており、回路基板及びバッテリーの部分は複数個の荷重センサーの部分を制御するものであり、例えば、複数個の荷重センサーの部分と並列に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平02-55045号公報
【特許文献2】国際公開WO2016/158425号公報
【特許文献3】特開2022-16122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、歩行時の荷重を計測するには、その人が普段履き慣れた履物を用いるのが好ましく、そのためには、荷重センサー部は、インソールとして既存の履物の中底に装着することができるものが好ましい。しかし、荷重センサー部をインソールとすることができたとしても、無線を用いる電気回路部は回路基板及びバッテリーの部分が大きくなり易く、電気回路部を引用文献1に記載されているように足首に装着したり、引用文献2に記載されているようにその下部に配置したり、引用文献3に記載されているようにそれと並列に配置したりすると、自然な歩行の妨げになり易い。
【0007】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、自然な歩行の妨げになり難い荷重計測装置及び荷重計測装置装着方法を提供することにあり、また、その構成の一部を用いて自然な歩行の妨げになり難い荷重指示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の荷重計測装置は、インソールとして履物の中底に装着され歩行時の荷重を感知する荷重センサー部と、前記履物の履き口外側部に装着され前記荷重センサー部に電圧を印加しそれが感知した荷重に対応する信号を処理して無線で送信する電気回路部本体を有する電気回路部と、を備え、前記電気回路部は、前記電気回路部本体に固定された細長い外側細長部と細長く内側面が湾曲して凹んだ内側細長部とそれらを結合する結合部を有し、該結合部の弾性力により前記履き口外側部を前記外側細長部と前記内側細長部で挟み込む装着具を2個有している。
【0009】
請求項2に記載の荷重計測装置は、請求項1に記載された荷重計測装置において、足の少なくとも外側に振動を与える振動部材を有する荷重指示部を更に備え、前記電気回路部の電気回路部本体は、無線で受信した信号に応じて前記振動部材を制御する。
【0010】
請求項3に記載の荷重計測装置装着方法は、請求項1又は2に記載された荷重計測装置を前記履物に装着する荷重計測装置装着方法であって、前記履物は、履き口前側部が左右に開かれることができ、閉じられるときは左右がオーバラップして留め部材により留められることができるものであり、前記履き口前側部が左右に開かれて前記荷重センサー部が装着されその上に足が置かれ、その後、前記履き口前側部の左右がオーバラップされて閉じられて前記留め部材により留められ、前記足が置かれる前又は前記留め部材により留められた後に、前記電気回路部が前記履き口外側部に装着される。
【0011】
請求項4に記載の荷重指示装置は、足の少なくとも外側に振動を与える振動部材を有する荷重指示部と、前記履物の履き口外側部に装着され無線で受信した信号に応じて前記振動部材を制御する電気回路部本体を有する電気回路部と、を備え、前記電気回路部は、前記電気回路部本体に固定された細長い外側細長部と細長く内側面が湾曲して凹んだ内側細長部とそれらを結合する結合部を有し、該結合部の弾性力により前記履き口外側部を前記外側細長部と前記内側細長部で挟み込む装着具を2個有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の荷重計測装置、荷重計測装置装着方法及び荷重指示装置によれば、自然な歩行の妨げになり難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る荷重計測装置が装着された履物の例の外観を示す概略平面図である。
図2】同上の荷重計測装置の荷重センサー部の例を底面側から見た斜視図である。
図3A】同上の荷重計測装置の荷重センサー部の例のシート状上部被覆体を底面側から見た斜視図である。
図3B】同上の荷重計測装置の荷重センサー部の例の図3Aで示したシート状上部被覆体に複数個のシート状上部硬質体を設けた形態を底面側から見た斜視図である。
図3C】同上の荷重計測装置の荷重センサー部の例の図3Bで示したものに複数個の荷重センサーを設けた形態を底面側から見た斜視図である。
図3D】同上の荷重計測装置の荷重センサー部の例の図3Cで示したものに複数個のシート状下部硬質体を設けた形態を底面側から見た斜視図である。
図4】同上の荷重計測装置の荷重センサー部の例を示すものであって、(a)が底面図、(b)がA-Aで示す切断面で切断した断面図である。
図5】同上の荷重計測装置の荷重センサー部の荷重センサーの例を示す概略断面図である。
図6】同上の荷重計測装置の例の回路図である。
図7】同上の荷重計測装置とともに用いられる荷重表示装置の例の外観を示す概略図である。
図8】同上の荷重計測装置の電気回路部の装着具の例を示すものであって、(a)が平面図、(b)が左側面図、(c)が正面図、(d)が右側面図である。
図9】同上の荷重計測装置が装着される前の履物の例の外観を示す概略平面図である。
図10】同上の荷重計測装置の電気回路部の装着具(荷重指示部付き)の例を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る荷重計測装置1は、図1に示すように、荷重センサー部2と電気回路部3と、を備えている。荷重センサー部2と電気回路部3は、通常は、履物4の両方に設けられるが、片方だけに設けられてもよい。図1においては、片方の左足用のものを示している。
【0015】
荷重センサー部2は、インソールとして履物4の中底4a(図9参照)に装着されるものである。荷重センサー部2は、歩行時の荷重を感知する。履物4は、荷重センサー部2を装着し易く、また、履き易いように、履き口前側部4bが左右に開かれることができ、閉じられるときは左右がオーバラップして面ファスナー等の留め部材4ba(図9参照)により留められることができるものが好ましい。
【0016】
荷重センサー部2は、例えば、図2図3A図3D図4に示すように、シート状上部被覆体21、複数個(図では5個)のシート状上部硬質体22、複数個(図では5個)の荷重センサー23、複数個(図では5個)のシート状下部硬質体24、シート状下部被覆体25、を備えている。
【0017】
シート状上部被覆体21は、図3Aに示すように、履物4の中底4aに対応する平面形状のものである。つまり、荷重計測装置1が取り付けられる履物4の中底4aが大きければ大きく、小さければ小さいものである。シート状上部被覆体21は、荷重計測装置1の上方から荷重がかかるときに緩衝となるように、絶縁性のシリコーンゴムなどを用いることができる。
【0018】
複数個のシート状上部硬質体22は、図3Bに示すように、シート状上部被覆体21の下側に設けられる。複数個のシート状上部硬質体22は、通常は、シート状上部被覆体21に接着される。シート状上部硬質体22は、荷重計測装置1に曲げ力がかかったときに曲がらないような硬質のものであり、例えばアクリル樹脂などを用いることができる。ここで、曲げ力は、履物4の曲がり動作などで生じるものである。
【0019】
複数個のシート状上部硬質体22は、互いに細い隙間(例えば、1mm~5mm)をあけて隣接されている。複数個のシート状上部硬質体22は、通常、その集合体の最外周がシート状上部被覆体21の外周よりも少し内側になっている。複数個のシート状上部硬質体22は、例えば、つま先の位置に2個、土踏まずを含む中央の位置に2個、踵の位置に1個、設けられるようにすることができる(図3B等参照)。複数個のシート状上部硬質体22は、アクリル樹脂などの平板を、複数個のシート状上部硬質体22の集合体の最外周に沿った曲線でカットし、更に、複数個のシート状上部硬質体22の互いの細い隙間の部分を直線状にカットして取り除くようにして製作することができる。
【0020】
複数個の荷重センサー23の各々は、図3Cに示すように、複数個のシート状上部硬質体22の各々に対応してその下側に設けられる。複数個の荷重センサー23は、通常は、複数個のシート状上部硬質体22にそれぞれ接着される。荷重センサー23は、対応する該シート状上部硬質体22よりも小さい平面形状である。
【0021】
荷重センサー23は、様々なものが適用可能であるが、例えば、図5に示すように、第1のシート状弾性体231と第2のシート状弾性体232とを誘電体として有し、第1のシート状導電性弾性体233と第2のシート状導電性弾性体234と第3のシート状導電性弾性体235とを電極として有するものとすることができる。第1のシート状弾性体231は、荷重を受けたときそれに応じて厚さが変化するものであり、例えば、多数の空隙または窪みが周期的に設けられたもの(特許文献2参照)とすることができる。第2のシート状弾性体232は、荷重に対する厚さの変化は無視できるほど小さいものであり、例えば、第1のシート状弾性体231と同材質の平坦なものとすることができる。
【0022】
第1のシート状導電性弾性体233と第2のシート状導電性弾性体234の間では、第1のシート状弾性体231がサンドイッチ状に挟まれて第1のコンデンサー(Ca、Cb、Cc、Cd又はCe)が形成されており、第2のシート状導電性弾性体234と第3のシート状導電性弾性体235との間では、第2のシート状弾性体232がサンドイッチ状に挟まれて第2コンデンサー(Ca、Cb、Cc、Cd又はCe)が形成されている(図6参照)。なお、第1のコンデンサーの符号Ca、Cb、Cc、Cd、Ceと第2コンデンサーの符号Ca、Cb、Cc、Cd、Ceは、複数個(図では5個)の荷重センサー23の各々に対応している。
【0023】
複数個のシート状下部硬質体24は、図3Dに示すように、複数個の荷重センサー23の下側に設けられる。複数個のシート状下部硬質体24は、通常は、複数個の荷重センサー23にそれぞれ接着される。シート状下部硬質体24は、荷重計測装置1に曲げ力がかかったときに曲がらないような硬質のものであり、例えばアクリル樹脂などを用いることができる。
【0024】
シート状下部硬質体24は、対応するシート状上部硬質体22よりも小さい平面形状である。また、シート状下部硬質体24は、通常、対応する荷重センサー23と略等しい大きさか或いはそれよりも少し大きい。
【0025】
シート状下部被覆体25は、図2に示すように、図3Dで示した複数個のシート状下部硬質体24の下側に設けられる。シート状下部被覆体25は、通常は、複数個のシート状下部硬質体24に接着される。シート状下部被覆体25は、シート状上部被覆体21と略同一の平面形状である。シート状下部被覆体25は、荷重計測装置1の下方から力がかかるときに緩衝となるように、絶縁性のシリコーンゴムなどを用いることができる。
【0026】
電気回路部3は、図1に示すように、履物4の履き口外側部4cに装着されるものである。電気回路部3は、電気回路部本体31と2個の装着具32を有している(図1参照)。
【0027】
電気回路部本体31は、その内部に回路が形成されており、荷重センサー部2(詳細には、荷重センサー23)に電圧を印加しそれが感知した荷重に対応する信号を処理して無線で送信する。電気回路部本体31と荷重センサー部2の間には、個々の配線からなる配線部5が設けられている。
【0028】
電気回路部本体31は、荷重センサー23に応じた様々な回路構成が可能であるが、例えば、図6に示すように、荷重センサー部2の端子2pに交流電圧Vを印加して第1のコンデンサーCa~Ceに交流電流Ia、Ib、Ic、Id、Ieを流す第1の交流出力回路311と、荷重センサー部2の端子2qに交流電圧Vを印加して複数の第2のコンデンサーCa~Ceに交流電流Ia、Ib、Ic、Id、Ieを流す第2の交流出力回路312と、荷重センサー部2の端子2a~2eに流れる交流電流Ia、Ib、Ic、Id、Ieを測定し電圧(荷重計測電圧Va、Vb、Vc、Vd、Ve)に変換する複数の電流測定回路313a、313b、313c、313d、313eと、を有するようにすることができる。
【0029】
なお、荷重センサー部2の端子2p、2qは、全ての荷重センサー23の第1のシート状導電性弾性体233、第3のシート状導電性弾性体235に接続されており、荷重センサー部2の端子2a~2eは、各々が対応する第2のシート状導電性弾性体234に接続されている。また、交流電圧Vと交流電圧Vは、バッテリーと交流電圧発生器により発生される。また、交流電圧Vと交流電圧Vは、接地電位を基準電位として設定され、端子2a~2eは接地電位と同電位に保持されるように設定されている。
【0030】
荷重センサー部2に荷重がかかると、荷重の分布に応じて第1のコンデンサーCa~Ceの容量値が大きくなり、それに流れる交流電流Ia~Ieが大きくなる。一方、第2のコンデンサーCa~Ceの容量値はほとんど変化しないので、それに流れる交流電流Ia~Ieはほとんど変化しない。よって、荷重センサー部2の端子2a~2eに交流電流Ia~Ieと交流電流Ia~Ieの差が交流電流Ia~Ieとして流れる。そして、電気回路部本体31において、交流電流Ia~Ieが荷重計測電圧Va~Veに変換される。よって、荷重計測電圧Va~Veは、荷重の分布(部分荷重)に応じた電圧である。
【0031】
電気回路部本体31は、そこで得られた荷重計測電圧Va~Veを、デジタルデータの荷重計測値に変換して、図7に示すような荷重表示装置6に無線で送出する。
【0032】
荷重表示装置6では、電気回路部本体31からの信号により、履物4から離れた見易い位置で荷重が表示されたり解析されたりする。
【0033】
次に、2個の装着具32について説明する。2個の装着具32のそれぞれは、図8に示すように、外側細長部32aと内側細長部32bと結合部32cを有している。外側細長部32aと内側細長部32bは、細長いものである。外側細長部32aは、電気回路部本体31(詳細にはそのケース等)に接着などにより固定されている。内側細長部32bは、内側面32baが湾曲して凹んでいる。結合部32cは、外側細長部32aと内側細長部32bを結合する。装着具32は、結合部32cの弾性力により履き口外側部4cを外側細長部32aと内側細長部32bで挟み込む。それにより電気回路部3がしっかりと履き口外側部4cに装着されるようになる。
【0034】
詳細には、結合部32cは、外側細長部32aと内側細長部32bの上端部近傍に設けられており、外側細長部32aと内側細長部32bの上端部を摘まんで結合部32cよりも下側を開き、履き口外側部4cに差し込んで上端部を離すことにより電気回路部3が履き口外側部4cに装着されるようにすることができる。
【0035】
ここで、内側細長部32bは、内側面32baが湾曲して凹んでおり、歩行時における履物4内の足の外側部の動きを妨げ難い。また、2個の装着具32は、歩行時における履物4の底部の屈曲に伴う履き口外側部4cの変形を余り妨げずに装着を維持できる。従って、荷重計測装置1は、自然な歩行の妨げになり難くすることができる。
【0036】
結合部32cは、具体的には、軸心部分32caとバネ部分32cbを有するようにし、軸心部分32caは外側細長部32aと内側細長部32bを回動可能に結合し、バネ部分32cbは軸心部分32caに螺旋状に巻かれ一端が外側細長部32aの上端部近傍に他端が内側細長部32bの上端部近傍に接触するようにすることができる。
【0037】
このような荷重計測装置1は、歩行時の荷重を感知する荷重センサー部2がインソールとして履物4の中底4aに装着され、荷重センサー部2に電圧を印加しそれが感知した荷重に対応する信号を処理して無線で送信する電気回路部3が履物4の履き口外側部4cに2個の装着具32によって装着されるので、自然な歩行の妨げになり難く、既存の履物4に容易に適切に装着することが可能になる。
【0038】
また、履物4を履き口前側部4bが左右に開かれることができ、閉じられるときは左右がオーバラップして面ファスナー等の留め部材4baにより留められることができるものとすると、より容易に適切に装着することが可能になる。この場合、荷重計測装置1を装着するときは、図9に示すように履物4の履き口前側部4bが左右に開かれ、そして荷重センサー部2が装着されその上に足が置かれ、その後、履き口前側部4bの左右がオーバラップされて閉じられて留め部材4baにより留められるようにする。そして、足が置かれる前又は留め部材4baにより留められた後に、電気回路部3が履き口外側部4cに装着されるようにする。
【0039】
次に、荷重センサー部2と電気回路部3の他に荷重指示部7を更に備えているようにした荷重計測装置1について説明する。荷重指示部7は、人の足の少なくとも外側に振動を与える振動部材71(例えば、小型振動モーターなど)を有するものである。荷重指示部7は、通常は、履物4の両方に設けられるが、片方だけに設けられてもよい。
【0040】
振動部材71は、取り付ける場所が特に限定されるものではないが、例えば、図10に示すように、電気回路部3の2個の装着具32のうちいずれかの内側細長部32bの内側面32baに取り付けることができる。振動部材71と電気回路部3の電気回路部本体31との間には、個々の配線からなる配線部8が設けられる。
【0041】
電気回路部3の電気回路部本体31は、荷重表示装置6等から無線で受信した信号に応じて振動部材71を制御する。例えば、荷重指示部7が履物4の両方に設けられている場合、訓練士等は、荷重表示装置6に表示される計測した荷重が左足に偏っていると左足の外側に振動を与え、右足に偏っていると右足の外側に振動を与えるように荷重指示部7を制御することができる。逆に、計測した荷重が左足に偏っていると右足の外側に振動を与え、右足に偏っていると左足の外側に振動を与えることも可能である。
【0042】
なお、振動部材71は、人の足の外側の他に内側などに振動を与えるように、2個以上有するようにすることも可能である。その場合、人の足の外側以外の振動部材71は、上記の装着具32と同様な形状のものなどを更に設けそれに取り付けてもよい。また、荷重指示部7は、振動部材71以外の部材を設けることも可能である。例えば、振動部材71が振動していることを示す発光素子を設けることも可能である。
【0043】
以上、本発明の実施形態に係る荷重計測装置及び荷重計測装置装着方法について説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、場合によっては、荷重センサー部2を省略し、電気回路部3と荷重指示部7により荷重指示装置を構成することも可能である。この場合、訓練士等は、歩行の様子を目視して荷重指示部7を制御することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 荷重計測装置
2 荷重センサー部
2p、2q、2a~2e 荷重センサー部の端子
21 シート状上部被覆体
22 シート状上部硬質体
23 荷重センサー
231 第1のシート状弾性体
232 第2のシート状弾性体
233 第1のシート状導電性弾性体
234 第2のシート状導電性弾性体
235 第3のシート状導電性弾性体
24 シート状下部硬質体
25 シート状下部被覆体
3 電気回路部
31 電気回路部本体
311 第1の交流出力回路
312 第2の交流出力回路
313a~313e 電流測定回路
32 装着具
32a 外側細長部
32b 内側細長部
32ba 内側細長部の内側面
32c 結合部
32ca 結合部の軸心部分
32cb 結合部のバネ部分
4 履物
4a 中底
4b 履き口前側部
4ba 留め部材
4c 履き口外側部
5 荷重センサー部と電気回路部の間の配線部
6 荷重表示装置
7 荷重指示部
71 振動部材
8 荷重指示部と電気回路部の間の配線部
Ca~Ce 第1のコンデンサー
Ca~Ce 第2のコンデンサー
Ia~Ie 第1のコンデンサーに流れる交流電流
Ia~Ie 第2のコンデンサーに流れる交流電流
Ia~Ie 荷重センサー部の端子に流れる交流電流
第1の交流出力回路が出力する交流電圧
第2の交流出力回路が出力する交流電圧
Va~Ve 荷重計測電圧
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10